5/16 全日本キック 後楽園ホール興行 観戦記
■団体:全日本キック
■日時:2004年5月16日
■会場:後楽園ホール
■書き手:高倉仮面

18:25
後楽園ホールに到着、本日は全日本キックボクシング連盟の興行の観戦。

この興行の目玉はライト級トーナメント…ではない。
しかしタイトルマッチがあるわけでもない。
いわゆる「隙間興行」ってヤツである。

名のある出場選手としては、ウェルター級の超新星・山本 優弥、
ヘビー級王者・西田 和嗣、1999年 K-1 JAPAN GP 第三位の滝川 リョウ、
ウェルター級王者・山内 裕太郎、フェザー級一位・前田 尚紀、バンダム級王者・平谷 法之、
等が上げられるが、正直、僕もよくわからん選手が多い。
まあ、これから全日本キックを継続観戦するのであれば、
これらの選手は知っておいた方がいいなぁ…、
と思ったのが今日の観戦の動機である。


チケット購入、立見席は売っていなかったのでA席を買う。4000円。
この団体も修斗と同じく、エースが出場する興行以外は立見を出さないようだ。
その分、チケット代は全体的に安くなっている。これはいい事だね。

18:30
パンフレット購入、1000円だったのだが…薄っ!
いつもの内容充実のパンフレットに比べると、その薄い作りに驚かされる。
総計8ページ、広告の類は1ページのみという寂しさ。
それでも試合に関する必要な情報はギッシリだったので割高感はないのだが…、
やはり手に取ったときの重みというのも、パンフレットの中の重要な要素の一つだなぁ…と実感。


会場入り、3F南側席に座る。今日の客入りは…さすがに少ないね、半分程度。
それでも試合が進むにつれて徐々に増えていき、最終的には8割の入りになった。
パンフレットを読んで知らない選手を学習しつつ観戦開始。


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第一試合 フェザー級 3分3R
△寺戸 伸近(166cm/57.0kg/BOOCH BEAT)
△正巳(167cm/57.1kg/勇心館)
[判定 1−0]

1R、下がる正巳、追う寺戸。
二人は距離をとり、あまり打撃を出さない。
時折、ローキックが交差していたものの、
基本的にはお見合い状態が続く。

先手を取ったのは寺戸。
前に出る正巳のストレートを軽くいなしてローキックを放つと、
中距離からのワンツーやローキックで正巳を攻める。
中盤には正巳のローキックに合わせたカウンターのストレートがヒット、
怯む正巳、寺戸は前に出て組み付きヒザ蹴りを連打してペースを握る。

だが終盤、今度は逆に正巳のカウンターのストレートが寺戸にヒット、今度は正巳が前に出る。
寺戸は相手に組み付いてヒザ蹴りを連打、正巳の攻め流れを断ち切る。

2R、やはり両者共に殆んど打撃を出さない状態。
後ろのオヤジが「もっと打たんかいっ!」なんて怒っている。

そんな中、寺戸は前に出てミドルキックをクリーンヒットさせると、組み付いてのヒザ蹴り。
だが、それ以降は距離を詰める事もなく中距離からのワンツーやローキックで軽く牽制。
これに対して正巳は自ら下がりながら、寺戸と同じくワンツーやローキックを時々放っていく。
あまり積極的に打撃を出さない両者、お見合いの多い展開に観客はやや退屈気味。

ラウンド終了直前、寺戸のストレートが正巳にハードヒット。
2R終了時点では寺戸がやや優勢か。

3R、後ろのオヤジは早速「攻めろっ!!」と叫んでいるが、試合は相変わらずお見合い状態。
正巳は下がりながら、裏拳、ワンツー、ミドルキック、ローキックで牽制。
寺戸は追いかけてながら、ワンツー、ミドルキック、ローキックで攻める。
しかしこれらの打撃は積極的に出ていたわけではなく、ポツポツと出ているような状態。
結局、試合は盛り上がりに欠けるまま終了。う〜ん、残念。

判定。ジャッジの一人は全体的に試合をリードしていた寺戸を勝者にするも、
残り二人は「決定打がない試合に勝者なし」とし、結局は1−0のドロー。


第二試合 ライト級 3分3R 最大延長2R
○凱斗 亮羽(167cm/61.2kg/S.V.G.)
●梶村 政綱(172cm/61.0kg/藤原ジム/全日本 ライト級 八位)
[延長判定 3−0]
※本戦判定 1−0

凱斗 亮羽、今年のミドル級トーナメントでは残念ながら一回戦敗退となったが、
得意のテコンドー殺法を武器に、対戦相手の吉本 光志をあと一歩のところまで追い詰めた。
確かな実力をひっさげて、元ITFテコンドーの三階級王者がランキング入りを狙う。
相手はライト級 八位、名門・藤原ジムの秘蔵っ子の梶村 政綱。

1R、凱斗は下がりながらのミドルキックでひたすら梶村を蹴っていく。
対する梶村は凱斗を追いかけながらのストレートやミドルキック、組み付いてのヒジで対抗。
このラウンドでは両者は一貫してこの攻撃を続けた。手数もダメージも互角。

2R、凱斗は相変わらず下がりながらのミドルキックを中心に、裏拳やソバット等を放つ。
対する梶村、このラウンドは何度も何度も凱斗に組みついたが、思うように攻めれないシーンが目立った。
ヒザ蹴りやヒジ打ちを放とうとするものの、凱斗に封じられている感じ。

3R、凱斗がフルスロットル。下がりながらのミドルキックを攻撃の軸とするのは変わらないが、
時には前に出て、ミドルキックからヒジ打ち・ソバット・至近距離からの回転ヒジ打ちのコンビネーション。
対する梶村は、凱斗を追いかけてパンチを放ち、積極的に組み付いてはヒザ蹴りを連打。
だが凱斗もヒジ打ちの連打で対抗し、離れれば再びミドルキックで蹴っていく。
試合終了、両者共に大きなダメージはない。

判定。手数は凱斗が上ではあったものの決定打に欠けた、結果、凱斗の1−0。
試合はサドンデスの延長戦に突入。

延長R、3Rからエンジンのかかった凱斗が攻める。
下がりながらのミドルキックを連打して梶村を蹴りまくると、至近距離ではヒジ打ちやヒザ蹴りを連打。
対する梶村、凱斗を追いかけながらのパンチ、組み付いてのヒザ蹴り…といった攻めは相変わらずだが、
凱斗の猛攻を前に押され気味。逆に凱斗は裏拳やカカト落としを披露する余裕ぶり。
延長終了。判定は、このラウンドを完全に支配した凱斗が3−0で勝利した。
これで凱斗はわずか5戦で全日本キックのランキング入りが確定。この先にも期待。


第三試合 ウェルター級 3分3R 最大延長2R
○小松 隆也(180cm/66.2kg/建武館/全日本 ウェルター級 六位)
●丸山 浩紀(179cm/66.6kg/名古屋JKF)
[再延長判定 3−0]
※延長判定 0−1
※本戦判定 0−1

ウェルター級としては反則とも思える高さを誇る身長を持つ者同士の対戦は、
試合中に合計30回以上も「『組み合ってボディへのヒザ蹴り』合戦」を繰り返すという我慢比べに。
しかし単調な展開ながらも会場にダレた空気が流れる事はなかった。
両者共に気合を入れながらでヒザ蹴りを繰り出す姿が会場にも伝わったからだろう。

そんな中、手数で勝っていたのは丸山の方。組み付いてのヒザ蹴り以外にも、
下がる小松を追いかけながらのストレートをヒットさせたり、組み付いてのヒジ打ちを放ったり。
また2Rには丸山のヒザ蹴りに対して、小松が苦しむ場面やマウスを落とす場面もあった。

しかしながら、決定打を与えるには至らない。

試合終了。僕としては「丸山の勝ちでもいいかなぁ」…と思っていたが、
判定は丸山の1−0で延長戦に突入。

延長R、合計10回以上の「『組み合ってボディへのヒザ蹴り』合戦」。
ここでも押していたのは丸山、ヒザ蹴りの手数で小松を押していた…ものの、やはり決定打はなし。

延長終了。またしても「丸山の勝ちでもいいかなぁ」…と思っていたが、
判定は丸山の1−0で再延長戦に突入。

再延長R、合計10回以上の「『組み合ってボディへのヒザ蹴り』合戦」。
しかし、このラウンドを支配したのは小松の方。
中距離からはミドルキックやアッパーでダメージを与え、組み付けばヒザ蹴りだけでなくヒジ打ちも多用。
これらの攻撃で丸山の動きは鈍くなっていった、う〜ん、殆んど試合を支配していただけにもったいない。

再延長終了。判定は再延長Rを完全に支配した小松が3−0で逆転勝利。


第四試合 ウェルター級 3分3R 最大延長2R
○宝樹 まもる(171cm/66.4kg/勇心館)
●三上 洋一郎(173cm/66.4kg/S.V.G./全日本 ウェルター級 四位)
[2R 1分56秒 KO]
※3ダウンによる

三上 洋一郎は29歳にして試合は19戦8勝9敗2分3KO。
年齢と試合数を察するに「結構、遅いデビュー」という印象が残るのだが、
対戦相手の宝樹 まもるはその上を行く。37歳にして未だ5戦3勝2敗2KO、まだデビューして1年足らずである。
年齢では宝樹が8つ上だが、デビューからは宝樹が8つ下。「遅咲きの新人」が下克上を狙う。

1R、三上は積極的に左ジャブや右ミドルキックを放ちながらリングを周る、徹底したアウトボクシング。
対する宝樹は三上を追いかけながら、右ストレート、左フック、左ミドルキックの連打などで対抗。
宝樹のパンチは中々重い。三上がガードする度に「ボスンッ、ボスンッ」と音を立てている。
恐らく三上は宝樹のパンチの重さを警戒してのアウトボクシングなのだろう。

宝樹は三上の右ミドルキックにカウンターのストレートを合わせていく。
これを何発か喰らった三上、それでも右のミドルキックを放ち続けたが、
宝樹はガードの薄くなった三上に右ストレートの二連打をハードヒットさせる。
喰らった三上の足元がフラつけば、チャンスと見た宝樹は接近しての打ち合いに挑む。
三上はパンチの連打で対抗するも…ラウンド終了直前に宝樹の右ストレートの連打が入る。
これで三上は無念のダウン。

2R、ダメージの抜けない三上に対して、宝樹は一気にラッシュを仕掛け、次々にダウンを奪う。
右ミドルキックを喰らいつつも三上を追い詰めてパンチのラッシュ、右ストレートで1ダウン。
1分経過、再び三上を追い詰めて、右フック & 右ストレートで2ダウン。

何とか立ち上がる三上だが、意識が朦朧としているのが観客にもわかるような状態。
客席から「決めちゃえっ!!」の声がかかれば、宝樹は右ストレートをヒットさせてこれに応える。
更にフラフラになる三上、尚もラッシュで襲いかかる宝樹。
「これ以上はマズイ」と見たレフリーが三上をスタンディング ダウンと判断、3ダウンで試合終了。

勝った宝樹、「楽勝だっ!」といった感じでポーズをとっていた。
これで宝樹は6戦して3KO勝、2KO負、1不戦勝となった。
「遅咲きの新人」「闘えば、勝っても負けてもKO男」の今後に期待。


第五試合 70kg契約 3分3R 最大延長2R
○山本 優弥(174cm/69.9kg/BOOCH BEAT/全日本 ウェルター級 一位)
●モネ ハビエル(185cm/69.5kg/ペルー/峯心会)
[3R 53秒 KO]
※右フック

一ヶ月前の試合ではベテラン・金沢 久幸に苦戦しつつもこれを撃破、
BOOCH BEAT所属としての初陣を飾った山本 優弥、今日は体重をミドル級にまで上げて試合に挑む。
ひょっとしてK-1 MAXに出場する事も視野に入れているのだろうか?
対戦相手は、全日本キックには初登場となるペルー人、モネ ハビエル。
身長は185cm、ミドル級としては反則級の長身の持ち主だ。
リーチの長い相手との対戦を苦手とする山本、難敵相手に勝利できるか?

1R、両者は右腕を前に出して挨拶…の瞬間、
ハビエルが「試合はもう始まってるっ!!」と言わんばかりにミドルキックを放つ。喧嘩上等なのね。
その後は下がりながらリングを周り、リーチを活かしたミドルキックやローキックで山本を蹴る。
序盤にはミドルキックを喰らった山本がスリップダウンする場面も。

対する山本、下がるハビエルを追いかけつつミドルキックやワンツーで攻めていく。
そして距離が詰まれば…ハビエルに前に出られてクリンチを仕掛けられブレイク、という展開。
思うように試合を運べない山本、イライラしつつ中盤に相手をアカンベーで挑発。
怒ったハビエルは山本を上手投げで投げ捨ててしまった。
「ならば」と終盤、リーチ差を一気に克服すべくハビエルに飛びかってのパンチ…当たらず。
1R終了、戦前の予想通り山本はハビエルのリーチの長さに苦戦。

2R、やはり長いミドルキックで山本を蹴り、相手が近づいてきたら組み付くハビエル。

これに対して山本は「前に出ろ!」と言わんばかりにノーガードで相手を挑発。
怒ったハビエルがミドルキックを放つと…山本はこれをキャッチしてハイキック一閃。
だがキックを喰らってもハビエルは目を見開いて「Hooooo!!」と一咆え、逆に山本を挑発。
その後も両者は挑発合戦を繰り返す。山本は踊り、ハビエルは尻にミドルキックを叩き込む。

と、ここから山本は作戦変更、ローキックを中心にハビエルを蹴りつつ、
お得意のパンチのコンビネーションで前に出ていく…のだが、リーチ差を克服するまでには至らない。
ハビエルは相変わらず下がりながらミドルキック & ローキック。
山本が近づいてきたら前に出て組み付く。徹底した蹴り中心の試合運びだ。

3R、山本は至近距離から組み付いてきたハビエルを足払いで転ばせて挑発。
これに対して拍手をするハビエル。両者の意地の張り合いが続くが…。

ハビエルに近づいて接近戦を仕掛けた山本、左のヒジから右のフックが強烈にヒット!!
モロに喰らったハビエルはその場に崩れるようにしてダウン。
レフリーはカウントを数えていたが…とてもじゃないが立つ気配がない。
結局、そのまま10カウントが数えられて試合終了。
リーチ差には苦戦しながらも、山本が喧嘩マッチを制した。

現在ウェルター級の王者である山内 裕太郎は長身の選手。
その山内より大きいハビエルを倒したのは山本にとって財産になるだろう。


第六試合 ヘビー級 3分3R 最大延長2R
○西田 和嗣(182cm/96kg/S.V.G./全日本 ヘビー級 王者)
●滝川 リョウ(185cm/96kg/日進会館)
[1R 2分53秒 KO]
※左ヒザ蹴り

Darudeの「Sand Storm」に乗って入場する滝川 リョウ。
この人、1999年のK-1 JAPAN GPで第三位になった事もある人だそうだ。
パンフレットには「国際式ボクシングで培ったテクニックには定評がある」と書いてある。

戦績は23戦14勝9敗10KO、KO率は43.4%。KO率は結構高い。
そりゃそうと、このところはK-1 JAPANで活躍していた選手の他団体流出がチラホラ見られる。
いよいよK-1 JAPANもヤバいのかねぇ。

対するは、昨年9月に王者になったばかりの西田 和嗣。
新年早々には子供も誕生、王者としても父親としても門出の第一戦。
戦績は12戦9勝3敗5KO、KO率は41.6%。中々の好戦績だ。

両者の応援団がやたらと大声を揚げる中で試合開始。
まずは西田が重いミドルキックを連打、これに怒った滝川は大振りなフックで対抗。
試合はいきなり喧嘩の色合いを増し、両者の応援団の声は一層大きくなる。

その後、西田はミドルキックで滝川を蹴り続ければ、
滝川は顔に怒気を孕みつつミドルキックを繰り出し、
西田のミドルキックをキャッチしてのストレート、更には裏拳で対抗。
更に両者は組み合ってヒザ蹴りを出し合う。
両者の応援団は相変わらず騒ぎっぱなし。

そんな中、西田はミドルキックから左のヒザ蹴り一閃。
モロにレバーに入り、苦悶の表情を浮かべつつ腹を押さえてその場に崩れる滝川。
静まりかえる滝川応援団、反対に大歓声は西田応援団。
レフリーはカウントを数えようとしたが、全く立つ気配のない滝川を見て試合をストップ。

勝利した西田は応援団の歓声に、力強いガッツポーズで応えていた。
大事な門出の一戦での勝利、嬉しさはひとしおなのだろう。

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◎全日本キックにまたまたベルトが
休憩後、リング上に清水 貴彦が登場。
5月13日にタイで行われた試合にて、新興協会WPMFの世界ミドル級王座を獲得した事を報告。

全日本キックはこの辺が凄い。所属選手がバンバン海外に行ってベルトを獲ってくるのだ。
こんなに選手を海外で試合させている団体って日本じゃ唯一なんじゃないかねぇ。

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第七試合 67kg契約 3分5R
○山内 裕太郎(180cm/66.7kg/AJジム/全日本 ウェルター級 王者)
●千葉 友浩(178cm/66.8kg/TEAM-1/全日本 ウェルター級 二位)
[5R 41秒 KO]
※右ローキック

今年は早くも3戦目となる全日本ウェルター級王者・山内 裕太郎。
前回の試合では、韓国でのし上がった日本人選手・ハイパー キック リーを難なく退けた。
今日の対戦相手は、かつては魔娑斗とウェルター級のベルトを争った事もある10年選手、千葉 友浩。
それにしても両者の応援団の数が多い。試合前からかなり盛り上がっている。


1R、長身の両者はロングレンジから打撃を放つ。
山内は下がりながらのミドルキックが中心、ローキックやワンツー等を混ぜて攻める。
千葉は追いかけながらのワンツーが中心、これにミドルキックを混ぜる…といった展開。

このラウンドは両者互角だったが…、
終盤、山内が前に出る千葉にカウンターのストレートを叩き込んだ。
相変わらず山内はカウンターをあわせるのが巧い。

2R、山内が徐々に試合をリードしていく。
序盤から両者共にワンツーでの打ち合いという展開の中、
山内はソバットやハイキックを織り交ぜつつ千葉のパンチのカウンターでワンツーをヒットさせると、
尚もミドルキックやワンツー、ヒジ打ちで千葉に付け入る隙を与えない。
千葉もワンツーを返していくも…手数が少なく、気がつけば後ろに下がりながら試合をしている。
反対に山内はこれを追いかけて更なる打撃でダメージを与えていく。1Rとは逆の展開だ。

ラウンド終了直前、山内はワンツーからヒザ蹴りをヒットさせると、
これをみぞおちに喰らった千葉がダウンするも、ここはゴングに救われる。
しかしながら、このラウンドは山内が一方的に攻めた…と言えるだろう。

3R、下がる千葉を追いかけながら、山内は多彩な攻めでダメージを与える。
前蹴り、ヒザ蹴り、ミドルキック、ローキック、ワンツーからのローキック、組み付いてのヒザ蹴り、
右ストレート、ヒザ蹴り & ヒジ打ち、ミドルキック、組み付いてのヒザ蹴り、ストレート、
組み付いてのヒザ蹴り & ローキック、左ストレートからの右のヒジ打ち、組み付いてのヒザ蹴り、
ミドルキック、組み付いてのヒザ蹴り、右ストレート。
以上が山内がこのラウンドに出した攻撃。山内応援団は沸きっぱなし。

これらの攻撃を前に防戦一方の千葉、
時折ワンツーを返すも、全く反撃に転じる事ができない。

4R、やはり山内はワンツーやヒザ蹴り、ミドルキックで千葉を攻める…が、
このラウンドで突然復活した千葉、ミドルキックやワンツーからのローキックを返していき、
ハイキックが山内にヒット。これまで意気消沈していた千葉応援団が歓声に沸く。

これに対して山内はワンツー、ヒジ打ち、ローキックの連打で対抗するも、
千葉も何かが吹っ切れたようにストレートを連打、そして右ストレートがハードヒット。

モロに喰らった山内の足元がグラつけば、千葉はさらにストレートとヒジ打ちで山内に襲い掛かる。
で、このヒジ打ちで山内は流血。楽勝ムードが一転、大ピンチである。
山内応援団からは悲鳴が、千葉応援団からは大歓声が揚がる。

だが山内、王者の意地、右ストレートが千葉にモロにヒット。
ダメージの大きい千葉は棒立ち状態、逆転ムードを断ち切る一撃に山内応援団は大騒ぎ。

しかし、先ほどのヒジ打ちによる山内の負傷も激しく、ここでドクターチェックが入る。

負傷によるストップを恐れて山内応援団は大騒ぎ。忙しいな。

無事に試合は再開。
山内はワンツーやミドルキックで攻め、千葉はローキックとヒジ打ちを返していった。
4R終了。いや〜、千葉の頑張りで勝敗の行方がわからなくなったな。

5R、逆転を狙う千葉はワンツーからローキックを放つが、山内もワンツーからローキックを2度繰り返す。
…と、下半身を破壊された千葉がダウン、そのまま立ち上がる事ができずに10カウントを聞いてしまった。

あまりローキックが効いている素振りを見せなかった千葉だが、相当に我慢していたのだろうか?
それとも山内が最後に放ったローキックの当たりどころが悪かったのだろうか?
ともあれ、優勢に試合を進めながらもやや危ない場面もあった山内がKOで勝利。
応援団には劇的な勝利に映ったらしく、帰りの花道で山内は揉みくちゃにされていた。


第八試合 フェザー級 3分5R
○前田 尚紀(166cm/57.1kg/藤原ジム/全日本 フェザー級 一位)
●平谷 法之(162cm/57.1kg/BOOCH BEAT/全日本 バンタム級 王者)
[3R 2分48秒 KO]
※左ボディブロー

BOOCH BEAT所属としては初戦となる平谷 法之は若干18歳にして全日本バンタム級王者。
このところは引き分けを挟んで四連勝中、これまで得意のフックでダウンの山を築いてきた。
今日の興行では同じジム所属である寺戸 伸近はドロー、山本 優弥はKO勝ち。
ここは平谷も勝利して、BOOCH BEAT無敗のまま全員で勝利のビールを飲みたいところだ…、
それはダメ。山本も平谷も未成年なのだから。

対するは「闘う修行僧」前田 尚紀。今年の2月28日には初となるオランダ遠征を経験。
試合はKOで勝利、本人はそのまま名門・メジロジムにて練習に明け暮れた。練習の成果は出るか?

1R、開始早々に前田は牽制のジャブ、
これにあわせて平谷がハイキック。

…そして、このハイキックが前田のテンプルにヒット!!
いきなりダウンする前田、突然の出来事に観客は騒然となる。

8カウントで立ち上がった前田、ダメージはあまりないようだが、
チャンスと見た平谷は猛然と前田に襲いかかり、コーナー際へと追い詰めてパンチを連打。

ここまでは一方的な展開、平谷の秒殺KO勝利は時間の問題と思われた。

だが。前田はこのラッシュを冷静にしのぐと、逆に試合のペースを握り始める。
ガードをかためて平谷が攻め疲れするのを待っていた前田は、ラッシュが切れた時点で前蹴りで距離を離し、
中距離からローキック、ミドルキック、ボディブローを的確にヒットさせていく。
平谷は尚も接近しながら得意の左フックで前田を殴っていくも、
すっかり回復した前田を追い詰める事ができない。

2R、平谷は開始早々に再びハイキックで1Rの悪夢の再現を狙うが、
前田は「同じ手は2度喰わぬ」といわんばかりにローキックで足払い。
バランスを失った平谷は転倒、前田応援団から歓声が揚がる。

このラウンドも引き続き前田がペースを握る。
平谷は接近戦からパンチのラッシュを仕掛けてきたが、これに対してはパンチで真っ向勝負。
組んでも離れても大振りなフックを繰り出す両者に観客から歓声が揚がる。
再び平谷がハイキック、前田はこれにあわせたローキックでの足払い。
更には、組み付いてきた平谷にギロチンチョークを仕掛けながらテイクダウンする。

ラウンドも半分を過ぎたあたりから、前田が完全に試合を支配。
強烈なパンチの連打を繰り出すと、これを浴びた平谷は棒立ちの状態。
チャンスと見た前田、更なるパンチとミドルキックを連打、連打、連打。
ストレートは何度も平谷の顔面を打ち抜き、ミドルキックは何度も快音を立てる。

3R、普段は気の強い平谷だが、前田の猛攻を前に後ろに下がる場面が目立つ。
前田が追いかけてきても、前蹴りを使って距離を何とか稼ごうとする。
しかし前田はお構いなしに距離を詰め、多彩な打撃を繰り出す。
ストレート、ボディブローの連打、ヒザ蹴り、ローキックの連打。

平谷の意識が朦朧としているのが観客にもわかる。
ローキックを喰らってこけて、ストレートからのミドルキックをもらってスリップ ダウン。
更なるストレートを顔面で受けてフラつき…、
ミドルキックからのストレートでついにスタンド ダウンをとられる。

何とか8カウントでファイティングポーズをとった平谷だが…相変わらず意識は朦朧とした状態。
前田はローキックやミドルキックで平谷をコーナー際へ追い詰めてワンツーのラッシュを仕掛け、
最後は左のボディブロー。前田の打撃を一方的に喰らう平谷、レフリーが試合を止めるのは当然だった。

冷静な試合運びで、1Rのダウンを跳ね除けての勝利。
「闘う修行僧」の名は伊達ではない。この一戦を期に前田は再びフェザー級王者への道を歩んでいくだろう。

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雑感:
ライト級トーナメントの隙間に入る形となった今回の興行。
カードはやや地味な感じもありましたが、終わってみれば8試合中5試合がKO劇。
興行時間もよくまとまっていて(2時間半)、好感を持ちました。

正直、興行的に大当たりだった…とは思わないんですが、
逆に言うと、普通の興行でもこれだけのクオリティーを維持できるのかなぁ…と。
何というか、全日本キックにはハズレ興行がなくていいですね。


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以上、長文失礼。




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