「メモ8の総合格闘技・言いたい放題」〜第3回 パンクラスの巻
■投稿日時:2002年1月5日
■書き手:メモ8(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

 新年とは言っても、色んなところで挨拶しまくって、もう挨拶は飽きたよ。などとは言ってはいけません。挨拶こそが人生の潤滑油、高田道場最強。いや、なにノブ最強の挨拶教育はホント凄いらしんだよね。こういうことからも日本最強の道場であるところの、高田道場システムの素晴らしさの一端が理解できますね、ということで、本年もよろしく頼むぞ、うん。

 では、先週やる予定だったパンクラス。関連企業のDEEPに関しては、キチンと別項で扱う予定だけど。

 まずは自慢から始めさせてもらう。

 去年のパンクラスに対して、専門誌が「上昇気配」と報道し始めたのは、6月のホール興行あたりからではなかったか(バックナンバーを引っ張り出して確認しているわけじゃないから、確かではないが)。おれは、この段階で、パンクラスの上昇を、既に既成事実として扱っている。

 いったい何見てるんだろうねえ、専門誌のライターさん方は。パンクラスの上昇気配は、実は一昨年の半ばから始まり、昨年の一発目で、既にハッキリしていたのだ。

 そもそも、格通を始めとして、最近はかなり評判いいゴン格ですら、興行を総体として捉えようとせず、相変らず、試合単体を切り取っては、ああだこうだと言うばかり。紙プロやSRS−DXは、座談会のカタチで、全体を語ろうとするものの、出席者のキャラに頼った感想の垂れ流しで終わってる。勿論、それが必ずしも面白くないとは言わない。が、少なくとも、興行を興行として真っ当な批評をしようとするメディアは皆無だ。ったく情けないったらありゃしない。より興行論的なアプローチが必要な筈のプロレス誌も、この傾向は似たりよったり。

 優れたジャーナリズムってのは、大江健三郎言うところの「炭鉱のカナリア」であるべきだ。おれはカナリアだが、専門誌はのろまな亀だ。悔しかったもう少しまともな批評をしてみろ、ほれほれ。

 と前置きはこのくらいにして、本題に入る。

 修斗の問題が「食えないという悲劇」であるとするならば、パンクラスの問題は「そこそこ食えてしまっているゆえの悲劇」。つまり、ぬるま湯って奴だね。

 よく「パンクラスの日本人の重軽量級の充実ぶりは凄い」なんてこと言うけど、今更何言ってんのという気がする。修斗に対して「ライトやウェルターが充実している」なんて言うのが白々しいのと同じで。そもそも、プロレス系から初の総合系全ガチ団体として誕生して既に8年、ずっと重量級専門にやってきて、それで全然充実してなかったら、そっちの方が大問題だ。いったい8年も何やってたのって感じで。

 まずは、上の方の名前をざっと挙げてみる。

 菊田、近藤、高橋、美濃輪、1ランク下に、渋谷、山宮、佐々木、大輔といったところか(チームグラバカは外してあります)。菊田と佐々木は、別にパンクラスで強くなったわけじゃないし、高橋は元々強かった(ムラ有り過ぎだが)。近藤と美濃輪の現プロパー2大エースは、どう見たって突然変異というか、どこに居ても強くなっただろうし、んじゃ、結局パンクラスは誰を強くできたんだろう。

 まあ、同じU系でも、リングスは棚上げして考えているわけだが、菊田が方法論をコツコツと考えて続けて作り上げたグラバカと比べるのは可哀想だとしても、U−FILEあたりと比べてみてどうだろう。DEEPあたりに出ているU−FILEの新人くん達の成長力を見てると、ヒカルくん(個人的にはモノ凄く期待しているのだが)あたりの成長しなさっぷりは、もう悲しくなるほどなんだよな。

 んで、何でそうなってしまうのかと言えば、これはもう、ヒカルくんの上の世代というか、伊藤とか窪田とか大介とか謙吾とか、あの辺のとにかくしょっぱい連中のやる気のなさと戦略性のなさが、原因ってのは、もうハッキリしているのであって。

 大介は今年はハッキリと成長が見えた。が、元々チカラはそこそこあるように見える伊藤は、後はやる気次第って感じだが、相変らずそのやる気が感じられないし、窪田とか謙吾とか、もう舐めているとしか言いようがない。

 リストラすべきだ。そうじゃなくても、美濃輪と窪田には、少なくとも10倍位の給料格差があってしかるべきだ。

 グラバカや、GCM勢の登場が意味を持ったのは、要は、このやる気のないプロパーに対して刺激を与えたということに尽きる。

 が、戦略性のなさの方は、相変らずというか、大問題のまま。菊田のセコンドと、伊藤や渋谷や山宮のセコンドを比べてみると、もう雲泥の違い。山宮なんて「呼吸して」以外のアドバイスしているのを見たことがない。かなり前に、六本木じゃみんな北岡にグラウンドを習ってるなんてことを、シャレのつもりで書いたが、最近これがシャレじゃないことに気がついて、くらーい気持ちになってしまった。

 恐らく、プロレス団体上がりの道場論で、基礎体力は凄い筈なのだ。なのに技術が全然ついてこない。もう悲しいばかりだ。パレストラ上がりで、柔術の青帯で優勝できない北岡にグラウンド習ってる状態で、何が「充実ぶりは凄い」んだろう。

 高橋が悪い。諸悪の根源だ。

 元々のレスリング技術に加えて、気迫と打撃だけで勝ててしまう高橋が、実質トップだったからこそ、あの戦略でUFCの金網の中でイズマイウに勝ってしまったからこそ、それ以外の戦略性が、パンクラスには何も生まれてこなかった。ハイブリットレスリングではなく、ハイブリットボクシング。山宮、Wダイスケ、そして最近では何を勘違いしたか北岡までやり始めちまった。あの方法じゃ、肝心のレスリング力で勝てない相手には、何も出来ない。

 かくして、パンクラスは、近藤という、天然癒し系のファイターと、美濃輪という、その裂帛の気迫で負けても観客を納得させてしまう不思議な才能を持ったプロレスラーという、2人の突然変異体と、菊田という確かな技術を持ちながらも「負けてもこっちの方が客沸かせてるなんて言われてもねえ」などと、美濃輪への僻みを露骨にクチにしてしまう故に、人気的には恐らく突き抜けられない、フォースの暗黒面に落ちてるファイターを中心にして、回っていくしかないのである。

 プライドに参戦するそうだ。尾崎社長の、その性急な蛮勇さには、拍手を送りたい。さすが、顔がちんちんに似ているだけじゃなく、ちんちん自体がデカそうな大胆さ。

 カリスマ美濃輪と、その信者達というコンセプトなら、後楽園ホールならしばらくは熱気ムンムンの興行を打てるにも関らずの、この冒険が凶と出るか大凶と出るか最凶と出るか。…あれっ?

 対抗戦がいつまでも続くわけじゃないことは誰もが知っている。シュートの世界において「名勝負数え歌」は有りえない。だからこその、グラバカとその他外様の参戦に続く、次の刺激なんだろうとは思う。

 でも、これ、プライドと同じなんだよなあ。いわゆる焼畑農業。

 プライドは不思議なまでの資金力で、自分で選手を作らなくても次に燃やす畑を見つけていけてる(少なくとも現時点では)。が、パンクラスはどうだろう。グラバカによって手駒は増えたものの、全部自前だぜ。全部燃え尽きちゃって、見渡す限りの焼け野原なんてならなきゃいいけどなあ。結局は、マッチメイクを巡る政治力勝負になっちゃうような気がするが。

 まあ、お手並み拝見なんだが。

 というわけで、提言する。

 照明にもっとカネかけろ。

 あまりにカネをケチっている上にセンス悪過ぎだから何とかしなさい。スタッフが悪い。ホントに新しい観客層を獲得していこうとするなら、こういうところが大事だよ。照明に象徴されるモノが興行における基本なんだから。

 って、パンクラスらしくセコい話になったところで、今週はおしまい。



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