「週刊タカーシ(仮題)」第十回 <帰れない2人 〜KOK序章〜>
■日時:2002年6月18日
■書き手:タカハシ(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

品川
(以降 品):
「修斗の、ひいては日本の総合の歴史については、やっぱりエンセンと中井の登場っていうのが、ひとつのエポックじゃないかなって思うんですよ。その中で例えば佐山さんの打撃に対するヒトカタならぬ思いがあった、というのも凄い事だと思うんですよね。
VTJの一発目で、川口君、草柳君、もうボロクソにやられたじゃないですか。やっぱあれで判ったんだよね。要するに、今まで「俺ら、一番強い」って思ってた訳じゃないですか。最近また、一番強いって思ってるらしいんですけど。尾崎さんと戦おうとしてますからね(笑)。 尾崎さんという、世界で2番目に強い人と戦おうとしてますから。」
タカハシ
(以降 タ):
「1番目に強い人は聞かない方が良さそうですね(笑)。」
品: 「 (笑)。それと個人的には前回触れたUSA修斗を挙げたい。USA修斗のコネが無かったら、ヒクソン来なかったと思いますよ。ヒクソン自身だってここまで世間に出なかったと思います。
やっぱ、その凄さがあって、で、そこに前田が絡んだんですね実は。2回目で山本が。
山本というね、こないだボブ・サップに秒殺で勝ったんだっけ? 負けたのか(笑)その山本の、生涯のベストバウトですからね。負けるとこまで含めて、山本の人生最大の試合だと思ってます。」
タ: 「で、間違ってヒクソンといい勝負した事によって、本人含めたくさんの人が勘違いしたという(笑)。」
品: 「ホントにね、ヒクソンは山本のおかげだと思うよ、あそこまで行ったのは。慧舟會・西さんじゃないよ、絶対ヤマノリだよ。それぐらい凄い影響があったと思うんですよ。
そうやってリングスに繋がっていく訳ですよ。リングスだって、そうやってヒクソンと闘ってる訳だから、その柔術の凄さ、グラウンドにされてからの凄さっていうのは、やっぱり見てると思うんですよ。」
タ: 「そこで強引に話をリングスに戻すんですけど、Uインターや藤原組にはそんなに新しさは感じなかったんですけれども、オランダ・ロシアといったプロレスに免疫の無い選手たちが入ってきた、まあもちろんその試合はワークであったにせよ、そんな中で新しいプロレスが見られるんじゃないかっていう感じで、次第に傾倒していったっていうのがあると。
例えばダウンをごまかすために、タックル行くフリしてもたれかかるといった現在のPRIDEでも見られるようなムーブとかも含めてですけど。」
品: 「うんうんうんうん。長井は駄目ですかね。」
タ: 「長井は、Uインターを経て来てるっていうのがあったんですけど、何て言うか、新生UWFで試合を全く観てないんで、ちょっと思い入れを持ちようが無かった、という所ですね。」
品: 「でも、今の長井の全日魂バリバリの素晴らしさをみてると、なんかあの頃に二人で前田さんとやったっていう感じがあると、感慨もひとしおだなあ、なんて僕なんかは凄く思うんですけど。」
タ: 「この前の後楽園ではカズ・ハヤシと最高のハイ・スポット決めてましたよ。」
品: 「スワンダイブ・ニーをスワンダイブのドロップキックで打ち落とされるヤツね。」
タ: 「せっかくウケのいい昔話ネタで行ったのに、アレに食われてサンザンでしたよ。」
品: 「(爆笑)」
タ: 「それにしても、ロシア勢にしろ、前田はプロレスが下手で下手でっていう風に散々言われてきたのに、プロレスを教えるのが前田しかいないのに、なんでロシア勢やオランダ勢があんなにプロレスを上手くやってるかと思うと、不思議で仕方ないんですよ。
なにしろ史上最高にプロレスが上手いと言われているアントニオ猪木が、ロシア勢にプロレスを理解させる事が出来なかったのに・・・。そこは非常に興味深い所ですね。」
品: 「うん、うん。やっぱり、その辺りが結局リングスに興味を掻き立てられるひとつのキッカケになった訳でしょ。それで、KOKに移行するその感覚の、一番好きなトコになっていく、っていうプロセスはどういう事なんです?」
タ: 「まず自分の中で、ブレンド時代と区分される、ブレンドの比率がシュートの方が高かった時期っていうのがあるんですけども、それは田村だけがワークだった興行とかもあったんですが。」
品: 「ああ、ああ。ヨープ・カステルとやった時?(99年8月19日 横浜文化体育館)」
タ: 「そのころは正直言って、全然観に行くって気にはならなかったんです。
ただ、KOKの時は、いよいよ始まったか!っていう、なんか判んない予感があって、当日思い立って会場に向かったんですけど、山手線の事故で帰ることにしまして、後からTV見て、非常に勿体無いと思ったんですけど、まあそれ以降はほぼ皆勤で。」
品: 「ふ〜ん。」
タ: 「本当に面白かった。ただそれでもやっぱり、一番印象に残る試合を挙げろと言われれば、田村VSヘンゾ(2000年2月26日 日本武道館)。更にそこから何を挙げるかっていえば、田村の腹固めや、何よりもUWFのテーマで入場して来た事、って言うからやっぱり自分の中では、プロレスとして観続けたっていう事自体は変わらないと思います。」
品: 「アレ、武道館だっけ。あの試合は泣けたね。あのUWFのテーマが鳴った時に、あのUインターを裏切った田村を、チョットだけ好きになったから。僕はもう、大嫌いだったからね、田村の事ね。こんなフザケタ奴はいないなって思ってたからね。
真剣勝負やどうのこうのって言ってて、しっかり高田に返されてるからね、こないだ埼玉アリーナ(4月28日 PRIDE20)でね。3倍、4倍くらいになって返されたからね。アレは厳しいと思うよ。
でも、あのヘンゾとの試合は本当に凄いと思ったな。まあ、判定云々とかそういうのは超えてね。やっぱ素晴らしいなぁ、と思ったんだけど、その素晴らしさも束の間、桜庭に思いっきりやられてるヘンゾっていうのももっと素晴らしいなぁって(笑)」
タ: 「そんでヘンゾがやられた技が今やブラジルでもサクラバ・ロックとして伝わっているという(笑)・・・。」
品: 「やっぱ、高田って強烈な印象あるなあって、いつも思ってるんですけど。そういう意味でその、Uの因子が残った二人がね、桜庭VS田村とかやって欲しいなって、僕個人的にいつも思うし、そんじょそこらの喧嘩、ちっちゃな喧嘩じゃないと思うんで、そういうものを背負った試合っていうのを、今後なんかどっかの中立な所で観れたら良いなって、まあ中立って言うのはヤクザって意味ですけどね、逆に言うとね。ヤクザなリングで観れたら良いなって(笑)」
タ: 「自分はやっぱり美談を求めるタイプなんで、田村と桜庭に何とか和解してもらって、Uインターのプロレスを魅せて貰いたいなって、逆に。」
品: 「はぁ〜。それはワークって事ですよね。」
タ: 「そうです。当然そうです。」
品: 「要するに桜庭にジョブせいと、昔のように(笑)」
タ: 「いや、別にそれは構わないんですけど。今の力関係からしたら、桜庭が勝つべきだとは思いますよ。ただ興業としてつながるんだったら、田村が勝つのもかいいかっていうくらいで。」
品: 「まあ1勝1敗ですね。"1勝1敗の理論"ですね、そういう場合はね。」
タ: 「そうですね。」
品: 「なるほど。ちょっと、そのKOKにいって、KOKの素晴らしさとかって言うのを、もうちょっと聞かせてもらいたいんですけども。」
タ: 「まずその前に、話はK−1に戻るんですけども。」
品: 「K−1!」
タ: 「石井館長はまず最初に日本人のスターとして佐竹をオーバーさせる事で、K−1そのものを認知させようとしていたと思うんですけど、その佐竹のK−1でのベストマッチであるスタン・ザ・マンとの試合(93年9月4日 日本武道館)のその同日にデビューしたアンディ・フグが結果的にはその役割を果たしていく事になっていきましたよね。
そのアンディ・フグがガチ興行の難しさを、本当に如実に我々に見せてくれた存在だと思うんです。」
品: 「例えばそれは?」
タ: 「例えば、明らかな噛ませ犬として連れてきたパトリック・スミスに、13秒で負けてしまって、それから本来石井館長の思惑からすると準決勝でピ−ター・アーツ、決勝で佐竹と戦う筈だったんだけど、それがまあ先送りになってしまったとか。」
品: 「うーん、それはそうですね。」
タ: 「その代わり"リベンジ"っていう観念で、パトリック・スミスっていう、とてもじゃないけど2回も3回も戦えないような対戦相手で、横浜アリーナをその再戦だけで埋めてしまったとか。」
品: 「なんか、現代に蘇ったマッドドック・バションって感じですよね。」
タ: 「アンディを見て、プロ興業……真剣勝負の面白さっていうのは、プロモーター側の思惑通りには進まない、結果の予想できない、まあ予想出来てしまうモノもありますけど、積み上げたものが一瞬にして崩れ去るっていう厳しさ……。」
品: 「それは白血病で死んだっていうのも含まれてるんですか?」
タ: 「含まれてないです!この部分使えなくなるじゃないですかぁ。」
品: 「あ、含まれてないの(笑)」
タ: 「まあ、一瞬にして積み上げてきたものが崩れ去る残酷さ、と言うものがプロレスと違う楽しみ方かなぁ、という風に思い始めてですね。ほら、どうしてもプロレスの場合は敗者を救う論理が観客側にも働くじゃないですか?敗北の重みがないとも言いますけど。 で、リングスの件にしても、あのヴォルク・ハンがシュートの試合をするって言うことに関しても・・・。」
品: 「出ましたね」
タ: 「積み上げてきたものが一瞬にして無くなるって言うのが、ハンの場合は前回にも出た「ガチでやったら弱いんじゃないの?」、「所詮やってきたのはプロレスだろ?」という部分ともあいまって、また独特の緊張感があったんですよ。リングスファンであるということの思い入れが、判官ヒイキ・・・弱いって決めつけてるみたいですけど(笑)・・・今までのリングスでは味わえなかったスリルを更に堪能できたっていう・・・。
ハンを応援しつつも残酷な結末をも楽しみにしているという不思議な感覚でしたね。」
品: 「個人的に10年前のハンならVT見たいなぁと思いましたけど、リングスで金持ちになってしまい、後進育成が目的になった彼の闘い見る気は正直失せてましたね、私は。まあ結果無様な負け方しなくて面目保たれて良かったと思いましたね。
年老いた狼に哀愁はありましたけどね・・・・・」
タ: 「あと、その当時は知らなかったんですけど、サンボには足をクロスさせての攻防が反則らしいので、クロスガードや三角締めへの対応の不安というのもヒョードルのPRIDE参戦が決定した今、緊張感をもたらすファクターではありますね。」
品: 「なんか無理してネガティブな要素を見つけ出そうとしてるみたいですけど(笑)。」
タ: 「自虐的なのもリングス・ファンの特性・・・という事ですかね。」
   
次回へ続く)

<今週見た興行>
今週は11日の大阪プロだけ。久し振りのバルコニー観戦だった。会場入りの時点で立ち見以外完売であったが、大掛かりな舞台装置を抜きにしても文句なく満員で、これほどまでに出来上がった観客も実にWWF横アリ以来だったな。何しろ本当に普通の動きにも大歓声なので見ててちょっと驚いた。
当日のサプライズとしての金村出場も驚きだが、第一試合で村浜兄さんがセコンド役を(えべ藤さん相手なのに)マジメに勤めていたのにも驚いた。ラフに言えば「タダで見たけりゃ仕事しろ」という事らしい。パンクラやリングスでセコンドをしてもOKなんだからまさか大阪プロでお咎めはないだろうけど・・・。
その村浜兄さんはお仕事の後はバルコニーで心底楽しそうに試合を見ていて、なんだか自分まで幸せな気分になってしまった。
先のDEEPでは念願だった星野選手との対戦に逆転勝利を収め、負けたものの上山との試合でお客さんを沸かせる試合が出来た事には満足している様子だった。
あと実はGammaはR師匠の古い知り合い(当時の呼び名は「うまいっしょ」)なので、ちょっと気にかけているのだが、マイクもソツなく試合も昨年感じたバッファロー&ツバサとの格差を感じる事もなくホッとした。
また半年くらいしたら見に行きたいもんだ。





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