12/19 全日本女子 駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場
■団体:全日本女子
■日時:2003年12月19日
■会場:駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場
■書き手:しま
駒沢オリンピック公園というところは、どこから行っても遠い会場。昼間、自由が丘から犬の
お散歩がてらぶらぶら行ったりする優雅な人にとっては、まあそういう場所なんだろうが、平
日の夜に電車やバスに乗って女子プロレスを観に行く者には過酷な場所なんである。閑静な高
級住宅地に囲まれた大きな公園なもんだから、昼間は「環境がいい」ですむけど、夜ともなれ
ば真っ暗で、とてもじゃないけど一人で歩きたくないようなところ。オリンピック当時に建て
られた屋内球技場は灰色のコンクリートも古びて凄みさえ感じられる。入り口に通じる広〜い
階段には人影もなく、まるでシュールな映画の一場面のようである。

8月のここでの大会はガラガラで、しかもこの会場の客席はガラガラが十倍くらいに感じられる
ような造りになっているので、ほんとに見ていてツラかった。だから今日はさらにツラい思い
をするかもしれない、と心を固くして出かけていった。そのせいかアリーナ席の空き具合を目
にしても心に傷をうけることなく(笑)平常心で観戦できた。じっさい8月の大会よりお客さん
は多かったような気がする。

今日は格闘技戦が主、という大会。今井リングアナがリング上で、こまかくルール説明。ほと
んどの試合のルールが違うので大変です。
あ!リングサイド席に女子プロレスの生きた化石、いや大御所、小畑さん発見!真剣な表情で
リングを見つめております。

Strong Woman 1(5分2R)
○HARI(レフェリーストップTKO勝ち 2:10)×水島

もうすぐデビューの水島が、昔全女にいたこともあるHARIと総合格闘技戦。全女ではまだデビ
ュー前だけど、浜口ジムで鍛えてきた水島は、体はちっちゃいが元気いっぱい。表情も落ち着
いている。しかし、ガンガンパンチと膝蹴りをくらってしまい、1Rであっというまに負けちゃ
った。でもみっともない負け方ではなかったよ。

Strong Woman 2(5分2R)
△高橋裕美(時間切れ引き分け)△亜利弥'

同じく浜口ジムで練習してきた高橋と、たまに全女のリングにもあがっている亜利弥'との総合
格闘技戦。高橋は初めての試合とは思えないほど落ち着いている。体格にも恵まれているし、
試合を見ているとかなり気も強そうで、亜利弥'に全然負けていない。前に前に激しく出ていく
高橋に亜利弥'のほうが苦戦状態である。いいぞー高橋!亜利弥は懸命に関節を極めようとして
極めきれずギュウギュウ引っ張り、高橋は冷静にそこからを抜け出す。ちょっとお!高橋って、
ホントにいいかもー!
結局時間切れ引き分けだったが、判定だったら勝ってたんじゃないかな。
ふと気がつくと、席の近くに松永会長が立って人と話しながら試合を見ていた。声が聞こえる。
会長「亜利弥'は女だから」          (え?ど、どういう意味ですかー?)
会長「ウチのはオトコ女だもん」       (そ、それは、褒めていなさるのですかー?)
会長それだけつぶやいて売店方面へと去る、、、。ちょっと混乱する私であった。しかし、高
橋はイイ!期待できる。

Strong Woman 3(キックルール)
△藤井己幸(3分3R引き分け)△小山田望

今日はサソリじゃなくて、藤井クンに戻ってキックルールの試合をする藤井。頭にはサソリの
絵もなく、久々の素顔とますます細くなったように見える素足で登場。オレンジ系のボクシン
グトランクスには白いリボンがついていてちょっと可愛いかも。セコンドには出稽古に通って
いるU.W.F.スネークピットジャパンの歌川暁文クンたちプロの選手がついていて、しかも途中、
解説席から飛んできて指示を与える大江慎がいたりして、心強い限り。なんたって、スネーク
ピットでは、あのジョシュ・バーネットや、高山と練習仲間である藤井クンである。ジョシュ
とスパーリングなんかやってる(!)のである。その練習が伊達でないことを見せてほしい。
緊張して厳しい表情の藤井。相手の人はよく知らない選手だけどけっこう強い人らしい。
これで勝ったりすると、藤井くんの株も少しは上がるんだがな〜。もっと強いキックを出せ!
パンチももっと力強く!あれ、相手、そんなに強くないんじゃないの?え〜、ガンガンいけば
勝てるんじゃない?あ、あれ、ぜんぜんパンチが当らないや、あ〜反対にパンチもらってるよ、
あれ、でもパンチもらっても倒れないのはエライかも?がんばれ、藤井!、、、という感じで
ハラハラ応援するうち、あっと言う間に延長ラウンドも含めて終ってしまった。判定だと負け
でしょう。でも藤井はがんばったよ。いつも負けても平気そうな藤井の顔が今日は真っ赤にな
って、本当に悔しそうにゆがんでいるのを見られただけでもよかった。

Strong Woman 4(5分2R)
○藪下(腕ひしぎ逆十字固め1R 4:14)×Hikaru

藪下とHikaruでは、力が違いすぎて試合にならないだろう、と思っていた通りのあまりにも予
想通りな展開と結果であった。ただHikaruは思ったよりがんばった。最後、鮮やかに極められ
てしまった腕が痛むらしく、試合後は腕を吊っていたが、退場するとき泣いていたのは悔しい
からじゃなく、痛いから、だったのか?藪タンはいつものポーカーフェイス。

タッグリーグ・ザ・ベスト公式戦
○納見、井上貴=4点(フィシャーマンバスター→エビ固め 20:43)×高橋、浜田=4点

赤いベルトを持つ文子と、あさってそのベルトに挑戦しようという高橋が、今日はタッグを組
んで試合に臨む、さらに2日後、敗者と勝者となった二人がまたタッグを組んでリーグ戦の優勝
を狙う、なんてというのは、そりゃ〜メチャクチャな話しには違いないさ。しかも今日なんか
二試合だよ。でも、しょーがないじゃん。今は全女に人がいないのだし、王者の文子はフリー
選手で、スケジュールを合わせるのが大変なんだから。このメチャクチャ説得力の無い状況を
無理矢理にでも、観客に納得させることができるのは選手の力だけ、それだけである。

ところが、なんと全女の頂点を争っているはずの二人のチームが負けてしまったのであった。
どうも文子はGAEA の試合中肩を痛めたらしく、そのせいか動きがいつもに比べて悪かった。
力強さも感じられず、得意の飛び技もほとんど出ず、暗雲たちこめる。連携技も出すものの、
もうひとつ、かみ合わない風に見える。
しかし四人が互いにアリーナ中を引き回し、ぶつかりあっての激しい場外乱闘には立ち見のお
客さんは大喜び(?)。とくに文子が客席に向かって投げつけられた瞬間、自ら大きく回転し
ながら頭から客席に突っ込んでいった姿には、驚きと感嘆のため息をつくしかなかった。
しかし、文子はここでさらに肩を痛めてしまったようだ。最後はあきらめなかった納見が高橋
からフォール。


○ダンプ(コーナーからのフライングボディープレス→体固め 6:44)×前村

格闘技戦と極悪同盟の試合がいっしょに見られるなんて、これを「お得」と感じるか「安っぽい」
と感じるかで、ずいぶん人生の味わいが違ってくるでしょう。
今日の大会では極悪の試合は、にぎやかし的なものだと思っていたら、こういう時こそ、ダンプ
は本気で来るのだ。いつにもまして、ピンと立てたモヒカンの髪はピカピカに金色に光り、さっ
きキックの試合をしたばかりの藤井もビシッとサソリスタイルになって(頭にはサソリの絵が!)
阿部四郎とともにダンプに付き従って入場してくる。そして、コールの途中から早くもリングア
ナに襲い掛かり、いきなり乱闘乱闘乱闘!その時、リングサイドに座っていた小畑女史が、本気
で逃げてたのがおかしかった。ヤクザっぽいオニイサンまでが本気で逃げ惑ってコケて一人で照
れていた。いや、それくらいコワイってことだ(笑)。
前村は何もさせてもらえず、やっとダンプの胸倉にパンチを当てていくも全く相手にならず。納
見が前村に加勢して、ダンプにダブルのドロップキックをお見舞いしたりするも、全然効かず。
サソリやZAPの乱入もあり、最後は重いダンプに血まみれの前村が押しつぶされてあっさりおわり。
ダンプ「あさって、おまえもこうなるんだよ!」
納見「フザケンナ〜ッ!」「おぼえてろよっ!」(ほとんど悲鳴)
前村、納見に背負われて退場。
この試合(というか乱闘騒ぎ)を会場の隅で、石原が苦笑しながらずっと見ていた。

Strong Woman 5(5分3R/寝技30秒)
○石原美和子(2R 1:36 腕ひしぎ逆十字固め)×前川

さあ、これが今日の格闘技戦のメイン。ダンプの試合をじっと見ていた石原が、セコンドとともに
入場。ものすご〜く大きいイメージがあったのだが、実は背はかなり低い石原、、、でも、なんと
いうか、その落ち着きとあふれる自信によってか、やっぱり大きく見えるんだよねー、すごいわ。
でも前川だって、テコンドーやってるし、強いぞ。いくら10年以上日本人に負けてない、といった
って、もしかして、もしかして、弱い相手が多かっただけかもしれないじゃない!と期待をかける。
しか〜し、ゴングが鳴ってからの石原の圧力はスゴかった。体格では断然勝ってる前川のほうが押
されてしまう。寝技30秒ルールという前川には有利なルールも、秒殺を防げたくらいの効果しかな
かった。前川はすぐにやられたりはしなかったけれど、キックもほとんど出せず、パンチでは全く
相手にならなかった。そして寝てしまうと30秒我慢するだけで精一杯という感じ。
う〜む、、、強い、、、石原、、、。完敗でした。前川も極められて負けたあとは、まさに「完敗」
という表情で笑顔も見せたが、バックステージでは涙を流していた。そうだよね、立ち技は得意に
しているとはいえ、寝技を知らない前川をいきなり格闘技戦に出場させて、簡単に負けさせてしま
う、、、全女が時々やる格闘技戦の無茶なカードは、無茶なところが面白いのだろうが、ろくな準
備期間もなしにこんな試合を組まれる選手は本当に可哀相だ。カードを組む方は軽い気持ちで組ん
でいても、選手の方は本気で未知の相手に挑んでいくんだよ。相手がその道の強豪だからって、選
手にとっては負けは負け、こんなに本気で辛い思いをすることを会社はわかっているのかな。

タッグリーグ・ザ・ベスト公式戦
イーグル、○A・コング=6点(スパイラルボム→エビ固め 11:18)高橋、×浜田=4点

今日、二試合目の高橋組。この四人だとまさに試合は“肉弾戦”と呼ぶにふさわしいものに。
文子も、肩のテーピングが痛々しいながらも、さっきより動きがいい。というか、相手ふたりがあ
まりにもパワー全開なので、必死である。しかし、得意のスピンキックもダブルの攻撃も決定的な
ダメージを与えることはできず、反対にコングから裏拳、ボム、などくらってフラフラ。途中コン
グが机をリングに上げ、そこに寝かせた文子をダイビングプレスで仕留めようとしたが、それはど
うにか逃れ、コングは自ら机に激突して痛そうだった。それにしても、コングのプロレスの上達ぶ
りには目を見張る。パワーファイターというだけでなく、見るたびに試合巧者になっていくのには
驚く。これじゃあ、毎回のように「赤いベルトに挑戦させろ!」と騒ぎ立てるのもムリはない。高
橋が文子に声をかけては流れを変えようとするが、イーグルに邪魔されてカットに入れぬまま、文
子がコングの強烈スパイラルボムに沈む。まさかの二連敗。文子はカットに入れなかった高橋にあ
きれていたが、高橋もまさか文子が簡単にフォールされるとは思っていなかっただろう。
しかし、タッグリーグとしては、ますます混戦となってきたわけで、最終戦が楽しみになってきた。

試合後、アリーナの隅でひろげている売店に行って、早売りの「Deluxeプロレス」など買ってみる。
横に並んだ売店では、納見やナナエや前川が、お客さんに写真集やサイン色紙を売っていて、やっ
ぱり納見クンのテーブルはすごい人だかりだ。まあ、何も買わずに遠巻きに見とれているだけの人
も多いが。
お、遠巻き組のなかに、さっき藤井のセコンドをしていたスネークピッドの歌川クンが(笑)。さて
は納見のファンになったか?と思いきや、しばし売店の前でモジモジしていた彼がおずおずと近付
いていったのは、高橋ナナエのテーブルであった!でれでれに照れながら(赤くなってた)ナナエ
から色紙を買い、嬉しそうにサインしてもらう歌川暁文クン。師匠の大江慎にならって全女ファン
になってください♪





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