「スペシャルフォトレポート(後編)KOTC43マニアックレビュー」
■団体:KOTC43 REVENGE
■会場 : カリフォルニア州サンハシント ソボバカジノ
■日時:2004年11月14日
■書き手:ひねリン EX:hinerin's

さて後編です。ここでは、タクミ選手のタイトルマッチ以外の、この日のKOTCPPV大会の注目のカードに付いて書こうかと思います。俺の(地元格ヲタとしての)個人的な知識を総動員して書くので、かなーりマニアックな(=大部分の人にはどーでもいい)モノになるかと。こっちは写真はあまりないです。すみませんコレで許して(写真22)。あとは、こちらのページ(http://thefightgame.tv/King-of-the-Cage-43-Gallery-Results.htm)に各試合の写真がいろいろUPされてるので見て下さい。


第三試合 阿部裕幸 vs ラス・ミウラ。

これは注目でした。日本から来た阿部兄ィこと阿部裕幸選手を迎え撃つのは、クリス・ブレナン道場の最終兵器、ラス・ミウラ。彼はNHB経験こそ浅いモノの(シャードッグによると一戦一勝)、こちらのグラップリング界ではそうとう名を馳せてる選手です。ていうか今のところほとんど無敗みたい。レスリングベースでとにかく身体能力が高い。当然テイクダウン力もパス力も高いし、下になっても、そこからのヒールの切れが凄い。マジメな話、俺はこの選手と当たって壊されるのがイヤで、ブレナン道場のサブミッション大会への参加を見送っていました(笑)。いつも危険度の高い技を思いっきり極めてるんだもん。


で、今回の阿部との試合でも、ミウラは開始早々に見事な両足タックルを決める。でもそこで阿部のガードに捕まり、攻め手を封じられてブレイク。スタンドで再開すると、阿部が打撃を当てて優勢に。再びタックルに入ったミウラをがぶって、顔面にヒザを連打! ここでレフが慌てて割って入る。ミウラは目が腫れてかなりダメージがある様子で、阿部は両手を挙げて勝利をアピール。でも・・・。


普段のKOTCでは、このグラウンド状態の相手への顔面ヒザはOKなんですよ。でも今回に限っては、KOTCは全米PPVも入っているということでこれを禁止したんです。試合前のルールミーティングの際にも、「ルールブックにも特に記載されてないけど、今回は特別なんだ・・・」とレフが強調してました。ただ、そのミーティング時に阿部選手の姿は見えなかったんですよ。だからひょっとしたら、彼はこのルールを知らなかったのかも・・・。


ということで、この試合は2分足らずのこの時点でストップ。ミウラの反則勝ち。試合後のクリス・ブレナンのカキコミによると、ミウラ自身はまだ戦いたかったんだけど、目に直接ヒットされたためモノが二重に見える状況だったんで、ブレナンが試合をストップする決断を下したとのこと。アベはたぶんルールを知らなかったんだろう、と別に怒ってる様子でもありませんでした。「我々は今回の特別ルールを知っていたから、がぶられたままの体勢でいたんだ。そうでなかったらガードに引き込んでいたよ」とも。


この試合はぜひ再戦が見たいですね。ミウラはすごく高い潜在能力の持ち主だと思うけど、今回は阿部選手の経験と総合力が上回っていたように見えました(っても2分ちょっとしかやってませんが)。次やったらもっと凄い試合になるんじゃないかな?


第四試合 ロバート・エマーソン vs ランディー・ヴェラーデ 

エマーソンはDEEPで三島と対戦したので、覚えている方もいるでしょう。打撃が得意で、とにかく倒されない好選手です。三島戦の前にはハビエル・バスケスにも大善戦してるし、クリス・ブレナンとの元師弟対決でもブレナンを試合続行不可能に追い込んでます(結果は反則負け)。ついでに前回のKOTCでは、我が友ジョー・カマチョもローキックの連打で痛めつけて判定勝ちしてます。相手のヴェラーデはよく知りません・・・ってことでエマーソン勝つんだろーな、と思ってましたが、1Rはヴェラーデが、(何度か失敗した後)とうとうテイクダウンに成功しパウンドを入れ有利に。2Rはエマーソンがスタンドパンチでヴェラーデの顔面をぼこぼこにして、さらにグラウンドで上になって逆転か・・・と思いきや、終盤ヴェラーデがリバーサルで上を奪取して逆にパウンドを入れ終了。でも総合すれば引き分けかな、と思いきや判定はヴェラーデ勝利。場内ブーイング。これはちょいとした番狂わせですね。ヴェラーデ、技術的に突出したモノは見えなかったけど根性が凄い。


第五試合、おなじみショーニー・カーター登場。

ピンプのショーニー様は、試合前(みんながジャージ等を着てアップしている中)一人だけスーツで上下バシッとキめて歩き回ってました。相手選手はよく知りません。ショーニー、とにかくよくこの種の中規模な大会に出てきますね。で、無名選手には絶対負けないし、必ず一度はスープレックスを決めて会場を湧かす。今回もサイドキックを織りまぜたスタンドから、組み付いて反り投げを決めてました。その後は上からパウンド&ヒジ。1R終了のゴングが鳴ると同時に、ショーニーが「一丁上がりだぜい!」という感じで立ち上がってコーナーに去ると、そこには顔面血まみれになった相手の死骸(じゃないけど)が横たわってました。試合終了。ショーニーがニュージャックに見えた・・・。


第七試合には、あのキャル・ウォーシャムが! 

・・・ってみなさん覚えてます? 9年前のUFC6で、ポール・ヴァレランスと試合した選手だす。まだ現役だったんかい! と思わずツッコみたくなりますが、戦績をチェックしてみてびっくり。あれから9年間、彼はコツコツ勝ったり負けたりの試合を続けてたんですね・・・去年から今年にかけてグラジで三連勝してるし。で、今日もウォーシャムは相手をスタンドで殴りまくって秒殺勝利! もっとも相手は、どーにも格闘家には見えないというか、アメリカ中で見かけるハンバーガー食べ過ぎのオヤジそのものでしたが。KOTC、こーゆーカードもけっこう多いです。


第八試合 すっかりおなじみクレイジーホース vs デイブ・ヒスケード。

前編でも書いたよーに、超かわいい「クレイジーポニー」を連れてきて、控え室でべったりかわいがっていたクレイジーホース。やっぱりというか、この子を抱いて超嬉しそーな顔で入場。しかも普段着(写真23)。で、相手のデイブ(チャーリーコーラー門下)がこの狂馬とどう戦うのかについても、俺はけっこう興味があったりします。だって、一年半くらい前に俺、この人と某グラップリング大会の決勝で当たり、チョークで(一方的に)負けてますから・・・そんな負け犬の俺がこんなこと言うのもなんですが(笑)、このデイブはたぶん、ものすごく強い選手ではないです。寝技は(上も下も)確かな技術を持っていて、決め技のチョークは見事なもんです。でも爆発的な力があるわけではなく、テイクダウンや打撃が凄いわけでもない。話すととてもナイスな奴だし、もうイイ年っぽいし、勝ってほしいけど、やっぱこれはさすがにクレイジーホース有利なんじゃないか、と思ってました。しかし!

1R、クレイジーホースの打撃をかいくぐったデイブが(あまりうまくない)タックルで組み付く! でも身体能力で勝るクレイジーホースが押し倒して上に。そこから打撃の雨。でも必死で防ぐデイブ。その後スタンドに戻ってタックルを狙うも、クレイジーホースが切って打撃を入れる。それでも組み付いたデイブはとうとうテイクダウン! ハーフでクレイジーホースをおさえる。クレイジーホースは下からキムラで対抗。一気に返そうとしてきたところを、デイブがうまく体重移動させてバックを奪う! (ってかクレイジーホース、これタクミ戦でバックを取られたのとよく似たパターンじゃんか・・・)デイブはそこから必殺のチョーク狙い。懸命に防ぐクレイジーホースは立ち上がって、(やっぱりタクミ戦でも使った)「クレイジー俺ごとまっ逆さまスラム」でデイブと一緒に顔から落ちるも、デイブはバックをキープ。さらにひらすらチョーク狙い。一度腕がノドに沈み込みかけるも、クレイジーホースは顔を歪めながら必死で戻す・・・1R終了。デイブ極めきれず。しかしクレイジーホース、タクミ戦からまったく変わってないよーな。

2Rも同じよーな白熱の攻防が続く。打撃をかいくぐって必死に組み付いてゆくデイブと、それを身体能力ではね返すクレイジーホース・・・ガードを取ったデイブに、クレイジーホースがバスター。でもデイブはめげずにしつこく上を取ってゆく。しかしクレイジーホースの動物的なリバーサルで再び下に。やばい! でもそこからデイブは、狂馬パウンドをかいくぐって三角の体勢に! 定石通り(?)持ち上げてバスター狙いのクレイジーホース。デイブは片手でクレイジーホースの足を掴んで高くリフトアップされるのを防ぐも、クレイジーホースはジャンプしてバスター! それでも離さないデイブの三角がさらに深く! クレイジーホース、(足掴まれたままで)もう一度バスター・・・でも今度はそのままバランスを崩してしまい、両者回転し、デイブが三角マウントで締め上げる・・・クレイジーホースタップ! 場内大歓声。


うーんデイブよくやったなあ。あれだけ殴られ叩き付けられて、よくあきらめずに仕留めたよ。おかげで俺もこれで「クレイジーホースに勝った男に負けた男」になれただよ(なんだそら)。まあデイブがプライド武士道に呼ばれることはないと思うけど・・・三角状態でのバスター対策は、やっぱ足を掴むことだにゃ。クレイジーホースはこれで三連敗か・・・相変わらず何も考えずに、行き当たりばったりで戦ってるとしか思えない。成長するなりよ。いや、優しいパパとして人間的には成長してるのかもしれないな。今後に期待。無限の可能性を持ってるしな(犯罪者から世界王者まで)。


第九試合。スケアリー・ジェリー vs 太った黒き人。

スケアリージェリーはヘビー級の人気者。いかにも「感覚の鈍いアブない奴」という顔をしているのでそのままスケアリー(恐ろしい)というあだ名がついてる。技術的にはな別に特筆することナシ。で試合。黒き人はレスラーらしく、なかなか見事なタックルでジェリーを何度か倒して判定勝ち。それはいいとして、面白かったのはその後。負けたくせにスケアリージェリーはマイクを手に取り、ガールフレンドをケージに上げてひざまづき、なんとケージの中でプロポーズ。WWEだったらここで女性がしばらく迷ってみせて、観客からは「Just Say No!! (断っちまえ!)」コールが起こるところなんだが、このガールフレンドはその間も与えずに即OK。メデタシメデタシ・・・これだからガチは面白くないな。


第十試合 バンタム級王座決定戦 ユライヤ・フェイバー vs エベン・カネシロ

ユライヤは大注目のレスラー。試合の最初から最後まで、変わらぬ爆発力で攻めて攻めて攻めまくる、ちょっと考えられないスタミナの持ち主。目下NHB無敗。前回大会では、寝技巧者のラミ・ボウカイ(日本でトイカツと接戦を演じましたね)の下からの仕掛けを爆発力で凌ぎ、豪快に殴り続けて判定勝ち。対するカネシロも自分にはなじみの深い人。確かハワイの日系人ですが、つねにこの南カリフォルニアの柔術シーンで戦い、好成績を上げています。2003年パンナム紫アダルトペナ級で準優勝し、2004年は茶帯アダルトで、(俺の記憶が確かならば)日本から来た朝倉選手と戦い、一進一退の攻防の末に終盤三角締めに捕らえるも、時間切れで僅差で敗れました。


さて試合。ユライヤは最初からエンジン全開で、わけのわからんモーションからのパンチを振り回しながらカネシロに襲いかかり、テイクダウン。そして上からノンストップで体全体を使ったパウンドを降り落とし続け、カネシロはそれを必死で凌ぎながら下から仕掛ける。で、カネシロが腕やら三角やらオモプラやらを取りかけるも、ユライヤは爆発的に振りほどき、叩き付け、パウンド・・・この攻防がずーっと続く。カネシロは殴られ落とされ続けながらもとにかくあきらめず仕掛け続け、一度はスイープを成功させるもまた下に。ユライヤは寝ても立ってもとにかく止まらない。予測不可能なパンチと前蹴り、そしてテイクダウン。2Rにはハシミコフをはるかに超えるスピードと躍動感の水車落しを炸裂させ、会場を震撼させる。さらにパウンド・・・化け物だ。最後まであきらめず戦っていたカネシロだけど、3R終盤のパウンドラッシュでとうとうレフがストップ。ユライヤ・フェイバー・・・技術的にはめちゃくちゃだからアナはあるだろうけど、この名は覚えておいて損はないです。

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・・・タクミ選手の試合が第十一試合だったため、これ以降の試合は見ていません。まる。ですが、今回のPPV大会は、KOTCとしてはかなりメンバーも粒ぞろいで、好試合の多いナイスイベントだったと思います。一週間後のPPVで、こちらのファン達がどんな感想を持つのか、かなり楽しみです。前編でも書きましたが、この大会は日本語版DVDも発売予定だそうです。俺は買いだと思います。




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