5・22K−1『ROMANEX』TV観戦記
■団体:K-1 MMA ROMANEX
■日時:2004年5月22日
■会場:埼玉SA
■書き手:タカハシTV観戦

山本さんの対談本で谷川さんが「ボクにとってのUWFは真剣勝負でやるプロレスです。

TV局の人や格闘家たちが「真剣勝負だからしょうがな い」というのを聞くと本当に頭に来る。そこを何とかするのがリング外スタッフの仕事だろうって」と言っていた事がある。そしてその顕著な例が K−1JAPANのゲテモノ路線であり、今回旗揚げする『ROMANEX』なのだが、なるほどどれもキャッチコピーが付け易いカードが並んで いる。

TBSの名物プロデューサーは世界陸上などの製作担当の人によく「日本人を多く作れ」と指示するらしい。これは「日本人が肩入れしたくなるよ うな選手の見方を提示しろ」という事で、この人が今でもトップなのだとしたら、K−1の新企画にTBSが乗っかっているのもわかる気がする。

今回は全日本プロレス後楽園大会を見てからダッシュで帰ってのTV観戦。試合は放送順で並べてあります。


<第1試合 K−1MMAルール 5分3R>
○須藤 元気(日本/ビバリーヒルズ柔術クラブ) 対 ×ホイラー・グレイシー(ブラジル/グレイシー柔術アカデミー)(1R3分40秒:
KO(グラウンドパンチ連打))

PRIDEやK−1の地上波放送はいつも視聴者の気を引くようなカードや内容のものをトップに持ってくる。また他局の番組と番組の切れ目の CFタイムにも好カードを持ってくる事が多いが、それが一番顕著なのがTBS。K−1MAXなど見てるとTV向きと判断されている選手とかが よく判る。

今回はそのMAXで全国区となった元気と、グレイシー姓は今でも全国区のホイラーの対戦。少なくともPRIDEではグレイシー姓の選手はタッ プで負けた事は一度もないので、一応それも期待しておいた。が、やはりというか予想通り打撃が決定打となり、またまたグレイシー・ハンター誕 生。

実況アナは解説席の魔裟斗に元気が勝った事の偉業?を伝えようとしていたが「だって年齢差10以上でしょ?」とか思われてるんじゃないだろう か。まぁホイラーも38ですからね。


<第2試合 K−1MMAルール 5分3R>
○ゲーリー・グッドリッジ(トリニダード・トバコ/フリー) 対 ×ザ・プレデター(米国/UPW)(1R1分22秒:KO(左フック))

親権問題で引退していた(という事になったらしい)GGもアッサリ撤回してK−1登場。解決したからといってあれだけの大舞台で引退セレモ ニーやってたら、PRIDEも「復帰はいいけどもうちょっと待って」と言わざるを得ないだろうしな。

試合はアングルの自伝にも名前が載っているらしいほどアマレスで実績のあるプレデターが、いよいよその本領発揮かと思ってたら、殴り合いに応 じてフックがアゴに入ってしまい、アラエサッサーとジャニーさんのようにステップ踏んでレフストップ。

そりゃあ勝てないよ。GGのセコンドはエリクソンなのに、プレデターのセコンドは高岩に「とんでもなくショッパイ試合をしてしまった」と言わ せたトニー・ストラディンなんだもん。


<第3試合 K−1MMAルール 5分3R>
○ジョシュ・バーネット(米国/新日本プロレス) 対 ×レネ・ローゼ(オランダ/チーム・ピーター)(1R2分15秒:KO(マウントパン チ連打))

このマッチメークだと心配なのはジョシュの油断だけだが、あとは変にプロレス技を狙っていかなければ鉄板というのが大方の予想。で、やっぱり その予想通りなんだけど、感心したのはVTでは金網での試合経験の方が多いはずのジョシュが、ロープ越しのマウントパンチを、全くロープを苦 にする事なく叩き込んでいた事。それは中邑とイグナショフを見れば顕著だよね。

今後ジョシュをどう活かしていくかだけど、もったいぶる意味も含めてVT出場は控えた方がいいような。でも契約上はジョシュに全ての決定権が あるんだっけ。もう少しプロレスで印象に残る試合をして欲しいんだけど。


<第4試合 K−1MMAルール 5分3R>
△ドン・フライ(米国/フリー) 対 △中尾 芳広(日本/フリー)(アクシデントによりノーコンテスト)

いつもの事らしいがフライは前日の会見にも二日酔いで登場したとか。実際問題フライも本当はVTはもうやりたくないと思っているのを、無理矢 理お金をモチベーションに繋げているだけじゃないだろうか。K−1が言い値で契約したというのも、実際は「これだけフッかければ断るだろう」 と思ったのかも知れないし。

で、試合だがこれが開始早々のタックルでの衝突によるカットでノーコンテスト。やる気は見せていたけれど、これで中尾相手にもう一回やらざる を得ないだろうし、それがフライにとっていい事なのかどうかはよくわからないなー。

ここでコミッショナーとかではなくメイン、セミの立ち合い人として猪木登場。TBSにどれだけ発言力があるかは知らないけれど『猪木祭り』で 相当懲りてるらしいので、こういうカタチでしか『ROMANEX』には関われないと見たがいかがなものか?


<第5試合 K−1MMAルール 5分3R>
×アレクセイ・イグナショフ(ベラルーシ/チヌックジム) 対 ○中邑 真輔(日本/新日本プロレス)(2R1分51秒:ギロチンチョーク)

さすがに今回は勝ち方よりも勝つ事だけを優先に行ったという感じ。もう何回やっても結果は同じと田中さん含めあらゆるところで言われていたけ れど、自分は結構勝てそうな気がしていた。それはVTでは寝技有利というのが頭にある事と、中邑とイグナショフでまさか体重差が20キロ以上 あるとは思ってもいなかったためだ。

試合内容はともかくこれでリベンジを果たした以上、あとは中邑がVTをこれ以上やる意味はないという事を上井さんが認識している事を祈るの み。中邑が出ても『ROMANEX』のTV放送枠が15分ほど埋まり、K−1からの巨額の?ファイトマネーが会社に入るくらいで、中邑や新日 本へのメリットは殆どないでしょ。イグナショフが今後K−1本戦で勝ち上がれば勝ち上がるほど中邑の価値が上がるとでも考えた方がスマート だ。

これで継続参戦させるというなら、K−1から裏金もらってるか本当にバカか、プロレスを滅亡させようと考えてるとしか思えないな。とにかくこ の3つのどれでもない事を祈りますよ・・・。


<第6試合 K−1MMAルール 5分3R>
○BJペン(米国/BJペンMMA) 対 ×ドゥエイン・ラドウィック(米国/3−Dマーシャルアーツ)(1R3分40秒:肩固め)

この日のカードでは実力拮抗・・・とまではいかなくても、ある程度VTで実績がある者同士と言えるカードはコレくらいだよなぁ。それでも初手 から鮮やか過ぎるタックルでテイクダウンを取ったら後は電車道という、考えていたより遥かに実力差のあるマッチメークだったみたい。・・・と いうかレスリング系ではヒューズにさえ勝ってしまう以上、K−1が打撃系でブッキングできる選手ではラドゥイックが最上か。あとはBJチャレ ンジとして日本人をバンバン当てていくようなマッチメークしかなさそうだなぁ。


<第7試合 K−1MMAルール 5分3R>
×サム・グレコ(オーストラリア/正道会館) 対 ○LYOTO(ブラジル/猪木事務所)(3R判定1−2)

ここまではノーカットで放送されていたが、この試合はかなり大幅なダイジェスト放送。それを見る限りにおいては自分としては歓迎できる措置 だったけれど、往々にしてマニアはこれを一番評価してるというパターンが多いんだよな。ヤマヨシ対ヒーリングとか。この試合はどうだったんん でしょ?


<第8試合 K−1MMAルール 5分3R>
○ブルーウルフ(モンゴル/新日本プロレス) 対 ×トム・ハワード(米国/UPW)(2R4分44秒:TKO(タオル投入))

まぁ何というか、グリーンベレーがどうこうというギミックの全てをも自ら放棄するような結果となったわけで・・・。この試合も1Rはカットだ から相当ダメダメだったのかな。しかしプレデターといい、01にはまるでいい事のない『ROMANEX』参戦だったなぁ。


<第9試合 K−1MMAルール 5分3R>
×ボブ・サップ(米国/チームビースト) 対 ○藤田 和之(日本/猪木事務所)(1R2分10秒:グラウンドでの攻撃→タップアウト)

誰もが口にするのを遠慮していたけれど、やっぱりサップは格闘技には向いていないというか。日本で成功したいという気持ちと、限界を知らない が故に限界を越えて頑張ってきた当時とはもう違うサップなんだという事が、遂に白日の下にさらされてしまったという感じだ。珍しく予想が当 たったから言うわけでは(なくも)ないが、この結果を谷川さんたちが予想できていなかったとはどうにも考え難い。藤田がサップの座っていた席 にスライドできるはずもないし、制裁として行なうタイミングとも思えないし。

最後に頭を抱えて蹴られまくる姿は、デカイというだけでガキ大将の座に治まっていた子供が、恐れ知らずのチビの転校生にボコボコにやられてい るかのようで、非常に後味が悪かった。何にせよ1回性のイベントではなく、新路線のスタートとしてはどうにも光明の見えてこない結果となって しまったように思う。TV番組としては面白かっただけに、ちょっと先行き不安だなぁ。


<総括>

友人宅へ『武士道』PPVを見に行く前にダイスさんと電話で『ROMANEX』の話をした。グリフォンさんの日記で「to be continueの見えな い、今までの貯金を全て吐き出したようなイベント。これが最終回ならまだしも・・・」と書いてあった事を聞いた。巧い!巧過ぎる!

余りにも巧い表現なのでこれを書く気も失せそうになったが(笑)、気を取り直して違う方向から書いてみる事にしよう。実際問題として技術の攻防 を見たい人からすれば、今回の『武士道』の方が楽しめたのかもしれないが、自分はダントツに『ROMANEX』の方が面白かった。それはもち ろんPPVとエエトコ取りの放送との違いもあるし、それ以前に『武士道』つまらな過ぎというのもあるかも知れないが、『ROMANEX』の技 術レベルよりも面白さ追求のマッチメークが今回は効を奏したという事だと思う。

例えば中邑対イグナショフにしても、見る人によっては「武士道挑戦試合レベル」かも知れないが、『ROMANEX』のコンセプトは最初から 『最強』を頂点とはしていない事を宣言してるわけで、今更言う方がアホなのかも。正直前途多難にしか思えないが、スタートしてしまった以上は しばらく続けなくてはいけないのだから、自分もTV放送があれば極力見続けるつもりではいる。

『ROMANEX』のキャッチコピーは「英雄はここから生まれる!」というものだったが、かつて国際プロレスのTV放送開始に際して、TV局 の人は「TVの力で一夜でスターを作ってみせる!」と豪語していたそうな。もっとも期待の選手は惨敗してしまい、結局長続きはしなかったとの 事(さすがにそこまでのオールドファンではないんですよ)。そしてその時のTV局がTBS。歴史って繰り返されるんですねぇ・・・。




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