未来さん追悼 JWP後楽園
■団体:JWP
■日時:2005年9月18日
■会場:後楽園ホール
■書き手:凸ユーレイ

 ホールに上がるエレベーターで、倉垣の妹さんとおそらくその友人の方達、と一緒になる。
 入場したら、倉垣パパ(おとう)も発見。ほか、元・アキュート冴の佐井さんが売店をお手伝い、玉田凛映さんも客席に。

 四方を向いたパイプ椅子に、何点か在りし日の写真が額に入り置かれたリング上。未来さんの追悼セレモニー。出場全選手がリング下に整列、10カウントゴング、リングアナのコール。テーマ曲だったDo As Infinityの「フォーザフューチャー」が流れる。
 無数に飛んだ紙テープを片付けに出てきたAKINOの表情が、一見、不機嫌そうで、怒っているようでもあり、やるせなさを押し殺しているようでもあり。この日彼女は、試合は組まれていなかったが来場。


1.○江本敦子(M’s)(12:52ブレーンバスターから)×木村響子

 木村と未来。足掛け2年にわたる因縁を引きずり、未来の復帰後も、JWPや息吹のマットで諍いを繰り返していた2人。
 昨年の対戦成績は木村の0勝2敗、直前のタッグによる前哨戦は、どちらもお互いの間で決着して1勝1敗。いよいよ組まれたこの大会でのシングル戦、その数日前に未来が突然の事故死。
 辛い代役に指名されたのは、かつてAtoZで未来の同期であり、またふたたび近い場所にいた江本。

 江本のセコンドに、M’s勢に加えて吉田万里子。ただ、木村のエスケープを吉田がロープを押して助ける場面もあって、双方ともを見守っているようであった。
 この日、後楽園では昼にNEOの興行もあり、吉田・木村組が出場、未来の技をいくつか出したそうだ。この試合でも、江本と2人で水平チョップの応酬、木村は卍固めも。

 やはり故人を偲ぶいろあいの試合になるかと思われたが、それだけに終わらず。木村のガッチリ食いこませる首4の字を、江本が身体を左右に振って裏返し、ヒザで相手の足首を極めて、隙間を作って首を抜くという、理詰めの脱し方を見せるなど確かな技術を示したり、江本のブレーンバスターをこらえた木村がフロントネックロックで、キムラロックIIIを江本がクロスフェース・オブ・未来で、江本の「ミライー」と叫びながらのスマッシュマウスを木村が逆さ押さえ込みで、それぞれ切り返すなど、驚きを伴う攻防が見られたり。


 江本のマイク「未来がいなくなっても私らは前に進まなきゃいけないんだよ!」。
 木村「これからも、未来と一緒に戦って、笑って、泣いて、…未来と一緒にトップを目指すから! 今日はあんたに負けたけど、また何回でも試合して勝ってやる!」。
 5日後、9・23息吹のメインも、予定されていた未来のところに栗原あゆみが入り、木村、江本、栗原、桜花由美によるタッグマッチ(組合せは当日抽選)である。江本の言う通り、皆、前を向かなければならないし、欠場中の現JWPジュニア王者渡辺えりかに挑戦指名を受けている江本にとっては、木村は破らなければならない相手でもあった。また江本は、これまでシングルで当たったことがなく、大切に取っておいた木村との初対決が、こうしたシチュエーションで実現してしまったことに、なんとも残念で悔しく複雑な思いだったようだ。

 挫けそうになる気持ちを堪えて試合をつとめ、強張った顔つきのまま握手した後、抱き合う木村と江本。その瞬間、張り詰めていたものが決壊したのだろう、2人とも表情がわっと泣き崩れる。自分も目頭が潤んでしまう。


2.JWPタッグ挑戦者決定戦
ジャガー横田、○GAMI(15:04フェースロック)×KAZUKI、宮崎有妃(NEO)

 未来さんの件について、プレスリリース等を一手に引きうけているGAMI。やはり表情が曇っているようにも、何かを押し殺しているようにも見えたが、この人はいつもポーカーフェースで変わらないといえば変わらない。流石にベテランらしく、いつもの、笑わせる仕事をしてくれた。

 ゴングが鳴っていきなり、宮崎の腕に噛み付いてリストを取り、トップロープ拝み渡りを狙うが、ジャガー「真面目にやれ」。うーん、拝み渡りは真面目じゃないのか?。宮崎のカットも目だけで制するジャガー。

 GAMIと宮崎、両者が得意とするサミングを相打ち。

 宮崎は好き勝手なファイトぶり、ジャガーに恥かし固めからカンチョーまで。ジャガーもちろん激怒。GAMIにもカンチョー、こちらは大ダメージを負っていた(笑)。

 GAMIの拝み渡り、2度目のトライでなんとかトップロープに立つが、いつも通り2,3歩で転落。

 連続でのタッグ挑戦を狙い、しつこくアピールして決定戦にこぎつけたKAZUKIだったが、職人達に囲まれ、4人の中で唯一の所属選手だったにも拘らずほとんど目立てず。前日9・17は、MARUと斉藤啓子、OKの引退興行があり、阿部幸江と組んで懐かしのWanted?!で、あんなに開放されてたのに(笑)。

 10・2キネマ倶楽部での、米山・Leonへの挑戦が決まったのに、怒ったままのジャガー。真面目にやらなかったらお前をブッ殺すとパートナーを脅す。おとなしく謝り、恒例のマイクも一言で切り上げるGAMI。


3.○アメージングKONG、松尾永遠(NEO)(15:18アメージングプレス)×コマンドボリショイ、X(=デビル雅美)

 記者会見で、もし負けたらピエロの覆面を被り「ボリショイ・コング」になってもいい、と宣ったアメコン。対してボリショイ、当日発表のXは、自分のことをよく知る選手である、とヒント。

 蓋が開くとデビルさん。私は、どこかの掲示板の人が「たぶんデビル」と書いていたのを見て、「そうかな」と思ってもいたのが、サプライズと言うからには、ボリショイのことをよく知ってるかどうかはともかく(笑)、神取とか堀田までアリかな、とも予想していた。
 ともあれデビル、古巣に約5年ぶりの里帰り。 

 アメージングコングで特筆されるべきは、何と言ってもそのリング上での表現力である。力を込める、驚く、可笑しい、苦しい、痛い、嬉しい、悔しい。表情が豊かで素晴らしい。仰々しいとかわざとらしいとか感じるようなことも、アメコンがやると惹きこまれるなあ。デビュー3年弱、攻防での動きも含めて、この人は才能があるなあと思う。世が世なら、いい時間帯で地上波に乗っていれば、バラエティ番組でも人気が出ていただろう。
 しかし、もともとこの分野、デビルが先人である。手四つの力比べで苦しそうだったり目をひんむいたり、「ものすごい顔」合戦の様相を呈す。

 松尾はまったく臆することなくデビルにミサイルキック、ジャーマン。

 この間、結果がどうであろうと会社から一途なプッシュを受けてきた松尾であるが、たしかに内容も良くなっている。木村響子によって「のれんに腕押し」「よくしなる枝」と評されたファイトスタイルは、強さをあまり感じさせないまま上達して、受けて受けて受け身の巧さで耐え凌ぎ中終盤に投げ技と回転技で逆転勝ちを目指す、納見佳容やキューティ鈴木がモデルとなるものだが、最近は闘争心や気の強さが現れるようになった。
 アメコンと松尾で“ニュー・ビューティペア”、この日の昼にNEOのタッグ王座を失ったばかりなのだが、勝った三田が試合後のコメントで松尾を「中西百重並み」とまでベタ褒めしているのには驚いた。

 ボリショイ、体重2倍・身長差30cmのアメコンをコルバタで回す回す。掌底を打ちこみ、さらには裏投げでひっくり返す! まあ投げられるアメコンもたいしたものなんだが、最後は高い位置からWアーム式フェースバスターで対角線へ放り飛ばし、最上段からのフライングソーセージ葬。こちらもよくぞ受け身を取ったが、アメージング・ボリショイを見ることは能わなくなった。

 敗れてボリショイ、デビルに向かい「せっかく来ていただいたのに、すみません」「今JWPには、デビルさんのことをまったく知らない後輩もいます。試合をして、教えてやっていただけますか」。

 デビル「それは正式なオファーと受けとっていいのかな?」「このマットに上がるのはすごい久しぶりで… 小さい身体で、頭も小さいけれどその中にいろんなことがつまっている、いろんなことを知っている勉強家のピコちゃん、選手が抜けて少なくなっても、(規模は小さいけれど)小さく見せることなく、ずっとJWPを守ってくれました。私はわがままで、好きなことをしたくて外に出ちゃったけど…。よく選手が練習している、良い試合をしていると噂を聞いて、嬉しく思ってました」。「(エプロン下のセコンド陣を指して)あなた(木村)ね。渡辺は知ってる。あなた(KAZUKI)もわかる。上の子ともやりたいし、よろしくお願いします」。
 これを聞く間、ボリショイは何度もマスクの下の涙を拭う。

 しかし、ジャガーさんもまだ出てるからなあ(来春、夫君とともに渡英とのことなのでそれまでは)。JWPで女帝タッグ組まれちゃったらどうしよう(怖)。


4.○米山香織(15:55不知火から)×闘獣牙Leon(M’s)

 何度も書いているが、春山たちと同期の練習生だったがJWPから逃げた高瀬と、その高瀬が受かったアルシオンの入団テストに落ちた米山。因果は巡り、それぞれの団体で同期としてデビュー。
 JWPでタイトル戦線に絡む以前から、タッグを組む機会も多かった2人だが、シングルの対戦成績は米山の3敗1分。互いが正式なパートナーでチャンピオンチーム、という初めてのシチュエーションで迎える今回のライバル対決。

 強敵相手にときどき見せる、米山の打撃乱射(エルボーのみでハンマーは無し、ローキックは序盤に少し)が出た後、大技の応酬があって、やや唐突な呆気ないフィニッシュ。
 この2人ならもっと出来たんじゃないかなあ。1・8「Lady,Go」での試合のほうが、出来は良かった気がします。

 ところが観る側の感想と、戦った本人の受けたダメージとはまた別で、マイクを持った米山は喋るのが辛そう「はじめてレオンに勝ったぞー」「ほんとはもっと可愛い声なんですけど、コイツの蹴りでノドが潰れました」。「これからも、最強のライバル、最高のパートナーとしてLeonとやっていきます」。ヨネちゃんはピンクと赤の新コスでかわいかった。


 休憩。欠場中の渡辺によるインフォメ。次回10・2キネマ倶楽部は昼夜興行だが、昼の部はえりりんの部屋、夜の部が復帰戦になるとか。


5.植松寿絵、○輝優優(19:07エルボースマッシュで)春山香代子、×ECO

 こちらは約3年ぶりのJWP出場となる輝優優。
 事情はほぼデビルと変わらないのだろうが、個人的には輝に対しての方が、沈みかけた船から逃げだし大きな船に乗り換えた者、というイメージが強い。傍目には今にも沈みそうだった船がその後、乗組員の手作業による補修でなんとか持ち直し、地味ながら堅実に航海を続けているのに比べ、安定航路に見えた船の方が操業を停止してしまったのは皮肉な話だが。

 春山、ECOともに(たぶん)新コス。
 先発した春山は植松を無視、輝に出て来いと迫る。植松のコスチュームの首根っこを、猫を捕まえるように引き寄せて、挑発に乗る輝。
 序盤早々の「決めるぞ〜場外」は、JWP軍がまったく相手にせずすぐさまリングイン。

 など、最初は調子が良かった春山組だが、以後、春山−植松、ECO−輝の組み合せを主に試合が進む。結末も、私は輝と春山の間でついて欲しいと思っていたがそうならず残念。

 植松の、ロープに振ると見せかけてリストを離さず足を引っ掛けテイクダウン、とか、フライングボディプレスが足を突き出されて迎撃されそうになると手前で着地して「バーカバーカ今どきそんなのに引っ掛かる奴なんていねーんだよ」とかに代表される、ちょこざいなペースを春山は崩すことができず。

 ECOは輝をキックで追い込む。輝も打撃、エルボーで応戦したが、少々物足りず。記憶の中で美化されているかもしれないが「もっと激しかった輝」を想定しているので。

 決着後、春山「輝!リングアウト?何だそれ。何しに来たんだこのリングに」。輝「日向あずみとやりに来た」春山「まず私とやれ」輝「日向とやれるなら」。で、10・2で春山vs輝、決定。

 うぅ〜ん、またしても踏み台役にされそうな春山。1月のキネマで米山に敗れ、その後米山が無差別級に挑戦。4月のバトルスフィアの挑戦者決定戦では伊藤薫に負け。今回の倉垣との挑戦権を巡る争いも僅差で敗退。前にも書いたが、こういう役割は団体内で必ず誰かが担わなければいけないのだが、あまりに春山ばかり、可哀想ではある。

 出戻り選手の再登場、について。ボリショイさんのこの日のデビルさんへの態度、「うえまつらん」の出場が決まったときの反応。日向の、この日の輝に対するコメント、一昨年のBPMで輝と当たった時のコメント。等から察するに、その時々の状況や取り巻いた力関係に対しては措くとして、抜けた選手その個人に対しては、残った側にさほどわだかまりはないように思われる。ファンの側には、あるんだけどね。
 それにしてもボリショイさん、関西や尾崎、天野も呼んで再結集、とか考えてるんじゃないだろうな。


 ついで輝「寿っちゃん。…いま、2人のタッグは旬だし、イイ感じだし、もちろん他のところでは組んでいきたいんだけど、JWPではシングルでやりたい」とパートナーを説得。

 しかし、そうなると植松の扱いは? 私のなかで評価が上昇中、この日はリングから転落して最前列の私と激突しそうになり、手をついて一言「ごめんね」と声をかけられて、容姿こそ衰えたものの(失礼汗)好感度さらにアップの植松なので、ちょっと心配である。

 春山とのやり取りのあいだ放置され、コーナーにへたり込んで嘘泣きしていた植松は、次のようにお別れの辞。
 「というわけで、JWPさんでは『うえまつらん』、このビッグマッチ1戦だけで、あとはランちゃんの戦いを見守りたいと思います。ありがとうございました。1人になるわけですが、道端で見かけたら、がんばれと、声でもかけてください」。
 挨拶が終わりかけたところでリングに飛びこんできたのは木村!
 「お前の目は節穴か? お前の相手は私だ!」。
 植松「いや、私、ほんとにシングル嫌いなんですよ。勘弁して下さい」。
 キム「…そのツノ、変ですよ。いま、時代はアフロですよ!」と自らの髪形の優位性をアピール。それも違うだろ、と思うのだが(笑)場内大歓声。
 それを聞いて、ここまで弱気だった植松に、マシンガントークのスイッチが入る。
 「おいおいおいおい変な頭はお前じゃねーか。よーしわかった。お前が負けたらツノを立てろ。私が負けたらアフロにしてやる!」。10・2、ツノ・コントラ・アフロ決定!
 よかった植松の使い途がとりあえず決まって。


6.JWP無差別級選手権
○倉垣翼(挑戦者)(23:40ファイヤーバードスプラッシュから)×日向あずみ(王者)

 7・24キネマ、8・7板橋赤塚、8・21キネマの3戦で行なわれた「Road to the OpenClassTitle」シリーズ。日向がこれまで防衛に成功した相手の、ボリショイ、GAMI、伊藤とそれぞれ連戦して、倉垣は1勝1敗1分、春山は1勝2敗。僅差で倉垣が挑戦権を獲得、実現したタイトル戦。倉垣は「Road…」の最終戦で伊藤を破ったファイヤーバードスプラッシュに、技の創始者ハヤブサの教えを得てさらに磨きをかけ、決まり手として予告。

 道場マッチでの変則ルールを除き、2003年6月ボリショイに負けて以降の2年強、シングルで無敗の日向。02年から03年にかけ、他には三田英津子、井上京子、田村欣子、輝優優、金村キンタローらに敗れているが、その中に倉垣の名も。今のところ、日向が自団体の後輩に負けたのは、この02年8月キネマ倶楽部の、倉垣相手の星だけなのだ(2人が同期だった頃にも勝っている倉垣だが、その後ブランクを経て平成10年組として再デビュー。他団体の後輩では浜田文子に1敗)。その試合、私、観てないんですよね。悔やまれる。

 両者新コス。
 序盤、膝十字から抜けようとした日向、グラウンドのままえぐい蹴りを倉垣の顔面に。激しさ、負けん気。

 倉垣は敵の腰を標的に。ボストンクラブ、うつ伏せに寝かせて腰へムーンサルト。苦しむ日向。

 いつもと同様当たりの強い日向、鋭いエルボー、ミサイルキック、頭部への低空ジャンピングニー、きつい打撃。倉垣はラリアット、正調ムーンサルト。

 日向のスパイダージャーマンを倉垣がバク宙で着地したのにはビックリ。

 大技、クロスアームSPX、ロコモーションジャーマン、スタンドの相手へのシャイニングウィザードと、畳みかける日向、仕掛けが早く、みちドラまで出すが倉垣クリア。

 倉垣、メタルウイング(スプラッシュマウンテン=ブラックタイガーボムと同じ体勢で、角度を変えて相手の顔から落とす)、ルナウイング(ムーンサルトから半捻りしてセントーンで落ちる)のオリジナル技。日向返す。

 日向スタンド・シャイニングウィザードから再度のみちドラ! 倉垣返す!

 倉垣も再度のメタルウイングから、予告どおりのファイヤーバード、日向返せず。

 緊迫感あふれる大技の応酬、当たりの強さもいつも通りだったが、やはりやや呆気ない幕切れだったような。私の感想は、軽くショック。日向が負けるわけないとどこかで思っていたから。女子版の絶対王者になれるとしたら、日向あずみが最適任であると思っていたから。絶対王者がフリーの外敵を次々迎え撃つ展開を妄想していたし…。
 展開としては、倉垣がふつうのムーンサルト、ルナウイング、火の鳥スプラッシュと、順序を踏むように出していったのに対して、日向のみちドラは早過ぎた。しかし倉垣が来たか…。

 倉垣新王者。出戻り組。秋からのJWPはどうなるのでしょうか。
 日向も、報じられた試合後のバックステージのコメントでは「倉垣にはベルトは似合わない」「ファイヤーバードは不完全。ずれて頭だけしか当たらずに、逆に効いてしまった」と、まったく退くつもりは無い様子。




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