スマック・ガール2日連続3興行 観戦記<その3>
■団体:スマックガール
■日時:2005年4月30日
■会場:キラメッセ沼津
■書き手:トロピカルhttp://www.geocities.co.jp/Athlete-Samos/7184/

●明けて30日の大会名は「Cool Fighter Last Stand」。

クールファイターこと近藤(旧姓・久保田)有希選手の総合格闘技引退試合が、彼女の地元・沼津で開催されます。
引退試合の対戦相手は、久保田有希の総合デビュー戦である2000年末のL-1にて、1Rで腕十字で敗れた相手である、女子の世界最強の1人・マー
ロス・クーネン選手。

そして、その他の試合は、観戦記<その1>で挙げた6つのトーナメントのうち、

■<5>■ スマックガールライト級王座次期挑戦者決定トーナメント
■<6>■ スマックガール初代ミドル級王座決定トーナメント
の1回戦が中心。

前日29日の興行が、主にピラミッド下半分の裾野作りとしたら、今日は上半分の頂点作りです。
また、同じく沼津出身の元・アストレス2期生・石川美津穂の、スマック・デビュー戦も、ワンマッチで行われます。

●会場の「キラメッセぬまづ」は、沼津駅に隣接した、横長で天井がテント型の多目的スペース。
それを区切って、リングの四方に客席が計数百、といったところ。
区切ったパーテーション側にはプロジェクター映像用スクリーン、照明はピンスポット2台。
恒例のJ SPORTSのほかに、近藤選手の取材でNHKハイビジョンのクルーも入っていて、カメラの台数もいつもより多め。
客席は、近藤選手の関係者でしょうか、いつもより年齢層も高く、格闘技マニアではないおじさん達も多かったような。
20分ほど遅れで始まったオープニングの全選手入場で、入場テーマ「チャーリーズ・エンジェル」の音とリングアナの声が、3回ほど途切れる。
PAケーブルの接触でも悪いんでしょうか。
赤いスマックの新作Tシャツで全選手入場。
大声援とともに入場した近藤選手は、両ヒザにサポーター。
近藤からあいさつ「沼津開催、うれしく思います。楽しい試合をしたい」。


●<第1試合 スマックガールライト級王座次期挑戦者決定トーナメント 1回戦>
○15(所属不明)<2R判定3−0>吉田正子(NATIVE SPIRIT)×
・・・

15、ISAMI限定、女性用ピンクのハート柄柔術着で入場。
脱ぐと、オフピンクと白の上下で、下はホットパンツっぽく、いつものようなスコートからのパンチラなし。
格闘技仕様でしょうか。
ライトの上限が52kgに上がり、48kgあたりの吉田選手にはキツイかと思ったが、見た目では体格差はあんまり感じなかったような。
スタンドでは、ほぼ互角か。
それより、グラウンドでは不利かと思われた15が、予想以上にグラウンドでも押して攻める。
まずはバックに抱き着きチョークねらい。

こらえた吉田が後ろに倒れて逃れようとするも、15は下から腕ねらい。
その後のサクラバ・ポジションからのアームねらいなど、15が攻める。
中盤以降、吉田も引き込んでからのラバーガードなどを駆使して下から攻めるも、15きっちりディフェンスしてそれ以降何もさせず。
15、勝った瞬間、マスクで見えないが感極まってたような。
練習の跡が見られましたね。

吉田選手は、総合ルールではほぼ1年ぶりの敗戦。
去年までの「ネクスト・シンデレラ」世代から、今年は1つ上のレヴェルで戦ってゆくことになり、厳しい試合が続くでしょう。
ここまで足の利く選手も少ないので、30秒ルールは大変でしょうが、頑張ってほしいです。

15選手は6月の後楽園での2回戦進出。

●<第2試合 スマックガール初代ミドル級王座決定トーナメント 1回戦Aブロック>
○テビ・サイ(HAVTE TENSION)<2R判定3−0>菊川夏子(総合格闘技闇愚羅)×
・・・

かつては爆発した髪型で、全力疾走&大ゴケという派手な入場もしていた菊川、今は後ろで結わえた黒髪のロングで普通に、どんどん大人しめの
ルックス&入場になってくる。

テビ、花道上でポーズ。
タイトル決定トーナメントともなると、次から次に個性的な選手が出てきますね。
Galsでの失神ハイキックや2003年ミドル級トーナメント優勝時など、勢いある打撃の印象の強い菊川選手。
テビ選手相手に打撃勝負に出るかと思われましたが、実際の試合展開は意外にも、菊川の方から盛んにタックルで仕掛ける。
闇愚羅に移籍して、辻ちゃんの下で練習したタックルを出そうとしてるんでしょうか。
でも菊川選手にそれ以降の手が無いので、タックルとれてテイクダウン出来ても、そこから簡単にテビにめくられてハーフポジションを取られ、逆
にピンチになるという展開が続く。

1R終わりはテビの横三角が結構入ったり。
2Rになって、菊川は例によってバックハンドブローやハイキックを試みるも、テビにかわされ。

菊川選手、作戦ミスなのか、スタイルの迷いなのか。
テビ選手の勝利者撮影で、セコンドのフジメグもブログ日記用に写メ撮ってました。


●<第3試合 スマックガールライト級王座次期挑戦者決定トーナメント 1回戦>
○おっさん(総合格闘技闇愚羅)<2R判定2−1>舞(パレストラ松戸)×
・・・

去年のネクスト・シンデレラ・トーナメント覇者の舞、例によってマシンガンを手に入場。
おっさん、「オペラ座の怪人」のネタで入場(理由はわかりません)。
試合は、レスリング仕込みのおっさんがタックルで上とるも、おっさんと対照的な体格の舞選手の身長&手足の長さで、そこから先に進めず。
舞も下の練習はやっているようで。
一方、舞も、もう少しの際(きわ)のところでタックルを切りきれず、最後の最後であきらめて下になってしまって。
得意のマシンガン・パンチも、ここまでタックル取られまくってると出せませんし。
判定はスプリットでおっさんでしたが、舞があと数発タックル切れてたらわからなかったのでは。
相撲のポーズで勝利者記念撮影に応えたおっさん、後楽園へとコマを進めましたが、ここから先に進むためには、タックルのその先、テイクダウン
した瞬間に既にいいポジション取れているような、スピードなり技術なりが必要になって来るでしょう。

吉田に続き舞も敗退で、去年のネクスト・シンデレラ・トーナメント参加者は、これで消えてしまったわけですが、実力的な差は上の世代とほとん
ど無いと思うんですけどね。
経験なのか何なのか、ギリギリのところで自分のペースに持ち込めていないようでした。


●<第4試合 SGS公式ルール -53kg契約 5分2R>
×石川美津穂(TEAM BAZZ)<2R3分2秒 TKO(レフェリーストップ/パンチによる)>斎藤"edge"あゆみ(パレストラ小岩)○
・・・

大変失礼な話ですみませんが、斎藤選手が入場してきて、最初、正直なところ、男だと思ってしまいました。
先頭でOFGつけた短髪の男のような人が入ってきて、てっきりセコンドの人だと思って、昔おっさんが三島☆ド根性の助とやったように、途中で後
から入ってきた本物の女子選手が突っ込んで入れ代わるのかとばかり。
そう思ってずっと見てたら、その短髪の選手がそのまんまコール受けてるので、やっと自分の間違いに気付いたという。
斎藤選手、初見ですが、めちゃめちゃ強そう。

(ちなみに、後ろからやはりOFGつけた女子選手が入ってきたように見えたのですが、それは自分の試合を終えたばかりで直ぐセコンドについた、
パレストラ仲間の舞選手でした。)
一方の石川、昨日とはバージョン違いで、黒のエナメル系衣装&黒木刀の篠原光&横瀬はるか選手の後から、紫の羽衣装を巻いて登場。

やっぱ華がありますね。
昔のRed Devil KIS'Sに比較しても、モノホンの凄みもありますし。
しかし、石川選手のコールで、3度続けてまたしても音が途切れてしまい、石川が本部席に「おい!」と突っ込む。
試合は、斎藤選手、とにかくメチャ強。超強。激強。

パンチがあまりにも本格的で、申し訳ないが、やはり男にしか見えず。
これで53kg、プロ・デビュー戦なんだから、末恐ろしい。
しかし、そんな鬼強の斎藤選手に、地元で負けられないという意地で必死に食らい付く石川選手も、かなり強いのではないかと思いました。
2R開始時は「おらぁ!」と突っ込んでいって、でも表面的なメンツだけで闇雲に突っ込むだけでもなく、離れての打撃が不利とわかると、首相撲
からのヒザに活路を見い出そうとしりとか、ちゃんと勝つための方策を最後まで試みていて。
1Rに1回、そして2Rに2度目のスタンディング・ダウンを取ったところで、斎藤選手のTKO勝ち。

勝った瞬間、斎藤選手号泣。
いやぁ、こういうところは、やっぱ女の子ですねぇ。


石川マイク「地元のリングに立てたのに負けてしまい、すごく悔しいです。沼津に申し訳ない。もっと練習して強くなります」。

で、リング中央でうずくまって礼。
トロピカル的には、今日のMVPは、石川選手です。
もしもこの試合で、石川選手が1Rで投げてたり、最後まで食らい付いてなかったら、なんというか後味の悪いイヴェントになってしまったのでは
ないかと思いますが、最後まで食らい付いて倒れず、技術的にも応戦したことで、休憩前に一気に温まりました。
ここまでグラウンド中心の展開が3試合続いたせいか、イマイチ反応の薄かった、地元のおっちゃん系中心の年齢層高めで一見さんの多い客席も、
この試合の殴り合いから大ヒートしましたし。
地元・沼津でのスマック・デビュー戦ということですが、例えば金魚相手に楽な試合で勝つよりも、負けたけど今回の試合の方が、石川選手は10
倍光ったのは間違い無いと思います。


●休憩後、篠代表あいさつ。
大向美智子を呼んで、6月後楽園のトーナメント参戦の告知。
大向「女子プロの華やかさでブームを。魂で頑張る。」とのこと。
そして5/21韓国興行の告知。


●<第5試合 スマックガールライト級王座次期挑戦者決定トーナメント 1回戦>
○松本裕美(PUREBRED京都)<2R判定2−1>ジェット・イズミ(クロスポイント吉祥寺)×
・・・

決勝戦でもおかしくない、実力者同士の対戦。
松本、急にグレてしまったのか、アフロで入場。
ヅラかと思ったが、そうではなく、そのままで試合。
ジェットはいつものYAWARAスタイルの髪型。

力が拮抗したカードの性か、スタンドでの見合いがとにかく長く続き、お互いなかなか入れない。
たまに接触しての打ち合いもほぼ互角で、そのままコーナーで差し合って膠着ブレイク、の展開が繰り返される。
それはグラウンドになっても変わらず。
試合は結局そのまま終わってしまったので、判定は難しいが、何発かいいパンチをヒットさせた松本がスプリットで。

ジェット選手、G-SHOOTOでのvsMIKU戦とほぼ同じパターンで、自分のペースに持ち込めないままズルズルと判定になって負けてしまいました。
入れなかったのは、自信を無くしているからなんでしょうかね。
例えば辻選手の場合、ペースがなかなか掴めなくても、スーパー・ロー・タックルで強引に自分のペースに引き込めるだけの必殺技を持っているわ
けですが、ジェット選手も自信を取り戻して、そういう強引な何かを産むことが必要なのでしょうか。

ジェット・イズミがスマックに出てくる理由は、恐らく唯ひとつ、AXで接戦の末に判定負けした辻へのリヴェンジでしょう。
しかし、2003年のミドル級トーナメントでは、試合中のアクシデントで敗退。
そして今回も、1回戦で判定負けということで、またジェットvs辻は遠のいてしまいました。
それは一方で、辻・ジェット世代の後も、女子総合がそれだけ急にレヴェル・アップしていることの証拠と言えるのかもしれません。


●<第6試合 スマックガール初代ミドル級王座決定トーナメント 1回戦Aブロック>
○藪下めぐみ(SOD女子格闘技道場)<1R29秒 KO(1本背負い)>キム ヒョンソン[KIM HYUN SUNG](韓国)×
・・・

プレス・リリースの写真では、かなりかわいかったキム選手、ドレッドで入場。
藪下、花柄のドレス。
藪下、1発フックもらうも、一本背負いで投げて右肩極めて秒殺。
と思ったら、キム選手起き上がれず、担架で運ばれる。

肩が極まったのではなく、投げられた時に頭打って失神したんですかね、ヒヤリとした瞬間でした。


●<メインイベント 近藤有希引退試合 SGS公式ルール -65kg契約 5分3R>
×近藤有希(PUREBRED京都)<2R50秒 KO(右ストレート)>○マーロス・クーネン(オランダ/タツジン・ドージョー)
・・・

クーネンが先に入場。
続いて入場する近藤の後ろには、旦那さんのほかに、PUREBRED総帥のエンセン井上。
入場コールとともに真っ赤な紙テープが大量にリング上に投げ込まれ、さながらついこの間の長与千種の引退試合のよう。

2人がグローブを合わせて始まった試合は、まず1発クーネンのパンチが入る。
これまでの6試合とは違う、そのパンチが風を切る音に、会場中からため息が。
近藤にセコンドから「下がるな!」の声。
そして、後ろへの後退から横への動きへと、冷静に指示に従う近藤。
緊張感ある間合いの後、クーネンのパンチが入っては、コーナーで組み合い、ブレイク、という展開が繰り返されて、1R終了。
そして2R、近藤がローを放った後、一瞬のうちに、カウンターでクーネンのパンチが入って、近藤ダウン。

完全に足下がふらついていて、カウント8まで寝たまま。
何とか立とうとするも、レフェリー芹澤の10カウントまで立てず、KO。
近藤の元に、セコンドやドクターが集まる。
勝ち名乗りのクーネン、リング四方に、ジョシカク・ファンおなじみの、ペンギン押忍!

そして立ち上がった近藤を、クーネンが抱き上げる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

僕にとって、近藤(久保田)有希選手というと、まずは何といっても2001年の渋谷スマック旗揚げ戦である。
ナナチャンチンvs坂口一美や星野育蒔vs鳥巣朱美のような、ヴァラエティが強いカードが続く中で、久保田有希選手のセパレートのコスチュームの
間からのぞく立派な背筋や上腕二等筋、そして1分足らずで腕十字をとる確かな技術に、「あ、女子にもまともな総合格闘家がいるんだ」という事
実を知り、それはそれで僕には、ナナチャンチンや星野育蒔とはまた別の意味で、ショッキングな出来事だった。

もしも仮の話ではあるが、あの旗揚げ戦において、久保田有希選手が出ていなかったら、ただの色物的な印象しか僕には残らず、ここまで女子総合
にのめり込んだかもわからなかった。
あの中に久保田有希という本物がいたからこそ、まだよくわからない女子総合というモノの混沌が増したし、そこに可能性が感じられたのだと思
う。

日本の女子総合格闘技は、LLPW主催によるL-1や当時NEOの篠社長によるReMixと、女子プロレスによる先導で始められたわけで、参加する日本人選
手も、神取忍や藪下めぐみらの女子プロレスラーが中心だったのだが、その中で近藤(久保田)有希という存在の意味は、(プロレスラーでない)ア
スリート系の選手の元祖である所にあると言っていいだろう。

女子プロレスラーによる異種格闘技戦の度胸試し、という存在から女子総合が脱皮する過程において、日本の柔道エリートである久保田有希選手が
そこにいたことの意味は大きいし、後のしなしや辻らが総合の世界に入ってくる土壌作りも作られたのだと思う。

女子総合の黎明期に活躍した第1世代の人達は、大なり小なり何かの形で騙されて、この海の物とも山の物ともわからない世界に入って来た。
久保田選手もご多聞に洩れず、本人にとってほとんど騙された形でL-1に出場することになり、わけのわからないままクーネンに1RでKOされ、気
付いたら病院だったそうである。

ここでは、MAX宮沢氏との繋がりやキャプチャーという団体の特殊性が意味を持ってくるわけであるが、こうした偶然を通して、久保田選手が総合
と出会い、そしてデビュー戦でひどい目に逢いながらも、そこから逃げずにスマック・ガールに参戦し続けたことで、女子総合も歴史を積むことが
出来た。

そして、そんな彼女が今回引退することで、女子総合がいつの間にか達成していた5年という歴史を、僕らももう一度認識することになった。

2度のクーネン戦は、ともに久保田(近藤)有希選手のKO負けという結果に終わり、その違いはただ、KOタイムがちょっと伸びただけかもしれない。
しかしその間には、5年という時間が確実にあったのだ。
そう、女子総合にはもう、消せない歴史が充分に出来てしまったのである。


●近藤の意識回復を待って、リング上で引退セレモニー。
クーネンあいさつ、泣きながら英語で。(ヒアリング出来ず、通訳なかったので、内容わかりません。)
そして近藤もマイク

「クーネンはデビュー戦の相手。その時は1R2分で、気付いたら病院で、嫌な思い出だった。
 今回は、練習も楽しくて、1R目も楽しくて、これからの新しいスタートも、楽しくくれそうです。」
続いて、友人や関係者から花束など。
大きな写真パネルを贈呈の、ライター松本幸代さんも号泣。
紙プロのチョロ氏の目にも涙。
茂木康子、MAX宮沢、Alive鈴木氏、慧舟會山崎氏、SOD一同を代表して高橋洋子、エンセン井上、篠代表らから花束。
近藤、最後に再度マイク

「地元・沼津で、安心して試合が出来た。
 楽しくて、でもツライこともあったが、全部ひっくるめて今は楽しい。
 選手のみなさんへ、ツライ時こそ、楽しむために格闘技を始めた頃を思い出して。
 (篠代表へ)アマに戻った時、もう一度プロにならないかと声をかけていただいて、感謝。

 スマックが、PRIDEやK-1のように、キラメッセぬまづが全面使えるように。」

篠代表マイク
「長いようで短い5年間、ありがとう。次のスタートも頑張って。」
そして、近藤の総合引退の10カウント・ゴング。
最後にリング上で土下座状にうずくまって礼。
出場全選手および縁りの選手たちで、記念撮影でシメ。


●<総評>
3つの観戦記で、スマックの、ジョシカクの輪郭が、わかっていただけたであろうか。
黎明期だ・過渡期だ、と言われ続けながら、ジョシカクも5年、遂に引退式で選手を送り出すまでの歴史を重ねたことになるわけで。
2日連続3興行で6つのトーナメントが行われたわけであるが、なんでこんなにやるのかというと、要はスマックの他にやるところが無いからであ
る。

例えば男子なら、王座決定はPRIDE、次世代のスター候補はDEEPやパンクラス、軽量級ならZST、グラップリングはコンテンダーズやコンバットレス
リングなど各種大会・・・と、それぞれが自分の持ち分をやればいい。
しかし女子の場合、定期的・継続的に興行を開いているのが、今のところスマックだけなので、全部をスマックがやることになってしまうのだ。
ジョシカクのピラミッド全体を、スマックが全部背負うことになるのである。

例えば2年くらい前までなら、PRIDEなりK-1なり叉は何か別の資本なりが、女子総合の世界に入って来て、エースをでっち上げて周囲の選手を引き
抜いて集めてイヴェントを打ったとしても、そういうトップダウンの方法論でジョシカク界が形成されてゆくことも、まだ可能だったかもしれな
い。

しかし、今となってはもう、そういう方法論での頂点の設置は、無理なんじゃないか。
男子において、PRIDEとK-1がどうして頂点として成立できているのかというと、PRIDEにはリングス・パンクラス・UFCなど各種MMA大会や柔道・レ
スリングなどのアマチュア競技、K-1にはキックボクシングや空手など、選手の供給源が、それぞれ既に成立していたからである。

しかし女子の場合、そうした供給源が充分に成立していないので、PRIDEやK-1のような頂点のいい所取りが結局は出来ないのだ。
もしも今、資本が乗り込んできて、ジョシカクの頂点をトップダウンで作ったとしたら、裾野の部分が成立しなくなって壊滅して、ピラミッド全体
が瓦解してしまうだろう。

積み上げてしまった5年という歴史は、もう消せないし、その5年という年月を引っくるめて背負った上でのピラミッドの頂点でないと、まっとう
に機能し得ないのだ。

各階級のベルトを創設して、ピラミッドの頂点を作ったスマック。
今回の3興行がそれぞれ成功したことで、ピラミッドの裾野も上半分も、全てが充実していることは、証明された。

残るはピラミッドの頂点。

5月韓国・6月後楽園・7月大森から8月の代々木第2に向け、その頂点をどこまで高みにへと上げてゆくことが出来るのかが、スマックの・ジョ
シカクの勝負どころです。

<終>



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