7/7 冬木軍プロモーション 後楽園ホール興行 観戦記
■団体:冬木軍プロモーション
■日時:2003年7月7日
■会場:後楽園ホール
■書き手:高倉仮面
19:00
冬木 弘道というレスラーが嫌いだった。

全日本プロレス時代には、天龍 源一郎率いる天龍同盟を離脱した途端にブクブクと太ったかと思えば、
SWS時代に、下にいるのが嫌で離脱したハズの天龍の下にあっさりと戻る。
WAR時代は、かつてのライバルの技を無断借用。
その是非を問われれば「これはオレのオリジナル技。小指の角度が違うから見てみろっ!!」と一蹴。
FMW時代はリング上でハヤブサを素っ裸にしたり、荒井社長に小便を引っ掛けたり。
まさに彼の異名である「理不尽大王」通りの大暴れである。
これらリング外でのやる事なす事のイメージの悪さや下品さに加えて、
ラリアット前の地団駄や、時折発する「キェーッ」と言う奇声。
彼の試合のスタイルが生理的に受け付けなかった。

思い返すに、冬木軍結成当時が僕が最も冬木を嫌っていた時期。
当時、ゴリゴリの四天王プロレス信者だった僕は、
川田 利明のストレッチプラムを無断借用しながら平気な顔をしている冬木が嫌だった。
「小指の角度」発言に対しては「ふざけんなっ!!」と本気で怒り、友達に「まぁまぁ…」と諌められていた。
今から考えると、非常に頓知の利いた一言だと思うのだが…。

※注:ちなみにこの友達はUインター信者で、
   後に安生 洋二のゴールデンカップス結成に「ふざけんなっ!!」と本気で怒っていた。
   勿論、この時は僕が「まぁまぁ…」と諌めた。五十歩百歩。

そんなこんなで、僕の中では「カッコ悪いレスラー」と言えば冬木の事、
こうなると「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」状態。
「あの黄色いパンツもイヤだし、あのパーマもイヤだし…」、
と、言いがかりまでつけていたものだ。

そんな冬木嫌いだった僕の心情が、段々と変化していく。

2002年2月15日、FMW倒産、翌16日、荒井社長の自殺。
昨年のプロレス界の中でも1・2を争う程の暗いニュースがFMWを襲う中、
冬木は自分の弟分の選手達を食わせるべく、3月31日、WEWの旗揚げを発表。
「ほほぅ、冬木って意外に男気があるねぇ」。
このニュースを聞いた時、冬木と言う人間に初めて好感を抱いた。

その旗揚げ発表からわずか9日後。
2002年4月9日、冬木は自らの身体が大腸ガンに犯されている事を告白。
「涙ながらに自らの病状を告白した」という記事には、冬木嫌いの僕ですら同情を禁じえなかった。

2002年4月14日、三沢 光晴社長の協力の元、
NOAHで引退試合を行った冬木は、その4日後となる18日、いよいよガンの手術に挑む。
手術前には「WEWの旗揚げ戦がオレの追悼興行になるかもなぁ…」と話していたが、
幸い手術は成功、WEWは5月5日に川崎球場で正式に旗揚げ興行を行う。

僕はこの旗揚げ興行を「ガンからの快気祝いに」と観戦しに行った。
インディープロレスらしい開放的な試合が続く中、冬木は休憩後に姿を現した。
幾分痩せてはいたものの、引退セレモニーでは笑顔で10カウントゴングを聞いていた。
この時、僕は「ああ、これなら冬木はもう大丈夫だ」と思っていたのだが…。

大晦日も近い2002年12月29日、ZERO-ONE 後楽園ホール興行。
冬木は「実は大腸ガンが肝臓に転移していた。もう助からない。」と衝撃の告白。
この世の最後の餞(はなむけ)に、と、2003年5月5日のWEW旗揚げ一周年興行にて、
ZERO-ONEのボスである橋本 真也との電流爆破マッチをブチ上げる。
これに対して橋本は、とりあえず5月5日興行への出場を約束。

そして年も明けた今年3月11日、WEW 後楽園ホール興行。
冬木の病状は満足に歩けないほどまで悪化していたが、入院先から1日だけの外出許可を取り付けて来場。
同興行を訪問していた橋本はこの姿に胸を打たれ、冬木との電流爆破マッチを快く承諾。
これで試合は正式決定し、後は冬木の回復を待つばかりとなった。

だが…。

その8日後の、2003年3月19日。
冬木は帰らぬ人となった。

生前、冬木は「オレはねぇ、5月5日までは生きていられる気がするんだ」と発言しており、
僕はこの発言を漠然と信じていた。そういう意味では、彼は最後の最後まで「理不尽大王」だったのだ。
嗚呼、せめてこの言葉だけは真実であって欲しかった。

2003年5月5日、WEWの旗揚げ一周年興行は冬木の追悼興行となった。
迎えたメインイベント、生前にかわした冬木との約束を守るべく電流爆破マッチのリングに上がった橋本は、
試合前に冬木の遺骨を抱えて電流の流れる有刺鉄線に飛び込んだ。
橋本は自分なりの方法で冬木との約束を果たしたのだ。
その姿に観客は感動、会場には橋本コールがこだましたと言う。

冬木の代わりに橋本の相手を務めたのは、冬木の一番の弟分の金村 キンタロー。
橋本は容赦のないキックの連打で金村を痛めつけ、最後は垂直落下式DDTで退ける。
試合後、橋本は「金村っ!! 最後は、お前が締めろっ!!」と締めのタスキを渡せば、
金村は「橋本さんっ!! また這いあがって行きますんで、また挑戦させてくださいっ!!」と絶叫。
冬木の追悼興行は感動のうちに幕を閉じた。

だが、冬木の魂はまだ終わらない。

2003年7月7日、七夕。この日、冬木の名前を冠した興行が行われる。
本日は後楽園ホールにて冬木軍プロモーション興行の観戦だ。

今日の観戦目的はハッキリしている。
僕はWEW旗揚げ一周年興行に駆けつける事が出来なかった為、
せめてもの罪滅ぼしを、と思っての観戦だ。
我ながらあれだけ嫌いだった冬木の興行に、
自分から進んで顔を出す事になるとは思わなかったが。

今回の興行の目玉は、冬木の師匠格である天龍 源一郎の参戦だろう。
冬木の生前、5月5日に参戦すると約束しながらも、その約束を果たせなかった天龍。
彼も冬木との約束を守るべくこの軍の興行に参戦する。

また、この興行ではFMWから派生したWEWとWMFの2団体が呉越同舟、
これらの団体とは別の団体に所属する選手も、冬木の名の元に参戦。
そんなわけで、この興行はFMWの同窓会的な色合いも強い。

逆に言えば、元FMWの選手達が、大仁田の名前でもなく、荒井社長の名前でもなく、
冬木の名前で集まるところに、彼の生前の人徳や人望が伺える。
正直、彼の現役時代はとても人望があるようには見えなかったのだが…。

チケットを購入、立見席2500円を払って会場入り…、って、安いなっ、異常に安いなっ!!
ちなみに今日はRSでも5000円。イヤイヤ、マジで安いなぁ…。


19:15
後楽園ホール入場。

で、いつものようにパンフレットを買おうとしたが、
売り子さんに「今日の興行のパンフレットはないです」と言われてしまった。
あらら、立見じゃ申し訳ないから少し高くても買ってあげようと思ったのに。
そのかわり、と言う訳でもないのかもしれないが、
WEWの5月5日の旗揚げ一周年興行のパンフレットが売られていた。
この時は「古い情報は必要ない」のでパスする事にしてしまったが…。

今思えば、これって冬木の追悼興行の記念パンフレットだよなぁ。
買ってあげれば良かったなぁ…。

結局、そのまま手ぶらで会場入り。で、驚いた。
超満員ではないものの、観客席の8割以上は埋まっているではないか。
近年のインディー団体の事情を考えるとこの客入りはかなりの驚異。
今年一月にWEWを観戦した時はホントに寂しい入りだったからなぁ…。
これなら、天国の冬木への報告もカッコがつくと言うものだ。

少々遅れての会場入りだった為、2F東側、2F西側の立見席は満員。
仕方がなく3F南側の席の後ろに陣取って観戦開始。

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第一試合 シングルマッチ 20分一本勝負
○リッキー フジ(173cm/96kg/フリー)
●新宿鮫(188cm/78kg/WEW)
[5分20秒 体固め]
※9999

僕が観戦し始めた瞬間、リッキーが腕極め式のDDT、9999で勝利を収めた。
しかし観客はこのフィニッシュに戸惑い気味。
今時、DDTで勝敗が決まるのって珍しいもんな。

試合後、リッキーはビキニのネーチャン3人組をはべらせながら、お尻を四方に見せていた。
その後で鮫にも尻出しを要求するが、鮫は頑なに拒否。減るモンでもないのだから出せば良いのに。
あ、そうそう。リッキーの入場曲って、
彼の尊敬するHBKの入場曲である「Sexy Boy」のリッキー熱唱バージョンなのね。
歌は結構上手かったなぁ。


第二試合 六人タッグマッチ 30分一本勝負
○ヤス ウラノ(174cm/87kg/KAIENTAI-DOJO)
 DJ ニラ(175cm/72kg/KAIENTAI-DOJO)
 工藤 あずさ(185cm/105kg/WEW)
vs
 PSYCHO(不明/不明/KAIENTAI-DOJO)
●UZ(不明/不明/WEW)
 お船(153cm/51kg/KAIENTAI-DOJO) with えだちゃん
[11分48秒 ヤス クラッチ]

この試合は、五所川原 吾作が性転換レスラー・工藤 あずさに扮する事で、
男女混合タッグマッチ、と言う訳だ。いいのか? 本当にそれでいいのか?
それにしても、このメンバーの中にいると工藤 あずさはデカいなぁ…って、他の選手が小さいんだけど。

この試合、ウラノ組の入場時にMCを務めたDJ ニラ曰く「テーマのない6人タッグマッチ」。
で、試合はその言葉通りにクセなくソツなく進行していった。全体の流れとしては、

顔見せ

UZがウラノ組に捕まる

UZタッチ、PSYCHO組の反撃

分断

ウラノがUZをヤス クラッチ(バタフライ ロック)で仕留めた

で、アクセントとしてニラ vs お船ちゃんのお笑いファイトが随所に混じる、って感じですな。

では、ざざっと各選手の雑感を。

・UZ
出した技はケブラーダ、ミサイルキック、
スワンダイブ式スカイツイスタープレスだけで、
相変わらず組み技の類は一発も出さず。
あとは他の選手の攻撃を一方的に受けまくり、攻められまくり。
以前に見た時も感じたのだが、この人に組み技はないのだろうか?
それでも女性人気はかなり高かった。そんなものなのかねぇ?

・工藤 あずさ
UZの股間に噛み付けば、観客からは「あずさ、可愛いっ!!」との声が。
試合終盤にはUZの股間をモロ掴み、怯んだUZにキッスの洗礼。イヤイヤ、UZも災難だな。
今日のメンバーの中では一際デカい工藤、お陰で性転換キャラがより奇怪に見えた。
色々なキャラクターを持つ吾作だが、この試合でのこの選択は正解であろう。

・ヤス ウラノ
この試合のリード担当。身体は小さいながらもガッシリ。
途中でUZに対して放っていたドロップキック、水平チョップは容赦のない一撃。
このメンバーの中では工藤と並んでパワフルなレスラーだった。
もう少し経験を積めば表舞台での活躍も期待できるな。

・PSYCHO
名前のインパクトに反して、この試合では影が薄かった。
蹴り技、飛び技を多用していたが、美しさよりも軽さが目立つ。
あ、スワンダイブ式スワントーンボムはお見事だった。

・DJ ニラ
兎に角、お約束ムーブが多かった。
「ライトセイバーッ!!」と叫べば、ただの水平チョップ。
両腕を相手に突き出してジャンプして突進、「ロケットパンチッ!!」。
「DJアタックッ!!」は、相手をコーナーにもたれさせれのただの背面プレス。
「DJアタックッ、パート2!!」はでんぐり返し中にお船ちゃんに返されてしまった。
ちなみに、技名の絶叫はインディーファンの合唱付き。みんな、良く研究しているねぇ。
それにしてもこの人、まともな技は何も出さなかった、
お笑いキャラとしての姿勢は徹底していると言える。プロレスを舐めているとも言えるが…。

・お船ちゃん。
この試合、唯一の女性にして、唯一のマスクマン…マスクウーマンか。
しかしながら、ピンクの浴衣姿は目立ったものの、試合ではあまり目立たず。
キャラをDJ ニラに食われてしまっているのかな?
…って言うか、この小さい身体じゃウラノや工藤とはまともに試合は出来ないか。
で、この人もまともな技を出した印象は薄いなぁ。ま、DJ ニラとばかり絡んでいたからだな。

ってな具合。

試合後、負けたにも関わらずお船ちゃんとえだちゃんがマイク。
女子プロレス復興計画の第一弾として、CDデビューするんだそうな。
7月20日のKAIENTAI-DOJO ディファ有明興行にて歌のお披露目会があるらしい。
で、ひとしきり宣伝を終えたお船ちゃん、最後はインディーファンと共に「お船だぴょんっ!!」で締め。
入場曲である三人祭の「チュッ!夏パーティ」と共に退場。何だかキツいなぁ…。


第三試合 3WAYマッチ 時間無制限一本勝負
○佐々木 貴(177cm/90kg/DDT)
 伊東 竜二(183cm/92kg/大日本プロレス)
●TNRマシーン(不明/不明/WEW…!?)
[8分03秒 バキューン式スクールボーイ]

このメンバーの中では一際キャラ立ちしている佐々木、入場時から観客を煽りまくり。
リングサイドを一周しながら観客とスキンシップ、
リングに上がればコーナーポスト最上段で指をピストルの形にして「バキューン!!」と叫ぶ。
もちろん、この時はインディーファンも同じポーズで「バキューン!!」。
それにしても、今日は観客のノリがいい。各団体のインディーファンが大量集結しているからなのか?

この試合、3人同時に戦う3WAY方式なのだが、
佐々木は伊藤との一騎打ちをご所望の様子。んで、伊藤も佐々木との対決を望んでいる。
…って言うか、佐々木が最初にTNRマシーンに向かって叫んだ通り「お前、誰だっ!?」って事なのだが。

で、試合序盤は佐々木はTNRマシーンを目の敵にする。
「どこのどいつだっ!?」と叫んでのエルボーを食らわせたり、
伊藤とまとめてコーナーに押し込んで、
バキューン式串刺し低空ドロップキック(股間へのドロップキック)を食らわせたり。

だが、佐々木が本格的に伊藤と絡み始めると、TNRマシーンは徹底的に無視されるハメに。
佐々木と伊藤は、厳しいチョップ合戦、激しいミドルキックの応酬、等、激闘を繰り広げる。
が、TNRマシーンがこの闘いに介入しようとする度に、両者はこれを突き飛ばしてしまう。
それでも健気に試合に参加しようとするTNRマシーン、その哀れな姿に観客から笑いが起こる。

いい加減にTNRマシーンがウザくなった佐々木、
「一人『結び目固め』」みたいなパラダイスロックなる技でTNRマシーンの手足を結んで、
「お前はそこでじっとしてろっ!!」と言い渡す。その捨て鉢な言い方に観客は爆笑。

佐々木 vs 伊藤が再開、伊藤が佐々木をタランチュラに捕らえた。
ならば、と、伊藤も技を返していく。両者の闘いはかなり真剣だ。
そしてその横には、パラダイスロックで全く身動きの出来ないTNRマシーン。
その間抜けな姿に観客から笑いが起こる。

まだまだ続く佐々木 vs 伊藤、
佐々木は伊藤に対して雪崩式ブレンバスターを敢行。
両者の体がリングに叩き付けられると、その衝撃でTNRマシーンのパラダイスロックが解ける。
今日の一番のハイライトシーン、TNRマシーンの迷演技に観客は大爆笑。

で、ここからはTNRマシーンも加わっての闘いに。
佐々木が対戦相手の2人に不知火を決めれば、伊藤は佐々木にスワンダイブ プレス、ミサイルキックで反撃。
TNRマシーンだって闘いに参加、佐々木をロック ボトム風の技でリングに叩きつける。
ならばと佐々木は、TNRマシーンにシャイニング ミドルキックからフロッグスプラッシュ。
そしてお互いにフォールを奪い合う三人、3WAYならではの光景だ。

そんな中、今度は伊藤をロープに結んで動けなくした佐々木。
TNRマシーンをバキューン式のスクールボーイに捕らえると、これが3カウント。
納得のいかないTNRマシーンはレフリーをボディスラムで投げ飛ばしていたが、
これを尻目に佐々木は締めの「バキューン!!」ポーズで観客を煽っていた。
佐々木はこの試合で目立ちまくり、DDT出身のレスラーは盛り上げ上手の人が多いね。

で、結局、TNRマシーンで誰だったんだ…?


第四試合 ストリートファイトタッグマッチ 時間無制限一本勝負
○GOEMON(175cm/90kg/WMF)
 GENTARO(176cm/90kg/DDT)
vs
●チョコボール 向井(172cm/90kg/WEW)
 BADBOY 非道(188cm/108kg/WEW)
[11分11秒 キャメルクラッチ]

この試合は、コスチュームは何でもあり、反則も何でもあり、
場外カウントなしのストリートファイトマッチ。

で、他の三人が地味目な衣装で登場する中、一人だけ白いタキシードで入場した向井。
この姿だけで会場は大爆笑。イヤ、マジで今日の客はノリがいいね。

いきなり乱闘から始まったこの試合、
向井はGENTAROのタックルを食ってもチョップを食っても、
自分のタキシードの汚れや乱れを気にするばかり。
これに怒ったGENTAROは、向井から上着を脱がせると、自らこれを着込んで攻撃。

そんな中、非道とGOEMONは場外で地味に乱闘。目立たんのう。

向井の反撃、場外で奪い返したタキシードでGENTAROを絞めつけ、
パラダイスロックでGENTAROの動きを止めて尻を叩き、
2F南側の通路では、通路を一杯に使ってのジャンピング ニー。
右腕を突き上げて「オーッ」が入る。向井、大暴れ。

そんな中、非道とGOEMONはリング内で地味に乱闘。目立たんのう。

で、四人共リングイン。ここからは比較的まとまったプロレスに。
非道はイス攻撃でGOEMONを流血させれば、
GOEMONは得意のフォーク攻撃で非道に反撃。
これで非道も流血、そこにGENTAROの噛み付き攻撃による追い討ちだ。
更に続くGOEMONとGENTAROの連携攻撃。
これに対して向井は大変鮮やかなスウィングDDTや、
フィッシャーマンの体勢から頭か落とすドライバー技で反撃。
観客はテンポ良く出てくる技の数々に沸きかえっている。

…のだが、ここに来てどうにも非道の動きが悪い。
他の三人が、身体が小さいながらも小気味良くプロレスしているのに、
一人だけあまり技も出さずに蚊帳の外状態。浮いてしまっているなぁ。
身体がデカいだけに、その木偶の棒ぶりが目立つ。
これじゃTNRの中でもオマケ扱いだったのが良くわかるよ。

試合は終盤。向井はイスをリング内に大量投入。
非道はGOEMONをイスの山の上にボディスラムで叩き付ける。
ここでGENTARO登場、逆に非道をイスの山に雪崩式ブレンバスターで投げ捨てた。
そして向井もダウンさせると、GOEMON & GENTAROはスワントーン ボムの競演だ。
美しい空中技に観客から歓声が沸く中、最後はGOEMONが向井を捕らえた。
コンプリート ショットからのキャメル クラッチ、向井が堪らずギブアップして試合終了。

しかし試合後、この結果に納得のいかない非道と向井がイスを持って大暴れ。
ゴングが鳴り響く中、WEW軍がGOEMONとGENTAROを痛めつける。
だが、そこに一人の救世主が。怨霊である。身軽な空中技でWEW軍を蹴散らしていく。

そして怨霊、まずはGOEMONに握手を求める。
GOEMONは握手を返して、観客、特に女性ファンは大歓声だ。
今度はGENTAROに握手を求める。
が、これはGENTAROが拒否。観客は驚きの声を挙げた。
という訳で、この試合を切欠にこの三人の関係は複雑化するようである。

正直、あんまり良くわかんないんだけどさ。

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●「♪アメージーング」は歌は上手かったけど…。
ここで休憩がわりに「アメージング」なる女性2人によるコーラスグループが登場。
この2人は今年5月5日の興行でも売り出していたらしい。
で、持ち歌を披露。二人でハモってのR&B系のバラード。まあ悪くない。
でもしゃべりはコテコテのアイドル系だった。
何かキャラクターのコンセプトが中途半端だなぁ。
アイドルなのか本格派なのかハッキリさせればいいのに。

●あれ、リッキーのお付きじゃなかったの?
で、今度は第一試合でも顔を出していたビキニのネーチャン3人組が登場。
こちらは売店で売っている様々なグッズを紹介していた。
金村 キンタローのフィギュアとか、冬木のTシャツとか。大変だね。

●で、ようやく休憩15分
長い。

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第五試合 タッグマッチ 45分一本勝負
 黒田 哲広(180cm/100kg/フリー)
○田中 将斗(181cm/108kg/ZERO-ONE(炎武連夢))
vs
 ディック 東郷(170cm/90kg/フリー(FEC))
●日高 郁人(172cm/85kg/フリー(FEC))
[16分56秒 片エビ固め]
※コンプリートダスト

FMWで名コンビだった田中 & 黒田が一夜限りのタッグ復活。
その相手が安定した実力を誇るFECなのだから、試合のグレードは保障されたようなものだ。
田中 & 黒田は入場時に「炎武連夢」と「黒田最高」の合体ポーズを披露。中々カッコ良い。

尚、この試合で使われる「」内の台詞は、全て黒田の発言です。
これには、会場に大量にいるインディーファンの合唱がつくものと思って下さい。

先発は日高と田中。
リストの取り合いでは田中がパワーで日高を圧倒するが、
日高はニールキックやトルネード式のコンヒーロの飛び技で反撃。

両者タッチで黒田 vs 東郷、こちらはガッチリとしたプロレスを披露。
チョップ合戦にも力が入ったが、これに打ち勝った黒田が早くも場外に出たかと思えば、
お馴染み鉄柱を使た足への攻撃だ。東郷の足を鉄柱に叩き付けて「もう一丁っ!!」を2度繰り返し、
最後は「もう一丁…と見せかけてっ!!」、足へのエルボー。
で、続いては四の字固め。東郷の足を痛めつけつつ「ど〜うですか、お客さぁんっ!!」と観客を煽る。

日高が救出に入り、これを田中が阻止。試合は全員による場外乱闘に発展。
そして僕の前までやってきたのは田中と日高。
田中は日高をDDTで頭を打ち付けると、黒田のいる方へと全力疾走。
通路中央で田中と入れ替わった黒田は、ラリアットを日高にぶつける。

リングに戻れば、田中 & 黒田組の日高に対する足攻めが始まった。
黒田は本日2度目の鉄柱を使た足への攻撃。
ガシッ、「もう一丁っ!!」、ガシッ、「もう一丁っ!!」、
最後は田中が日高の足にエルボーを落とす。
更には黒田の監獄固め、「This is ただの逆エビ」、
田中のマフラーホールドからのジャイアント スイングが日高を襲う。
日高はこの2人の連携から中々逃れる事が出来ない。

しかし日高は、この2人をまとめてスイング式DDT + ドロップキックで蹴散らすと、
ようやく東郷にタッチ。 歓声の中、東郷はJr.とは思えないパワフルなドロップキックと、
いかにもJr.らしい鮮やかなスイング式DDTで2人を攻めていく。
だが黒田は、得意のラリアットから「そしてノーザンッ!!」、
技名を叫んでのノーザンライト スープレックスで東郷の動きを止める。
更には「This is 哲ちゃんカッター」、得意技のオンパレードだ。

黒田の攻めの流れをジャーマン スープレックスで断ち切った東郷、日高にタッチ。
日高は先ほどのお返しとばかりに反撃するも、黒田のジャーマン スープレックスに捕まった。
今日は絶好調の黒田 & 田中組、ここで「This、元祖ヘブン・インパクトッ!!」、
肩車式ダイアモンド カッターを日高に食らわせると、
「たまには飛ぶっ!!」という黒田のエルボー & 田中のフロッグ スプラッシュ。
この2人の勢いはもう止まらない。

東郷の高さのあるダイビング セントーンが飛び出す場面もあったが、
この日の主役はあくまで黒田 & 田中組。日高 & 東郷を分断した後、ターゲットを日高に絞る。
まずは田中がパワフルなラリアットで日高を吹っ飛ばす。
続いてのパワーボムは、日高がDDTで切り替えしたが、
そこに黒田のラリアットが襲ってきた、好アシストだ。
最後は田中のコンプリートダスト、日高はフォールを返す事が出来なかった。

で、試合が終われば大団円。
予想通りのクオリティーの高いプロレスを見せた4人に観客から大拍手が起こる。
これに対して、手を取り合って挨拶する4人。イヤイヤ、いい試合だった。

で、今日は試合中も喋りっぱなしだった黒田がマイクを持つ。

「田中、今日はありがとうっ!!(観客大歓声)

 だけど、今度の火祭り、同じブロックなんだよなっ。(観客どよめき)
 今日は今日っ、火祭りは火祭りっ!!
 『ど〜うですか、お客さぁんっ!!』(インディーファン大合唱)」

黒田は良く喋るし、良く客を沸かせるレスラーだねぇ。


第六試合 6人タッグマッチ 60分一本勝負
 天龍 源一郎(189cm/120kg/フリー)
○金村 キンタロー(5尺8寸/58貫/WEW)
 折原 昌夫(175cm/92kg/メビウス(FEC))
vs
 ミスター 雁之助(178cm/110kg/WMF)
●マンモス 佐々木(188cm/125kg/WMF)
 TAKA みちのく(175cm/90kg/KAIENTAI-DOJO)
[15分47秒 片エビ固め]
※爆YAMAスペシャル

今日のメインは「WEW vs WMF」、
FMWから袂を分けた2団体の激突である…のだが、
それ以上に目立っているのが、天龍 源一郎の存在だ。
先日、全日本プロレスを離脱したばかりの天龍、
若きインディーの勇達を相手にどのような試合をするのだろうか?

佐々木がWMFのタオルを掲げて、WMF組の入場。
普段は同団体で敵対関係にある佐々木と雁之助の距離関係が気になる。

WEW組、まずは金村が入場…なのだが、
OFFSPRINGの「Come Out & Play」がかかるや否や、観客は大歓声。
冬木の一番の弟分だった金村、観客は彼の活躍に期待しているのだろう。
やがて入場してきた金村、曲に合わせてブリブラダンスを踊ればインディーファンも総立ちで踊りだす。
イヤイヤ、何だか凄い人気だ、本当にインディーファン達の信用を勝ち得ている証拠だな。
そしてリングインしてからのブリブラダンスは、かつての盟友、雁之助の目の前で。
これを冷めた目で見ている雁之助、昨日の友は今日の敵だ。
で、全然関係ないが、OFFSPRINGにはいい曲が多いね。「Pretty Fly」とか「All I Want」とか。

で、入場曲が「サンダーストーム」に変わると、やはり観客は大歓声。
花道には天龍を応援するノボリが立ち並び、大天龍コールの中、天龍と折原が入場してきた。
金村の入場時でさえ出来上がっていた会場の空気は、この天龍の入場でさらに異様な事になる。
こんな空気なら、この2人が何をやってもドッカンドッカン沸くだろうな。

試合は天龍組が仕掛けた乱闘から始まったが、
まずリングに戻ってきたのは折原とTAKA。Jr.同士のスピーディーな展開から場外へ。
と、ここでまずは金村がプランチャを披露。会場が歓声に包まれる。

そして…、何と天龍がコーナーポストに登り始めたではないかっ!?
観客の期待が異様に膨らむ中、天龍はその期待に答えてコーナー2段目から場外へのプランチャを敢行。
これには、観客大爆発っ!! 今日一番の大きな声で天龍コールを叫びまくりだっ!!

そしてここからは天龍の独壇場。
途中、雁之助のサソリ固めを食らったりしたものの、
天龍は佐々木相手にはグーパンチとチョップを連打してダウンさせ、
雁之助にはチョップ合戦で真っ向勝負、その胸が真っ赤になる程に天龍チョップを叩き込んだ。
佐々木には無造作にイスを投げつけ、ラリアットは鈍い音声付のキツい一撃、更には延髄蹴り。
交代したTAKAみちのくには起き上がりこぼしチョップを叩き込み、
パワーボムでリングに叩きつければ、折原にムーンサルトプレスを指示。
53歳の天龍、今日も元気である。

そんな中、佐々木が金村を場外の机へチョークスラムで投げ捨てたり、
金村が佐々木の股間へのキツいイス攻撃を出したり、机の破片で思いっきり佐々木を殴ったり、
TAKAが天龍に打点の高いライダーキックを出したり、
金村をジャスト フェースロックに捕らえたりしたのだが、
雁之助が金村をドライバー技で頭から落としたりしたのだが、
何せ天龍の存在感が圧倒的で、今日は彼らの印象は薄くなってしまった。
特に金村は、この試合ではもう一人の主役になっても良かったと思うのだが、
今回は完全に天龍に喰われてしまう格好に。ま、仕方がないか。

試合の行方としては、試合前から不穏な空気が流れていたWMF組が予想通りの仲間割れ。
佐々木にラリアットを叩き込んだ雁之助は、試合中にも関わらず花道を引き揚げてしまった。
観客からは雁之助に対して厳しいブーイングが。

残された佐々木は奮戦したが、
折原のスパイダージャーマン、天龍の背面エルボードロップと来て、最後は金村の爆YAMAスペシャル。
WEW組の必殺技オンパレードを前にしては、3カウントを聞くのは仕方が無いか。

今日の締めのマイクは金村。

「天龍さんっ!!
 こういう場を作っていただき、ありがとうございます。(観客大歓声)

 それで…、もし宜しければ、一緒に踊って下さいっ!!(観客大歓声)
 それでは、ミュージックスタートッ!!」

ここで「Come Out & Play」が再び会場に流れると、何と天龍が腕を組んでいる。
「これは…、これは…」と観客が騒然とする中、ついに天龍がブリブラダンスを踊ったっ!!
途中、振りを間違えるハプニングもあったものの、観客は大歓声でこれを支持。
もちろん、インディーファン達は一緒になってブリブラダンスを踊る。

こうして今日の興行は、最後の最後まで大歓声のまま終了を迎えた。

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雑感:
FMWの同窓会的色合いの強い興行でしたが、
蓋を開ければ、それ以上にインディーファン達の大集会のようなノリでした。
普段は色々な場所に散っているインディーファンが集結すると、
会場のノリはここまでパワフルになるんだなぁ…と思い知らされました。
試合内容が全体的に良かったのも、今日の興行の成功に繋がっていると思います。

欲を言えば、開放的な試合の多かった今日の興行、
屋外でビールでも飲みながら見たかった、かな?

ま、いずれにせよ…。
冬木さん、良いものを観せていただきました。
ありがとうございます。

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以上、長文失礼。




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