女子プロレス新世代興行「LADY,GO」
■団体:JWP
■日時:2005年1月8日
■会場:新木場 1st RING
■書き手:凸ユーレイ

 今年の初観戦は、NEO主催、キャリア5年以下の選手による女子プロレス新世代の対抗戦「LADY,GO」。初めて行く赤レンガ倉庫で、初めて尽く し。横浜にかつて15年ほど住んでいたのだが、みなとみらい地区開発の前に東京へ引っ越しているので、まったく不案内。海縁なので寒かった。

 中に入ると、千葉道也が翌々日10日の尾崎魔弓興行のチラシを撒いている。この人、02年JWPをクビになったばっかりの時期に、OZ興行にいきな り現れ、メインでデビル・関西・尾崎・輝・天野組をリングアナとしてコールしている。このときはキューティがセコンドについたんだよな。
 同じ会場に、チケットを売りにボリショイ、さらには山本雅俊も来ていたので、一つ屋根の下に馬場元子と三沢光晴と永島勝司が同席したよう な、なんだかわからないがそんなことになる。

 広さは新木場の北沢タウンホールぐらいかな。超満員(発表300人)。


 甲田社長なぜか坊主頭、それでもキモイものはキモイ。

 赤レンガ倉庫では、この先日7日から翌々10日まで4日間で計6興行が行なわれ、それを後援している関係で浜部氏以下、安西、須山、新井らベー スボールマガジン社の面々が多数来場していた。

 開会式。参加7団体ごと、我闘姑娘、AtoZ、JDスター、NEO、LLPW、JWP、全女と、歴史の新しい順に各団体の入場テーマ曲(我闘は♪がんばれ負 けるな〜♪)でリングイン。挨拶はなぜか、主催団体からただ1人出場の松尾ではなく、昨年末にやはりジュニア世代のオールスター戦をNEOとは別 個に主張してJDで実現させたMARU。

 リングアナは鶴賀義紀(AtoZ)・石田亜矢子(NEO)・伊藤こーへー(フリー?)、レフェリーは伊東幸子(フリー)・ジャッジ金子(ジャッジサポート) が、交互に務める。


1.○アメージングコング(全女)(7:18裏拳から)×木村響子(JWP)

 当初、オープニングは木村と華名(AtoZ)の対決になる予定であった。マッチメイカーの甲田としては全7戦の構成のうち、第1,4,7試合では、ま ず初っ端に技術以前の気迫だけがぶつかり合うような試合を、真ん中で高度な技術の競い合いを見せ重量感と引き締まりを、最後に自団体の選手を 同世代で一番手のスターにぶつけようと、考えていたのではないか。そしてその初っ端と真ん中を、通常から関係の深いJWPの2選手に担わせた。  もしそうであったとしたなら、華名の欠場は痛かったはずで、実はまだデビューして2年余という意外なアメコンの登用も、最初の目論みからす れば不足なものだったかもしれない。

 じっさいに、入場のアメコンダンスの最中に木村が奇襲、中盤でアメコンがバックドロップで投げられるなど、それなりの見せ場はあったもの の、わりと当たり前の展開に。木村の1発2発では倒れないアメコンが、何度目かの連発でようやく倒れる、以上に意味のある試合を作ることは、こ の両者では出来なかった。

 腕を三角巾で吊ったままの華名、セコンドについたり会場の隅からだったり、全試合を観戦。その姿はいつも変わらないが、その熱心さを持ち続 けて、怪我も早く治してほしい。  

2.○MARU(JD)(10:22フロントネックロック)×零(我闘姑娘)

 第2,3試合、我闘の2人とも♪今は〜誰も〜知らない〜♪で入場。

 いつも他団体に出場しても身内との対戦が多い零だが、この日は初顔合わせの選手相手にノビノビ試合する。序盤のダイアル固め、中盤のドロッ プキック連打、キャンドル、終盤のジャーマン。  してみるとMARUが上手かったのか。この選手、攻めてるときの動きがゼンマイ仕掛けの人形みたいで今まであまりいい印象が無かったのだが、そ してそれはこの日もそれほど変わらなかったのだが、敵の技を引き出すという点では、しばらく観ていない間に上達していたのかも。

 MARUが、相手の肩の上に乗ってクルクル回ってからのフェースクラッシャーに入る際、零がちょっと腰を屈めて待っているのがわかっちゃった 他、若干のミスが双方ともにあり。


3.○未来(AtoZ)(7:35クロスフェース・オブ・未来)×市井舞(我闘姑娘)

 これまで、試合内容にムラがあり、ややもすると感情が表に現れず表情が能面のようで、お人形さんのようなファイトをしていた未来。JWP木村 への見下し発言もあって、私の中ではすっかりヒール的存在であった。

 ただ、Webで公開している日記(URL:http://www.alfoo.org/diary/miratan/)がとても興味深く、繊細で、倣岸でもあり自意識過剰でもあり、傷 つきやすく、揺れる気持ちを事細かに綴っていて、こんな感性がリング上でも表現できればいいのにと思い、印象もかなり好転してきていた。

 この日は、以前から「ブッ潰す」と公言していた舞を相手に、いきなり荒荒しく吠えながら攻めこみ、中盤にはハイキックを何発も何発も、避け ることなく、ユラリと立ち上がって食らい続け、ポスト最上段からのカサドーラ風垂直落下?回転エビ固めという危険な技も受けきって、最後は圧 倒的に勝ってみせた。

 先に書いた、試合での自己表現という点ではこの日は文句の付けようが無く。日記によれば、以前は認めていなかった木村や舞のことも、今では 素直に尊敬できるんだとか。コスチュームも昨年までのオレンジから紫+白に変えた未来に、今年は注目。


4.△米山香織(JWP)(30分時間切れ)△玲央奈(AtoZ)

 米山より1年早くJWPに入門(春山たちと同期)したが僅か1日で逃げた高瀬(=玲央奈)。
 逆に、高瀬が合格した同じ年のアルシオンのオーディションを落選している米山。  本人達の意図せざる深い因縁で結ばれた2人、ここまでの対戦成績は高瀬の3勝。この間、しばしばタッグも組んでいるが、シングル対決は2年 数ヶ月ぶり。

 前腕パンチ合戦。フォールの体勢をブリッジで抜け出してロープに走りドロップキックを打つ動きをお互いにやり合う。モンゴリアンチョップの 打ち合い、ローキックの打ち合い。取り憑かれたように、鏡を見ているように、同じ技を返し合う2人。

 大声合戦というのもあって、リング下の敵に向かって米山「上がってこい、怖くて上がって来れないのか?!」玲央奈「なんだと!」。なんか玲 央奈の台詞って、杓子定規な感じで可笑しいんだよな。マジメな性格がうかがえて。

 米山のボーアンドアローが崩れたところすかさず上の玲央奈がフォールを取りに行ったシーン。ボディシザースの膝に自分の肘を当てて外そうと する、よくある場面でその玲央奈の肘を逃さず、間髪いれずに米山が腕ひしぎに取ったシーン。何気ない動きだったがその2つが記憶に残った。第3 試合までより数段、技術のレベルが高い感じ。惹きこまれるように見入ってしまう。まあ米山を応援していたのでその分熱も入っていたわけだが・・・

 大技の応酬。2年数ヶ月の間にお互いが新たに身につけた技、玲央奈はローリングセントーンぐらい?だが、米山はジャガー式バックドロップ、 ローリングソバット、自ら跳んで逆方向に回るラマヒストラルなど、惜しげも無くぶつけ合う。

 途中から、なんとなく引き分けムードが漂っていたが、さすがに30分では短かった。残り2〜3分、延々丸め込み合いを演じている最中でジ・エン ド。

 米山が玲央奈に近づいて、ちょっと荒っぽく腕で背中を叩き、声をかける。玲央奈の顔が瞬間、くしゃっと歪む(この翌日のJWP道場マッチで、 米山に直接「なんて言ったんですか?」と尋ねたが、「ヒミツです〜」と教えてもらえなかった。想像するに「もう1回やろう。AtoZの経営が苦し いみたいだけど、気持ちわかるよ。がんばれ」ってところか)。

 ノンストップで動き回る、技術的に高度な大熱戦だったが、例えばこれ、会場にけっこうな数つめかけていたHikaruファンが見て、「この子達も すごいね!」という印象を残せただろうか。たぶん、否。2人とも、若くして職人的にプロレスは巧いが、それを超えて訴えかけるものには残念な がら欠けているような(私のようなオタクに対しては別として)。いくらこれほど熱のこもった試合をたくさんしても、決してスターにはなれな い、というような。なぜか、報われない試合、旧全日が地方のメインで30分以上試合をしているような、という連想が働いてしまう。

 あと、どちらも負けさせられないからといって引き分けの星をつけてしまうのは、若干安易な気がしてしまう。やっぱり、どちらかが勝つと思っ てハラハラして最後まで見ているんだから。


   休憩。
 第4試合を見るのに力が入りすぎてしまい、後半は気が抜けてしまったので以下は簡単に。


  5.○前村早紀(全女)(11:20フィシャーマンズSPX)×レヴン寛香(LLPW)

 早紀ちゃん、後輩相手だからかいつもより自信たっぷり、余裕を持って試合を進めている… と思ったら後半少し動きが落ちた。どこか痛めたの かな。小さな身体は満身創痍なはずで、それでも団体がタイヘンななかフル回転している前村。それに応えて全女もアゲているらしいので、なんと か身体を労わって頑張って欲しい。

 レヴンを観るのは一昨年のJWPのディファ以来だろうか。横幅が大きくなっている気がしたのと、顔がますますカエルっぽくなっている気が。試 合数を増やしてあげて欲しいな>LLPW。  


6.○西尾美香(AtoZ)(14:31ジャーマン)×亜沙美(JD)

 亜沙美を観るのも一昨年のデビュー戦以来。蹴りばっかりなので、西尾キレたかと思いきや、試合後の評価はむしろプラスだったらしい。
 あい変わらず顔でプロレスしている西尾だが、いささかその表情も、型通りでハナにつくようなつかないような。


7.オールパシフィック選手権
○Hikaru(王者、全女)(14:20ラナキラHから)×松尾永遠(挑戦者、NEO)

 諸々の状況証拠的なものを差し引いて、試合内容だけで見てもどうしても松尾が勝てるとは思えなかった。
 昨年後半から、団体の期待に応えて一所懸命やっているとは思うんだけどねえ>松尾。相手の技を返して反撃して、という熱戦を演じることは、 体力さえつけば出来るでしょう。そこから先は… そうしたらいいのかねえ。

 熱いHikaruファンがやはり数十人の規模で来ていて、試合中攻めていてもやられていても、のべつ幕なしに黄色い声援が響き渡りまくる。この熱 が、少しでも多くの一般の人に伝わって、今年こそ、女子プロレス全体の景気が良くなるよう、Hikaru人気に便乗できるよう、心から願いま す。




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