8/31 全日本女子 後楽園ホール
■団体:全日本女子
■日時:2003年8月31日
■会場:後楽園ホール
■書き手:しま
8月31日といえば、子供のころは毎年夏休みの宿題やっつけながら夏の終わりを涙とともにかみしめる
日だったけど、主婦になったいまは、ただの月末である。そんな夏の終わりを泣いて惜しんだりしな
くなってしまった私にも、今日という日は何か大きな区切りを感じさせる忘れられない日となった。

今日は、下田の全女最後の試合があるからか、久しぶりに7割〜8割客席が埋まっていた。
まずは今井リングアナの挨拶。ここのところ WJ に出張していることが多かった安藤リングアナ通称
“ダスキン”が正式に全女を辞め、WJ にお勤めすることに決まったとのこと。ダスキン氏は初めの頃
はよく声が裏返って客に笑われたり、風邪が治らなくて何ケ月もガラガラ声を張り上げたりしていたけ
ど、選手や小人さんたちといっしょになってよく働いていたなあ、、、ダスキンのいない風景は寂し
いよ。

あと、ダスキンの仕事のひとつであった音響の仕事をブッタマンが引き継いだのはいいが、ここ最近
の後楽園大会の音響のヒドサには頭痛くなる。機械が壊れているのか、操作が悪いのか、スピーカー
に近い席だと拷問。そしてブッタマンは音出し自体も間違える間違える(泣)。いきなり音響係にな
っちゃったブッタマンもかわいそうだけど、やっぱりあれはどうにかしてほしい〜っ。
という内なる叫びも「え〜、実は今日のメインの下田選手の入場曲がどっかいっちゃってありません!
下田選手も持ってないそうです!会場のお客さんで、下田選手の曲を、今、持ってるという方いません
か?」という今井氏の呼びかけの前には虚しい、、、。で、なぜか「持ってる」という客がいるのが笑
える。このお客がいなかったら、全女最後の試合に下田は入場曲ナシで入場することになったのね?や
っぱ全女って、、、すごい。

第一試合
○さくら(ムーンサルトプレス→片エビ固め10:21)×お船

お船ちゃん、さくらえみ、両人がデビュー曲(?)を続けて歌う。お船ちゃんの方に軍配(個人的に)。
歌のあと、お船ちゃんがさくらのピンクの意匠とキッズたちに「かぶってんだよ!」と抗議&「お船ち
ゃんもバックダンサーがほしいなー!」とおねだり。「彼女達はバックダンサーなんかじゃない!」と
怒ってみせるさくらえみだが、台詞棒読みできいてるとムズムズしてくる〜。さくらえびキッズとお船
K-DOJO 退団を賭けての試合は、さくらの勝ち。退団を迫られたお船ちゃんは「それはできない!
K-DOJOの社運はお船ちゃんにかかってるんだ〜!」と約束をを反古に。「私も鬼ではない」と、
さくらがまた棒読みで再戦要求を呑んで、この二人のストーリーは続くことになった。さくらはともかく、
お船ちゃんは楽しいからまた見たい!

第二試合
○前村、ジャガー(変形クラッチホールド12:59)×Hikaru、廣瀬

若手三人に彼女たちの母親の年齢のジャガーがひとり交じった、全女の未来を占うようなタッグマッチ。
見るたびに驚くような成長をしている前村。今日もいくつ新しい丸め込み技をみせただろうか。ジャガー、
中西、の小柄なエースという流れを引き継ぐのは前村なのかも。
それを阻むとしたら、大柄でルックスもよいHikaru なんだが、、、あまりにも無骨な試合運びは過去の全
女の誰にも似てない。つかみにくい選手です。女の子に人気あるみたいだけど、、、ブレイクするのか?
で、一番下っ端の廣瀬。廣瀬の異様さには無限の可能性を感じる(笑)!緊張してんだかナメてんだか判ら
ない表情、ビビってんだか、ふてぶてしいんだか判らないロープ使い、、、奇声をあげてジャガーの隙をつ
く、という多分一生懸命考えてきたんだろう技(?)もへなちょこなのが妙におかしい。
若手の三人三様の個性的な姿を見ているうちに、全女の未来が明るくそこに輝いているような気がしてワク
ワクしてきた。

第三試合
○納見(フィシャーマンバスター→片エビ固め15:17)×サソリ

藤井はサソリになって良くなった、って言われてるけど、、、極悪勢の後押しがないと、こんなもん。
印象に残らないような退屈な試合。それを途中から通路の奥でジッと見ていたダンプ。加勢なしでサソリ
がどこまでやるか見ていたのだろうか?試合後乱入して、高橋と納見に客席に投げられて転んでたのが妙に
ウケていた。ダンプの場合転ぶだけで大ダメージ、それで怒ったダンプが納見をつかまえて控え室に引きず
っていきながら竹刀で殴る。「バシッ」っという音が聞こえてくるのが試合よりずっと迫力なのであった。

第四試合
○高橋、浜田(横入り式エビ固め22:38)○A・コング、魔女2号

第二試合の「全女の未来」に対して、この試合は正真正銘、今の全女が見せられる最高の「全女の現在」だった
と思う。といっても四人中三人は全女の選手ではないという状況も現実なのだが。

そのたたずまいから何から赤いベルトが今一番ふさわしいと認めざるを得ない浜田。華麗なだけの選手だと思
ていたのに、実は荒っぽいこともガンガンできるし(全女だからか?)場外乱闘や流血もものともしない。
綺麗で、正確で、荒っぽい、、、最高です。高橋との連携もいいし、お願い、もう、ずっと全女に上がって♪

コングはすでに大阪で浜田の赤いベルトに挑戦した時から実質全女軍というか、、、だって、「全女にベルトを
取り返す!」って泣くほどの気持ちをみせたのってコング嬢だけだからね。ホントにこの人のキャラといい、強
さといい、存在感は全女の宝だ。今日も高橋を机の上に放り投げて、その腹めがけてダイビングセントーン(?)
という荒技をみせたり、メチャクチャやってくれました。

この浜田とコングという竜巻みたいな二人に、全女のパワーファイターである高橋が向かっていっての三つ巴は、
久々に重量感たっぷり、満足感いっぱい感じさせてくれた。彼女達が思いっきり力を放出しているリングからは
解放感がほとばしっている。
バルコニーに下がる横断幕に書かれた「いっしょに夢をみようじゃないか」の文字が急に胸に響いてくる。
普段の生活のなかではほとんど胸に浮かぶことなんかない「夢」とか「希望」なんていうコトバが浮かんでくる。
こんなこと、ほかの場所で感じたことないよ、ほんとにすごいよ、ありがとう、という気持ちでいっぱいになる。

試合後、高橋が10月19日に今度は全女が主催する「BPM」を宣伝。「みんなで!ちょっと!明るい!未来を!
夢みましょう!」
はい、その気持ち伝わってきました。(ちょっと、というのが笑えるけど)


<下田美馬全女ラストスペシャルタッグマッチ>
○渡辺、前川(ヘルスマッシャー→エビ固め20:34)×下田、井上貴

セミまでで満腹になってしまった私としては、下田全女ラストマッチは、オマケを楽しむような気分だったのに、、、
思いもかけずこれまた感動が胸にこみ上げてくるようなものだった。

ちょっと前まで本気で仲が悪かったという下田と貴子。今日の全女でのラストマッチを実現させるべく動いたの
は貴子だったとか。そして対するは、ラスカチョにいつもいつも惨めに負けていた渡辺・前川。コスチュームも、
トラウマになってるんじゃないか?と思われるほどやられまくっていた頃に着ていた水色のコスチュームで登場。

それぞれがリングに上がり、コールをうける。四人の表情が、刻々変化するのが何より彼女たちの来た道を感じ
させて、彼女たちと共にファンの思いも過去のリングを駆け巡ったにちがいない。
四人ともどちらかというと弱いレスラーでずっと来た方だし、誰も赤いベルトを巻いたこともない。スター選手
は一瞬で人の心を虜にして熱狂させる力を持っているんだろうが、そんな力を持たないレスラーは何を残すんだ
ろう?自分の限界を知って辞めていくのが普通で、それも正解だろう。でも、しつこく辞めない人間もいる。そ
れが、スターの陰に隠れながらトボトボ歩いていたようで、実はしぶとく自分の道を生きてきたこの人たちだ。

若い頃のへなちょこぶりがウソのように、それぞれが長い間に磨き上げた得意なスタイルで激しくやりあう。

渡辺が泣きながら下田をフォールし、そのあと前川とふたりで花束を贈ると、、下田がマイクを取り、、、
「その水着、よおく覚えてるよ!ほんとに、あんたたちのおかげで、、、ありがとう、おいしい思いをしたよ」
そして貴子に「ダッコ、最後に全女のリングにあがれたのはダッコのおかげだよ、ほんとにありがとう」
そして客席に「ねえ?いろいろあるじゃん!?いろいろあるよねえ!?、、、オマエら泣かすからなんかわかん
なくなっちゃったけど、、、いろいろあるけど、女子プロレスの未来のためにみんながんばってます!」
「全女のアホなファンども!わたしがいなくなって淋しいと思うけど、これからも盛り上げてやんなよ!」
「じゃあなっ!」
という全女ファンをこれ以上泣かせる台詞もないだろう台詞でしめくくり、リングを下りようとした時、前川が
さりげなくリング下に行って、肩車。たぶん一番下田にガンガンやられてきた前川が、笑顔で下田を担いでリン
グを一周。下田の顔がはじめて泣き顔でクシャクシャになった。

スター選手にはない彼女たちの凄さは、人間ってこんなに成長して、こんな風に成熟するんだ、ということを生
身で、私たちに見せ続けてくれたこと。
「途中で辞めないでくれてありがとう。すごいものを見せてくれてありがとう。」と感謝するしかない。
だって、自分の人生まるごと投げ出して見せてくれてたに等しい、、、こんな凄い職業ってあるだろうか?

ひとつの大会で、何度も感動するなんて初めてだったなー、、、今日本当に私はプロレスにハマってしまったかも
しれない、、、と思いつつクラクラ帰途につく。




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