2004/08/05 Smack Girl 後楽園ホール興行 観戦記
■団体:SMACK GIRL
■日時:2004年8月5日
■会場:後楽園ホール
■書き手:高倉仮面

18:45
後楽園ホールに到着。今日はSmack Girlの観戦。

さて、突然だが。
Smack Girlの歴史は後楽園ホールから始まった。

女子プロレス団体であるNEOは、2000年12月に女子総合格闘技の大会としてReMixを開催。
タレントの桜庭 あつこが試合をする事でも話題を呼んだこの大会、
興行の目玉であるワンデートーナメントには、マルロス クーネン、グンダレンコ スベトラーナ、
エリン トーヒル、井上 京子、薮下 めぐみ、石原 美和子、張替 美佳…を含む総勢12名が出場。
…う〜ん、何気にイイ選手がズラリ。同じ面子でもう一回やってくれんかねぇ、コレ。

当時、優勝の大本命とされていたのは、155kgという企画外の体格を持つグンダレンコ スベトラーナ。
FMW(現在は倒産)でプロレスの試合をしたり、神取 忍と格闘技の試合をしたりで知名度も抜群だった。
興行前には「神取が出場しないのに、彼女を止められる人間なんているのか?」等と囁かれていたが…。
蓋を開ければ、まだ無名だった薮下 めぐみが100kgの体重差をモノともせずに判定勝利する大波乱。
ReMixの名前は、藪下の名前と共に当時のプロレスファンに深く刻まれたのだった。

□ReMix(Bout Reviewより)
http://www.boutreview.com/report/etc/00/1205remix/index.html
この流れを受けて…、2000年12月17日。
「ReMixに出場する選手の育成の場」としてSmack Girlは誕生した。

「Smack Girl episode 0」という名前で開催された一回目の興行には、
「クラッシュJr」としてプロレスデビュー前の桜井 亜矢(プロレスデビュー後はあっという間に引退)、
まだ女子プロレスラーだった頃の高橋 洋子…等が出場していて、時代の流れを感じる。
そんな中、元気 美佐江は今でも「元気」にプロレスしているけど…芽が出ないのぉ、この世代は。

□Smack Girl episode 0(Bout Reviewより)
http://www.boutreview.com/news/total/0012b.html#18remix
第二試合にも注目。日本人最強の石原 美和子が同門の金子 真理に秒殺負け!!

その後、Smack Girlは聖地 後楽園ホールを離れて各地で定期興行を開催。
渋谷club ATOM、ディファ有明、六本木ヴェルファーレ、大森ゴールドジム。
「女子総合格闘技」という単語を根付かせるべく、地道な活動を続けてファンを獲得していった。

そして…、旗揚げ戦から3年と8ヶ月が経過した今日。
ついにSmack Girlは後楽園ホールに帰ってきた。

今日の興行のメインイベントは「辻 結花 vs エリカ モントーヤ」、
現状考えられる「日本の女子総合格闘技界」の頂上決戦だ。
しかもルールは、女子総合格闘技では珍しい「グラウンドの顔面パンチあり」。
「女子総合格闘技」の存在の有無を問うべく、Smack Girlは「禁断の扉」を開いた。
昨年末は「イノキ ボンバイエ」でメインを務めた辻。
Smack Girl ミドル級 王者が大事な一番を迎える。

他にも話題は豊富。
藤井 恵の総合格闘技デビュー戦(しかも「グラウンドの顔面パンチあり」ルール)、
2年前に行われ賛否両論を呼んだ「Royal Smack」の開催、
更には「明日のヒロイン」を発掘する「ネクスト シンデレラ トーナメント」の決勝戦…等。
自己の団体の過去、現在、未来…その全てを導引してSmack Girlは後楽園ホールに挑む。


そんなSmack Girlの聖地での勇姿を観よう、と思ったのが本日の観戦の動機である。
新興の女子格闘技団体が次々に誕生する中、他団体に差を付けるべくアイデア勝負を仕掛けるSmack Girl。
この後楽園ホールで「元祖女子格闘技興行」の底力を観せつけるか?

長い能書きはこれくらいにして、チケット購入。
C席3500円、安いねぇ…品川主宰やメモ8氏には申し訳ないけど。

貧乏人なんです。
ボーナスも桁違いの安さだったし。トホホ…。

18:50
本日は木曜日、つまり平日ってヤツである。
僕はこれでも社会人。仕事のない日ならともかく、
仕事がある日はそれを最優先する訳で、この日も思わぬ仕事が入ってきて、
興行の開始時間である18:30には間に合わなかったのだ。
それでも何とかこの時間に会場入り出来たのだから、ヨシとしなくてはならない。

で、当然ながら既に試合は始まっていた。
「あ〜あ、何でこんな日に限って急ぎの仕事が入ってくるんだよなぁ…」等とガッカリしつつ、
無料でもらった対戦カード表(寸評付き)とニラメッコしつつ目の前のカードが何試合目かを確認する。

…驚いた。
コレ、フレッシュファイトの第一試合じゃねえか。
つまり、この時間に興行が開始したようなのだ。

オイオイ、大丈夫か?
今日はSmack Girlはフレッシュファイトを含めて全10試合もある興行。
色々な団体を観戦して来たが…19:00の開始から10試合という興行はちょっと聞いたことがない。
てっきりフレッシュファイトは、18:00の開場に合わせてダークマッチとして行われると思ってたのだが…。

早くも興行の終了時間が気になりつつ観戦開始。

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フレッシュファイト第一試合 SGS公式ルール 56kg契約 5分2R
○まりぃ 015(160cm/58kg/S-KEEP)
●長島 佳代子(160cm/54kg/y-park)
[判定 3−0]

対戦カード表(寸評付き)を見ると、共に「打撃が得意」と書いている。で、その通りに両者は打撃戦を展開。
長島はワンツーを攻撃の軸に、2Rにはバックブローを出したりストレートをヒットさせたり。
対するまりぃもパンチの連打で対抗、長島の顔面にストレートを入れる場面も。
打撃の技量は両者互角のように思えた。

だが、グラウンドは完全にまりぃが長島を圧倒。
まりぃは組み付いてから、何度も長島をテイクダウン。
1Rには肩固めを仕掛け、2Rもマウントから腕を捕ったり、二度に渡ってスリーパーを仕掛けたり。
まりぃはこの試合で計8回のテイクダウンを奪って勝敗を決定づけた。
但し、まりぃが仕掛けた関節技は全てグラウンド30秒ルールに逃げられてしまう。
う〜ん、残念。あれだけ仕掛けていれば一本取れそうな感じもしたんだが…。

判定は3−0、グラウンドで圧倒したまりぃが勝利。


フレッシュファイト第二試合 SGS公式ルール 46.5kg契約 5分2R
○金子 和美(150cm/48kg/フリー)
●山田 純琴(147cm/45kg/y-park)
[2R 1分23秒 腕ひしぎ逆十字固め]

6月の大阪大会でデビューしたばかりだという金子だが、
デビューしたてとは思えない動きで山田を圧倒。

金子は1Rからタックルで次々にテイクダウンを奪い…、
足で腕を捕り、マウントから三角絞めを極め、積極的に足関節を狙い、
上四方から腕を捕り、下になってもアームロックを狙っていく。
…ホントにデビューしたばっかりなのかね? 慣れているなぁ。

対する山田、劣勢に立たされつつも、グラウンド30秒ルールを利用して何とか寝技を凌いでいくと、
1R終盤からは組み付いてのヒザ蹴りを多用、金子にダメージを与えていく。

2R、金子のタックルに慣れ始めた山田はこれをガブると、
猪木アリ状態から金子を踏みつける。

だがグラウンド30秒ルールでこれを凌いだ金子は、
ミドルキックから接近して組み付くと、鮮やかな首投げで山田からテイクダウンを奪う。
マウントの体勢になり、最後は腕ひしぎ逆十字。山田がタップして試合終了。
う〜ん、金子は強いね。体は小さいけど、この先が楽しみな選手だな。

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19:15
フレッシュファイト終了。

この時間から本興行の開始、である。
あと八試合を19:00オーバーの状態で、である。
………。

…ヘタすれば、興行終了は21:30を過ぎるな。平日なのに。
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第一試合 BackDrop杯 『Royal Smack 2004』 時間差式バトルロイヤル特別ルール
出場順
1 ナナチャンチン(147cm/43kg/チーム南部) 北の最小兵器
2 藪下 めぐみ(158cm/62kg/SOD女子格闘技道場) 格闘女神
3 吉田 正子(NATIVE SPIRIT) ビビット スピリット
4 稲葉 陽子(156cm/48kg/Az乙女チック柔術倶楽部) ハッスル柔術
5 おっさん(151cm/53kg/総合格闘技闇愚羅) スマック名物
6 村野 麻子(157cm/47kg/Az乙女チック柔術倶楽部) 乙女チックリーダー
7 KAZUKI(155cm/69kg/フリー) 癒し系ヒール
8 浜島 佳代子(156cm/48kg/Az乙女チック柔術倶楽部) ヨメジーニョ
9 HARI(156cm/62kg/フリー) 格闘特攻隊
10 近藤 有希(170cm/67kg/PUREBRED京都) クールファイター
11 三谷 弘子(160cm/46kg/S-KEEP) ハードコア小町
12 15(身長不明/体重不明/所属不明) 格闘天使
13 井上 明子(160cm/47kg/フリー) ちびっこギャング


退場順
1 ナナチャンチン
2 吉田 正子
3 稲葉 陽子
4 村野 麻子
5 おっさん
6 HARI
7 三谷 弘子
8 15
9 浜島 佳代子
10 井上 明子
11 近藤 有希
12 KAZUKI


勝者
藪下 めぐみ
[17分12秒 (KAZUKIに)腕ひしぎ十字固め]

2年前に開催し、賛否両論を呼んだ「Royal Smack」が、何故か突然に帰ってきた!
世界初の「格闘技によるバトル ロイヤル」、主なルールは以下の通りだ。

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・スタンド、グラウンドによる打撃は一切ナシ。投げ、関節のみ。
・最初は選手は2人だが、1分ごとにカウントダウンと共に新しい選手が入場。
・最後の2人になった時点で5分一本勝負。5分で決着がつかない場合は判定。
・1人に対して、複数の人が技を仕掛ける事を有効とする。

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前回開催した時には、試合終了後に観客が非常に微妙な反応を示した「Royal Smack」、
今回は聖地凱旋のお祭りイベントとして組み込まれたのだろう。
このルールによる興行のスタートがSmack Girlにとって吉と出るか? 凶と出るか?

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○オープニング…毎度毎度のお約束

まずは最初に登場するのは…、
突然、会場に「炎のファイター」流れる、花道からは小柄な猪木風の男が登場。
どうやら西口プロレスのアントニオ 小猪木、という人らしい。知らんのぉ。
リングに上がれば開口一番「小元気ですかぁ〜っ!! 現金があれば何でも出来るっ!!」。
観客がリング上の人物をタレントの春 一番と勘違いする中、小猪木はトップバッターを紹介。
「炎のファイター オーケストラバージョン」と共に登場したのは…。

毎度毎度のお約束、ナナチャンチン。

リング上では「今日は絶対に優勝しますっ!!」と力強く宣言、小猪木に対して闘魂注入を要求。

小猪木は空振りの張り手で応える。それにしても…優勝する? ウソつけ。
Love Impact でしなし さとこに負けたから、引退するんじゃなかったのか?

ちなみにナナチャンチンはReMixでの桜庭 あつこの試合を観て感動して格闘技を始めた選手。
そういう意味では、Smack Girlの記念碑となるこの興行にいるのもわからなくはない
そして彼女は唯一の「Royal Smack」経験者。先人としての意地が見たいが…。

直後に登場したのは、そのReMixでブレイクした藪下 めぐみ。あまりにも相手が悪い。

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○試合開始〜試合前半…溜まっていく人々

試合開始。早速、藪下は手加減しつつもナナチャンチンを子ども扱い。そりゃそうだ。
しかし観客は露骨に手加減をしている藪下を見て「この試合、良くわからない…」と漏らしている。
これは前回の「Royal Smack」の試合中にも聞かれた意見。
選手が観る側の事を変に意識するから、こうなってしまうのだ。

その後、吉田、稲葉とリングイン。
で、ナナチャンチンは吉田にアッサリと極められてタップ。
結局、今日もネタだけを披露して退場するナナチャンチン、何しに来てるんだ?
…なんて思ってたら、不意に藪下がその吉田に腕ひしぎ逆十字を極めてタップを奪う。
う〜ん、なんというか、血も涙もありゃしない。

今度はおっさんと村野がリングイン、藪下、稲葉の四人による神経戦。
お互いに「技を仕掛けている間に技を掛けられる事」を警戒、試合が動かない。
そうこうしている間にKAZUKI、浜島、HARIがリングイン。
KAZUKIはグリーンの衣装の見栄えが良く、ヒールな髪型もわかりやすい。さすがはプロレスラー。
…だがリング上には七人。異様な光景に観客も困惑気味。

○この時点でのリング上 (入場順)
藪下 めぐみ、稲葉 陽子、おっさん、村野 麻子、KAZUKI、浜島 佳代子、HARI

○この時点での退場者 (退場順)
ナナチャンチン、吉田 正子

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○試合中盤…藪下の奮起、奮戦、奮闘

この辺から試合が動き始める。
まずは藪下が、村野に対して鬼のようなムーブから腕ひしぎ逆十字で極めると、
稲葉も、いつの間にかにおっさんに極められてしまい退場。
そのおっさんは…腕ひしぎ逆十字 + アキレス腱固めのW関節技を前に成す術なくタップ。
この光景には観客もウケていた、これぞ「Royal Smack」の醍醐味。リング上も四人でスッキリ

しかし時間はあっという間に過ぎていき、リングには近藤(旧姓 久保田)と三谷が追加。
ちなみに近藤の参戦は観客にも知らされていなかったサプライズ。
長身で真っ赤なコスチュームが登場した時は、観客の一部から驚きの声が揚がっていた。
しかしまあ、何だって近藤みたいな実力者がこんな試合に出場するのかねぇ…。

□近藤 有希(旧姓 久保田) 公式HP 「INNOCENT」
http://www.geocities.co.jp/Athlete-Crete/1429/
好きな本は「相田みつを」だそうな。意外と言えば意外だ。
今度は15が登場。マスクウーマンながらも、その体型美に観客の一部から声が揚がる。
典型的なベビーフェイスだね、この人は。で、その15はHARIをスリーパーで絞めて退場させる。
これに呼応して藪下があっさりと三谷を極めた。藪下は「やる」となったらあっという間だ。

最後の選手となる井上が入場。
これで出場選手は全員入場した事になる…のだが、再びリング上には六名。
なにやらグダグダな光景に観客はやや疲れ気味。
こういう光景を10分以上も見せられている訳だしね。

それにしても、藪下がどんどん選手を極めていくなぁ。

○この時点でのリング上 (入場順)
藪下 めぐみ、KAZUKI、浜島 佳代子、近藤 有希、15、井上 明子

○この時点での退場者 (退場順)

ナナチャンチン、吉田 正子、稲葉 陽子、村野 麻子、おっさん、HARI、三谷 弘子

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○試合終盤…生き残りをかけた関節勝負、そして鬼の藪下。

いよいよ試合はサバイバルマッチの色合いを強め始める。
まずはKAZUKIが15を極めて退場させる。その姿はベビーフェイスを痛めつけるヒールそのもの。
今度は藪下がジャイアント スウィングからの足関節で浜島を退ける。プロレスラーの本領発揮。
リング上はこれで四人、お互いに団子になりながら関節技を仕掛ける選手達。

そんな中…またしても藪下だ。観客が声を揚げるような鋭いムーブから井上を極めて退場させる。
何が藪下をそこまで燃えさせるのだろうか? 賞金目当てか…?

結局リング上に残ったのは、藪下、近藤、KAZUKI。実力者が残った感があるが…。
ここで近藤が藪下 & KAZUKIに捕まった。腕ひしぎ逆十字 + アキレス腱固めであえなくタップ。
う〜ん、今日の近藤、サプライズとして登場した割には全く活躍できなかった。

○この時点でのリング上 (入場順)
藪下 めぐみ、KAZUKI

○この時点での退場者 (退場順)
ナナチャンチン、吉田 正子、稲葉 陽子、村野 麻子、おっさん、HARI、
三谷 弘子、15、浜島 佳代子、井上 明子、近藤 有希

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○ファイナル…最初から最後まで残った人、途中でダレた人

で、最後まで残ったのは藪下とKAZUKI。この時点で試合は5分一本勝負となったのだが…。

いざ試合が仕切り直されると、藪下がグラウンドでKAZUKIを子供扱い。
ポジション取りで圧倒しつつ、執拗な腕ひしぎ逆十字狙い。これがガッチリ極まってKAZUKがタップ。
終わってみればトップバッターの藪下が最後まで生き残っての優勝。
う〜ん、まるでリック フレアー。で、勝った藪下には賞金が手渡された。

さて、この激闘を目の当たりにした観客は…、すっかりダレてしまった様子。
まあ、リング上に沢山選手がいると観る側も焦点を絞れないし、
多人数の時の微妙な心理戦も、観客には「闘いに対して消極的」って感じにしか見えないしね。
今度「Royal Smack」をやる時は、もう少しルール改正の必要があるかもなぁ。

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19:40
ここで正式に全選手の入場式が行われた。
…って言うか、19:40であと七試合。大丈夫だろうか…?
こりゃ、ヘタすると22:00を超えるな…。

選手を代表して、今日の主役である辻が挨拶。


「今日はお暑い中、足を運んでいただき、ありがとうございます。
 選手一同、全試合において頑張ります。応援よろしくお願いします(観客拍手)。」

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第二試合 SGSタッグマッチルール 10分一本勝負
 大室 奈緒子(145cm/48kg/和術慧舟會東京本部) グラップリングDNA
○内藤 晶子(158cm/56kg/RJW/Central) ファイティング エリザベス
vs
 羽柴 まゆみ(152cm/42kg/BBdoll) Beauty Battle Doll
●川江 礼子(153cm/58kg/S-KEEP/キックネス) お母さんは唐手家
[1R 4分39秒 腕ひしぎ十字固め]

この試合、「慧舟會スマック支部 vs 超異色コンビ」。
確かに美形ファイターの羽柴 まゆみと「私はリングの上で死ねる」の川江 礼子のコンビは異色だな。

□羽柴 まゆみ 公式HP 「BBDoll」
http://mypage.naver.co.jp/mayumi_hasiba/
確かに美形だねぇ。
対するのは、Smack Girl軽量級の新エースである大室 奈緒子と第一回アマスマックのMVP、内藤 晶子。
異色コンビは「人気先行チーム」という印象もある。「慧舟會実力派チーム」を倒して株を上げたい所だ。

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試合はタッグながらも「大室 vs 羽柴」「内藤 vs 川江」、シングルマッチ×2という構図で行われた。
試合中に何度かタッチは行われたものの、両チームとも同時にタッチをするのでこうなったのだ。

○「大室 vs 羽柴」

小さな二人が互角の展開を繰り広げる。
羽柴がシャープな打撃で押し込み、大室はグラウンドで攻める。
綺麗なフォームからパンチやキックを放つ羽柴、下から腕を捕って逆十字を仕掛ける大室。
更には羽柴はヘッドロックで絞め上げ、「それなら…」と大室は打撃で真っ向勝負。
両者共に小さい身体ながらも、己の技術を駆使して真っ向勝負を繰り広げた。

○「内藤 vs 川江」

こちらは明らかな実力差が。
「唐手家」である川江は得意の打撃を出そうとするが、内藤にすぐに組み付かれてしまう。
そしてテイクダウンを許すと、内藤の攻めをグラウンド30秒ルールで凌ぐのが精一杯。
そんな川江に対して、内藤は三度目のテイクダウンの後でマウントを奪って腕ひしぎ逆十字へ。
結局、これが極まった。川江がタップして試合終了。

う〜ん、大室 vs 羽柴はもう少し観たかったなぁ。

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20:00
残り6試合。観客は「テンポの悪い進行」の興行にやや疲れ気味。
興行開始は20分間遅れてしまい、「Royal Smack」が会場に微妙な空気を流す。
先程のタッグマッチでダレていた空気が多少は引き締まったのだが…。
悪い事は重なるもの、ここでも予期せぬハプニングが。

次の試合に出場予定である藪下 めぐみが、第一試合の『Royal Smack』で右足を負傷した事が判明。
急遽、怪我の回復を待つ為にこのタイミングで10分間の休憩となった。

20:10
…のだが、約束の10分間を過ぎても何のアナウンスもない。
僕の中では、こういう待たされ方は予想できる事態ではあったが…、
多くの観客はかなり混乱している様子。20:00を過ぎて残りが6試合…キツイね。
それ以上に、スタッフがドタバタしている事も容易に想像はつくけど、ねぇ。

少しでも事態を吸収すべく、ここで篠 泰樹代表がリングイン。

「本日はお暑い中、Smack Girlに足を運んでいただき、
 ありがとうございます(観客拍手)。

 2000年12月17日にSmack Girlは、ここ後楽園ホールで誕生しました。
 それから3年8ヶ月が経過した今日、やっと後楽園ホールに帰って来る事が出来ました。
 ここに戻ってこれたのは皆さんのおかげです。ありがとうございます(観客拍手)。

 今日は選手はいつも以上に力を入れて試合をしています。
 そんな中、次の試合に出場予定だった藪下 めぐみ選手が右足を負傷してしまいました。
 しかし本人は「是非、試合に出たい」という意思を持っており、現在、負傷箇所を治療しております。

 そこで、藪下選手の回復を待つ為に、試合順を変更させていただきます。
 第四試合の「ネクスト シンデレラ トーナメント」の決勝戦を第三試合に繰り上げまして、
 第三試合はトーナメントの決勝戦の次に行いたいと思います。皆さん、ご理解下さい(観客拍手)。

 昨今、新しい女子格闘技の団体が次々に誕生しています。
 そんな中でSmack Girlは、その最先端を走っていると思います。
 これからも、今まで以上に邁進していきます。応援、よろしくお願いします(観客拍手)。」

この挨拶で、どうにか興行の流れは回復しそうになったのだが…。
直後に流れたのは「もうしばらくお待ちください」の一言。途端に嫌悪感を示す観客達。

20:15
んで、ここでまたまたアナウンスが。

「今、藪下 めぐみ選手の怪我が回復したようです(観客拍手)。

 そこで、先程発表した試合順を変更します。
 予定通り、第三試合は六人タッグマッチ、第四試合はトーナメントの決勝戦を行います。

 …選手調整の為、もう少々お待ちください。(「え〜っ!?」と観客、ちょっと疲れ気味の溜め息)。」

う〜ん、何だかバタバタしているなぁ。
こういうのは、絶対的に興行に対して決定権のある人がビシッと締めないと。
正直、選手の我侭で興行が揺さぶられているのが伝わってきちゃったよ…。

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第三試合 SGS六人タッグマッチルール 15分三本勝負
○虎島 尚子(163cm/58kg/RJW/Central) タイガー アイランド
 真武 和恵(155cm/58kg/和術慧舟會東京本部) IQスナイパー
 端 貴代(162cm/60kg/和術慧舟會東京本部) ビッグシスター
vs
●藪下 めぐみ(158cm/62kg/SOD女子格闘技道場) 格闘女神
 せり(164cm/52kg/SOD女子格闘技道場) アンフォー ギブン
 忍田 なほみ(158cm/62kg/SOD女子格闘技道場) 武闘派セレブ
[判定 3−0]

ドタバタを経てようやく試合再開。時刻は…20:20を過ぎている。
僕の周りにも、時計を気にしている人がチラホラ。終了時間が気になるらしい。
さて。
この試合は「慧舟會チーム vs SODチーム」による三対三の対抗戦。
「SODチーム」と言っても、及川 奈央や夏目 ナナが寝技を披露する訳ではない。

「SODチーム」のリーダー格は、ご存知、藪下 めぐみ。
日本の女子総合格闘技の歴史を語る上でも重要な人物の一人なのだが、
意外にもSmack Girlへの参戦回数は片手で数える程しかない。
「プロレスは仕事、格闘技は趣味」、本業の片手間に参戦している感覚なのだろう。

それでも、日本の女子総合格闘技における彼女の存在感が大きいのは…。
現役モデルをボディスラムでリングに叩き付け、キック王者をリバース スープレックスで投げ捨てる。
元「生ゴンギャル」の格闘技デビュー戦では、腕ひしぎ逆十字で秒殺して何もさせない。
今日の対戦相手の一人である真武 和恵にはパイルドライバーを喰らわせた。
藪下は「プロレスラー」として、試合に出れば必ず大きなインパクトを残していく。

右足を負傷しながらもこの試合へ強行出場する藪下、
SOD女子格闘技道場にて自分の手で育てた弟子を引き連れての入場だ。
3月のSmack Girl-Fにてプロデビューしたばかりのせりと、この試合がデビュー戦となる忍田 なほみ。
せりは色白、忍田は色黒、共に細身。藪下と比べるとやや頼りない感じがするのはやむなし、か。

対するのは、第二試合に続いての「慧舟會実力派チーム」。
リーダー格は、意外にも1年8ヶ月ぶりのSmack Girl参戦となる虎島 尚子。
Smack Girlがディファ有明で興行を打っていた頃には頻繁に参戦していた選手で、
「おっとりしまくりのキャラクター」と「えげつない関節技」のギャップが面白い選手だ。

その脇を固めるのは、5月にSmack Girlが主催したグラップリング トーナメントで優勝した真武 和恵。
パイルドライバーは喰らったが、寝技では藪下に肉薄する程の実力の持ち主。
端 貴代もあなどれない。柔術の試合を中心に活躍中で寝技に定評がある選手だ。

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試合は「慧舟會チームの寝技に捕まるSODの新人達」& 「藪下に歯が立たない慧舟會チーム」、
二つの図式が平行して進行、初見の人にも非常にわかりやすい試合となった。

○「慧舟會チームの寝技に捕まるSODの新人達」

序盤から寝技の実力を発揮した真武が、せりに対して腕ひしぎ逆十字を極める。
ガッチリと極まってレフリーが「見込み一本」を取ったのと同時に、せりは自軍コーナーでのタッチが成立。
一度は試合終了のゴングまで鳴らされたものの、せりは何とか命拾い。

今度は忍田が虎島に捕まる。
真武の失敗を見て学習した虎島は、技を極めてもタッチが成立しないように、
忍田を自軍コーナーに運んでアームロック狙いからのチョークスリーパーを極めた。
ピンチを迎えた忍田、だが何とかグラウンド30秒ルールを利用してこれを凌ぐ。

再び真武がせりを襲う。
鋭いタックルでテイクダウンを奪う真武、バックを捕ってからのチョークスリーパーを仕掛ける。
せりがこれを逃れようとするも、真武はすかさず腕ひしぎ逆十字へと移行して逃がさない。
どうにかグラウンド30秒ルールで逃げるせりだが、試合終盤にも真武の下からの逆十字に捕まった。

端も黙ってはいない。端は試合全般で打撃を多用して新人二人を苦しめると、
試合終盤には忍田からサイドを奪ってのアームロック狙いで存在感をアピールする。

○「藪下に歯が立たない慧舟會チーム」

自分の弟子達のピンチを見て逆に奮起したのが、
第一試合で大怪我をしながらも強行出場した藪下だ。

試合序盤、真武にテイクダウンを奪われながらも…、
下から豪快にリバースして上になると、猪木アリ状態からローキックを放つ。
更には試合中盤、ミドルキックを繰り出す端には、痛めた足からミドルキックを放って真っ向勝負、
そして真武を豪快な首投げで投げ捨てる。八面六臂の活躍で観客を沸かせる藪下、「格闘女神」の面目躍如。

そして、この姿を見てスッカリとビビってしまったのが虎島。
自分が藪下と対峙する度に、虎島は打撃を一発入れてからタッチ…という消極的な闘いに終始。
観客から軽めのブーイングも飛び出したが、一番頭に来ていたのは他ならぬ藪下だ。
タッチを受けると相手コーナーへ向かって一目散。背を向けていた虎島に飛び蹴りを喰らわせた。
怪我している事を忘れさせるファイトを連発する藪下、観客も良く沸いた。う〜ん、素晴らしい。

最後は真武が藪下と見応えのあるグラウンドの攻防を展開、両者共に激しく上になったり下になったり。
藪下は豪快な投げで真武をテイクダウン、だが真武が逆にグラウンドでバックを奪ったところで試合終了。

判定は…やはりグラウンドでの実力差が決定打となり、慧舟會チームが3−0で勝利。
だが試合中に最も目立っていたのが藪下であった事は言うまでもないだろう。
さすがは、グンダレンコ スベトラーナを破った女。
せりと忍田は、これからも彼女の活躍から大いに学んで欲しいね。

観客の反応は…、藪下に対してやや消極的な試合をした慧舟會チームの勝利にご不満の様子。
休憩時間に起きたドタバタぶりを回復するまでには至らない。
結果論になっちゃうけど…今日は前半に多人数の試合を固めすぎだな。
せめてシングルマッチを一つ挟めば、もう少しピリッとした気がするんだが…。


第四試合 ネクスト シンデレラ トーナメント決勝 SGS公式ルール 5分2R
○舞(162cm/50kg/パレストラ松戸) まいっちんぐ "舞"こ先生
●川畑 千秋(159cm/49kg/Red Devil KIS'S) プレティフェイス アサシン
[判定 3−0]
※舞がネクスト シンデレラ トーナメント優勝

現在の時間は20:45。あと5試合か…、これは絶対に22:00を過ぎるな…。

さてここからは、シングルマッチが5試合。
先陣を切るのは、2月から行ってきた「ネクスト シンデレラ トーナメント」の決勝戦。

「明日のシンデレラ」を発掘すべく行われてきた新人選手によるトーナメント、
果たして「ガラスの靴を持った王子様」が訪れるのは、どちらの選手なのか?
元々はSmack Girlのドクターを務めていた舞は、得意の打撃でデビュー以来負けなし。
細身のボディと長い手足が印象的な選手だ。顔も中々良い感じ(セクハラ)。
対戦相手の川畑 千秋は、大振りなパンチと関節技でトーナメントを勝ちあがってきた選手。
会場に「暗黒大王」時代のアンダーテイカーの入場曲が流れる中で、
セコンドの坂本 奈緒子や石山 絵理とお揃いの「赤い特攻服」で入場してくる川畑。
う〜ん、なんとなくアイドル集団って感じもしなくはないような…。

□Red Devil KIS'S 公式HP
http://www.jap.co.jp/rdk/
前言撤回。

1R、まずは川畑がタックルを連発。
一発目は舞が切り、猪木アリ状態からローキック。
二発目はテイクダウンに成功、腕を捕って関節技を仕掛ける。
まずは一進一退の攻防だ。

だが、舞はスタンドの打撃でペースを握り始める。
バックブローの奇襲に出る川畑だが、これをキャッチした舞はカウンターのストレート。

川畑を倒すと、サイドを奪ってボディへヒザを入れていく。
更には、川畑の前蹴りをモノともせずに、ストレートを2発ヒットさせると、
組み付いてテイクダウンを奪ってハーフマウントからボディへパンチを落とす。
川畑も打撃を得意としているが、今のところは舞に押され気味。

ならば、と川畑はここで打撃を連発。
再び放ったバックブローは不発だったが、続いて打ったフックがヒット。
これに気を良くした川畑は、パンチで一気に前に出てる。
しかし舞もパンチで応戦、試合は乱打戦に突入。
ちょこちょことお互いのパンチが顔面にヒットする中、
舞は川畑の顔面にストレートをクリーンヒットさせた。
嫌がった川畑は、このラウンド三発目のタックルを敢行、舞からテイクダウンを奪う。
…が、舞は下からの腕ひしぎ逆十字で逆襲、容易に試合のペースを握らせない。

…と、ここでドクターチェックが。
先程の乱打戦の中で放った川畑のパンチで、舞の耳が少し切れたらしい。
ドクターストップもありうる展開だったが、その場で応急処置が成されて試合再開。
ちなみに、この時点で時刻は21:00になっていた。う〜ん、キビしいねぇ。

試合再開…、と同時にパンチで前に出る舞。
これに合わせて川畑は四発目のタックルを仕掛け、舞からテイクダウンを奪う。
だが、舞はリバースして川畑をガブるとボディへパンチを入れていった。
川畑がこの体勢を更にひっくり返す中、1Rは終了。
全体的には舞が押しているが、耳のカットは気になるところだ。

2R、やはり川畑は得意のタックルを連発。だが…。
一発目ではテイクダウンを奪うも、舞に下から関節技を仕掛けられる。
二発目は舞に潰されてしまった。上からボディへパンチを落とされ、更にはギロチンチョーク。
ここは下からの腕ひしぎ逆十字で逆襲したが…、川畑はスタンドでもグラウンドでも押され気味。

更には、舞のグラウンドが川畑を襲う。
組み付けばテイクダウン、ボディへパンチを落としつつアキレス腱固めを狙う。
組み付かれればそのまま引き込んで、下から腕ひしぎ逆十字を仕掛ける。
スタンドでストレートをヒットさせて打撃戦を制すると、
川畑の得意のタックルを切ってバックを奪い、チョークスリーパーを狙っていく。
これらはいずれもグラウンド30秒ルールで逃げられたが、試合は圧倒的に舞のペースだ。

旗色の悪い川畑、ミドルキックからタックルを放った…が、舞に切られて逆にストレートを喰らってしまう。
こうなると一発逆転を狙うしかない。川畑は次々に大振りなパンチを連打して前に出る…が、
舞はこれを冷静にかわして反対にパンチを入れると組み付いてテイクダウン、
猪木アリ状態からローキックを放っていく。

もう試合時間がほとんどない。
そんな中、川畑はパンチから舞に組み付き…テイクダウンに成功、しかも上四方の体勢だ。
最後の最後にチャンスを掴んだ川畑、ポジションをマウントへと移行する…が、ここで試合終了。

判定は文句なしの3−0、舞が勝利し「ネクスト シンデレラ トーナメント」を制した。

…っていうか、この勝負、意外に実力差があったのかもしれないな。
正直、川畑は打撃は荒い感じがした。舞の攻めが丁寧だったのかもしれんが。
優勝した舞には賞金が手渡されていた。「ネクスト シンデレラ」の今後に期待。


第五試合 SGS公式ルール 無差別級 5分2R
○AKINO(160cm/60kg/フリー) スカイパーフェクト
●たま☆ちゃん(165cm/64kg/SOD女子格闘技道場) 格闘生物
[判定 2−1]

時刻は21:10。一般的な興行は終了している時間である。
だが今日のSmack Girlはあと四試合を予定。益々もって厳しいな。

2月に行われたLove Impactの興行にて、
2003年のスマック ミドル級トーナメント王者の菊川 夏子をKOで破ったAKINO。
プロレスラーである彼女は、今は亡きアルシオンの生え抜き第一号でもある。
現在はM's Styleなるユニットを結成して活躍中。「女高山を目指す」と宣言をしたAKINO、
プロレスの経験は豊富だが、Smack Girlはこれがデビュー戦となる。

対するは「格闘生物」たま☆ちゃん(以降は「タマ」と表記)。
腹の底から明るいキャラクターは、観客に大きな感動を与えてきた。
6月に行われたSmack Girlの興行では、AKINOと同じく菊川 夏子をKOで退けた。
シャープな見た目のAKINOに対して、水玉模様のコスチュームのタマは、正直バタ臭い感じ。
だが、それこそがタマの持ち味。その明るさは「女高山」を包み込むか?

ちなみにこの試合の勝者にはサーロインステーキが20kgも贈呈されるそうだ。
これには観客ちから「喰いてぇ!」の声。イヤ、僕も喰いたい。

1R、序盤から両者のパンチが交差する中、まずはAKINOがタマをテイクダウン。
タマはあっさりとリバースに成功するが、AKINOは下からのチョークスリーパーで喰い下がる。
グラウンド30秒ルールで両者スタンド、
タマはワンツーの連打でAKINOを追い込んで豪快にテイクダウン、腕を捕りに行く。
これに対してAKINOはクロスガードでガッチリ防御。
実力拮抗、一進一退の攻防にこれまでちょっと疲れ気味だった観客から歓声が沸く。

1R中盤からはタマが試合を優位に進めていく。
3度目のスタンド、タマはワンツーの連打で再びAKINOを攻め込む。
打撃を嫌がるAKINOは、自らタマに組み付くとテイクダウンを奪い一気にマウントポジションへ移行。
しかしタマは下からバランスを崩すとリバースに成功、ここは展開なくグラウンド30秒経過。
4度目のスタンド、ローキックで牽制するタマ。AKINOは派手な裏拳で観客を沸かせるが…。
この裏拳をかわしたタマのワンツーが、AKINOの顔面にヒット!
怯むAKINO、タマは更なるワンツーの連打でダメージを与えると、組み付いてテイクダウンを奪う。
更にはハーフマウントからマウントへとポジションを移行。ここは展開なく30秒経過したが…。
ガムシャラな表情から放たれるタマのパンチに、AKINOが押されるシーンが多くなってきた。

1R最後のスタンド。タマのワンツーに対してAKINOも意地のパンチで対抗、乱打戦だ。
両者ファンから歓声が起こる中、今度はAKINOがタマをヘッドロックに捕らえて絞り上げる。
AKINOがプロレスラーとしての意地を見せる中、1Rが終了。
ダレ気味だった観客もこの試合ですっかり元気になった。確かに面白い試合だな。

2R、1Rは押され気味だったAKINOが反撃の狼煙を揚げる。
まずはローキックでタマの機先を制すると、そのまま組み付きフロントチョークに捕らえてグラウンドへ。
オールドスクールなムーブながらもガッチリ決まっており、AKINOファンから歓声が揚がる…が、
やがて首を抜くタマ、今度はタマファンから安堵の歓声が揚がる。そのままグラウンド30秒が経過。

両者スタンド、タマは前蹴りの連発で距離を保とうとするが、AKINOは構わず接近してパンチを出していく。
ワンツーやストレートがヒット、苦しむタマが組み付いてもAKINOはそのボディにヒザ蹴りを連打。
1Rに押され気味だった展開を挽回すべくAKINOが奮闘する…が。

タマが逆襲が始まった。ヒザ蹴りをもらいつつもAKINOをテイクダウンしたタマ、
サイドポジションから一気に腕ひしぎ逆十字の体勢へ。AKINOは腕をクラッチしてこれを堪える。
だがタマの引きは強く、あと少しで腕が伸びる。AKINO、絶体絶命…というところで30秒が経過。
タマファンから「あ〜」という落胆の声。

何度目かのスタンド、AKINOはローキックからストレートを連打、タマもパンチを返して…の乱打戦。
まずはAKINOのストレートがガツンとタマにヒット、しかしタマのストレートもAKINOにヒット。
尚も乱れ飛ぶパンチ、観客にもわかり易い激しい展開、両者のファンの声援が飛ぶ。

ここに来てAKINOの顔に疲労の色が。これまでに喰らい続けた打撃のダメージがかなり大きいようなのだ。
これを見たタマは更にストレートを連打。ノーガードのAKINOの顔面に次々にパンチが入っていく。
組み付き引き込みリバースして上になるタマ、ピンチになったAKINOにAKINOコールが沸き起こる。
これに応えたAKINOは、このピンチをグラウンド30秒ルールを利用して逃れる事に成功。

最後のスタンド。
AKINOは気力を振り絞ってストレートを連打すると、今度はこれがタマにガンガンヒット。
しかしダメージの少ないタマは、これを喰らいつつもパンチで反撃。
「これを喰ってはオシマイ」、AKINOは自ら組み付いて打撃を逃れて豪快にテイクダウンを奪う…も、
グラウンドに勝るタマはあっさりと上になる。
またまた大ピンチを迎えたAKINOは何とかリバースしようとするも、タマは下からの腕ひしぎ逆十字。
AKINOは一難去ってまた一難、あと少しで腕が伸びるか…というところで試合は終了。
タマファンからは落胆の声、AKINOファンからは安堵の声が漏れたが…、
やがてその声は激闘を繰り広げた両者に対する賞賛へと変わっていった。

さて判定。
これまでの試合展開を読めばわかるとおり、試合内容としては終始タマが一歩リードしていた。
だがその結果は…何と2−1でAKINOの勝ちだという。う〜ん、どう見たってタマの勝ちだろ、コレ。
何だか名勝負に水を注されたな。

そんな判定結果でも、タマは笑顔を絶やす事なくリング上から観客にアピール。
その姿を見た観客からは自然と歓声が揚がっていた。
まあ何にせよ、この試合でややダレ気味だった会場の空気が良くなってきたのは事実。


第六試合 SGS公式ルール 無差別級 5分2R
○高橋 洋子(170cm/70kg/SOD女子格闘技道場) 元祖女子総合格闘家
●唯我(158cm/77kg/プロレスリング ナイトメア) I'm 唯我
[1R 4分33秒 レフリーストップ]

第六試合は21:30開始。興業終了は確実に22:00を超えてしまうだろうな。 と、ここで会場にアナウンスが。

「興業時間の短縮の為に、紙テープの投げ入れを禁止します」

主催者側も中々に必死である。

しかし、そんな努力をあざ笑うような事件が。
この試合において、紹介映像が大きく乱れてしまったのだ。
どんな選手かもさっぱりわからないような紹介映像、
観客からは「あぁ…」という溜め息が漏れる。
あ〜あ、折角さっきの試合で空気が戻ってきたのに…。

ReMixにはプロレスラーとして出場していた高橋 洋子。
これまで「元祖女子総合格闘家」として業界を支ええてきたが、
このところは何故かレフリーとしての活躍が目立っていた。
今日は選手としてリングに上がる高橋、久しぶりの実戦を勝利で飾れるか?

対戦相手はプロレスリング ナイトメア所属のマスクウーマン、唯我。
コロコロと太った体系でどこか憎めないビジュアル、リングには有刺鉄線ボードを持ち寄って入場。
これまでSmack Girlでは2戦2勝、その中には高橋の弟子であるたま☆ちゃんの名前も。
試合開始、長身からキレの良いローキックやミドルキック、ワンツーを繰り出す高橋。
唯我は顔面のガードを固めつつ半身になる…というよりは、明らかに高橋の打撃を恐れている感じ。
それでもどうにかミドルキックをキャッチしたが、これは高橋に突き放されてしまった。
寝転がる唯我にグラウンドでローキック、バックを奪ってボディへパンチを入れていく高橋。
唯我はグラウンド30秒ルールで逃れたが、
何となくこの光景を見て「こりゃ決着は時間の問題だなぁ…」なんて思っていた。

ところが…、唯我が思わぬ意地を見せる。
高橋のローキックをキャッチした唯我は、何とその足をドラゴンスクリューで巻き込む。
バランスを失った高橋は転倒、唯我はすかさずバックを奪ってスリーパーを狙う。
続いてのスタンドでは、唯我は豪快なスープレックスで投げ飛ばす。
観客も唯我の反撃を前に驚きの声を揚げている。

しかしやはり実力は高橋が断然上だった。
高橋が再び打撃を繰り出して距離を取り始めると、唯我は再び防戦一方に。
シャープなワンツーからローキックで、あっという間に唯我がダウン。
レフリーのカウントが進む中、ここは何とか立ち上がったが…。

高橋は再びワンツーとミドルキックで唯我を追い込む。
タックルに逃げる唯我だが、高橋はこれをガブッてボディへパンチを入れていく。
唯我は嫌がりつつも高橋をコーナー際へと押し込んでいくが、
高橋はこれを潰してローキックを叩き込む。

グラウンドでもスタンドでも打撃を喰らい続けた唯我は、
完全に高橋の打撃に苦手意識を持っている。これでは高橋が勝つのは時間の問題だ。
そんな唯我に、高橋は中距離から再びワンツーの連打。
本気で嫌がる唯我、最後は自らギブアップの意志を示すように自ら身を屈めていった。
これを見たレフリーは試合をストップ、試合終了。

唯我は思ったより健闘したものの、終わってみれば秒殺負け。
余程悔しかったのか、リングを去る時には大泣きしていた。
これとは反対に復帰した高橋は快勝を果たした。
この次に狙うのは連敗している石原美和子の首か!?


第七試合 SGS特別ルール 52kg契約 5分2R
○藤井 恵(159cm/51kg/ガールファイトAACC)
●松本 裕美(168cm/77kg/PUREBRED京都)
[1R 40秒 チョークスリーパー]
※グラウンド顔面パンチ有り & グラウンド時間制限なし

さてここからは、日本の女子総合格闘技が未知の領域となる「グラウンド顔面パンチ有り」による試合。
そして時刻は21:40。これまた日本の女子総合格闘技は未知の領域。ぬぅ…、厳しいねぇ。

「格闘技通信」で連載を持つなど、日本の女子格闘技界では古くから名前を知られている藤井 恵。
「フジメグ」の愛称は格闘技界の中でも浸透しており、サンボでは世界大会で入賞する程の実力を持つ。
更には、自ら「ガールズファイトチャレンジ」というアマチュアのグラップリング大会を主催するなど、
日本の女子総合格闘技界の底辺拡大に大きく貢献し続けた。
そんな彼女の初の総合格闘技戦は、いきなりの「グラウンド顔面パンチ有り」ルール。
対戦相手は、PUREBURED京都所属、修斗の女子部門・アマチュアのチャンピオンにもなった松本 裕美だ。

試合開始、まずは松本がワンツーで藤井を牽制…するも、
藤井は目にも止まらぬ程の素早いタックルで一気に松本をテイクダウン。
観客が「あっ!」と驚く中で、藤井はそのままマウントを奪ってマウントパンチを数発入れると、
スルリと松本のバックを奪ってチョークスリーパーへと移行。
あまりに鮮やかな動きの連続の中で松本はタップ。
藤井の総合デビュー戦は「40秒間の秒殺勝利」という強烈なものとなった!!
観客も、その鮮やかな動きを前にただただ歓声と拍手を贈るしかない状態だ。

そんな中、藤井が涙ぐみながらマイクで挨拶。
「え〜……、あの〜……。


 ………。(涙ぐむ藤井、観客は声援で後押し)

 …試合では凄く緊張しました。
 今日は、松本さんの胸を借りるつもりで試合をしました。
 思っていた事が全部できたので良かったと思います。

 次の試合では、二人がもっと良い試合をしてくれると思うので、期待してください。(観客拍手)」

それにしても鮮やかな勝利。
ここまでの実力が見れたのなら、世界の強豪達との対戦も見てみたい。
「遅れてきた新人」の総合格闘技再登場はいつの日か?


第八試合 SGS特別ルール 53.5kg契約 5分3R
○辻 結花(156cg/53kg/総合格闘技闇愚羅)
●エリカ モントーヤ(165cm/55kg/アメリカ/ネクスト ジェネレーション)
[3R 4分5秒 腕ひしぎ十字固め]
※グラウンド顔面パンチ有り & グラウンド時間制限なし

伸び伸びになっていたこの興業も、ついにこの試合が最後である。
この時点で時刻は21:50。やはり22:00は過ぎてしまうか…。

まあ、ここに来て面白い試合が連発されているのでノー問題。そして、興業は「終わり良ければ全て良し」。
今日のSmack Girlは記念すべき後楽園ホール凱旋興業、メインは格闘技マニア文句なしの好カード。
ここは辻ちゃん(但し三十歳)にビシッと締めていただきましょう!

2000年12月のデビュー以来、ここまで一つの敗戦のみで走ってきた辻 結花。
今や女子格闘技界の旗手となった辻が、唯一喫した敗北が「グラウンド顔面パンチ有り」ルールによるもの。
昨年末は「イノキ ボンバイエ」にて大トリも務めた辻が、己にリベンジすべくこの試合に挑む。

今日の対戦相手は、アメリカ女子総合格闘技界の若き彗星、エリカ モントーヤ(十九歳)。
柔術界でも知られた名前、そして格闘家とは思えない美貌。辻にとっては文句のない対戦相手と言えよう。
果たして辻はこの試合に勝利して、日本の女子格闘技界の新たなる1ページを開く事ができるか?

1R、まずタックルを仕掛けたのはエリカの方。辻はこれをガブる…も、
エリカはグラウンドへと引き込んで、そのままスルリと辻のバックを奪いチョークスリーパーを狙っていく。
辻は早くも苦しい展開、必死にこの状態を逃れるべく体勢を崩そうとするが…、
エリカはしつこくバックの状態をキープ、何度もチョークスリーパーを狙っていく。やはりエリカは強い。

試合開始から2分が経過、今だにエリカはバックを奪った状態。
必死に逃げようとする辻、しかしエリカは巧みに動いて優位なポジションをキープし続ける。
何とかリバースして上になりつつある辻だが、エリカ、今度は下から腕ひしぎ逆十字を仕掛ける。
辻にとってはひたすら我慢の展開が続く。

が。エリカの腕ひしぎから腕を抜いた辻は、インサイドガードで上の体勢に。
観客から歓声が揚がる中、ついに辻が顔面にパンチを落とした。
これには観客も歓声を揚げたが…、エリカは組み付き + クロスガードでガッチリ防御、辻の追撃を許さない。
そして辻が一旦立ち上がったのに合わせて自らも立ち上がってしまった。
さすがにエリカ、相手に付け入る隙を与えない。
そしてスタンド、エリカが鮮やかなハイキックを連発したところで1Rが終了。

このラウンド、エリカが圧倒的な攻勢が目立った。
…というよりは、序盤のグラウンドテクニックの凄まじさが、観客にある不安を植え付ける。
「…辻ちゃん、こんな人に勝てるのか? 次のラウンドであっという間にやられるんじゃないか?」

しかし2R、辻が反撃を開始してしまうんだから試合はわからない。

まずは辻がジャブを連打、エリカに対してプレッシャーを掛けるとロープ際へと押し込んでグラウンドへ。
サイドを奪う辻、しかしエリカはすかさずガードポジションを取り直して防御する。
上になった辻はインサイドガード、下になったエリカはクロスガード。
試合はガチガチのまま進んでいった。

やがてエリカはクロスガードを辻の肩のあたりまで上げ、そのまま三角絞めや腕ひしぎ逆十字を狙う。
…が辻はこれを逃れると、再び上になって寝ているエリカの顔面にストレートを放つ。
そして一度立ち上がるとパスガードに成功、サイドポジションを奪った。
しかしエリカはすかさずガードポジションに戻し、下から再び三角絞めや腕ひしぎ逆十字で逆襲。
やはり関節技の技術はエリカの方が一枚上手なのか?

だが辻はこれを逃れると、インサイドガードをキープしつつエリカの顔面にパンチや鉄槌を入れていく。
そして再び立ち上がってのパスガードを敢行してハーフマウントを奪うと、
上半身を起こして更なるパンチを落とす。
ここで2Rが終了、辻の攻勢が目立つようになってきた。
観客からも「辻ちゃん、強いじゃん!」なんて声もチラホラと聞こえてくる。
さあ最終3R、辻ちゃん、奇跡の逆転勝利なるか!?

3R、辻は鮮やかなタックルでエリカをテイクダウン、ハーフマウントを奪うと上からパンチを落とす。
そしてサイドを奪おうとパスガードを狙うが、チャンスを狙っていたエリカは下から腕を捕りつつリバース。
上になったエリカは、捕った腕を極めるべく腕ひしぎ逆十字の体勢へ。

だがこれを上半身を起こしてガードした辻は、グラウンドで上になって腕を抜きパンチを落としていく。
エリカはクロスガードで防御するも、辻は非情にこれを突き放してパンチを放ち続ける。

と、ここでエリカの表情に変化が。それは明らかに辻のパンチを嫌がっている表情だ。
辻の勝利が現実になりつつある光景を前に、観客から歓声が沸き起こる。

辻は「ここが勝負!」とばかりに一気にパスガード、何と上四方の体勢だ!
嫌がるエリカは体勢を変えようとするも、辻はポジションをガッチリとキープ、更に上からパンチを落とす。
そしてサイドポジションを奪うと…ついに来た、腕ひしぎ逆十字の体勢だ!

大ピンチのエリカ、これをグラウンドのまま強引に動いて必死に外そうとするが…。
辻は唯一無二の一本勝ちのチャンスを絶対に逃すまいと、これを絶対に外さない。
同じ体勢のまま試合は残り1分になったが…。

ついに腕が伸びた! そしてエリカは…即行でタップ!
辻、ついに強豪から勝利! そして「グラウンド顔面パンチ有り」ルールで敗北した自分自身にもリベンジ!
歓喜する辻 & 辻陣営! この光景に観客は大歓声…。

は、あまり沸き起こらず。
一瞬、観客は沸いたものの、…その次の瞬間には観客は一斉に家路に付き始めた。

ただ今の時刻、22:15。う〜ん、やはり22:00を過ぎてしまったか…。平日にこの終了時間は厳しいねぇ。
一見(いちげん)の観客が、エリカや辻の事をあまり知らない…っていう事情もあるんだろうけど、
せめて興行のテンポがビシッとしていれば、観客はもっと盛り上がったんだろうけどなぁ…。残念。

そんな中、辻が興行を締めるべくマイクを持つ。

「ありがとうございました。
 エリカ選手は強くて、試合を楽しもうと思ったけど…必死なだけでした。(辻が涙、観客は声援で後押し)
 …練習してきたことは出せなかったけど…、最後は勝ててよかったです。

 皆さん、今日は応援ありがとうございました!(観客歓声)」

それにしても、この一勝は大きい。
辻自身にとっても、今日の興行にとっても、
日本の女子格闘技界にとっても、そして…Smack Girlの未来にとっても。
興行自体はグダグダになっちゃったけど、
この一勝を財産にSmack Girlは更なる上のステージを目指してもらいたいね。

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22:15
閉会式。
今日出場した選手が次々とリングインする中、
本日の観客動員数が発表された。

1414人、満員御礼。
普段の興行の観客動員数から考えると、かなりの大健闘だといえるだろう。
地道な宣伝活動が実を結んだ結果といえよう。

ちなみに、この興行のMVPは…やっぱり辻ちゃん。
まあ、素晴らしい一本勝ちだったしね。

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●雑感
まずは、何はともあれ、こんなに長い観戦記にお付き合い頂き、ありがとうございます。
長い興行を余す事なく書いていたら、久々に40Kを超える観戦記になってしまいました…。

観戦記中にも散々書いている「時間との闘い」の部分について。
個人的には「興行が選手の我侭に付き合いすぎている」という印象がありました。
「一つの興行をみんなで成功させる」「観客を楽しませる」
というような考え方が興行の中で徹底していない…というか。
今のSmack Girkに必要なのは、絶対的な権限を持つプロデューサーの存在でしょうね。

…とはいえ。
「女子総合格闘技の興行が後楽園ホールで1414人の観客を導入した」
という事実は素晴らしいと思います。
この事実は、他の女子格闘技興行にも発奮材料となるでしょう。
まだまだ未熟な部分も多いこの業界ですが、
再び大きな興行が行えるように頑張って欲しいモノです。

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以上、長文失礼。




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