5/21 日本のスマックから、世界のスマックへ
■団体:SAMCKGIRL
■日時:2005年5月21日
■会場:韓国 ドリームタワーナイトクラブ
■書き手:メモ8(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)


 ええと、このレポートは、スマックのオフィシャルサイト用に書いたものです。初のスマック韓国、国内で正式に開催をリリースしたのは、何と開催1週間前だったということもあり、韓国のマスメディアの注目度の高さとは反して、残念ながら国内のマスメディアの方々には来てもらえませんでした(ウチらが悪い)。なので、こうやって、しこしこレポート書いて、やってきたことをアピールしようというわけです。画像豊富(シナガー主宰も登場、さてどこでしょう笑)なので、韓国旅行記として眺めてもられば、これ幸い。


 あと、スマックオフィシャル、充実の一途なので、マメに見に来てね!
 6月28日、後楽園ホールをよろしく!


   

 スマックガール、遂に海外初進出!

 というわけで、スタッフ自ら詳細をレポートしてみようと思います。

 この韓国大会、企画がスタートしたのは、もう昨年のことです。当初は、4月上旬の予定で開催が計画されていました。が、中々細かいことが正式決定に至らないまま、時間的余裕を失ってしまった為、数週間ずらして4月23日に開催が内定したのが、2月の半ばだったでしょうか。内容は「SEOUL CUP」という無差別のトーナメントでした。何名かの選手にはその旨出場のオファーを開始。

 が、公式リリース直前に、タイミング悪く発生したのが竹島問題(リリースのストップが間に合わず、一部紙メディアには載ってしまいました)。その時点で押さえていたのは、K−1が最初に使った、ソウル市内の「蚕室室内体育館」というかなりの大箱でした(1万人くらい入るそうです)。初のジョシカク上陸で、何故そこまで大きなところでやるのかといえば、「韓国では最初に小さい規模でやると、そういうもんだと舐められてしまうので最初から大箱で」というのが、韓国サイドの強い要望だったのです。韓国に詳しい方、どなたに聞いてもそれはそうだと言うので、どうやら、それも一理どころか、圧倒的に真実らしいのですが、こちらとしては不安は募るばかり。そんな大箱開催、しかも初めてのジョシカク、どれほど集客できるかもまったく未定、ならば、必須なのはスポンサーの獲得となります。この辺りの仕事を務め、大会の運営を行ったのは、今回正式に立ち上がった、李政基さんを会長とする、韓国女子格闘技協会。KWFAと略します。これがスマックガール・コリアとイコールです。サイトが既に出来ていますので、ハングルに自信のある方は、是非とも覗いてみてください。

 竹島問題の発生が、スポンサーと正式契約する前日だったそうです。で、翌日の夕方、李会長が、契約書締結にいってみると、「今回は見送り」。予算問題から、再度、日程の調整からやり直すしかありませんでした。

 既に決定している日本サイドの大会予定もありますから、開催期限を5月一杯までにと日本側から要望を出しての再調整開始です(5月中に調整できなければ、もっと大幅に後ろにずらす)。5月最終週には、アビダビコンバットが米国で行われることもあり、その週は出来れば避けたい。この辺りの経緯、ゴング格闘技誌には「中止」と発表されましたが、これは誤報です。韓国サイドからも、日本サイドからも「中止」と発表した事実はありません。

   
 結果として、後ろギリギリの5月21日に、ソウル郊外のプチョン市・ドリームタワーナイトクラブという会場に内定したのが、もう4月の末に近くなった頃でした。規模はかなり小さくなりますが、それでも満席にすれば2千人以上という、それなりの規模の会場です。実際に行ってみると、六本木ヴェルファーレを、倍以上にした感じでした。中央にリングが設えられていて、その回りをテーブルにソファーの通常の高級クラブのような客席が相当数設置されているという。舞台と、そこからリングにいたる花道もかなりしっかりしたものが常設され、照明・音響設備も、最高のモノが使える状態になっていました。韓国では、こういうナイトクラブ方式は、既に男子の総合格闘技を継続開催し、韓国格闘技事情に詳しい方には知られている「Gimme5」を始めとして、いくつかあるらしいです。またプチョン市というのは、ソウルのベッドタウンにあたるところなので、勝手に閑静な住宅街を想像していたこちらの予想とは違って、会場周辺はかなり賑わっている繁華街でした。強引な比喩をすれば、ソウル市内を東京23区とするなら、国立か八王子という感じでしょうか。

 この会場に決った段階で、大会の内容は日韓対抗戦5vs5というモノに変っていました。これは竹島問題があるからこそ、あえて対抗戦という、実に、スマックガール実行委員会代表の篠らしい発想のなせる技です。

 実は開催する場所は「Gimme5」も候補のひとつだったのです。結果として、ここを外したのは正解だったということになります。開催も近づいた4月13日に、この場所で死亡事故が起きたからです。ことの詳細の、正式な情報を把握していないので、コメントしずらいのですが、インターネット等で報道されている情報からすれば、格闘技を開催する側の人間としては「あってはいけない人為的な事故」だと考えます。脳と心臓に疾患のある者のファイトは何があっても許可すべきではないのです。

   
 そして、その事故が起こる以前から、今回の初の海外開催にあたり、日本サイドが最も懸念していたのは、選手の安全管理問題と、レフェリー・ジャッジ等の競技運営面が真っ当に行われるかということでした。亡くなった方には大変失礼な表現になりますが(深い哀悼の意を尽くさせて頂きます)、我々スマックガール実行委員会は、女性の総合格闘技を世界に広げていく為に、この事故を反面教師として、教訓として学ばなくていけない義務を負っていると考えます。韓国のマスコミがかなり過剰に反応したようで、結果としては、韓国サイドもこちらが心配を吹き飛ばすように、安全対策に力を入れることなりました。リングサイドに2名の医師と2名の看護婦、加えて救急車2台とそのそれぞれに救急対応の専門者が1名ずつ待機するという体制。はっきり言ってしまえば、スタート当初に安全対策の未熟をマスコミから指摘されて、日々改めよくしてきたスマックガールの現在の国内興行以上の体制です。さすがに救急車を2台待機させることまでは、国内では無理ですから…。

 開催1週間前に、この事故が起こり、竹島問題に続いての逆風ですから、いったいどうなることかと思わずにはいられませんでした。が、それでも韓国サイドのがんばりによって、何とか無事開催するところまで漕ぎ着けることが出来ました。国内の何名かの選手は4月開催予定時にもオファーしており、その延期というカタチで再オファーだったのですが、やはり何名かの選手には大会2週間前という直前オファーになってしまいました。それを受けてくれた選手と関係者の方々に深く感謝いたします。

 3日前には、代表の篠が先乗りで韓国入り。選手とスタッフは、前々日と前日の2班に分けて韓国入りです。自分は前日に入りました。我々をピックアップしてくれる作業もスムースに運び(大人数が動きますから、結構大変なのです、これ)、ここでホテルに全選手が揃ったことを確認、まずは一安心。日本スタッフの何人かは、メディアの「安全問題」に対する取材を受けたり、同時に選手の前日検診の統括をしたりと忙しく過ごし、李会長の声懸けで夕飯を揃って食べに出てホテルに戻ったのは22時過ぎ、それから韓国・日本の両スタッフが集合して、細部確認の打ち合せの開始です。それぞれ明日までにやらなくてはならない作業を確認し、部屋に戻ったのは、もう日が変っていました。

 当日は、会場に入れる時間が15時ということもあり、それまでの時間を、筆者個人は比較的のんびりしていたのですが(日本の興行ならいつも徹夜ですから寝られるだけで天国でした!)、韓国サイドは徹夜作業で大変だったようです。

   
 会場入りしてみると、箱付きのスタッフがまだ揃ってなかったり、バタバタが開始。これは開場直前、いや開場しても続きます。まさに大混乱。日本サイドは、韓国サイドを指導・サポートするということで、コアスタッフというか、それぞれの分野の責任者レベルが行っていました。通訳の人が足りなかいとか色々具体的な理由もありましたが、とにかく「まだスタッフが慣れてないから」というのが1番でしょう。最初ですから、ある程度は覚悟していましたが、それでも、目が回るほどでした。舞台の上では進行系の打ち合せとリハーサルを行いながら、リング上では選手を集めてのルールミーティング。余裕があれば、当然、別々の時間に行うことなのです…。

 が、いざ大会が始ると、思った以上に大会はスムースに進行しました。段取りやら何やらの決定までは大混乱しても、力のある方達がスマックガール・コリアのスタッフにいるということの証明だと思います。お蔭で、自分は日本でやる時に比較すると、はるかに落ち着いて試合を見ることが出来ました。

 観客席は、そこそこ埋ったという感じでしょうか。満員とはいきませんでしたが、何分広い会場ですし、宣伝期間の短さを考えると、大成功というレベルではないでしょうか。それと、何より関係者とマスコミの取材の多さにはびっくり。それだけで百人オーバーという感じで。もうどこまでが観客でどこからがマスコミなのか区別つかない状態でした。

 当初は19時開場で、19時半開始という予定だったのですが、バタバタしたこともあり、19時半に30分遅れで開場、19時50分に試合開始となりました。

   

 まずは日本でも定番となっている、チャーリーズエンジェルのテーマに乗って、全選手入場。舞台セットから花火なども打ちあがり、かなりの豪華感です。李会長と篠の挨拶に続き、選手代表で挨拶したのは、羽柴選手と対戦する、ポスターのモデルにもなっていた、イ・スヨン選手。この辺の演出・進行は、日本のスマックガールをそのまま持っていったという感じです。

 それでは、いよいよ個々の試合について触れていくことにします。

第1試合 韓国vs日本対抗戦 SGS公式ルール 5分2R
×チェ・ボラム(韓国/グラップラー・ファクトリー)
○せり(日本/SOD女子格闘技道場)
1R0分41秒 腕ひしぎ十字固め

   

 組み付いてテイクダウンから、せり選手が秒殺勝ちです。お見事でした。ご本人は「もっと観客を沸かせたかった」と試合後に発言していましたが、何があるかわからない真剣勝負、しかも相手の実力も未知数、勝機を逃さないことが鉄則でしょう。というわけで、チェ・ボラム選手、打撃系の選手の筈なのですが、どの程度の実力なのか、わからないままに終わってしまいました。

第2試合 韓国vs日本対抗戦 SGS公式ルール 5分2R
×キム・ハナ(韓国/キム・ジョンワン道場)
○たま☆ちゃん(日本/SOD女子格闘技道場)
判定1−2

     

 結論から言えば、キム・ハナ選手の実力は相当なモノだと思います。聞くところによると、柔道の猛者で、日本で言うA指定選手、つまりオリンピックも目前というレベルだそうで(四段だそうです、日本より段は上がりやすいそうですが、かなりのレベル)。で、柔道着をつけての入場だったのですが、何とそのまま花道で入場曲にあわせてステップを踏む大サービスぶり。皮膚感覚としてジョシカクを理解しているとしかいいようがないです。素晴らしい。

 そのキム・ハナ選手がグラウンドで勝負に行ったのなら、まだわかるのですが、何と打撃得意のたま☆ちゃん選手と、まともに打ち合いにいったのですから。と思ったら、テコンドーも三段だそうで。クリーンヒットの数でいったら、明らかに、たま☆ちゃん選手なのですが、まったく引かずに前に出るキム・ハナ選手が、パンチを当てると、もう会場は大声援。

 たま☆ちゃん選手、ステップバックして、パンチを避けようとするんですが、これの見た目の印象があまりよくなく、個人的には、ああこれはホームタウンデシジョンで、キム・ハナ選手の勝ちとされても文句は言えないなと思って見ていました。つまり、それだけ僅差だったということです。逆に言うと、この試合がスプリットながらも、たま☆ちゃん選手に2票入ったことで、自分のもうひとつの危惧も解消されました。結果として、ジャッジの3名の方々、日本でいつもお願いしている方々と同様の的確なジャッジをされていたと思います。

 試合後のたま☆ちゃん選手、試合後は、マイクで「アニョハセヨ〜!」と、いつも通り元気一杯の挨拶でした。たま☆ちゃん選手の素敵な明るさに言語の壁などないというか。

第3試合 SGS公式ルール 5分2R
○エミリー・クワーク(カナダ/パレストラ小岩)
×HARI(日本/フリー)
判定2−1

     

 エミリー選手は、現在、日本で英語の先生をしながらパレストラ小岩で練習を積んでいます。元々ヘンゾ・グレイシー門下で、その柔術の力はスマック柔術ギグ等でも発揮していて、期待の総合デビューという感じです。この試合に備えて、打撃の方も、みっちりやっていたようです。対する、HARI選手、どうも善戦ウーマンの印象が拭えませんし、今回も結果だけ見ると、判定負け。が、前回新潟のたま☆ちゃん選手との対戦といい、今回といい、素晴らしい試合が続いています。今回もいい試合でした。グラウンドの展開はほとんどなく、パンチと組んでの膝で勝負に出たエミリー選手と、テイクダウンを拒否して積極的にローを放ちながら前に出たHARI選手。どちらの勝利でもいいと思える白熱した好試合でした。

第4試合 SGS公式ルール 5分2R
×エマ・ニールセン(アメリカ/Charlie's Combat Club)
○高橋洋子(日本/SOD女子格闘技道場)
1R4分13秒 腕ひしぎ足固め

     

 エマ選手は、打撃では豊富な経験があるようですが、総合の経験はまだまだ少ないそうです。ぶんぶんパンチを振り回して前に出てましたし、下になってからも、しっかりした防御を見せていたのですが、さすがに、元祖女子総合格闘家たる高橋洋子選手の敵ではありませんでした。テイクダウンを確実に奪っていくと、腕を狙っていって。最後は袈裟固めの体制から、相手の腕を自分の両足に挟んでV1アームロック的にねじ上げての勝利です。高橋選手もマイクを持って、いつも通りのさわやかな挨拶をしてくれました。


   

 ここで、4人も揃っていたラウンドガールのダンスです。いやあ、韓国のラウンドガール恐るべし。と自分には見えたのですが、どう恐るべしなのかは、ノーコメントとさせて頂きます(苦笑)。

 ダンス終了後、10分間の休憩をはさんで、今度は5名の女性ユニットの歌が始りました。いつもこのハコで歌っているユニットのようで、なかなか可愛く、アイドル好きでも有名な、今回も外国人のブッキングをお願いし、大会中は日本サイドの公式記録員として活躍していた「一中のキンヤ」さん(ゴング格闘技誌、JUL.2005号参照)が、1番前でかぶりつきで見ておりました(笑)。

エキシビジョンマッチ 3分
藪下めぐみ(SOD女子格闘技道場) vs 篠原光(電撃ネットワーク チーム南部)

   

 休憩後はこのエキシからです。我がスマックの無差別級チャンプの藪下選手は、今回はセコンドとして八面六臂の大活躍、篠原選手も妹分の横瀬選手のセコンドとしての来ていた為に急遽実現したエキシビジョンでした。藪下選手が、ジャイアントスイングで振り回し、篠原選手は豪快な膝蹴りで攻め込み、観客を大いに沸かせた楽しいエキシビジョンでした。

第5試合 韓国vs日本対抗戦 SGS公式ルール 5分2R
○イ・スヨン(韓国/フリー)
×羽柴まゆみ(日本/BBdoll)
1R1分4秒 スリーパーホールド

     

 ポスターにもメインでフューチャーされていたイ・スヨン選手、一目見るだけでいかにも気が強そうな感じを漂わせてる美形選手。羽柴選手とは、日韓ビジュアル系対決という感じでしょうか。体格差がかなりあったのですが、イ・スヨン選手の実力が未知数であったところもあり、強引に羽柴選手に飲んでもらったカタチで実現したカードでした。試合は組み付いて、投げにいく羽柴選手に対して、スタンドのまま、するするっとバックに回るイ・スヨン選手がそのままグラウンドで首狙いという展開。同じような展開が何回か続き、最後はきっちりとスリーパーが入ってしまい、羽柴選手、無念のタップです。

 イ・スヨン選手、首狙いの為に、羽柴選手の顔面を掴むようにしてアゴを上げさせるという、かなり荒っぽい技(掻き毟ったりしたら反則です、ギリギリだったことで反則にはなりませんでしたが)で、何が何でも勝ちに行くという強気っぷり、キャラが立っているというか、日本に呼んだらヒール的な人気が出るかもしれません。一方の羽柴選手には、6月後楽園での試合も決ったことですし、心気一転、次に期待したいところ、今後ともよろしくお願いします。

第6試合 韓国vs日本対抗戦 SGS公式ルール 5分2R
×チョン・ヘンスク(韓国/マサン・ジョンウィ格闘技体育館)
○伊藤薫(日本/BBdoll)
1R1分32秒 腕ひしぎ足固め

     

 チョン・ヘンスク選手、デカいです。公称180cm、90キロ。計量体重も92キロでした。まさに小山のよう。対する伊藤選手も大きいのですが、見た目はひと回り違う感じでした。が、試合開始となると、圧倒したのは、伊藤選手。ぶんぶん首投げで放り投げます。ひと回り小さくてもパワーは劣ってないという感じで。プロレスでは「ダブルフットスタンプ」を必殺技とする伊藤選手、「ダブルフットスタンプは狙い難いので」と言ってましたが、サイドポジションを奪うと、ニーオンで確実に相手を制してから、立ちあがると瞬時に、ボディーを踏み付け。いやいやストンピングというべきでしょうか。続いて、ヒップドロップ! いやあ、プロレス技が総合格闘技で有効であった例を、自分は久々に見ました。エグいけど、カッコいい! 最後は、高橋洋子選手の試合と同様の腕ひしぎ足固め。ただ、こちらは、V1型に肘が曲がっているカタチではなく、ストレートアームバー的に伸びるカタチで。

 伊藤選手の完勝です。さすが伝統の赤いベルトを巻いたことのあるプロレスラー、その立ち姿から漂う重さというか貫禄も、充分観客に伝わったと思います。が、チョン・ヘンスク選手も、ひたすらデカくて雰囲気あったので、また見たい選手ですね。…我々が体重が合う相手を探せるかが最大の問題ですが。

第7試合 韓国vs日本対抗戦 SGS公式ルール 5分2R
○ジョン・ヨンシル (韓国/ソウル・チョンジン格闘技体育館)
×横瀬いつか(日本/電撃ネットワーク チーム南部)
判定3−0

     
     

 ジョン・ヨンシル選手は、当初韓国では参戦が発表されていたイ・ヨンジュ選手が、数週間後に行われるグラジエイターという大会にも出場が決っていた為(男子の総合の大会で女子の試合が組まれるのです)、安全性も考慮して辞退してもらい、急遽参戦が決った選手。が、キックボクサーとしてはその実力は国内でも知られているところ。来日経験があり、ガールズショックで、グレイシャア亜紀選手と激しく打ち合い、結果はストップ負けをしたものの、国内トップクラスに決して引かないそのファイトぶりは、多くの関係者に深い印象を残していたようです。先日沼津で藪下選手に敗れたキム・ヒョンソン選手とは、チームメイトであるらしく、ヒョンソン選手も来場し、元気な姿を見せてくれてました。

 対する横瀬選手、先日のネクストシンデレラトーナメントでデビューしたばかりの、篠原光選手の妹分。篠原選手と一緒に、特攻服(?)に身を包んでの入場も、なかなかのもんです。入場すると、いきなり相手のコーナーに詰め寄ってのガン飛ばし、会場これで大ヒート。そして、今回は、決して後ろに下がらず、打たれても心の折れない素晴らしいファイトを見せてくれました。1R・2Rに、それぞれ1回ずつダウンを奪われましたが、それでも最後まで前に出続けて。粘り強く何度もテイクダウンも奪って。判定は大差でしたが、場内は沸きに沸きました。

 勝ったヨンシル選手のマイクアピールと記者会見で話したことがかなり感動的だったようです。自分は韓国語はまったくわからないので、人伝にきいたのですが、「普通の女の子が他のスポーツをするように、たまたま自分達は格闘技を選んだのです。事故があったからと言って、偏見の目で見ないで欲しい、応援して欲しい」というようなモノだったようで。場内からも大声援が贈られていました。

   

 選手全員が入場しての、写真撮影、どの選手も笑顔で一杯のものでした。バックに流れるのは、いつものシンディー・ローパーの「ハイスクールはダンステリア」。まさに大団円という感じで。自画自賛になりますが、興行として出来は文句なく素晴らしいものになりました。メディア関係者の反応もとても熱いもので。「とにかく1回見てから」と言っていたスポンサー候補の方々も、李会長に向って「次からは応援するよ」とその場で断言してくれたとか。

 勿論、技術的なレベルとしては、まだまだなのは事実だと思います。が、初めての開催であることを考えてれば、それはしょうがないところでしょう。そして、大会の面白さというのは、決して技術レベルだけで決るわけではありません。篠が、初めて手かげた女子総合格闘技の大会「ReMix」が素晴らしい大会であったように(あの大会も、技術レベルで言えば玉石混交だったわけです)、韓国初のジョシカクは、大成功だったと断言していいと思います。

 事故直後の大会であったこともあるのでしょう、マスコミの数は尋常ではありませんでした。KBSを始めとして、メジャーTV局と新聞社がすべて揃っていたらしいです。VIPルームを使って、全選手を集めての試合後の記者会見も、人が入りきらないほど。それほど多くのマスコミの前で、韓国初の女子総合大会を行えたこと。素晴らしい大会に仕上げることが出来たこと。「女子の総合格闘技を育てたい、その芽を世界に撒いていきたい」という篠とスマックガール実行委員会の魂は、確実にスマックガール・コリアに伝わり、そのモチベーションの高さと、何より選手のがんばりによって、多くの観客とマスメディアに、充分に見せることが出来たのだと思います。

 勿論、反省点も山ほどあります。ここではひとつひとつ挙げることはしませんが、いくつもいくつも改善すべきことがある事実を、スマックガール・コリアのメンバーとスマックガール実行委員会は、現時点で明確に認識しています。そして、日本のスマックがそうであったように、確実によくしていくことが出来ると考えています。

 大会後の打ち上げと2次会を和気藹々と終え、ホテルに戻ったのはもう深夜の4時近く、筆者は翌日早朝に帰国する為(帰りも翌日と翌々日の2班に分けてでした)、荷造りを終えるとホテルのロビーに降りて、待機していたところに、2次会の後に、スマックガール・コリアのメンバーで反省会をしていたという李会長を始めとする方々が、やってきました。朝6時前です。雑談混じりで、色々お話させてもらったのですが、李会長の言葉で1番印象に残った言葉があります。

 「次もやりますよ。続けないと信用されませんから。そして、いつか、韓国で『WORLD ReMix』を開催してみせます」

 まさにスマックガール魂は海を渡って確実に理解されたというべきでしょう。ありがとう、李会長。そしてスマックガール・コリアの皆様。そして、色々な方面で協力してくださった多くの方々。そして、何よりがんばってくれた選手と、来場してくれたファンの皆様。

 日本のスマックガールから、世界のスマックガールへ。飛躍は時は間違いなく来ています。


文責:長尾メモ8



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