2/15PRIDE武士道「リン、パン、修斗、GCMオールスター戦だったね 」
■団体:Diamond!
■日時:2004年2月15日
■会場:横浜アリーナ
■書き手:フリジッドスター

行ってきました、横浜アリーナ。しかし、横アリは遠いな。と云うか、世間から見れば埼玉北部が遠いと云うことなのかな。

開場20分前くらいに到着してうろちょろしてたんだけど、子供づれの家族が目に止まった。まだ小学生くらいのちびっ子が、木口道場のトレーナー を
着てました。頑張れ少年、20年後の格闘技界のエースはキミかもしれないぞ。今日は五味を応援してみようか…そう思いました。

パンフ読みながら時間潰していると、三時ちょっと過ぎくらいに挑戦試合開始。この時点では空席が目立ちました。七割くらいだったでしょうか。


[武士道挑戦試合5min×2R]
×今村雄介(99.5kg)
(1R4:08 チョーク)
○チェ・ム・ベ(103.5kg)

どっちも緩い体。スタンドでバックに付いたチェが強引な反り投げでテイクダウン、バックからハーフへ。チェ、時折パウンドを交えながら
もっさりした動きでサイドに付き、さらにバックマウントを奪う。ここで今村が一発逆転の足関狙いを試みるが、とても極まりそうには思えない。
結局足関狙いを潰したチェ、バックから強引にチョークで締め上げて勝利。

挑戦試合とは云っても、PRIDEの舞台でこのレベルの試合をする意味が判らん。チェ、レスリングの猛者らしいし素質はあるのかも。
俺は韓国人ファイターなら、打撃+気合のハーの方を買うけどね。


[武士道挑戦試合5min×2R]
○岡見勇信(81.8kg)
(2R5:00 判定3-0)
×桜井隆多(83.5kg)

1R。岡見、打撃戦ではやや打ち負けて後退するも、なんとか距離を殺し、コーナーに押し込んで、体を反転させてテイクダウンに成功。
ここから、前評判の高かった岡見のパウンドが炸裂する。茂みから鎌首をもたげる蛇の如くインサイドからムクリと上体を起こすと、強烈な
パウンドをガッツンガッツン落としていく。隆多も懸命に防戦するのだが、これは時間の問題か? 岡見、ハーフ奪取に成功するが、ここで
隆多が下からアームロック! アームでめくって上を取ると、そのままキャッチ入る。今度は岡見が防戦一方に。背中まで腕を曲げられ完全に
極まったように思えたが、岡見、驚異の粘りで耐え抜いてゴングに救われる。

2R。岡見、テイクダウンに成功。1R同様、強烈なパウンドで攻撃していく。隆多、足を使って距離を作るのだが、岡見、オープンガードの外から
打ち落とすようなパウンドを放っていく。これ、アルメイダとかヘンゾ系の選手が最近良くやるパウンドに似てる。岡見、さすがに疲れたか、上で 休む
時間が長くなる。下からパウンドを防ぐ隆多にイエロー。これはちょっと可哀想かな、ボトムで攻められてる選手が消極的になるのは当然なんだし
(この試合に限らず、下の選手にコーション出すケースが多かった)。結局岡見が上をキープしたままタイムアウト。判定は岡見。
まあイエローもあったし、1R終盤キャッチ取られた以外は完全に圧倒していたし、妥当だと思う。

岡見の勝因は立ちレスで優位に立てたことと、1R終盤のアームを凌ぎ切ったこと。粘り強い精神力も含めて、本当に良い選手だと思う。岡見、
パウンドは本当に巧く、そして強かった。ただ、そのパウンドの特殊性を多くのファンに印象付けるにはやはりKOで勝つことも重要な訳で、ラッ シュを
続けるスタミナが欲しいところ。スタミナ付いたら、マジで化けると思います。個人的には石川とのパウンダー対決が見たいんだが、
次は武士道本戦なのかな? 82kg契約で美濃輪戦を希望だな。


気が付けば客席も結構埋まりだして、九割くらいは入ったと思います。まあ、満員と云うことで良いかと。

全選手入場。日本人選手を押さえて一番人気の選手はミルコでした。しかし、パンフで三次さんも書いてたけど、この面子が同じ興行で試合
するなんて凄いことだと思います。まさに時代はボーダーレスと云った感じですが、この扉を最初に開いたのはDEEPであると云うことはいくら
強調してもし過ぎることはないだろう。


[第一試合 10min1R+5min1R]
○滑川康仁(93.5kg)
(1R1:05 フロントチョーク)
×エギリウス・ヴァラピーチェス(93.5kg)

リベンジマッチと云うことで滑川には多少の気負いもあったと思うが、熱くならずに冷静に打ち合いを避けたことが勝因だろう。
テイクダウンに成功してから、一瞬スタンド戻されそうになったが、フロントチョークで引き込んで締め上げた。ヴァラピーチェスは
粘り強さ意外に見せ場を作れませんでした。滑川、次は誰とでしょう? 武士道に継続参戦するなら、スティーブリング辺りの
中堅外国人選手なんだろうけど、まだDEEPで経験を積んでいく方が良いかもしれない。


[第二試合 10min1R+5min1R]
×上山龍紀(78.0kg)
(2R5:00 判定0-3)
○ショーン・シャーク(79.5kg)

1R。シャーク、尋常ならざる速さのタックルでテイクダウン、サイドに付く。シャーク、インタビューで語っていた通り、
ルールを活かしたグラウンドでのヒザで攻撃していく。さらに、強烈なバスターで叩きつける。シャーク、すいすいパスしてマウントへ。
うーん、思ってたよりパスが巧い…と云うか、パスを狙う意思が強い。上山、ブリッジで返すも、シャーク、バックに付いてチョーク狙い。
上山、何とかスタンドに戻すも、シャークのタックルは異常に速い。加えてパワーも凄まじく、担ぎ上げて豪快にテイクダウン。
ヒューズみたい。ガブりからヒザを打つシャークに対し、上山もスタンドに戻すのだが、タックル切れずまた下に。ここから
上山がアームを狙うが失敗。シャーク、上から肩固めを狙いつつ、マウントへ。ここからは先程と同様にバックマウントからチョークを狙う展開。

2R。シャーク、またも高速タックルでテイクダウン。バックまで奪って執拗なチョーク狙い。特筆すべきは、インサイドの攻防が
ほぼ皆無だったこと。シャーク、本当に積極的にパスを狙って、それを成功させていた。これだと試合も動くし、見てる側の印象も
違ってくる。最後は安全運転気味だったが、シャークの完勝でした。

シャーク、強すぎ。地味な試合内容が評判を呼ぶかどうかは分からないが、俺は面白い選手だと思います。テイクダウンは豪快だし、
積極的にパスガードを狙うし。−77kgでベルト新設して、ニュートンと初代王者決定戦だな。


[第三試合 10min1R+5min1R]
○マリオ・スペーヒー(103.5kg)
(1R0:11 KO)
×マイク・“バットマン”・ベンチッチ(101kg)

マリオ、凄い気合乗り。入れ込み気味なほど…ってこれじゃ競馬の解説だな(笑)。

試合はカウンターで顎先を揺らしたマリオの秒殺勝ち。まあ実力差は相当あったと思うが、それが前景化する前に終わった感じ。
それにしてもあっけなさすぎる。


[第四試合 10min1R+5min1R]
○高瀬大樹(82.1kg)
(2R5:00 判定3-0)
×クリス・ブレナン(82.0kg)

「西部海岸の関節職人」と云うキャッチ・フレーズが付いたブレナン。Westside Stranglerだから
「締め技職人」の方が良いと思うのだが、まあどうでもいいか。

1R。先にテイクダウンを奪ったのは高瀬。振り回すような豪快な首投げで転がすと、激しいパスの攻防。足を抜いていく高瀬と、
フルガードに戻したいブレナン。軍配は高瀬に上がった。ハーフを維持すると、アームロック狙い。ブレナンもフロントチョークを狙うが、
高瀬が終始優勢。ラウンド終盤にはサイドから横三角を極めかけるシーンも。

2R。テイクダウンに成功した高瀬、ハーフに。パスしてサイドに付くとアームロック狙い。かなり極まりかかっていたのだが、
ここはブレナンも意地を見せ粘る。それでも高瀬、終始ポジションをキープして判定勝利。派手な攻防はなかったけど、高瀬は
積極的に一本を狙いに行っていたし、良い試合だったと思います。

高瀬の勝因は、下にならなかったことに尽きる。以前の安易な引き込み癖のイメージを払拭した高瀬、下からの三角だけではなく
上からの腕絡みも武器にし、強くなったと思います。それを可能にしたのは、(広義の)立ちレスの強化。吉田道場効果なのかな?
次はクラウスレイなんかとやって欲しいな。


戦闘龍登場。太刀光よりは期待できるのかな?


[第五試合 10min1R+5min1R]
×桜井“マッハ”速人(79.8kg)
(2R5:00 判定0-3)
○ホドリゴ・グレイシー(79.3kg)

やはり80kg契約だったようで、ホドリゴ、かなり絞った体付き。ヒゲも生やして、格好良かったです。メネーっぽい感じもしたけど(笑)

1R。上になったマッハが、イノキ−アリから踏みつけを狙って会場を沸かす。この時点ではマッハの圧勝かなとも思ったんですけどね。
マッハが安易に出したバックキックに合わせてテイクダウンに成功したホドリゴ、流れを引き寄せる。ホドリゴ、ハーフまでは行くのだが
ここから足を抜けない、マッハが足を抜かせない。激しいポジション争い。

2R。引き込んだホドリゴが下から足を巧みに利かせて三角狙い。マッハ、ちょっと手詰まりになる。イノキ−アリから、今度は
ホドリゴが踏みつけ。マッハ、足関を取りにいくも失敗。マッハ、組んで強引な投げを試みるも潰され下に。ホドリゴにサイドまで奪われる。
結局、ポジションキープに成功したホドリゴの判定勝ち。マッハ、全然ダメージないんだけどね。テクニシャン相手に
技術戦の展開に持ち込んでしまい、不完全燃焼の感有り。

ホドリゴの勝因はパワー負けしなかったことかな。まあ、ナチュラルの体重差もあったと思うけど。マッハ、”巧さ”は円熟味を
帯びてきたものの、代わりに唯一無二の”凄み”を失ってしまった感じ。戦術的にも、この相手なら打撃に固執すべきだった。微妙にパワー負け
してる感もあったし、階級も合っていない。77kgでやって欲しいな。ホドリゴは地味だけど強いので、本戦に起用して良いと思う。
それと、会場の空気に流されず公正なレフェリングが為されていたことも付記しておく。


休憩。さすがに前半戦が長すぎて疲れた。


[第六試合 10min1R+5min1R]
○ミルコ・クロコップ(103kg)
(1R2:12 KO)
×山本宜久

疲れてボーっとしてたから、ヤマヨシの体重聞き忘れた。まあウェイトがどうのこうのと云う試合じゃないからいいか。

”魔性のDDT使い”ことヤマヨシの入場には、ブーイング六割の拍手四割と云う感じでしょうか。俺は当然拍手ですよ、
だってブーイング飛ばす理由があんまないもん。

結論を先取りすると、今回のヤマヨシは大晦日の村上の反復でした。ただ、村上が既にヒールキャラを確立しているプロレスラー
なのに対し、ヤマヨシの場合いかにも「無理している」感じがしていて痛々しかったです。見所は、タックル切って上になったミルコが
何発か出したパウンドでしょうか。いや、マジで凄いパウンドでしたよ。最後はイノキ−アリから顔面を蹴り上げたミルコが、フラフラの
ヤマヨシに追撃のパンチを連打で。まさかレフェリーまでアングルに加担した訳ではないだろうが、ストップちょっと遅かったと思う。

制裁マッチだかなんだか知らないけど、こういう実力差の大きい試合組んでも、単に質の低いコンテンツに終わるだけだと云うことだろう。


大ノゲイラ登場。まあ、挨拶だけ。


[第七試合 10min1R+5min1R]
○五味隆典(70.7kg)
(1R4:55 KO)
×ジャドソン・コスタ(71.6kg)

五味、コスタのパンチの引き際に合わせて絶妙なタックル、テイクダウン。片足抜いてハーフに。コスタ、フルに戻して三角狙い。
五味、一気にサイドを奪うとヒザを当てていく。さらにマウントを奪取し、パンチ連打。一度はサイドになるが、もう一回戻って
マウントパンチの雨。一発一発はそんなに重みを感じないが、手数で勝負を決める。

相手の実力という部分でブラックボックスは残るが、それは措いても今日は五味の良さが出た試合。五味はリデル戦法以外にも、
今日みたいに倒してパスして殴るというタクティクスも選択肢として持っているんだよね。次はハウフで良いと思う、三島に勝ってるし。


[第八試合 10min1R+5min1R]
×郷野聡寛(86.3kg)
(1R9:04 KO)
○マウリシオ・”ショーグン”(90.7kg)


郷野ですよ。かつて「修斗一本で生活したいんです」とか、「ファミレスで値段気にせず注文したいんです」とか泣きを入れていた郷野ですよ。
そんな郷野が実績を残した上でPRIDEでセミに抜擢されるんだから、世の中捨てたもんじゃないのかも。

結論を先取りすると、郷野は良く頑張っていたと思う。例によって例のスタイルに固執する郷野、かわせるんだけどカウンターを打ち返せない。
打ち返す隙を与えて貰えない。ショーグンの打撃のラッシュが止まらないから。リズム感、手数、当て勘、スタミナ、いずれも尋常ではない。
ショーグン、体重を増やしてる中途ということもあってか、腰はあまり強くない。郷野が強引に転がしてイノキ−アリになるシーンもあったのだ が、
郷野はスタンドを選択。この自身のスタイルへの絶対的な自信と固執が裏目に出た試合だったが、俺には郷野を攻める気はさらさらない。

郷野、圧力に耐え切れずテイクダウンするも、ショーグンは立ち上がる。「倒されたら立ち上がればいい」ってのは、近藤のためだけの
言葉ではないと云うことだね。郷野の誤算は、ショーグンの首相撲の巧さと強さ。尋常ならざる強烈な引き付けで打点の高いヒザを連発するショー グン。
フィニッシュの起点となったのもヒザで、そこから再度ヒザ→パンチ→顔面蹴りという怒涛のラッシュは圧巻の一言。

郷野、自分のスタイルを貫徹した意地は見事。現状、このレベルの相手では通用しなことが露呈してしまったが、まあショーグン並に
「総合の打撃」が強い選手はそうそういないし、巻き返しに期待したい。一方、勝ったショーグン。打撃センスだけならトップレベルだが、
腰の軽さとグラウンドでの不安定感が、トップクラス相手の試合に不安を残す。まあ、素質は抜群なのはもう間違いないんだけどね。


[第九試合 10min1R+5min1R]
×美濃輪育久(84.7kg)
(1R1:09 KO)
○ヴァンダレイ・シウバ(90.0kg)

まず最初に言っておくと、俺は美濃輪の大ファンですから。

入場から試合前の睨み合いは最高に格好良かったんだけどね…。タックルをガブられた美濃輪、四ポジヒザを恐れたのか、
安易に引き込んで下に。んで、パウンドくらって終わり。ヴァンダレイ、パウンドも強かったです。

まあ美濃輪は、一からやり直しですね。「やせ犬のプライドがあるなら立ち上がれ」。


[総括]
全11試合で四時間と、試合数の割りにコンパクトに収まった興行。それは随所に金魚マッチを挟んだことが大きいのだが、
密度の濃い試合はあまり見られず個人的には低調な試合でした。選手の顔触れそのものは魅力的なんですけどね。

時間に関わらず、やはり11試合は多すぎる。試合を見る際の前提となる記憶の蓄積や思考回路を11パターンも用意せねばならず、端的に言って
集中力が落ちる。やはり、7〜8カード、多くてもせいぜい9カードくらいには収めて、個々のコンテンツの密度を濃くした方が良い。

以下は完全に個人的な提案。試合を削るに際して、当然今村 vs. チェのように意義の希薄なカードは削るべきだが、他は「上」の方から削って
欲しい。今回の興行で云えば、ミルコの試合とヴァンダレイの試合を削って、一回り小さい代々木第二やNKホールなんかで開催すべきだと思う。

武士道の機能は、DEEPなどで結果を残した選手の挑戦の場、未知の強豪の発掘の場、軽量級トップ選手を決める場に特化して欲しい。
それを前提とした上で、観客層を考慮してマニア向けのコンテンツを多く提供していく。中規模会場でやれば、会場の地熱も上がる。
以上、個人的な希望です。




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