カウチポテトで三冠戦。
■団体:全日本プロレス
■日時:2005年2月16日
■会場:代々木第二体育館
■書き手:PON

−はじめに−

2005年2月16日、小島聡が三冠ヘビー級王者に。近頃勢いのある全日本プロレスに、また新たな一ページが刻まれました。
突然ですが、ボクは、今回の小島聡選手の戴冠劇にいたく感動しておるのです。「威厳がない」とか「ラリアット頼り」とか「しょせん 小島」とか「そもそも三冠とは、だなぁ(以下略)」とか色々言われてますが、プロレスファン歴の浅いボクには知ったこっちゃない話。
いつのまにか、デカくなったなぁ。コジ。純プロレスの観戦記は初めてだけど、この一戦は是非とも自分の中に留めておきたいので、
ビデオで振り返りながら挑戦します。
今回の観戦記は、テレビ東京系列でローカル放送された 「プロレスLOVE・夜のシャイニングインパクト 三冠&ダブルタイトルマッチSP」
に準拠しております。ご了承ください。実況は鍵野威史アナウンサー、解説は渕正信さん。


−雨の代々木の三冠戦。どっこいオイラはテレビ桟敷−
あー、そもそも、タイマー予約していたビデオデッキが作動した瞬間、体が震えたんだよな…プロレス、格闘技を含め、テレビ放送を これだけの気分で迎えたのは、ホントに初めての経験だなぁ。

雨の代々木第二体育館に詰めかけた6000人超満員の観衆。マジで札止め、入れないお客さんもいたらしい。スゲーなぁ。
そして、館内には川田、小島両選手の応援シートが設置された。ここのお客さんには、川田席には黄色、小島席にはオレンジ色の サイリウム(夜店で売ってる光るアレ)が配られた。

打ち振られるオレンジの光の中、挑戦者である小島が入場。思い起こせば半年前、2004年の7月。小島は、NOAHの三沢光晴と 対戦し、敗れた。

「覚えてないけど…体は凄く感動してる」
と試合を振り返る小島に、
「全日本を代表して戦って、負けて感動っつうのはおかしいだろ」
「小島に伸びてもらわないと。全日本には次の人間いないんだから」
と、三冠王者である川田は薄笑いさえ浮かべながらダメ出し。
その川田にシングル戦で敗れた小島は、
「川田とやって残ったのは、200%悔しい気持ち。この悔しい気持ちが、あの人のメッセージだと思う」
と、結果を出せないことへの無力さをかみしめた。


「敗者復活戦」シングル七番勝負を終えて三冠に挑みたい小島だが、その小島の目の前で、川田は佐々木健介を挑戦者に指名。
川田は防衛に成功し、連続10回防衛という記録を打ち立てた。 その後小島は挑戦権を与えられるが、タッグマッチとして組まれた前哨戦でも、川田は徹底的に小島を無視する。

小島は苛立っていた。
「オレが、全日本プロレスのナンバーワンだ!バカヤロー!オイ!!」(※正直、このマイクはさすがに萎える)
「武藤、川田、小島。川田、武藤、小島。なんだっていいけど、なんでオレはいつも三番目なのかってのがありますよ」
「100%勝てるって保証はないけど、オレは、100%勝つ」

かつてないほどに自らを追い込んだ小島が、ついに、三冠ヘビー級王者川田利明に挑む。


○2・16代々木競技場第二体育館
 三冠ヘビー級選手権試合・60分1本勝負
 川田利明(チャンピオン)−小島聡(挑戦者)

試合開始。川田をロープに押さえつけた小島が胸元にチョップ二発。川田、ハタかれた胸をチョイチョイと払う。
余裕シャクシャクの川田の表情が憎たらしいなぁ。川田、小島をステップオーバートーホールドやヒールホールドで攻め立て、 サーフボードストレッチにとらえる。これをかけられたまま、立ち上がる小島。あくまで絞ろうとする川田と、腕力で返そうとする小島。
変形だがこれは手四つといえるのか。
ようやくしのいだ小島がエルボー、チョップを出していくが、川田の張り手はものすごい勢い。完全に川田が小島を圧倒する展開だ。
会場も、川田のカンロクにため息をもらすシーンが多いぞ。
小島、何とか川田をコーナーに押しつけ、声を上げながら逆水平を入れる。両者の表情、気合いを前面に押し出す小島と、ほとんど 無表情の川田との対比が面白い。
川田を対角線に振り、ランニングエルボー。この流れは小島定番の「いっちゃ……わない!最近、小島は「いっちゃうぞエルボー」を 封印しているのだ。これは、小島なりに現状を打破したいという気持ちの現れだと思う。


「いっちゃわない」でエルボードロップを落とした小島、コーナーポストに上がろうとするが、川田の顔面蹴りで、リング下放送席前へ 転落。ロープ越し、さらには場外で顔面蹴りの連発!小島への思い入れが急速に強くなってきているボクには、容赦なく攻める川田が とんでもなく高い壁に見えてしかたがない。

ここで、客席のファンから「小島!お前が取るんだろう、ベルト!」の声。そのタイミングに、実況の鍵野アナも思わずそれを拾う。
今日の小島には、ファンの期待がいつも以上に、今までで一番かかっているんだなぁ。しかし、川田の攻めはそんなファンの期待に 小島が応えられるのかを試すよう。場外の薄いブルーマットの上で、高角度のパワーボム!
リング内に小島を戻した川田は逆片エビ。立ち上がって絞るその角度はエグすぎる。ロープに逃れた小島、エルボーで反撃に出るが、 これを前に出ながら受けきった川田は左右のエルボー、顔面蹴り、ラリアットをお見舞いし、ストレッチプラムで締めあげる。
解説席の渕さんが「小島にとって、今までに一番厳しい三冠戦だな」と評する中、川田はストレッチプラムの体勢からアームロックを 複合。さすがにスゴいな、川田。小島に、文字通りなんにもさせてないよ…


ここで川田、バックドロップの体勢に入るが、小島はエルボーでカット。ローリングエルボーからコジコジカッター、さらになんと タイガードライバー!川田に対して、自らの得意技を絡めた「三沢ムーブ」で対抗だ。続けて川田の後ろにまわるが、これを川田は オーバーヘッドキックで切り返し、再びバックドロップの形に。ロープをつかんで粘る小島だが、ついにバックドロップ炸裂!
これがヤバい!高さはないしブリッジもしていないのだが、小島の延髄が鋭角にマットに突き刺さるモノだ!
カバーする川田、2で返す小島。立ち上がった小島に川田のラリアットが命中。ダウンをこらえた小島に川田は二発めを狙うが、 そこは譲れない小島、ラリアットにはラリアットで迎撃!反撃の糸口をつかんだ小島は、垂直落下式ブレーンバスターの二連発。
バックドロップのお返しとばかり、まさに脳天をクイ打ちにしていった。そして小島がこの試合初のフォール、カウントは2。


返された小島、ヒジのサポーターを外してロープに走るが、川田は顔面蹴りでカウンター、ジャンピングハイキックで追撃。
しかし、小島もただアピールしたわけではない。ダウンせずに耐えてラリアット一閃!すぐに立ち上がった川田がまたしても顔面蹴りを 打ち込むが、小島はこれもこらえてラリアット。これが相打ち!続けざまに放った三発めが川田にクリーンヒット, 待ちに待った小島の攻勢に、オレンジのサイリウムを振るファンの歓声が降り注ぐ!


小島カバー、川田、2で返す。「普通ならこれで決まってる」と渕さん。ここで小島は「川田殺し(※スリークラウンホールド、 と新日中継で呼ばれた。いや、どうせならトリプルクラウンだろーよ)」を繰り出した!川田、必死にロープに足をのばすが、 和田レフリー、一度めは認めない。二度め、川田の足首が完全にロープにかかってからのブレイク。
大・小島コールの中、CCD!そして再び川田殺し!今度は、体を反らせてグイグイと締めあげる。
自らほどいてフォールにいくがカウント2。
一気に流れをつかんだ小島は、さらなる畳みかけを狙ってロープへ飛ぶが、川田はラリアットをジャンピングハイキックで迎撃、 たまらず小島は倒れ込む。立ち上がるものの朦朧としている小島にジャンピングハイ、そして、一度めより遙かにキツい角度の バックドロップ!小島ファンの悲鳴が上がる中、ステップキックから高角度のパワーボム!
今日最大のピンチに、ファンが今までで一番の小島コールを送る。これに応えて川田のカバーを2で返した小島、川田とエルボー合戦。
川田がジャンピングハイを出すが、今日はずっともらい続けたこの一撃を小島はとうとう見切ってブロック、至近距離からのラリアット。
押さえ込まれながらなんと1で返し、リング中央で吠えた川田に、ロープを利用した小島のラリアットが命中!川田、このカバーも1で 肩を上げ、再び仁王立ち。背面から、そして正面からラリアットを続けざまに浴びせる。とうとう、小島が川田の表情を変えさせた!
フラフラの両者、期せずしてか対角線…川田を睨みすえ、雄叫びを上げた小島のラリアットが打ち抜かれる!もんどり打った川田を 小島が片エビ固めでカバー、ついに、ついにカウント3!
「苦節十四年、全日本に移って三年、四度めの正直、小島、ついに頂点を取りました!(鍵野アナ)」


試合時間は27分4秒。激闘の果てに勝利した小島に、川田が三本のベルトを手渡す。 「今日は、勝って感動したでしょう!」 と渕さん。

川田によって腰にベルトを巻かれた第33代三冠ヘビー級王者、小島聡のマイクは、 「川田さんみたいなプロレスラーに出会えて、本当に良かった!ありがとうございます!

まだまだ半人前のチャンピオンですけどよろしくお願いします!どうもありがとうございました!」
新王者小島、悲願達成で男泣き。応援し続けたファンも、それぞれの思いを胸に涙にくれていた。


●試合後の川田。
「今日は小島に完敗しました。負けて気持ちいいっていいのは一番おかしいけど、そう言ってきた小島に自分の気持ちが伝わった っていうのは、悔しい反面、小島で良かったかなって。」
川田はいい先輩であり教師なんだなぁ。この「贈る言葉」にも感動。

●試合後の小島。
「ちょっと言葉になりません。 あの人(川田)に認めてもらうためにプロレスラーやってるんじゃないけど、あの人に認められることが、 こんなに嬉しいこととは思わなかったです。 あの人と同じ時代に、プロレスラーとして同じリングに立って試合をしたことを誇りに思います。 今は最強の、最高のチャンピオンじゃないかもしれない。でも、元気のあるチャンピオンでいたいと思います。」

小島もいい生徒だ。こういうサッパリとしたやり取りから、三冠を巡る二人の今までの関係が、最高のかたちで昇華されたんだなぁ、 と感じられました。


−総括−

ここまで書いといてなんなんですが、ボクは、コジのことはずっと軽視してたんですよ。それこそ新日で天コジとかやってたころから。
すぐ上の天山のコピーにしか見えず、よせばいいのに同じ軍団に入ってみたり。どっちかがいればいいんじゃん、って。
そして全日移籍後についても同じような感覚というか、いみじくも小島自身が言っていた通り、「けっきょく三番目」って感覚でした。
だけど、今回のこの三冠戦をきっかけにうっかり大ファンになってしまったんです。等身大の良さというか、言ってみれば 「俺たちのチャンピオン」みたいな一体感をもらってしまったんですね。これから応援していくのは当然として、その前に、何らかの かたちで自分なりに今までのコジ評にケジメをつけたかったんです。健介バリに「正直、スマンかった」と。このテレビ観戦記は、 そのケジメのつもりです。


一試合だけの観戦記にしてはエラく長文になってしまいました。読んでいただいてありがとうございます。
長かったけど…書いてて楽しかったぁ。
では。
http://ip.tosp.co.jp/i.asp?i=ezpon




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