武士道、定着への正念場。トーナメントにつながるか?
■団体:PRIDE
■日時:2005年7月17日
■会場:名古屋レインボーホール
■書き手:グリフォン

  試合結果のスタイルはhttp://d.hatena.ne.jp/gryphon/20050713#p1を借用させてもらった。

**第1試合 ● 杉江"アマゾン"大輔(1R 膝十字)ジョシュ・トムソン ○

いや杉江は惜しかったね。最後足を完璧に取られちゃったのは勿体無く、柔術黒帯にしてはなんとも千慮の一失だったけど、見せ場は十二分につ くったので面目を保ったのでは。次はトムソンは、打撃系との試合でしょう。


**第2試合 ● アンドレイ・シメノフ(2R 判定0-3) デニス・カーン ○

シモノフは専門の打撃屋だったはずで、1Rはそれとあそこまで渡り合ったのは見事。全体の、体の厚みもあって体力的な優位も見せたなカーン。 シモノフはなんとなく打たれ弱さも感じた。弱点は多そうだ。カーンは、より弱点が少なく、それで勝利を奪った。日本の四天王の、ウェルター級 選手とやっても勝てるかもしれない。
しかし、パンクラスで山宮とやったりしていたときとはえらい違い。やっぱりエース扱いされると、それにふさわしくなるってことはあるのかもし れない。


**第3試合 ● 中尾受太郎(2R 判定0-3)マーカス・アウレリオ ○

スリリングな好試合っちゃ好試合、微妙といえば微妙だな。 乱戦の中での出血というのは勝負のルールの中で、それもコミコミで評価されてしかるべきものではあるんだけど、出血につながったのがはっきり 「中尾の攻撃だ!」と分かるものではなかったため(たぶんそうなんだろうけど)、評価がしにくかった。それでも血が出るんだから、ブレイクで ドクターチェックはせにゃならず、試合への集中力をそいだ。
どっちの側にしても、いろいろ気の毒な試合だったというか。
でも、出血で止めるってのは感染症予防の意味もあるよな。傷は浅いけど何度も血が出ます、というのはドクターも判断に苦労するかな。
あと、三角絞めはやはりアウレリオぐらいになると警戒してれば極められないか。地味にして強いアウレリオ。トーナメントは「不参加」とさせる のが利口なやり方という奴でしょう。


**第4試合 ● 村田龍一(2R 腕十字)大久保一樹 ○
小生は、以前からU-FILE CAMPの選手にあまり魅力というものを感じていないのだが、けっこうここ一番というときには、かなり好結果(中村大介 のDEEP準優勝、大久保がネオブラで1回戦判定負けながらもその年の優勝者・門馬秀貴に今なお勝ったのでは?と言われるほど追い込んだこと、長 南の快進撃も多くが一応はU-FILE時代だったことなど)を残していて、評価せざるを得ない存在だとは考えている。大久保選手がこれからトップに なるとかならないとかではないが(多分ならない)彼自身のポテンシャルとしては最高の、いい仕事をしたと思う。


吉田道場は、連敗。

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20050713#p1
「トップクラスの柔道家が総合の練習をちゃんとやれば、 身体能力と技術の蓄積で通用することは証明されてるのに、 小見川とか村田とかはそういう先人の功績を食い潰してる」
とあるが、要は吉田秀彦自身が「総合の練習をちゃんとやっている」というほどでもないのに、柔道の貯金残高のあまりの大きさで勝っているから なんじゃないかねえ。マネジメントや知名度の点で吉田道場名義である価値は大きいだろうから、実質「A-SQUARE」預かりにして、高阪剛がGoサイ ンを出したら出撃する、というやり方がいいのでは?


しかし、このように吉田道場が実はローリスク、ハイリターンであることに目をつけ「対抗戦」提案という形で食いついた田村潔司は実に見上げた ものである。そして、政治力の差で実現の機会を奪われたものの、最初にこのアイデアを思いついた菊田早苗。

田村と菊田。

極めてある種の”嗅覚”というか、処世術が共通しているなあと、いまさらながら舌を巻く次第である(笑)。


**第5試合 ● 戦闘竜(1R パンチによるKO)ジェームズ・トンプソン ○

主催者の予想、願望がこれほどその通りに実現する試合はめずらしいだろう。 トンプソン人気は、ネタじゃなくて定着してるのか?会場沸きまくり。本戦再出場は確定だろうね。
さて、相手はだれがいいかな?それこそキモ、ヒカルド・モラエス、ダン・ボビッシュ、ジャイアント・シルバ・・・沢山いるな。そこでさらに人 気を増した後、韓国で流れたvsマーク・コールマン戦を希望。


**第6試合 ● 今成正和(1R ヒザによるKO)ヨハキム・ハンセン ○

あ、これも主催者の意図はずばりか。今成も大いに見せ所を作った。ハンセンは、それをさらに上回る凄みをアピール、「膝」というキャラ付けを 宇野薫戦につづきPR。冷血の処刑人に五味隆典危うし!!・・・でTO BE CONTINUE。今成は今成で、あれだけやれば商品価値はそれほど落ちない でしょ。前田吉朗のことを思えば・・・・_| ̄|○


**第7試合 ● 三崎和雄(2R 判定0-3)ダニエル・アカーシオ ○

三崎は物凄く体調不良だったという説もあるが、それの影響はさておき、高瀬大樹になにもさせずに圧勝した男と、三崎がここまで拮抗した試合が できるとは思わなかった。ボクシング・センスはやはりいいんだろうね。
試合内容は、個人的には最初から最後まで殴り合いだけだと「ならボクシングを見るよ」ということであまり好きではないのだが。三崎和雄の「武 士道」内での位置付け、ランク付けはちょっとunderlatedかもしれない。シミュレーションとして、三崎vs美濃輪育久、v三崎s長南亮なんての は例えば皆さんはどう予想する?


ここで休憩はさんで

**第8試合 ○ 川尻達也(2R 判定3-0)ルイス・ブスカペ ●

圧勝とは行かなかったが、終わってみればクリアな判定勝ちを手繰り寄せているんだから、このへんも「競技」の修斗の経験が生きているんでしょ う。1Rで、わずかに有利に試合を運ばれても、2ラウンドで明白にポイントを取れる。 ところでこの人はやっぱりパウンダーの中のパウンダーで、ボクシングには付き合わないほうがいいみたいね。じゃあ来るべき五味戦で、川尻は五 味を倒せるか、上を取れるか。
それから前日のSRSで、ジムはほとんど構造的に、自主練習のような形になると報じていたけど、じゃあほんとに打撃コーチや整体トレーナー、コ ンディション調整者などが専門的に見ればもっと強くなるのかな、と思った。


**第9試合 ○ 美濃輪育久(1R アキレス腱固め)キモ ●

なんだかんだといっても、体格差・体重差は重要ファクターで、これにまかせて圧殺する可能性は常にあるのだから美濃輪をそれなりに評価してい いことは間違いない。 ただ、彼の路線については

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20050713#p1

などに書いたのでみて下さい。他にも上の検索窓に「美濃輪育久」と入れ「日記」で検索するといろいろでてきます 今回の試合につながることは、ほとんど書いていると思う。
しかし、会場人気のすさまじさには驚いた。この期待感をみると、前回KO負けしているなんて誰が思うだろう。同時に「温かい失笑」という矛盾表 現がぴったりな、不思議な人気を確立している。


**第10試合 ● 長南亮(1R パンチによるKO)フィル・バローニ ○

長南は負けたけど、あまり心配していない。バローニは貯金を増やしたけど、穴はちゃんとあり、例えばトーナメントで優勝することはないだろう し、日本人だって十分勝てる。梶原一騎の漫画風に「影のプロモーター」になったつもりで、バローニ暗殺の刺客を送り込むとしたら、例えば三崎 和雄。例えば桜井隆多。例えば須田匡昇。このへんがパワー負けするというなら小路晃、金原弘光、近藤有己が減量して出ればよもや負けまい。

また、パンチを空振りさせて相手のスタミナを奪い、カウンターを入れていく郷野聡寛戦法がこれほど有効な選手もないはずだ。
しかし、最高にいいのは、「日本人四天王の、二人が敗れた!最後の砦に、この男が登場!」というアングルで、桜 庭 和 志 が登場すること である。
これなら、都落ちのイメージはあまりつけずに、桜庭のプライドも満たしつつ移行できるんじゃないかと。


**第11試合 ○ 五味隆典(2R 判定3-0)ジーン・シウバ ●

試合の結果は別にいいやあ。五味がそれなりに不調だったことは事実だし、それでもシュートボクセであっても、そのジムの73kg級で2番手、3 番手が出てきたぐらいじゃ勝てないことも事実だ。
それより何より、シウバがそれなりに「カポエラの技」をリアルなMMAの中で出したことが特筆されよう。これはUFC以来(初期UFCにカポエラ選手 が出場し、「ファイティングポーズプリーズ」とカメラマンが要請するといきなり逆立ち(笑)。本番では蹴りを一発も使わず負けた(笑)とは、 大槻ケンヂが好んでネタにするところである)のファンタジーであったが、それが実現したのだ。オールドファンには涙の展開であろう。


あと、コンディションといえば五味は「試合が終わった後は本当に暴飲暴食、自堕落な私生活ですよ」と公言しているが、今回は間隔があまり空い ていないとはいえ、やっぱりそういう山・谷があまりにも高低差のありすぎる調整法は才能を少し埋もれさせているんじゃないかな。


観客動員は、好調だという前宣伝はありましたが、ネットでは「あれでかよ?」という声も多数あったことを付け加えておきます。




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