4/18 SB 後楽園ホール興行 観戦記
■団体:SB
■日時:2004年4月18日
■会場:後楽園ホール
■書き手:高倉仮面

18:25
後楽園ホールに到着。
本日はSBの観戦である。
今日のSBの興行のウリは「SB日本人戦士 vs 外国人王者、全面戦争」。

アンディ サワー、シェイン チャップマン、ダニエル ドーソン…といった選手達が猛威をふるい、
彼らの前に日本人選手達が敗れていく中で「外国人天国」という呼び名を付けられてしまったSB。
今日の興行にもニュージーランド、オーストラリア、オランダ、そしてアメリカの格闘技王者が登場。

シーザー会長がS-CUPの開催を前に日本人選手たちに試練を与えたのだ。
迎え撃つのは、緒形 健一、後藤 龍治、小次郎、そして歌川 暁文を加えた四人。
彼らに負けは許されない。日本人の敗戦が続けばS-CUPの開催どころではなくなってしまうからだ。
非常にわかりやすい図式となった本日の興行、四人の日本人は「日本最弱」を払拭できるのか?
それとも、海外王者達が「外国人天国」に拍車をかけるのか?

…というわけでチケット購入。いつも通りの立見席、3000円也。
安いなぁ、SBの立見席はホントに安いなぁ。

18:30
会場入り。
いつもどおりパンフレット購入、1000円。
内容は選手紹介、試合の見所、シーザー会長の談話、
ジョーダンズ・三叉のSBアマチュアデビュー話…等。

パンフレットの中から、三叉のデビュー戦について記述。
体を動かす事が好きな三叉は、最近はシーザージムとU-FILE CAMPに通っていたそうな。
で、練習しているからには試合にも…という単純な動機でSBアマチュアデビューを決意。
試合が始まってからは無我夢中で闘い対戦相手にバックドロップやサイドスープレックスを決めるも、
「SBのアマチュアルールは後ろに投げるのは反則」、結局は2−0で判定負けした。
…っていうか、凄いな。サイドスープレックスで投げるのなんて難しそうだが。

パンフレットを読みつつ立見席へ移動。今日は東側2F。
ざっと会場を見渡したところ、観客の入りは8割〜9割。まあ、満員といえるだろう。

と、ここで場内アナウンス。

「次の第三試合に出場いたします……」

「へっ!? 第三試合っ!? 何でよっ!?」と思って調べてみると…、
今日の興行は17:30の開始である。自分自身の間抜けさ加減を悔やみつつ観戦開始。

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●ルールについては、基本的には「K-1」と同じですが、
以下の点が「K-1」と違います。

・組みついてからの膝攻撃は何発でもOK

・投げがOKである
(有効な投げはジャッジ時の点数にもなる。後方から投げた方が点が高い)

・立関節がOKである
(有効な立関節はジャッジ時の点数にもなる。後方から極めた方が点が高い)

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第一試合 フレッシュマンクラスルール スーパーウェルター級 3分3R
○太田 義昭(シーザージム)
●高橋 英幸(仙台青葉ジム)
[判定 3−0]


第二試合 フレッシュマンクラスルール フェザー級 3分3R
○石川 剛司(シーザージム)
●武士(仙台青葉ジム)
[1R 0分45秒 KO]
※ヒザ蹴り


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第三試合 フレッシュマンクラスルール スーパーウェルター級 3分3R
○鈴木 雅史(182cm/67.7kg/風吹ジム)
●NIIZUMAX!(171cm/89.4kg/クロスポイント吉祥寺)
[判定 2−1]
※1R、鈴木は前方への投げによるシュートポイント1

ん!? この鈴木 雅史って…以前、U.W.F. スネークピットジャパンにいた鈴木かねぇ?
風吹ジムに移籍したのかな? それとも別人かな?

さて試合。序盤から両者は組んでからの投げを放つ。
ポイントをとったのは鈴木、1R終盤に鮮やかな首投げで1P奪取。
これでムキになったNIZUMAX!は尚も投げを狙うが、強引すぎて2Rにはスタミナ切れ。
鈴木はローキックで蹴り続ける手堅い攻め、1Pの差を守ろうとする。

3R、ポイント差を挽回すべくNIZUMAX!がとにかく攻めまくる。
飛び蹴りやニールキックを放ち、組み付いて…バテバテの体力では相手を投げきれない。

それでも何度も何度も向かうNIZUMAX!、鈴木は気迫に押されたのか攻めが消極的に。

ラウンド終盤にNIIZUMAX!が負傷。
ドクターである中山 健児氏がエプロンに登ろうとするが…ステップを踏み外して大きく転倒。
騒然となる会場、ドクターが負傷してどうする。

試合終了、判定は1Rのシュートポイントが功を奏し、
2−1のスプリットながらも鈴木が勝利。


第四試合 フレッシュマンクラスルール ヘビー級 3分3R
○渡邊 和則(183cm/80.9kg/龍生塾)
●高橋 渉(172cm/79.5kg/高田道場)
[判定 3−0]
※2R、高橋にダウンあり

「相手に組み付ついて、投げを狙ってばかり。
 打撃のガードが疎かなのも手伝って2R中盤にはスタミナ切れ、あとは殴られまくり」

…というのが今までの高橋 渉のイメージだったが、この試合では進歩を見せた。

1R、以前より少し体を引き締めた高橋は、積極的に前に出てワンツーとローキック。
渡邊はリーチ差を生かすべく自ら後ろに下がりながらの蹴りで対抗するが、
ガンガン前に出てパンチを連打する高橋を前に押され気味。

勢いにのる高橋だが、二度に渡るローブローの勇み足。
それでもパンチを出しつつ片足タックルを敢行したりでペースを握っていたが…。
終盤、攻め一辺倒でガードの甘くなった高橋の顔面に渡邊のフックがハードヒット。
一発で怯む高橋。この後、渡邊のパンチのラッシュをガードできずダメージを蓄積。

1R終了。高橋は試合を押し気味に進めていただけに勿体ない。
2R、高橋は1Rの失点を挽回すべくガンガン前に出てワンツーを連発。
これに対して渡邊もパンチを返していき、試合は乱打戦へと突入。
優位に立ったのは高橋、ワンツー、ヒザ、フック等が次々にヒット。
やや一方的な展開になりつつあったが…。

渡邊が苦し紛れに反撃のストレートを放つと、これが顔面にカウンターでヒット、
効いてしまった高橋は一発でダウン。何とかカウント8で立ち上がったが…またしても勿体ない。

渡邊はトドメを刺すべく前に出てワンツーを放つ…と、
突然、このパンチをマーク ハントばりに顔面で受け止める高橋。
殴られながらも気合を入れる姿に観客から歓声が揚がる中、高橋はパンチを返していく。

試合はノーガードの殴り合いに発展。何だか凄いな。

3R、旗色は悪くともガンガン前に出てワンツーを繰り出す高橋、
対する渡邊はカウンターのパンチを入れていく。
両者は序盤から積極的に殴りあったが、中盤以降、共にスタミナ切れ。
それでも二人はヘトヘトになりつつも試合終了までひたすら殴り合いを続けていた。
で、ここでも押していたのは高橋だった。つくづくに勿体ない。

試合終了、判定は2Rにダウンを奪った渡邊が3−0で勝利。
しかしながら、高橋の攻めも非常に良かった。
まあ、ガードはもう少し固めた方がいいとは思うが。


第五試合 フレッシュマンクラスルール スーパーバンタム級 3分3R
○今井 教行(165cm/55.3kg/シーザージム)
●伊豆丸 正人(165cm/55.7kg/寝屋川ジム)
[判定 3−0]
※1R、今井は立関節によるシュートポイント1

僕がSBを観戦し始めた頃から前座戦線で闘っている今井、
今日は何故かノリがいい。何か良い事でもあったのだろうか?

で、試合なのだが…相性が悪いのかなんなのかは知らないが、
試合全般において、両者は組み合っての細かいヒザ蹴りを繰り出すばかり。
離れてもすぐにくっついてしまう両者の試合に観客は退屈気味。

そんな中、試合をリードしたのは今井。
1Rは首を捕ってのフロント チョークで1P奪取。
2Rではハイキック、飛び蹴り、裏拳、ソバットを放ち、
3Rには首投げ、飛びヒザ、ミドルキックを繰り出して優位性をアピールしていた。
…とはいえ、これらの打撃は単発。出した直後にはもう組み合っている状態。
う〜ん、やっぱり退屈だ。

判定は、試合全体をリードし1Rでシュートポイントを奪った今井が3−0で勝利。


第六試合 フレッシュマンクラスルール スーパーウェルター級 3分3R
○菊地 浩一(175cm/66.5kg/寝屋川ジム)
●狩野 治武(178cm/65.1kg/仙台青葉ジム)
[1R 2分37秒 KO]
※左ストレート

菊地 浩一はこれまでの戦績が4戦4勝4KO。
ZST出場も期待されていた前田 辰也がジムから姿を消している現在、
寝屋川ジムが彼にかける期待の大きさは想像に難くない。

試合開始、菊地はローキックやミドルキックで狩野を蹴っていくのだが…重さが半端でない。
バッシーン!! バッシーン!! という物凄い音に観客は騒然。
この勢いに押され気味の狩野の方も、これまた重いミドルキックを返していくのだが…。
1分が過ぎたあたりで菊地のワンツーが顔面に入ってしまいダウンを喫する。

なんとか立ち上がった狩野は重いミドルキックを返すが…、もはや実力差は歴然。
菊地は重たいローキックの連打からワンツーのコンビネーション、狩野の動きは鈍り、顔面は赤くなる。
最後は狩野のアッパーに合わせてカウンターの左ストレート。
狩野は崩れ落ちようにしてダウン、そのまま立ち上がれずに試合終了。

…っていうか、菊地はフレッシュマンクラスの器じゃないだろ、コレ。
早いところエキスパートクラスで闘わせた方が本人のためにもなるんじゃないのかなぁ。


第七試合 エキスパートクラスルール スーパーフェザー級 3分5R
○歌川 暁文(169cm/60kg/U.W.F.スネークピット/SB日本 Sフェザー級 四位)
●ソーン バナスィー(170cm/59.6kg/ニュージーランド/ファイブ リングス ドージョー
                /HKMTCニュージーランド Sフェザー級 王者)
[4R 0分52秒 KO]
※ボディブロー連打による

ここからは「SB日本人戦士 vs 外国人王者、全面戦争」。
第一試合にはSフェザー級の新生が出場だ。

歌川 暁文は元U.W.F.インターナショナルの大江 慎を師匠とし、
左ミドルキックを武器にデビューから一年でこの階級のランカーになった男だ。
今年2月1日の試合ではSフェザー級 一位の及川 知浩に苦杯を喫したが、立ち止まる訳にはいかない。
今日は初の国際戦。Sフェザー級 王者の松浦 知希を追い詰めたソーン バナスィーから勝利できるか?

1R、歌川は得意の左ミドルキック、ワンツーでバナスィーを攻める。
対するバナスィーもワンツーやハイキックを返していく、打撃は中々の重さ。

お互いの打撃が交差する中、試合をリードしたのは歌川。
コーナー際でハイキックを繰り出してバナスィーを追い詰めてのワンツーと左ミドルキック、
バナスィーはローキックを連発してくるが、歌川は再び左ミドルキックからのパンチのラッシュ。
ラウンド終盤にはバナスィーの鋭いフックをもらいながらも、
相手をハイキックでコーナーに追い詰めてパンチとヒジ打ちでバナスィーにダメージを与える。

1R終了。一進一退ながらも歌川が優位に試合を進めている。
で、ラウンドガールが登場したが…これがPANCRASEのネーチャン達に負けないくらいのセクシーさ。
観客は大喜びで手を振っている。

2R、開始早々にいきなりバナスィーはジャンピング ハイキックからワンツーという奇襲を仕掛けたが、
これを捌いた歌川は得意の左ミドルキックでバナスィーを蹴っていく。

バナスィーはパンチで前に出て、歌川がこれに応え、試合は乱打戦に突入。
ワンツースリーのコンビネーションで歌川を殴るバナスィー、
これを凌いだ歌川は左ミドルキックで相手をコーナー際へと追い詰め、ワンツーのラッシュとヒザ蹴り。
離されても、左ミドルキックの連打で再び相手をコーナー際へと運んで、ヒジ打ちや中距離からの飛びヒザ。

押され気味のバナスィーは右ミドルキックを繰り出したが…不意に倒れる。
何かの拍子に右足を負傷したようだ。レフリーはダウンを要請、カウントが数えられる。

観客はバナスィーの負傷の原因がわからず困惑気味。

3R、開始早々に歌川は得意の左ミドルキックをハードヒットさせる。
これで戦闘意欲をなく…さないバナスィー、痛めた右で回し蹴りを2連発。
歌川はこれに応えるようにジャンピング ハイキック。派手な技の応酬に観客が沸く。

歌川はこのラウンドでは、
得意の左ミドルキックでバナスィーをコーナー際に追い詰めてから組み付き、
ボディへのヒザ蹴りやフックを多用。反対に防戦一方となるバナスィー、勝負の明暗が見えてきた。

4R、歌川が勝負に出る。いきなりワンツーのラッシュでバナスィーを追い詰める。
対するバナスィーも大振りなパンチやニールキックで一発逆転を狙うが、
これをすかした歌川は、これまで通り左ミドルキックの連打でバナスィーを後退させると、

コーナー際でボディへのヒザ蹴りを猛連打。

そして、このうち一発がレバーを打ち抜いた。
前のめりにダウンするバナスィー、かなり苦しそうだ。
レフリーがカウントを進めるが、とてもじゃないが立てそうにない。
結局そのままカウント10、歌川は初の国際戦で勝利を飾った。

強いなぁ、歌川。
フェザー級でありながら、あの左ミドルキックの破壊力は凄い。
前回の及川戦では終盤に威力が落ちていたものの、今日は改めてその強さを感じたよ。

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◎S-CUP 2004 開催

10分の休憩の後、
お馴染み「♪シィ〜ザァ〜ッ、シィ〜ザァ〜ッ!」と共にシーザー会長が登場。
お約束、休憩後のご挨拶だ。

「(観客の声援に)ありがとうございます。
 本日はご来場いただき、誠にありがとうございますっ!!(会場歓声)

 今日は皆さんにご報告がございます。

 1995年に初めて行ったSBの70kg級トーナメント「S-CUP」ですが、
 今年、また開催できる事になりました。
 これも、協賛スポンサーの皆様、そしてファンの方々の応援があったからこそです。

 場所は横浜文化体育館、日時は9月15日(日)に決定しました。
 皆さんの期待を裏切らないカードを組みたいと思います。
 多数のご来場、お待ちしております(会場拍手)。

 1985年、私はSBを創設しました。この年は日航機の墜落事件がありました。
 1995年、S-CUPを始めて開催した年には、阪神大震災がございました。
 2005年にはSBは20周年を迎えますが、S-CUPを開催する今年はイラクの紛争がございます。
 世の中は色々な事がございますが、20年目は大きく羽ばたいていきたいと思います。
 その為に、皆さんの応援が欲しいです。よろしくお願いします(会場拍手)。

 私自身の人生は、決して人に胸を張れるような人生ではありませんでした。
 そんな私ですが「格闘技」というものを通して「人生とは何か?」を学びました。
 私は自分自身で学んだものを、人生を賭けて若い選手に色々教えて行きます。
 応援、よろしくお願いいたします。ありがとうございましたっ!!(会場拍手)」

いよいよS-CUPの開催である。
出場選手については触れなかったが…、
シーザー会長の事だ、今回もいいメンバーを揃えてくるだろう。
個人的には、散打の強豪を是非リングに上げて欲しいね。

この後、シーザー会長の20年来の親友だという、
アテネ五輪・レスリング代表の富山 英明監督がリングイン。
花束を渡しつつ、シーザー会長についてのエピソード等について語ってくれた。
「雑誌での対談が縁で交流が始まった」「シーザー会長は地道にしっかりとSBを経営している」
「飲みすぎには注意して欲しい」「昔は二人で口では言えないような事も色々とやった」。

富山監督は最後に、
「オリンピックでは、男子・女子、合わせて5つのメダルを取りますっ!!
 皆様、ご指導・ご鞭撻の程、よろしくお願いしますっ!!(会場拍手)」
と高らかに宣言。こちらも期待である。

で、この後はシーザー会長、富山監督に加えて、
宍戸 大樹、土井 広之、そしてジョーダンズ・三叉がリングイン。
五人による扇子投げが行われた。この光景はすっかり恒例行事になったなぁ。

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第八試合 エキスパートクラスルール 71kg契約 3分5R
○小次郎(178cm/70.65kg/スクランブル渋谷/前WMC世界 ウェルター級 王者)
●シャノン F16 フォレスター
 (164cm/69.65kg/オーストラリア/ファイブ リングス ドージョー/WMCオーストラリア Sライト級 王者)
[判定 3−0]
※5R、小次郎は前方への投げ × 2によるシュートポイント2

「SB日本人戦士 vs 外国人王者、全面戦争」、
第二試合にはSB初登場となる小次郎が登場。

2003年11月18日に行われたK-1 MAXにて、SBではお馴染みダニエル ドーソンと闘った小次郎。
結果は判定で敗れてしまったのだが…小次郎としては何か手応えがあったらしく、
「これで俺も2004年の日本トーナメントに参戦できる」と思っていた。
そして来たる日の為に猛練習を重ねてきたのだが…結局、小次郎は選抜される事はなかった。
この事実に小次郎はかなり腐りそうになったそうなのだが…それを救ったのがSB。
「一時は引退も考えた」という男が、新たなるリングでの再出発に挑む。

1R、髪を金に染めた小次郎、
リーチ差を生かして距離をとりつつワンツーからのローキックで蹴っていく。
そしてフォレスターを掴んで巻き投げを決め、相手を倒した後は顔面にヒジをグリグリ。
講道学舎出身らしいエゲツない攻め…っていうか、倒した後の攻撃は反則である。

対するフォレスター、小次郎のパンチをスウェー、ヘッドスリップ、ダッキングを使ってかわす。
だがその後の反撃は、リーチ差が大きい為か中々小次郎にクリーンヒットしない。
本来は2階級下くらいで闘っているフォレスター、
テクニックがありながらも露骨な体格差に苦戦する姿はやや気の毒。

2R、ワンツーからローキックのコンビネーションを多用する小次郎。
フォレスターはボディブロー等で反撃するも、やはりリーチ差を克服できず打撃が単発に終わってしまう。
ペースを握った小次郎は、対角線コンビネーションに加えて投げやヒザ蹴りも使用。
ラウンド終盤、小次郎のローキックの連打が効いてきて、フォレスターの動きが止まる。
コーナー際でストレートがヒット、フォレスターが背を向けて逃げる。
小次郎はパンチのラッシュで一気に前に出る…が、フォレスターもパンチで応戦。

3R、一方的に試合を進める小次郎、ワンツーからのローキックをガンガン繰り出す…が、
フォレスターは打撃をもらいながらも、やはり巧みな防御テクニックで決定打を許さない。

何度も何度も相手をコーナーに追い詰めながらもダウンを奪えない小次郎、
ラウンド中盤からは攻め疲れで動きが鈍り始める。
これを見たフォレスターは前に出て、ハイキックからのワンツー、相手のボディをかわしてのアッパー。
観客の中のキックボクシング経験者が「うまいなぁ、フォレスター」と唸っている。

4R、決定打の出ない小次郎だったが、序盤に放ったワンツーでフォレスターが怯んだ。

これで勢いに乗った小次郎は更なるワンツー、ボディブロー、投げ、ローキックの連打。

ありとあらゆる技でフォレスターを追い詰めていくが…ここでも決定打が出てこない。

対するフォレスター、
小次郎のパンチは相変わらずかわしているが、これまた相変わらずリーチ差を克服できない状態。
それでも終盤、相手の動きが止まったところにパンチを連打、小次郎が怯む場面も。
しかし、これまで4Rに渡って細かく顔面を打たれ続けたフォレスターのスタミナは残り少ないようだ。

5R、前に出てワンツーからローキックを連打、
1Rからの一貫した攻撃方法でフォレスターを攻める小次郎。
そして組み付いて…ようやく決まった鮮やかな払い腰。これで小次郎は1P奪取。

これで何かを掴んだ小次郎は積極的に組みに行き、
スタンディング アームロックやバックドロップを狙っていく。
終盤には再び払い腰で1P奪取、これで勝利を確定させた小次郎…ではあったが。
正直、バテバテのフォレスターを相手にダウンを奪えなかったのは厳しいか。
試合終了、判定は5Rのシュートポイントを考慮しなくても3−0で小次郎の勝利だが…。
体格差に苦戦しながらも、顔面パンチの連打をスイスイかわしていくフォレスターの方が目立つ内容だった。

で、勝った小次郎はさっさとリングを降りてしまった…が、
セコンドに戻されて再びリングイン。
マイクを持ち、復帰戦の挨拶へと挑んだ。

「どうも、小次郎です。
 まず、シーザー会長、SBのリングに上がらせてもらい、ありがとうございます。
 2月のK-1 MAXに出れなくて、今日も不甲斐ない試合をしてしまいました。すいません。
 本当にSBのリングが好きになりました。リング上で死んでもいいと思っています。
 やるからには、このリングで一番を目指していきます(観客拍手)。

 K-1 MAXに出れずに腐りそうになったけど、
 友達や家族の応援で、今日、リングに立つことができました。
 次は頑張ります。応援よろしくお願いします(観客拍手)。」

挨拶の後で、花道を去った小次郎だったが…右肩を負傷したのか、タオルで押さえながら退場。
成程、決定力を欠いていた原因はコレか。次回はスッキリとした一本勝ちを希望。


第九試合 エキスパートクラスルール 71kg契約 3分5R
○後藤 龍治(173cm/71kg/STEALTH/SB日本 ミドル級 王者)
●タイロン スポーン(183cm/69.3kg/オランダ/ファイティング ファクトリー カルビン
                     /WPKLオランダ Sウェルター級 王者)
[判定 3−0]
※3R、後藤は立関節によるシュートポイント1
 5R、後藤は後方への投げによるシュートポイント2

「SB日本人戦士 vs 外国人王者、全面戦争」、
第三試合にはSBの名物男、後藤 龍治が久しぶりの登場だ。

前回の試合は2003年12月7日の全日本キック「藤原祭り」でのデニサス アルフィレーヴァス戦。
減量に失敗、グローブハンデ戦となったこの試合で、後藤は2Rにダウンを奪いながらも、
決して褒められたものじゃない試合内容だった。
一昨年のアンディ サワーとの一騎打ちでは実力伯仲の好勝負を繰り広げている後藤、
今日は減量もバッチリ、ベストコンディションで試合に挑む。
対戦相手は、若干18歳にしてWPKLオランダ Sウェルター級チャンピオンのタイロン スポーンだ。


1R、スポーンはリーチ差を生かして遠距離から打撃を放つのだが…キレが抜群。
重いローキックから伸びる前蹴り、フックやハイキックもかなりの素早さだ。
単発ながらも間合いの外から繰り出されるスポーンの打撃に後藤はやや苦戦。

それでも後藤は試合中盤からローキックを連打してペースを握り、
終盤にはフックやアッパー、ストレートをヒットさせる。

2R、リーチの長いハイキックやストレートを繰り出すスポーン。
更にはミドルキック、ローキック、フック、ヒザを次々にヒットさせる。
この打撃を前に後藤は中々相手に飛び込めず、我慢の展開が続く。

中盤に後藤がスポーンをコーナー際に追い詰めてワンツーのラッシュやミドルキック。
しかしラウンドを支配していたのはスポーン、後藤のストレートがヒットしても笑って意に介さない。

3R、スポーンは後ろに下がりながらのボディブローを繰り出すが…、
ここで後藤がローキックの連打で徐々にペースを握り始める。

中盤、スポーンは後藤に組み付いてバックを奪うが…、
ここで後藤が"立ち技ヴァーリトゥーダー"の本領発揮、前から相手の腕を捕りアームロックを極めにかかる。
これはスポーンに耐えられてしまったが、ならば、と後藤はそのまま投げを放った。奇麗に決まって1P奪取。
慢心からポイントを取られたスポーン、セコンドからは激が飛ぶ。

4R、完全にペースを握った後藤は積極的にローキックを連発。
対するスポーンはすっかり後藤の勢いに呑まれてしまい防戦一方。ローキックも効いているようだ。
時折、ローキックのダメージを隠すべく、わざとマウスを落としたり、股間を押さえたり。
これを見たスポーンのセコンドがやたらと激怒、会場中に響くような声で怒鳴りまくり。

そんな中、二度に渡ってスポーンのミドルキックをキャッチした後藤は、
スタンディングでアキレス腱固めを極めつつ、その足をヒネってドラゴン スクリュー。
型は崩れてしまったが、観客からは後藤の果敢な攻めを支持する歓声が沸き起こる。

5R、後藤は相変わらずローキックを打ち込んでいくが、
スポーンはミドルキック、ハイキック、重いボディブロー、飛びヒザ蹴りで反撃。
セコンドからは相変わらず厳しい激が飛んでいる状態。観客は余りの大声に苦笑する。

終盤、後藤は一貫したローキックでスポーンをフラフラにすると、
バックを奪って…抱え式のバックドロップで奇麗にスポーンを投げ捨てたっ!!
後藤が2Pを奪取する中で試合は終了、最後の最後に凄いものが飛び出した。

判定は…シュートポイントを考慮するまでもなく、
試合のペースを握り続けた後藤が3−0で勝利。

そして後藤がマイクを握る。

「どうもお疲れ様です、後藤です(観客歓声)。
 最近は怪我してばっかりでしたが、何とか復帰できました。
 今日は倒したかったけど…、ムリしちゃってスンマセン。

 そりゃそうと…S-CUP。

 日本人は俺と小次郎だけじゃなく、緒形、土井…四人もいる。
 ベルト持っている人間がたくさんいてだれが強いか分からん。

 日本人同士、俺ら四人で予選やったらどうですか。
 シーザー会長、その方がお客さんも喜ぶんじゃないですか?(観客歓声)」

ここはシーザー会長、即答は避ける。
後藤は最後に、

「緒形っ!!
 俺は判定だけど勝ったぞ。最後にコケんなよっ!!」

とエールを贈った。

う〜ん、後藤の言う事にも一理あるような気がする。
以前も指摘したが、SBには似たような階級に王者が沢山いる状態。
これでは誰が日本人で一番強いのかサッパリわからない。
強さに整理をつける意味でも、ここはトーナメントの開催を求む。
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…等と言っていたら、次回6月4日のSB後楽園ホール興行にて、

土井 広之(シーザージム/SB世界 ウェルター級 チャンピオン)
後藤 龍治(STEALTH/SB日本 ミドル級 チャンピオン)

のカードが決定。喧嘩を買った土井曰く、

「オレは70kg契約の試合では結果を残せていないしからS-CUPに出られる資格はない。
 言った者勝ちのような安易な挑発にも乗りたくない。でも売られた喧嘩は買いましょう」
(Sports Naviの記事より:
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/headlines/etc/20040507-00000004-spnavi-spo.html)

"キラー ロー" vs "立ち技ヴァーリトゥーダー"、
前回のS-CUP(S-CUP 2002)に出場した日本人同士による試合は、
僕が観戦してからは初めてとなる「看板選手同士の潰し合い」。
同じような階級に王者が多数君臨しているSBのマットにあって、
こういうカードは個人的には歓迎したい。

…土井はウェルター級、後藤はミドル級。
体重差は一階級…SBの場合はSウェルター級を挟んで二階級違うんだけどね。

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第十試合 エキスパートクラスルール 71kg契約 3分5R
○緒形 健一(172cm/71kg/シーザージム/SB日本 Sウェルター級 王者)
●ジェイク ハッタン(170cm/70.9kg/アメリカ/チーム サンダー/MMAのチャンピオンらしい)
[2R終了時 TKO]
※タオル投入
「SB日本人戦士 vs 外国人王者、全面戦争」、
トリを飾るのはSB日本人のエース 緒形 健一だ。
今年2月24日のK-1 MAX 日本代表決定トーナメント。
SB代表として急遽出場した緒形 健一は、新日本キックのエース・武田 幸三と対戦。

僕、緒形は武田に勝てない…と思っていた。

理由としては…やはりアンディ サワー戦とシェイン チャップマン戦での敗戦が挙げられる。
緒形は「SB外国人天国」の象徴的存在であるこの二人に対しては、いいところなく完敗。

その他の選手との試合では確実に白星を重ねていたものの…、
僕の頭の中では、どうしてもこの二人に負けた時のイメージが頭から離れないのだ。
「そんな緒形が、最近はK-1 MAX用のトレーニングをしている武田に勝てるだろうか…」
正直「緒形は2Rくらいにローキックの連打か、一発狙いのストレートでKOされるだろう」と思っていた。

ところが蓋を開けてみれば…、
緒形はシーザー会長譲りの「飛び込んでのアッパー」で武田からダウンを奪ってしまったのだった。
その後、左足じん帯を損傷し1Rで無念のTKO負けになってしまったものの、
試合は序盤から中盤にかけては完全に緒形のペースで進んでいたのは事実。
観客からの驚きの声を背に、武田に対してパンチのラッシュを浴びせる緒形を見た僕は、
心の底で「正直、スマンカッタ、緒形」と何度も詫びたものだった。

その緒形が、今日はメインイベントに出場。
負傷した足の具合は心配だが…、念願の「S-CUP 2004」の開催が正式決定したからには、
対戦相手が急遽変更になったとしても絶対に負けられない。
今日もヨーロッパの「ファイナル カウントダウン」と共に入場、
観客は歓声でエースをリングへ迎える。

1R、本来は総合の選手であるハッタン、
均整のとれた良い体からスジの良いローキック、重いフックを繰り出して緒形を攻める。

更には、序盤にはタックルを繰り出して観客を驚かせると、
中盤にはワンツーからのボディブロー、終盤にはワンツーからのヒザ蹴りがクリーンヒット。
特に後者の方は喰らった緒形は思わずスリップダウン。危ないねぇ。

対する緒形、パワーのあるハッタンの打撃に苦戦しながらも、
ラウンド全般においてインとアウトを使いわけてのローキックで相手の腿を蹴り続ける。
終盤には、シーザー会長直伝・飛び込んでのアッパーもヒット。
心配された足の負傷はどうやら大丈夫なようだ。

2R、緒形は1Rと同じく徹底したローキック攻撃。
直線的に動いて打撃を出そうとする相手をいなしてからローキック、
距離をあけての重いローキック、相手のフックをガードしてからのローキック二発。
動きが段々と鈍り始めたハッタン、苦しまぎれにヒザ蹴りで前に出つつ緒形に突っかかって…、
そのままマウントポジションを奪う。う〜ん、マウントはマズいだろ。

緒形は意に介さずキレのあるローキックを連打、
そして最近は得意にしているボディへのストレート一閃。
ドテッ腹への一撃が地味に効いたハッタンが前に出なくなる。
これを見た緒形は、手負いのハッタンを打撃で確実にコーナーに追い詰めてローキック二発。
ついにハッタンが我慢の限界でダウン。観客から歓声が沸く。

カウント8で何とか立ち上がったハッタンだったが…、太腿は真っ赤。
尚も緒形は容赦なくローキックを連打、タックルも仕掛けたりした。
こうなるとKOは時間の問題…なのだが、このラウンドはゴングに逃げられる。
それでも観客は緒形の攻勢を支持する歓声を揚げていた。

で、3R…になる前にハッタン側のセコンドがタオルを投入。
足のダメージはこちらが想像していた以上に大きいらしい。
あらら、緒形のKO劇が見たかったのに。
観客も僕と同じ考えだったらしく、ハッタンのタオルに対してブーイング。
非情といえば非情だな。
緒形がマイクを持つ。

「皆さん、応援ありがとうございます。
 今日は大勢の人の前で試合ができて嬉しいです(観客拍手)。

 S-CUPには命を賭けています。次は必ずいい試合をします。
 また見に来て下さい(観客拍手)。」

この試合を観る限り、緒形はS-CUPに向けて準備は万端のようだ。
まだ出場が正式決定した訳じゃないけど、
本番では「外国人天国」というイメージを払拭するようなファイトを見せて欲しい。

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雑感:
とりあえず、「SB日本人戦士 vs 外国人王者、全面戦争」は日本人の全勝に終わりました。
これで「外国人天国」に歯止めが掛かったとは思えませんが「強い日本人」は証明できたと思います。
…が、正直、全体的にはイマ一つピリッとしない興行だった気がしますね。
一試合一試合の緊張感はそれなりにあったんですが…まとまりのようなモノがなかった、というか。
興行的なテーマが明確であるだけに、これは残念ですね。
個人的には、そもそもの外国人天国の元凶である、
アンディ サワー、シェイン チャップマン、ダニエル ドーソン、といったメンバーを、
一人でもいいからリングに上げた方が良かったように思えます。
馴染みの薄い外国人王者の中に知っている選手がいるだけで、全体的にもっと引き立ったでしょうし。

…とはいえ、今回も何気にいい外国人を招聘しているとは思んですが。
タイロン スポーン選手や適正体重でのシャノン F16 フォレスター選手のファイトはまた見てみたいです。

いずれにせよ、いよいよS-CUPの開催を正式発表したSB。
SBの集大成的大会の成功を目指して、一歩一歩、着実に興行を積み重ねていって欲しいです。

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以上、長文失礼。




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