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「某っちのVT群雄伝」第二回
第一部 悪ガキと先駆者(ティトとライオンズ・デン抗争史)パート2 |
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■投稿日時:2002年11月19日 ■書き手:某っち (ex:「格闘潮吹きマン○固め!!」) |
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第一部 悪ガキと先駆者(ティトとライオンズ・デン抗争史) 第三章 UFC13 そんな時、ティトは大学のレスリングの先輩がUFCに出場している事を知った。 ポール・ペレイラ、UFC8に参戦した男である。 そして彼はチーム・タンク、つまりタンク・アボットのチームの番頭格であった。 早速、ティトは彼にコンタクトを取る事にした。 ディビット・タンク・アボット。 現在ボブ・サップがジャンル荒らしと話題になっているが、本当の意味で格闘技界に現れたジャンル荒らしは、このタンク・アボットであろう。 サップがジャンル荒らしと言われる所以は、ずばり身体能力だけでVTやK1のトップ選手に勝ってしまう所だろう。これじゃどんなに技術を磨いても、身体能力のある化け物には敵わない。そう考えると格闘技とは何なのか? と言う疑問、不安がよぎるからだ。 しかしながら、その様なキャラ作りをしてはいるが、実際のサップは練習熱心な男であり、キック、柔術、レスリングなどを必死で習得しようとしている事は、ちょっとしたマニアなら誰でも知る所であろう。 そういう意味ではサップのジャンル荒らしと言うのはあくまでキャラであって、本当に荒らしている訳では無い。 だが、このタンク・アボットは違う。 彼こそ、一切練習しないでオクタゴンで勝利を重ねた真のジャンル荒らしであった。 ベースの格闘技はピット・ファイティングと名乗っている。このピット・ファイティングとは酒場で金を賭けて殴り合うものだそうだ。 つまり、喧嘩、ただの喧嘩である。無法者がオクタゴンで格闘家を殴り倒す、そんな危険な雰囲気も手伝って、当時のUFCではタンクはちょっとしたヒーローであった。 ちょうど身体の大きいパートナーを欲していたタンクに気に入られ、ティトはチーム・タンクに入った。そしてタンクの推薦で即UFCデビューとトントン拍子で話が進んだのであった。 1997年5月30日 UFC13。ここで行われたライト級(現在のLヘビー級)トーナメントの補欠戦。これがティトのオクタゴンデビュー戦であった。 相手はテコンドーの有段者、ウィス・オルブリトン。だが、勝負はあっけなかった。 簡単にマウントを取ったティトがマウントパンチで殴りつける、TKO勝利。 わずか31秒であった。 あっけないもんだ・・・・・、 ティトはデビュー戦が簡単に終わった安堵と物足りなさを感じて、メインのタンクのセコンドに付く準備をしていた。 しかしティトのデビューは、これで終わりでは無かったのだ。 ライト級トーナメント決勝に進出したエンセンが怪我の為に欠場、補欠戦で勝利したティトに出番が回ってきたのだ。 相手はガイ・メッツアー。現在、プライドでも猛威を振るっている若き日の難攻不落の獅子である。 そしてこれこそが、現在まで深い因縁を残す、ライオンズ・デンとティトの初顔合わせであった。 決勝のオクタゴンに上がったティトは異常な雰囲気を感じ取った。 さっきの補欠戦とは違う・・・・、なんなんだこの殺気は・・・・・・。 メッツアーをはじめセコンドのライオンズ・デン勢のティトに対する異常な敵意、それをティトは敏感に感じ取った。 チーム・タンクに入ったばかりのティトは知らなかったのだが、実はチーム・タンク(と言うかアボット)とライオンズ・デンとは深い因縁がある。 タンクがUFCでデビューしてからことある事に、ライオンズ・デンをはじめ格闘家たちをバカにする発言を繰り返していたからだ。 「格闘技なんか女のやるもんだ、本当に強い男ならそんなものは必要無い! ライオンズ・デンなんか熱心に技術を磨いてるらしいが、あれは女の集まりだ、シャムロックなんてキム・グラマラス・シャムロックに改名でもした方がいいんじゃないか」 これを聞いたケン・シャムロックは激怒! UFCでもTVカメラに向かい、 「タンク、お前は許せない! ぶち殺してやる!」 と絶叫したものだ。そんな訳でライオンズ・デンにとってこれは代理戦争、憎きタンク軍団のティトには並々ならぬ敵意をもっていたのだ。 試合が始まった。 メッツアーのタックルをティトががぶる。抜きんでた才能をもったティトのレスリング力は、メッツアーにも通用したのだ。 上からハンマーの様なパンチを落としメッツアーは出血。そのままぐいぐい上から押さえつける。まだ技術を知らないながら首に掛かった腕で力任せに締め上げる。メッツアーが手をばたつかせる。 「タ、タップか・・・・タップじゃないか?」 その時、レフリーのマッカーシーが止めに入った。ストップだ。 勝った、勝ったのか・・・・・・。 しかしストップはドクターチェックだった。メッツアーの出血をドクターがチェックする。マッカーシーは試合再開を指示した。 馬鹿な、奴はタップしたはずだ。糞、まあいい。何度でも殴り倒してやる! だが、ティトにはメッツアーとこれ以上戦うには経験が浅すぎた、この舐めた態度が命取りになった。 試合再開後、不用意にタックルにいったティトの隙をメッツアーは見逃さなかった。 ギロチン・チョーク、ティトの首を見事に押さえたメッツアーはそのままぐいぐい締め上げる! 柔術をまったく知らなかったティトは逃れるすべが無かった。 な、なんなんだこの技は・・・意識が遠のく・・・・・・・・ マッカーシーが試合を止めた、レフリー・ストップだ! と同時に宿敵、タンク軍団を下した喜びに沸く、ライオンズ・デン勢がオクタゴンに飛び込んできた! 仲間と共に喜びを分かち合うメッツアー! 勝利に酔いしれるメッツアー。 それを傍目にティトは、お、俺は負けたのか? 俺はタップしてない、先にタップしたのはメッツアーの方だ! だが当然、抗議は受け入れられなかった。 こうしてティトのUFCデビューは終わった。 (つづく) |
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