Hikaru、(ちょっとだけ)来る。
■団体:NEO
■日時:2004年6月13日
■会場:東京キネマ倶楽部
■書き手:凸ユーレイ

 キネマ倶楽部っていうのはビルの5・6階にあるのだが、この日開始ギリギリに着くと1階のエレベーター待ちで人があふれ返っている! ビッ クリ。ま、開場が遅れたこともあるようだが、中に入ってまたビックリ超満員(発表300人)。いつもNEOのキネマは、Wヘッダーの相方JWPより確 実に客は少なく空席がそこそこあるのに今回立ち見までギッシリ。ブレイクし始めているらしいHikaru効果か。う〜ん。


 はじめに甲田社長挨拶。
 「本日は井上京子が韓国遠征のため欠場します。NEOになって4年、ネオレディースから通算しても6年間で初めてです。
 (6階から5階に降りる階段の下に立ち見のお客さんがいて、)そのあたり、選手の入場通路になりますので、あけていただけますか? はじめて NEOに来た方は、キネマ倶楽部って狭いなとお思いでしょうが、こんなに入るのは今日ぐらいですから」

 自分で言っちゃっていいのか。しかし、京子も自分の不在時に超満員にされてはショックだろう(笑。この日は三田も同じ遠征で欠場)。
 また、キモさに定評のある甲田の、ボサボサ頭がきれいに散髪されていて、その上あろうことか軽くラメに染められている。これも異変か。笑

 セコンド、この日もAtoZの浦井ちゃんが大活躍。デビュー戦観に行けなくてごめんね。JWP木村、試合後半はHikaruも少しお手伝い。


1.○Hikaru(全女)(9:24スパインボム)×松尾永遠

 実際にHikaruは大人気。ほかの選手に飛ぶ声援とは、違う熱さの黄色い歓声が混じり始めている。

 過去のブーム、ビューティペア、クラッシュギャルズの例の通り、女子プロの人気が起爆するのは、若い女性を惹きつける男性的な魅力を持った スター選手が出てこそ、である。そこにしか新規客を大量に動員するきっかけは無いのだ。納見佳容らアイドル選手の、男性への吸引力は爆発的な ものとはならない。キレイでかわいい女の子を見るだけなら、プロレス見るよりその目的を適える対象は山ほどあるし、スレていないぶん熱狂的に なる新規客を掴まえることはなかなかできないのである。逆に考えると、女性ファンにとっての、強くカッコいい男性的な女子レスラーへの憧れ、 これはなかなか他では代替の利かない、というか対象範囲が限られた(宝塚?女子バレー?)ものなのかもしれません。

 また、対抗戦ブームの時のように、従来の男子を中心に見ていたファンを引っ張ってこようとするのも、さらなる刺激を継続し続けねばならず尻 すぼんでいくこと、これも歴史に証明されている。

 そこでHikaru、である。大型、男性的なルックス。女の子から見ればカッコいい、のかもしれない。

 しょうじき試合はまだショッパいが、今までも頻りに出していた全女式ショルダースルー(ロープワークからでなく、棒立ちの相手の股に首を 突っ込んで背筋力だけで反り投げ)にバリエーションをつけて、そのまま後ろへ自分の体重も預けて水車落としふうに投げたり、前にスパインバス ターで投げてライガーボムふうにフォールしたり、工夫してるみたいなのは少し感心した。

 上がり目の見えない近年の女子プロ界にあって、まだ煌きは小さいが唯一の、光であることは間違いないだろう。
 所属の全女で、納見が返上したオールパシフィックの王座決定戦に、前村早紀を差し置いて出場が決まり、NEOにはこのところ連続で参戦、この 翌週6・20GAEAでは長与千種から「女子プロレスの宝だ」とまで言われたHikaru。業界をあげてプッシュする、その戦略も正しいだろう。

 ただし、仮にHikaruが大ブレイクして、各会場のきなみ満員になる世界が到来したとしても、私自身がそこで行われる女子プロレスを面白いと思 えるかどうかは定かでない。

 しかしこの日、けっこう男性客の声援も集めてたんだよなあ。俺にはわからないけど。

 対戦相手の松尾。全女の多田広報に、「白いベルト(=オールパシフィック)が似合いそう」と言われた、男性ファンにとってのアイドル候補で ある。過去、ミミ萩原、井上貴子、納見が巻いた白いベルト、その系譜を継ぐ者として期待されもしているのだがいかんせん、松尾にはプロとして の向上心が見えにくい。勝敗云々だけでなく、自分を売ろうとする意欲が。なんとなく、好きなプロレスで生活できているだけで満足しているふう に見えてしまう。


 99年デビューだがすぐに脱走、02年末に戻ってきてからも幾度か脱走と復帰を繰り返したHikaruに、01年Jd'でデビュー、翌年夜逃げして、短い ブランクのあとNEOで復帰した松尾。なんとなく私的には松尾の方が格上に思っていたのだが、展開に勝ち目無く、Wリストアームサルトやジャー マンといった限られた大技で反撃はしたものの、ネットや各誌記者にも「松尾善戦」と書かれる程度。それでもそんなに悔しくなさそうだった松っ ちゃん。

 ま、プロレス業界全体の景気向上を、どちらかといえば阻害しているかもしれない、スレたファンである私としては、そんな松っちゃんが好きな んですけどね。


2.○椎名由香、ザ・ブラディー(OK)(10:52腕ひしぎ)田村欣子、×斎藤啓子(OK)

 しばらく続けてタッグを組んでいくような雰囲気の椎名組。
 ときどき天然のボケもあるが、敵のカット・細かいヘルプ・大声での檄飛ばしなどチームプレーの得意な椎名は、NEOマシンガンズの陰に隠れて はいるが名タッグプレイヤー。これまでもASARI、仲村、輝優優、玉田凛映、山縣優、さらに石田亜矢子リングアナと、ゲスト参戦者を中心にさま ざまなパートナーと組み、脇を固めてきた。  


 この日のタッグでは、ブラディー単独でのコーナー宙吊り式から続けて、2人がかりで決めたブラディーEX(技名)の連係がよかった。

 斎藤、ヘッドシザースホイップが綺麗。
 田村この日も目立たず。潜伏中か。敗れた斎藤に笑顔を向けていた。

3.キャプテンフォールイリミネーションマッチ
千春(C、フリー)、春山香代子(JWP)、○仲村由佳、米山香織(JWP)(9:35ダイビングフットスタンプから)×タニーマウス総統(C)、闘牛・空 (AtoZ)、唯我(NM)、宇宙パワーレディーX

 ※C=キャプテン 1)○千春(ジャーマン)×宇宙 2)○春山(ラリアットから)×唯我 3)○春山(ギロチンドロップから)×牛

 嫌がるタニーを「総統!」と、勝手に慕って付きまとい、タニー・モンスター軍を名乗ってきた牛と唯我。何戦か前フリがあった後の、いよいよ タニー総統の登場。

 いでたちは真紅の軍服、帽子、マント、サングラス、葉巻、鞭。私、テレビ見ないので元ネタは雑誌でしか知らないんですが…
 「ここにこの試合の台本がある!」と言い放ち、自分が大活躍する筋書きを読み上げる牛。この牛、キャリアは浅いのに本当に喋りはいける。
 「私たちに任せてください」と、総統を客席で休ませていたモンスター軍3人、つづけざまに秒殺され、残ったタニー独りで奮闘するも空しく。
勝ったNEO・JWP連合艦隊、仲村のかけ声で「女子プロレスを守ったゾー」とハッスルハッスル。

 …とまあ、そういうことでした。
 私的には、場外で観客参加の「フゥ〜跳び」に加わることができ、着地の際カカトの先で春山を踏んづけて「イテテ」と言わせたので、それだけ で満足しました。


  4.AWF世界女子シングル選手権
○元気美佐恵(王者)(13:14Gドライバーから)×武藤裕代(挑戦者、OK)

 JDと契約せずチームOKとしてフリーになり、逆に活躍の場が広がったかのように思える武藤。先述した全女のオールパシフィック争奪戦にもエン トリーされた。
 しかしこの日の試合はグダグダ、凡戦。頭が柔軟で、お笑いも含めてどんなスタイルにも対応でき、場合によっては自ら汚れ役もすすんで務めら れる“守りの名手”元気をしても、相手から熱さ、良さを引き出すことが出来なかった。

 比較的若手でガタイがあって見映えがする、今のところは目新しさもあって各団体から引きが来ているが、このままのファイト内容では厳しい か。  

 試合後、挑戦者を募る元気の前に、牛と唯我にイヤイヤ引きずられて現れたのはタニー。
 うつむいたまま「オイ元気!ウチの総統が次のチャレンジャーだ」と挑発する牛、「目を合わせてモノを言えよ」と応える元気。いや牛はホント にいいね。


5.NWA認定女子パシフィック&NEOシングル、2冠選手権
○中西百重(王者、フリー)(22:32モモ☆ラッチ)×宮崎有妃(挑戦者)

 宮崎の入場曲に合わせて肩を揺らす、JWP売店の日向。仲のいいこの2人、翌週6・20JWP八王子での、日向の怪我からの復帰戦では宮崎がタッグ パートナーを勤めている。
 この一戦、この日参加した各団体、JWPの日向・ボリショイ・米山・渡辺・木村、OKのブラディー・武藤・斎藤・素顔のファング、AtoZの牛・浦 井、Hikaruや千春も、大勢の選手が見ていた、中西の、選手間での評価の絶大さをあらためて知ることに。

 最初の握手を警戒してなかなか応じなかった中西だが、結局捕まり、いきなり恥ずかし固めを狙われる。笑うセコンドの椎名。
 ショルダースルーで切り返されるがその勢いのまま前方回転エビ固め、さらに宮崎いきなり決め技のチーズスター、外道クラッチと畳みかけ、再 度、恥ずかし固めへ。

 決められた体勢のまま、後頭部を逆に相手の股間へ連打して脱出した中西「ぜんっぜん恥ずかしくねー!」。ならばと宮崎、椎名からタオルを受 け取り、自らの股間に当てて再々度、恥ずかし固めへ。今度はヘッドバットにも「ぜんぜん痛くねー」。ガッチリ決めて、パクパク何度も脚を開 く。強がっていた中西も、ついには股間を手で隠す。

 コミカルな出だしだったが、その後、締め技・関節技が多用されるジリジリした重みのある展開に。宮崎はキャメルクラッチ、足4の字、中西は インディアンデスロック、膝十字、さらに腕ひしぎ、脇固め。弱点のヒジを狙われ、苦しむ宮崎。

 イメージと違った攻めを見せた中西、場外乱闘へも自分から誘う。

 反撃する宮崎、リングへ戻ってから、ロープワークの合い間にサミングやおっぱい掴みでペースを変えることを試みる。「持ってよ。」と片足を 持つよう頼んでからもう片足での延髄斬りも決めた。

 大技攻勢。ムーンサルト、プレスは決まったがフットスタンプは躱される。モモ☆OKを食らい、モモ☆ラッチは一度は押し潰し、この日こだ わっていたデスレイクドライブにとうとう成功するものの、モモ☆OK連発から再度のモモ☆ラッチで敗れる。

 中西「宮崎選手ー。なかなかやるなー。また挑戦して来いー」

 「今日は2度目の防衛が出来て嬉しかったです。ありがとうございました」中西の挨拶で興行全体が〆。

 うーん。この2人の対戦としては、1月の初対決の方が新鮮味、やる側の緊張感も見る側の驚きもあって、よかったかな。まあ、いい試合ではあ りましたが。




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