ピクミンの『も〜、こわい』 第5章:『食べろ!?』之巻
■投稿日時:2001年11月9日
■書き手:ピクミン (ex:ピクミンドットネット

食べろ!

いずれにしてもピクミンの科学図鑑のみんなはプリオン病に関して医学部生レベルの知識をもう手に入れたわけだ。
だから、安心して秘密を公開できる。
マスコミも農水省も隠しているが、実は日本ではこれまでも毎年数人単位で狂牛のために死んでいるのだ。
この農水省の資料の6pをみてくれ。

毎年数人が、とち狂った牛に突かれたり踏まれたりして死んでいるのだ。確かに狂牛病とは違うよ、しかし人はリスクというものをどう評価するかという点で面白いデータだ。日本ではまだ一人も狂牛病感染者は確認されてない。そしておそらく今後も、多くて数人しか狂牛病患者はでないだろう。プリオンで狂った牛よりも、いらいらして切れた牛の方がよっぽど危険なのだ。牛と接したことがある人なら誰でも分かると思うが・・・

ここでもう一回狂牛病の牛のどの部分が危険かを確認しよう。中枢神経(大脳小脳脊髄)・神経節の神経細胞、目、扁桃や回腸などのリンパ装置にあるfollicular dendritic cell(濾胞樹状細胞)と呼ばれる細胞、骨髄にPrPscが発現するとされる。骨髄は実際のところどれくらい発現するかは定かではない。これらは食べると危険だろう。
実際には筋肉の中にもごくごく少量のPrPscがあっても不思議ではないが、筋肉には神経細胞はないし、健康な牛なら筋肉に濾胞樹状細胞も殆どない。一般に感染症というのは1ヶの病原体さえあれば成立するのではなく、ある程度の量の病原体がないと感染の成立は極めて難しい。普通に肉を食べて狂牛病に感染するのは至難の業だ。

現在の検査規定では、エライザ法でスクリーニングされ、疑陽性であればウェスタンブロッティングと組織染色で確定させる。エライザ法は簡便で速いが、疑陽性が出やすい。ウェスタンブロッティングでは電気泳動でプリオンのサイズを検討するので疑陽性は殆どない。そして組織検査は実際の病変そのものの検査だからもっとも確実だ・・・どうだ?完璧だろ?エライザで広く拾って、後で確実に決定する。 (注、疑陽性:真の陽性を見逃さないために広めの範囲を取って検査に引っかけるために、本当は陰性のものを陽性として拾うこと。検査で見逃さないための安全域)しかもいまは全頭検査だ。

肉を食べただけでは感染しない。ホルモンはテッチャンを我慢するだけでいい。脳を食べる奴はいない。ましてや、検査方法は完璧で、疑陽性の段階で出荷をやめるのでPrPsc入りの牛肉が口に入る可能性は殆どない。
牛は肉になったときよりも生きているときの方がよっぽど危険なのだ。

食べるな

ところがだ。
Dr Raceらの報告(Long-term subclinical carrier state precedes scrapie replication and adaptation in a resistant species: analogies to bovine spongiform encephalopathy and variant Creutzfeldt-Jakob disease in humans:.J Virol. 2001 Nov;75(21):10106-12)によると、彼らはPrPscを体内に保持する非発症・健康保菌者の状態の実験ネズミを作成することに成功した。そしてこのネズミからは従来の検出法ではPrPscを検出できない、しかしそのネズミの屍体は感染性がある。2001年11月の最新の発表だからWHOも農水省も知らない(と言うか知らない振り)。これはどういう事かというと、農水省の設定した検査法は2001年10月までは信じるに足る理由があったが、11月以降はもう信頼性はないということだ。従来の厳しい検査法で陰性となっても、健康保菌者でないとは言い切れず、感染性がないとも言い切れない。

次、Dr. Ironside等の狂牛病検査法のレビュー(Laboratory diagnosis of variant Creutzfeldt-Jakob disease.:Histopathology. 2000 Jul;37(1):1-9. )によると、PrPscの蓄積は症例と部位によって大きな差があるから、繰り返し何カ所も検査しないと陽性とできないことがある(陰性とは言い切れない)とのことだ。なんてこったい!!農水省は疑陽性の心配しかないようなことをいっているけど、偽陰性というのがあるんじゃないかああ!

ほれ、ちょっと食べるのが嫌になっただろう?

食べさせるな

さて、ここでもう一つ大事なことを明かさねばならん。
プリオン病なんて存在しないのだ・・・・
正確に言うと、プリオン病は勿論存在するけど、プリオン病という名前が本質を見えなくしている。
狂牛病も存在しない。いや存在するけど、狂牛病と言う名前も本質を見えなくしている。
プリオン病とか狂牛病とか言うと、『異常プリオンを持つ牛の肉を食べることによって起こる病気』だという、正しい誤解を引き起こしてしまう。
そう、正しいけど本質には達してない。

この病気の本質は肉骨粉なのだ。肉骨粉という決して自然界にはあり得ない食餌の形式が引き起こした病気である。肉骨粉がない限りこの病気は広がりようがなかった。

ヒトの散発性CJDを例として考えれば、肉骨粉がなくてもおそらく何百万頭に一頭くらいの割合で狂牛病牛は発生するだろう(トサツせずに死ぬまで飼えば)。しかし、4章に書いた自然発生するプリオン病(sCJDやfCJD)の話を思い出していただきたい。発生するのは年寄りだ。一つの脳細胞に何らかの偶然で発生したPrPscが次々にPrPscを生み出しながら脳中に広がるにはかなりの年月が掛かる。
ところが、外来の感染牛の脳のPrPscを食べた場合は、最初から大量の感染性の高いPrPscに曝露されることになる。これなら、若いうちにすぐプリオン病が成立するだろう。
さて問題です。若い牛と年寄りの牛、肉になるのはどっち?
肉牛を年寄りにして不味くなるのを待ってから売るバカはいないな。年寄りの肉牛なんていないのだ。
要するに肉骨粉がないと病気が発生もしないし、広がりもしない。狂牛病をプリオン病と呼ぶのは間違いじゃないが、本質は違う。肉骨粉病なのだ。

さて、農水省はブタへ肉骨粉供給再開を認めた。(1)にブタのプリオン病が知られてないこと。(2)にWHOが狂牛病はブタには移らないと認定していること。
この2つを理由としている。
しかし、3つの理由でこれは愚かである。
(1)に牛のプリオン病はたった15年前まで知られていなかったこと。今知られてないことは理由にならない。動物園の虎やミンク、人、鹿、ネズミ、ハムスター、ヤギ、羊、サルが経口的にプリオン病に感染する。・・・ブタが例外だと思う人がいれば、mentally-challenged(注:politically correct word)としか思えない。
(2)にWHOが何頭のブタの実験を根拠としているのかは今は分からないが、イギリス人数千万人を使った天然の実験ですら、15年をかけて120ほどのnCJDしか出ていない。このイギリス人の命をかけた実験に匹敵する頭数のブタを使った実験が行われたとはとても思えない。大体数年前までは狂牛病は人には移らないとされていた。数万頭に一頭ブタが狂牛病に感染するだけで、それがリサイクルされればあっという間に狂牛病はブタに蔓延するだろう。勿論狂牛病のプリオンじゃなくても、プリオン的な働きをする感染性因子であれば何でもかまわない。
(3)に実際に硬膜移植でブタへの狂牛病の移植に成功している。

今日になるか、明日になるか、100年後になるか、プリオンになるか、他の感染性蛋白になるかは分からない。しかし、ブタにも必ず肉骨粉病は発生する。このまま続ければ。
そのことだけは保証しよう。
食べさせてはいけない。
プリオン病がブタに移った場合どんな症状になるのか、どんなは感染性を持つのか?
それがさらに、人に移った場合どんな症状になるのか、どんなは感染性を持つのか?

そんなことは誰にも分からない






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