10/6 全日本女子 後楽園ホール
■団体:全日本女子
■日時:2004年10月6日
■会場:後楽園ホール
■書き手:しま

平日の夜、案の定、客は少ない。
他に予定があったにもかかわらず、直前になって「あぁ、やっぱり行かないと!」と水道橋に
向かってフラフラと進んで行く自分。カードもよく覚えてないけど、とにかく行くさ。

今井リングアナも、ガラガラの客席を見渡して「あれ?まだお客さんは売店ですか?」と苦笑。
日曜日と違って、会社帰りのサラリーマンの姿が。Hikaruファンと思われる。


@東城えみ再デビュー戦
○Hikaru(ダイビングボディープレス→体固め3:31)×東城えみ

東城の再デビュー戦の相手はXと発表されていて、誰だろー?とけっこうアレコレ考えていたの
だが、、、。
Hikaru、こんな大事な役目果たせるのか?東城にとっては大切な試合だよ、と、ちと心配になる。

東城は、Jd'時代の自分の色を払拭させるつもりなのであろう、髪を切り、黒いセパレートのお
色気ナシのコスチュームで入場曲さえかけない、これ以上ないくらいシンプルな入場。
首を折るという最悪の怪我を笑い飛ばし、女優の仕事を辞め、その美貌を際立たせる演出を捨て
去ってまで今の景気の悪い女子プロ界に「本気でプロレスに賭けてます」と再び飛び込んできた
東城えみという人こそ真実稀有なキャラクターだと思う。“プロレスラーだから凄い”んじゃな
くて、“凄い人”がプロレスを始めたなぁ、と単純に驚かせてくれた。この人が本気でやると言
うからには、きっと他の誰にもできない何かをこれから見せてくれると思う。

とはいっても、Hikaruとの体格の差はあまりにも大きい。華奢な東城に対してHikaruはいつもの
武骨なままのHikaruであるが、やや戸惑っているような感じに見えた。東城も緊張しているのか、
ひたすら正攻法でやることにこだわっているのか、あまり印象的なシーンを作りだせないまま、
あっさりと負けてしまった。正攻法で試合をするには、まだあまりにも弱々しい。鞭を振り回し
ながらSM風の色っぽいコスチュームで軽快に飛び回って相手を翻弄していた東城もけっこう生
き生きしてて良かったんだけどなぁ、、、。

でもとにかく東城には期待大!がんばってほしい。いや、私ががんばれ、なんて言うのはおこが
ましいくらいこの人は今必死にがんばっている。

試合後、東城がマイク。
「Hikaru!第一試合でやってくれて、ありがとう。」「負けちゃったけど、今の自分の力では
仕方ないよ」「でも、全女でやりたかった!」「ここで!全女で!Hikaruを追いかけるから!」
そして「よろしくおねがいします」とあたまを下げているところに、コングが乱入してきて、
今日のメインで当るHikaruに対してちょっかいを出したので、東城から客の目線がはずれてしま
う。Hikaruとコングがドタバタしているのを見て、ムッとした表情で東城、セコンドの文子とと
もに退場。
東側客席にひっそり座っていた賀川照子が、その時東城に小さな花束を渡しているのが見える。


A△前村早紀(20分時間切れ引き分け)△米山香織

このふたり、小さくて、ちょっとブサイクなところがまた可愛い!と思えるところがよく似て
いる。実はココロも体もけっこう強い、というところまでも似ている。
仲も良さそうだけど、お互いに「こいつには負けられない」とも思っているだろう。
二人とも体は小さいけれど、共にドロップキックの力強さ、的確に当てる美しさにはため息。
前半は、米山がリングサイドのサラリーマングループに「ほら、オマエらもやれよ!」と拍手
を強要したりコミカルな場面もあったけれど、15分くらいからは夢中で技を掛け合うめまぐ
るしい展開へ。
前村はサキ花マルも、フィッシャーマンも、返されてしまい、やや劣勢。大技は出せなくなり、
互いに丸め込もうとしてゴロゴロと団子虫状態、それでもスキを突いてなんとか丸め込もうと
するも、決まらず。フラフラの前村、前方回転丸め込みをしようとして額をリングにぶつけて
しまう。
17分の時点で、「あぁ、これは時間切れだなぁ」と何となくわかってしまう。時間切れ引き分
け試合ならば“時間を忘れる”ものであってほしいなー。そこまで求めるのは酷かもしれない
けど。


B○武藤裕代(直下式ブレーンバスター→片エビ固め14:12)×サソリ

サソリは怪我をしたそうで、片足を引きずって登場。今日は台車をかついで来るのはやめたよ
うです。
やはり動きは悪い。武藤もこれでは力が発揮できません。サソリ、足が痛いならばと横になっ
て武藤に噛み付き攻撃をしたりしてお茶を濁します。
北側客席の後ろの方で、プロレス記者の人たちが何人も、ダラけきった様子でうだうだしてい
るのがはっきり見えます。
武藤の頭突きが「ゴチーン!」と凄い音をたてて決まり、サソリ本気で痛そう。最後は武藤が
ブレーンバスターをニ連発で勝利。

試合後、武藤がマイクをつかみ「おい、つまんねぇ凶器使ってんじゃねぇよ!」(チェーンの
ことか)とサソリに叫んだあとに、すぐ「全女ぉ!私はHikaruといつでもやるつもりです!よ
ろしくお願いシマス!」といきなりお願いモードになってるのがおかしかった。Hikaru、他団
体の選手にモテモテです。
それを聞いてたサソリは灯油缶を廊下で投げつけてた。(だから、廊下にじゃなくて相手に投
げろっつーのだ!)


休憩

今井リングアナがリングに上がり、12月5日の後楽園大会が中止になったことを発表。理由は
諸般の事情とのこと。年間シートを買っているお客さんは、翌週12日の川崎体育館大会に振り
替えます、とのこと。川崎大会に来られないお客さんは受付で相談に応じる、とのこと。
12月26日は予定通り後楽園大会は開催。次回の後楽園大会では、西尾と下田が闘っての勝者と
、Hikaruがオールパシフィック戦。西尾とHikaruなんてこの前やったばかり、、、ってことは、
下田が白いベルト巻くの〜?え〜いやだ。


C全日本タッグ選手権
○井上貴子、渡辺智子=挑戦者組(体固め0:03)タニー・マウス、宮崎有妃=王者組
※NEOマシンガンズが初防衛に失敗、井上組が第23代王者となるも、ベルト預かり

 再試合
井上貴子、○渡辺智子=挑戦者(笹崎レフェリーの横入り式エビ固めから→
              エビ固め17:05)×タニー・マウス、宮崎有妃=王者組

友情タッグ対 vs 極ラブ軍団。
極ラブの二人は、マスクに鉢巻の完全な暴走族スタイルで、しゃがみ込む姿まで完璧にヤン
キー。外人客が夢中で写真を撮っていた。

対するNEOマシンガンズは、凄む二人にペコペコしながらリングイン。試合が始まると貴子が
いきなりタニーにラリアートを放ち秒殺。世界タッグ戦だったら三本あるけど、これは全日
本タッグ戦だから、、、。
勝利に気をよくする貴子に「こんなんで終わりたくない〜」「ワタナベさん、お願い!」と
再試合を懇願するタニー。渡辺も「私、眉毛かいてた時間のほうが長いよ!」と再試合を望
んだことで再試合決定。タニー、急にエラそーに「絶対勝つぞー!」と胸をはる。
試合は、お色気、、、と言うよりはお下品パワー炸裂。
互いにポールで股裂き、互いに恥ずかし固め。(渡辺がタニーを固めたときには貴子がタニ
ーの股に白いタオルをかけて恥ずかしさの倍返し)

宮崎が「貴子さん、起こしてぇ♪ロープに、振ってぇ」と倒れたまま貴子に甘える。倒れて
いるところを起こされてロープに振られて、、、といった“プロレスのお約束”、こういう
お約束のムーブをことごとく笑いのネタにして批評してしまうことでNEOマシンガンの二人は
人気者になったわけで、、、。

昔は、ミゼットプロレスのみに許されていた“プロレスの解放区”が、NEOマシンガンズ(だ
けじゃないけど)によって、浸食されていく。もう、こんなお笑い試合をを裏メイン扱いし
なくてはいけないプロレスって、、、。

誤爆でタニーの頭突きを喰らったレフェリーの笹崎が、ポーカーフェイスのまま、タニーに
スクールボーイ(!)それを渡辺がすかさずフォール!という、レフェリー介入で勝敗が決
定するというのもまさにミゼットプロレスの定型。

「おい!オマエら、こんなもんですむと思うなよー!」という威勢のいい台詞も、おどおど
しながら叫ぶマシンガンズにあっては決まり文句にたいする批評でしかない。

それにしても、宮崎って、誰かに似ている、誰だっけ?誰だっけ?とずっと思っていたが、
今日の試合をぼんやり見ているとき判った。「高橋とよ」だった。(小津安二郎の映画のな
かでエロ親爺どものセクハラまがいの冗談を巨大な顔面で受け止めている料亭の仲居のオバ
サン、もしくは「東京物語」の笠智衆の、隣の家のオバサン)
しかも高橋とよ顔で、あの乙女エッセンスあふれる日記を書く宮崎、、、25歳なんだよね。

表彰式で認定証を読み上げる今井リングアナ「認定証!志生野さんがいらっしゃらなくて、
ホントーに、良かったと思います!」


D○前川久美子(後ろ回し蹴り→体固め17:02)×ザ・ブラディー

もう、本当に凄い試合、硬派な試合が見たい私は前川さんに頼るしかありません〜、という
気分で迎えるセミ。
チームOKのメンバーが参戦すると、そこには何のストーリーも流れも因縁もないので、試合
の一回性が際立つ。ダメな選手だとこれキツイ。ブラディーは何回か見てるけど、いい選手
のような気もするけど、ホントのところはよくわからないです。前川相手だと全然弱いのか
ナ?などと思って見始めたらけっこうよかった。ちょっとタイミングが合わないのか、前川
の蹴りがちょっとズレて顔面に当ったりしてかえってコワイ(笑)。
もう、前川って、シングルならば誰とやっても名勝負にもっていけるくらいの名人になって
る気がする。


EWWWA世界タッグ王座決定戦
アジャ・コング、A・コング(スパイラルボム→エビ固め25:05)高橋奈苗、×Hikaru
Wコング組が第120代王者組となる

今年になって、GAEA専属フリー(この矛盾した呼び方!)の選手が突然他団体に上がり始めた
理由が、GAEA来春解散のニュースで初めて解かった。廃業したくない選手が、来春以降上がる
リングを確保しようとしてたんだ。それともまた新しい団体を誰かが立ち上げるのかなぁ、で
も立ち上げるとしても、フロント陣を立てた大きな組織じゃなくて、選手自身が自分たちをプ
ロデュースするような小さな組織だろうなぁ。もうGAEAとか全女みたいな、会社が選手を抱え
て管理運営していく形は無理になってきてるってことなんだろう。もうこの流れは止まらない
だろう。
だいたい所属選手が7人しかいない全女に、リングアナだけでも4人いる、ってことが異常だも
んね。さぁ、全女はどうする?
松永会長は「前村ひとりになっても興行は続ける」と言ってたけど、、、実際はどこまで持つ
のだろうか、、、?

等々、思いは乱れるなか、空位になっていたWWWA世界タッグ王座の決定戦。
まずはアメージング・コングが入場、続いてアジャ・コングが現れる。
絶対に全女には上がることはない!と言い切っていたアジャにとっては、屈辱かもしれない参
戦、でもそんなことは感じさせない、辺りを睥睨するようなふてぶてしい表情である。迫力あ
るアジャの登場に会場も沸く。
しかし、そのあと、ブルー・ハーツの「リンダリンダ」がかかると、会場は一気にHikaruファ
ンの女の子たちの歓声でいっぱいになり、いままで空席が目立っていた会場が、あっという間
に興奮沸き立つ空間に。

試合は、貫録というか余裕というか体のデカさでもって、アジャ組が優勢。しかし、奈苗&Hi
karuも連係技を出したり、誤爆をうまく誘ったりしてアジャたちを撹乱。最初はアメージング
に攻撃させて自分はエプロンでじっと様子を見ていたアジャが、セカンドロープ越しに場外に
トペした時にはちと感動。アジャって考えていたよりずっと動きが良くてびっくりです。表情
も徹頭徹尾クールでこわいし、アジャだけは「ヒールって実は素顔は好い人♪」という定説を
覆すイヤな奴のような気がします。

場外になると、まさにWコングの独壇場。西側東側、南側北側すべての面を使って大暴れ。客席
に投げ込まれ、鉄柵を打ち付けられ、椅子をくらい、ボムをくらうHikaruと奈苗。コング組の
セコンドについた東城が机を健気にズルズル運んでくる姿が笑える。アジャがぐったりしたHi
karuをその机に乗せたあとアメイジングがセカンドロープから勢いよく飛びかかるが、これは
Hikaruが逃げて、机はアメージングの体をうけて真っ二つ。

荒っぽく動きの速い4人に、客も逃げ惑って右往左往し、会場中がヒートアップして波打ってい
るよう。何度も何度もHikaruコールが沸き起こる。そのうちHikaruが流血させられ、奈苗の動
きも防戦一方になってくると、Hikaruファンの歓声と悲鳴がさらに大きくなっていく。アジャ
に引きずり回される奈苗の後を、追いかけながら泣きじゃくっている娘、血まみれのHikaruに、
涙を流しながら名前を叫び続ける娘、手を握り締めあって滂沱の涙を流しているグループ、、、
おぉ、これは人気者タッグのナナモモがラスカチョにやられてる時にさえ見られなかった風景だ。

Hikaruに熱狂する女の子たちは、女子プロ界が待って、待って、待ちくたびれるほど待っていた、
女子プロレスの救世主なのかも。救世主は、素質のある選手なんかじゃなくて、思春期特有の嗅
覚で、好きなものを発見して熱狂してスターにまで押し上げる力を持っているこの女の子たちな
のかも。うまくもないレスラーのHikaruが、彼女達の必死の応援をうけると輝くのを見ていても、
彼女達のほうこそが何かをもたらしに来ているのは明らかだ。

なんだかファンのコたちを見ているうちに私の心の中は「奈苗しっかりしろ!このコたちの願い
を叶えろ!彼女達の涙と歓声に応えろ!」という奈苗に対する叱咤のようなものでいっぱいに、 、、。

Hikaruの女の子人気はわかった、でも、まだ奈苗はHikaruの引き立て役に成り下がっちゃいけな
いでしょう。

相棒だった中西が引退?中西のことはもう、友達としてはともかく、レスラーとしては忘れてく
れ。奈苗にはもう助けてくれる相棒はいないんだから、独りの力でこの苦しい道を往くしかない
んだよ。辞めて幸せになる人はなればいい。でも、奈苗はまだここでやっていくんだから。最近
は見ていて切ないほど寂しそうな奈苗。仲間が次々辞めていくなか、この苦しい場所に残る覚悟
ならば、この熱狂と涙を惜しまないコたちの想いをしぼませないでほしい。

試合は、Hikaruがとうとうアメ−ジングのスパイラルボムに沈み、終る。

マイクをとったアジャが
「がんばろうが、何しようが、おまえらにはもう、なぁんも無くなっちまったもんなぁ!なぁん
もない!ゼロだ!ザマーミロ!」と、きついお言葉。

すると奈苗が
「今は!今は!今は!今は!、、、何もないかもしれないけど、あんたが全女やめてから、私が
守ってきたんだ!今は負けたけど、絶対私らで獲りにいくから、それまでベルト守っとけ!」

アジャ
「能書きだけは達者だが、勝ったのは私ら!敗者はリングを降りろ!表彰式のジャマなんだよっ!」
と、またしてもきつい。

奈苗「、、、」詰まる。そこで詰まっちゃダメなんだよ〜ぅ、奈苗〜、何か言い返せ〜。

するとへたり込んだままだったHikaruが突然
「何もなくてもなぁ!何もないからなぁ!私たちはこうやって強くいられるんだよ!」と反発。

そして
「アンタがいた頃の全女とは違うんだよ!何もないよ!地位も名誉も無くたって、お前たちにくれ
てやるってんだよ!」と、日本語として完全に破綻しているマイク。
正論に押されて黙ってしまう奈苗は普通の人間だけど、Hikaruってやっぱり普通じゃないのかも
(笑)。でも、これくらい言い放ったほうがいいよ。

元選手と、現選手が「なぁんもない!」「なぁんもない!」と言い合っているリング上に、松永
会長がのそのそ上がってきて、表彰式の準備。なんか凄いです(笑)。
今日のメインはいろんな意味で盛り上がって、用事ぶっちぎって来た甲斐があったなぁ、満足。




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