超・週刊プロレス 第十一号「大仁田が開けた新たな風穴」
■日時:2001年8月15日
■書き手:愚傾(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

 はい。どうも。愚傾です。

 遅れに遅れちゃってどうもスミマセン。ちょっと夏バテしてました。

 で、まぁアレですね。新日本の……というかプロレス界の夏の本場所・G1クライマックスも終わっちゃったわけですけど、実は手前はまだ決勝戦の映像を見てないんですよ。というのも、12日は神戸の田舎に墓参りしてたんですよね。そいでビデオの録画をし忘れちゃった、と。いや非常に情けない話なんですが。

 今回は当初の予想通りというか、まぁ永田が優勝したわけですけど、それについての意見は映像を見てからにします。まぁ9月、10月に向けて、また新たな動きもあるでしょうし。G1を振り返るのはそのときでも決して遅くは無いはずです。

 というわけで今週の本題は大仁田厚(以下、アツシ)です。

 ちょっと前ですけど、TVでやってましたねぇ、初登院の模様。大橋巨泉とか舛添要一とか田嶋陽子といった有名候補の初登院よりも、ある意味注目されてたんじゃないですかね。現役大学生ということで学ランで登院したりしてましたし。手前は今回の選挙では比例代表区は自民党以外に投票したんですけど(小泉首相の靖国公式参拝には反対なので)、当選したからには頑張って欲しいです。まぁアツシを慕ってきた大仁田興行の若い衆(会場さんとか負死鳥カラスとか)はこれからどうすんだろ?って疑問も無いでもないですが。

 さて、今回の当選で、アツシは(日本で)史上三人目の現役国会議員レスラーとなったわけですけど、この快挙は猪木や馳といった先人のそれとは多少意味合いが違うように感じるですよ。いや世間的に見れば三人とも「プロレスラー」という括りでいっしょくたにされちゃうわけですけど、プロレス界にとってはそういう文法で語るわけにはいかない。猪木はともかく、馳とは確実に違う。佐山や堀田、またかつての高田といった落選候補が借りに当選していたとしても、やっぱり同じじゃぁないんですよね。ことアツシに関しては。

 ここで話は急に飛びます。

 あの、貴兄は「プロレスが世間から認められる(=メジャーなジャンルとなる)」には、どうすれば良いと思いますか?

 いろんな意見があると思うんすけど、行き着くところは大別して二つになるんじゃないですかね。一つは「WWFみたいにショーであることをカミングアウトすべき」というのと、あるいは「プロレス特有のアバウトな部分を排除して”スポーツ”として定着させる」という論調。

 前者に関して言えば、まぁ「我らが」と言いますか、あの田中正志氏の草の根活動が実を結んだのか、日本でもそこかしこでこの論調に対する賛否両論を見かけるようになりましたね。それはともかく、今回手前が取り上げたいのは後者のほう。つまりプロレスも野球だサッカーだ相撲だボクシングだK−1だみたいに「競技」として確率せい、という意見のほうなわけで。

 当コラムを読んでる人の中には「いまどきそんなこと言ってるヤツっているの?」とか思った方もいるでしょうけど、これがいるんですよ。実際に。新日系のファンに多いように見受けますね。特に「昭和の新日でストロングスタイルがどうたらこうたら」とか言ってる連中。彼らは本気でこう考えてるみたいです。根拠を示せと言われたら……まぁ適切なBBSがあるんですが、そちらに対して特に思うところがあるわけじゃないのでやめときますけど、まぁそういう論調が幅を利かせる(利かせていた)BBSが実際に存在します。

 まぁようするにプロレス特有の不透明決着や、流血だの反則だの乱入だの、そういういかがわしいモノを排除しないことには、いつまでたっても野球やサッカーはおろか、K−1やPRIDEにだって追いつかないよという考え方が実際にファンの間にあるわけです。で、それは選手の間にも浸透してたりもするわけで、さらにはマスコミに向かってそういう発言をしちゃってる選手だっているわけです。藤波、三沢という日本が誇る二大メジャー団体の社長様のことなんですけど。

 おそらく、藤波と三沢の脳裏には「UWF」という名前がチラついてるんじゃないかと思うんですよね。不透明決着、流血、反則、乱入だのを排除したことで「新プロレス」というジャンルの扉をこじ開け、そして社会現象を巻き起こした怪物団体ですよ。前田日明を論壇に立たせ、高田延彦をニュースキャスターにし、そして船木誠勝をハリウッドスター(若干誇張アリ)に仕立て上げたあの団体です。
 あの頃、社会現象となったUWFに対し、新日本と全日本は「冬の時代」といわれてたわけじゃないすか。その頃に染み付いたコンプレックスというか、メジャーとなるにはコレが必要なんだ、という感覚がいまだに拭えてないんでしょう。
 この「メジャー」と「スポーツライク」を結びつけたのはUWFだという説は、手前は絶対的に正しいと思うんですよね。くどいようですけど、その論調はいまでもマット界に根強く残ってます。

 で、手前は何が言いたいかっていうと、結局、「スポーツライクにしないことにはプロレスはメジャーにはならない」という論調は、今回の「大仁田当選」というニュースで完全に崩壊したと思うんですよ。

 だってそうじゃないですか。ヒザが壊れているためアスリートとしては最低の評価しかくだせないアツシが、有刺鉄線だの金網だの電流爆破だのに喜び勇んで飛び込み、無益な血を流し続けたアツシが、反則・乱入なんでもありのプロレスしかやってこなかったアツシが、しまいにゃ「オレはウソつきじゃーっ!」と公言してしまったアツシが、あろうことか国会議員になっちゃったんですもん。スポーツライクとか、そういう言葉とは対極にいる人が”国民”に支持されたわけですよ。グゥの音も出ないほどの「結果」ですよね。

 綺麗なものが勝って醜いものが負けるとか、またその逆のパターンとか、そういう話じゃないんですよね。結局、世の中の多くの人々に支持されるものは「美醜」の問題じゃなくて「面白い/面白くない」の話であることが、図らずもハッキリとしてしまったということですよ。

 手前は今回のアツシの当選が、プロレス界にとっての「転機」となって欲しいと願います。そろそろ気付いて欲しいですよね。一部のファンも一部の団体も。K−1は競技として、また組織が「美しい」から勝ったわけじゃないし(K−1組織じたいが美しいだなんて口がひん曲がっても言えませんよ)、アツシにしたって自らの「醜さ」をウリにして勝ったわけじゃないんです。両者とも、世の中の人々に訴えかけるだけの「面白さ」と「バイタリティ」があったから勝ったんです。

 皮肉な話ですが、今回の選挙でUWFの象徴・前田日明は、元週刊プロレス及び格闘技通信の杉山氏の立候補を応援してました。しかし、残念ながら杉山氏は、今回の選挙では落選という結果に終わってしまいました。

 神社長の「チケット持ってますか?」に端を発した「UWFvs大仁田」の十年戦争は、ここに完全決着を見たと思ったのは手前だけでしょうか。

 そいではまた来襲。

 今回は一週飛ばした上に、さらに公開が一日遅れてしまい、毎回楽しみにして頂いている方には誠に申し訳ありませんでした。





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