10/19 第二回Brat Pack Match お台場メディアージュ内スタジオDream Maker
■団体:第二回Brat Pack Match
■日時:2003年10月19日
■会場:お台場メディアージュ
■書き手:しま
12日、全女ガレージマッチに久しぶりに行ったら見事に女の客がいなくなっていた。
リングを取り巻くむさ苦しさ(笑)に、やっぱり女の子は「団体に付く」んじゃなくて「選手に
付く」んだな、と実感する。「家に付く」猫、「人に付く」犬、っていうけど、、、犬女たちが
いなくなってみると猫男たちのリングを見つめる視線がますます熱っぽく感じられるのは気のせ
いか?
しかし、若い女の子のファンの中にしか未来の選手は存在しないことを考えると、いくら熱心で
も男性ファンしかいなくなってしまえば女子プロレスはいずれ消滅するしかないよな(溜息)。

さて一週間後の今日はガラリと場所柄も開催意図も違う「ちょっと、明るい未来を、いっしょに
見たい」らしい複数団体の若手たちの若手たちによる大会。
といっても、AtoZは仲間に入ってません。


会場は、こじんまりしたスタジオなのでリングのまわりにはマットを敷く余裕はなく、柵もなし。
トップロープのすぐ上に天井からのモニターがぶら下がっているので、選手が頭をぶつけないか
な?とちと心配になる。でも、客にはリングが目の前なので嬉しいかな。チケットは完売したら
しく、ぎっしりの満席。

4団体いっしょの大会なので、客も「うわ、男ばっか」という全女の雰囲気とちがって程好く男女
入り混じっててホッとする。
そういえば女子レスラーって、男女どちらの客が多いほうが嬉しいんだろう?ビミョーに女性ファ
ンのほうが嬉しいような気もするが、、、はて?

準備に手間取っているとかで、十五分遅れで開始。
まずは今日の出場選手の入場(除くサソリ、広田、コング)。そして前回主催したGAEAの里村の挨
拶(というか命令)。

「今日、ここで言いたいことがあります。それは、胸を張って生きていきたい、ということです。
そこでお客さんにも言いたいんですが、お客さんも胸を張って毎日生きてください!」

なんか意味深長であります(笑)。そんなに胸を張れない人がここに集まっているんだろうか。

進行&コールは、全女の新人リングアナふたりと氏家氏がリングには上がらない形式で担当。
いきなり第一試合目で、里村側のコールをすっ飛ばして「レフェリー、笹崎!」とやってしまい、
大ブーイング(笑)!


第一試合
日向あずみ<JWP>、○里村明衣子<GAEA>、植松寿絵<GAEA> VS
×輝優優<GAEA>、カルロス天野<GAEA>、宮崎有妃<NEO> "21分54秒 片エビ固め

テーマがあるようなないような6人タッグである。
しいて言えば、去年JWPを退団して現在はGAEAに参戦している輝に向かって、彼女が退団を決めた時

「私はGAEAが憎いです!」

と叫んだ日向がどんなふうに相対するのか?という点かな。そういえばカルロスも宮崎もJWPに所
属していたんだっけ、、、等々、ついJWPのことに思いを馳せながら試合が始まってみれば、一番
客を喜ばせていたのはいまやNEOマシンガンズとしてノリノリの宮崎であった。
先程のマジキテルと言われても仕方ないような挨拶をするような里村に“恥ずかし固め”をかける
宮崎。逃げた里村に、しつこくもう一度恥ずかしい格好を!しかも長く(笑)!
起き上がった里村、本当に恥ずかしかったんだろう、怒ってるのがわかる。冗談の通じない里村っ
ってけっこうイイかも。
里村の仇とばかりに、今度は植松が宮崎に“恥ずかし固め”をかけるが、宮崎は大股を開くみっと
もない体勢のまま「ぜんぜん恥ずかしくないも〜ん!」と余裕。他にも、NEOではおなじみのふざ
けた技を受けない選手には客からブーイングが飛んだり、ふざけきれないGAEA勢が戸惑ったり照れ
てしまったりの場面あり。
気取っている里村、ニヤニヤしてる宮崎、一生懸命な植松、そこに一人だけ回転コマ数が違うかの
ようなスピードで動く日向が飛び込んでくると、また風景が変わる。日向の動きにはどよめきと歓
声があがる。
反対に、カルロスと輝は今日はまったくいいところなし。カルロスはフリーの時の方が明らかに緊
張感があったし、輝は妙に遠慮がち。輝は試合前「久しぶりに日向と当るのが楽しみ」とコメント
したものの、リング上の日向からは全くそんな再会ムードは感じられず(日向の立場になってみれ
ば当たり前だ)萎縮してしまったのだろうか。なんとなく日向と当らないようにしている輝と、そ
んな輝にあえて迫らない日向、、、。
途中から腿を痛めた日向の動きが止まってしまい、あとのふたりが輝を追いつめ、最後は里村が初
めて見る妙な技(「天中殺」というらしい)で輝を仕留める。

ガックリしている輝に「そんなもんか」というような冷ややかな視線を送っただけでリングをおり
た日向。
宮崎が楽しいプロレスを披露している同じリング上で、じつは目立たないひんやりした別のものが
流れていた試合であった。

第二試合
HHH 選手権試合
×サソリ<全女> VS ○ダンプさくら<GAEA> 16分27秒 スモールパッケージホールド
※サソリが初防衛に失敗、ダンプさくらが王者に

サソリのあとに、同じ「極悪同盟」の入場曲で広田がダンプのコスプレで登場。お腹や手足だけで
なく、背中まで詰め物をして体形をダンプに似せている。うまい。
この人は同輩も後輩もなく、あの一期生たちに囲まれてたった一人残ってるだけでも、とんでもな
い図太い人だと思うけど、それにしても、ふだん練習とかどうしてるんだろう?ネタを仕込んで衣
装を作るだけでもかなり大変そうだよな、、、。

試合は、ダンプさくらがサソリの剃りあげた頭に手をすべらせたり、その頭にマジックで顔を描い
たり、ひたすら相手をおちょくる場面が続く。ヒールらしく無表情で通していたサソリもさすがに
返しきれなくなってレフェリーに「なんなんだよ?コイツは!」と助けを求めると、すかさずダン
プさくらが「オメエの師匠の顔も忘れたのかよっ!」と突っ込み、これにはサソリが思わず笑って
しまう。三白眼でクールを装っていたサソリの顔が一瞬「藤井クン」になってしまって、その表情
がなんだかすごく可愛くておかしくて、客が一番沸いたのは実はこの「サソリが笑った」瞬間だった。

結果は広田がダンボールベルトを取り返し王者に返り咲く。
「そんなベルトいらないんだよ!」と、またヒールに戻って言い捨てて去るサソリ。そんなサソリ
に「サソリって、、、けっこうイイ奴だよな」と満足げにつぶやきながら去る広田。


第三試合
 ○A・コング VS ×元気美佐恵<NEO> 9分38秒 裏拳→体固め

小柄な選手ばかり見慣れてしまうと、この二人がリングに上がるだけで圧倒される。
で、チョップや張り手やパンチの応酬の迫力に「これだよ!これ!」という気持ちになっていく。
いつも動きが鈍いとしか見えない元気が、大きい相手だとこんなに思いっきり迫力ある試合が出来
るのか!という驚き。昔は体が小さいことはハンディだったが、今や体が大きいことがハンディに
なってしまってるんだな〜ってことがよくわかる。
元気に声援がたくさん飛ぶが、コング嬢のキッツ〜イ裏拳がきまってしまい、元気あえなく沈没。
場内は元気応援一色の雰囲気だったので、一気にシーンとなってしまう。いっしょに観戦していた
相棒は「コングやりすぎ、空気が読めてない」と批判的だったが、一つくらいこういう試合があって
いいと思う。ファンを喜ばせたいなら、元気が勝てばいいんだよ。

休憩

第四試合
○米山香織<JWP>、前村早紀<全女> VS ×Hikaru<全女>、松尾永遠<NEO>
 14分40秒 ムーンサルトプレス→体固め

Hikaruと前村は新しいコスチュームで登場。Hikaruのスポーティなコスチュームはよく似合って
るけど、前村は、、、?前村はピンクがイメージカラーだったはずなのに、ブルーと白の色使い。
反対にブルーがイメージカラーだった納見のコスの色が最近ピンクに移行しているのと関係ある
のかな。

米山&前村タッグは何度か見ているうちに、この二人だったら絶対面白い試合になる、という期
待と安心感を抱かせてくれる稀なるタッグチームであることがわかってきた。この二人のキャリ
アでそう思わせるなんて考えてみるとすごいことじゃないか?

反対にHikaruと松尾は、未熟さと荒削りっぷり全開で、これぞ若手!という感じ。途中流れの読
めないHikaruが米山の動きをさえぎってしまった時など「せっかくの私の見せ場を〜っ!」と米
山に怒られていた。
そんな調子でそのコロコロした肉体からも表情からも「とにかく自分が一番目立つぞ!」という
気持ちがほとばしっている米山に、あっという間に客は心を掴まれてしまう。気が付けば誰もが
米山を夢中で応援していて、彼女がフォールされそうになると悲鳴があがる。そうすると米山の
鼻息はますます荒くなっていくのであった。
体格にものをいわせて押さえ込みにかかるばかりのHikaruに、米山が頭部へのミサイルキック、
強烈な顔面への蹴りをくらわせたのには驚いたが、大会終了後、Hikaruが頬から顎にかけて大き
な湿布を貼っていたのを見て「米山キック」の威力を知る。
米山は、いつも「私がJWPの米山だ!」という誇りとアピールを忘れない。あの心意気がしぼん
でしまう時がきませんように。


第五試合
 ○高橋奈苗<全女>、納見佳容<全女> VS ×浜田文子<新間事務所>、永島千佳世<GAEA>、
24分50秒 ナナラッカ→片エビ固め

全女主催の今大会、牽引役である高橋のプレッシャーと意気込みは相当なものがあるハズ。
先日の後楽園で高橋に制裁マッチをしかけた前川は「口ばっかりで、ろくな試合してない!」
と言っていたらしいが、たしかにそんなところもあるよな〜と思わざるを得ない最近の高橋。
まあ、今日はコワイ先輩たちのいない大会だし、どこまでのびのびとやれるかな?

いまや四冠王者となった浜田の入場はさすがで、辺りを払うかのような雰囲気。永島はいつも
ながらの意地の悪い小姑のような表情で登場。わりと爽やかな三人に比してひとり、違った空気
を撒き散らしている。高橋の差し出した手にも憎々しげな顔つきで応じず、かわりに浜田が握手
して試合が始まる。

前半は永島のトリッキーな動きに全女勢が目をシロクロさせる場面や、キメのポーズを真似して
お互いをからかう場面など、楽しそうにやっている。
前回の初めてのBPM大会が「あまりにも楽しくて」感激したという高橋、納見が、「今日も楽しく
やりたい!」と思っているのがありありとわかる。

見ているうちに何だか悲しくなってくる。

まずは選手が楽しくなくては見ている方だって楽しくない、と言う人もいるが、、、私がこの試
合の前半部分、いやこの大会全体を見ていて感じたのは、「選手が、自分が楽しむ事を優先させ
ている試合は客にはツマラン」ってこと。
「試合が楽しかった」というのはあくまでも結果であってほしい。初めから選手自身が「楽しむ」
ことを目的にしてしまっている試合は、少なくとも私にとっては全然「楽しくない」。
プロレスはそんなさもしいものであってほしくない。
自分たちで自分たちを楽しませて満足するようなみじめなことをしてほしくない。

選手の数が減り、客が減り続けているこの時期に、同業他社の選手たちといっしょに大会を開き、
連帯感を持てた悦びはわからないでもないけれど、同じような不安を持つ者同士が「ああ、私達、
同じなんだね」と馴れ合っているようなことにはなってほしくない。そんなところに明るい未来
はないだろう。

後半、タッグリーグで組むことになり、その先には赤いベルトを賭けて闘うことにもなるはずの
高橋と浜田のぶつかり合いになって、俄然試合が白熱してくる。
どちらも譲らない二人に客席もヒートアップ。いつもは完全に貫禄負けしている高橋が、今日は
負けていない。浜田の攻めを返し、そして自分も攻めていく。そのきつい攻防に胸が熱くなる。

「客より自分が楽しもうとしている」なんてうがってごめんネ、という気持ちになる。
選手にどこまでも求めて限りがないファンはしょうがない人種です。そんな要求にこんな風に激
しく誠実に応えることができる女子プロレスラーって、やっぱり尊敬されるべき人達だー。

と、試合の前半に生じた疑念も吹き飛んで、最後は浜田をフォールした高橋に思わず拍手!
、、、単純?

試合後、全選手登場して、挨拶と記念撮影。「今日も、成功!、、、だよね?」と断言すること
がいつも苦手な高橋に、他の選手達が笑顔でうなずいている。「楽しかった」と口々に言う皆に
元気が「いいなあ、みんな、楽しくて」と一人コング嬢相手に肉弾戦を戦ったことをアピールし
て笑わせる。さらに納見に「元気さんは年代的にギリセーフ!」と「炎の青春」(この日配られ
た全女のファンクラブ会報の号外)に書かれたことにもクレームをつけることを忘れなかった。

最後に、高橋の音頭で全員が「おお〜っ!」と揃わない声を挙げて〆。

三度目があるならば、本人達が楽しむだけで終らない何かを見せてほしい。





本稿の著作権はすべてKANSENKI.NET及び「書き手」に帰属します。

戻る
TOPへ