7・10NOAH東京ドーム大会
■団体:NOAH
■日時:2004年7月10日
■会場:東京ドーム
■書き手:タカハシ

自分の中で見たいカードを挙げてみると坂田対鈴木、高山対天龍、秋山対天龍、ブレット(全盛期)対HHH辺りになるが、一般的プロレスファン であれば武藤対三沢が筆頭である事は間違いないと思う。もちろん自分にとっても見たいカードのひとつだ。今回のNOAHドーム大会ではその初 対決が組まれている割には、正直に言ってそれほどの気運が盛り上がっているようには感じられなかった。これは武藤対高田の時の鮮烈さが記憶に 残っているからかも知れないが。

そう言った意味ではこの辺のビジネスの巧さはやはり新日本の方が上手なのかな、という気もしてくるし、あくまで武藤と三沢の対戦はセミであ り、メインに陰を落とす事があってはいけないというNOAHの配慮なのかも知れない。それでも会場に入り、最初から外野席を開放していない座 席設定を見た時にはちょっとガックリ来た。NOAHもキッチリ現状認識ができているという事なんだろうけど、武藤対ノートンがメインでも埋 まっていた事を考えるとそれもそれで寂しい話であるなぁ。

今大会は前半は純性NOAHのいつもの前座試合で後半は他団体との対抗戦というラインアップ。前半については「もうちょっとひねってよ」と 思ったものだが、今回一緒に観戦した多分NOAH初観戦となるひねリンさんは「初めて見るので楽しみ」とのこと。考えてみれば自分もNOAH は昨年1月の武道館以来(炎武連夢対秋山・彰俊)。出されたものは美味しく食べる心構えで行こう!


<第1試合 シングルマッチ 20分1本勝負>
○百田 光雄 対 ×永源 遥(8分03秒:後方回転エビ固め)

年齢の割には恐ろしく動きのいい2人のシングルがオープニング。試合開始に間に合わない人のための配慮などと言われそうだが、いなければいな いで物足りない気分にはなるのかも。自分が初めて生でプロレス観戦したのはもう20年以上前。その日の第1試合が前田対平田であった事を知っ たのはかなり経ってからだが、最も印象に残っていたのは荒川対永源のコミックマッチだった。 もう20年以上も前から対戦相手は変わりながらも殆ど変わらない姿と試合を見せているのだから、こちらとしては驚嘆するしかないのである。


<第2試合 6人タッグマッチ 30分1本勝負>
本田 多聞&○泉田 純&菊地 毅 対 井上 雅央&×川畑 輝鎮&青柳 政司(10分58秒:不入ドムからの片エビ固め)

これまた消化試合のようではあるが、お互いの役割がわかっている中で組み立てられる試合は意外なほど面白かった。不入りドム(なんでこんな名 前なんだか)は旋回式スタナーでした。泉田はF5みたいな技もやっていたような。


<第3試合 タッグマッチ 30分1本勝負>
鈴木 鼓太郎&×リッキー・マルビン 対 ○マイケル・モデスト&ドノバン・モーガン(11分55秒:デイアフタートゥモローからのエビ固 め)

フィニッシュのデイアフタートウモローがどんな技かは忘れたが、これまた全く期待せずに見た割には面白い攻防が続き、モデストが反転式エル ボーに合わせて顔面への低空ドロップキックを繰り出したり、よく練られた連携プレイなどを見せていて、正直ロクでもない外人ばかりかと思って いた不明を恥じましたよ。


<第4試合 タッグマッチ 30分1本勝負>
斎藤 彰俊&×橋  誠 対 スコーピオ&○リチャード・スリンガー(16分44秒:チャタヌガ・チュ・チュからの片エビ固め)

この試合もフィニッシュのチャタヌガ・チュ・チュがどういう技か忘れた。2コールド・スコーピオも10年経つとSO COOLくらいが適当か な、という感じ。それにしても武藤が来てるんだからそれしかできないわけでもないんだし、今日ばかりはスコーピオもマルビンもムーンサルト・ プレス使うのは控えて欲しいな。


<第5試合 タッグマッチ 30分1本勝負>
田上 明&○佐野 巧真 対 池田 大輔&×モハメド ヨネ(10分45秒:雪崩式北斗ボムからの体固め)

経済的事情も反映してこの日は5000円の2Fスタンド席での観戦となった事もあり、ここまではほぼビジョンを見てばかりだったのが、武道館 で何度もメインを張っているのは伊達ではないという事か、田上の動きはリング上の攻防をダイレクトに見ても十分伝わるものだった。 何年か前の週プロ版オールスター戦でも、同じように全日本だけはビジョン不要の迫力であったが、これは何かしらの秘密があるのだろう。

この日は地方からの来場者のために入場セレモニーと休憩はなしという事だったので、各自がトイレタイムの試合を見つけるというシステムが取ら れていた。試合内容的には第4試合などもトイレタイムに適当だったが、これは体の具合と相談して第5試合とするつもりでいた。しかし上記の理 由等で試合自体がそこそこ楽しめたため、試合終了後に即トイレに行く事にしたのだ。 終わってから会場に戻るとR木村の引退がビジョンで発表されていた。時間短縮というよりは、歩くのも困難な状態からのビジョンでの発表だと思 うが、会場から「え〜?」という声はあがっていたものの動きのおぼつかなさを見る限りにおいては至極当然の事のように思える。R木村の国際時 代はともかく、新日本登場時の映像を見てさえとても同一人物とは思えない衰えっぷりだったが、若い頃に相当ムチャをしたからこそ、今になって ガクッと体に来たのかも知れない。とは言え正直特別な思い入れがないので、お疲れさまでしたとしか言いようがないなぁ。


第6試合 GHCジュニアタッグ選手権試合 60分1本勝負>
[王者]○丸藤 正道&KENTA 対 [挑戦者]ケンドー・カシン&×杉浦 貴(22分26秒:不知火・改からの体固め)

経費節約なのか時間短縮なのかは知らないけれど、この試合以降はアオリ映像くらい作って欲しかった。特にヘルスクラブを使ってのアングル等、 カシンが色々やってくれている事を考えるともったいない話である。 試合はカシンや杉浦がルチャ系の動きをしない分、初対決らしい新鮮さが感じられて良かった。 試合には直接関係ないが、KENTAも丸藤も手拍子&××コールがしにくい曲を入場テーマにしている辺り、自分との感覚の違いについて考えさ せられるが、それでも昔ながらの思いきり受けて思いきり攻めるというプロレスをやっているのが自分的には面白い。 丸藤とKENTAははベストタッグを取るだけの事はあって、三沢・小川戦等ハイレベルな試合を連発していたけれど、せっかくのルックスと実力 を兼ね備えたチャンピオンなのだから、今後の課題はいかに毛色の変わった選手とのマッチメークをするかにかかってくるような気がする。今度は 邪道・外道との対戦が見たいところだ。


<第7試合 GHCジュニアヘビー級選手権試合 60分1本勝負>
[王者]×獣神サンダーライガー 対 [挑戦者]○金丸 義信(17分39秒:旋回式垂直落下ブレーンバスターからの片エビ固め)

頃合としてはもうベルトを返さないといけない時期だが、それはともかくNOAH初のドーム大会に新日本の選手がライガーしか出ていないという のは何かを暗示しているようで興味深い。ライガーは数日前からコスを黒にして邪外竹と組んでるようだけど、せっかくNOAHのファンもヒール として迎えてくれたんだから、3人とも連れてきて介入させまくって欲しかったな。


<第8試合 IWGPタッグ選手権試合 60分1本勝負>
[王者]○高山 善廣&鈴木 みのる 対 [挑戦者]×森嶋 猛&力皇 猛(12分55秒:エベレスト・ジャーマン・スープレックスホールド)

高山と鈴木はU系くくりで適当に組ませたように思えるけれど、チームとして見た場合、鈴木の弱い部分も含めてチームとして巧く機能しているよ うに思う。対するWILDUは力皇の方がいい選手に思えるし、鈴木にてこずる森嶋に対して「ほんじゃオレに任せとけ」という感じで向かってい く頼もしさなどを含めて、ポジションが間違っているように思えるのだけれど・・・ルックスですか? 試合に関して言うと鈴木の最近の試合は見ていないのだけれど、普通にロープワーク(というほどでもないけど)も試合に組み込んでいてちょっと 驚いた。まぁイマドキこのロープワークくらいで驚いてるのが、我ながらオールドスクールとは思うけど。 試合後に「鈴木みのるをこのまま帰すのか?」とか高山が煽っていたけど、もし三沢・小川とやるとしたならサスガに鈴木が負けないと観客の気持 ちの収まりがつかないんじゃないかなぁ。


<第9試合 GHCタッグ選手権試合 60分1本勝負>
[王者]○三沢 光晴&小川 良成 対 [挑戦者]武藤 敬司&×太陽 ケア(21分46秒:エメラルドフロウジョンからの体固め)

で、夢の対決であるところの三沢対武藤である。武藤が入場時に決めるポーズのひとつひとつのカッコ良さには文句ないが、長く見ている自分から するとやはり「武藤に髪がある頃にやって欲しかったなぁ」と思わざるを得ない。今の円熟(武藤はそう感じるけど、三沢にはあまり感じない なぁ)した2人の対決は、それぞれの役者ぶりも含めて十分堪能できるものではあるけれど、お互いの身体能力の高さをベースとしていた時期の対 決は、今とは違う感動を与えてくれた事だろう。武藤の髪や口ヒゲに混じる白いものが、それを期待させる事を観客に止めさせているような気もす る。 ・・・一応お断りしておきますけど、実際に試合を見ていた時はそれほどネガティブに見ていたわけではないですよ。よく言われるリングの中央に 陣取った選手が格上で、格下の選手はその回りをグルグル回る・・・という風景も全く気にする事もなかったし、ただただ2人の動きの全てを見逃 さないように心掛けただけだった。 印象的なのはとにかくファンが見たいシーンを積極的に作っていた事や、エメフロやムーンサルトはパートナーの方に・・・という、いつかの対戦 に余韻を残すような組み立てをしていた事。個人的にはちょっとしたアドリブというか細かい仕草に関してだけは武藤の方が数段上かな、と思った な。


今回は三沢・小川組との対戦となり、何故だかケアとコンビを組む事になったのだが、この流れが武藤のRO&D入りやタイトルチェンジといった 展開になるのかと思っていたのがさにあらず、アッサリ風味での防衛となってしまった。一応「ベルトを取られたなら全日本のリングに上がってで も取り返す」と三沢が試合前に言っていたのだから、そのような流れで決まっていたのかも知れないし、それが三沢対小島で両国のカードが決定し たため、GHCタッグ流出の必要がなくなったという事なのかも。とにかく会場で見られて良かったです。


<第10試合 GHCヘビー級選手権試合 60分1本勝負>
[王者]○小橋 建太 対 [挑戦者]×秋山 準(35分34秒:バーニングハンマーからの体固め)

最強王者の小橋が高山も倒して満を持しての秋山挑戦を受けた試合がメインイベント。タイトルチェンジがあるとしたならここが最高のタイミング であるはずだが、自分はNOAHファンではないのでその見方が正しいのか、どちらが勝つ方がハッピーエンドなのかも分からない。しかし自分に 取っては同世代の小橋が勝つ方が圧倒的にハッピーエンドなのだ。 秋山についてはいい選手であるという事には異論は全くないのだが、全日本時代に三沢の三冠に挑戦した際の冷たさしか伝わってこないような攻撃 の数々に、ジェネレーション・ギャップのような戸惑いを感じた事が非常に印象に残っている。 その試合では秋山が三沢の負傷箇所を攻め立てるという流れで進んでいたのだが、今まで自分が見てきたのは「本当はケガしている場所は攻めたく ない。しかし勝つためには・・・!」という葛藤が感情表現されていく文脈で組み立てられていたのが、秋山の場合は(プロレスなのに)「これが 勝利への最短距離ですから」という感じで躊躇なく攻めている風にしか感じられなかったのだ。逆にそういった意味で秋山対天龍は自分にとっては 極上の夢のカードではあるのだけれど。 NOAHについて自分が書く機会はもうしばらくはなさそうなのでもう少し書いてみるが、デビューした瞬間からいい選手で、長いキャリアのうち で試合内容のスランプを感じた事のない選手は唯一小橋だけだ。今考えてみると秋山もそうかも知れないが、本当に小橋だけは色々な意味で別格だ と思う。


そろそろ試合に戻ろうかと思うが、最初から最後までレベルの高い攻防が淀みなく続く、スゴイ試合だったとは思う。しかし正直に言っていつもハ イレベルな試合を見せてもらっているせいか突出した印象がなく、数年後に思い出すとしたらエプロンからフロアへのハイリスクな技の攻防だけだ ろう。もうこれは好みの問題なので他の人は全く意見が違うとは思うのだけれど「そこまでしてくれなくてもいいですよ」と観客に感じさせてしま うのはどうかなーと思う次第なのですよ。東京に在住し、サムライ、G+での映像も入手できるから言える事なのだろうけど。


<総括>

レンタルした選手が新日本からは1人、01からはナシというところが今後のプロレス業界の動向を予感させるような気はする。世間的な切り札的 夢のカードを遂に切ってしまったプロレス界だけれど、逆にここでリセットしたと考える事として、新たな夢のカードを作る努力をしてみるのもい いんじゃないか、と考えたい。しかしそれでもNOAHは秋山対高山というカードを残していて、三沢対高山、小橋を来年使えるのかと思うと、や はりいい選手、バリューのある選手を自前で数人抱えている団体が強いなー、と考えざるを得ないですね。 新日本も新・三銃士をそうしたいのだろうけど、まずプロレス巧い人を1人育てないと共倒れになりそうに思えるんだよね。ただ前の世代にジョブ させているだけじゃ、ファンはノレないですよ。誰もが認める出世試合と言えるモノをまず作るようにしないと。




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