またピンチ
■団体:JWP
■日時:2003年8月16日
■会場:板橋産文ホール
■書き手:凸ユーレイ(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

 この日。キラー・カン経由でウチの弟から、G1の券があるという話を聞くも、断る。先日のJWPディファ大会で買った福袋の中に、8月中の大会で使える無料券が入っており、それでこの日の板橋大会に行くつもりだったからである。

 が、前日になって予想外の事態が起こっていることがネット上でわかる。板橋の翌日、17日の福島大会が直前になって中止。公式発表はなく、参戦予定のフリー選手(亜利弥'、矢樹)のHPの掲示板で発覚するという異例の事態。そういえば似たようなこと、前にもあったなあ… 2000年秋の、翌年の後楽園大会全キャンセル・山本退陣、02年秋の、輝・倉垣退団、に続く近年3度目の団体経営のピンチ、なのだろうか。

 時間よりだいぶ早く着いたので暇つぶししていると、コンビニでNEOの甲田社長をハケーン。いつもの無精ヒゲ、ジャージ姿で、漫画を立ち読みしてますた。

 急遽、予定を変更して、無料券は使わず、最前列を購入することに。窓口の専務が「そうそう、いい席で見てくださいね!」と声をかけてくる。やばい。3年前の活動停止の大会で、RINGMAN さんが安い席を買おうとしたら、同じ値段でリングサイドを売ってくれたという、心温まりながらも不吉なエピソードが脳裏をよぎる。…

 試合開始前、春山、ボリショイ、日向がリングにあがる。春山が挨拶。17日の興行の中止のお詫び。理由は、主催するアカデミープロモーション(物真似の芸能プロダクション)から、ボリショイと日向の欠場を打診されたこと。それをそのまま飲んだらJWPの興行ではなくなる。30・31日に予定されていた大会もどうなるかわからないが、今日はプラム麻里子の命日という大切な日なので、どうしても試合をしたかった、頑張りますのでよろしくお願いします。

 ボリショイ・日向の件は、真意はわからないがギャラの節減?10日の長岡大会には60人ぐらいしか客がいなかったらしいし(と、この時点では思っていたが、その後アカデミー独自の興行でフリー選手をたくさん使っているところをみると、そうではないかも)。
 ともかく、スポンサーであり興行主体だったアカデミーと喧嘩別れしたということである。

1.○コマンドボリショイ(10:32掌底から)×亜利弥'(フリー)

 ボリショイが関節技主体で押しぎみ。総格をやっていた亜利弥'も、よくついていく。といっても攻防はそれだけでなく、プロレスらしいわかりやすい技が主体であり、亜利弥'の、叫びながら感情をぶちまけながらの反撃、四方のロープへ90°ずつ走る方向を変えながら4連発したヤクザキック、た瞬間に隙をついて放ったバックスピンキックは見事だった。
 終始キビキビしてだれることない熱戦で、ボリショイの技量はいうまでもないが、亜利弥'がここまで出来る選手だとは知らなかった。私的亜利弥'のベストマッチ。

2.○シャーク土屋(フリー)(11:50ラリアットから)×渡辺えりか

 土屋は、ここぞという大きな試合以外では極端に省エネなファイトが常で、特に格下相手にはダラダラ適当に凶器で痛ぶってフィニッシュ技を出して終わり、なのだが、この日はぜんぜん違った。痛ぶり方が一所懸命?なのだ。巨体を利したラリアット、さらに椅子攻撃。有刺鉄線棒などの余計な凶器は使わず。
 そして渡辺が返す!返す! いくらカバーされてもキックアウトするのみならず、ネックロックなど独自の関節技、ミサイルキック、大外刈り、プラム式フィッシャーマン(小股すくいSPX)と、要所要所効果的な反撃。
 その分、土屋の攻めも半端ではなく、パイルドライバー(あんなにちゃんと、股の下から相手の頭をきちんと出して露骨に打つパイルドライバー、久しぶりに見た)、高い高いバックドロップ。それでも返す渡辺だったが、最後はラリアットで力尽く。
 格下を痛ぶるだけでない、相手が返して返して反撃する、見方によってはディファの春山との有刺鉄線よりよく噛み合った、JWP参戦時の土屋のベストマッチでは。
 渡辺もこれだけできるようになっているとは。渡辺の方も私的にはベストマッチかも。

 土屋マイク。猛毒隊は解散。セコンドの倉垣に向かって、自分のやりたいプロレスを見つけろ。自分は自分、倉垣は倉垣でプロレスをやっていくので、できれば応援してくれ。
 いま思えば、その後アカデミーの主催した興行に参加した土屋にとって、この日が当面の、JWPラストマッチだった。対戦相手の渡辺に対して、というよりJWP全体に対してのメッセージがこめられた試合だったのかもしれない。

3.○日向あずみ(16:56みちドラIIから)×倉垣ツバサ(フリー)

 土屋と袂を分かった倉垣、さっそく日向の握手に応じる。
 再三書いていることだが、ヒールターンして以降の倉垣のファイトは、以前と比べて格段にスムースになっていて良い。
 ストンピングから入る荒っぽいリズムに、持ち前の空中殺法。定評のあったドロップキック、ミサイルキックに、椅子をリング内に持ち込んで踏み台にして放つバージョンが加わる。ムーンサルト、私は初見だったケブラーダ。それにアルゼンチン&カナディアンの背骨折りなどパワー殺法がミックスされる。
 試合途中、コーナーにあったタオルで顔のペイントをごしごし拭い取る倉垣。さらに日向をコーナーに追い詰めながら、「これからは猛毒隊じゃない!自分個人なんだ!」と叫ぶ。ファイトスタイルに比べて、喋りはまだスムーズとはいかず、説明口調である。笑
 終盤、倉垣が仕掛けて、日向が意地になってやり返したヘッドバットの打ち合いは、鈍い音が場内に響いてド迫力。倉垣の秘密兵器ウイングクラッチ(逆さ押さえ込みからブリッジして、背中で相手をエビに押さえ込む。2カウントマッチながら元気を破ったことあり)が出たときは、よもやと思ったが、日向凌いで辛勝。

 このところの試合、日向にしては出る技の種類が少なく、たとえば普段なら必ず1回は出るWアーム式のシュミット背骨折りも出ず、どこか体調がよくないのかもしれない。ニーとみちドラに頼った展開。
 しかしこの試合は何といっても倉垣である。日向を互角以上に追い込み、7月ディファの三田戦に続いて、格の違いをまったく感じさせない試合運び。倉垣上がってきたなあ。やはり、その三田戦に並んで、倉垣の私的ベストマッチ。

 ここまで、やたらベストマッチベストマッチと、安売りしているようですが、本当にそれぞれの試合、面白かったんですよ。特に、下の選手、挑戦する側の選手が健闘していました。上の選手もそれを受けとめ、最大限に試合をふくらます。プラムさん追悼ということもあり、またアカデミー側に対する意地もあったのかもしれない。

 日向マイク。気持ちの整理がついたら、またJWPで闘おう。倉垣、メキシコに行って何かを探してくる、そしてJWPのリングに帰って来たい、と。

セミ ○矢樹広弓(フリー)(12:36ビクトル式膝十字)×春山香代子

 矢樹、この日はいつもの飛びつき腕十字に加え、足関節、アキレス腱や膝十字にこだわる。その理由は試合後明かされるが… 
 春山、けっこうあっさり敗れた印象。ディファでエース宣言があったのに、矢樹に手もなく負けさせるのはいかがなものか。

 矢樹マイク。今日はプラムさんが大事にしてた技で勝った。春山に対して、エース宣言したくせにだらしない。ディファで土屋に加担したことを問われ、あのときと今の気持ちは違う。これからはJWPの選手と闘っていきたい。
 春山。矢樹さんの本当の気持ちが聞けてうれしい。今後はライバルです。次は矢樹さんが負けますよ。この試合の様子じゃあそれを言っても説得力が無いと思うが…。

メイン プラム麻里子七回忌メモリアル
コマンド・ボリショイ、春山香代子、○渡辺えりか(17:28プラム式フィッシャーマン)日向あずみ、宮崎有妃(NEO)、×木村響子

 6人がいっぺんに、プラム麻里子の入場テーマだったらしき曲(私はわかりませんでしたが)で入場。1人だけガウンを着てきた宮崎、脱ぐとプラムさんからもらったという水着。どうでもいいことだが、宮崎、普通の水着だと妙に色白で小太りでムチムチしてて、身体がいやらしい。

 試合は。誰かがビクトル投げを出すと宮崎が「私がやるの!」と出てきて、その後6人が次々にトライ。さすがに日向は速く巧く、輪をかけて最後に出てきたボリショイがロープの反動を利用して素晴らしく決める。すると、控え室への扉前で観戦していた倉垣と矢樹まで乱入して、味方まで加わって全員でボリショイにストンピング。さらにレフェリーのテッシーまで参加して、全員で誰かが誰かにストレッチプラム(これもプラムの得意技)。あとはボリショイがフィッシュストレッチスリーパーをだしたり宮崎がヒップアタックを出したり。プラムの得意技を皆が使い、追悼でありながら、楽しい部分は宮崎が中心になって担当、それでいて激しく目まぐるしいJWPの6人タッグになっている、という。
 この試合のもう1つ、隠れた軸に、渡辺と木村の意地の張り合いがあった。デビューしたての木村、すぐ上の先輩である渡辺。ドロップキックやエルボー、きつい打ち合いに気迫が表れる。フィニッシュもこの両者間で。


 さて、この日の大会そのものに限れば、ここまで書いたように大変充実して満足度の高いものであった。ただ、その後を思うと… 
 なにか非常にセンチメンタルなものを感じ、R 君とJWPにしょっちゅう来たことが遠い日のように哀しく懐かしく想い出され、奇しくも会場は、かつてクラブのキレイなお姉さん2人も合わせて4人で来た板橋産文、あの日楽しく騒いだ焼き肉屋へ独りで入り、なぜかヤケ食いして帰る。

 その後、アカデミー側は、押収した?リングを用いて、当初の興行予定をJWP抜きで強行。土屋、三田、NEO、一宮・WEW勢など男子選手が参戦したが、観客数はひどいものだったらしい。JWPの興行を打つときも、事前の宣伝、営業活動を地元で全くしなかったらしいので、それも宜なるかな、であるが。

 JWPは、自前の設備で出来る道場マッチを開催。新潟、関東近県、東京で行われるはずだった、アカデミー主催の9月の予定興行はすべて中止。代わりに発表されたバトルスフィア大会はリング備え付けの会場。最低限、道場にあるリングをバラして持っていけばプロレスはできるんじゃないかと思うが、それを運搬する車も押収されたらしいしなあ… (さらにその後、10月の興行予定も発表されて少し安心)。

 この期に及んでは、選手各々、自分の納得の行く、選んだ道を行けばいいと思うが、ひとつ。
 公式HPの日記を読むと、皆、明るいのはいいが、脳天気な気味が見うけられる気がする。
 今後どうするのか、上の選手は、ついて来ている若い選手がいる責任を感じ、何らかの道を拓くこと。特に日向。「うまく行かないときは行かないもんだなあ」なんて他人事のように言ってちゃダメ。
 下の選手も、上に頼るだけでなく自立して考えること。とにかく、社長と専務はまったくアテにならないし、ただ待っていても事態が好転するわけはないから、選手自らがなにか行動を起こさないと。
 以上、事情を詳しく知っているわけではないですが、感じていることを書いてみました。




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