5/5 ZST Zepp Tokyo興行 観戦記
■団体:闘龍門
■日時:2004年5月5日
■会場:ZEPP TOKYO
■書き手:高倉仮面

16:30
りんかい線にて東京テレポート駅に到着。
そのままZepp Tokyoへ。今日は久々のZST観戦である。

しばらく観ないうちに色々とあったZST。
…って、まあ、僕自身がしばらく観てなかっただけなのだが。

2003年11月23日と2004年1月11日にかけて行われたZST GP。
ZST最強を決定すべく開催されたトーナメントは、
小谷 直之、所 英男、矢野 卓見、今成 正和の「ZST四兄弟」が揃って二回戦敗退する大波乱。
優勝したのは柔術歴23年、ホイラー グレイシーをも破った実績のあるマーカス アウレリロ。
前評判で"本命"と謳われていた男は評判通りの実力でZST GPを制した。

2004年3月7日に行われたGT-Fは寝技限定のトーナメント。
迫り来るサンボ軍団を連破し優勝したのは、大穴・所 英男。
ZST GPで「ZST四兄弟」から優勝者が出なかった事を思えば、これは今後の興行に繋がる好材料だっただろう。
だが、一回戦で若林 次郎に敗退した今成 和正が、判定結果を不服として矢野 卓見と共にZSTを離脱。
興行の中核をなしていた『チーム イリホリ』の二人の離脱は大きな痛手と言えよう。

そんな中で迎えた本日のZST興行はダブルメインイベント制。
GT-F優勝の「小さなヴォルク ハン」所 英男は「小さなミルコ」レミギウス モリカチュビスと、
「ZSTのエース」小谷 直之は「ZST GP王者」マーカス アウレリロと対戦。
切り札のカードを惜しげもなく提供、『イリホリ』の抜けた穴は埋めれるのか?

とりあえずチケット購入、A席5000円を払って会場入り…高い。
正直、僕の足が遠のいていたのは、このチケット代が理由な訳だが。
本当は事前にチケットを買えば良いのだろうがねぇ(当日券は1000円増し)。
ちなみに立見席も5000円。もう少し何とかならないものか?

16:35
会場入り…と同時にパンフレットが手渡される。
凝った作りではないものの、必要な情報は凝縮されていた。
500円位で売っていてもおかしくない内容だ。
まあチケット代がやや高めなので、
これくらいのサービスは当然のような気もするが。

Zepp Tokyoについてだが…本来はライブハウス。
ドリンクカウンターやDJブースがあるのだが、
それを利用してなのか会場内には常にトランスの曲が流れている。
照明は暗めに抑えて赤と青の光で演出、壁にはライトで「ZST」の文字。
「格闘技の会場」というよりは「トランス系クラブ」のノリだ。


◎Zepp Tokyo(公式HP)
http://www.zepp.co.jp/tokyo/

◎ZSTの中でかかるトランスの曲はこんな曲(ZST 公式HPより)
http://www.alternative-dragoon.com/zst/music.html

どうやらアーティストと提携しているらしい。

…とはいえZSTは格闘技イベント、会場の中央にはちゃんとリングが鎮座している。
そのリングを囲むようにイス席があるのだが、ヒナ段の要素はまるでナシ。
「これでは後ろの席の人は観づらくてかなわん」のだが、
そこはステージ中央の大型モニターでフォロー。
ステージからリングまでは花道を設置、長くもなく短くもなく。
500席近い客席は本戦前のジェネシスバウト(前座試合)の時間なのに満員御礼。

で、僕が入ったときには既にジェネシスバウトの第一試合が開始されていた。
それにしても、今日のジェネシスバウトって九試合もある。
ちょっと多すぎじゃないか? 進行とかって大丈夫なのか?

---

ジェネシスバウトは九試合もある上、前座扱いなので一言のみ。

---

ジェネシスバウト 第一試合 フェザー級 5分1R
△藤沢 卓也(U-FILE CAMP町田)
△大島 信哉(GRABAKAジム)
[判定なし]
全く記憶になし。


ジェネシスバウト 第二試合 ウェルター級 5分1R
○清水 祐輔(RIKI GYM)
●伊藤 有起(G-スクエア)
[2分47秒 三角絞め]

清水、ヒザ蹴りからの三角絞め。大変に鮮やかでした。


ジェネシスバウト 第三試合 バンタム級 5分1R
△佐藤 直登(ストライプル)
△中村 浩(ロデオスタイル & パレストラ東京)
[判定なし]

これまた記憶になし。

ジェネシスバウト 第四試合 ライト級 5分1R
△奥出 雅之(フリー)
△富山 浩宇(P's LAB東京)
[判定なし]

またまた記憶なし。


ジェネシスバウト 第五試合 ライトヘビー級 5分1R
○渡辺 悠太(G-スクエア)
●西川 享助(禅道会小金井道場)
[13秒 腕ひしぎ十字固め]


ヌボーと大きい西川をあっという間に逆十字。
ホントに何だかわかんないまま渡辺の勝利。


ジェネシスバウト 第六試合 ウェルター級 5分1R
○高屋 祐規(SKアブソリュート)
●川村 剛(GRABAKAジム)
[3分34秒 腕ひしぎ逆十字固め]
※レフリーストップ扱い


折れるぞ、最後の逆十字!! 腕が「へ」の字になってたし…。
川村にはレフリーが止める前にギブアップして欲しかった。


ジェネシスバウト 第七試合 ヘビー級 5分1R
△折橋 謙(フリー)
△小澤 幸康(TEAM-KAZE)
[判定なし]


懐かしい! プレミアム チャレンジでクリストファー ヘイズマンに挑戦した小澤が久々の登場!!
言いたいのはそれだけです。グラウンド中心の攻防でした。


ジェネシスバウト 第八試合 ライト級 5分1R
△堀 友彦(フリー)
△上原 力(フリー)
[判定なし]


やっぱり記憶になし。


ジェネシスバウト 第九試合 フェザー級 5分1R
△宮川 博孝(チーム アライアンス)
△西 哲也(バトラーツ B-CLUB)
[判定なし]

何となく西が頑張っていた記憶アリ。

---


17:35
ジェネシスバウト終了…いや〜、早かった!
5分1R制なのも進行が早かった理由の一つなのだろうが、
何せ勝敗がついたらすぐに次の選手が入ってくるので、
観る側にしてみれば試合後の余韻もヘッタクレもない状態。
まあジェネシスバウトは前座扱い、このシステムは主催者側には都合が良いかもしれないが…。
もう少しインターバルは置けなかったのか?

そして、試合中もずっとトランスのBGMが鳴りっ放し。
リズムパート中心の音楽だったので試合中はあんまり気にはならなかったが…、
音楽のリズムが「進行のせわしなさ」を演出していたのは確かだと思う。
いくらZSTが音楽に力を入れている団体だとはいえ、
もう少しゆっくりさせてはもらえないのか?


…なんて思ってたら、もう本戦開始らしい。
「早っ、メッチャ早っ!! 何でこんなにテキパキしてるの!?」と感じながら観戦開始。

---

◎ZSTルール
PRIDEと比べてこんな所が違います。
・グラウンドの顔面打撃は反則
・膠着ブレイクが異常に早い
・下からのクロスガードが禁止
・パットを着用しないと、ヒジ攻撃、ヒザ攻撃が反則
・判定はなし。時間切れは引き分けになる
・5分2R + 3分1Rの3R制

---


第一試合 ライト級 5分2R + 3分1R
○ダリウス スクリアウディス(176cm/70kg/リトアニア)
●宮野 孝裕(175cm/72kg/宮野道場)
[1R 1分24秒 KO]
※飛びヒザ蹴り

他流派の大会に出場しては次々に優勝を重ねる天才空手家、宮野 孝裕。
新極真会、白蓮会館、拳武道会館が開催する大会で結果を残している。
2003年8月にはJ-DOにも参戦。得意技は飛びヒザ蹴り。
対するはキックボクシングでは母国リトアニア内では無敗を誇るダリウス スクリアウディス。
ここまでの対日本人戦では、常に相手を打撃で圧倒しながらも勝ち星には恵まれない。 ZST初参戦となる今日は、きっちりと勝ちたいところだ。

試合開始、ダリウスがワンツーで前に出て宮野に圧力をかける。
宮野も回し蹴りや上段蹴りで対抗するもダリウスの勢いに押され気味、
ミドルキックを喰らってスリップダウンしてしまう。

これで勢いに乗ったダリウスは更なる打撃で宮野を圧倒、
最後はやや離れた距離から不意に放った飛びヒザ蹴り。
モロに喰らった宮野が崩れ落ち、レフリーがKOを宣言、試合終了。
ダリウスが対日本人でようやく自分自身の実力通りの結果を残す事に成功した。

ダリウスはさすがに「顔の怖いレミーガ」と言われるだけあって打撃は強そうだった。
だが今日の試合展開では、全ては実力を見たとは言えんわな。寝技への対応力が気になる。

ちなみに本戦でも試合中はトランスのBGMが鳴りっ放し。
ついでに選手紹介映像も選手の入場曲も全部トランス。徹底してるな、ZST。


第二試合 ウェルター級 5分2R + 3分1R
△花井 岳文(173cm/74kg/Twist)
△佐東 伸哉(177cm/69kg/P's LAB東京)
[判定なし]

「真 足関節十段」こと花井 岳文、離脱した今成 和正と同じキャッチコピー、顔は中々に男前。
だがZSTプロデビュー後は2戦1敗1分と不本意な戦績。今日はプロ初勝利となるか?
対するは…プレミアム チャレンジ以来のような気がする佐東 伸哉。
「ハイブリットこんにゃくレスラー」の異名を持ち、掴みどころのない試合運びが特徴だ。

選手紹介映像では全くキレのないボー アンド アロー、スクールボーイ、619を決めていた。
…これって、本来は離脱した矢野 卓見の仕事だよなぁ。佐東で穴を埋める気か?

1R、佐東がいきなり打撃ラッシュ、ワンツーからのヒザがヒット。
対する花井、佐東に組み付かれながらも足を捕っての足関節技狙い。
ヒールホールドがガッチリ極まった、ように見えたが…脱出される。
逆に佐東は脱出の勢いで上になり、亀になる花井のボディにヒザを入れる。
花井はガード ポジションに移行して防御、佐東はここからパスガードを狙うが…、
結局は花井に立たれてしまった。

両者スタンド、ノーガードで花井に突進していく佐東。
花井はしゃがみ込んでカウンターの足関節技を狙っていくも、
佐東はこれをガブると亀になる花井の上になって足で腕を極める。「腹固め」を思わせる体勢だ。
で、これがムリと見るや今度はバックを奪ってスリーパーを狙う…が、花井に逃げられてしまった。
花井は逆に上になり、ガード ポジションの佐東の尻にヒザを打ち込んでいく。
そしてパスガードを狙って中腰になるが、佐東もすかさず立ち上がる。

花井のタックル、佐東がガブる。またまた花井は亀の体勢、佐東はボディにヒザを打ち込む。
この後は展開なく両者スタンド、佐東のキックを花井がかわし逆に倒したところで1R終了。

グラウンドの顔面パンチ禁止、クロスガード禁止、膠着は即ブレイク…のルールでは、
インサイド ガードで上になっても、大きなメリットってないのか。
現に、両者共にインサイド ガードになってもすぐに中腰になってパスガード狙っていくし。

2R、佐東が前に出ようすると、そのカウンターで花井のストレートがヒット。
ダウンする佐東、花井は上になってボディへパンチを打ったり、
立ち上がってローキックを放ったり、ブレイク。
佐東は再び打撃で押し込むも、花井は組み付いてきた佐東から逆にテイクダウンを奪う。

インサイドガードの体勢から立ち上がりローキック、ブレイク。
またまた佐東は自ら前に出て組み付くも、花井はこれを潰す。
亀の体勢になる佐東の上になった花井だが佐東は腕を捕っている状態、ブレイク。
…ぬぬぅ、ZSTは相変わらずブレイクが早いねぇ。

ここで佐東が打撃で勝負。花井に組みついてのヒザ蹴りを連打、花井はパンチを返していくが、
佐東はスローでだらしのない右ぶん回しパンチでフェイントを掛け、続けざまに放つ素早い左ストレート。
これが花井の顔面にヒット。怯む花井に向かって突進して打撃を連打する佐東。
こんにゃくファイターの本領発揮…だったが、コーナー際で組み合ってしまい、ブレイク。

佐東、動きが緩慢。ややスタミナ切れか。それでも花井に組み付いていく…が、
花井はこれを崩してインサイド ガードで上になり、ボディへのパンチやローキック。
パスガードを狙って中腰になる…も、佐東は逆に体を起こして花井をガブる。
亀の体勢の花井、佐東はボディにヒジを入れたり腕を捕ろうとしたり、ブレイク。
バテバテの佐東、それでも打撃を繰り出す。パンチとヒザで花井を圧倒。
だが花井もパンチを返すと、佐東を亀にしてバックを奪う…何も出来ずブレイク。
花井の浴びせ蹴り、佐東のタックルが出る中、2Rは終了。

佐東も疲れてきているが、ここに来て花井も疲れている様子。
そしてブレイクだけが重なっていく試合展開…やや退屈だ。

3R、1R・2Rは5分あるがこのラウンドは3分。
佐東は相変わらず打撃から組み付きにいき、花井はカウンターの足関節技狙いでしゃがむ。
で、佐東は花井を潰し亀にしてバックを奪う。花井が体の向きを変えてガード ポジション、
佐東はインサイド ガードから中腰になってボディへパンチを落とすが、
ここで花井は佐東の足を捕ってヒールホールド。だが極められずブレイクに。

花井、またしても浴びせ蹴り、失敗。
佐東突進、花井はしゃがんでカウンターの足関節狙い、佐東がこれを潰す。
亀の状態の花井、佐東はボディにヒザを入れつつ腕を捕って腕ひしぎ逆十字を狙う…が失敗。
これを見た花井が足を捕って足関節技を狙う…失敗。
両社スタンド、花井が打撃で佐東に向かっていく中、試合終了。

判定は…って、ZSTには判定が存在しないのでドローである。
花井の足関節を狙うが故の露骨なカウンター待ち、佐東のスタミナ切れ…。
そして何ともキレのない試合展開。両社共に攻め手もスタミナも増やして欲しい。


第三試合 フェザー級 5分2R + 3分1R
○大石 真丈(171cm/68kg/K'z FACTORY)
●内山 貴博(169cm/68kg/総合格闘技武蔵村山道場)
[1R 4分31秒 腕ひしぎ十字固め]

「奥多摩の男」内山 貴博、4月4日に行われた「BUSHIDO」リトアニア大会では、
第一試合に出場したダリウス スクリアウディスと対戦、
打撃でKO寸前にまで追い込まれながらも大逆転の三角絞めで勝利を手にした男だ。
対するは第二代修斗世界フェザー級王者…ながらもZSTでは戦績を残せず、
今回は「ジャッカル」の名を「縁起が悪い」と捨てた大石 真丈だ。

試合開始。両社は打撃から組み付き、大石がテイクダウンして上になる。
内山は下から逃げようとするが、ここは大石がパスガード、サイドを奪う。
…のだが、ここから大石は技を仕掛けられず、ブレイク。
例えパスガードして優位なポジションを奪っても、
そこで動きが止まったらブレイクになるのがZSTルールの恐ろしいところである。

両者スタンドからの打撃戦、不意に内山が飛びつくてダッコちゃん状態に。
大石がこれを落として試合はグラウンドへ。
上になった大石は中腰になって様子を伺い、パスガードしてサイドを奪う。
内山は逃げるが、大石はその足を捕って足関節技狙い。

ピンチの中、何とか足を抜いた内山、だが大石は相変わらず上の体勢をキープ。
そして再びパスガードしサイドを奪い、今度は上からの三角絞め。
ガッチリと極まって内山は万事休す…だったが、何とか体勢を崩す。
と、今度は大石、腕ひしぎ逆十字に移行、これまたガッチリと極まった。
必死にもがいて粘る内山だったが、大石は腕を折らんばかりに「へ」の字に曲げる。

これを見たレフリーが試合をストップ。

正直、あんなに「ヘ」の字になる逆十字なんて見たくない…というか。
我慢すればよい…というものでもないし、内山には早くタップして欲しかった。
それにしても、実力差がありすぎて大石の真の実力が今一つ伝わらない試合だった。


第四試合 ライト級 5分2R + 3分1R
○所 英男(170cm/65kg/STAND)
●レミギウス モリカビュチス(168cm/65kg/リトアニア)
[1R 3分30秒 三角絞め]

ダブルメインイベントの第一試合として行われるこの試合は、
2003年6月1日に行われた試合の再戦である。
この時は、レミギウス モリカビュチスが所を失神KOへと追い込んでいる。

ZSTで化けた男、「小さなヴォルク ハン」所 英男。
腕ひしぎ逆十字固めという得意技を得て、ZSTでの戦績を順調に伸ばす。
寝技限定のトーナメント・GT-Fでも優勝、勢いに乗る所がリベンジ戦に挑む。
ちなみに入場曲は…以前はBilly Joelの「The Stranger」を使っていたが、
これは「ZST内音楽、トランス系で統一」の波に呑まれてしまっていた。
残念だ。あの曲は好きだったし、所の雰囲気に合っていたと思うんだが…。


「小さなミルコ」レミギウス モリカビュチス。ZSTでは打撃の嵐でKOの山を築いているが、
ZST GPでマーカス アウレリロに敗れてからは寝技も練習しており、
「BUSHIDO」リトアニア大会では現役コマンド サンボ王者を相手にフロントチョークで一本勝ち。
更なる成長を遂げたレミーガ(通称)が返り討ちを狙う。

試合開始。所は打撃を得意とするレミーガに果敢に打撃で対抗。
自ら組み付くと、足を捕ってヒールホールドを極めにいく。
倒されたレミーガ、くるくると所ごと回転して足を抜こうとするも、
所はガッチリと足を捕って離さない。この様子を見た観客からは歓声が沸く。
…が、結局はレミーガが足を抜き、ブレイクに。
だが観客は所を応援してこの攻めを支持。

両者スタンド。レミーガのパンチがヒット、スリップする所。
これを見たレミーガは怒涛のパンチの嵐から所に組み付いていくが、
所はまたしても足を捕っての足関節技狙い…極められずブレイク。

再び両者スタンド。所、不意に裏拳。レミーガはこれをかわすと、ハイキックからヒザ蹴り。
だが所はこれを食らいつつもキャッチして引き込み、下からの腕ひしぎ逆十字へ。
今度こそ極まるか…と思ったが、レミーガはこれを持ち上げてリングに叩き付けた。
う〜ん、攻防が典型的な「打撃系選手」vs「寝技系選手」だなぁ。

で、またまた両者スタンド。レミーガ、またしてもヒザ蹴り。
これを再び所がキャッチして、今度はレミーガをテイクダウンする。
インサイド ガードからニー オン ザ ベリーを経てパスガード、
一気にマウントを奪った所は上からの三角絞め。これがガッチリと極まった。
極まってからも、長い事、色々と粘っていたレミーガだったが…ついにタップ。
所、強豪相手に一本勝ち、と同時に、リベンジ成就である。


これまではややおとなしめだった観客、
この時はスタンディング オベーションと大歓声で所の勝利を祝福する。
本人もセコンドに担がれながらガッツポーズでリングを一周していた。

う〜ん、しばらく観ないうちに強くなったなぁ、所。
これなら、正直、寝業師との対戦が観たい。


第五試合 ライト級 5分2R + 3分1R
○マーカス "マキシマス" アウレリロ(178cm/70kg/アメリカン トップチーム)
●小谷 直之(173cm/71kg/ロデオスタイル)
[2R 3分34秒 レフリーストップ]
※右まぶたのカット

ダブルメインイベントの第二試合は、「ZSTのエース」vs「ZST GP王者」。
プロデビュー以来、KOK時代を含めてZSTでは無敗を誇っていた小谷だが…ZST GPにてついに敗北。
だが総合系シングル戦での戦績、14戦12勝1敗1分11一本勝ち…は伊達じゃない。
顔はあどけなくても「ZSTのエース」を実践し続けた実力で「ZST GP王者」に挑む。

ZST GPにて修斗のタクミ、レミーガ、今成…等を倒して王者となったマーカス アウレリロ。
ヒカルド リボーリオやマーカス "コナン" シウヴェイラを師匠と仰ぐ柔術家である。
ちなみにこの人、今日の試合を最後にZSTを離脱する…という噂も。

1R、両者共に距離を置いていたが、アウレリロが不意に打撃でプレッシャーをかけつつ小谷に接近、
小谷は逆にテイクダウンして上になるが、アウレリロは下から腕をカンヌキに極めて小谷に何もさせない。
更には下からの腕関節技狙い、嫌がる小谷が立ち上がったところに襲い掛かり、グラウンドで上になる。
下になった小谷は首を捕るも、アウレリロはこれを抜いて中腰の状態、パスガードを狙う。
だが小谷は下から足を使ってこれを防御するとすかさず立ち上がる。

両者スタンド、小谷はパンチを繰り出してプレッシャーをかけると、これが数発ヒット。
嫌がるアウレイオはタックル、小谷はこれを潰し…両者の組み合い状態が続く。
ここで小谷は競り勝ちアウレイオをテイクダウン、ハーフマウントで上になる…が、
アウレイオは下から小谷の腕を捕り、足は小谷の足をロックしてガチガチの防御。
この状態では試合の展開が望めるわけもない…と思っていたら。

ここでブレイク、ただのブレイクではない、ドクターがエプロンに登っている。
チェックを受けたのはアウレイオの方、目尻から流血していたのだ。
恐らくは小谷のスタンドパンチが当たった時に切れたのだろう。

とりあえずは問題なしで試合再開。
アウレリロ、打撃から組み付きテイクダウンを狙う…が、ここは小谷が逆にアウレイオを潰す。
そして三角絞めを狙う…が、アウレリロはこれを返して上になり、
ハーフマウントからパスガード、サイドの体勢。
小谷は再び三角絞めを狙うが、アウレリロはこれを潰してガッチリとサイドをキープ。

ここで1R終了。アウレリロはグラウンドでの攻めが堅い堅い。
何だかこの人だけ別なルールで闘っているような印象さえ受ける。
こんな選手から一本勝ちするのは至難の技だろう、小谷は厄介な相手を迎えたなぁ。

2R、小谷はいきなり飛びかかり、アウレリロに組み付いてテイクダウンを奪う。
だがアウレリロ、下からガッチリとホールディング、小谷に何もさせない。
そんな中でもアウレリロの首を捕ったり、中腰からハーフマウントになったりして
、 何とかアウレリロの堅い守りを崩そうとするのだが…色々と狙いすぎた、結局はアウレリロに逆転される。
アウレリロはインサイド ガードから小谷の尻にヒザを入れていく…が、ブレイク。

両者スタンド、アウレリロはハイキックを繰り出し、小谷は積極的に組み付いてテイクダウンを奪う。
インサイド ガードの体勢になった小谷…だが、アウレリロは下から腕をカンヌキに極めて何もさせない。
堅いアウレリロの防御、小谷は仕方なく立ち上がり、アウレリロもまた立ち上がる。 で、両者はパンチを交差させながら組み合うが…。

またまた試合がストップ。今度は両者が出血のようだ。
パンチによるものなのか、何かバッティングのようなアクシデントがあったのかはわからないが…。
で、ここで出血が激しかったのは小谷の方、しかもドクターは試合を止めたがっているようだ。
会場には不穏な空気が流れたが…しばらく待った挙句、結局は無事に試合再開。観客からは歓声が揚がる。

両者パンチから合戦から組み合い、ここはアウレリロがテイクダウン。
…とここで小谷、再び流血。会場内から「ああ…」という溜め息が漏れる中、
アウレリロはハーフマウントから肩固めのような体勢で小谷の首を極めにかかる…が、ここでブレイク。
と同時に、立ち上がって悔しがる小谷、それをなだめるレフリー、喜ぶアウレリロ陣営。
流血によるドクター ストップでアウレリロの勝利が決定した瞬間だった。

この後、レフリーを担当した和田 良覚氏がレフリーストップまでの経緯を説明。
小谷の流血は、2R一回目のドクターチェックの時点で既に酷かったらしい。
「もう一度流血したら躊躇なく試合をストップする」との約束での試合再開、そして再出血…。
レフリーストップは妥当である事を強調する和田レフリー、観客もこれには納得。

ベルトを誇示して勝利を喜ぶアウレリロがマイクを持つ。

「まず、ファンの皆さん、小谷選手、ありがとうございます。
 そしてコーチの方々、アメリカン トップチームの方々に感謝します。」

…と言うわけで、今日の興行は終了。
終わってみれば本戦は1時間半、ジェネシスバウト9試合の時間を合わせても2時間半という大変に短い興行。
普段、キックボクシングを観ている僕にとっては脅威の短さである。

---

雑感:
ZSTは一般にいわれる「総合格闘技」とはもはや別物の競技になったようです。
やはり「クロスガード禁止」が競技にもたらした影響は大きかった。

とにかく、以前にも増して攻防が入れ替わるのが早く、しかも膠着ブレイクも早い。
タダでさえ試合時間も短いのに、今日は1R決着続き、試合中もずっとトランス系のBGMでスピード感を演出。
…何となく落ち着かない印象を持ちました。もう少しノンビリしたい気もする、と言うか(苦笑)。

それにしても、興行全体で使用する音楽をトランス系で統一…クラブ的なノリを演出したいのなら、
リズムの良いBGMを鳴らしながらも客を座らせているのは、ちょっと矛盾している気がします。
もっと狭いハコで、客席なんかつくらずにオールスタンディング…くらいの方が「らしい」と思うんですが。
会場全体には統一感がありながらも、演出方法と「格闘技観戦」という根本的なところで矛盾を感じました。

いずれにせよ…。
既存の「総合格闘技」という括りから一歩飛び出したルール、
既存の「格闘技観戦」という常識を破ろうとする演出、そしてその矛盾点…etc。
これらを内包した「ZST」という興行がどこへ向かっていくのか?
個人的には非常に興味が出た興行でした。

---

以上、長文失礼。




本稿の著作権はすべてKANSENKI.NET及び「書き手」に帰属します。

戻る
TOPへ