DDT 6.8 新木場大会 〜NON-FIX〜
■団体:DDT
■日時:2005年6月8日
■会場:新木場1st Ring
■書き手:犬足

日本がワールドカップに出場を決めるであろうこの日にあってもなお国民性を発揮しないプロレスファンが、
ここ新木場1stRingに集まった。キャパ150ほどのところに9割5分の入り、
見に行かなかったが5.29のKing of DDT決勝はこれ以上の超満員だったらしい。
実券の枚数などと野暮なことは気にしない。


第一試合:○橋本友彦、神咲翔 (アンクルホールド) 柿本大地、猪俣潤×

本日の橋本は宇宙パワーを意識したのか、猪俣に対する非情なまでの攻めに終始する。
猪俣はデビュー戦がvs宇宙パワーじゃなかったので、今日がその「みそぎ」の日なのか?

蹴って踏んで、絞めあげる。主に首というか喉元を攻めていたが、最後は足首を極めて猪俣を下す。

対して神咲、自身最大の武器である蹴りも使わず、実にやりにくそうに試合をする。
橋本がタッチを求めても拒否こそしないものの攻め手は単調、フライングメイヤーからスリーパー、
ロープエスケープされると、さっさと手を離してすぐにコーナーに戻ってきてしまう。
猪俣から代わった柿本に攻撃される時などは活き活きと動くくせに、攻撃は消極的。

何だこいつと思っていたら試合後、神咲がマイクアピール。
「自分は神咲翔ではない」し「ホストクラブには何回か行っただけ」で「悪いことなんか出来ない」そうだ。
橋本も悪人ではないと主張する神咲、否定する橋本に神咲は、
「飯を食いに行った時、いつもおごってくれるのは兄貴」で、
「DDTの嫌われ者の三浦なつると一番仲がいいのも兄貴」と説得。

これだけで半年間ヒールとしてやってきた橋本がベビーターンしていいのか疑問だが、
神咲だけはその気充分のようで、本名のイザワトシオから取って
「TOSHI」に改名、正統派としてやっていくようだ。
神咲って一回で変換できないからこの改名はとても助かる。
それにしても地味な本名だな、と思っていたら【2005 ゴング プロレスカラー名鑑】によると
本名は安田一平と記載されていた。一体何が本当なんだ?


第二試合:○レイ・クバーノ、ハバナ・ゲレーロ(忘れた)チェリー、マサ高梨×

試合前後のスキットに比して肝心の試合が印象薄く、フィニッシュをまるで覚えていない。
東郷から提示されたDDT壊滅の報酬20万円で母国キューバにレストランを開くため来日したクバーノ&ゲレーロは
高木から提示された25万円であっさり寝返り、余っている選手(高梨&チェリー)と一試合して帰ることに。
しかし20万とは安い。革命以降キューバは更に貧しくなったようだ。

キューバのプロレスとは、カストロやゲバラも習ったらしいルチャ・リブレである(クバーノ談)。
が、社会主義国ゆえプロスポーツというものが無いらしくいつもノーギャラで試合をやっているためとても貧乏なのだという。
貧乏なわりにガタイの良いクバーノは、トップロープからのローリングセントーンなどを駆使するなど、
相当高いルチャの技術を有していると思われる。

そしてフライングメイヤーからチンロックに捕らえた相手を更に痛めつけるために
パートナーを呼び込む際の声「カマーン!」が、やけに聞き覚えがある気がするがそんな野暮なことは気にしない。

ちなみに後日ディック東郷のブログを見たところ、25万円もらって引き下がったクバーノ&ゲレーロを
叱責、再度送り込むようなことが書いてあった。また来てくれるみたいだ。


第三試合:○大鷲透、高木省吾(ダイビングボディープレス)HERO!、飯伏幸太×

今もいるのかどうか知らないが、かつての全日本プロレスの会場には『雅央女』なる名物ファンがいた。
熱心な井上雅央ファンであり、井上雅央の優勢劣勢に関わらず、やけに通りのいい声で
喉も張り裂けんばかりに「まさおぉぉ〜〜!」と叫ぶ女性であった。
なぜ井上雅央なのか、浅子覚では駄目なのか、後輩にどんどん先を越される雅央を『雅央女』はどんな気持ちで見つめていたのか、
そして現在ダークエージェントとして第一線で活躍する雅央は彼女の訴求を満たしたのか。

学生時代、少ない小遣いから観戦費用を捻出して行った会場で彼女の「まさおー、返せー!」を聞くたびに、
「俺は今プロレスを観ているのだな」と感慨に浸ったものだ。
ノアの興行には一回も行ったことが無いが、今でもあの張りのある声を響かせてくれていたらいいなあと思う。

で、なぜこんな話をするのかというと、DDTでもそれに似た現象が起こったからである。
彼女もまた、飯伏の優勢劣勢お構いなしに「こーたー!」と、叫ぶ。吼える。
その豊かな声量ゆえに大鷲に「うるせえ!」と一喝されるがひるむどころか前にもましてでかい声で「ごーーだーー!!」と、がなる。
周囲の観客は若干引き気味だったが、つまり彼女は辺りをはばかる余裕をなくすほど飯伏のプロレスを楽しんでいたということだ。

大鷲にもジェットにも、HERO!にも無いカリスマ性を飯伏が発揮し始めたというのは多分言いすぎだろうが、まぁ、すげえな。いろいろ。

試合後、大鷲が「査定」と称して飯伏との対戦を表明、ゴールデンスター7番勝負は立ち消えになったが、
引き続きこういった形で試練が与えられていくのだろう。余ったHERO!とジェットがシングルマッチ、と思いきや、
HERO!の相手はXだという。菅原か?!


第四試合:○男色ディーノ、マッスル坂井、石川修司 with浪口(男色ドライバー)猪熊裕介、ポイズン澤田×

5.4後楽園で教祖時代はおろか、流山以降の全ての記憶を失ったポイズン澤田の試合を見るのは今回が初めてだが、
毎回、ディーノ、坂井、石川に因縁をつけられてハンディキャップマッチというのが定番になっているようだ。
この日もドアの前に突っ立っていた石川に気づかずドアを開けたポイズンに「腕が折れた」と石川、坂井(板井じゃないよ)が絡む。

トーナメント準決勝進出を機に正統派への転進を目論む猪熊が両者の間に割って入り、3vs2のハンディキャップマッチに。
猪熊を自分と同じお笑いレスラーの土俵に引き戻したい坂井たちはあの手この手で誘惑。

ディーノのパンツから伸ばしたホースを握って自転車の空気入れの要領で坂井が屈伸するとディーノも男色ナイトメア。
「そんな面白そうなことをするな」と猪熊悶絶。

続いて坂井らがお得意のスローモーションで「いぃ〜くぅ〜ぞぉ〜」とコーナーにもたれるポイズンに連続攻撃をゆっくり決めれば
猪熊も一瞬正気を失い「おぉ〜れぇ〜もぉ〜」と続こうとするが浅野レフェリーに止められる。

それでも懲りずにディーノがフラフラになったポイズンの眼前でパンツを広げ、「ゼーロワーン,うぅぅ〜〜〜〜」と溜めると
我慢できなくなった猪熊が「マーックス!!!」とポイズンにパンチ、哀れポイズンは男色ドライバーの餌食に。

猪熊「お前たちとやってるのが一番楽しい!」「(ベルトは)要らない要らない!」だそうだ。よかった。

第五試合:○高木三四郎、タノムサク鳥羽、諸橋晴也(クローズライン)一宮章一、KUDO、三和太×

本日のメインイベンターはKUDOであった。KUDO中心に全てが回っていた。
試合中、頭を打って失神?したのもKUDOなら、
試合後、高木に「眼中に無い」と言われ乱闘を起こしたのもKUDO。

KUDOは前回の5.29でも頭を打ったそうだ。つまり2興行連続で頭を打ったことになる。
ランディ・オートンにもそんなことがあった。そしてチャンピオンになった。
ということは次のビッグマッチ、後楽園ホールでKUDOは高木を破ってチャンピオンになるのではないか。

高木は集会で「KUDOしかいない」と言っていたし、
一宮も「KUDOをチャンピオンにしてやってくれ応援してくれ」と言う。
なんと明け透けなプッシュか。

ところでKUDOってそんな逸材なのか?と疑問がわいたのでざっと分析してみた。

次のビッグマッチで高木を倒してチャンピオンになるには
@現王者に噛み付きますよ倒しますよやってやるよM月D日××体育館で!という気迫、
A団体内での実績、
B団体外での実績、
Cショーストッパーにふさわしい会場人気。
この4つが必要と思われる。

KUDOの場合、
A団体内の実績は高木一宮両氏からの信任が厚いので、いくらでも作れるだろうから問題ない。
C試合も技失敗しないし顔もスタイルもいいから会場人気もあるとして、
Bディファカップでは会場を沸かせて一回戦負け、次出れば優遇が期待されるのでこれもこれでよしとして、
(そもそも高木三四郎自体がDDT外の実績あんまり無いし)

@の気迫以外はおおよそ揃っている。
別にマイクで熱いコメントを語ればいいってもんじゃないのでこの日のKUDOのそっけないマイク、
大いに結構。さっさと退場、これまた結構。高木が喋る分、KUDOの内面描写は少なめで良い。

では本日KUDOは試合で普段以上の気迫を見せたかというと、見せてない。頭打って失神、ここまではいい。
失神から目覚めて普通に試合した、これがいけない。当人にも事情はあったろうが俺には、いつもの試合運びに見えた。
アンダーテイカーやゴールドバーグ、ウォーリアーズのような無敵キャラならそれもアリだが、
KUDO選手は死人でも超人でもネズミを食って育ったわけでもない。

ので、
『わたくしは普段よりも高木選手に食って掛かりましたが勢い余ってKOされてしまいまして、悔しいので暴れてみます』
的な雰囲気だけでも出した方がいいんじゃないかなと思った。

でないとNON-FIXでたまたま組まれたシングルマッチとタイトルマッチとの差別化が客の頭の中でされないので、
必然、盛り上がりに欠けるビッグマッチになりゃしないかと思うのだ。

次回NON-FIXにおけるKUDO選手の動向に注目したい。




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