3/29 PANCRASE 後楽園ホール興行 観戦記
■団体:パンクラス
■日時:2004年3月29日
■会場:後楽園ホール
■書き手:高倉仮面

18:40
後楽園ホールに到着。
本日はPANCRASEの観戦。

昨年のPANCRASEは色々とあったものの、
一番目立った出来事は「近藤 有己の飛躍」であろう。

5月に行われたパンクラスの横浜文化体育館での興行では、
長い間、ファンの間で対戦が望まれながらも中々実現しなかった菊田 早苗と試合を行った。
ライトヘビー級を賭けた試合は、前半は菊田のグラウンドテクニックの前に大苦戦したものの、
終盤にグラウンドのパンチで大逆転。PANCRASE史上に残る激闘の結果は引き分け。

近藤の名勝負はまだまだ続く。
8月の両国国技館のPANCRASE10周年興行第一弾では、
無差別級王者ジョシュ バーネットと無差別級のベルトを争った。
近藤は一年三ヶ月ぶりの敗北を喫するも、
25kg以上もある体重差をモロともしないファイトはファンの感動を呼んだ。

そして11月に両国で行われたPANCRASE10周年興行第二弾では菊田と再戦。
前回とはうってかわってスタンドでもグラウンドでも菊田を圧倒した近藤は、
3R開始早々に鮮やかな左フックを顔面に叩き込んで菊田をKO。
これにより、近藤はPANCRASEのライトヘビー級王者に返り咲いた。

だが、近藤の試合はこれで終わりではなかった。
大晦日、さいたまスーパーアリーナで行われたPRIDE 男祭りに出場したのだ。
ブラジリアン トップ チームの首領・マリオ スペーヒーとの闘いは戦前こそは苦戦を予想されたものの、
終わってみればPANCRASEでのファイトと変わらぬ試合運びでスペーヒーを撃破。
更には試合後のマイクで、ついにPRIDEミドル級王者ヴァンダレイ シウバへ対戦を要求。

PRIDE無敗の王者シウバ相手に「不動心」が自己主張。
となれば、PANCRASEファンでなくとも今の彼には注目している事だろう。

…という訳で、今回はそんな近藤の凱旋試合を観戦しに来た訳だが、
個人的にはもう一つ、観戦する動機があった。
それは、今回の興行からカードのバランスが正常化した事にある。

昨年の6月あたりからのPANCRASEの興行は妙な事になっていた。
5月の横浜文化体育館、8月と11月の両国国技館に力を入れ過ぎた為に、
それ以外の興行がカード的に何とも地味になってしまった。
個人的にPANCRASEの興行はカードバランスの良さが好きだったので、
「エース選手の大量投入興行」と「エース級選手が存在しない興行」
の繰り返しとなった昨年のPANCRASEには異様に違和感を感じ、暫く生観戦を休止していた。

だが今日の興行はカードのバランスが良い。
前座が徐々にランクが上がっていき、メインはエース選手が締める。
間には期待の外国人選手を起用したり、巨漢対決を実現したりでバラエティ性も充分。
やはりPANCRASEの興行はこうでなきゃイカン。

…という事で、久々のPANCRASEの生観戦。
いつものようにチケットを購入…しようとするが、僕の指定席である立見席は既に完売だった。
ついでにC席も完売。仕方なくB席を購入、7000円を払って会場入り。今日は随分と高くついたなぁ。
まあ、PRIDEで一旗揚げた近藤の凱旋興行とあれば、人気が出るのは仕方がないか。

18:50
会場入り。
北側席からの観戦。

客席は既に超満員状態。
試合前のカード発表の時、近藤のカードが発表されると観客は大歓声を挙げた。
やはり今日は近藤の為の興行と言っていいだろう。
個人的に楽しみなのは第六試合の高森 啓吾 vs 石井 淳、
最近、何かと話題になるPANCRASE MEGATON vs PANCRASE スーパーヘビー級の人気者。
他にも佐藤 光芳の復帰戦、MEGATON批判の急先鋒・北岡 悟の試合等も注目である。
木製の席にじっくりと腰を据えて観戦開始。

---

第一試合 ライトヘビー級 5分2R
○内藤 征弥(185cm/87.9kg/A−3)
●佐藤 光芳(180cm/89.7kg/PANCRASE GRABAKA)
[1R 3分30秒 三角絞め]

佐藤は昨年4月の渡辺大介戦以来、約一年ぶりの復帰戦。
…だが、その結果は厳しいモノだった。

試合開始、内藤は右ストレートを佐藤の顔面にヒットさせてプレッシャーを掛ける。
佐藤はやや押されつつもタックルを敢行、2度目のトライが決まって内藤からテイクダウンを奪った。
だが内藤は、クロスガードを有効に使って下から佐藤をコントロールして、
上からのパンチのダメージを最小限に抑えると、隙を見て三角絞めを極めに掛かる。
1度は逃れた佐藤ではあったが、2度目の横三角風の三角絞めがガッチリ極まった。
佐藤がタップし、試合終了。

内藤、強いな。ホントに佐藤に何もさせなかった。
スタンドでも圧倒していたし、グラウンドでの下からのコントロールも良かった。
これなら同階級のランカーとやらせても良いんじゃないのかな?
対する佐藤、実戦の勘が戻らないのか実力差があるのか…内藤に全く試合をさせてもらえなかった。
まあ復帰戦は飾れなかったが、これに腐らずに練習を続けて欲しい。


第二試合 ミドル級 5分2R
△長谷川 秀彦(175cm/81.9kg/SKアブソリュート/同級 七位)
△梁 正基(183cm/81.8kg/スタンド)
[判定 0−0]

梁…久々に見る名前だなぁ。
前に見たのが昨年3月のZSTだから、約一年ぶりか。
この人、何試合か見たけど「打撃が強いが単発で終わる」って印象しかないなぁ。
なんか、こう、決め手に欠けるというか…。
対するは、2001年のアマチュアコンテンダーズのライトヘビー級で優勝、
2002年はサンボ全日本選手権の82kg級で優勝、KOKリミテッド80kg級にて準優勝、
アマチュアのグラップリング系トーナメントで勝ち続けた長谷川。
…って事は、打撃 vs 寝技の対決な訳ね。

1R、長谷川はダッシュで梁に組み付くと、
粘る梁を押したり引いたりして崩しテイクダウンし強引にハーフマウントを奪う。
梁は下から長谷川の足を掴んでの足関節技で逆転を狙うが、
長谷川はこの足を抜くとスルリとマウントポジションへ移行し上からパンチを落とす。

梁は下からブリッヂ等をして長谷川の体勢を崩そうとしたが、
長谷川は上手くバランスをとってマウントをキープしつつパンチを落とし、
そのまま腕ひしぎ逆十字の体勢に移行。ピンチを迎えた梁だがどうにか脱出。
再びスタンドになったが、梁は再び長谷川に組み付かれるとテイクダウンを奪われる。
1Rは終了。梁、ここまでは大苦戦である。

2R、長谷川は梁に組み付いて、
ロープ際へと押し込み足を掛けて強引にテイクダウン、
ハーフマウントの体勢からパンチを落としていく。

引き続き劣勢に立たされた梁だが、
ここでリバースに成功しインサイドガードの体勢に。
…が、長谷川はクロスガードやオープンガードを巧み使って反撃を許さない。
梁は立ち上がってパンチを落とすが、長谷川は下からの蹴り上げで抵抗しまくり。
この蹴り上げを嫌った梁は、猪木アリ状態から打ち下ろしのパンチを単発で落としていくのみ。
しかし長谷川はこのパンチを狙っていた、何発目かをキャッチすると腕ひしぎ逆十字の体勢に。

再びピンチになった梁だが、腕を抜いて脱出し反撃。
猪木アリ状態から、溜めを作って打ち下ろしのパンチを放つ。
このうち何発かが長谷川の顔面にクリーンヒット。
ダメージを受けた長谷川はどうにか梁の足を掴まえながら亀の体勢になり、
しつこく関節技を狙っていくが、梁はお構いなしにパンチを連打。
そしてここで試合は終了。うむ、終盤はやや梁が盛り返したな。

判定は…個人的には1Rは長谷川の10-9、2Rは10-10くらいだったんだが、
PANCRASEのジャッジは三者共に20-20でドロー。
まあ、ドローもありか…と思える内容ではあったけどね。
それにしても、今回の梁は自分の試合が出来なかった。
被テイクダウン率がもう少し下がれば、より『らしい』試合が見れると思うんだが…。


第三試合 ミドル級 5分3R
○佐藤 光留(174cm/81.9kg/PANCRASE ism)
●中西 裕一(180cm/81.9kg/フリー/同級 九位)
[判定 2−0]
※3R、中西はローブローで減点1

中西は2003年のPANCRASE ネオブラッドトーナメント ミドル級の優勝者。
佐藤はDEMOLITION ミドル級トーナメント優勝者。
これからを期待される若い王者同士の対戦。
ちなみに佐藤は相変わらずのメガネ & マント姿、
パチンコ「猛獣王」のテーマで入場。

試合開始…、ハイライトは突然に訪れる。
PANCRASEを離脱した美濃輪 育久を師と仰ぐ佐藤がプロレスラー魂を爆発させたのだ。

お互いに打撃を出して様子を見る中、中西のミドルキックをキャッチした佐藤は…。
そのまま中西を抱えあげて、ブロックバスター…いや、オリンピックスラムで投げ捨てたっ!

それもただ投げ捨てたのではない。この時に描いた人間橋がハンパでないっ!
今時のプロレスラーは投げっ放しでしかスープレックスを放てない奴ばかりだが、
佐藤の描いたそれは、まるでジャンボ 鶴田がデビュー戦でテリー ファンクに放った、
ジャーマン スープレックスを見ているようだった。イヤ、大マジに。
観客は当然ながらこの美しい一撃に大歓声を挙げる。

これでテイクダウンを奪った佐藤はインサイドガードの体勢、中西はクロスガードで防御。
すると佐藤、今度は中西を強引に高々と持ち上げて…そのままパワーボムでマットに叩き付けたっ!
アンダーテイカーのラストライド程の高さはなかったが、その荒業に再び観客から再び歓声が挙がる。

だが…、佐藤の見せ場はここまで。
あとは1Rも2Rも、そして3Rも中西ペースで試合が進んでいった。

佐藤、スタンドでは中西のパンチやローキック、ミドルキックの前に大苦戦。
特に左ジャブは、前に出ようとする佐藤の出足を確実に止めていた。

グラウンドでも中西は圧倒的優位に試合を進める。
1Rでは上になる佐藤をリバースすると、相手を亀の状態にして後ろから足を入れて固定し、
スリーパーを狙ったりパンチを入れたり。この体勢は中西の得意技らしい。
2Rではバックから相手に飛び付き、おぶさりながら佐藤を崩すと、
得意のボディシザースからスリーパーを狙う。
ピンチを迎えた佐藤はバックパンチで必死に抵抗するが、
この姿を見た中西応援団が「こんな相手じゃ実力出せないよっ!」とゲラゲラ笑う。

3R、グラウンドでは勝ち目がないと見た佐藤がローキックを中心とした攻めを見せるも、
やはり打撃でも優位に立ったのは中西の方。
前述の左ジャブに加えて、右ミドルキック、右ローキック、1・2パンチが単発ながら次々に佐藤にヒット。
ついでにローブローまでヒット、一回転して転げまわる佐藤を見た中西応援団は、
「何だそれっ!?」と佐藤をバカにする。これで中西は減点1。

最後の最後、
中西にグラウンドでバックを奪われた佐藤が前から足を捕って極めようとする。
この光景、佐藤を知る者にとっては「いつもの佐藤」であり、
ここで極める事が出来ないのも「いつもの佐藤」、試合終了。

判定は…まあ、この展開なら誰でも中西の勝利と見るのが妥当な訳だが、
これが2-0で佐藤の勝利になるのがPANCRASEのリングである。
…マジかいな。3Rの反則を込みにしたって中西の勝ちだろ。
確かに試合開始直後のプロレス技は賞賛に値するが、
流石にここまで身びいきのヒドい判定はどうか、どうなのか?

…ホラ見ろ。中西応援団が本気で怒りながらPANCRASEそのものをヤジっているよ。


第四試合 ミドル級 5分3R
○石川 英司(178cm/81.9kg/PANCRASE GARABAKA/同級 六位)
●北岡 悟(168cm/81.9kg/PANCRASE ism)
[判定 3−0]

選手としては「タックルでテイクダウン、そして後の攻めが続かない」という印象の北岡。
最近は、突如誕生したPANCRASE MEGATONに対して露骨に嫌悪感を示したり、
そのMEGATON所属の保坂 忠広を相手に30kgの体重差をモロともせずに引き分けに持ち込んだり。
今日の試合前もやたらと石川の花道に向かってガンを飛ばしていた。
何やらエネルギーを持て余している感じである。一体、何が彼をここまで燃やすのか?

最近は「さんまのからくりTV」で、
タレントのボビー オロゴン(格闘技修行中)のキックのミット持ちをしている石川。
昨年の戦績は8戦7勝1分で負けなし、絶好調である。
試合前には睨み付けて来る北岡を軽く叩いて制した石川、
勝利を積み上げた事から来る余裕と自信であろうか?

で、試合が始まれば絶好調の石川が燃える北岡を圧倒。
石川は、全てのラウンドにおいてパンチで北岡を牽制しつつ組み付いてテイクダウンを奪うと、
インサイドガードから上半身を起こして勢い良くパンチを連打していった。
1Rには猪木アリ状態からの顔面踏みつけを狙っていき、
2Rはパスガードしてサイドポジションを奪い、
3Rはバックを奪ってスリーパーを狙っていく。
極める事こそ出来なかったが、北岡との実力差は圧倒的だ。

反対に北岡、試合中は一回もグラウンドで上になる事はなかったが…。
石川のパンチを食らわないように下から腕を掴んでダメージ軽減に努め、
サイドポジションを奪われても足を上手く使ってすぐにハーフマウントに戻す。
たとえ石川の上からのパンチを連打してきても、すぐに身体を逃がして必要以上の連打を許さない。
更にはクロスガードから鉄槌を突き上げて石川にダメージを与えようとする。

今日の北岡からは、
不利な状況でも試合を投げ出さずに最後まで喰らいつこうという気概が見えたし、
その気持ちが表情やファイトに現れていた。この姿勢自体は良かったように感じた。
だが結局、北岡自身が自分に優位な状況を作れなかったのも事実。
得意の「タックルでテイクダウン」がダメな場合は、北岡に勝つ為のテクニックはないのかねぇ?

試合終了、判定は3−0で石川。
BABAMANIAのSUMMER BOOGIEが流れる中、石川がマイクを持った。

…が、ここで試合を観戦していたボビー オロゴン & アドゴニー ロロがリングイン。
(2004年4月現在、両者共に「さんまのからくりTV」に出演中)
石川が笑顔を見せる中、両者は勝者に花束を贈呈。
観客がヤンヤの歓声を挙げる中、石川が改めてマイクアピール。


「判定勝ちでスイマセン。
 今度は一本勝ちをとれるように頑張ります。」

石川、伸びてきたなぁ。しかし彼はまだ24歳、まだまだ先がある。
ここらで強豪外国人と当ててもいいんじゃないかなぁ。
あと、ボビー、PANCRASEに上がらんかねぇ。まずはゲートあたりで、さ。


---

◎野地 竜太、PANCRASE MEGATON入団
10分の休憩の後、元極真会館所属でK-1にも参戦経験のある野地 竜太が登場、
PANCRASE MEGATON所属選手になった事を発表した。

「総合は未知の領域ですが、
 今まで通りKOを狙って前へ前へと出て行きます。
 応援、よろしくお願いします。」

---


第五試合 ライトヘビー級 5分3R
○デビッド テレル(183cm/89.6kg/米国/シーザー グレイシー アカデミー/同級 六位)
●渋谷 修身(185cm/85.8kg/PANCRASE ism/同級 九位)
[1R 3分04秒 変形チョークスリーパー]
※上四方固めからのチョークスリーパー

僕の中ではすっかり「PANCRASEの実力査定係」というイメージが定着してしまった渋谷。
決して弱い選手だとは思わないんだが今一つ伸びていかないなぁ、
…って、だから実力査定係にはうってつけの存在って事になるのか。妙に納得。
で、その渋谷が本日実力を査定するのは、
昨年12月にPANCRASE GRABAKAの実力者 佐々木 有生からKO勝利を奪ったテレル。
…って、佐々木に勝った選手に渋谷が勝てるとは思わないなぁ。

試合開始、渋谷のローキックに合わせてテレルがハイキックを繰り出すと、
渋谷は圧力に押されて倒れてしまった。すかさずテレルは足を掴まえようとするが、ここは渋谷が逃れる。

スタンドで仕切り直し。ミドルキックを放ったテレルに合わせて、
渋谷はカウンター気味に前に出てテレルの首を掴まえてフロントチョークの体勢に。
観客は渋谷に歓声を贈るが、テレルはこの体勢のまま渋谷をコーナー際へと押し込み、
渋谷の体勢を崩してテイクダウンしてハーフマウントを奪う。

「う〜ん、これってエバンゲリスタ サイボーグに負けた時の状況に似てるなぁ、ヤバイなぁ」
なんて思っていたが、渋谷はパスガードを狙ってくるテレルを相手にリバースに成功、上の体勢に。
「おっ! 渋谷、今日はイケるか?」…と思ったら、テレルは素早く下から三角絞めで反撃。
この絞めを渋谷は何とか逃れたもの…ここまで押されっぱなしである。こりゃ今日はダメだな。
…って言うか、強いなテレルは。

再びスタンドで仕切り直し。
今度はテレルが前に出て渋谷に組みつくと、首を掴んでフロントチョークの体勢。
渋谷はこの絞めも逃れたものの、テレルにテイクダウンを奪われた。
インサイドガードのテレル、あっさりと渋谷をパスガードしてサイドから上四方へ移行。

ここから何を仕掛けるのか…と思ったら、渋谷は唐突にタップ。
どうやら上四方の体勢からスリーパーを仕掛けたのが極まったらしい。
思わぬ技に観客も驚いている様子、勿論、僕も驚いた。

それにしてもテレルは強いなぁ。力もありそうだしね。
そうなると、個人的には菊田や近藤との試合よりもヒカルド アルメイダとの試合が見たいのだが…。
ダメか。アルメイダはヘンゾ グレイシー柔術アカデミー所属だし。


第六試合 スーパーヘビー級 5分3R
○高森 啓吾(180cm/117.4kg/PANCRASE MEGATON/同級 四位)
●石井 淳(182cm/126.4kg/超人クラブ/同級 六位)
[1R 0分40秒 KO]
※スタンドでのパンチ連打

格闘技界ではあんまり有名でなくても、
PANCRASEでは人気者の石井が半年振りの登場だ。
今日も会場内に大量にいる石井応援団が彼の入場に大歓声を贈る。
対するは、今、PANCRASEで賛否両論を起しているMEGATONからの出場、
柔道の実績は素晴らしいのに試合はいつも打撃勝負、これまで3戦して2勝1敗、
試合時間の総計がたったの2分23秒という驚異的な数字を持つ高森である。

それにしても2人ともデカい。
「これは今までの試合とはちょっと違う雰囲気になるだろう」。
と思っていたら、試合は僕と観客の期待以上の内容になった。

試合開始…と同時に、両者は豪腕をブンブンを振るわせての殴り合いが始まる。
大味ながらも100kgを優に超える巨漢同士の殴り合いに観客から声援が挙がる。

…が、やがて高森のパンチだけがガンガンヒットし始めた。
石井は後ろに下がったり顔を背けたりしながら、露骨に打撃を嫌がっている様子。
そしてそんな事はお構いなしに、高森は石井をロープ際に追い詰めて殴りまくり、
石井の頭が下がったところをキックで蹴り上げた時にレフリーが試合をストップした。
観客はド迫力の打撃戦を制した高森に大歓声を贈っていた。

終わってみれば高森はまたしても秒殺試合、
MEGATONの中でも一際威勢の良いこの男を止めるのは誰か?
…それにしても、こういう試合をセミに起用したのは大正解。良い感じで会場が暖まった。


第七試合 ライトヘビー級 5分3R
○近藤 有己(180cm/86.9kg/PANCRASE ism/同級 王者)
●スティーブ ヒース(175cm/86.3kg/米国/シーザー グレイシー アカデミー)
[1R 4分01秒 チョークスリーパー]

PRIDE 男祭りからの凱旋試合となった近藤、
今日もエンヤの「Book of Day」と共に入場。
お目当ての選手の入場に、会場中から大歓声が起きていた。

さて、本日の近藤の試合は、ファンやマスコミからは、
「PRIDEでのヴァンダレイ シウバ戦を見据えての前哨戦」
と捉えられていた。仮想シウバに選ばれたのはグレイシー系列のスティーブ ヒース。
背は低いが身体はかなりガッシリしている…が、グレイシー系列だから寝技系じゃないの?
打撃を得意とするシウバの代わりになるのかどうかはチョット疑問なのだが…。

試合開始、ヒースの挨拶代わりのハイキックをガードする近藤。
お返しにストレートを放ったら、これがヒースの顔面にヒット。
近藤は怯むヒースを捕まえると、ヒースは近藤を引き込んで試合はグラウンドへ。
観客はグラウンドで上の体勢を取る近藤に声援を贈る。
…っていうか、ヒース、引き込んでるジャン。
思いっきり寝技系選手の動きだよ、コレ。どこが仮想シウバなんだよ。

インサイドガードの近藤に対し、ヒースはクロスガードでガチガチに防御。
ちょっと試合は膠着したが、近藤は立ち上がって猪木アリ状態からローキックを放ち、
時折、ヒースの顔面を踏みつけようとする。エンヤを入場曲にしているとは思えん攻撃だな。
その後、ヒースはタイミングを見て立ち上がる。

両者スタンド。ヒースがタックルを仕掛けるが、
近藤はこれをガブッて潰すと細かいパンチを顔面に入れていく。近藤、得意の攻撃。
やがてヒースの体勢を崩した近藤は、一旦立ち上がってから潜り込み、
ポジションをハーフマウント、サイド、マウントと次々に移行しパンチを落としていく。
観客の歓声の中、背を向けるヒースの首を捕ってスリーパー。ヒースがタップして試合終了。

終わってみれば今日も完勝の近藤、観客も大歓声でこれを祝福。
更には試合を観戦していたジョシュ バーネットがリングに登場、
近藤とガッチリ握手を交わす。

で、このところは恒例になっているマイクアピールが始まった。

「まだ〜、その〜、自分の方からは確かな事は言えませんが…。
 会社が僕の夢を実現してくれるでしょう(観客歓声)。

 シウバ戦が実現したら、日本人の誇りを持って挑みます。
 今日はありがとうございました(観客歓声)。」

「鉄は熱いうちに打て」、近藤の夢は早期実現するのだろうか?
そしてバーネットとの再戦は? ライトヘビー級王座の防衛戦は?
今年も「動き出した『不動心』」に注目である。

---

雑感:
今日はカードの配置が絶妙でした。
特にセミ〜メインの流れは素晴らしいものがありますね。
全体的に見ても退屈な試合はなかったし、非常に満足度の高い興行でした。

それにしても近藤は磐石の強さでした。この強さがシウバに通用するのかどうか。
僕は、ここ最近は打撃の強い選手と試合をやっていない近藤が、
シウバを相手にどういう試合をするのか、あんまり想像がつかないのですがね。
いづれにせよ、PANCRASEにはシウバ戦が早期実現するといいのですが…。

---

以上、長文失礼。




本稿の著作権はすべてKANSENKI.NET及び「書き手」に帰属します。

戻る
TOPへ