「週刊タカーシ(仮題)」第十一回 <This is 運命>
■投稿日時:2002年6月25日
■書き手:タカハシ(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

あと4回くらい続けようかと考えていた対談だが、余りにも不評なので前回で取りやめ。今週から通常通りに戻す事にします。

その対談で楽をしていたここひと月で最も面白かったのは何と言っても長州の退団に伴い炸裂した、最後っ屁とも言うべき猪木批判とオマケの藤波批判。藤波も社長にさえならなければここまでボロクソ言われる事もなかったと思うが、それでも社長のイスに執着するのはどんな理由からなのだろう?
さて長州の猪木批判の中にあった「あの人がやってきた事は出ていったものばかりで、得たものは何ない」という一節についてだが、その際たるものと言えば95年4月の北朝鮮遠征なのではないかと思う。
ウワサでは2億5千万円が新日本から立替られたものの、北朝鮮から約束されたお金は支払われる事はなく会社が傾きかけたとの事。猪木や北朝鮮の言葉を信じる事からして間違ってるような気もするが、とにかく大ダメージだった事は間違いない。
ところがこのイベントがファンに与えた影響と言えば、猪木とフレアーという東西のオールタイムベストの試合巧者同士の1度きりの対戦が実現し、フレアーのその偉大さが恐らく初めて日本のファンに知らしめられた事(友人によれば「あの試合がフレアーの試合だった事で、猪木とフレアーではフレアーの方が偉大である事が証明された!」との事だが)がまず挙げられる。
そして試合の彩りとして招待された全日本女子勢がE・ビショフ氏の目に留まってWCW登場に繋がり、北斗と健介のオモロイ夫婦の実現ともなったわけだ。まー何度でも言うがあれだけファンを楽しませてくれた北斗を引き取ってくれた健介はエライ!これだけでも自分の中では殿堂入りの価値があるね。
そして何よりもこのイベントでできた大赤字が、同年10月9日のUインターとの一大決戦実現の引き金(いずれ実現しただろうけど、先送りにされていたら価値が激減していた可能性もあっただろう)となった事など、ファンにとってはマイナス要素は殆ど目に入らないものなのだ。

・・・というワケで今回は猪木がいかにムチャクチャな事をやってきたおかげで、ファンが楽しい思いをしてきたか・・・ではなく、プロレス界に起きた皮肉な巡り合わせについて書いてみたい。

さて、最近気付いた皮肉な巡り合わせというと現在の全日本の状況だ。
何しろ現在の2トップとも言うべき武藤と天龍はちょっと間違えば全日本に大激震をもたらしたSWSの2大エースとなっていたかも知れない2人なのだ。「野心90%」ではSWSと契約する口約束まではしていた事を告白していたが、結果的には不用品処分のような全日本からの大量選手離脱も、武藤なら同著でも言っていた通り、得意のジジババ転がしで田中社長を取り込み、使える選手だけを選んでSWSをスタートさせていたかも知れない。
そうなるとまた変わったプロレス界が見られたような気もするが、天龍の頼まれたらイヤとは言わない男気が結局は同じ結果とさせていた確率の方が高そうだ。

今度は海外に目を向けてみよう。ピルマン、オーエン、スミスと続々と死んでいく呪われたユニット「ハート・ファウンデーション」の生き残りの1人であるブレット・ハートについて。
プロレス内幕モノのハシリとも言える「レスリング・ウィズ・シャドウズ」ではプロのワザとして、痛そうに見えるパンチについて話しているが、彼自身が40才そこそこの若さで引退したのは99年のPPV大会「スターケード」におけるゴールドバーグとの試合での特別なスポットとも言えないカウンターのビッグブーツによるダメージの後遺症から来るものなのだ。
そしてその試合があれほどまでに愛着を持っていたWWFを離れる原因であり、WWFでの最後の試合(契約解除自体は決定していたが)のダブルクロスのパロディーであったのはこれまた運命の皮肉としか言い様がないだろう。試合のダメージからシナリオが変わったのか、ダブルクロスを企む側としてTVでニヤニヤしながらのヒールターンには見ている側としてもちょっと複雑なものがあったな。

もうひとつ巡り合わせの面白さをWWFマットで挙げるならオースティンのブレイクもそのひとつ。これはタイミング的なもので、オースティン自身の実力から言ってもその時期が繰り上がったと考える方が正しいと思う。
96年、当初はHHHが優勝する予定だったKORトーナメントはディーゼルやレイザー・ラモンのWWFでの最後のハウスショーでの試合後、当時「クリック」と呼ばれたショーンを含めた4人(本来入るべき123キッドは会場にいなかったらしい)でストーリーにないお別れの儀式を行った事によりペナルティーとしてシナリオ変更となった。そこで繰り上げ?優勝となり、優勝インタビューとして例の「Austin 3:16...」で始まるフレーズをオースティンが披露する事により一気にブレイクしたという経緯があったのだ。
しかしそのオースティンもレスナーへのジョブを始めとする、ここ最近の扱いの悪さからWWF離脱となった模様。ギャランティーがハネ上がり、クリエイティブの決定にも口出すようになると待ってましたとばかりにオースティンでさえ解雇してしまうWWFの強気な態度は今後どのような影響を及ぼすのだろう。これについては項を改めて近々書いてみたい。

最近感じた皮肉な巡り合わせは、これまでの話とは比較にならないほどスケールが小さい話となる。鈴木みのる(この前「さんまのまんま」に出演した猪木がムネオと間違えて名前を出していたな)が新生UWFに参加直後の週刊プロレスインタビューで「新日本在籍時スパーをお願いしたけど、相手にしてくれない先輩がいて・・・」と、記事とする都合上か「強くなりたいと願う青年の純粋な熱意を受けてくれない無理解な先輩」的な構図で紹介されていたが、どうも当時の鈴木的には恥をかかせてやろうと確信犯的行動だったらしい。
この話自体は鈴木の性格の悪さと木村健吾(多分)のダメさ(本来のプロレスの意味からしたら一概にダメとも言えないが)がよく現れたエピソードであると思う。
で、この話のどこが皮肉な巡り合わせになるかというと、その鈴木が理想の団体として創ったパンクラスの心血注いで育てた選手たちが、パレストラで技術を磨き入団した北岡から「総合のスパーをやろうと言っても相手になってくれない」とグチられ、メモ8さんもさすがに冗談かと思っていたウワサの、今や北岡が道場での師範役になっているというのもどうやら事実のようだ。
話は少し飛ぶようだが、先日(1月27日)の後楽園での山宮と佐々木の試合では、ちょうど自分がその試合の一週間前に習ったシンプル・スイープからのパスガードを基点とする攻撃で佐々木が勝利を収めた。(1R 4分29秒 腕ひしぎ逆十字固め)正直に言って素人がジムで習えるようなベーシックな攻撃パターンになす術もなくタップしてしまった山宮を見た時は本当に言葉が出ないほどに驚いた。
もちろん自分が同じ動きをすれば同じように山宮からタップを奪えるなどと考えはしないが、グラバカ勢が圧倒的な強さをism勢に見せる限りにおいては、残念ながら技術的にはかなり取り残されているように感じる。
そしてガチ興行出陣の度にそのパンクラス勢に教えを請うプロレスラーは、自分が期待しているよりもはるかに弱いのではと思わざるを得ないのが正直なところだ。これについては心から反論を待ち、言葉でタップさせられる事を強く望むよ。

さて、さてが多いがあまりにも暗いオチになりそうなので、少しは希望の持てる巡り合わせについて考えてみよう。
ようやく再就職先が決まった元リングス・ロシア改めロシアン・トップチームだが、ヒョードルの初戦の相手は現役のKOP王者であるシュルトに決まった。恐らくこの試合の勝者がノゲイラのPRIDEヘビー級タイトルに挑戦する事になるだろう。
対談の中で自分は「リングス参戦経験者で他団体に上がった選手のうち、トップクラスの活躍をしているリングスで強くなった選手は高阪だけ」と言ったが、ヒョードルもその中に入ると言っていいと思う。
試合がまだ終わっていないうちに言わせてもらえば、シュルト、ノゲイラを倒せばかつてのリングスのキャッチ・コピーである「世界最強の男はリングスが決める!」が現実のものになる事となる。
そしてそれが前田を最後まで裏切らないだろうと思われていたハンの弟子であり、実現する舞台が「ヤクザの片棒は担がない!」と前田が断言したPRIDEのリングとは・・・。
皮肉な巡り合わせを見て、その意味を探す事にも長く見続ける事の楽しさがあるような気がする(オチ弱いな・・・)。


<先週見た興行>
いつもPPV見させてもらってる友人の都合がつかず、それでもリンパン王者対決がどうしても見たくてGP1回戦以来のPRIDE生観戦。その王者対決が高山対フライの前というのは忸怩たるものがあったが、結局2人のプロレスラー魂に興行が救われたのだからこれまた面白い。高山のやられっぷりの良さは上半期のMVPモノだ。
心のメインであるリンパン王者対決はリーチ差をかいくぐってテイクダウン取れるなら勝てるな、と思っていたので始まって10秒で勝利は確信はしたものの、ヒョードルがカタく行ってしまったため内容はショボショボ。
やはりクロスガードの攻防はダメダメなので、ノゲイラ相手だと運が味方に付かない限りは勝てそうにないなぁ。
とりあえずヒーリングと挑戦者決定戦をやってからノゲイラ戦を見てみたい。





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