「週刊タカーシ(仮題)」第八回 <帰れない2人 〜旧UWFへの残照〜>
■日時:2002年6月4日
■書き手:タカハシ(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

品川
(以降 品):
「今日は、タカハシさんの連載が無事7回連続掲載された・・・本来連載ってそれが当たり前なんですけど(笑)、これをなんとか継続させるための手伝いというか、早い話がネタ提供として対談でお茶を濁せるよう・・・じゃなくて1つテーマを決めてそこから際限なく広がっていくカタチでいつもとは違うものが出せるんじゃないかな、という事で企画してみました。

第1回目ということなんで今日はUWFについて。我々UWF世代、まあ私なんかは力道山世代――力道山、シャープ兄弟、そして大幅にはしょってワフー・マクダニエルなんですけどね。そんなトコから行ったら終わんねぇだろって(笑)
で、まぁタカハシさんははっきり言って、リンオタでございます、・・・"元"ね。
"元"っていうのは、今、リングス・ファンだった人全員"元"が付くんで。リングス自体がなくなってますから(笑)。・・・と言う事でよろしいですかね?(笑)」
タカハシ
(以降 タ):
「いや、全然よろしくはありませんけど(笑)
と言うのは、自分の場合はプロレスは勿論、PRIDE・K−1を含めたスポーツエンターテインメントというワクの中で、ここ数年一番好きな団体がリングスだったという事なんですよ。」
品: 「はい。」
タ: 「今回は旧UWFをリアルタイムで見てるという、化石のような存在である(笑)品川さんと自分が、そこから振り返って、ついでにリングスまで総括しちゃおうというのがテーマでいいですか。多分止め処なく脱線し続けると思いますけど。」
品: 「基本的にはそんな感じで行きましょう。」
タ: 「あと裏テーマとして自分が考えているのは・・・実はバリバリのプロレスファンである自分がリングスの中で一番好きな時期っていうのが、ワーク全開の初期でもなく、ブレンド時代の中期でもなく、KOKに移行して完全ガチ興行になってからの後期なんですよ。」
品: 「ほぉ〜。それは初耳ですね。」
タ: 「それが自分でも不思議なので、今回は旧UWFから始まってそれらを全て観てきている品川さんとこのテーマで語っていく事で、何故自分が全ガチ興行の時期が好きなのか? という答えを見つけたいなと思ってます。
・・・という訳で、改めてよろしくお願いします。」
品: 「はい。よろしく。
まずリングスを語る上で、どうしてもその前身である「UWF」を語っておかないといけないかなぁ、と思っているんですけど。
リングスになる前に新生UWFと呼ばれた団体があって、それはもう当然、平たく言えば「前田団体」だよね。
で、そのさらに前身が猪木が来ると思いつつも、実はTV局から個人的なお金を引っ張るための駆け引きに使われただけで、用が済んだらすっかり見放されてしまった孤児の団体・・・まぁ旧UWFと呼ばれている団体があったと。
そして1年半で潰れて新日本に拾ってもらえたこの団体が、逆にムーブメントを呼ぶ事になってしまったことなんだよね。
この理由が、僕等はそんなに思ってないけど、やっぱりUWFっていうのは「プロレスは格闘技とは違うものですよ」とか「強いという事に価値があるんですよ」とか、「実は道場ではこんなことやってるんですよ」という形で、ファンに問い掛けをした団体だったと思うんですよ。やってることはプロレスだったけど。
で、そういう問い掛けの中で修斗とか、UFCとかそういうモノを生み続けた源流だと思うんだよね、間接的ではあっても。
その源流の中の元、本当の大元っていうのは、一人挙げるとするなら僕はやっぱり前田かな?と思うんだよね。
ところでタカハシさん、旧UWFについての思い出とかある?」
タ: 「旧UWFに対して言うなら、「プロレスに裏切られるのに疲れた人たち」の集まりっていうのは、後楽園ホールに関してはあったと思います。」
品: 「なるほど。」
タ: 「例えば、高田に女の子からの声援が飛ぶと、『その一言が高田をダメにする!』というヤジが飛んで、そのヤジに対して拍手が起こったりとか、『俺達にしか理解できないホンモノのプロレスを見ている』という選民意識みたいなモノがあったような気はしますね。なんか今にしてみると身体がかゆくなりそうな野次ですけどね。」
品: 「ラッシャー木村(*)も入ってるんですか? その中には。」
タ: 「そのころにはもう居ませんでした(笑)」
品: 「ラッシャー入っていたら選民意識の根底覆るんだけどな(笑)」
タ: 「ただ、マッハ隼人に関しては、少なからずとまでは言えないですけど、リスペクトはあったような気もしますよ。だからこそ引退試合の時、佐山から『飛んでよ、マッハさん!』と声がかかっても会場はそれを受け入れていましたし。」
品: 「他にはどう?」
タ: 「これは個人的なものではありますが、自分の中で「これぞプロレス」という意識はやっぱり無くて、『これもプロレス』ぐらいに、高校生ながら思ってたんですよ。全日本からブローディが新日本に移籍した時もドキドキしたし、ロード・ウォリアーズも単純に『スゴイなー』って見てましたし。」
品: 「じゃあ、その中で前田っていうのは、やっぱり一際光るものを感じた?」
タ: 「それは全然感じませんでした。」
品: 「えぇ〜〜何で?」
タ: 「やっぱり当時はあくまで佐山がリング内外両面でリーダーシップを発揮し、それに対して藤原という強烈な個性が対抗馬として存在するという構図で注目されていた団体だったと思うんです。」
品: 「ほぉ〜」
タ: 「だから品川さんが、『前田が源流だ』と言ってくれるのは、リングス・ファン・・・やっぱりリンオタなのかなぁ・・・として非常に嬉しいんですが、旧UWFから見ている立場からすると、やっぱり前田のやってきた事っていうのは、佐山が旧UWFでやろうとした事の焼き直し、ないしは拡大再生産、まあ興行的にやむなくチョイスした結果であって、前田が源流って言うのはちょっと違うというのが個人的な意見です。
『普通のプロレスやっていたら猪木さんには絶対適わない』と前田自身も発言してますしね。」
品: 「・・・で、その光るものを感じなかった(笑)、前田に行った流れっていうのは何があったの?」
タ: 「それはもう、やっぱり出戻り後(1986年)の新日本プロレスでの活躍は、本当に素晴らしいものがあったと思うんです。」
品: 「例えば?」
タ: 「当時絶対だった、それこそ神様的存在である(笑)猪木に噛みつき、リング上でも藤波辰巳(現・辰爾)やアンドレ・ザ・ジャイアント、ドン・中矢・ニールセン等との数々の試合で残した印象はとにかく鮮烈でしたね。」
品: 「うんうん、すごかった。」
タ: 「個人的に前田のベストマッチを選ぶとすると、多分その年の試合が上位5試合を占めてしまうと思うんですけど。」
品: 「ほうほう、要するに、当時のUWFから帰って来た時の前田の一連の試合が、ニールセンの試合とかも含めてだよね。」
タ: 「新日本プロレスとUWFがバリバリにやりあっていた頃が一番好きだって言う人は、自分の周りには結構多いんですよ。
ロープワークを拒絶したり、安易には技を受けないとかいう部分があったり、何か新しいものが、今までとはちょっと違うプロレスが出来てくるんじゃないかっていう予感が凄く感じられたって事と、もちろん前田・高田といった選手たちが体力的にピークであったって事もあるんでしょうけども、その2つが重ね合わさって一番面白かったっていう事があると思います。」
品: 「うん。」
タ: 「基本的には今でもプロレスは勝敗を争う事を目的としてリングに上がっている事になっているじゃないですか?もちろん全ての試合にではありませんが、だからこそアングルとして戦う理由や勝たなくてはいけない、負けられない理由を観客に提示して試合を行う。
だからUWFスタイルというのもプロレスを真剣勝負と見せるためのギミック。
例えばまあ、ロープには振らない、ミサイルキックなどは受けない。でキックや関節技などの「格闘技」の技術を多く取り入れた試合展開で、KOやギブアップでの決着。
新生UWFではCTスキャンを毎試合後撮るだとか、月1試合しかできないほどハードな試合だとかも売り物にしてましたよね。」
品: 「CTスキャンって高いんだよね、一回やると(笑)。実際やるわけないよね。」
タ: 「で、そういったモロモロがステップ台になって、パンクラスは本当に真剣勝負で行われるプロレス団体となった。もちろん大前提としてパンクラスの選手が「真剣勝負をやりたい」という希望があってのスタートですけれど、団体としてのセールス・ポイントとして、見る側に他社との個性を際立たせるという意味では真剣勝負性の高さもギミックであり、パンクラス(藤原組時代から)やリングスのガチへの移行もギミックチェンジみたいな感じが自分の中であるんですけど。何と言うか『本当にやらないともうお客さんが騙されてくれない』という感じが自分の中でありまして。」
品: 「はあぁー??」
タ: 「で、ビジネス上の選択として遅ればせながらリングスも真剣勝負になった、っていう感じじゃないかなぁと。」
品: 「はぁー、ギミックチェンジという見方をする。まるでプロレスなわけね。選手の希望ではなく客のためにガチやったわけ??」
タ: 「いやいやパンクラスはプロレス団体を名乗ってるじゃないですか(笑)。やってる事は大仁田引退後、ハヤブサをエースに据えたFMWが路線変更したのと変わらないと思いますけど。まぁFMWは失敗して、再び路線変更しましたけど(笑)。
他のレスラーとの個性の違いを引き立たせるためにギミックが存在するならば、団体が他社・・・ハヤブサFMWの場合は大仁田色ですけど・・・との違いを引き立たせるために選んだ方針も広義ではギミックじゃないかなぁ、と思ってるんですよ。
あとパンクラスは選手の希望だったと思いますけど、リングスの選手は果たして全ガチへの移行を熱望していたんですかねぇ。」
品: 「パンクラと同じで私は選手がガチやりたいと言ったんだと思うよ。前田はそう思ってなくても。ほかの団体(パンクラス)と差がついちゃまずいからと選手は思ってたんじゃないかな?。しょうがなくて前田もOKして。
WOWOWの関係で2ヶ月に一回になったから、それに拍車かけたんではないですかね?
いまさらワーク率増やしても、客離れはさらに加速したでしょ?意外と意思確認は選手任せだったんじゃないですかね?前田?
この件真相を後日回顧録誰かに語ってほしいねぇ。成瀬あたりに・・・。」
タ: 「試合より日記の方が面白いと言われている成瀬に(笑)。」
品: 「まぁでもそういうことよりギミックなんて考えてる余裕なかったと思いますよ。当時のリングスはそれくらい「死に体」じゃなかったですかね? 藁をもすがる気でやったのが KOKじゃなかったんでしょうかね? しっかり経営戦略立てるような団体とは思えんですよ。思い付きでしょ?それが当たるときもあるし、外れるときもあるし・・・・・」
   
編集部注: 実は初期UWFにはあのラッシャー木村も在籍していた
次回へ続く)

<先週見たビデオ>

スミスのベストマッチトップ5を決めるため何試合か見る。最初はマレンコ組との試合を1位にしたのだけれど、見直した結果順位入れ替えとなった。あんまり印象になかったスミスとの最後のシングル(全日本ではやってないはずなので)は、やっぱり面白くなかったな。あとキッドが記憶してるほど膨れ上がった身体ではなかったのも意外と言えば意外。棚橋の方がよっぽどアレな感じだな。
同じVに入っていた革命軍団対国際軍団の6人タッグもついでに見るが、長州はともかくラッシャー木村だけが唯一現役というのも不思議な話だ。試合はノーコンテストだけど、革命軍団のコンビ技の数々と長州の躍動感がとにかく印象的。
この試合はカーンの危険な角度のバックドロップで有名なのだが、今でも覚えているのが東スポでの木村のコメントの「今日は平吾(浜口)がどれだけ耐えられるかをテストした」。そりゃないだろ・・・。

<先週見た興行>

「スマックなんて見てる場合じゃないね」と言った舌の根も乾かぬうちに、藪下再デビューと篠原制裁マッチを見るために6・1ディファ大会に行ってきた。
その石原対篠原はグラウンド限定ルールで、それに安心したのか篠原全くやる気ナシ。試合後「いやぁ、参った参った」とばかりにセコンド陣と笑ってる姿には呆れるばかり。ナナチャンチンも今回はグラウンド限定ルール。
これまた相手に対して失礼な演出と試合でヒジョーに気分を害する。
プロとは言え、出場選手はアマ気質の人ばかりというのがスマックのスタッフはわかってないみたい。
この2人を使い続ければ起こり得るだろうトラブルで、痛い目に遭うまでやってみれば?
セミは渡邊売り出しのためかちょっと女子高生には気の毒なマッチメーク。メインは緊張感ある好試合で、3−0の判定も9対8が3人、という感じじゃないかな。でも藪下が翌日2試合やるのは折り合いがついていないのか、ガチの意味がJ'dフロントは理解できていないのか?
選手ではなく運営側に嫌悪感を感じる意味で、キングダムの下北興行を思い出した。





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