Dr. Inside MOATのプロレス哲学講座
第18回:『佐藤江利子はなぜ生き残ったのか?』後編
■投稿日時:2004年10月1日
■書き手:Dr. Inside MOAT (ex:プロレス至上主義宣言!

後編:タダシ☆タナカ 著『日本プロレス帝国崩壊』2004年

さて、前編の書評はどこかで見たことがある人もいるかも知れない。前作『誰も知らなかったプロレス格闘技の真実』の適当な書評をネットからコ ピーしてきて、『シュート活字宣言』を指す”前作”を”前々作”に変えただけのものだ。勝手にとって来たので著作権上の文句がある人は連絡し てください。

こんな事をするのは、私が『日本プロレス帝国崩壊』は前作とだぶりが大きいことを皮肉っているからだと思う人がいるかも知れない。でも、記載 事項に関して言えば私はそうは思わない。せいぜい前作と20〜30%ダブっているだけだろう。

私が皮肉ったのは記載事項ではなくて、主張が完全にダブっていることだ。『日米のプロレス逆転の原因はシュート活字がないことだ』『情報公開 で全てハッピー(細部省略)』これは前々作から全く変わっていない。展開もしていないし、進歩も進化も深化もしていない。タナカの確信だけ が、主義として強烈に伝わってくる。その圧力が同じであるから、読者が『同じ内容だ』という印象を持つ。実際その印象はどうしようもなく正し い。

ノリリンと言う人が昔、現代思想別冊『プロレス』の書評で、”92年以降シュート革命、シュート活字、ネットプロレスなどの革新を経過していない論文は既に前のパラダイムに属する。”と書き、シュート活字前後の変革を経過していないプロレス評論を 批判した。随分持ち上げたものだが、確かにそれはその通りかも知れない。しかし、このことは他でもないタナカ☆タダシについても検証される必 要がある。自明のこととして『シュート活字主義者』タナカ☆タダシは『シュート活字』を経験している。しかし、経過 していると言えるだろうか?

言うまでもなく、シュート活字主義者タナカの主張のかなりの部分は正しい。必要な者に対して情報公開をし、プロレス業界の仕組みを時代にあっ たものに変えるべきだ。
しかし、私の読む限り、シュート活字主義者タナカはその枠から一歩もでれないでいる。まさに教条主義に陥っている。
どんな都合の悪い自体の説明を強いられても、マル経学者がマルクスの枠の考え方から一歩もでれないように。

その顕著な例は『WWEに大企業のスポンサーが付くのは(単に)面白いからであって、情報公開があるからではない』のくだりだ。
『情報公開』というシュート活字のキーポイントの価値を上げたいがために支離滅裂である。『競技ではない勝敗はブッカーが決めます』と言う言 葉でスポンサーが付いたりはしない。『競技』であればスポンサーが付かないのであれば、8月に我々が見たあの5つの輪っかのついた巨大スポー ツ商業イベントはなんだったのか?情報公開すればスポンサーが付くのであれば、アメリカにメジャープロレス団体がWWFしかないのは何故なの か?スポンサーにとって大事なのはご託ではなく、安定した人気だ。誰が考えても一番大事なのは投下した資本に見合う見返りがあるかどうかだか らだ。TVなら何人がCMを見てくれるかだ。

だから、どう考えてもスポンサー獲得により重要な要件は情報公開よりも面白いと言うことだろう。なぜなら情報公開など容易いからだ。どんな団 体でもやろうと思えば出来る。しかし、”面白い”というのは難しい。誰でも出来ることではない。
しかもタナカ自身の分析においても”『月曜TV戦争』が成功したわけ(p114)”には『情報公開』は入っていない。
逆に情報公開できない部分があっても、大スポンサーが付くのは最近のプロ野球騒動やK1・DSEの事件が物語っている。

『WWEは面白いことに加えて、情報公開しているのでスポンサーも付きやすい』くらいにしておけばいいのに、教条主義的シュート活字では、『情 報公開』が全てを説明しなければ気が済まない。

シュート活字主義のタナカが偶然教条主義に落ちこんでしまったのか、はたまたタナカのシュート活字が必然的に教条主義に落ちこむ要素を内包し ていたのか。ともかく不幸なことにタナカの『シュート活字』は登場から一歩の進歩もない。進むべき動力がないのだ。だから私は前編で”箱船” と書いた。
ここで私は、タナカが『シュート活字』を経過していないことを断定する。
私たちは『シュート活字』を経過した者には、もはやタナカの『シュート活字』は必要ない。思い出だけ胸に、タンスにしまって、そろそろ

「次行ってみよう。」


(三部作 了)

もう一度最初から読みたい人は(クリック)

中編を読み返したい人は(クリック)



本稿の著作権はすべてKANSENKI.NET及び「書き手」に帰属します。

戻る
TOPへ