ヒールとエースの誕生
■団体:ZERO-ONE
■日時:2004年8月1日
■会場:後楽園ホール
■書き手:ノリリン

なんと、今年前半のワースト団体に選ばれたゼロワン。ハッスルに日程を取られて自前のビッグマッチも組めなくなってしまった。橋本は肩を壊し て試合になんないし・・・どうしようもない。いきおい若手の勢いも感じられない。 でもまあ火祭だし。今年は大谷が小島に雪辱するんだろうなあ・・・と思っていたらなんでも佐藤耕平が6点。直接対決で大谷に勝っているので決 勝進出決定だそうな。

v ○黒毛和牛太  VS 富豪2夢路● (4分19秒 ダイビングギロチン→片エビ固め)
6時半開始。全てのものには旬がある。フゴフゴの旬は改名して、和牛太とコンビを組んだり解消したり、葛西とデザイナー抗争したりした頃で、 その後はなんだか、一度受けなかったギャグを繰り返す寒いやつのような位置になっちゃた。和牛太は本物の長州やマグマの石井が現れたのに割を 食ってる・・・わけでもなく、ここでは上がり目がない。 夢のない、なんだか黄昏れたオープニングマッチがもそもそと続いて、儂は酒を買いに売店に・・・帰ってきたら、割と豪快なダイビングギロチン が決まっていた。


第一試合:○佐々木義人 VS  山笠Z゛信介● (6分51秒 ランニングエルボー→片エビ固め)
こちらはもう少し若いのでもう少しやる気がある。どたどたっぁっとなぐりあってランニングエルボーをたたき込んで佐々木の勝ち。第一試合らし くていい。「将来トップになる選手を第一試合で見ている」→「ドラマの第一章を見ている」ようなスケール感はないが・・・。ゼロワンのいいと ころは要らない試合を長々とやらないところだな。


◆火祭り'04 Aリーグ公式戦◆

○小島聡(5点) VS  横井宏考(3点)● (15分04秒 ラリアット→片エビ固め)
肘のサポーターを投げるだけでスポットになる小島は得だ。小島はヒールムーブを入れるけど所詮無理。愛嬌が有りすぎる。ヒールとはヒールムー ブをする選手ではなく不快な概念を持ち込む選手だからだ。それは別にいる。ま、それは小島の傷ではない。 15分間きっちり試合を見せて厭させずにフィニッシュ。小島に必要なのは位置だけだ。


◆火祭り'04 Aブロック公式戦◆

○大森隆男(5点) VS  坂田亘(4点)● (7分17秒 アックスボンバー→片エビ固め)
小島が勝ったし、決勝はどうなんの?と思っていたら、大森が勝って決勝進出だそうな。同点なら進出者決定戦がプロレスの道理だろ!? 一瞬、坂田が勝って佐藤vs坂田の決勝を期待したし、坂田もいいとは思うんだが・・・

大森は小刻みにヒールムーブを入れる。観客は坂田に入ってるからブーイングが沸く。会場は素直な観客が半分、ひねた観客が半分。素直ないい観 客は憎々しげな大森にブーイング。腐りかけた観客は大森の代表するしょっぱさが決勝に持ち込まれることにブーイング、完全に腐った観客は・・ ・まあいいか。ともかくあらゆるスジに不快感を引き起こして決勝進出。何かを不快に壊せる概念を代表するものがヒール。大森にはその資格があ る。


◆火祭り'04 Bブロック公式戦◆

●大谷晋二郎(4点) VS  金村キンタロー(3点)○ (1分16秒 サムソンクラッチ)
大谷の入場前に妙な時間の空白があった。・・・これは楽屋で乱闘があって場内に波及、決勝戦のカード変更か!?と言うくらいの間だったけど、 何事もなく試合が始まる。3秒フィニッシュをネタにしたスモールパッケージは面白かった。
最後はQuickで金村がピン。大谷が豪快に星を返す

これでいよいよ、佐藤vs大森の決勝が決定


○崔リョウジ・浪口修 VS 葛西純・明石鯛我● (10分20秒 バックドロップホールド)
第二試合格のこの試合。内容も第二試合格。リョウジの病気が治ったかどうかは知らないが、この試合には第一試合にはなかったスケール感はあっ た。特に中味がよかったわけではないのだが・・・

休憩前:○橋本真也・長州力 VS  スティーブ・コリノ● ジェイソン・ザ・レジェンド (8分09秒 DDT→片エビ固め)
地方興行のメーンエベント感の漂うカード。地方でも知名度のあるエースふたりと、小ずるい外人、大きな外人、卑怯なレフェリー。橋本と長州が 組んでいる意味/無意味より、ゼロワンらしい「いかにも」と言う路線は素晴らしい。 しかしこの構図ならジェイソンがもっと大きくて強そうじゃないとなあ・・・Jasonはプロレスを見たことがないんじゃないのかと言うくらいので くの坊。なんとかならんかいな。
試合後橋本が手術と休場を発表。滅多にプロレスの会場では聞けないくらい、真心のこもった声援が飛ぶ。


セミ:○高岩竜一・石井智宏・日高郁人  VS  レオナルド・スパンキー・スペル・クレージー・ジョシュ・ダニエルズ●
地球上ではじめて正しく高岩を評価したのは儂だと思う。でも、会場の注目はスペルクレージーに。トップロープからの垂直落下式ブレーンバス ターとかたくさんの危険なムーブがあって最後は高岩がジョシュダニエルズをピン。スペルクレージーは前日やりすぎたのか少し押さえ気味だっ た。


◆火祭り'04 決勝戦60分1本勝負◆

Aブロック覇者 ●大森隆男 VS  Bブロック覇者 佐藤耕平○ (22分04秒 ジャーマンスープレックスホールド)
ビックリするほどのコールを浴びてコーヘーが入場。はたしてどこまでマッチメーカーが意図した構図なのかは別として、新生が初戴冠する試合に ふさわしいベビーvsヒールの構図が出来上がる。ヒールとは単にヒールムーブをするもののことを言うのではない。というか、そう言うのをヒー ルと呼んではいる人がいるにはいるが、それじゃ、「ヒール」という言葉に意味がなくなる。ヒールとは不快感を持ち込むもののことだ。大森は、 技能ではなく、その立ち位置によって理想的なヒールとなってしまった。そしてその大森の存在をコーヘーが際だたせる。
こうなるとどんな下手なレスラー同士でも大丈夫。と言うか下手なレスラー同士の方がかえってはまる。試合展開をいちいち追っても仕方ない。2 〜3スポットのミスもあったようだが、場外への投げとかトップロープ技とかを使わずに試合が盛り上がっていく。試合はこの構図でコーヘーの初 戴冠以外はあり得ないが、最近のプロレスではあり得ないことがあり得る。観客の想像を越えた結末ではなく、妥協の産物として想像以下の結末が 起こってしまう。その信頼のなさがまた緊迫感を呼ぶ。

最後はコーヘーが見事なジャーマンでフィニッシュ。

学会6連発、2ヶ月で15回以上の宴会をこなして疲れていた儂の心が潤う見事なフィニッシュだった。 プロレスは芸術じゃない。芸術でもいいけど。哲学でもない、哲学でもいいけど。とりあえず一晩を楽しく送るすべであることを感じながら、会場 のみんなとコーヘーを祝福した。




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