0322楽しみはまだ終わらない
■団体:修斗
■日時:2004年3月22日
■会場:後楽園ホール
■書き手:フリジッドスター

いやーもうね、本当に凄い試合でしたよね。今年見た試合の中では、文句なくベストバウトでした。
客席はさすがに満員。まあ、メインとセミにこのカード組んで後楽園埋まらなかったら、それは日本の総合格闘技の終わりの日と云うことだから ね。全体に活気があって、良い雰囲気でしたよ。とりあえず、可愛い女の子がいっぱい来るからという一点において、宇野参戦を断固支持すること を宣言しておこう(笑)


[第一試合 68kg契約5min×2R]
×鈴木洋平(パレストラ東京)
(1R2:40 TKO)
○リオン武(シューティングジム横浜)

シュートボクシング調のロングスパッツで試合に臨むリオン。テイクダウンからハーフマウントを奪い、強烈なパウンド。フルに戻されるも、おか まいなしにパウンドを連打しレフェリーが試合を止める。リオンはもっと上に来ると思うな。


[第二試合 バンタム級5min×2R]
×ヒートたけし(和術慧舟會千葉支部)
(2R5:00 判定3-0)
○BJ(AACC)

1R。テイクダウンを奪ったBJがハーフからコツコツ殴る。ヒートもアームや足関狙いで抵抗するも、BJは最終的にバックまで奪ってパウンド。

2R。またもタックルでテイクダウンを奪ったBJ、ここでヒートがフロントチョーク。執拗に締め続けるも、首を抜いたBJがハーフからパウンド。立 ちレスの強さでBJが優位に立った試合だった。


[第三試合 ミドル級5min×2R]
○岩瀬茂俊(チームTOPS)
(2R3:39 TKO)
×堂垣善史(パレストラ加古川)

1R。終始激しい打撃戦も、打ち勝ったのは岩瀬。ダウンを奪う。堂垣、ラウンド終盤にテイクダウンに成功するも、岩瀬のバランスが良く押さえ込 めず。

2R。堂垣タックルも、岩瀬はこれを切って上に。展開なくブレイク後、再び打撃戦。今度は堂垣がイイのを一発入れて形勢逆転。北側の自分の席か らは、それまでどこか気弱そうだった堂垣の表情が一変して、獲物を狙うかのような獰猛な表情になったのが見えた。いやー、こういうの大好きな んですよ、僕ぁ。岩瀬がカットしてドクターチェック。再開後、一気呵成に畳み掛けてきた堂垣に対し、岩瀬のカウンター一閃でKO。面白い試合で した。


[第四試合 エキシビジョン3min×1R]
マモル(シューティングジム横浜)
松根良太(パレストラ松戸)
端的に言えば、ヌルめのエキシ。が、ヌルめの割には特に見せ場があるわけでもなく、盛り上がりに欠いた感は否めず。「30秒だけガチ(をや れ)!」という野次が一番客席を沸かせるエキシって、どうなのよ?

まあ、試合数が少ない分興行のボリュームを稼ぎたいことや、相対的に露出の少ない両チャンプの存在をアピールしたいことなど、意図は読めなく もない。が、しかし、やる意義の希薄なことは、金とって見せるプロ興行でやる必要もないのではないか?


[第五試合 ライト級5min×2R]
△田村彰敏(格闘結社田中塾)
(2R5:00 判定1-0)
△村山英慈(シューティングジム八景)

1R。田村、マウントを奪うも立たれてしまう。スタンド打撃の攻防は、若干田村有利。組んでからのパンチとヒザで攻める。
2R。先に上を取ったのは村山だったが、田村、下からメクって上を取り返し、ハーフに。村山、フルガードに戻して下からの仕掛けを模索するも、 田村はこれを潰す。田村、パウンドを打つのに最適なポジションを作っていく感じ。ベースを作って強烈なパウンドを落とすも、いかんせん単発な ので決めてにならず。イノキ-アリからもいろいろ狙っていたようだが、決め手を欠いた。判定はドローも、個人的には20-19で田村の勝ちで良かっ たと思う。


[第六試合 ライト級5min×3R]
×植松直哉(K'z Factory)
(1R2:09 KO)
○ジェンス・パルヴァー(チーム・エクストリーム)

うーん、赤髪のモヒカンにキメてきたパルヴァー、強すぎ、モノが違いすぎ。距離取ってローを効かせる戦術を採用した植松だが、パルヴァーは凄 まじい音のパンチで、後楽園ホールの観衆全員にため息をつかせる。尋常ではない重さのパンチが、怒涛のコンビネーションとなって植松を襲う (特にボディ!)。フィニッシュの起点となったのは、強烈なボディーブロー。明らかに足が止まった植松に襲いかかり、最後は完全に背を向けた (!)植松に対しフック一閃。植松も必死に立ち上がるも、もはや続行可能な状態ではなかった。

まあボクシングのプロライセンスはダテじゃないと云うか、考えてみれば、パルヴァーは上の階級で最強の選手だったわけだしな。それがここまで 落としてくれば、そりゃ強すぎに決まってるよな。いや、マジで−65kgでは世界最強だと思いますよ。ホーキとの再戦、KID戦、ペケーニョ戦な ど、先々が楽しみだなあ。


[第七試合 ウェルター級5min×3R]
△川尻達也(チームTOPS)
(3R5:00 判定1-0)
△宇野薫(和術慧舟會)

1R。宇野のタックルを切りまくる川尻、やはり立ちレスでは優位に。が、今日の宇野はとにかくローが走る。川尻も重いパンチで反撃するが、宇野 のローはかなり効果的。川尻、少しずつ足が止まってゆく。会場、大川尻コール。それに負けじと、宇野コールも起こる。素晴らしい!

2R。コーナーに詰めた宇野、押し込んで川尻の足が揃っているところにバシバシとローを蹴り込む。いやー、これは新しい! 総合で、こうやって ローを効かせる攻撃をしたのは今日の宇野が初めてじゃないかな? 足を殺された川尻、相変わらずタックルは切れるものの、打撃は単発のカウン ター狙いのみに。が、そのカウンターが入ってしまうところに、今日の川尻の神懸り的な強さを感じるんだよねえ。宇野、スリップダウン気味でダ メージは薄かったものの、これで流れが変わる。一気呵成にグラウンドで攻める川尻に、懸命に凌ぐ宇野。両者譲らず、試合は再びスタンドへ。

3R。スタミナ切れ気味の宇野、タックル狙って押し込むも、川尻、驚異的な腰の強さで倒されず。ここに来て、立ちレスの攻防の差が顕著に。バッ クを奪った川尻に対し、桜庭流のアームロックを狙う宇野。これを潰した川尻がパウンドを狙うも、試合はスタンドへ。再び上を制した川尻に対 し、宇野は足関狙い。これも潰した川尻が、ついにマウント奪取。怒涛のパンチ連打で、宇野は防戦一方に…あの宇野が、防戦一方ですよ! 川尻 が上を制し攻め続けたままタイムオーバー、試合は判定に。

判定は微妙だったよね。1・2Rの宇野のローを評価してポイント差をつけていたのなら、ドローもやむなしかな。俺的には、29-28で川尻かなあ。試 合全体の印象で評価するならやはり川尻だろうけど、いみじくも川尻本人が試合後に語った通り、これが修斗の判定方式だからね。限りなく「川尻 勝利」に近いドローだったと思う。

やっぱり宇野は強い。この日会場に集まった誰もが、それを強く実感したことだろう。しかし、今まさにその宇野をも凌駕しつつある川尻の圧倒的 なポテンシャルに、戦慄すら感じてしまう。三島に続いて五味も離脱した修斗ウェルター級だが、帰ってきた宇野に、眩しいくらいに輝きを放つ川 尻の存在感。楽しみはまだまだ終わらないぜ。




今日はもう、セミとメインに尽きる。特に、メイン。間違いなく、修斗史、日本総合格闘技史に残る名勝負だったと断言出来る。それは、立ちレス の攻防のみで異様な緊張感をもたらすことが出来る二人による、高度な技術戦が展開されたからと云う、それだけの理由ではない。頂点を極めた後 修斗の外に自らの可能性を追求してきた人間と、修斗の中で頂点を目指して一歩一歩高みに昇り詰めてきた人間。その両者による意地と気迫が真っ 向から火花を散らし、さらにはそれが会場に集まった全ての人間の意識と交感したから、このような素晴らしい試合になったのだ。

粗製濫造の”アングル”なんかじゃなくて、競技的公平性が支配する世界において自然発生的に生成された感情の対立軸だったから、そして、その エモーションが全ての観衆に共有されたからこそ起こった、奇跡的な一戦。しかし、この奇跡が及ぶ範囲は、おそらく僕たちが想像しているより も、遥かに狭い。この日本人頂上対決の舞台が、後楽園ホールという小さな箱だったのも、多分そういうことなのだろう。しかし、だからどうだと いうのだ? 問題は山積みでも、そんなことはどうでも良いとすら一瞬思わせるような、効し難い魅力がこの空間には内在していた。

こういう試合が見たいから、僕たちはマニアだの何だの言われながらも、狭い狭い総合格闘技の会場に足を運ぶのだ。みんな、早くこっちの世界に 来た方が良いと思う。




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