突然総合チャレンジ! (参戦記)
■団体:The Last Draw(rAw)
■会場 : カリフォルニア州エルセグンド rAwトレーニングセンター
■日時:2004年7月23日
■書き手:ひねリン

7月18日の日曜、ますます激化するタカ・クノウ(註1)塾特訓に半分くらいだけ参加して、帰宅後へろってる時に「LA格闘技界の生き証人」ことK さん(元アマチュアシューターにして、現柔術家)から電話。

「今度の金曜、rAwでアマチュアワンマッチ大会が開かれて、MMAルールとグラップリングとムエタイの試合をやるらしーねんけど、ひねリンもグ ラップリングかなんかで出てみんか? 俺はギを着てMMAに出てみよーかなと思てるねんけど。」(もし関西弁の使い方間違ってたらすまんこ)

それ聞いた俺は、MMAをやるKさんがうらやましくて、思わずその場で

「あ、じゃー俺もMMAやります! 一緒にやりましょーよ! 俺はペドロ(註2)に言うわけにはいかないから、二人で『チーム・グラエロ(註 2)』所属で出ましょー!」

と言ってしまう。

なんで「うらやましい」のか? まあ当たり前のことでもあるんだけど・・・ 

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(註1)タカ・クノウ おそらく木村雅彦以来、日本人としてはじめてBJJ黒帯から柔術マッチで一本勝ちした在LAの格闘家。今年度のパンナム黒 帯マスターヘビー級の部でもぶっちぎりで優勝。現在LAの片隅でタカ塾というモノを開いて若者達をしごいている。Mook『柔術王』の「アメリカ柔 術事情」参照。

(註2)ペドロ 俺の柔術のせんせ。あまりNHBを生徒にやらせたがらない。http://www.kansenki.net/colum/04/0215colum_hine.html 参照。

(註3)チーム・グラエロ 今度東京の菊川にBJJ道場を出す紫帯柔術家 Max Masuzawa が、LA修行時に結成した日本人格闘家集団。と言ってもメ ンバーのほとんどは「グラ」より「エロ」の活動を好む。俺はペドロに知られたくない時は、このチーム所属ということでシラーっと試合に出る。

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俺は今まで総合ルールの試合なんて一度もやったことない。恐いし痛そーだしキツそーだし。怪我したらヤだし。でもやっぱり「一度はやってみた い」って気持ちは常に心のどこかにあった。総合の選手達に対してコンプレックスがあったというか。寝技スパーではプロ経験のある選手から取れ ることもあるけど、それはやっぱ打撃ナシだから、なわけで。もし打撃もアリならば・・・

昔、日本でポイントルールの防具空手をやってた。そのルールでは世界王者レベルの人達と練習させてもらい、自分も防具ルールならフルコン系の 強い選手に勝てることもあった。でも、いつも心のどこかにフルコンの人達へのコンプレックスはあった。ローキックなし、胴も防具で守られた状 態でいくら軽い打撃でポイント稼いで勝っても、それでホントに「強い」と言えるのか・・・。だから自分もちゃんと体を鍛えてフルコン的な練習 をして、フルコンルールに出てみたい。そう思いつつ、いろいろあって結局自分は、防具空手以外のルールに出ることはなかった。

アメリカに来て柔術をはじめて、フルコン空手へのコンプレックスは奇麗に消えたけど(だってすでに「一対一なら寝技>打撃」が常識化してた し)、寝技で強くなって結果も出せてくるにつけ、今度は総合ルールへのうらやましさがでてきた・・・

これは俺が、ほんとに単純な、ほんとにたわいもない、「強さ」の観念(強さの形而上学)に囚われてるせい。ここでいう「強さ」ってのは別に路 上での護身の強さじゃなくて、「一対一、素手vs素手における純粋な格闘家としての強さ」とでもいうか。もちろんそんなものは実際には測りよー がない。実体化することが不可能な幻想だ。でも、防具空手よりフルコン、フルコンより柔術、柔術より総合のほうが、それを「より近く」測れる ように見える。真実がどーであれ、そう見える。だから、一度はやってみたかった。やって自分の「強さ」(なる実体のない観念に近いらしいなに ものか)を測り、できればいい結果を手にしたかった。俺はそんなくだらないたわいない観念が大好きで格闘技をやってるわけで。

・・・なんて話とはまったく別のレヴェルで、一度くらいはドラッグやってみたい、とか、美少年にナめられてみたい、とか、後ろの穴に入れてみ たい、とか、その種の単純な好奇心があったのも事実(ちなみに上記3つのなかで、俺が経験してるのはひとつだけっす。どれとは言わないけ ど)。でもって今、たまたまこの一ヶ月ほど「腕立て&腹筋による脱ガンジーボディー!」がマイブームになってて、自分としては(ふだんより少 しは)マシなシェイプになってる。怪我もない。ならここで体験するっきゃない。一度はやってみたかったこと。もう来月32のイイ年だし、ここ でやらなきゃたぶん後悔する。五日後ってのもちょーどいいじゃん。一試合に向けて長い期間かけて辛い練習なんてヤだし。これは俺の格闘家(て か格闘技愛好家)としてのイニシエーションみたいなもんになる。少しくらいは痛い思いをすべき。別に死んだり片輪になるこたないだろ。

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ってことで、いろいろ揺れ動きつつも、「やる!」方向で自分を押し通して火曜日、Kさんと二人で緊急MMA練習(ま、当日の相手がレスラーなのか 柔術家なのか打撃系なのかさっぱり分からないから、具体的な対策は立てよーがないんだが、とにかく打撃を想定してやってみないと)。ライトコ ンタクトでいくつか実験してみたとこ、ガード派柔術家の俺としては、寝技で下になっても、足で距離を作るなり、(ミッションコントロール(註 4)や、ハイガード等で)相手の頭をしっかり下げさせるなりすればけっこう打撃に対応できそーな感じがする。そーでなくても、なんかして下か らしっかり相手の脇をすくうことが出来れば、キレイな一本狙えそう・・・(経験ないが故の楽観論)。その後、生まれてはじめてマウスピースな るものを茹でて噛んで作る。うーん息しにくひ・・・。

(註4)異能柔術家エディ・ブラボーが開発した「ラバーガード体系」の中心となる形。ガードポジションの時、相手のアタマを下げさせた状態 で、自分の足首を自分の手で掴むことで相手を固定し、パウンドの威力を殺す。ここからさまざまな技の仕掛けが作れるよう(なんだけど、俺はい くつかしか知らない)。これまたMook『柔術王』を参照。

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水曜は(例のマイブームの)腕立て&腹筋と、あと日曜に習ったタカスペシャルバービーで息を上げてみる。木曜は休養(っても本業は両日とも ちゃんとやってたよ)。いつものよーにいろいろと自分の勝ちパターンを妄想しながら過ごす。でも今までの経験上、俺が試合前に妄想したパター ンがハマることはほとんどない。そこでそのジンクスを逆用して、あらゆる負けパターン、大怪我パターンなんかも全部想像することにする(投げ をこらえてヒザじん帯断裂。叩き付けられて肩脱臼。三角をパワーボムで返されて失神、相手がいきなり反則で俺の顔をサッカーボールキック・・ ・)。よし全て網羅。これならもう大怪我することはないだろう。

あとは、こないだのUFCでのチャルートのハイガード戦術や、フランク・ミアの十字の入り方を再チェック。でも思わぬところで発見が。番組中の 小コーナーの「見る側のための技術入門」みたいなのの中で、オカマのユリシーズ(かつて試合で俺にジャイアントスイングをかましてくれた宿 敵)が上から放つパンチを、(ガードを取ってる)下の選手がヘッドスリップでかわしつつ腕十字、というのをやってた。

そこで思い付いた。これ、ヘッドスリップするだけでなく、両手で、俺がかつて習っていた空手の「内受け」と「回し受け」の要領で相手のパンチ を捕らえつつ、瞬間的に腕十字の体勢に入ればいーんじゃないか? (って読んでても意味分かんないでしょ? ごめんにゃ。あれだよ、鉄拳2と かで、相手の打撃が来る瞬間に同時にボタンを押すと、それを捕らえて合気道チックに投げれるじゃん。そんなノリ) もちろん、そんな達人技み てーなこと可能なんか、って考えもアタマをよぎったけど、どーも(部屋でひとりで床に寝っ転がりつつ)妄想しながら練習してみる限りでは、や れるよーな気がしてしょーがない。俺が今まで培ってきた空手技術と柔術技術を合わせた秘技ってことで、なんか自分的に気に入っちゃったし。名 付けて「内受けアームバー」。ハイガードあるいはミッションコントロールが失敗して、相手が背筋を伸ばして殴ってきてもこの手がある・・・自 分でコレ書いてて、試合前日にこんな妄想しとるなんてホントにおバカだなー、とは思うが、事実なんだからしょーがない。

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で、いよいよ試合当日の金曜。Kさんと待ち合わせ昼飯を食いつつ、今さらながらベースボールマガジン社の「総合格闘技入門」の大石、菊田、TK の技術解説をめくったりしながら過ごす。緊張でトイレに行きまくりつつ、でもはやく試合したくてしょーがない、食欲があるよーでないよーな、 そんな気持ち。Kさんに

「俺の今の気分は、自分が15才の日雇いで、飯場の親分かなんかに『おい、今から女郎部屋行くぞ! お前もそろそろ女を知っとかなきゃな!』 と無理矢理トラックに乗せられ、その途中で『おい、一発やる前にスタミナ付けとくぞ!』と言われて入ったどっかの定食屋で、不安かつドキドキ しながら味も分からず飯を食っている、そんな感じです」

と今の思いを切々と語りつつ、四時過ぎにrAwに行き計量し、まだ時間があるのでデニーズで時間を潰す。そこではじめて、タカ塾のメンバーに携 帯で今日の総合出場を打ち明ける(いや別に隠してたつもりはないんだけど、突然決めたことなので今まで言いそびれちゃってて)。でまた六時半 頃にrAwに戻る。なんかアマチュア大会のくせにやたら多くの人が集まってきてる。リングの周りに用意されたイスはほぼ埋まってて、あとはみん なずらーっとスタンディングしてる。後ろのマットスペースで、Kさん相手に昨夜の妄想(内受けアームバー)を試してみる。うーんやっぱりでき そーな気がしてならん・・・

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そのうち2階で選手を集めてルールミーティング。なんか出場する選手数も妙に多いぞ。俺今週まで、こんな大会あることすら知らなかったのに。 とにかくrAwの総裁、リコ・チャパレリが(そのファイトスタイル同様の)のーんびりした口調で

「勝ち負けは問題じゃないんだ。僕から見ればみんなリングに上がった時点で勝者だよ。この試合を通して、自分がどれだけやれるか、それぞれが 実験し、経験を積むことが大事なんだから。お互いをリスペクトしつつやろう。」

と言うのでちょっと気が楽になる。が、次に出てきたレフのトリッグは、チャパレリとは正反対の鬼軍曹モードの威圧感のある口調でルール説明。 うーこわ。一転して気分が鬱に。MMAは3分2ラウンド。ヘッドギア、オープンフィンガーグローブ着用。ヒジ、ヒザ、ハイキックは禁止。パワー ボムとかヒールはOK。当然グラウンド顔面パンチもあり。時間切れの場合は判定ナシでドロー。各試合の組み合わせは、同じくらいの体重の人間を テキトーに当てる(笑)。ちなみにこの種のMMAルールはカリフォルニア州では違法らしい。細かいことは知らないけど。

出場者の中では、エディの10th Planet 柔術の紫帯で、グラップリング大会でもいつも上位入賞してるエプステイン(我が友人Maxのアメリカ修行 の最後の相手でもある)が、俺より五ポンド重いだけなので、当たったらちょっとヤだなと思ってたけど、運良く彼は別の選手と当たることに。俺 の相手はジェイ君というなんかぽっちゃり体系のアジア人の子。優しそーな顔してるし、目で挨拶するとにこっとしてくれたので、それほどヒドい 目に合わさせることはなさそーだと再び少し安堵する。我々の試合は三試合目。けっこうすぐじゃん。

ルールミーティングの後、用を足す(この日10回目くらい・笑)ため一階のロッカールームにいくと、俺の相手のジェイ君が着替えてたので、へ い、と挨拶だけしつつ横目で観察。ムエタイパンツを着用してるし、すね毛が両足とも見事にない(=毛根ごと磨耗してる)。この子キックボク サーだな。レスラー系ならスタンドで右ストレートを狙ってみよかとか思ってたけど、この相手だったらヤバいかな? とか考えつつそそくさと去 る。柔術だったら試合前に対戦相手と「よー、きみどこで練習してんの?」とか会話することもよくあるけど、さすがにこの場合はそーもいかな い。お互いがレスラーのなのか柔術家なのか打撃屋なのか、さっぱり分からんとこに勝負のキモがあるわけだし。

さて、その後応援にきてくれたグラエロ&タカ塾勢と話してたりするうちに(俺はこーゆーときにはつい「いやまー、ぼこぼこにされるから笑って やってよ」とか言っちゃって、間違ってもイサム君みたいな強気のコメントは出せないんだよね)、けっこうスムースに大会開始。第一試合。なん かすごい体の二人が、スピードとキレとパワーのある異様に見ごたえのある攻防をしてる。げげ。こいつらどー見てもKOTCの前座より数段レベルが 高い・・・こんな連中が出る大会なのか、とちょっとビビる。この試合は片方が素早く三角に入って、もう片方が豪快にパワーボムで叩き付けるも 下は三角を離さず、上が力尽きて一本、というすごい結末。観客いっぱいの場内も大盛り上がり。ヤバい俺、来る場所を間違えたかも・・・??
でも、続く二試合目は静かな展開のまま時間切れ。あ、こんな感じなら俺でもやれるかな、と、もーこの日十数回目の不安と安堵の反転をしたとこ ろで、いよいよ俺の筆下ろし。初体験。ロストヴァージン。喪失。

リングに上がると、さすがに覚悟が決まって気分も落ち着く。ケイさんVicさんカズくんしょうくんMoonくんと、練習仲間もいっぱいコーナーに来 てくれてるし。あとはやるだけ。ガンジーボディを隠すためのTシャツをレフのトリッグにはぎ取られてしまって非常に情けないのだが、とにかく 試合開始。

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なんか俺、なんも考えずに立ち技やってた。リラックスしてたとも言えるし、魂がまったく入ってなかったとも言える。とりあえず右を出す。 ちょっとパンチやローをもらう。全然いたくない。あ、下がらず前に出なきゃ。そのうち組み合いに。相手のヒザがボディに飛んでくる。うん全然 いたくない(確か反則のはずだけどレフが取らないし)。組んだ感じ、相手はレスリング強いとは思えなかったので、柄にもなく倒して上になろー とする俺。も、相手が粘って俺はあっさりハーフ下に。正直言って、この倒し合いの時も俺には全く魂が入ってなかった。両脇を差すとかさば折り するとかの発想もなく、絶対に倒してやるという強い意志もなく、ただテキトーになんとなく上になろーとして、下になった。(やっぱ普段練習し てないことには魂は入らないものなのね)

で、寝技で下になったら途端にアタマが働き出し(だって何をすればいいか知ってるから)、確信とともに体がきちんと反応するよーになる。ハー フで腋を差し、相手の片足を捕まえる。うんこれはひっくり返せる。相手は殴ってくるけど全然効かない。で、そのまま体勢を返して上に(エディ ・ブラボー呼ぶところの「オールドスクール」)。そのままアキレスを狙おうと探るけど、相手がフロントチョークみたいにこっちの頭を抱えて る。ヘッドギアもあってこれがなかなか抜けないので、両手を使って距離を作りながら振りほどいたら、その隙間を利して相手に立たれてしまう。
で、俺が遅れて立とーとするとこにぼこぼことパンチ。げ、効かねーけどなんか見えねー。それでも組み付く。レフのトリッグが俺のヘッドギアを 直してくれて、それでやっと自分のヘッドギアがずれてたことに気付いた(だから見えなかった)。相手はまたボディーにヒザ。衝撃はあるけど効 かない。平気(てか反則じゃねーの?)。ここでガードに引き込む俺。ここもまた特になにも考えてなかった。自然に体が動いた。

クローズドガードから、まずは相手の頭を両手でロックして下げさせてみる。その体勢から相手がパンチ。(頭を下げてるから)効かないはずなの にちょっと衝撃がある。平気だけど。そのまましばらく膠着。このままじゃ(やられないけど)極めよーもないので、自分の足首を手で掴んでミッ ションコントロールに。形は作れるも、ここで相手が背筋を伸ばしてなんとか距離を開けよーとする。けっこう力が強い。ここでアタマが働いた。
ミッションコントロールがキツい時は、相手に背筋を伸ばした状態でパンチを打たせて、(あの妄想必殺技の)「内受けアームバー」やりゃいいん じゃん・・・

ってことでミッションコントロールを解いた瞬間、姿勢を正した相手のパンチが飛んでくる。まだ「内受けアームバー」の心の準備が出来てない (笑)俺に向かって、左、右、左、右・・・ぼこぼこ喰らって面食らう俺。ちと混乱しつつも、気持ちは萎えてないので全部正面を見て顔で受け る。そのうちやっと、アレやらなきゃ、と気付いたので、妄想どおりの形できちんと「内受け」(&回し受け)できたのかどーかは知らないけど (てか、できるわけない)、とにかく殴ってきた相手の右腕をなんかして捕らえて、スピンしつつ左足を相手の顔に引っ掛けて十字の体勢に。やた らノリのいい観客たちがここで一気に「どわーっ!」と沸いたのが聞こえる。自分の右足首が左足首の上にかぶさって補強してることを一瞬確認し つつ、そのまま全力ムガムチュウで相手の腕を伸ばしにいき、もーなんだか自分でもわけわからなくなってるうちに相手が前のめりに崩れかけ、レ フが「タップだタップ!」と止めに入ったのが見えた。ぎゃあああ。

テンションが上がりきった俺はヘッドギアを叩き付けて(よく分からんけど)体で喜びを表現。Kさんとハグし、セコンドのみんなから嬉しい言葉 をもらって・・・。まあ反省点は山ほどあるし、冷静に試合を振り返ると超ダサダサな内容なんだけど(しょぼい体にふさわしかったとは言える が)、その時はとりあえず「勝った」ってことでただひたすら喜ぶ。で、その後に控えているKさんの試合のサポートに回る。

Kさんの試合に関しては、Kさん自身が総括しているだろうから、俺がこの場所で細かく書く必要はないかな。自分よりぜんぜん重い「ブロック・レ ズナー」としか形容のしようがないレスラー(しかもヘッドバット、エルボーと反則しまくり)相手に、一ラウンドでヒールを完全に極めかけるも 相手が耐えて終了のゴング。双方疲れ果てての二ラウンド目、相手に体重で押しつぶされかけるも、今度はKさんが根性で凌いで時間切れドロー。 俺はめちゃいい試合だったと思う。声の限りに叫んだのでノドからから。

試合後、ロッカールームで右ヒジを冷やしているジェイ君と話す。やっぱりキックボクシング主体に練習してて、グラップリングはいくらかやって る程度、だそう。俺と同じく総合の試合ははじめて、とのこと。正直俺はかなり運が良かった。立ち技打撃や組み合いであんなヘナチョコムーブを 繰り返し、さらに専門の寝技でも(立たれたり殴られたり)失敗してるのに勝てたのは、やっぱ彼のグラップリング経験が浅かった、ってのが大き い。なんにしてもジェイ君はすごくイイ奴で

「試合中『こいつタフだなあ』って思ってたよ。あんなに殴ってるのに、君は全然ひるまないんだから。」

と言ってくれたので、こっちも

「いや、ヘッドギアとグローブのおかげだよ。ヘッドギア無しで素手で殴られてたらこっちがやられてた。」

と返す。後ほどこのロッカールームでは、自分のブログに時々コメントを書いてくれる「初心者」さんと初対面という嬉しいハプニングもあり。

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以下、はじめて総合の試合をしての感想(初心者の感想なので、経験豊富な人々の目には厨房並の感想に写ると思うけど)。

・「試合中は多少打撃を喰らっても痛くない」ってのはけっこうホントだった。特にヘッドギアあったし。でもやっぱ後でいたい。アタマもまだ ちょっとぽわーんとしてるし。これはやっぱ俺みたいな一般ピーポがふだんからやるもんじゃないな。一年に一回のお祭りとしてならいーけど。
・下派柔術の技術は、確かに総合試合でも使える(少なくともレベルの低い試合でなら)。でもグラップリングだけでなく、「上から相手の打って 来る打撃をいかに殺すか/さばくか/捕らえるか」に特化した練習をきちんとしないとダメ。すこーし技術の応用が必要。

・柔術やグラップリングをやってる下派選手は、クローズドガードを取るとひと安心、ってなりがち。ガードに自信があるからそこで一息つける し、それで次の仕掛けをじっくり考えながら作れる。でも総合ではそれは絶対禁物。殴られるから。相手のアタマを下げた状態でないかぎりは、一 息付いちゃダメ。(俺がガードでぼこぼこ殴られた原因は、やっぱりこの「ガードでのんびりする癖」にあるんだろう)。

・(やる者にとって)ギ無しグラップリングはギあり柔術より展開が速いけど、総合はそれよりさらに速くてやばい。パンチがつぎつぎ飛んでくる んだもん。俺はよく格闘技の楽しさをテレビゲームに例えるんだけど、総合は強い衝撃のある体感レースゲームみたい。

・試合前の妄想、たまには役に立つこともあるんだな・・・妄想通りの形とはとても言えなかっただろうけど、ほとんど妄想のおかげで取れた(こ んなんでいーのか?) 本当にキレイな「内受けアームバー」は可能なのか? (んなもん知らねーよって? ごもっとも)

・来てくれたみんな、電話をくれたタカさん、なにより俺に(ジェラシー故に)試合をするモチベを与えてくれたKさんありがとう。




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