女子プロレスオタクが観た女子総格
■団体:スマックガール
■日時:2004年8月5日
■会場:後楽園ホール
■書き手:凸ユーレイ

総合格闘技の興行を観るのは02年のPRIDE19以来2年半ぶり。
 観戦記ネットで普段お世話になっていることもあり一度は行きたいと思っていたスマック。今回、飲み会のすぐあとに旗揚げ以来2度目の後楽園 大会があったというタイミングの良さで、実行委員さんから直接、最前列席を購入しての観戦。感謝です。

 発表1414人(満員) 。ほんとによく入ってました。
 開始前から、開始してからも感じたのは、プロレスの客層との雰囲気の違い。
 どちらもオタクが中心なのは変わらないと思うが、自分で言うのも何だけどプロレスファンのほうが執着質、おとなしそうなのにジメッとして る、隠花植物的な風情があるような。笑

 この日の観客は、同じオタクでも、よりライトな、そしてやっぱり「やる側」に近い層のような気がした。あと、若い女性が多かった、それもケ バめな。なんでだろう。


フレッシュファイト(1) SGS公式ルール −56kg契約 5分2R
○まりぃ015(S-KEEP)(判定3-0)×長島佳代子(y-park)   


フレッシュファイト(2) SGS公式ルール −46.5kg契約 5分2R
○金子和美(フリー)(2R1:23腕ひしぎ十字固め)×山田純琴(y-park)


 大会を通して、SMACKGIRL STRIKE(=SGS)公式ルールで行なわれた試合は、そのレベルの巧拙に差はあっても、基調としては同じ流れで進んだ。つ まり、スタンドでしばし打ち合い、これは決めるための打撃というより組むまでの間合いを測っており、組んで倒し、ガードをパスしてマウント、 腕ひしぎを狙う。

 フレッシュファイトは、レベルが低いためにかえって、この基本がわかりやすかった。


 長島は、美人といえば美人なんだが、東南アジア系というかネプチューンの名倉が入った微妙な顔。
 まりぃのセコンドに、S-KEEPの技術顧問であるらしい木村浩一郎。
 山田は小さい。


1.ロイヤルスマック2004
○薮下めぐみ(SOD女子格闘技道場)(17:35腕ひしぎ十字固め)×KAZUKI(チームOK)

 ※入場順 X:ナナチャンチン(フリー)、XX:薮下、吉田正子(NATIVE SPIRIT)、稲葉陽子(Az乙女チック柔術倶楽部)、おっさん(総合格闘技闇愚羅 )、村野麻子(Az)、KAZUKI、浜島佳代子(Az)、HARI(フリー)、XXX:近藤有希(PUREBRED京都)、三谷弘子(S-KEEP)、15(所属不明)、井上明子(フリー )

 ※敗退順 ナナチャンチン(2:21腕ひしぎ十字固め)、吉田(2:43腕ひしぎ十字固め)、稲葉(5:17腕ひしぎ十字固め)、村野(5:27アキレス腱 固め)、おっさん(6:13腕ひしぎ十字固め)、HARI(10:57スリーパーホールド)、三谷(11:00腕ひしぎ十字固め)、15(13:35スリーパーホー ルド)、浜島(13:59送り襟締め)、井上(15:32ネックロック)、近藤(16:07腕ひしぎ十字固め)

 1分ごとに選手が入場、リングに人が増えていく、総合格闘技版のバトルロイヤル。

 まず、西口プロレスのアントニオ小猪木とかいう芸人に連れられて、当日発表のXの1人目、ナナチャンチン登場。この小猪木、特に似てはい ず、春一番に比べるまでもない。パッと見、鈴木末吉かと思ったぐらいのレベル。

 Xの2人目が藪下。この藪下、先述したような基本的なレベルからはだいぶ群を抜いていて、警戒して後ずさる他の参加者に、こともなく近づい てヒョイヒョイと腕を掴んだり腰を払ったり、いとも簡単に腕ひしぎや送り襟締めを極めていく。退場者の半分以上がヤブの手によるものじゃな かったかな。話には聞いていたが、総合の彼女がこんなに飛びぬけた存在だったとは。

 その藪下のブッキングでスマック初登場、Jd'での同期生であるKAZUKIは、虎の威を借る狐よろしく、というか藪下に狙われないというだけでア ドヴァンテージを確保。それだけでなく、自力でも15ちゃんをスリーパーで屠った。おみごと。

 この15ちゃんだが、元・全女の平成13年組、前村や未来(現・AtoZ)と同期の森居知子の変身なんですね。観戦後しばらくたって、未来のインタ ビュー記事を読んで気がついた。覆面なんで顔の全貌はわからねど、イケてる雰囲気、スタイルも良いし、いやいやおどろいた。こんなキャピった 娘だったっけ。

 全女では同期5人と争って新人王にもなった逸材で、たしか体育大学卒だったような。練習中の事故で脳内出血して退団、総合格闘技に転向した がプロレスをやりたい気持ちは持ち続けていたらしく、先日、千葉の旭のFWFというインディーで再デビューしたとか。がんばれよ。

 Xの3人目で出てきた近藤(旧姓・久保田)有希。この人も、キャプチャーで北原光騎と組んだプロレスのミックスドタッグを見て以来だなー。
その後、ひとかどの選手になっておられるようで。

 あと、乙女チック柔術の浜島選手が可愛かった。“ヨメジーニョ”て。どういうキャッチフレーズなんだよ。笑


2.SGSタッグマッチルール 10分1本勝負
大室奈緒子(和術慧舟會東京本部)、○内藤晶子(RJW/Central)(4:39腕ひしぎ十字固め)羽柴まゆみ(BBdoll)、×川江礼子(S-KEEP/キックネス)  

 スカパー主催・バトルスフィアで開催されていた、キャットファイトの女闘美X出身で、5月にはTBSのゴールデンタイム番組「黄金筋肉」内の総 格トーナメントで放映されるまでになった、アイドル格闘家・羽柴。ただしレベルはまだまだ。JDの石川美津穂と戦ったのが縁で、プロレスの試合 にも出ているが、M'sのMICKEYに負けているようでは…

 川江はおばさん。
 大室は小さいが技術は確かっぽい。  


3.SGS6人タッグマッチルール 15分3本先取
○虎島尚子(RJW)、○真武和恵(慧舟會東京)、○端貴代(慧舟會東京)(判定3-0)×藪下めぐみ、×せり(SOD)、×忍田なほみ(SOD)

 ここでも藪下の存在感がダントツ。敵の3人がまともに向かってこないため(戦術としては、パートナーの2人を狙うのが当然)、焦れてドロップ キックっぽく飛びかかったりしていた。

 虎島選手、聞くところでは、戦いぶりとインタビュー等での喋りとにギャップがあってとってもほんわかしているらしい。話す姿は見られなかっ たものの、藪下のキックを受けるたびにクルッと自軍コーナーを振り返り、「痛〜い」と情けない表情でタッチを求めに行くのが可愛くて可笑し かった。

 タッグが2試合続いたが、どちらもタッチのタイミングは、グラウンドで30秒膠着後のブレイクとともに、というケースが多かった。攻撃する側 も防禦する側も、30秒全身に力を入れているわけだから、それは疲れるでしょうなあ。

 先にも書いたが、レベルが高くないと、牽制の打撃→組んで倒す→腕ひしぎを狙うが膠着→弱い方の選手が何とか30秒持ちこたえてブレイク (じっさいこの試合で、藪下が控えから「丸まってとにかく30秒我慢して」とアドヴァイスしていた)→その繰り返し、というパターンが多かっ た。 


  4.SGS公式ルール -53kg契約 5分2R
The Next Cinderella Tournament 決勝戦
○舞(パレストラ松戸)(判定3-0)×川畑千秋(Red Devil KIS'S)  

 舞、シュッとしている。凛々しい。カコ(・∀・)イイ! アクシデントで、耳の上を切って流血、ドクターに呼ばれて、睨むように毅然と、気 が入りきった表情のまま、「血、出てますか? このままグルッと巻いちゃってください」と、テーピングで応急処置のままラウンドに戻っていっ たのはカッコ良かった。(医師陣のなかに、ジャガー横田のご主人や、会場でよく見かける女子プロレスファンの人?がいました)

 敗れた川畑、涙。
 女子の総格の魅力として、負けた時の悔しさ、情けなさ、勝った時の喜び、充実感、選手の感情の発露がよく語られていて、自分もそれは感じま した。

 やっぱりプロレスと比べてしまうのだが、本来、プロレスの方こそ、こういった感情をもっともっと豊かに表現できなければいけないんだよな。
負けて、通り一遍に悔しがって、なんでもなく帰っていくような選手が今は多い。例えそれが作り物の表現であったとしても、作り物であるからこ そ、突き抜けて圧倒的な表現に至らせなければというか。カリカチュアライズされた感情が典型になるべきというか。

 なにを言ってるんだかわからなくなりましたが、一方で、さらにレベルの高い真剣勝負の場では、こういった喜びや悔しさの感情が、抑えられて もっと平板な表現になっている気がする。オリンピックとかね。この日のメインの辻選手を見てもそうだった。まあ個人のキャラクターに因るのか もしれないが。


5.SGS公式ルール 無差別級 5分2R
○AKINO(M's STYLE)(判定2-1)×たま☆ちゃん(SOD)  

 総合デビュー戦をKOで飾っているAKINO。
 2戦目となるこの試合は苦戦。判定で勝つには勝ったが、手数でも、マウントを取られる回数でも劣っていたように思う。結果が逆でもおかしく なかった。与えたダメージの差が勝敗を分けたのかな。
 顔を腫らしてもまったく退くことなく打ち合ったのは、打たれ強いプロレスラーらしいと言えばその通りなんだが、少しは技術を身につけない と。

 たま☆ちゃん、試合中も終ってからもハイテンション。バルコニーの観客の「たま!」の声に「オウ!オウ!」と目を剥いて応える。が、判定が 発表されると、つとめて笑顔を作ってAKINOと握手したのち、退場時には涙。


6.SGS公式ルール 無差別級 5分2R
○高橋洋子(SOD)(1R4:23レフェリーストップTKO)×唯我(プロレスリングナイトメア)  

 唯我の入場曲は、いつものプッチモニ「BABY恋にKNOCKOUT」に続けて「汚れた英雄」、ホームリングのナイトメアで抗争していたターザン後藤の 曲であるはず。有刺鉄線ボードをかかえて登場、セコンドに素顔の死神(ナイトメア)。この死神の、試合中のアドヴァイスが、「気合だー」とか 「ブチかませ!」とかで、自分の横の席の、詳しそうなお姉さんたちにウケていた。

 試合は、ドラゴンスクリューや投げっ放しジャーマンを見せたもののダメージを与えることは出来ず、高橋にまったく歯が立たなかった印象。

 そして唯我の目にも涙。

 唯我をすら(失礼!)涙させる、このガチの緊張感、終わった時の脱力・弛緩、悔しさっていうのは、やはりすごいことなのか。


7.SGS特別ルール −52kg契約 5分2R
(グラウンド顔面パンチ有り・グラウンド時間制限なし)
○藤井恵(ガールファイトAACC)(1R0:40スリーパーホールド)×松本裕美(PUREBRED京都)  

 藤井が速すぎた、巧すぎた。

 アルシオンがまだあった頃、プロレスのエキジビションを吉田万里子とやって、私は観ていないがそこでも初めてとは思えないようなテクニカル な試合をやったらしい。AACCの女子選手が、9・4M's STYLEのリングに上がり、藤井もセコンドで来ていた。気が向いたら、またプロレスもお願いし ます。


メイン SGS特別ルール −53.5kg契約 5分3R
(グラウンド顔面パンチ有り・グラウンド時間制限なし)
○辻結花(闇愚羅)(3R4:00腕ひしぎ十字固め)×エリカモントーヤ(米・ネクストジェネレーション)

 初めて見る選手だと思っていたエリカ、またこれも後で気が付いたんだが、去年の全女30周年記念大会(5・11横アリ)で藤井巳幸(現・サソリ)を 秒殺した人だったんですね。あまりに早くスンナリ終わった試合だったので全然おぼえてなかった。


 辻選手、入場で被ってきたマスクを取ると、凍りついたように気合の入った表情、強い目線。

 たいへんにレベルの高い試合だったということで、細かいことはわからない私にも緊迫感は伝わり、場内の盛りあがりにつられて興奮しました。

 興行全体、時間がかかったけれども満足でした。




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