3/1 WJ 後楽園ホール興行 観戦記
■団体:WJ
■日時:2004年3月1日
■会場:後楽園ホール
■書き手:高倉仮面

18:20
後楽園ホールに到着。本日はWJの観戦。
…そう、あのWJ、「WJは勘弁して下さい」(by 観戦記.net)のWJ、
「ワールド・ジャパン」のWJ、ど真ん中のWJである。

さて本日の興行は、WJの旗揚げ一周年興行となるのだが、
ここでWJが歩んだ一年間を振り返ってみよう。

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○2003/03/01
「マグマ級のド迫力のプロレスを見せるっ!」
「プロレス業界の『ど真ん中』を突き進む!」
「目ン玉、飛び出る程のストロングスタイル!」
長州 力を筆頭に、天龍 源一郎(当時は全日本プロレス)、谷津 嘉章、大仁田 厚(フリー)、
越中 詩郎、佐々木 健介、鈴木 健想、大森 隆夫…等のレスラーを従え、
WJ、横浜アリーナにて華々しく(?)旗揚げ。
第一試合の石井 智宏 vs 宇和野 貴史がWJの方向性を打つ出す試合を見せるも…。

第三試合以降のベテラン勢の試合がグダグダ。
オーバー50対決として注目されたメインの長州 力vs 天龍 源一郎も、
年齢には勝てなかったのか、どこか尻切れトンボな試合。
結果、東スポの出口調査で観客の68%が「不満」と答える事になる。
尚、観客動員数は13200人(主催者発表)。

●WJプロレス『MAGMA01』(スポナビ)
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/live/200303/01/index.html

○2003/03
WJの旗揚げシリーズのウリは「長州 vs 天龍 シングル6連戦」だったものの、
その3試合目の後で、まず天龍が「全身の倦怠感」を訴えてあっさりと欠場。
その翌日、これに呼応するかのように長州が「アゴの痛み」を訴えて欠場。
旗揚げシリーズ最大の売りが消えてしまい、ファンの期待を裏切る事となる。
…ショックを受けたファンがどの程度いるのかは各自調査だが、早くもWJは迷走を開始。

●天龍、ドクターストップで長州との4戦目を欠場
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/headlines/wrestling/20030318-00000007-spnavi-spo.html

●長州、天龍に続き戦線離脱 WJ最大の危機に直面(スポナビ)
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/column/200303/0319sn_03.html

○2003/05
旗揚げから2ヶ月、既に観客動員はかなり苦しい状態に。
大仁田 厚の影響からか、インディー選手の招聘が増えてくる。
長州はインディーの選手は嫌いだったハズなんだか…。
それでも見た目的には選手が揃っている為、何とか体裁は保てていた。

●WJ「MAGMA01 MAY STORM in TOKYO」(スポナビ)
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/live/200305/22/index.html
矢口 壹琅がメイン起用されている。

ちなみに大仁田は、その後あっさりとフェードアウト。
試合は手抜きの電流爆破マッチだけでやっていける程、今のプロレス界は甘くない。

○2003/07/20
旗揚げ当初から一転、長州とタッグを組んだ天龍だが、
新日本プロレスでの晩年を思わせる長州の省エネファイトに怒りを露に。
トイレの芳香剤である「消臭力」を持ち出してブチ巻けるというナイスなアクションを起こす。

●長天タッグぎくしゃく
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/headlines/wrestling/20030709-00000003-spnavi_ot-spo.html

相変わらずプロレスの殿堂・後楽園ホールですら客入りが悪い状態が続いていたが、
それでも両国国技館にてWJの最強を決めるべく「WJ最強決定トーナメント」を開催。

トーナメント戦の末、予想通り(?)エースである佐々木 健介が優勝するものの、
優勝者に贈られるハズだったWMG(ワールド マグマ グレーテスト)のベルトは、
「輸送上のトラブルで届かなかった」という事でお披露目なし。お粗末な結末を迎えた。

●WJプロレス 「WJ最強決定トーナメント」(スポナビ)
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/live/200307/20/index.html

○2003/07/28
WJの道場にて練習をしていたジャイアント 落合、意識不明の重体に。

●ジャイアント落合危篤(スポナビ)
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/headlines/wrestling/20030731-00000303-spnavi_ot-spo.html

○2003/08/08
意識不明のジャイアント 落合が死去。なんとも残念な事故である。
その後、事故に関して落合の師匠格の佐竹 雅昭がWJにつめよる姿勢を見せたが、
WJ側は煙に巻く発言を繰り返すばかり。
●ジャイアント落合さん死去(スポナビ)
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/headlines/wrestling/20030809-00000004-spnavi_ot-spo.html

○2003/08
WJを自分なりに盛り上げるべく、団体批判等、色々なアクションを起こしていた鈴木 健想。
だが、それも暖簾に腕押し…と判断するやWJを離脱。以降、WWEへの参戦を目標に動き始める。
この人の引き際は早かった。クレバーと言えばクレバーである。

○2003/09/06
「プロレス界のど真ん中の突っ走る」ハズのWJ、一転しての格闘技興行「X−1」を開催。
長州曰く「逆方向のど真ん中を行く」だそうな。
海外から比較的身体の大きい選手を大量招聘しての大会だったが、 フタを開けると「素人の殴り合い」レベルの試合が続出、まるで緊張感のない秒殺劇が続いた。
ビールとポップコーンを両手に抱えてグダグダと見る分にはいい興行だと思う…というのが僕の感想。
尚、この興行ではWJが期待している脅威の中学生・中嶋 勝彦が出場、
正拳突き一発からで相手をダウンさせてからの上からの突き連打で秒殺勝利するも、
未成年のど真ん中を行く少年のVT戦に関して海外でも微弱ながら物議を読んだ。
ちなみに佐々木 健介もひっそりと勝利を手にしている。

●「X−1」(スポナビ)
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/live/200309/06/index_b.html

○2003/09
「X−1」の失敗が祟り、この頃から地方興行での「興行中止」発表が頻発し始める。
同時に「いよいよWJは崩壊か」という噂が絶えなくなる。

●WJ、10.22後楽園大会は中止 12月にビッグマッチ開催(スポナビ)
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/headlines/wrestling/20030918-00000017-spnavi-spo.html
後楽園での興行すら中止になるとは、苦しいな。

●天龍「こんなはずじゃなかった」(スポナビ)
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/headlines/wrestling/20030921-00000004-spnavi-spo.html

天龍曰く「長州、お前は何枚舌があるんだ」。

そんな中、谷津 嘉章がWJを退団。会見の際にWJの現状を暴露した。
…谷津は退団間際に団体の内情を暴露するのがお約束になっているな。

●谷津退団、給料未払い…WJ崖っ縁(スポナビ)
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/headlines/wrestling/20030929-00000302-spnavi_ot-spo.html

記事曰く、
「マグマの迷走は行きつくところまで来た。
 関係者によるとWJは8、9月分の給与が無配。
 鈴木健想も事実上の退団状態で、すでにフロント数人の退社が決定的となっている。
 集客力不足による経営難は、9/6横浜の総合格闘技大会「X−1」の失敗で拍車がかかったという。

   立て直しを図るWJは、27日に名古屋市内で緊急会議。
 福田政二社長に代わり新社長に内定したM氏と選手らが約20分間話し合ったが、物別れに終わった。
 10月以降のギャラは40%カットなど厳しい内容だったという。」

○2003/10
いよいよWJは崩壊に向かって一直線である。
それを伝える報道の数が段々と増えていった。

●WJ解散の火種消えず…(スポナビ)
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/headlines/wrestling/20031002-00000000-spnavi_ot-spo.html

●WJ出直し策決定も…健介欠場(スポナビ)
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/headlines/wrestling/20031004-00000300-spnavi_ot-spo.html

●天龍 別れの? 短歌(スポナビ)
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/headlines/wrestling/20031008-00000300-spnavi_ot-spo.html
天龍の短歌「去る夏に 200キロプレス 何思う 仁王立ちしろ 蹲踞(そんきょ)手刀」。その後、WJを退団。

●「生活できない」大森 他団体参戦も(スポナビ)
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/headlines/wrestling/20031026-00000303-spnavi_ot-spo.html
曰く「他団体参戦?当然です。だって、そうしなきゃ生活できない」。
その後、WJを退団、フリーとしてWJに上がっている。

●越中退団に福田社長激怒(スポナビ)
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/headlines/wrestling/20031103-00000301-spnavi_ot-spo.html
今度は越中が10/31に退団。以降はフリーとしてNOAHに上がったりWJに上がったり。

ちなみにこの月、WJに参戦していたロード ウォリアーズのホークが急死。残念である。

●ホーク・ウォリアー急死(スポナビ)
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/headlines/wrestling/20031020-00000014-spnavi-spo.html

○2003/11
ついにWJの解散を報じる記事が出る。
だが代表取締役である永島 勝司氏はWJ解散を否定。

●WJ 1/5 中嶋デビュー戦で解散も(スポナビ)
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/headlines/wrestling/20031121-00000003-spnavi_ot-spo.html

●WJ、1月解散を完全否定(スポナビ)
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/headlines/wrestling/20031121-00000020-spnavi-spo.html

…とは言え、記事の中にある永嶋氏の「リストラを敢行し、社員の雇用形態も変える」というのは、
実は団体内で抱えるフロントを全員解雇してアルバイト扱いにする…というものだった。
つまり、この日(11/21)を持って団体としてのWJは崩壊したと言っても良いだろう。

○2004/12
長州とは親子のような仲だった健介もWJを退団。

●健介、永田戦で“泥くささ”見せる WMGベルトをWJに返還(スポナビ)
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/column/200312/1217sn_04.html
記事の中でひっそりとWJを退団した事を発表している。

残ったWJの選手達(若手ばかり)は、
ZERO−ONEのリングで細々と試合をしていた。

○2004/01
団体はボロボロの状態だったが、
旗揚げからイチオシだったの中嶋がついにプロレスデビューを果たす。

●WJプロレス 「RESOLUTION」(スポナビ)
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/live/200401/05/index.html

だが、2004/01/11の札幌のダブルヘッダー興行を最後に、WJの福田社長が同団体からの撤退を表明。

今後、WJは自主興行による興行開催となる。WJ、更に崩壊である。

●WJ 北の国から再出発
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/headlines/wrestling/20040112-00000306-spnavi_ot-spo.html

WJは2ヶ月間の活動休止へ

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以上、ザックリと歴史を振り返ったが、
WJを良く知っている人にとっては「上記の出来事などまだまだ甘い」という話であるだろう。
逆に言えば、ざっくばらんに出来事を振り返るだけでもこれだけのボロが出る訳だ。
そもそも、団体の旗揚げ自体がプロレスファンからあまり望まれていない状態だったWJ、
ましてやプロレスに逆風が靡く昨今のマット界にあって、
この団体の行く末がこうなる事はある程度予想できたものの、正直、ここまでとは…。
いかにファンに望まれずに旗揚げした団体かがわかるなぁ。
で。そんなWJの一周年となった本日の興行を観戦する理由はただ一つ。
一年前に旗揚げ戦を観戦したときに、直感的に、
「この団体に対する『答え』は一年後に出ていそうだなぁ」
と感じたからである。まあ、実際はもっと早い時期に『答え』が出てしまったが。
まあ、形はどうあれ一周年を迎えれたのは良い事だ。
あのグダグダな旗揚げ戦から一年、主力選手の大量離脱を経てWJはどう変化したのだろうか?

とりあえずチケットを買う。B席購入、3000円払って会場入り。
なんだかんだで、プロレスはホントにチケット代が安いな。

18:30
会場入り、パンフレット購入、300円。
「んっ!? 300円!? 安っ!」と思って買ったわけだが、
内容は長州に関する文章と、永島氏の決意表明、長州以外の所属選手四名の選手紹介のみ。
計6ページ、なんともペラペラなパンフレットである。
個人的にはスポンサーの宣伝のページが一切ないこのパンフは好感が持てた訳だが、
実際、スポンサーを付けようにも付かないのが現状なのであろう。

で、パンフの内容を一部公開。まずは長州 力に関する文章から。

「長州 力は長州 力である。
 それは誰にも動かせない。
 変わらない。変わろうとしない。
 ただ長州 力であり続ける。
 プロレスの価値観が変わってきている。
 時代の流れに誰もが自分を見失う。
 逆風を受ければ誰もが後ずさりする。
 だが、長州 力は動かなかった。
 戦うことの意味を曲げないからだ。
 誰のために、何のために戦う!?
 それは自分を動かす秘められた感情のためだ。
 その秘められた感情とは何か?
 今はそれを語らない。
 だが、とうとうその体が一歩も動けなくなった時、初めて口にしよう。
 今はただリングでの長州 力を見つめて欲しい。
 もうすぐ答えは見えてくるはずだ。」

わかったような、わからんような文章である。「秘められた感情」とは何なのだろうか?
個人的には、省エネファイトを繰り返す長州が動けなくなる日はまだまだ先の気がするが…。
ただ一つ、僕にでもわかる答えは、
長州はこの歳になっても第一線のど真ん中にいなくては気が済まないんだろうなぁ…って事のみ。
んで、その長州、今日はメインでタッグ戦に出場、因縁浅からぬ藤原 喜明とのタッグである。
…これまた随分と古い因縁を持ち出したなぁ。

18:40
南口の3階席に座って待つこと10分、興行が開始した。
まずはリングアナが開始にあたってご挨拶。

「今日はWJにご来場、誠にありがとうございます(客席拍手)。
 WJプロレスは本日、無事、一周年を迎える事が出来ました(客席から「えっ?無事?」の声)。
 旗揚げ戦は横浜アリーナでやったんですが、当日は雨が降っていましてねぇ…。
 で、今日も雨が降っちゃってねぇ。関係者の中に雨男がいるんじゃないかと思うんですが…。」

残り少ない団体関係者の中に雨男がいるのであれば、それはきっと…。

「さて、ここでですね、WJ専務取締役である永島 勝司から、
 一言、ご挨拶がございます(客席から「おおっ!」の声)。」

で、永島氏がリングインしてご挨拶。
それにしても、永島氏は初めて見るのだが、意外と小さい身体だな。

「本日は悪天候の中ご来場いただき、誠にありがとうございます(客席拍手)。

 WJは昨年3月1日に旗揚げし、本日、一周年を迎えます。
 この一年、色々な事がありました(客席、笑)
 挫折もありました(客席、笑)。
 栄光もありました(客席から「えっ?」の声)。
 しかし、まだ、WJは死にません。

 ここまで来るのに、
 フリーにならざるを得なかった選手、
 他団体の選手の力もありました。

 ここからが正念場です。
 私自身、大きな大会も手掛けてきましたが、私自身も正念場です。
 今後も、長州のど真ん中を貫くために、歩みは1歩も止めません。私自身も手伝います。
 長州をはじめ、若手たちが一丸となって盛り上げいきたいと思います。

 約束しますっ!
 今年の夏までには大きな大会を必ず実現しますっ!
 (客席、「おおっ!」という驚きの声。しかしすぐさま「夢見すぎだっ!」の声も。)
 大会の実現には、私自身、今まで培ってきた経験とキャリアとノウハウを活かしますっ!

 我々はあきらめません。そして、WJはあくまで歩みは止めません。
 世間で言われる『WJプロレス』。これを必ずくつがえしてみせます。
 よろしくお願いしますっ!(客席拍手)」
団体がこのような状態になっても、
今だビッグマッチの実現を夢見る…というかファンの前で約束する永島氏。
正直、新日本プロレス在籍時代の栄光の悪影響が出ているなぁ…という気がする。
所属選手でビッグネームは長州ただ一人だと言うのに、ビッグマッチの開催は現実的にムリだと思うし、
例えそれ実現したとしても、果たして残されたWJのファンはそれを望んでいるんだろうか…?

永島氏の話と世間のWJのイメージ、
そしてWJが歩むべき道のズレに違和感を覚えつつ観戦開始。

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第一試合 シングルマッチ 20分一本勝負
○臼田 勝美(176cm/86kg/フリー)
●浪口 修(174cm/83kg/ZERO-ONE)
[10分13秒 逆片エビ固め]

本日の第一試合はZERO-ONEとフリーの選手によるシングルマッチ。WJ不在。
それにしても浪口は細いな。デビューは昨年11月だから、身体造りはこれからか。
対する臼田は、相変わらず小さいね。何だかんだでこの人もキャリアが長くなってきたな。
試合は静かな立ち上がり。
臼田が浪口の上になってじっくりとレスリングで痛めつける。
その流れの中でグラウンドのフェースロック、スリーパーホールド等の絞め技を多用。
若手の浪口は老獪な臼田のテクニックを前に防戦一方だったが、臼田の足に焦点を絞って反撃開始。
スタンドでは臼田のヒールを固め、グラウンドでは逆片エビ固めやアキレス腱固めで臼田の足を極める。
試合は絞め技や極め技を中心とした地味な展開のまま、ゆっくりとしたリズムで進行していく。

臼田はアキレス腱を極めに来た浪口の足を捕り、逆にアキレス腱固めを極める。
藤原組長直伝の関節技に悶絶する浪口、臼田はサッカーボールキック、
ミドルキックの連打で蹴りまくると、その首をスリーパーホールドでじっくりと絞める。

デビューしたての若手である浪口は早くも疲れを見せはじめたが、
気力を振り絞ってエルボーの連打で臼田に反撃すると、首四の字で臼田の首をじっくりと絞め返す。
ややハードな展開を見せたものの、やっぱり試合はゆっくりとしたリズムだ。

首四の字を抜けた臼田、逆に相手の鼻を掴んでのキャメルクラッチで浪口を痛めつける。

臼田の攻めは尚も続く、逆片エビ固め、ヒザ蹴り&ミドルキック。
ヘロヘロの状態の浪口、段々と敗色が濃くなってきたが、
気力を振り絞って美しいフォルムのドロップキック連打で流れを掴むと、
コーナー最上段からミサイルキックでダメ押し。
さらにジャーマン スープレックスを狙うべく、果敢に臼田のバックを奪うが…。

これを振り解いた臼田、再びミドルキックの連打で浪口を蹴り倒す。

青息吐息の浪口、続くエルボー合戦では「負けんぞーっ!」と気合いを見せたが、

臼田のヒザ蹴りの連打を浴びて万事休す。
最後は強烈に折り曲げまくった逆片エビ固め、
浪口はこれを逃れる事が出来ずにギブアップ。

試合そのものはかなりゆっくりとした展開で、しかも大技が殆んど出なかった。
シンプルで非常に見易い試合、個人的には好感を持った。
もう少し浪口には気迫が欲しかったし、臼田には厳しい攻めが欲しかったけどね。


第二試合 シングルマッチ 20分一本勝負
○真霜 拳號(182cm/90kg/KAIENTAI-DOJO)
●和田 城功(174cm/100kg/WJ)
[10分43秒 無道]

真霜を見るのは一昨年のZSTの旗揚げ戦以来だな。
…って事は、彼のプロレスを見るのは初めてって事か。
恐らく本当にプロレスが好きだと思われる真霜、
やたらとけれん味たっぷりにリングイン。

対する和田、髪型がモヒカン。
174cmと身長に恵まれてはいないが、身体の厚みは立派なものだった。
いい選手を育てているな、WJ。
ハードロック調の「パワーホール」に乗って入場。
これ、健想の入場テーマ曲だったヤツだな。

試合開始、WJの選手が絡めばもちろんスタートは「ロックアップ」である。
両者ガップリと組み合っての力比べ、まずは和田がパワーを見せて真霜を押す。
二度目のロックアップ、今度は真霜が和田をヘッドロックで捕らえた。
和田はこれを後ろから腕を捕って外し、逆に真霜にヘッドロックを仕掛ける。
真霜は背中から押し込んで和田をロープに飛ばして逃れるが、
和田はカウンターのショルダータックルで真霜をフッ飛ばす。
…この一連の流れ、いわゆる新日本プロレスの定番ムーブである。
今の新日本でこのムーブが見れるかどうかは各自調査。

一連の攻防の後、まず主導権を握ったのは和田。
真霜の左足に攻撃の焦点を絞って攻める。
足へのストンピング、ニークラッシャー、逆片エビ固め、
スタンドでのヒール固め、足をロックしてのストレッチ技。
こうしてじっくりと真霜の足を痛めつけた和田、今度はスタンドのムーブへと移行。
コーナーへのエルボー弾、フロントスープレックス、かわず落とし、そして再びグラウンドで逆エビ固め。
第一試合と同じく、この試合もかなりゆっくりとしたペースで進行。

攻められっぱなしの真霜の反撃が始まった。
向かってくる和田にカウンターのヒザ蹴りで逆転、
トラースキック、サッカーボールキック、ヒザ蹴り、
相手に足を捕らせておいての延髄蹴り、グラウンドで腕極めフェースロック。
一連の攻撃でグッタリしている和田には、サッカボールキックの連打で追い打ち。
格闘スタイルの真霜、蹴りを中心に見せ場を作った。

和田がホームの意地を見せる。
向かってくる真霜をヒザ蹴り一発でダウンさせると、大技ムーブへと移行。
溜めのあるバックドロップ、逆エビ固め、足に絡み付いてからの首極め監獄固め、
エプロン際でのスタンディングスリーパーホールド。
試合このまま和田が勝利か…と思われたが。

真霜はハイキック一発でこの流れを断ち切り、
ズバリと決まるレッグラリアートから、
最後はグラウンドで相手の両腕を足と腕で極める「無道」。
得意技で和田からギブアップを奪った。

敗れた和田は無念の表情で四方に礼。
う〜ん、この試合もシンプルな試合だな。
大技があまり出ない展開だし、必要以上のアピールがないのは良いのだが、
もう少し選手の気迫が出るといいかもなあ…って、これ、第一試合の感想と同じだな。
まあ、その点では和田は良かったように思える。
真霜はちょっとけれん味を出しすぎで鼻に突く部分があるなぁ。
もう少しシャープに動けば、らしくなるのだろうが。

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第二試合終了後、突如、ZERO-ONEのエース 橋本 真也がリングイン。
突然のサプライズに驚く観客達に向かって挨拶を行った。

「押忍。今日は私の想いを伝えに来ました。
 長州力はまだ生きている。私は彼から全てのものは奪えませんでした。
 今日は、これからの展望を私なりに一日考え、その想いをあの人に伝えに来ました。
 1周年おめでとうございます。 」

入場曲である「爆勝宣言」が流れる中、橋本は花道を後にしていった。
そう言えば、この興行の前日で、橋本と長州ってシングル戦をやったんだっけ。

●ZERO-ONE 「MANIFESTO-1」(スポナビ)
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/live/200402/29/index.html

試合は橋本の右肩負傷で不完全燃焼に終わったらしいが、
橋本としては、長州に何か感じるところがあったようだ?
それは何なのか…と思ったが、この日の橋本はこれ以上の出番はナシ。その謎は後日という事らしい。
パンフレットの長州もそうだが、プロレスは謎を先延ばしにするのが好きだな。
消費社会の現代日本において、こういった策が通用するのかどうかは疑問だが。

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第三試合 シングルマッチ 30分一本勝負
○宇和野 貴史(184cm/92kg/WJ)
●気仙 沼二郎(173cm/90k/みちのくプロレス)
[12分42秒 逆エビ固め]

173cm/90kgの気仙と比べると、184cm/92kgの宇和島は本当に立派な体格に見える。
…というか、WJの若手は皆、身体は立派なモノを持っているなぁ。
ちなみに気仙沼二郎は「けせん ぬまじろう」と読むのが正解。「けせんぬま じろう」ではない。
みちのくプロレス専属演歌歌手…という設定だが、今日は他団体参戦という事もあってか持ち歌披露はナシ。

試合開始、やっぱりロックアップからスタート。
「宇和野、付き合わなくていいぞ!」と言う客席の声の中、宇和野はヘッドロックで気仙の頭を絞る。
しかしタックルに来た宇和野をカニ挟みで転ばした気仙はインディアン デスロックの体勢。
「皆さんご一緒にーっ! ハァ〜、ヨイショ! ヨイショ!」と掛け声を出すと、
置き網漁のパフォーマンスから受身を取る。客席から笑いが起きる。

体格に勝る宇和野が押し気味に試合を進めていく。
まずは腕攻め、アームホイップ、アームロック、腕へのエルボー。
グラウンドに移行しても体格とレスリングで気仙を圧倒。
時折、気仙のチョップや張り手による反撃を食らうものの…。
エルボー、ヒザ蹴り、ストンピング、ボディスラム、
サッカーボールキック、打点の高いジャンピングニーパット、スタンドのスリーパーホールド。
あまりにも体格差がある上に、無表情が板についている宇和島の顔を見ると、
どう見ても気仙が苛められているようにしか見えん。

子供の「ガンバレ、ヌマジローッ!」の声が飛ぶと、
気仙がスタンドスリーパーで絞める宇和島に対してチンクラッシャーで反撃。
ヘッドバットの連打、コブラツイストとコブラクラッチの複合関節技、
バックを捕ってジャーマン スープレックス狙い。
これは宇和島に防がれたが、気仙はシャープなノーザンライト スープレックスを披露。
そしてヒップアッタック。見た目と相まって、やたらと泥臭い気仙の攻撃が続く。

しかし場外で強烈なイス攻撃と鉄柵攻撃で再び主導権を握った宇和野。
コーナーへの串刺しドロップキック、思いっきり溜めまくったブレンバスター、
異常に角度が急で客席がヒヤリとしたバックドロップ、逆エビ固めの余裕の攻め。
気仙はグロッキー状態、最後の逆エビ固めも何とかロープに逃れたものの、疲れが動きに出ている。

気仙、最後の反撃を見せる。
スパインバスター、ヒップアタック、キン肉バスターで宇和野を追い込むが、
まだ体力に余裕のある宇和野はこれらを簡単に凌いでいくと、
気仙のトップロープからのギロチンドロップをあっさりと逃れ、
高角度のジャーマン スープレックスから、最後は逆エビ固め。
気仙は一度はロープ際まで逃げたものの、
宇和野はあっさりとリング中央に戻してガッチリ極めた。気仙のギブアップで試合終了。

気仙と宇和野の体格差とキャラクターを考えれば、
もう少し一方的な試合の方が良かったように感じる。
まあ、気仙が大技をちょこちょこ出していたのに比べると、
宇和野はシンプルな技だけで気仙に勝利しているのだから、
圧勝と言えば圧勝なのだが。


第四試合 シングルマッチ 30分一本勝負
○初代タイガーマスク(173cm/97kg/タイガー プロモーション)
●中嶋 勝彦(175cm/82kg/WJ)
[11分44秒 回転式ジャパニーズレッグロールクラッチ]
WJ期待の中嶋のデビュー第二戦は何とあのタイガーマスクである。
WJは本当に中嶋に期待しているんだな。

往年の入場テーマ曲「お前は虎になれ」と共に入場したタイガー、
相変わらず身体はタップリといった感じ。減量するとか言ってなかったっけ?
そう言えば、最近は掣圏や掣圏道の噂を聞かんなぁ。
エースである桜木は他団体にチョコチョコと出没しているけどね。

で、今度は中嶋が入場。
流石に純レスラーと比べると身体は細いが、それでも見栄えはする身体にはなっている。
入場と同時にコーナーポストに登って指を立てるポースをする中嶋、
開始前から初代タイガーマスクのお株を奪うパフォーマンスだ。中々、研究してきているな。

で、試合開始…なのだが、軽やかなステップを踏みながら、
フワリと浮いて鮮やかな飛び後ろ回し蹴りを披露する中嶋。
これって、初代タイガーがデビュー戦で最初に見せた動きじゃねぇか!
しかも中々鮮やかにトレースしているぞ。やるねぇ中嶋。
で、これに呼応したタイガーも後ろ回し蹴りを見せる。
イヤイヤ、こちらもアレだけの巨体からよくあんな蹴りが出るなぁ。

そんな中、中嶋はタイガーに思い切りの良いミドルキックを放つと、
これをキャッチしたタイガーにズバリと決まる延髄蹴りを一閃!
この一撃がモロに延髄に入り、タイガーはバッタリとダウン。
中嶋は空手をやっているだけあって、蹴りは素晴らしいモノを持っている。
客席からも中嶋を応援する歓声が挙がっている。

その後も中嶋が魅せる。
シャープなミドルキックとハイキックの連打でタイガーを追い込み、
腕を捕られればヘッドスプリングでこれを返して逆に腕を捕る。
再びミドルキックとハイキックの連打、タイガーはまたしてもダウン。
持ち直したタイガーがソバットやミドルキックで反撃してきたが、
中嶋は打点の高いドロップキックでタイガーを場外へ追いやる。そしてロープに向かって走り出す。
飛ぶか…と思われたが、これは619の要領で一回転するフェイント。
これまた初代タイガーが得意としていたムーブである。
それにしても中嶋はまだ15歳、初代タイガーを相手にキビキビとファイトをしている。
その度胸の良さ、運動神経の良さには好感が持てるな。

長い間、場外で休んでいたタイガーだが、リングインしては反撃開始。
ミドルキック、ハイキック、ソバットの嵐から、グラウンドへのエルボー、腕固め、首四の字。
中嶋、この首四の字をヘッドスプリングで抜けるが、タイガーの攻めはまだまだ続く。
懐かしい回転式レッグロック、ローキックからソバットへのコンビネーション。

中嶋はミドルキックで反撃するも、タイガーもミドルキックでお返ししていく。
ミドルキック合戦となったが、これはタイガーの勝ち。
手を緩めないタイガーの攻撃が続く。ハイキック、膝十字固め、タイガースピンからのレッグロック。
流石に太ってしまった為に動きはやや緩慢ではあるものの、
そのキックの嵐は流石はタイガーと思わせるモノがある。

中嶋はミドルキックの連打や回転式の膝十字固めで反撃したが
攻撃の引き出しの多さを見せるタイガーのペースを崩せない。
ミドルキックをキャッチさせての膝十字固め、ソバットで相手を倒しての膝十字固め、
ローキック連打からのハイキックで中嶋をダウンさせると、ジャンピング ツームストン パイルドライバー。
モロに頭から落ちる一撃にはかなりヒヤリとさせられた。

しかし中嶋、タイガーのフィニッシュムーブである、
トップロープからのジャンピング ヘッドバットを間一髪逃れる事に成功。
さあ中嶋、反撃開始だ!

…と思ったら。
中嶋のバックを奪ったタイガーは回転式ジャパニーズレッグロールクラッチ。
プロレスの奥の深さを見せる技を前に、中嶋は3カウントを聞く事になる。
それにしてもこの技、久しぶりに見たなぁ。
昔、ザ グレート カブキが田上 明をこの技でフォールしてたな。

試合の途中にも書いたが、この試合は中嶋の度胸の良さが際立ったように思える。
何と言ってもまだ15歳であるにも関わらず、リングの上で堂々と試合をしていた。
運動神経や空手仕込みのキックも中々良いし、大事に育てればいい選手になるだろうな。
ちょっと身長には恵まれてないけど、この先は結構楽しみではある。
…とは言え、中学生のプロレスという状況自体は眉をひそめるのも事実なんだが。


第5試合 シングルマッチ 45分一本勝負
○越中 詩郎(185cm/105kg/Office K2)
●矢口 壹琅(188cm/130kg/フリー)
[10分12秒 片エビ固め]
※ダイビングヒップアタック

さてこの試合は、これまでの試合とはチョット違う。
今までの試合はどちらかの選手が若手だったんだが、この試合は両者共に試合経験が豊富。
まあ、越中に比べれば矢口のキャリアはまだまだって事にはなるんだろうが。
しかし矢口は巨漢だなぁ。もっとやせてるイメージがあったんだが。

で、試合は越中の奇襲から始まり、あっという間に場外戦へ。
ペースを握ったのは越中。客席西側で鉄柵攻撃、お客さんのカサを奪って攻撃。
リングに戻って気合いを入れれば、客席からは歓声が沸き起こる。

その後はリング内でケツバット合戦を繰り広げた両者だが、試合は再び場外へ。
今度は客席東側、矢口のイス攻撃の音が会場に響く。闘いは客席南側へと移行、まだまだやりあう両者。
客席が目の前で行われる両者の攻防に歓声を挙げる。

試合は再びリング上へ。
越中は「投げるぞコノヤローッ!」の気合いと共に、巨漢の矢口をブレンバスターで投げ捨てる。
その後、首四の字で矢口の短い首を絞める越中だったが、
矢口はこれを逃れると、背面から足をロックした上で、越中の鼻を掴んでキャメルクラッチ風に極める。
「アイタタタッ!」と声を出して痛がる越中に客席から笑いが起こる。
で、越中はこの拷問技から脱出すると「お返しだコノヤローッ!」と叫ぶと、
矢口の鼻を掴んで掻き毟り、鼻をめがけてパンチを入れ、矢口をダウンさせてキャメル鼻クラッチで反撃。
客席からは相変わらず笑いが。

その後、矢口はモンゴリアンチョップ連打からのブッチャーポーズ、
巨漢が宙を舞うフライングニールキック、DDT、ラリアット、オリンピックスラム、
エプロン際でのDDTといった大技構成で越中を攻め立てるが、
越中は相手のイスを持たせてのフライング ヒップアタックで矢口にダメージを与えると、
最後はコーナー最上段からのジャンピング ヒップアタックでトドメを刺した。
越中が矢口を片エビ固めで押さえて3カウント、意外にアッサリと決着。

第一試合〜第四試合まではシンプルな技による攻防が中心だったが、
この試合は客席を掻き回したり、コミカルなファイトを見せたりで、
客席に声を出す事を促すような攻防だった。
タイミング的には、ここでこのカードが入ったのは良かったように思える。
ちなみに、意外かもしれないが矢口が放ったラリアットもDDTもこの興行で一発目。
パワーボムに至っては一発も出ていない。
最近のプロレスを安っぽくしている技が全く出ない展開自体にはかなり好感を持てる。

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●20分休憩
客席にはターザン山本がいた。
因縁浅からぬ長州の興行をターザンが観戦しているとは…。
ファンと思われる人との記念撮影にはご満悦の様子。
若いなぁ、このオッサンは。

今日の客入りだが、開始時は約3割程度の寂しい入りだったが、
休憩中の今は約5割の入り。昨今のWJの報道を考えれば、結構入っている印象がある。
…とは言え、約5割。永島氏はこの客入りをどう捕らえているのであろうか?

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第6試合 シングルマッチ 45分一本勝負
○石井 智宏(172cm/97kg/WJ)
●グラン 浜田(168cm/92kg/フリー)
[12分42秒 片エビ固め]
※浜田のスウィングDDTを石井が切り返して
身長172cm、決して大きいとは言い難い石井ではあるものの、
ガッチリとした肉体はそれを感じさせない頼もしさがある。
対する浜田、こちらも168cmと小さい体だが、
大ベテランの身体には年齢を感じさせない張りがある。

試合開始、まずは浜さん、石井の腕を捕って攻めまくる。
対する石井はグラウンドの腕ひしぎ逆十字固めで逆襲。
立ち上がった両者は意地になりながら顔面を張り合う。何だか熱い試合だな。
浜田は立っている石井に向かってコーナー最上段からのヘッドバットをブチ当ててペースを握った。
左腕を捕っての腕ひしぎ逆十字固め、石井の張り手の反撃には浜田も張り手で対抗。
さらには逆エビ固め、コーナーに石井を座らせて足にストンピングを落としていく。
攻められた石井の逆襲が始まる。浜田の足を捕ると、スタンドでヒールを固め、
アキレス腱固め、レッグロックへと移行。足攻めには足攻めで対抗だ。
ここまでは若手 vs ベテランながらも互角の展開、再び両者は意地になってエルボーを打ち合う。

試合は浜田が主導権を奪って進行していく。
ニールキックで石井を場外へと落とすと、年齢を感じさせないプランチャで宙を舞う。
ダメージを残した石井をリングに戻すと、フライングメイヤーからチンロック、
そしてスリーパーホールドでジックリと攻める、攻める、攻める…長い、スリーパーが長い。
やがて意識が朦朧とし始める石井、浜田は尚もスタンドのスリーパーホールドで絞めまくる。
この試合も関節技や絞め技が中心で試合が進んでいる為、試合のペースはかなりゆっくりだ。

ピンチを迎えた石井だが、浜田のスリーパーをチンクラッシャーで脱出すると、
エルボー、チョップ、ラリアットの打撃技で浜田を攻撃し、
さらには雪崩式ブレンバスター、ブレンバスターで追い打ちをかける。
浜田は急角度で落とすバックドロップで逆襲するも、
石井はすかさず浜田にラリアットを放ってペースを譲らない、更にはパワースラム。
そして浜田をフォールするも、カウント1ではね返えされる。浜田、元気だな。

石井はトドメとばかりに浜田をパワーボムで持ち上げるが、
ここで浜田の伝家の宝刀のウラカン ラナが炸裂。
そしてここから、浜田のフィニッシュムーブが始まる。
ブレンバスター+DDTの複合技、バックドロップ、コーナーへの串刺しエルボー。
ダメージの大きいイ石井をコーナー最上段へと誘うと、浜さんカッターでその顔面をコーナーへ打ちつける。
必殺技を決めた浜田、満を持してフォールの体勢…だが、石井はカウント2で返した。
ならば…と浜田、石井を再びコーナー際へと誘い得意技のスウィングDDTを仕掛けた…のだが、
浜田が石井の頭を叩き付けた瞬間、石井は体勢を入れ替えて浜田の上になってフォールの体勢。
これが何とカウント3。起死回生の一発で石井に大ベテランから勝利した。
逆転負けした浜田はレフリーの保永につめよったが、後の祭りである。

この試合で石井はパワーボムやらパワースラムやラリアットを使ってはいたが、
それ以上に浜田に対して向かっていこうとする意地が見えた。
技を並べるだけの攻防が多い昨今のプロレスにあって、こういうレスラーは貴重かも。
それにしても今日はシンプルな試合が多いな。僕はいい感じだが。


第7試合 タッグマッチ 60分一本勝負
 長州 力(184cm/120kg/WJ)
○藤原 喜明(186cm/108kg/プロフェッショナル レスリング 藤原組)
vs
 TAKAみちのく(175cm/85kg/KAIENTAI-DOJO)
●KAZMA(185cm/100kg/KAIENTAI-DOJO)
[10分41秒 脇固め]
で、シンプル続きの今日の興行のメインイベントがこのタッグ戦。何だかゴテゴテな感じである。
しかも長州 & 藤原組って…一体、何時の因縁を持ってきてるんだよっ!?
今時のファンなんて絶対に二人の因縁なんて知らんだろうな。

「パワーホール」と共に長州が入場。さすがにここはWJ、客席からは大きな長州コールが発生する。
今日のパートナーは、二十年前の雪の札幌、タイトル戦を控えた長州の背後を襲った「テロリスト」。
それにしても藤原組長のプロレスを見るのは久しぶりだが…全然歳を感じないな。ま、昔から老けてたけど。
エプロンに上がった長州、新日本プロレス時代の先輩格である藤原をロープを広げて迎える。
この光景に「おおっ!!」って反応が多かったのは、今日の客の年齢層が若くない事の証か?

先発は長州とTAKAで試合開始。
長州はWJの定番、ロックアップを狙うべくTAKAと向き合うも、TAKAはこれを嫌がり逃げまくる。
長州はTAKAをコーナー際へ追い詰めて無理矢理ロックアップしたが、
TAKAはこれを引き剥がすと奇襲のドロップキック2連発。
喰らった長州が場外へと逃げるが、TAKAはすかさず長州目掛けて走って行き、
一旦トップロープに登った後にプランチャを敢行。いわゆる「宇宙人プランチャ」である。

そう言えばこのプランチャの名付け親は長州だったな。

両者タッチで藤原 vs KAZMA。
KAZMAは藤原に対して果敢にキックを入れたり頭をコーナーへ打ち付けたりしたが、
藤原はKAZMAの打撃を耐えるパフォーマンスから頭突きの連打。
KAZMAにダメージを与えて長州にタッチすると、長州は早くもサソリ固めの体制だ。
客席から声援が飛ぶ中、あとはステップオーバーすれば完成…のところまで来たが、
ここでTAKAはカットに入ろうとする。
それを見た長州、サソリ固めをアッサリと解除して藤原とタッチ。
…って言うか、何気に長州、省エネファイトだな。
藤原、大活躍。
頭突きから、KAZMAがパンチで反撃してきた腕を捕って、伝家の宝刀・脇固め。
更にはスリーパーホールド、ボディスラム。攻め込まれたKAZMA、エルボーで逆転してTAKAとタッチ。
だが藤原、TAKAのブレンバスターを切り返しての脇固め、得意技が冴えまくり。
だがTAKAもグラウンドは得意、これを脱出すると藤原をジャスト フェースロックに捕らえる。
しかし今日は相手が悪い、グラウンドは藤原が一枚も二枚も上手だ。
これを切り返すと、再びTAKAの腕を脇固めに捕らえた。これぞベテランの見せ場である。

だが藤原、ちょっと活躍しすぎたか、ここから捕まってしまった。
TAKAのアームブリーカー、フライングメイヤーからのグラウンドの腕攻め。
KAZMAは腕へのエルボー。TAKA組は藤原の腕に焦点を絞って攻撃を繰り返す。
だが藤原は長くは捕まらなかった。KAZMAに対して頭突きの連打から一本足頭突き。

試合の流れを変えた藤原、ここで長州とタッチ。

長州 vs TAKA。
長州はTAKAを持ち上げると、溜めを作ったボディスラムでリングに叩き付ける。
更にはTAKAの頭を掴んだまま自軍コーナーへ連れて行き、藤原の頭にぶつける。
倒れたTAKAにストンピングを浴びせると、再び藤原にタッチ。
…ありゃ?またタッチ?今日の長州、随分と稼働率が低いな。

試合は終盤、藤原 vs KAZMA。
KAZMAはここで得意技、脳天唐竹割りを藤原におみまいする。…随分と微妙な得意技だな。
さらにはコーナー最上段からの脳天唐竹割り、TAKAとの2プラトンによるブレンバスター。
やっとKAZMAの見せ場が来たが、藤原は頭突きでこの流れを断ち切ると、
KAZMAのパンチ、脳天唐竹割りを切り返して、連続の脇固め。
これはマズい、TAKAがカットに入るが、これ察知した長州はTAKAにリキ ラリアット一閃。
その間に藤原の脇固めに捕まったKAZMAがギブアップ。
最後はベテラン組がお互いの得意技を披露しながらの勝利となった。

…って言うか、相変わらず省エネファイトだな、長州。
出した技も極端に少なければ、出番も極端に少ないし。
若手があれだけ頑張ってメインへのお膳立てしているのに、肝心な看板役者がこれでは…。

団体がピンチなんだから、もっと体を張ったファイトを見せないとダメだろ。
年上の浜田はセミで良いファイトをしてたんだし。若い奴らがついてこなくなるぞ、マジで。

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雑感:
メイン前までの「ゆっくりとしてシンプルな試合」と、
メインの「今時のプロレスの試合」のアンバランスぶりが気になりました。
今日の興行だけで言えば、団体の長である長州の試合がWJの中で一番浮いていたような気がします。

観戦記中にも書きましたが…、メイン前までの試合は、
今時のプロレスにありがちなDDTやラリアットやパワーボムの乱打…なんて展開もなく、
選手が客に対して媚びるようなパフォーマンスをする事もなく、
それでいて一つ一つの試合に流れがあり、大変に見易かったです。
ハッキリ言って「新日本プロレス」の試合より全然面白かった。

それだけに、メインの長州の試合は、
それまでの流れを一気に「新日本プロレスの試合」に戻されてしまった感じ。
相変わらずコーナーを暖める時間が長い長州の姿にはガッカリ。
でもまあ、WJはいい選手を育ててますなぁ。意外でした。

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21:00
「う〜ん、若手の育ち方には『長州なりのプロレス哲学』が見えたような気がするが、
 メインの試合での長州の姿は、色々な意味で長州の現実を見た気がするな。」

興行全体に対するそれなりの満足感と、
メインの試合に対する違和感を持ちつつ家路に就こうとした僕の目に留まったのは、一枚の紙。
立ち上がった拍子にパンフレットの中からポロッと出てきた黄色い紙。
何気なく拾ってみると、そのタイトルにはこう書いてあった。

「WJ一周年記念パーティー開催のお知らせ」

ああ、そう言えば興行の中でも宣伝してたな、このパーティー。
形はどうあれ、団体の一周年ともなれば、記念パーティーがあるのは当たり前か。

会費は3000円。一周年パーティーの割には安いな。
開催場所は「コロッセオ」。後楽園のすぐ近くじゃねぇか。
で、当日はスペシャルゲストもあり。長州か永島専務取締役なんだろうな。
んで、その開催日は…あ、今日なのね。試合終了後すぐらしい。って事は、今か。

「夕飯も食ってねぇし、話のタネになりそうだから行って見るか。」

21:05
…という気楽な理由で、「WJ一周年記念パーティー」の会場となる「コロッセオ」へ。
後楽園ホールの常連の人達には馴染み深いかもしれんが、僕は何気に初入店。

●ファイティングカフェ コロッセオ
http://www.colosseo.jp/

店内には、いたるところにプロレスや格闘技関連のオブジェが敷き詰められていた。
モハメド アリのサイン入りパネルがガッツポーズを決め、
藤原組長直筆のディック マードックのイラストがおいしそうにビールを飲み、
大山倍達の写真は抜き手を出しながらお客さんを睨む。
更には来店した選手達の写真がこれでもかとばかりにビッシリと飾られている。
中々、徹底したファイティングカフェっぷりだな、落ち着かんのお。
カフェ内にある大型モニターには、どこぞのプロレス・格闘技関連のCS放送が流されており、
その中で昨日のZERO-ONE両国大会の中継映像が流されていた。どうせ暇なのでボンヤリと鑑賞。

で、僕が入店した時には、既に20名近い客が集まっていた。
…のだが、この人達、妙にヒソヒソと何事かを話している…というよりは、打ち合わせをしているように見える。
洩れる声を聴くと「どうする?」「もう少しかかるらしいよ。」「先にやっちゃおうか?」
ん?ひょっとして、皆、WJの関係者か?「ドキッ!サクラだらけの『WJ一周年記念パーティー』」なのか?
ちなみにこの人達、年齢層が意外にハッキリしていて、10代〜20代の若い客と50代と思われる年配の客ばかりだった。

21:10
コロッセオの店長と思われる人が、ゲストの到着がもう少し遅れてしまう事をアナウンス。
先に食事でもしていてくれ、との事なので、テーブルに出された食事に手をつける。
店から出されたのは、鶏肉のから揚げ、春巻き、ポテトフライ、チャーハン等。
これをバイキング形式で取って行く訳だが…何と言うか、量が少ない。おそらく10人前程度であろう。
他の客は食事を目的にしてないからこれで良いかもしれんが、ズバリ言って僕は腹が減っていた。
とりあえず、鶏肉のから揚げ、春巻き、ポテトフライを皿に盛り付けた。ついでに酒を注文、バーボンソーダ。

21:20
盛り付けたものは全部食ってしまったが、スペシャルゲストは未だにこない。
「お知らせの紙には『開始時間:興行の終了後、すぐ』って書いていたのに、どういう事だよ。」
ゲストには大した期待もしてないクセに、こういう事にだけは不満を覚えるのは野次馬根性だな。
皿にはチャーハンと春巻きを山盛りに盛り付けてみる。意外に腹が減っていた自分に驚く。

21:35
そのチャーハンを全て食い終えたが、やはりスペシャルゲストは来る気配すらない。
しかも関係者から洩れてきた声を聴くと「あと15分はかかるらしい」と来たもんだよ、オイ!
大型モニターには「長州 vs 東スポ柴田 ロングインタビュー」の模様が流れていたが、
長州ファンではない僕にとってはどうでもいい映像だ。
そうなると、この店でやれる事は「食う事」以外に何もない、という事で今度は皿に春巻きを盛り付けた。

21:45
春巻きを食い終わっても、まだまだ来ないスペシャルゲスト。
そのお陰で客はダンマリを決め込んだままだ。
全然、盛り上がらん飲み会だな。ま、ある意味、今のWJを現しているかもしれんが。
しょうがないので四度目の食事を…って、もう食う物がないじゃないか!どういう事っ!?
…まあ良いか、揚げ物ばかりで飽きてたところだし。

21:50
「さすがにこれでは場が持たない」と判断したコロッセオの店長、ここで唐突ながらジャンケン大会を開催。
この大会の勝利者は「『WJ』のロゴ入りキャップ」か
「『LOCK UP!』のロゴ入りキャップ」が貰えるそうな。
…正直、「究極の選択」チックな商品。だが何故か欲がる人は多かった。
その上、デザイン的にキツい「『WJ』のロゴ入りキャップ」の方が人気が高かったのだ。

…何ていうか、やはりサクラだ。ここの客、揃いも揃って全員サクラだ。
もはや誰も信じられない状態になる。

22:00
で、ようやくスペシャルゲスト登場。
その正体は意外や意外…なんて事もなく、予想通り、永島専務取締役だった。
ちなみに長州は来ないらしい。う〜ん、WJの一周年パーティーでも省エネぶりを発揮しているな。
ホントにこの人、団体がピンチだとか、自分が看板である事を自覚してるんだろうか?
もっと体を張って団体を支えて欲しいところではあるが…。

まあ、何にせよようやくパーティーの開始である。
まずは永島氏が挨拶。第一声はコレ。

「…どうすりゃいいの?」

おいおい。

「今日は皆さん、WJ一周年記念パーティーにお越しいただき、
 ありがとうございます(客拍手)。

 WJは皆さんのお陰で一周年を迎える事が出来ました。
 夏には大きな大会もやります。その時はよろしくお願いします。

 さあ、話しましょうっ!」

こうして話している時の永島氏の印象は「年季の入った営業マン」。
何と言うか、話し方が平身低頭なのだ。恐らく、色々なところで頭を下げてきた人なんだろう。
こういう人は、腹を決めれば堂々とするだろうし、ひとたび怒ればメチャメチャ怖いだろうなぁ。

22:05
「夏にやるデカい大会はスゴいですよっ!期待していて下さい!
 そしてこの大会は新日本プロレスのG1にぶつけますよっ!(客、大いに驚く)

 …まあ、それは冗談ですが(客、微笑)。」

と、一発ハズした永島氏、ここからは質問タイムに突入。

若い長州信者(ちょっとサクラっぽい)が、

「今日の橋本のWJ来場の真意は?」

と尋ねる。答えた永島氏曰く、

「昨日の橋本 vs 長州、結果は残念なものになったけど、
 あの試合からは、ある種のメッセージを感じたね。

 これから先、あの二人が闘うのか? 手を組むのか?
 点であるものが線になるとき、答えがでるでしょうね。

 僕としては、この先、この二人の絡みはもっと大きくなると思うよ。
 新しい二人の闘いが見たいね。」

「点と点を結んで線にする」…って言い回しはプロレス界に昔からあるけど、
それってプロレスが元気だった頃に通用していた単語だと思うんだよなぁ。
今は「点と点から線を作り、線と線から面を作り、面と面から立体を立ち上げる」
…くらいの努力をしないと、プロレスファンは去っていく一方だと思うんだがなぁ。

新日本プロレス時代は他団体を一方的に食い物にしてきた長州と永島氏、
線になりそうなものを点にして潰し続けたこの両者にこの作業が出来るのだろうか…。

22:10
今度は戦前からのプロレスファンが発言。
己のプロレス観を、

「僕はフリッツ フォン エリックやジン キニスキーが
 活躍していた頃からプロレスを観ているけど…。
 今のプロレスっていうモノは8時10分のプロレスだね。」

と、何やら年季の違うやたら凄みのある発言で表現したところで、今度は己の長州観を語る。

「長州の生き方は「亀」の生き方だね。

 長州はラリアットで1分で試合を終わらせる。
 僕はあんまり好きじゃないが、今の客のニーズがあるならそれもいいかもしれない。

 今の時代、本物のプロレスラーは少なくなった。
 時代の流れに合わせて自分のスタイルを簡単に曲げる選手が多くなった。
 そんな中、長州は自分のスタイルを全く曲げない、曲がらない。
 僕はね、そんな長州の生き様、死に様が観たいね(客、拍手)。」

で、永島氏が答える。

「ありがとうございます。

 長州は…試合が出来るのはあと一年だろうね。
 自分のスタイルを曲げない事については…、
 僕もね、正直、『もう少し頭を柔らかくしろよ』と思う事は多いんだよね。
 でも、長州は曲がらないんだよね。まずもって曲がらないんだよね。

 そうやって生きて来た人生なんだから、
 最後はあいつの好きなようにやらせてやりたいよね。」

永島氏と長州は二人三脚でやってきたんだな…と感じさせる言葉だ。
で、この言葉を受けた戦前からのプロレスファン、更に言葉をぶつける。

「築地の魚市場にマグロ屋や寿司屋を出すとする。
 腕がよけりゃスポンサーがついて、まず2〜3年はもつだろう。
 でも、商売っていうのは、それだけではやっていけない。
 腕は良くても商売がヘタな奴は沢山いる。

 永島さん、あんたがもっとしっかりと長州を支えないとダメだ。
 あんたしか、長州を引っ張れる奴はいないよ(客、拍手)。」

まあ、WJは1年持たなかったが。やっぱり板前の腕が悪いからなのか?

22:20
その後も永島氏のトークは続く
「僕はねぇ、レスラーの嫌がる事をやるのが、客を呼ぶ事に結びつくと思うんだよね。
 そういう意味では、猪木と考え方が同じかもしれないね。

 新日本プロレスで営業やってい時代、
 大仁田を新日本のリングに上げる事で、僕は新日本の色々な人と喧嘩した。
 あいつをリングに上げる事は、皆、反対した。
 それでも僕はねぇ、長州の復帰戦にアイツをブツける事にしたんだよ。
 その時も…新日本の反対の声はハンパじゃなかった。
 だが僕は長州 vs 大仁田を1年寝かせたよ、ジッとね。

 そしたらどうだ。
 いざ蓋を開けたら、PPVはプロレス界では最高の売り上げになった。
 興行のチケットもあっという間にSOLD OUTだよ。
 そして、プロレス界では、この記録は未だに抜かれてないからね。」

ちょっと引っかかった。
このカードで一つの大会は成功しただろうが、
昔からの新日本のファンが望まなかったこのカード、
実現の陰で何人のファンが新日本ファンが失望したやら…。
正直、僕もその1人である。
永島氏はそういう見えない数字も視野に入れて発言したのだろうか?

「プロレスっていうのはね、第一試合が肝心なんだよ。
 旗揚げ戦の第一試合、観ましたか?
 大技なんて殆んど出てなくても、あの試合は気迫が出ていた。
 あれこそが、WJの目指すプロレスなんですよ。」

WJ旗揚げ戦の第一試合は確かに面白かった。
あの興行のベストバウトと呼べる試合だったのは間違いない。
そして今日の興行は、まさにあの時の試合の延長線にある興行だったように思えるね。
派手な大技を出さないWJの若手達、永島氏や長州は今日の興行の中で、
あの試合の熱の再現をさせたかったのだろう。

22:30
今度は永島氏が質問。

「皆さん、長州の最後の試合、誰との試合が観たいですか?」

永島氏が更に切り出す。

永島氏 :「高山はどうですかね?」

客の多数:「いらない、いらない。」

永島氏 :「ヒクソンはどうですかね?」

客の多数:「いらない、いらない。」

今度は客が永島氏に聞き返す。

客の一人:「蝶野とやるしかないっ!今のプロレスを救うのはそれしかないっ!」

永島氏 :「蝶野はないです。新日本の人とは一切顔を合わせてないんですよ。
      それに…、実は今、長州と対戦を予定している選手がいるんですが、
      その人は間違いなく蝶野より凄い人ですよ(客、驚く)。」

客の一人:「ホーガンですか?(客、笑)」

永島氏 :「あんな、ギャラが高くて客を呼べない奴はいりません!(客、笑)」

客の一人:「やっぱり、天龍さんや藤波さんとの試合が観たいんですが…」

永島氏 :「今のところ、それはないねぇ」

客の一人:「三沢や秋山との試合も見てみたいです」

永島氏 :「三沢君とはねぇ…、実は一度も会った事がないんですよ(客、驚き)。
      実現するように努力はします…と言ったら、実現しなかった時にウソになるかな。」

このうち、長州 vs ヒクソン戦については裏話を披露してくれた。

「実はねぇ、長州 vs ヒクソン戦は90%、決まっていたんだよ(客、驚き)。
 話し合い自体は仮契約の手前までいっていたんだけど…、
 いざ調印…って段階で、急に長州が『オヤジ、自信がねぇ…』って言い出したんだよ。

 でもまあ、仮契約の前で良かったよ。
 外国人は仮契約でも何でも、一度でも金もらったらもう手放さないからね。」

こんな調子でトークは進んだが、
肝心な「長州と対戦する相手」については永島氏の口から具体名は出なかった。
個人的には、蝶野以上の大物、あっと驚く隠し玉で、上記のメンバーではない…と聞くと、

前田 日明あたりが思い浮かんだ。ん!? 前田、プロレスやるのかっ!?

それにしても。
選手としてのピークはとうに過ぎている長州の試合を、何故、こうも皆が皆、観たがるのであろうか?
その心理は良くわからん…と言いたいが、ここはWJの一周年記念のパーティー会場。
恐らく、こんな疑問を持つ僕がここにいる事の方が間違っているのだろう。

それとも…、やはり「サクラだらけのの『WJ一周年記念パーティー』」なのか?

22:40
永島氏のトークは続く。
今度は猪木にまつわるエピソードを披露。

「あの人が試合をする時は、
 試合開始前後で自分の感性でパッと代表的な客を1人選び出すんだよ。
 そして試合中は、その客を喜ばせる事しか考えないんだよね。
 北朝鮮で10万人近い観客を前にフレアーとやった時でも、
 あの人はある一つの方向しか見ていなかったよ(客、驚き)。」

更にはWJ期待の星、中嶋について。

「中嶋はねぇ、素材が素晴らしいよね。
 空手の大会に出ていた時も、僕が彼の家に言ってプロレスのスカウトをした時も、
 彼は肝が据わっていて堂々としているんだよ。とても15歳の感性じゃないよね。
 彼はプロレス界の宝だよ。プロレス界が皆で欲しがる存在になるだろうね。」

すかさず女性ファンが、

「私は中嶋君と、NOAHのKENTAや丸藤との試合が見たいです。
 何とか実現できるように努力して下さい。」

とお願いする。永島氏は「チャンスがあったら実現するでしょう」と答えるに留まった。

成程、良いカードかもな。個人的には闘龍門あたりで一人だけ妙にガチな試合をする中嶋も見てみたいが。

22:45
雰囲気の良い空気が流れる中、僕が質問する機会を得た。
で、前々から聞きたかった事を質問。

「永島さんは
 『レスラーの嫌がる事をやるのが、客を呼ぶ事に結びつく』
 と言っていたので、僕も永島さんの痛いところを突いてみます。

 ズバリ、X−1の第二回はないんですか?」

それまでは笑顔だった永島氏の顔が微妙なモノになった

ズバリ言って、僕は選手としては未来のない長州の最後の試合等どうでも良い。
それよりもWJという団体そのものの行く末の方が余程興味がある。
で、WJという団体の迷走の象徴のようなこの興行について触れてみたのだ。
でもまあ、これだけでは何だか意地悪なので、
自分なりのX−1論を永島氏にぶつけてみた。

「僕はX−1はそこそこ面白かったんですよ。
 PRIDEなんかと違って選手は皆、大きめだったし、
 選手のレベルはハッキリ言って低かったけど、
 最初からわかってて見てればそれもそんなに気にならなかったし。
 大男の殴り合いっていうのは、それはそれだけでも面白いですよ。

 ただ、会場が悪かったですね。
 横浜文体じゃなくって川崎球場あたりでやっていれば、
 のんびりと観戦できたし、それなりに味のある興行になったと思うんですがねぇ。」

格闘技としての緊張感はなかったけど、
腕自慢コンテストとしての妙な味わいは確実に存在したX−1。
「ビールとポップコーンを両手に持って見る分には良い興行だ」と言うのは、
生観戦した者としての素直な感想である。

やがて、ゴマシオ頭を掻きながら永島氏が答えた。

「…難しいね。ああいうのは難しいね。
 やっぱり、やるとなったら半年は準備期間が必要だよね。

 実はね、ジャイアント落合が亡くなった時、
 『X−1は延期にしよう』…って話もあったんだよね。
 でもまあ、色々あって、結局はやる事になったんだけど。

 …時間が欲しかったね。
 第二回をやるなら、ちゃんとやりたいよね。」

う〜ん、どうやら第二回はないらしいな。残念だ。

22:50
客の一人が、最近の健介の活躍について永島氏にコメントを求めた。永島氏が答える。

「健介はねぇ、昔は『長州のコピー』なんて言われていたけど、
 今、フリーにならざるを得ない状況が来て、長州から離れていったけど、
 それが彼の呪縛を解いたんじゃないかな?
 健介には色々と苦労をかけて、今でも『すまない…』と思う部分が多いよ。

 今、彼はさあ、昔、世話になった人々や団体を一軒一軒回って、
 試合をする事で恩返しをしている。そういう行為が、何とも健介らしいんだよねぇ。」

22:55
もう少し色々と聞いてみたかったが、残念ながらここでタイムアップである。
う〜ん、やはり一時間という時間は短いな。
最後は客の一人一人が永島氏に一言づつ声を掛けていった。僕は、

「グダグダだった旗揚げ戦よりも、今日の興行の方が面白かったです。
 WJはいい若手が育っています。彼らを大事にしてあげて下さい。」

と、今日の興行の感想の良い部分のみを伝えた。

永島氏が締めの言葉。

「今日は貴重な時間をありがとうございます。

 WJは死にません。ここで死んだら何の為のWJか?
 今日は皆さんの言葉に随分と勇気づけられました。
 ありがとうございます。頑張りますっ!!(客、拍手)」

最後は一本締めで、WJの一周年記念パーティーは終了。
ちなみに、WJ、次回の後楽園ホール興行は5月27日に開催予定だとか。

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雑感:
兎に角、長州と永島氏は一蓮托生…と言う感じがビンビンと伝わる会でした。
永島氏は、余程、長州という人に惚れ込んでいるんでしょうな。

気になったのは、このパーティーには長州ファンが圧倒的多数を占めていた事。
兎に角、彼らの口から出てくるのは1に長州、2に長州、3・4も長州、5も長州。
永島氏自身が「長州はあと一年」と明言しているにも関わらず、です。
ハッキリ言って、WJという団体を支持しているファンは、
長州が引退した後もWJを観戦するのでしょうか?
そして、永島氏は、そんな彼らに何を感じたのでしょうか?

僕は正直、「WJという団体に未来はないな」と感じました。

永島さん、どうか、WJで育っている若手達にもっとチャンスをあげて下さい。
そうでないと、頑張っている彼らが報われませんわい。

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23:00
家路につこうとする僕に、
初老の男性が声を掛けてきた。

「ネェ、ネェ、ネェ。
 君、本当にX−1は面白かったの?」

どうやら関係者筋の人らしい。
で、僕が先程話したX−1論をもう一度噛み砕いて話し、
こうすればX−1が良くなるんじゃないか…という案をざっくりと話したところ、

「ありがとう!参考になったよ!」

と抱きつかれた。

…恐らく、X−1は本当に各方面から酷評されたんだろう。
そうでなければ、僕のようなド素人の意見、聴いてくれるハズはないわな。

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最後に、パンフレットに載っていた永島氏の文章を全文掲載します。

「WJは魂のレスリングを見せる

 WJプロレスは、これからもプロレス界のど真ん中を行く方針に変わりはありません。
 たとえ、傷つき、ボロ雑巾のように汚れても、WJはWJの道を進んで行きます。
 プロレスの世界に於いてストロングスタイルとは何か。
 それを見つけるために私と長州は冒険の旅に出たのです。
 確かにイバラの道でした。痛い。痛い。
 あちらこちらからトゲが突き刺さってきました。
 だが、そのトゲは、私と長州を強くするための試練だったのです。
 長州は言います。
 「オレは心と体がボロボロになっても、このWJを守り続ける。
  それがオレがここまで歩いてきた価値観のすべてだからだ。
  オレは下がらないぞ」
 私は目からウロコが落ちる思いでした。
 長州が何が言いたかったのようやく理解できた思いです。
 長州の現役生活はもう長くありません。
 長州には最後の魂を見せてもらいます。
 そしてその魂を若いWJのレスラーたちが受け継いでくれればいい。
 私と長州が本気になって「これが最後」と決めたら何をするか分かりませんよ。
 長州と私はこれまでさまざまなビックイベントを仕掛けてきましたが、
 この一年で私と長州が見せるのは魂をえぐるようなイベントになるはずです。」

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以上、長文失礼、ロックアップ!




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