3/26新日本プロレス両国大会 観戦記
■団体:新日本プロレス
■日時:2005年3月26日
■会場:両国国技館
■書き手:タカハシ

今日は本当なら自宅の最寄駅から30分ほどで乗り換えなく到着するさいたまSAに行かなくてはいけないのだとは思う。しかし自分が向かっているのは新日本の両国大会だ。今一番好きな選手はと問われれば武藤と答え、今一番試合が見たい選手はと問われれば小島と答える自分だが、両国大会を選んだのは小島の初防衛戦を観に行くのではなく、今の前田に「NO!」と言いたいからなんじゃないかという気がしている。ついでに言えば「ボクが出場するところがリングス」という高阪の言葉にこじつけたのかも知れない。
正直に言えば元リンオタという自覚はそれほどないのだけれど、今の前田に対する違和感、嫌悪感を止める事がどうしてもできない。今、前田がK−1マネーの力で表舞台に戻ってきた事や、インタビューでの発言の数々は、ズバリ言って武藤が猪木を揶揄して言っていた「自分の歴史の書き換え」に他ならないのではないかという疑念がどうしても頭から離れないのだ。

別に前田に「自分は一回も真剣勝負をした事はありませんでした」と告白してもらいたいわけではないし、かと言って上手くこのモヤモヤした気持ちを説明する事もできないのだが、とにかく今日に限ってはさいたまSAに足を運ぶ事をよしとする事ができなかったのだ。

今年初めてとなる新日本の今日のラインアップを見たのだが・・・行く理由がアテツケとは言え、もうちょっとどうにかならんか?というカードが並んでいる。もっとも今の新日本のどのカードが見たいとかは特に思い付かないのだけれど。

今回はダフ屋での購入は全く考えず、当日券売り場で上限5000円と決めて残券状況を確認すると・・・全席バッチリ残ってますね。4000円の席を買って会場に入ると1F席はそこそこ埋まっているものの2F席には中段と最上段が2列ずつシートを被せてある事に気付く。おお!新日本プロレスの両国大会でさえ、こんなザマなのか!


<第1試合>
△藤波 辰爾 対 △西村 修(15分時間切れ引き分け)

約2年ぶりの復帰となるらしい藤波。今回も対戦相手は西村だが、やっぱりいつも通りのオーソドックスというかクラシックな試合展開に。こっちが冷めてるとか、ガチの試合を目にする機会が多くなったとかの要素はあるのだろうけど、この手の試合ではもう様式美としてのプロレス以上の価値を見出す事ができないよなぁ。

ファンはどうせやらないと分かっていても、やっぱり藤波がフルネルソンを出せばちゃんと反応するし、ダブルブリッジの時には「成功してくれよ!」という空気が支配するしと、かなり温かい雰囲気の中での試合ではあったんだけど・・・。

結局「何がやりたいんだ、コラ!」という事が自分がピンと来ない理由なのかな?


<第2試合:30分1本勝負>
井上 亘&○金本 浩二 対 ×石森 太二&中嶋 勝彦(10分54秒:ムーンサルトプレスからの片エビ固め)

前から気になっていたんだけど、どうも井上の動きに違和感を感じる。野暮ったいというか、ぎこちないというか、サマになっていないというか・・・。そしてそのどれもが当てはまるようでもあり、また違う気もする。

試合の方はまぁ金本は相変わらずだなぁ、というくらいか。あと石森と勝彦は華があるというのとはちょっと違うけど、何かとやる事がサマになっているなと。  


<第3試合>
垣原 賢人&○エル・サムライ&タイガーマスク 対 マスクドCTU・G&×T&L(10分45秒:チキンウィング・アームロック)

  CTUの方は4人同じコスで、試合途中に入れ替わりで組み立てる流れだけれど、この手のやらせても新日本は全然こなれていないというか、DDT見習えよって感じだよな。これなら客席のCTUマスクの人にフォール勝ちさせた方がまだ面白かったような。


<第4試合>
○棚橋 弘至&吉江 豊 対 ×柳澤 龍志&真壁 刀義(11分3秒:スライディング式前方回転エビ固め)

前から気になってたんだけど、棚橋が大好きな丸め技は出すタイミングがちょっとトンチンカン過ぎやしないか?「試合がこのタイミングでこの技で決まったらヤダな〜」という時に出し、ついでにそこで勝負が決まってしまってる事もままあるようだし。そもそもあれだけの身体をした人が丸め技を使う事自体どうかと思うが、出す相手やタイミングについてはもっと考えてもいいと思うんだよな〜。勝たせてもらえるなら藤田戦なんかは「もしや!」という気運が高まるし、今回ももっと柳澤に苦しめられた上でなら、また違った印象を与えられるだろうし。

あと真壁も頑張ってるように見えるけど、観客の反応は薄いわ会社はバックアップしてくれないわでちょっと気の毒だ。


<第5試合:IWGP次期挑戦者決定トーナメント>
○天山 広吉 対 ×中西 学(12分17秒:アナコンダクロス)

  そして新日本で最も気の毒な天山。自分の予想は天山の勝ち上がりだが、そんな心遣いをする余裕もなさそうなのが今の新日本だ。対するは『からくりTV』で焼肉人生相談のコーナーを担当する事になった中西。「選りに選って一番バカなヤツが出て行った!」と誰もが言いそうだが自分も言ってみる。

それにしても恐ろしいまでにド退屈な試合だった。中西を未だに一度たりともIWGP王者にしていないのが、新日本もさすがに見えてない人ばかりではないという事の証明なのか?


  <第6試合 ヤングライオン杯優勝決定戦>
○後藤 洋央紀 対 ×伊藤 博之(9分45秒:ゴートゥーヘヴン)  

試合前にゲロが「20年ぶりの両国でのヤングライオン杯決勝」と言っていたが、はぁ〜あの猪木対ブローディの初対決からもう20年も経つのね。「ワシが歳を取るはずじゃわい、なぁバァさん」・・・と言える相手も未だにいないわけですが。
ここでまたまた昔話になるけど、全部見たわけでもないのに断言すると今までのヤングライオン杯決勝では、最初である小杉対山田が群を抜いて面白かったな。ケガで浮上できなかった小杉だけど、あの試合は忘れられないよ。

さて本題。元リンオタでない事を証明するかのように、今回が伊藤の試合初生観戦だ。あれ?一回くらい見てるかな?
対する後藤も意識して見るのは始めてだが「コイツより上だってところを見せつけてやる!」という気持ちが伝わってくるいい選手でしたよ。こういう選手がいるんだから、新日本も捨てたもんじゃないです。

伊藤のプロレスに対するスタンスについては、後藤が気持ちを出してくるタイプという事もあってか「ま、こんなもんでしょ」感がチラリ感じられたのはいただけないかな。表現の領域になるとキャリアが重要なので、あまりゴチョゴチョ言っても仕方ないか。

バックドロップで受身取り損ねて伊藤がもがくところを、後藤がオリジナル技のゴートゥーヘヴン(変形アングルスラム?)で・・・という文脈のフィニッシュ。伊藤、ホントのケガじゃなければいいんだけどね。


<第7試合>
×飯塚 高史&佐々木 健介 対 ○ロン・ウォーターマン&鈴木 みのる(14分3秒:タイガードライバーからのエビ固め)

馴れてきた事もあってか、みのるが今までの技をスカせるだけスカして作る独特のリズムから変わってきていて、ある程度は受けておいてフェイント入れるとかいった動きが目立った。あと張り手食らってフラフラとした足取りから倒れるところなど、藤原っぽくてなんかおかしかった。
パンクラつながりのウォーターマンは、Aトレインのような本物のバケモノを間近で見た直後だけに、よく鍛えた人の範疇を越えるほどではなかったが、それでも軽々と飯塚をリフトアップしたシーンでは会場が思いの他沸いていた。やっぱり「デカくて千円!」だよな。


  <第8試合>
×永田 裕志 対 ○高阪 剛(4分19秒:レフェリーストップ)

結果から言えば前田対藤原の猪木への挑戦者決定リーグ戦決勝と同じで(逆だけど)、レッグロックをかけられてる高阪が、永田を落としていた、というフィニッシュ。
ただプロレスという舞台で安心して力を発揮できる永田の、まさに流れるような動きはやっぱりスゴイね。肩固めからのナガタロックなんか、普段から使っても十分沸くんじゃないかと思えるほど。素直に感心しますよ。

一方「プロレスだから心配していない」とばかりに来週ヒョードル戦が控えているのに出場した高阪。コンディションの良さを感じさせる動きは見せたものの、特筆するような見せ場はなし。もうちょっとなんとかなると思ったんだけど、これもプロテクトの一環?。
試合後高阪は「こんなんで誰が納得すんねん。あんたはオレの足、壊してんねん。どう思う?」とかなんとかマイクで言ってたけど、壊したって言ったって『武士道』はフツーに出るんでしょ?
まぁ前田指令でのケガのフリだったら、それはそれでスゴイけど。


<第9試合:IWGP次期挑戦者決定トーナメント>
○天山 広吉 対 ×蝶野 正洋(19分2秒:アナコンダクロス)

この試合の勝者がメインの勝者とドームで戦うわけだが・・・自分が思うにドームのメインとして、中西を含めた5人の顔合わせでは小島対中邑が最もふさわしいと思っているし、そしてその見る目が正しくなかった事はこの日のお寒い入りが物語っているわけだ。
試合はグダグダで、この試合で勝ち上がっても新日ファンは感情移入できるんじゃろか?と余計な心配までしてしまう。結局勝った天山だが、先日の試合のイメージは恐ろしいもので、ちょっとヘバった姿を見せただけでかなりネガティブな雰囲気が支配してしまう。これを払拭できるかはかなりムズいと思いますけど。


<第10試合:IWGPヘビー級選手権試合>
△[王者]小島 聡 対 △[挑戦者]中邑 真輔(60分フルタイムドロー)

試合開始の時点で9時を越えていた事だし、さすがにドロー防衛は考えていなかったが、中邑プロテクトという事なのか、そうなっちゃいました。

試合前には特に「中邑」コール、「小島」コールが起きるでもなく、例えば武道館での三沢対小橋を控えた時の、セミファイナルの辺りからメインへの期待で会場全体が試合に集中できなくなる雰囲気を知っているだけに、IWGPの失権というか、期待感の薄さに愕然としてしまった。

入場の際に1人やたら身体のブ厚い選手が目立っていて、誰だろうと思ったら全日本の諏訪間だった。新日本は棚橋がいるなー、くらいで新日本一丸となっての挑戦という空気が伝わってこない。色々な思惑はあるんだろうけど、もうちょっと協力してよ・・・。
試合は小島が本間相手にもそうであるように、どんな相手にもちょっとだけ強そうな勝ち方を心がける試合ぶりで、JBLの言う「その日の興行で最も働くチャンピオン」の姿を見せた。何しろ中邑は攻撃のバリエが乏しいため、ネタでなく三角10回、腕ひしぎ10回という展開で、小島がそれに付き合うとそれらの技の切り返しではなく、悶絶してロープに逃れるだけという事で、自然に単調な展開となってしまうのだ。
そこを小島は歴代三冠、IWGP王者の技を出し続ける事でヤマ場を作り、終盤中邑のスリーパーを食らった時には健介の「スリーパーやられながらフォール」まで見せるのかと思いましたよ。
結果はフルタイムドローとなり、これで新日本の次のドームは小島対天山がメイン。中邑について言うなら、60分持たせるだけの多彩な動きが出来ないのはキャリアからしても仕方ない。責められるべきは、その中邑で60分ドローのブックを決めた新日本の誰かだろう(誰なんでしょ?)

それにしても新日本プロレスは「チケット売れてないから小島出してくれ。でも中邑に傷は付けたくないから60分ドローで」と全日本にオファーをかけたのか。大した度胸です(受ける方もどうかと思うけど)。


<総括>
正直言って新日は両国を当たり前のように埋めていると思っていたので、この惨澹たる入り具合にまずビックリだ。小島を急遽参戦させた事で多少でもチケットが動いたとしたなら(自分もそうだし)、それまでの売れ行きはどんなものだったというのか。と言っても全日本の東京エリアのファンは、満足度はともかく集中して行なわれる興行の密度で、いきなり「チケット買え」と言われてもちょっと控えるよ。
今回は6時開始で10時過ぎ終了だけど、本来通常の興行のはずが急遽60分フルタイムドローが入った事のしわ寄せなんだろうな。
21日に見た全日本の後楽園大会が素晴らしかったので、どうしても必要以上に比較してしまうのだけれど、まず興行デザインが統一されておらず、両国でこの対戦が!というものが観客には伝わっていないように思えた。
経費の都合はあるだろうけど、大会場ではビジョンなどでその試合のテーマを簡潔に提示するくらいはしてもいいのでは?そしてできないような試合は切る、と。

とにかく日曜に6時に集めて10時過ぎに返すなどというふざけた興行はもう終わりにしないと、益々観客の足が遠のきますよ。まずは観客の立場になって考えて欲しいですよ。






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