「正義!」 新日本プロレス大阪府立大会観戦記PPV
■団体:新日本
■日時:2004年12月11日
■会場:大阪府立体育館PPV
■書き手:ノリリン

今年のG1決勝は優勝予定の高山の突然のリタイアにもかかわらず、見事に組まれたトーナメントと素晴らしい試合で最近では珍しい新日のあたり興 行になった。

その2週間前ゼロワンの火祭で佐藤耕平が優勝しただけに、ファンの期待の流れ的には新闘魂三銃士の誰かが優勝が期待されたんじゃないかと思う んだが、中邑・柴田・棚橋と三連覇した天山が優勝した。
相手が大森であったと言うこともあるが、佐藤耕平が圧倒的なコールと祝福のうちに優勝したのと違い、G1の決勝では天山へのコールが棚橋を圧倒 していた。ゼロワンでは耕平が優勝するのがファンの希望であり、ファンの善であり、ファンの正義であったのに、新日では棚橋はそうはなれな かったらしい。


第一試合
○長尾浩志・エル・サムライ   10分04秒 チョークスラムから 片エビ固め   安沢明也× 田口隆祐

新日黒タイツ伝統の前座スタイル+エルサムライ。長尾は背が高かった。怪物ギミックを身につけるべく回転エビに来た安沢を捕まえてチョークス ラムでピン。しかし、もう少し筋肉をつける必要がある。沢山ジュースを飲むこと。 総じてまだ席に着ききれていない客にふさわしい試合。


■ 第2試合(15分1本勝負) ■
○成瀬昌由   2分51秒 ヒザ十字固め   後藤洋央紀×

成瀬がその前の大阪ドームで何を叫んだか分からないし、後藤には何か主張があるらしいんだがそれもよく分からないんだが、試合を見てもやっぱ り分からない。でもまあ、主張があるのはいいことだ。その主張の強さに比例すべき顔の表情は後藤の方がいい。週ゴンやESPNなどでしっかり新日 を追いかけている人には分かるのかも知れない。どこが面白いのか分からないが、これはこれでいいのかも、短かったし・・・ 


■ 第3試合(15分1本勝負) ■
○金本浩二 井上 亘 タイガーマスク   13分41秒 アンクルホールド   邪  道× 外  道 田中 稔

邪道外道も長いな。金本も長いが・・・大体新日のJrには7年くらい前に厭てしまった。問題はやっぱりヘビーに卒業しないからだと思う。大谷、 カシン、ホナガ、ベノワ、エディゲレロとたくさんのレスラーは去ったけど未だに金本とライガーがいるもんな。金本なんか鈴木や健介より背が高 いんだし充分いけると思うんだけど。 何故試合のことを書かないかというと・・・よそ見していたから。 でもそこそこ会場受けはよく盛り上がっ てきたようだ。


■ 第4試合(20分1本勝負) ■
○天龍源一郎 中嶋勝彦   10分25秒 53歳から 片エビ固め   矢野 通× 真壁刀義

なるほど中嶋くんはなかなかいい素質をしてると思う。なんにしても若いのに違和感がない。大袈裟な跳びに頼ろうとしない。大技も使わない。な のに場違いじゃなくそこにいる。ま、大人たちのおかげでもあるが・・・ 矢野は知らない間にトーゴーキャラになってる。今の時代にグレート東郷をやってしかもヒネリがないのが素晴らしい。試合は天龍の気使いのうち に進み、特に目新しい展開もなく天龍がピンを取った。天龍は大人(と言うかじいさんか)だけど、このスタイルは天龍の味を殺す。いやもう死ぬ べき時かな・・・ 


■ 第5試合(20分1本勝負) ■
○吉江 豊 ブルー・ウルフ 飯塚高史  14分35秒 ダイビング・ボディプレスから 体固め   長井満也× スコット・ノートン  ブラック・ストロングマシン

焼き肉を食っていたのであまり見ていないが、吉江の恐怖の圧殺は見た。ワザの破壊力云々はともかく、何はともあれ吉江のフライングソーセージ は悪夢として成立するある意味ビッグショーのボディープレスより暑苦しい。 思うんだが吉江のボディーラインはデブ女ギミックに向いている。豊田吉江とかに改名して、コスチュームをピンクのワンピに変えて、ヒップド ロップをフィニッシュにすれば中ブレーク間違いなし。


ここで休憩。淡々と消化しつつもある程度のレベルがある・・しかし層の厚さがあっても熱さがない前座というのが新日の問題だな 2年前のゼロワンなら休憩までに一つや二つはもっとひねりのきいた試合があったのに


■ 第6試合(30分1本勝負) ■
○中西 学 獣神サンダー・ライガー   8分03秒 ヘラクレスカッターから 片エビ固め   石井智宏×  長州 力

中西って何故こっち側なんだろうと不思議に思いながら見てたんだけど、何ら変わりない中西を見ていると、どこにおいても一緒だからあっちも こっちもないんだろうとポストモダンに浸りだした。でも、どこにおいても首から下は素晴らしい。石井は長州のお付きとしてどこに出しても恥ず かしくないようになったが、逆に見ると閉塞状況の象徴のようにも見える。
長州はもう既に動いているだけで安心する馬場の領域に近づきつつある。そのレベルまで評点を下げればこの日は意欲的な動きだった。
と言う訳なんだが、個々の動きやコールの不細工な点を除けばフィニッシュのヘラクレスバスターまでそこそこよかったかも。 


■ 第7試合(30分1本勝負) ■
○蝶野正洋   13分23秒 F.T.S   永田裕志×

で、ここら辺から真面目に見た。 永田は膝にガタが来ているのか入場の歩き方がおかしい。蝶野は恐い不機嫌な顔が似合うが、永田は全く似合わ ない。中西と同じキャラの方がいいんじゃないの?
試合は早々に蝶野の額がわれて流血。永田が攻め込んで、蝶野が珍しく受け身を幾つか取る。その後蝶野が新兵器スライディング喧嘩キックで逆 襲。永田の膝を攻め込み、同じく新兵器FTSでフィニッシュ。
永田のコンディションは10円安だが、蝶野がこの日はショルダースルーだのバックドロップ連発だのいろいろ受け身を取っていた。蝶野は確かに 少しコンディションがよくなったのかも・・・・ただ、ひとつ下の世代と同じ動きが出来るまではもどらないだろうけど


■ 第8試合(30分1本勝負) ■
△天山広吉   30分00秒 時間切れ引き分け   小島 聡△

ある意味このカードは今の日本プロレス界の頂上決戦。中味で言えばどこの会場のメインでもおかしくない。但しそう評価するひとは大阪府立体育 館一杯よりは多くあるまい。試合時間が30分とは知らなかったのでハラハラいっぱいで見れたが、この二人なら60分引き分けでも退屈にはなら ないだろう。それだと3日前に川田と30分強、翌日佐々木と30分試合しなければならない天山が死ぬかも知れないが・・・  ただ、この二人の場合は何時試合しても同じような試合になってしまう可能性がある。しばらくはまた寝かせるしかないか・・・・


■ 第9試合(60分1本勝負) ■
IWGP タッグ王座決定戦

○棚橋弘至 中邑真輔   32分33秒 ドラゴンスープレックスホールド   鈴木みのる× 佐々木健介

いい試合が成り立つにはいろんな条件がある。その為の条件を全て満たしている必要はない。例えば天山vs小島はうまいレスラー同士の対戦とい う条件を満たしているが試合までのシチュエーションが今ひとつ。対してこの試合は選手に因縁がない。しかもうまいレスラー揃いというわけにも 行かない。しかしこれがいい試合になった。
前日に棚橋・中邑が負傷。棚橋の膝が悪いそうな。試合開始早々、棚橋が膝をやられて戦線離脱。ミノル・健介が中邑いたぶるいたぶるいたぶる いたぶる、約20分。鈴木は新日で初めてヒールとして昨日した。いたぶるシークエンスは単調さが問題だけどその単調さがさらに観客のいらだち を誘う。中邑はやられている時の顔が貧相。それが単調さを増しさらに観客と視聴者のいらだちを誘う。棚橋がいたぶられてるんではこうはいかな い。時々戦線離脱した棚橋が復帰して中邑を救出しようとするがすぐに蹴散らされて戦線離脱。その様がまた棚橋ならではの嘘くささ。それがいら だちをさらに増す。中邑が蹴散らされ点ではこうはいかない。

そうこうしているうちに25分を過ぎる。ここで健介・ミノル組はグダグダになり出す。イジメが続いたのはいいが、そんなに長く引きずるだけの 技量はない。キャラで10分・ワザで10分持たせたが、ここら辺で種切れ。そのグダグダ感がさらに儂のいらだちに七味唐辛子のように味を付け る。テンコジじゃあ、こうはいかない。というか、テンコジならもっと山あり谷ありの試合にしてこの試合は台無しになっているだろう。愚直なミ ノル健介だからここまでが成り立つ。うまいだけがいい試合を作る条件ではない。

25分からついに棚橋中邑が反撃開始、ドラゴンスリーパー&シャイニング三角のダブルや、ダブルジャーマンなどフィニッシュになってもおかし くない棚橋・中邑の山場やミノル健介組のダブル腕ひしぎなどの山場が繰り返されて、一気にヒートアップ。新日のことだからどちらが勝つやら全 く予想がつかない(1/4のカードもまだでてなかったし)。 最後は棚橋が鈴木をドラゴンスープレックスでピン。素晴らしい試合でした。この4者ともここまでの試合が出来たのは初めてではないだろうか? と言うか、次にはもう出来ないだろう。


試合後中邑が言う。『ハッピーエンドが一番』

鈴木は長い歴史を持つレスラーだし、健介は新日のエース(扱い)だったレスラー。ともに一応ファンがいる。一応外敵という扱いだけど、無念の 欠場の高山から託されたベルトを会社から取り上げられるという展開で、この試合までは特にヒール/嫌われ者ではなかった。なのに中邑は彼らが 負け、自分が勝つのを『ハッピーエンド』という。彼らは悪で自分が善。自分が勝つのが正義だという。

その言葉は試合が始まるまでは偽であったが、試合の最中に真になった。そして正義が最後に勝つのがハッピーエンド。試合の仕組みが見事に機能 し、試合に語らせることが出来た。棚橋も中邑も今日は正義になった。 いいPPVだった。

観客も視聴者も刹那的だ。試合の最中ほんの10数分で正義と悪を分けることが出来る。どんな歴史があっても。そしてうまく行われてさえいれば その結果に熱狂出来る。

みんな正義を求めている。ちょっと恐いが昔からそれが人が集まる時のきまりだ。




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