第二回 GCM CROSS SECTION 観戦記
■団体:GCM CROSS SECTION
■日時:2004年9月4日
■会場:東京FMホール
■書き手:S泡盛

 東京FMホールってどうやっていくのかな・・・と思って調べて、自分の現在地からは地下鉄有楽町線の麹町から歩くのが便利という結論に達して、早速電車を乗り継いで向かう。駅から地上に出ると雨が降っている。そしてだんだんと雨あしは激しくなって来る、会場に着いて中を見ると、雨のせいでか、すこぶる出足が悪い。終了間際はほぼ満席だったし、土曜日だから、開始時間の問題等はなかったと思う。

 この東京FMホールに来たのは、しなしvs渡邊の名勝負があった冬の日以来だ。そう、あの日の出場選手とは興行主体が違うとはいえ、舞台に立てるレベルの選手が増えて、メンバーがかなり入れ替わっていることを実感する。小さいし、格闘技に最適とは言いがたい会場ではあるが、小会場ならではの雰囲気が暖まりやすいという利点は非常に大事だ。安定したGCMの運営・演出にのって、開始から熱い声援が飛び交う。


第1試合 -53kg契約 5分2R
×せり(SOD女子格闘技道場)vs 筒井千尋(和術慧舟會トイカツ道場)○
1R 3'48" 腕ひしぎ十字固め

 スラッとして見栄えのする両選手。SODの道場生がかなり来ていたのか、GCMのホームであるこの興行でも、せりのコールとともに紙テープが舞って、声援が飛んでいた。勘違いしてたけれど筒井選手は自分は未見だった。打撃中心で組み立てたいせりと、グラウンドで関節をとりに行きたい筒井、というスタイルの異なるもの同士の対照的な場面が交錯する展開。両者の持ち味は随所に出たか、なかなかの良い動きに早速暖まる会場。しつこくグラウンド状態からチャンスを伺っていた筒井が、下からの攻めで試合をものにした。


第2試合 -61kg契約 5分2R
×菊川夏子(総合格闘技闇愚羅)vs 端 貴代(和術慧舟會東京本部)○
判定0-3

 プレスにまわった資料が訂正前のものだったのか?データ引用元では以前のライルーツコナンのままになってたが、今回から菊川は正式に闇愚羅所属になったらしい。当然セコンドには辻がつく。端は8x4(制汗剤)のTシャツかと思ったら、「8(ハ)4(シ)」だったのね・・・元気のいい二人の対決は、かなり目まぐるしい展開になった。投げからいい体勢に持って行こうとする菊川、それを凌いで隙を見て仕掛ける端、三角絞め等を繰出し優位な状態の多かった端が判定をものにしたが、自分が見たこの二人の試合では、もっとも激しく、そして持ち味を出せたものではなかったか?


第3試合 -51kg契約 5分2R
×石山絵理(RED DEVIL KIS'S)vs 松本未来(クラブ・バーバリアン)○
判定0-3

 松本選手、いいね。休憩前のなかで最も激しかった一戦。石山の見栄の切り方もいい感じになってきたぞ。セコンドには特攻服の2人を並べて、チームらしさをアピール。この試合も打撃で勝負したい石山と、捕まえてグラウンドで関節を狙いたい松本という、異種格闘技戦の要素が見られた試合。松本は果敢に打撃をかいくぐってグラウンドの展開を多く作り出したが、石山も寝てもそのままではなく、逆に腕をとりに行ったりしていた。決定的な状況から何回も脱出していく石山の意地は見事なものだ。ヒヤヒヤする場面が繰り返し何度も続いたこの試合は、本当に素晴らしかった。


第4試合 -51kg契約 5分2R
○おっさん(総合格闘技闇愚羅)vs 高橋まり(パレストラ東京)×
2R 2'09" アームロック

 おっさんはオリンピックの熱気からそれほど経ってない時期ならではの小ネタで、金メダルを首から下げてレスリングのユニホームを着ての登場だ。対する、おしとやかで優しそうな女性という感じで入場の高橋、いつ見ても、この激しい戦いの舞台に立っているのが不思議に思うんだけれど、グラウンドはさすがにうまい。ほとんどの場面はグラウンドでの展開、下から長身の高橋の長い手足に絡めとられ、おっさんはなかなかいい型を作ることが出来ないままに時間が経過して行く。

 三角絞めや腕十字など、何回もの下からの攻めに耐えたおっさんが、数少ないチャンスをものにして、逆転勝利をものにしたが、高度な柔術ベースの技術戦は見応えがあった。グラウンド無制限のこのルールが生きた試合となった。
 
 おっさんの今日の唯一のマイクでは、金メダルが辻からの借り物で、ビーチフラッグ大会優勝のものであることを披露し、きちんと笑いを取ることを忘れない、大阪人魂を見せてくれた。


 ここで休憩時間、ロビーを見ると、お馴染みの選手や関係者がいっぱいいる。いつものように気の小さなオジサンたちは遠巻きに、「応援してますよ〜」の念力をお目当ての選手に送っていたようだ。


セミファイナル -55.5kg契約 5分2R
×WINDY智美(パンクラスism)vs 真武和恵(和術慧舟會東京本部)○
2R 4'01" 腕ひしぎ十字固め
 
 激しい一戦が予想される中、「強い女」の両者が気迫のなかに、すこしだけリラックスした表情を見せながら登場した。前回大会の勝利者の序列のために、この試合がセミにまわったが、多くのファンはこの試合を目当てにやってきていたはずだ。頂上対決として忘れられない、WINDY vs 辻を彷佛させる期待感が会場を包み込む。

 真武は後楽園ホールでのトリプルタッグで打撃ありルールの試運転をしたとはいえ、国内トップレベルの打撃力を持つ相手に、いきなりの対戦となったわけで、相当なプレッシャーがあったはずだ。そして、総合ルールでは、グラウンドの巧者との対戦が組まれることの多いWINDYは、このルールでの試合のオファーを受けたからには、勝利という結果を残さないといけないという、これまた真武とは異なったテーマを持っていたはずだ。

 いくつかの強力なWINDYのパンチが真武をとらえたようだが、キックの足をおさえたり、何回ものタックルからしつこいほどにグラウンドに持って行った真武が、なかなか倒れないWINDYから優位な体勢をもぎ取って腕十字を取ることに成功した。ハイレベルな攻防の中での劇的な勝利のシーンに会場が爆発する。

 タップした悔しさと腕の痛みでWINDYの目にも涙が浮かんでいたが、厳しい戦いを終えて緊張の糸が切れて涙を見せたのは真武のほうだった。感情剥き出しとはならない選手だと多くの者が思っていただろうから、セコンドも、会場の何人かも、この感動的なシーンに涙腺が緩む。あ・・・マズイ・・・


メインイベント -47kg契約 5分2R
△大室奈緒子(和術慧舟會東京本部)vs 吉田正子(NATIVE SPIRIT)△
判定0-0

 凄まじいセミで印象が薄まってしまった感もあるが、終始レベルの高い展開が繰り広げられた一戦となった。高い技術と長い手足の吉田の下からの攻めと守り、それを崩そうとする大室の細かい争いは、小会場でないと面白さが伝わらないかもしれないが、今後のこの二人の成長ぶりを期待させるのに十分であった。

 メインの重責を勝利で飾れなかった大室の見せた悔しそうな涙が印象的だった。しかし、やりたいことが出来なかったという思いもあるのだろうが、それぞれの評価が下がるものではないことを明言したい。この10分間は濃密で、片時も目を離すことが出来ないものだったのだ。本当に面白かった。ともかく、吉田の引っ張りだこ状態はしばらく続きそうだね。


 スマックのグラウンド30秒ルールとはまた異なった中での攻防も、技術のある選手が多かった今回の大会のようならばいい方向に作用していたようだ。必ず良い結果が出るとは限らないのが総合格闘技の怖いところなのだが・・・

 ともかく、いく筋もの道が今年前半の大森からつながっていたように思う。スマックガール-Fで初登場したり、徐々に成長してきて注目を集めた選手達の活躍を見ると嬉しくなってしまう。そして、明らかに自分にとって不利なルールにもかかわらず、勇気を持って参戦してくれたWINDY選手の頑張りには心を打ち砕かれた。土砂降りの雨を吹き飛ばすような、素晴らしい試合の連発を目撃できたことを、素直に感謝したいと思う。本当にいい大会だった。



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