超・週刊プロレス 第二号「秋山を狙う甘い罠」
■日時:2001年6月6日
■書き手:愚傾(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

 はい。どうも。愚傾です。

 なんだか先週号の反響が大きくてちょっと戸惑ってます。まぁ面白いこと書いてる、っていう自信はあったんですけど。それでもこれだけ色んな人に「良かったよ!」って言ってもらえると、嬉しい反面、プレッシャーかかる部分もありますよね。こう見えてデリケートなほうですから。どう見えてるのかわからないですけど。

 先週は火曜日に大阪プロレスの後楽園大会を観戦してきたんですよ。仕事がアレしたのでちゃんと見れたのはセミとメインだけだったんですけどね。面白かったですよ。mayaさんの観戦記が流石というか非常に素晴らしい出来栄えなので、いまさら手前が書くことも無いんですけど、強いて言えばツバサが格段に良くなってたことと、メインに登場した獣神とサムライが「ルード」を思いっきり楽しんでたってとこが印象深かったです。

 あの、大阪プロレスの何が良いかっていうと、会場の雰囲気がとにかく「ふわっ」としてるんですよ。一回、大阪の光明アムホールっていうところで観たことがあるんですけど、そのときは休日ということもあって子供連れのお客さんが凄い多かったんです。
 勿論、ガキが多けりゃそれでいいのか、っていうとそういうわけでもないんですけどね。そもそも手前は子供が大っ嫌いだし。あんなものは「飯も一人で食えない」「衆目の前でも自由闊達に奇声を上げて走りまわる」という、言ってみれば社会不適合者でしかないですから。まぁそんなことはどうでもいいか。いい雰囲気っていう話。

 本来プロレスっていうのは、やっぱりまぁ「闘い」を見せるわけですから、雰囲気だって殺伐としがちなものじゃないですか。で、殺伐なのはそれでいいんですけど、やっぱり2時間3時間もの間、ずーっと殺伐としてるのも疲れるちゃぁ疲れるわけです。「そのために休憩時間があるんじゃん」と言われたら、そりゃまぁそうなんですけど。個人的には「試合中にもホッとできる瞬間」があってもいいと思うんですよ。

 で、その「ホッとできる瞬間」が絶妙に配合されてるのが大阪プロレスの最大の良さだと思うんです。まぁ、この日はセミとメインしか堪能できなかったんで「ホッとできる瞬間」を感じることが少なかったわけなんですけど、この大会を観戦した知り合い数人に聞いてみたところ、やっぱり全体を通して「ホッとできる瞬間」は多かったみたいです。「寒っ!」と思う瞬間もままあったみたいですが。

 居心地の良さ、っていうんですかね。手前は最近そういうのを感じさせてくれる団体と興行を求める傾向にあるみたいです。大阪プロレス以外の団体で言うならJd’と修斗ですかね。この二つの団体(?)の興行は本当に居心地がいいです。今回は他に書かなきゃいけないこともあるので詳しくは別の機会に譲りますけど。

 というわけで、今回の本題。

 もう今晩ですねぇ。新日本の武道館大会。個人的に、メインの藤田vs永田というのは「とてつもない名勝負」になりそうな予感がします。あくまで予感ですけどね。根拠も無いですし。

 で、それと同じくらいに要注目なのが「秋山視察」です。新日本参戦をブチ上げた秋山準がついに行動に移した、と。それに対して、新日本側はどういうリアクションを起こすか、と。

 思うんですけど、NOAHファンの人たちは複雑な心境なんじゃないでしょうかね。楽しみな反面、不安も大きいっていうか。まぁ手前もかなりのNOAHファンなんですけどね。立ってる位置は相当に極左的だと思いますが。

 NOAHファンが不安に思うであろうことっていうのは、大別して以下の二つです。

 ・秋山の実力は新日本でも通用するのか?
 ・秋山はNOAHを離れて新日本に取り込まれやしないか?

 ま、前者に関しては大丈夫でしょう。手前はこれっぽっちも不安に思ってません。
 何故かっていうと、いまの日本マット界で「心・技・体」の三要素が一番充実してるのが、手前の見立てでは秋山です。自分がNOAH寄りだということを考慮しても、これはもう間違いないと確信してます。武藤敬司というのも「心」と「技」が突出してるけど、残念ながら体の部分に相当ガタがきてますし。
 あと、意外に思うかもしれないですけど、新日本は案外「外様」「外敵」に対して優しいです。失敗のほうばっかりクローズアップされがちですけど、基本的に扱い方は上手いです。その辺は全日本〜NOAHのほうがよっぽど厳しいし、扱い方も下手糞です。

 さらに言えば、「秋山が新日本のリングに上がる」ということは、「日本テレビとテレビ朝日の間で”星取表(=ブック)”の内容が合意に達した」ということです。NOAHと新日本だけの問題であればこの件はとっくに解決してるはずです。どういう意味かわからんという人は、90年4月の新日本東京ドーム大会を思い出してください。あのとき行われた「全日vs新日」三試合のうち「全日組が勝った」二試合はノーTVです。しかし「引き分け」となったベイダーvsハンセンの外国人頂上対決はTV放映されました(まぁ外人選手というエクスキューズも多少はあったでしょうけど)。で、単発ではなく継続的な流れになりそうな「秋山参戦」がノーTVで済むわけはないですよね? ということは……まぁ、そういうことです。

 だから、秋山は【大丈夫】です。NOAHファンの人は【安心】してください。

 むしろ、心配なのは後者のほうです。秋山が「NOAHを離れる」「ゆくゆくは新日本のコマの一つとしていいように使われてしまう」という危険性は充分にあります。言うまでもないですが、キーワードは「独裁主義者 長州監督」です。

 長州が秋山を欲しがってる可能性は極めて高いです。まず、秋山を獲れば、目の上のタンコブであるNOAHはかなりのダメージを被ることになりますからね。それに、「アマレス出身」「大学の後輩」「対抗勢力NOAHの若大将」「自分の若い頃を彷彿とさせるような言動」……ね? どこを取っても長州が好きそうなタイプじゃないですか。秋山って。
 それだけに、長州監督がこの件に関して「無口」を貫いてるのが手前は不気味でしょうがないんですよ。
 おそらく、マスコミに向かって言葉を発しないぶん、秋山に対しての「甘い言葉」というのを今のうちから用意してると思いますよ。したたかな人ですから。で、秋山がそれにグラつかない保証は残念ながら無いです。なんせ、秋山の外交術はまったくの未知数ですから。

 ここでポイントとなるのは、今のところ「我関せず」の姿勢を言外から匂わせている猪木です。

 猪木は先のPRIDE14の後、「俺はよく知らないんだけど、秋山といういい選手が……」というコメントを残しています。
 まぁこの「よく知らないんだけど」というのは正直なところだと思うんですよ。猪木は「自分に擦り寄ってこないアマレス上がり」には殆ど興味を示しませんからね。かつて付き人だった石澤や藤田が例外なんであって。

 しかし、そんな猪木が「秋山だかなんだか知らないけど、もっと他に目を向けなくちゃいけない問題があるんじゃないのか?」とか言い出したとしたら、これは「水面下で長州が動いてる」ことの証左です。長州とのパワーバランスが崩れることを猪木が恐れている、と読み取るべきです。つまり、NOAHファンにとっては「危険信号」です。で、そうなる可能性は極めて高いと思います。

 だから、「猪木が黙ってる」ということは「長州が動いてない」ということです。その間はNOAHファンは【安心】してていいでしょう。
 しかし、「猪木がゴチャゴチャ言い出した」ときは、ハッキリ言って【ヤバイ】です。NOAHファンはイザというときのために覚悟を決めておいたほうがいいです。

 勿論、秋山を「NOAH<新日本」という考えに向かわせるのは「長州の甘い囁き」とは限らないです。「NOAHでは得られない刺激」を求めたつもりが「NOAHで得られる以上の刺激」というのを新日本のリングに見出す可能性だってあるわけですから。

 どっちにしろ、手前にできることは、秋山のやろうとしていることが本人の満足の行く結果になって欲しいと願うこと。
 そして、その結果がNOAHにとっても素敵な結果になることを信じて祈るということ。
 そのことを踏まえた上で、秋山準を一生懸命応援するということ。

 我々ファンにできることっていうのはそれだけなんじゃないですかね。

 とにかく、今晩、武道館で何が起こるのか? そして誰が何を喋るのか? 要注目です。

 そいではまた来週。





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