2/1 SB 後楽園ホール興行 観戦記
■団体:シュートボクシング
■日時:2004年2月1日
■会場:後楽園ホール
■書き手:高倉仮面

18:25
今、SBに逆風が吹いている。

僕の会社には、結構、格闘技好きが多い。
三種類のK-1やPRIDE等の格闘技の中継をゴールデンタイムに流し、
大晦日にはTV三局が「格闘技」を武器に紅白越えを狙うような時代にあって、
格闘技が一般層に浸透するのは当然の話ではある。
そして最近はPRIDEもK-1も、以前に比べて中小の団体の選手を、
所属団体をそのままにしてリングに招聘するようになった。
特にK-1 MAXはこの傾向が強く、おかげで世間一般の層にも、
SBや新日本キックといった団体の名前は知られるところとなった。

で、K-1 MAXに上がるSB所属選手を見た僕の会社の人々の感想は…。

「SBって大した事ないね」。

2003年7月5日、K-1 WORLD MAX GPにS-CUP2002 覇者であるアンディ サワーを出場させたSB。
かつての兄弟子、アルバート クラウスと対戦するも、
パンチを得意とするサワーがクラウスのパンチを前に防戦一方の展開。
後半はボロボロになりながらも意地の反撃を見せたが、結局1Rで玉砕。
そしてその姿は、ゴールデンタイムに全国ネットで放送されてしまった。

2003年11月18日に行われたK-1 MAXのワンマッチ興行。
SBからはアンディ サワー、ダニエル ドーソン、土井 広之の3名が出場。
しかし、地上波中継で試合が全て放送されたのはサワーただ一人だけ。

そのサワー、元SBのエースで現在は大阪プロレスで活躍する村浜 武洋を相手に、
3R判定勝利を修めたものの…、身体の小さい村浜と互角に戦うサワーを見て、
「ああ、サワーはこのレベルの人なんだな」と思った人は多いようである。
サワーはこの興行の直前に出場したSBの試合で格下相手に調整不足を露呈していたので、

この時の実力を「サワーの実力」だとは信じたくないのだが…。

そして唯一の日本人、土井の試合はダイジェスト放送。
SBでの前哨戦では、外国人を相手にキラーロー一辺倒の試合で1RKO勝利を修めたのだが…。
MAXでの試合。セコンドにいるシーザー会長が激を飛ばす中、
マルフィオ カノレッティを相手に得意のキラーローで攻め込むも、
中盤からはカノレッティのパンチに押されまくり。
3Rにストレートで痛恨のダウン、そのまま判定負けを喫してしまった。
個人的には、3Rにはキラーローがカノレッティの動きを確実に止め始めていたので、
あと1R〜2Rあれば勝敗は逆転していたと思うが…。
K-1 MAXは基本は3R制。土井はこのルールで勝つのは難しいのではないか…と思わせる試合だった。

で、小次郎と対戦して唯一勝利を修めたダニエル ドーソンの試合放送なし。
エンディングで試合結果とハイライトのみが放送されていた。
う〜ん、ドーソンもかなり良い選手なんだがなぁ…。

で、以上の事を踏まえると、K-1 MAXの地上波TV中継を見る限りではSB戦士の戦跡は1勝2敗0KO。
「キックといえばK-1」くらいの認識で格闘技を見る人を相手にした時、この数字はかなり痛い。
ましてや、K-1 MAXには魔娑斗という絶対的な日本人カリスマエースがいる。
日本人初のK-1王者、元I.B.F.王者のボクサーにも一方的勝利を修めた彼の前では、
どうしても他の選手達が霞んで見えてしまうのは事実。
SBの存在も、K-1 MAXの中では霧の向こう側にいると言えるだろう、悔しいが。

SBの逆風は対世間だけではない。

2003年10月25日、
予てから進出を計画しながらも中々実現しなかった中国散打との対抗戦がついに実現。
中国の福建省体育館にて「第一回 中国功夫 vs 日本SB争奪戦」として行われたこの対抗戦。
その結果は、と言うと…。

SB勢は散打ルールに苦しみ、
出場した8選手全員が判定負けするという屈辱を味わったのだ。

散打のルールは、資料によると、
・足の裏以外がマットにつくと2P。つまり、ちょっとコカされても2P
・正柱線に打撃がクリーンヒットすると1ポイント
・ノックダウンは投げと同じ2ポイント
と、ここまではそれ程にはクセがないのだが…。
・5R制
・ラウンド毎にジャッジを行い、ラウンドを制した方に1点加算。
このルールが何とも厄介。つまり前半3Rを先取してしまえば、
KOされなければ、適当に逃げ回っていても判定勝ちをする事が出来るのだ。

慣れないルールの中で闘ったSBの選手達だが、
真っ向勝負でダウンを奪う事を信条としている彼らは、
皆、最初の3Rでコケさせられたり投げられたりしてポイントを奪われ、
後の2Rでダメージを与えて挽回するも相手に逃げられまくって結局は判定負け…、
というパターンにハマってしまったのだ。

そして、この模様は中国・中央テレビが3時間枠で生放送。
これを見た中国人が感じる事。

「SBって大した事ないアルヨ」。

このように他団体進出で大苦戦を強いられているSB。
だが、その内部の興行も荒れまくりである。

2002年から2003年にかけてSBは、
K-1 MAXからの刺客、裏番長・シェイン チャップマンや、
S-CUP2002 覇者・アンディ サワーの活躍によって「外国人天国」と化してしまったのだ。
この2人の外国人を前に、SBの日本人エース選手は次々に敗北を喫していった。
あまりの日本人の負けっぷりに、廃刊したSRS-DXには「日本最弱」の烙印を押される始末。
思えばサワーだって、今でこそSBの選手として認知されているが元々は普通のキックボクサーだ。
今、純SB勢、特に創始者であるシーザー会長が掲げる「強い日本人」の活躍がないのは寂しい限りだ。

そんな中、今年初の後楽園ホールの興行を迎えたSB。
メインは土井 vs サワー、S-CUP2002以来となる両者の対戦は土井のリベンジ戦である。
また、半年間の欠場の末、2002年12月7日のヴラディウラヴ クリクフェルド戦で復帰した緒形も試合を行う。
S-CUP2002でKOKルールで対戦し引き分けているナーコウ スパインとの決着戦、今夜はSBルールでの対戦だ。
リベンジ戦と決着戦、二人の日本人は、過去を清算してSBの新しい未来を作る事が出来るのか?
そして「強い日本人」の姿をシーザー会長の前で見せる事が出来るのか?
SBは今年の7月には再び中国・山東省に渡って散打との対抗戦を行い、
9月にはS-CUP 2004の開催を決定している。また、今年もK-1 MAXに選手を貸していくだろう。
今年も内外問わずに飛躍しようと目論むSBだが、それらの事も普段の興行があっての事。

シーザー会長曰く、

「大山倍達曰く、『万日を以って極とする』。
 SBは今年で20年だから約7000日。頑張って万日にしないとね」。

険しい道を進み続けるSBだが、万日の先にあるものが「SBって大した事ないね。」ではあまりにも悲しい。
ならば、今日のような普通の興行だって大事な興行、まずは「強い日本人」の証明からである。

長々と書いたが、チケット購入。
立見席で3000円。相変わらず安くてイイ感じである。

18:30
パンフレット購入、1000円…の割にはシッカリした作り。
で、読んでみると、シーザー会長が今年開催予定のS-CUP 2004についてこんなコメントが。
・ルールを以前のものに戻す可能性がある。5分、4分、3分…というモノに。
・70kg級の八人トーナメントとは別に、80kg級の四人トーナメントも開催するかも。
う〜ん、面白い要素だとは思うけど、両方とも適用しちゃうと興行時間が長くなるかもなぁ…。
前回のS-CUPも4時間半もやってたしなぁ…。

で、会場入り。
少し遅れての入りだった為、既に第一試合が始まっていた。
客入りは約6割。時間が進めばもっと入っていくだろう。
「強い日本人」を観れる事を期待しつつ観戦開始。

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●ルールについては、基本的には「K-1」と同じですが、
以下の点が「K-1」と違います。

・組みついてからの膝攻撃は何発でもOK。

・投げがOKである
(有効な投げはジャッジ時の点数にもなる。後方から投げた方が点が高い。)

・立関節がOKである
(有効な立関節はジャッジ時の点数にもなる。後方から極めた方が点が高い。)

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第一試合 フレッシュマンクラスルール スーパーウェルター級 3分3R
○NIZUMAX!(171cm/契約体重70.0kg/クロスポイント吉祥寺)
●大田 義昭(177cm/契約体重70.0kg/シーザージム)
[判定 3−0]

2R途中の観戦となったが、名前の派手なNIZIMAX!が大活躍。
ジャーマン スープレックスで2P、ストレートでダウンを奪い2P。
対する大田は防戦一方、こりゃ勝てんだろうな。

3R、大田はストレートとミドルキック、バックドロップ気味の投げで逆転を図るも、
NIZIMAX!は田村 潔司ばりのジャンピング ハイキックでペースを握らせない。
更にストレートを入れると、もう大田はフラフラ。
NIZIMAXはチャンスとばかりにラッシュを仕掛け、更にバックドロップのお返し。

だが大田、弱りながらもNIZIMAX!のパンチにパンチを返していくと、
これが逆にボコボコとNIZIMAX!の顔面に入っていく。
更に前蹴りがモロに入り、ストレートがハードヒット、すっかり勢いがなくなるNIZIMAX!。
最後は両者ボロボロになりながらも殴り合い、会場が熱狂する中、試合が終了。
おおっ、この熱狂、このボロボロ具合、これぞSBの第一試合っ!!。

判定は2Rのポイントが効いてNIZIMAX!のストレート勝利。
だが、お互いに精神の強さは見せたのではないだろうか?
この二人からは「強い日本人」の片鱗は見えたな。


第二試合 フレッシュマンクラスルール 68kg−65kgグローブハンデ戦 3分3R
○松本 賢治(172cm/67.7kg/シーザージム)
●五味 慎一郎(175cm/64.65kg/湘南ジム)
[判定 3−0]

1R、お互いに牽制のジャブやローキックを打つばかりで中々近づかなかったが、
1分を過ぎたあたりから松本が攻め始める。威勢の良いローキック、ミドルキック。
これに対して五味はやや攻めが後手にまわってしまっている。
終盤、松本のミドルキックが五味のボディにグサリと入ると、五味は苦しい表情に。

2R、松本の攻勢は続く。
ローキックを中心に、時々ミドルキックを放つ攻め。
五味もローキックやジャブを返すが、相変わらず攻めが後手にまわっている。
ラウンド中盤には松本の重いミドルキックが再び五味のボディにヒット、かなり効いている。

3R、やはりミドルキックで五味を蹴る松本、
五味は打撃を返すものの、松本のカウンターのストレートがモロにヒットしてしまい防戦一方に。
松本はノーガードから顔を突き出して五味を挑発しつつ、
更にミドルキックやローキックで一方的に蹴っていく。一方的な展開だ。

すっかり調子づいた松本は、ローキックを喰らった五味がスリップすると、
崩れた体勢のままの五味の顔面にキックを叩き込んでいた。う〜ん、これは良くない光景。
「強い日本人」を標榜するシーザー会長のお膝元で練習している選手とは思えん。

試合終了、判定は3−0で松本の勝利ではあるが…。
崩れている選手に打撃はイカンわな。


第三試合 フレッシュマンクラスルール フェザー級 3分3R
○菊田 光正(165cm/56.35kg/寝屋川ジム)
●植松 辰弥(161cm/56.85kg/シーザージム)
[判定 3−0]

1R、序盤から打ち合う両者。
お互いのフックやストレートが交差するド突き合いの中、
菊田はヘッドロックで植松を絞めていく。菊田は絞め技が得意なのだ。

ブレイク後、尚も続く殴り合い。
菊田はストレートで攻めれば、植松はフックを返していく。
そんな中、植松はミドルキック2連発をヒットさせる。
対して菊田は、ストレートをヒットさせた後に得意のフロントチョークで植松を絞める。
植松が脱出した後にストレートで攻勢に出たところで1Rは終了。白熱した好試合。
2R、やはり激しく殴り合う両者。
お互いに小気味よく打撃を交差させていくが、
ラウンド中盤、菊田のアッパーとストレートがヒット。
更に終盤、菊田得意のフロントチョークが再び植松の喉を絞める。
これに対して、植松は絞める菊田を持ち上げリングに叩きつける意地の一撃。
3R、やはり殴り合いと蹴り合いが続いたが、
ここで菊田、三度目のフロントチョークが炸裂。
レフリーがシュートサインを出す中、長い間絞められた植松。
これは何とか脱出したが、菊田には貴重なシュートポイント1Pが加算される。

菊田はラウンド終盤にもフロントチョークを繰り出した。
このラウンドは絞められ続けた植松、すっかりスタミナを消耗。
そんな植松に菊田がアッパー、フック、ヒザと打撃を軽快にヒットさせたところで試合終了。
判定、3−0で菊田。
絞めを得意とするSB戦士の今後に期待。


第四試合 フレッシュマンクラスルール スーパーバンタム級 3分3R
−今井 教行(シーザージム)
−ファントム 進也(龍生塾)
[試合中止]

第四試合は何故か試合中止。

第五試合 エキスパートクラスルール 92kg−85kgグローブハンデ戦 3分5R
○大石 亨(185cm/91.35kg/日進会館)
●池上 強志(180cm/85.2kg/龍生塾)
[判定 3−0]

長い間K-1 JAPANで活躍していた大石、最近はSBの興行に顔を出すようになった。
初参戦は、中国・福建省体育館で行われた「第一回 中国功夫 vs 日本SB争奪戦」に、
ヘビー級の代表としてメインに出場。最終的には敗れてしまったが、
クセのある散打ルールの中で楊 暁靖を相手に4Rまで2−2と互角の闘いを演じていた。
また、2003年末には宍戸 大樹と共にオーストラリアのキックボクシング興行にも出場。
そして本日、ついに日本のSBのマットに初出場する。
TVでは怖い顔ばかりが強調されていた大石、慣れないSBルールの中で実力を発揮できるか?
大石の対戦相手は、本来は大石の相手はSB日本ヘビー級三位の伊賀 弘治だったのだが負傷欠場。
代わって出場するのは同じく龍生塾所属、関西グローブ空手チャンピオンの池上。
本日がデビュー戦となる池上、大石を相手にどこまで喰い下がれるのか?

1R、序盤、いきなり大石は腰投げを放って池上から1Pを奪うと、
経験や体重差に任せてペースを握っていく。
ローキック、ミドルキック、ストレート、ボディへのフック、が次々に池上にヒット。
これに対して経験のない池上はローキックを返すのが精一杯。
そんな池上を大石はコーナーに追い詰めてボディブローの連打で攻め込む。

2R、大石は攻撃の照準を池上のボディに絞って打撃を繰り出す。
コーナー際に追い詰めてのボディブロー&ミドルキック、
首相撲からボディへのヒザ攻撃といった攻撃を何度も何度も繰り返す。
対する池上、何とかミドルキックを返していくも、やはりペースを握るまでには至らない。

3R、やはり大石の攻勢が続く。
何度目も続くボディブロー&ミドルキックを前に池上のスタミナが切れた。
このタイミングでストレートを立て続けに二発喰らってしまい、池上はグラグラの状態。
大石が更にラッシュを掛けると、ついに池上はダウンしてしまった。

何とかカウント8で立ち上がった池上、観客は大歓声を贈るがダメージは大きそうだ。
そんな池上を大石は追い討ちのボディブローとストレートのラッシュで攻め立てる。
棒立ちの池上は何発も打撃を喰ってしまう…が、根性で耐え凌ぎこのラウンドを乗り切った。
観客は池上を大歓声と拍手で賞賛。

4R、池上、ついに反撃。
ストレートパンチから、大石の首を捕ってフロントチョークの体勢だ。
観客は大逆転を期待する歓声を挙げる。

…が、大石がこれを逃れると、再び試合は一方的な展開。
ゆっくりと前に出て、ローキックやミドルキックを中心に池上を攻めていく。
これらをバシバシと喰らう池上、大分スタミナを消耗していたが、そんな状態の中でもパンチを返していく。
デビュー戦であるにも関わらず、K-1 JAPANで活躍する選手の打撃を耐え凌ぐ池上に、
観客は知らず知らずのうちに判官贔屓の歓声を贈っている。
5R、残りの体力を振り絞り打ち合いに応じる池上、
序盤の大石のミドルキックとストレートのラッシュにはパンチで抵抗。
そして組み付くと腰投げで身体の大きな大石を投げ飛ばす。これには観客は大歓声だ。
だが反撃もここまで。
大石は再び池上のボディにボディブロー、ヒザ攻撃、ミドルキックの集中砲火を浴びせる。
更には組み付いての腰投げ、これで大石に更に1Pが加えられる。
終盤はややバテ気味になったが、ミドルキックを中心に池上を蹴り続ければ池上は棒立ち状態。
トドメとばかりにミドルキックとストレートでKOを狙う…も、試合終了のゴング。

観客は、最後まで立っていた池上の姿に拍手を贈る。

判定、3−0で大石。とりあえず大石はこれがSB初白星となったが…。
本日がデビュー戦の相手に判定勝利、課題の大きい一戦となっただろう。
対する池上、立派なデビュー戦だったように思う。
これからも「強い日本人」を目指して精進して欲しい。


第六試合 エキスパートクラスルール スーパーフェザー級 3分5R
○及川 知浩(164cm/59.35kg/龍生塾/一位)
●歌川 暁文(169cm/59.8kg/UWFスネークピットジャパン/五位)
[判定 3−0]

前座の名勝負製造機・歌川がついにエキスパートクラスへ転向。
第一戦となった2003年9月23日の三原 日出男戦では、
序盤から攻勢に出て、最後はなんと助走つきの飛びヒザ蹴りで三原を完全KO。
たった92秒の秒殺劇、デビューして一年で歌川はSBのランカーになった。
今日は「アバレンジャーのテーマ」から、
高山 善廣の入場曲である「DESTRUCTIVE POWER」に変化する入場曲で入場。
本人も金髪をかぶって高山気取り、ロープを跨いで入場しようとするが…169cmの歌川が跨げる訳もない。
そこでセコンド、椅子を準備するフォロー、椅子に登った歌川は意気揚々とロープを跨いだ。
そう言えば、高山はUWFスネークピットジャパンで練習する事もあるんだったな。

得意のパンチを武器に、2002年9月22日に寝屋川ジムの前田 辰也を倒して、
スーパーフェザー級の王者になった及川。
だが2003年7月4日に行われた防衛戦、対戦相手の松浦 知希を一方的な展開で圧倒していたが、
4Rに魔のカウンター一撃で痛恨のKO負けを喫してしまった。
現在のランキングは一位。松浦との再戦の早期実現の為には、今日は絶対に負けられない。
今日の入場曲は、グレイシー一族の入場曲「THE LAST OF THE MOHICANS」から、
武藤 敬司の旧入場曲「TRIUMPH」への移行。「TRIUMPH」はカッコいいねぇ。
曲を演奏しているのってROYAL HUNTだっけ?

1R、歌川は得意の左ミドルキックで、及川は得意の1・2のパンチで勝負する。
今日の歌川は左ミドルキックだけではなく、右ミドルキックやローキックを織り交ぜる。

対する及川はローキックやショートアッパーで対抗。
打撃が激しく交差する中、1Rが終了。このラウンドは互角。
2R、お互い距離をとっての殴り合い。
その中で及川が牽制のハイキックを出すが、歌川は難なくガードする。
中盤はお互いにローキックを中心に攻め合う。まだまだ試合は互角。
終盤、及川がローキックを放つと、これに合わせて歌川がカウンターのストレート、
モロに入って及川がグラつく。及川の脳裏によぎるのは、昨年9月の悪夢の防衛戦か?
3R、今度は及川のアッパーが歌川にモロにヒット。
及川自身が両手を挙げて観客にアピールする程の一撃だったが、歌川はダウンを免れた。
ここで及川が攻勢に出る。前蹴りがカウンターでヒット、歌川はスリップダウン。
更にアッパー、1・2のパンチ、ローキックで一気に歌川を攻め込む。
だが歌川も及川にフックをヒットさせたり、
カウンターのストレートで及川をスリップさせたりと、勝利から引く様子はない。

4R、歌川、一撃必殺の飛びヒザを狙うも不発。
ならば、と、得意の左ミドルキックの連打で前に出ていく。
だが及川は、ローキックをパシパシと歌川にヒットさせていくと、
終盤に歌川はこのローキックの前にスリップダウン。ちょっと効いているか?

5R、歌川はやはり得意の左ミドルキックを中心に攻める。
これに対して及川はローキックを中心に、ミドルキック、ハイキックを混ぜて蹴り上げる。
この打ち合いは最後まで続いたが、及川のキックが1Rから破壊力を落とさないのに対して、
歌川のミドルキックは明らかに威力が落ちていた。

試合終了、判定は全員が50-49の僅差ながら、3−0で及川の勝利。
う〜ん、歌川、同じクラスの上位陣を相手に快進撃…とは行かなかった。

試合終了後、及川がマイクを握る。

「今日は応援、ありがとうございます(観客拍手)。

 僕は昨年の9月に大阪で松浦選手にベルトを取られたんですが、
 この一勝でベルトに近づいたと思います。仮はキッチリ返します。
 今日は松浦選手が会場に来ているので、ここで返事を貰いたいと思います。」

で、ここでチャンピオンの松浦 知希が登場。

「どうも。SB日本スーパーフェザー級チャンピオンの松浦です(観客歓声)。
 4月18日、タイトル賭けて勝負だっ! キッチリ練習して来いやっ!(観客歓声)」

で、全然話を聞いてなかったシーザー会長がリング上に。

「え〜っ、今の話、全然聞いてなかったんですが…。
 4月18日、ここ後楽園でこの二人を対戦させてよろしいでしょうか?

 (観客大拍手)

 わかりました。ではこの二人の対戦を認めます。
 二人ともしっかり練習してきて下さい!」

と言う訳で、4月18日の興行にて、
松浦 知希 vs 及川 知浩のSB日本スーパーフェザー級のタイトルマッチが決定。

この階級ではSBで一番「強い日本人」だと思う及川。
今日はKO勝ちではなかったが、タイトルマッチでは得意のパンチによるKO勝ちが観たい。

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10分の休憩の後、
「♪シィ〜ザァ〜ッ、シィ〜ザァ〜ッ!」と共にシーザー会長が登場。
お馴染み、休憩後のご挨拶である。

「本日は東京での本年最初の興行にご来場いただき、
 誠にありがとうございますっ!!(会場歓声)

 SBは今、19歳です。そして今年の後半で20歳になります(会場拍手)。
 SBが20年もやらせて頂けたのは…、
 色々な企業の社長さん、社員の皆さん、そしてファンの皆様のお陰です。
 私はSBの産みの親ではありますが、育ての親は皆様方です。皆様あってのSBです(会場拍手)。

 今日はあと二試合あります。
 出場する緒形、土井はSBの歴史の半分以上を、僕のそばで過ごしてきました。
 僕は彼らに何もしてあげる事は出来ませんが、彼らは僕の気持ちをわかってくれていると思います。

 私はこの道しか生きる道を知りませんが、
 私の知っている全てを後輩達の残して行こうと思っています。
 これからも、末永くSBを応援してください。ありがとうございますっ!!(会場歓声)」

この後、シーザー会長はSBに新たなる戦士が登場する事を紹介。
かつてはMAキックで活躍し現在はIKUSAのエースとして活躍するHAYATOが、SBを主戦場にする事を表明。
マイクを持ったHAYATOは「これから僕もSBに参加します。会長よろしく」と言葉少なに挨拶。

更には、2003年12月14日、オーストラリアにて行われたキックボクシングの興行にて、
チャンピオンであるクリフトン ブラウンを下して、
WMC世界王者となったネイサン コーベットがリング上から挨拶。

「(日本語で)コンバンワ、ゲンキデスカ?(観客歓声)

 昨年は沢山の声援をありがとう。ついにチャンピオンになれました。
 今年はK-1にもチャレンジしていこうと思います。

 (日本語で)アリガト!(観客歓声)」

う〜ん、K-1での試合も観たいが、
S-CUP2004の80kg級トーナメントへの出場が見たいなぁ。
SBは何気にこの階級にも強豪が多いんだよなぁ。

で、最後は今日は試合のない宍戸 大樹もリングイン。 リング上の四人で、スポンサーから戴いた扇子を会場へプレゼント。

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第七試合 エキスパートクラスルール 71kg契約 3分5R
○緒形 健一(172cm/71.45kg/日本/シーザージム/SB日本スーパーウェルター級王者)
●ナーコウ スパイン(181cm/71.5kg/ニュージーランド/ファイブ リングス ドージョー/SPARTANミドル級王者)
[2R 2分22秒 TKO]
※3ダウンによる

SB日本人エース・緒形が再び始動する。

2003年6月1日の試合にて、シェイン チャップマンに良いところなく敗れた緒形。
半年振りとなった2003年12月17日のヴラディウラヴ クリクフェルド戦はKO勝ちを修めたが、
まだまだ自らが掲げた「SBのエースの座は、日本人で取り戻すっ!!」という公約までには距離がある。
外国人天国の元凶であるサワーやチャップマンとの試合を再び実現させる為に、
そして念願のS-CUP2004出場を果たす為に、今日の対戦相手がS-CUP2002でKOKルールで対戦し、
激闘の末引き分けたナーコウ スパインであっても絶対に負けられない。
今日もEUROPEの「FINAL COUNTDOWN」と共に入場する緒形、観客からは歓声が沸き起こる。

1R、緒形は攻撃をローキックに絞ってスパインの腿を蹴っていく。
一発一発がいい音を発していて、早くもスパインは苦悶の表情。
スパインは時折ミドルキックやストレートを返していくが、
しつこくローキックを打ってくる緒形を前に精細を欠いている。

2R、奇襲戦法を見せるスパイン、
須藤 元気ばりのポップダンスから1・2・ローキックのコンビネーション。
だが緒形、そんなフェイントなどお構いなしに、ロー・ロー・ローのローキック連打。
これに時折ハイキックを混ぜて攻めれば、スパインの表情から余裕が消えていく。

決着は早い段階についてしまった。
スパインのローキックに合わせて、カウンターのストレート、そしてローキック。
立ってきたスパインに、駄目押しのローキック二連発。
尚も根性を見せるスパインに、1・2パンチからのローキックの連打。
緒形は、完全に足にきているスパインから3ダウンを奪うのにあまり苦労しなかった。
観客はSBの日本人エースの勝利に歓声を挙げる。

マイクを持った緒形がアピール。

「今日は応援ありがとうございます。
 昨年6月にチャップマンに負けまして…ようやく復活する事が出来ました(観客歓声)。

 僕はもう現役は長くない、と思うので(観客「そんな事言うな!」の声)、
 今年を最後の年だと思って闘って行きたいと思っております。
 SBを世界に知られるような競技にする事で、
 シーザー会長に恩返しをしたいと思います(観客歓声)。」

シーザー会長の言う通り、
何も言わずとも緒形はシーザー会長の言わんとする事をわかっていた。

そして緒形は「SBを世界に知られるようにする」、
その第一歩として2004年のK-1 MAX 日本予選に出場する事が決定。
一回戦の相手は、あの新日本キックのエース・武田 幸三だ。

う〜ん、正直、このカードは切ないなぁ。
二人とも、真っ直ぐな性格をしているのが試合からも伝わるタイプなだけに、ね…。
「強い日本人」を証明するのは、かくも残酷な事なのだろうか…。


第八試合 エキスパートクラスルール SB世界スーパーウェルター級初代王者決定戦 3分5R
○アンディ サワー(172cm/69.9kg/オランダ/リンホージム/S-CUP2002 覇者)
●土井 広之(173cm/69.75kg/日本/シーザージム/SB世界ウェルター級王者)
[4R 1分11秒 TKO]
※タオル投入

本日のメインは、新設されたSB世界スーパーウェルター級の初代王者決定戦。

う〜ん、正直、またこの階級のベルトを作るのかぁ…という印象は否めない。
昨年もSB日本ミドル級とかを新設していたし…。
王者が混在するリングは誰が一番強いのか見えなくなるから、
あんまり良くないと思うのだがなぁ。

置いといて。

この試合はS-CUP2002の準決勝の再戦。
前回の対戦では一回戦で靭帯を痛めていた土井が、
あっという間にサワーのラッシュに捕まり1Rで敗北を喫している。

今回は両者万全の体調での対戦。

シーザー会長が言う「強い日本人」を実践する為に、
自らが招いた「日本最弱」の汚名を返上する為に、土井は是が非でも勝たなくてはならない。

だが、サワーは考えようによっては土井よりシンドイ。
一度勝利した相手に勝利するのは当たり前として、
K-1 MAXでの評価を変えるには、その勝ち方までが問われる事になるのだから。

ベルトが賭けられなくてもお互いに負けられない一戦、
それでも試合はタイトルマッチという事もあり、両国の国歌吹奏の後に試合は開始。

1R、土井はジャブで距離を取りつつ、
得意のキラーローを信じてひたすらサワーの外腿・内腿を蹴っていく。
これに対して、サワーはストレートとボディブロー、そして右のローキック。
こちらも得意技で対抗。ラウンド中盤までは互角の闘いを見せる両者であったが…。

いきなり均衡が崩れる。
土井のキラーローのカウンターとしてサワーはフックと上段ヒザ蹴りを叩き込むと、
ダメージのあった土井は真っ直ぐに下がってしまった。これはSB戦士共通の悪い癖。
あっという間にコーナーに追い詰められた土井にサワーは得意のコンパクトなラッシュ。

フック、ボディブロー、上段ヒザ蹴りといった打撃をフル回転させるサワー。
観客が悲鳴を挙げる中、1Rは終了。土井、早くも厳しい感じである。

2R、1Rの悪いイメージを払拭しようと、
土井は開始早々、威勢の良いキラーローをサワーの腿へと叩き込む。
サワーはミドルキック、ストレート、至近距離からのフックやアッパーでお返し。
打撃を喰らいながらも、土井はラウンド中盤に重いキラーローを連発でヒットさせる。
終盤、サワーは土井をコーナーに追い詰めて、再びコンパクトなラッシュ。
フック、ボディブロー、上段ヒザ蹴りが次々に土井に襲い掛かる。
…が、土井はキラーローで反撃、1R終盤の悪いイメージを何とか挽回。

3R、土井はキラーローがローブローになってしまい注意1。
だが次の瞬間には二ールキックを繰り出し、調子の良いところを見せたが…。

1・2からのローキックを出して土井を攻めるサワー、
土井のキラーローに対してカウンターのストレートをハードヒットさせると、
棒立ちになった土井をコーナーに追い詰めてラッシュを仕掛けた。
ショートアッパー、ストレート、左右フックの連打を次々に浴びせ、最後は得意のボディへのフック。
観客が悲鳴を挙げる中、土井はついにダウン。

土井が意地を見せる。カウント7までは立ち上がる素振りも見せずに倒れていたが、
カウント8の瞬間、まるでダメージがないかのようにスッと立ち上がった。
これを見た観客は「土井にダメージはない」と判断、エースの反撃を期待する大歓声を挙げる。
試合再開、再びキラーローでサワーを蹴っていく土井、
更にはショートアッパーをサワーにヒットさせた。
観客の歓声は更に大きくなっていく。

…が、サワーは再び土井をコーナーに追い詰めてのラッシュで殴りまくり。
左右のフックはガンガン土井のボディや顔面にハードヒットし、再び土井はダウン。
先程と同じくカウント8でスッと立ち上がる土井だが、
体力が減ってきている事は誰の目にも明白だ。

4R、サワーの手は休まらない。
ダメージの大きい土井に上段ヒザ蹴りを浴びせると、
またしてもコーナーに追い詰めてのラッシュで土井を攻め込む。
次々に土井のボディや顔面にフックを叩き込むサワー、土井は耐え切れずダウン。

それでも立ち上がってくる土井に、観客は大歓声を挙げる…が。

棒立ちの土井、再びラッシュを仕掛けてくるサワーを前に、打撃のガードすら出来ない状態。
強烈なフックと上段ヒザ蹴りのコンビネーションを全て浴びれば、
正常なセコンドなら誰だってタオルを投げるだろう。
今日の土井、精神性では「強い日本人」を見せても、
実力で「強い日本人」を証明できなかった。残念。

サワーのK-1 MAX再出場に繋がる完勝劇。
SBでは初となるベルトを巻いて喜ぶサワーがマイクを持つ。

「Hi, Everybody.
 最初に、沢山のお客さん達にありがとうを言いたいです(観客拍手)。

 土井は普段は友人なので、対戦しにくい相手であり、
 非常に強い相手でしたが、何とか闘えました。

   改めて、今日集まった皆さん、家族、そしてK-1の組織の人々へ。
 (日本語で)アリガトウ、オス(観客拍手)。」

今日は久々に強くて怖いサワーを見た…のだが、
正直、サワーはSBの選手とは相性が良いのではないか、と思う部分もある。
…と言うのも、試合中にも書いたが、SBの選手はイザという時に動きが直線的な選手が多く、
ダメージを受けると真っ直ぐに下がってしまう事が多いのだ。
それ故、コーナーでのラッシュを得意としているサワーに捕まりやすいのではないだろうか。
その点、村浜はヒット&アウェーを駆使して器用にサワーと闘っていたっけ。
やはり、SBの選手にはもう少しズルさが欲しい。

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雑感:
SBにしては7試合と若干短めの興行でしたが、
興行時間の総計は3時間半。意外に丁度良い長さでした。
試合も好勝負が多く、相変わらずこれで3000円は安いと思います。

ただ、今日の興行はイマ一つ、次に繋がるモノがなかったというか…。
一応、第六試合の後で松浦 vs 及川の絡みがありましたが、
緒形が繋がる先はK-1ですし、土井は負けたから繋がらないし…。
HAYATOの参戦なんかは、もう少しそのインパクトを強調して欲しかった。

今年はS-CUP 2004の開催を予定しているなら、
もっとその辺で煽っても良かったんじゃないでしょうか?
まあ、まだ9月までは時間があるので、
今から煽ってもしゃーないのかもしれませんが。

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以上、長文失礼。




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