「三冠戦と黄色い轍」1・18全日本プロレス大阪府立大会
■団体:全日本プロレス
■日時:2004年1月18日
■会場:大阪府立体育会館
■書き手:声評

 ロビーで青木取締役がいそいそとしながら煙草を燻らせていた。やっぱり不健康そうだった。5分ほど押し気味でオープニングのカード紹介。それが終わって暗転すると、TAKAとガイジンさんたちが出てきて、前説(のようなもの)。内容はともかくとして、こういうときはフォーマルな格好してれば雰囲気が出ていいのに<TAKA

1、くいしんぼう仮面&×石狩 太一&渕 正信(14分40秒 エクスプロイダー→片エビ固め)えべっさん&平井 伸和&奥村 茂雄○

 えべっさんとくいしんぼう仮面はそれぞれテーマ曲付きで別に入場。前説も含めるとやたら時間を食いまくってるのにスローな進行だとあまり感じさせないのは、個人の技量もあるけど、団体のイメージが理由のような気もする。これがエンタメを売りにする団体だったら、あまり好意的に見れないかもしれない。

 そのえべくいが先発。松井レフェリーも巻き込んで、しばらく定番のムーブで客を暖める。あとは若手の石狩が長々と捕まり、奥村・平井が無意味にどっしりと構えて、渕がそこそこ仕事をするという、言ってみればまあ「読める」カードであった。石狩は今度のJ-CUPに出ることが決まっているとのことで、かなり注目して見てたけど、小さくまとまっている感じで印象に残ったところはあまりなく。それが全日らしさと言えばそうなの かもしれないが。

2、○本間 朋晃(4分06秒 腕固め→レフェリーストップ)保坂 秀樹×

 終わってからのマイクアピールで、ターメリック入りがどうとかのストーリーを組み込んだカードだということを知った。後から反芻してみると、本間にしてはがんばっていた方かもなあと思う。つまんなかったけど。
 非情な攻めを受けていても、客が保坂に感情移入できるんかという点で、根本的に間違ってるような。

3、○ザ・マスク・オブ・タイガー&タイガースマスク(10分15秒 逆さ押さえ込み)グラン浜田×&土方 隆司

 フィニッシュになったぐたぐたの逆さ押さえ込みしか印象なし。こういう試合では全盛期の片鱗がどうとかで語られるけども、佐山タイガーの場合、その片鱗すらも失われていきつつあるというか。いや、自分はビデオでしか観たことないけどさー。反面というか、パートナーだった大阪のタイガースマスクはキビキビした動きでとてもよかった。線が細いイメージがあったのも、生で観ると全然そう思わせないレスラーで。でもまあ、だ からと言って連携技とか期待できるわけでもなく、あっさりと。

4、河野 真幸&×宮本 和志&ジ・イーグル&ショーン・ヘルナンデス(19分20秒トップロープからのフライング・ソーセージ→体固め)ブキャナ ン&TAKAみちのく&ジャマール○&ディー・ロウ・ブラウン

 「チームでやらせろ(大意)」というTAKAのマイクアピールにより、急遽8人タッグに変更。とにかくジャマール、イイ!! 動けるデブ、イイ!!

 その乱戦の割を食ったのか、河野がほぼ受けっ放し状態で一寸だけ可哀そうだった。試合後のアピールでさらにボコボコにされてたし。とりあえず総合はやめとけと言いたい。アメリカにでも遠征して今日みたいに自分よりデカい連中に揉まれてくる、まじおすすめ。

 決着後、ジャマールがカメラ目線でサップとの対戦をアピール。そりゃどうなんだろう。どすげえ内容にできれば別だけど、それ以外の文脈になってしまうとデメリットしか残らないような気がする。

5、×荒谷 望誉(11分13秒 ニーパット→片エビ固め)太陽ケア○

 やる気を感じさせない荒谷を見て、いつもの荒谷だとある意味で安心。何がしたいのかちょっとわからない流血などがあったものの、それなりのプロレスになるだろうと思った10分過ぎ、ケアのひざ蹴りで唐突にフィニッシュ。そりゃコンディションとかで不安があるんだろうけど、観客からすればおいおいといった反応をするしかない結末。というか、セコンドのちょっかいを絡めてケアが辛勝するってのが、シチュエーション的には定 石だと思うのだが。これじゃ荒谷の立場がないというか。
 そんなものそもそも存在しないという意見は却下しつつ(笑)

6、世界タッグ選手権試合
[王者]武藤 敬司&×嵐(26分49秒 ラリアット→片エビ固め)[挑戦者]小島 聡○&カズ・ハヤシ

 コジカズというタッグが個人的にしっくりこないんで、どこかで違和感は抜け切らないものの、仕事そのものを評価してみれば高いものを見せていたと思う。前の試合がいまいちチグハグだったことを考えれば、このタイトルマッチのわかりやすいことと言ったら。出だしの武藤と小島の絡みで5分。ここから一方的。王者組が小島の腕を捕らえて5分、延々とカズの足攻めで10分、孤軍奮闘する小島がフォール寸前まで追い込まれるシー クエンスで5分。で、小島のラリアット3連発で見事に大逆転。

 明々白々な展開ではあるものの、正直なところそれが悪いとは言えなかった。が、ドカーンと来てもいい結末だったのに、いまいち客席は弾け切らず。まあ、こうなったのは嵐の動きの悪さに尽きる。最後のラリアットの食らい方にしてもどうも下手くそで。猛省を求めたいところ。ただ、生で観たシャイニングインパクトには本気でびっくり。かける武藤も受ける側もホントに大したもんだと思った。とんでもない落ち方してたし。

7、三冠ヘビー級選手権試合
[王者]○川田 利明(17分59秒 垂直落下式ブレーンバスター→片エビ固め)[挑戦者]天龍 源一郎×

 言葉がない。いいもん見せてもらいましたとしか言えない。
 壮絶。とにかくボコボコ殴りあう。グーパンチ、平手、エルボー、互いの顔面を張りまくり。プランチャやトペなど、立体的なムーブはほとんどなし。当然のことながら、川田にすら良かったときのクイックネスはない。フォローのできてない雑な攻防もあった。これが全日のタイトルマッチらしいかと問われれば、そうではないのかもしれない。でもどうしようもなく重い。プレイヤーの形相がここまでの試合とあまりに違いすぎる。

 15分過ぎ、ついに天龍が押しこまれる。必死に抵抗しようとしている天龍がいる。そりゃそうだ。ついに伝わるようになってしまったということかと思う。同じだけの痛みを返せない。こういう場面で鬱陶しいくらいムキになってやり返してきたのが天龍だったのに。もうそれができない。川田のジャンピングハイキックを何度も浴びる。ふと、ああこれを観るために来たんだなあと気付いた。観ている側が切なくなる師匠越え、ジーンと きた。

 敗れて引き揚げる天龍に、感謝の声が惜しみなく浴びせられる。自分も何か言いたかったが、胸が詰まってしまっていてできなかった。こうして観戦記に残すことで、そういう感動が少しでも表せればいいかなあと思う。戦前はあまり期待していなかったのに、ここまで心にひっかかるような素晴らしいプロレスを見せてくれた川田と天龍に、改めてありがとうと言いたい。




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