6/1 SB 後楽園ホール興行 観戦記
■団体:SHOOT BOXING
■日時:2003年6月1日
■会場:後楽園ホール
■書き手:高倉仮面
17:30
後楽園ホール到着。今日はSBの観戦。

前回の4月の後楽園興行。
名試合、珍試合が続出する中で迎えたメインイベントは、
シェイン チャップマン vs アンディ サワーの外国人対決。
「K-1 MAX オセアニア王者 vs S-CUP 覇者」という豪華カードであったが、
蓋を開ければチャップマンは度重なる金的攻撃、
試合は悶絶しまくったサワーの反則勝ちという何とも不完全な結末。

そんな中、セミファイナルにて外国人選手を相手にKO勝利を収めた緒形。
試合後、マイクを握って叫んだ言葉は「外国人天国、何だそりゃっ!?」。
エースである緒形は、SBに圧し掛かる「日本最弱」という見方に対して真剣に怒っているのだ。

そして本日、SBが用意した対戦相手は「SBの裏番長」の座に就きつつあるチャップマン。
緒形には、昨年11月のサワー戦で惨敗しているという拭えぬ事実がある。
その名誉挽回の為に、前回興行で吐き出した緒形自身の言葉を有言実行にする為にも、
今日の試合は勝利以外に道は残されていない。

今日の注目カードはもう一つ。
SBの次期エース候補である宍戸 大樹と、現在、タイを主戦場としている加藤 督朗の対戦だ。
久々の「来日」となる加藤は、タイでは目の肥えたファンからも一目置かれる存在だという噂。
その噂がもし本当だと言うのなら…。
前回興行で前ラジャダムナン王者のテーワリットノーイ SKVジムに判定負けしながらも、
パンチのコンビネーションで元ムエタイ王者を大いに苦しめた宍戸。
この二人の対戦は名勝負となる事は間違いはない。

今日の興行はこの2大カードを含む全8試合。
前座戦線に出場する選手の所属に目を向ければ、
U.W.F.スネークピットジャパン、U-FILE CAMP.com、そして何と高田道場。
U.W.F系のジムや道場からの参戦者が目を惹く。
SBは地道ではあるが確実にその提携団体を増やしている。こういった部分も目が離せない。

立見席購入、チケット代3000円を払って会場入り。
相変わらずSBは安い。パンフも買って4000円、それでも安い。
そして今日もきっと好試合が続出、ああ、安い、SBは兎に角、安い。


17:45
会場入り。観客の入りは、試合開始時には3割程度。
で、本日は、最近は興行のメインに出場し続けていたサワーが、
7月に開催されるK-1 WORLD MAXに出場する為に未出場。
これが客足に影響したのか、最終的にも7割〜8割の入りだった。
このところのSBの観客動員数を知る者にとってはちょっと苦戦した入りだと言えるだろう。

それでもエース緒形の奮起に期待しつつ観戦開始。

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●ルールについては、基本的には「K-1」と同じですが、
以下の点が「K-1」と違います。

・組みついてからの膝攻撃は何発でもOK。

・投げがOKである
 (有効な投げはジャッジ時の点数にもなる。後方から投げた方が点が高い。)

・立関節がOKである
 (有効な立関節はジャッジ時の点数にもなる。後方から極めた方が点が高い。)

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第一試合 フレッシュマンクラスルール フェザー級 3分3R
○所 一通(172cm/55.05kg/SSSアカデミー)
●中林 英貴(166cm/56.65kg/シーザージム)
[判定 2−0]

スパッツ姿の所、白いSBパンツにレガース姿の中林。

1R、ローキックで蹴る中林に対して、
所は打ち合いからロープ際でスタンドでスリーパーを仕掛ける、これはポイントにはならない。
それどころか、これでスイッチが入った中林は、
ミドルキックとストレートパンチでガンガン所を追い込む。

劣勢に立たされた所は後退する一方だったが、
ラウンド終盤、中林の放ったストレートに合わせてカウンターのストレート。
これがモロに入って中林がダウン。所にはダウンによる2Pが加算。

2R、ポイントを奪われ焦る中林、
組み付いての腰投げでシュートポイント1Pを奪い返し、
更なる追撃をと所を追い回すが、所は逃げながらのキックや組み付いてのヒザで応戦。
中盤以降は、距離が詰まると両者が顔面に向かってのストレートで殴り合いをする場面が多く見られた。
両者共にクリーンヒットする場面も多く、2R終盤には二人共バテバテに。

3R、やはり追いかける中林、所も組んでからのヒザ連打で応戦したりするが、
やはりタイミングが合うと、両者は顔面に向かってのストレートで殴り合いだ。
再びスタミナを切らしてしまう両者、組み合っての投げ合いの後で体勢が崩れると、
共に立ち上がるのもやっとの様子。

終盤、中林のストレートが所の顔面を打ち抜く場面もあったが、
所も組み付いてのヒザやストレートで応戦、試合終了。

判定は序盤にダウンを奪った所が2−0で勝利。


第二試合 フレッシュマンクラスルール スーパーライト級 3分3R
○金井 健治(172cm/68.8kg/ライトニングジム)
●小武 悠希(174cm/69.85kg/U-FILE CAMP.com)
[判定 3−0]

前座にU系選手登場、一番手は田村 潔司率いるU-FILE CAMPの小武。
普段は総合格闘技の前座戦線で活躍している選手で、
SBにも既に出場経験があるが、この時は負けている。
対戦相手は、これまで3勝1敗と順調な戦跡の金井。
小武、SBルールに対して雪辱なるか?

試合は1R開始早々から打ち合いに。
お互いのパンチやキックが交差する中、金井は積極的に組み付いて投げを狙っていく。
ラウンド中盤、金井は腕を掴んでの鮮やかな巻き投げでシュートポイント1Pを獲得。
更には、尚もフック、ストレート、ミドルキック等でガンガン前に出て小武を攻める。
小武はニールキックを出したりローキックで反撃するが、やや押され気味。

2R、やはり接近戦からの打ち合いが続く、打撃で押すのは金井。
ハイキック、ストレート、ローキックを散らしてのフックと攻めも多彩だ。
小武は一発逆転のジャーマンスープレクスを狙うも型が崩れてしまう。
試合は手数の多い金井のペースで進んでいった。

その流れがやや変わったのはラウンドの終盤。
前に出てくる金井に対して、小武のミドルキックからの1・2・3のパンチがヒット。
更に接近戦、小武のフック、前蹴り、ミドルキックがヒットした。
これらの打撃が非常に効果的で、これまでは元気だった金井の動きがやや悪くなる。

だが3R、インターバル中に持ち直した金井は、
やはりローを散らしてのストレート、フックで小武を押す。
対して小武は前蹴りとミドルキックで反撃する、と、再び金井の動きが悪くなる。
それでもストレートからハイキック、組み付いての顔面へのヒザを連打する金井、
対して小武は渾身のミドルキックの連打で反撃、更には一発逆転狙いのニールキック。
お互いもはやボロボロ、それでも最後まで殴り合い、蹴り合いは続く。
試合終了時には観客から大きな歓声が沸いた。

判定は1Rの投げと、全体的に試合を優位に進めた金井が3−0と支持を集めて勝利した。


第三試合 フレッシュマンクラスルール ライトヘビー級 3分3R
○杉澤 英樹(179cm/78.85kg/シーザージム)
●高橋 渉(172cm/75.65kg/高田道場)
[判定 3−0]

前座のU系選手、二番手は高田 延彦率いるの高田道場の高橋。柔道出身なんだそうな。
試合前のSRS-DXのインタビューでは
「9分間のうち、7割は投げます!! 自分の首投げに気を付けろ!!
 きれいな投げ技なんてしない。パイルドライバーのような投げ技だ!!」
と…桜庭に言わされていた。
で、入場してきた高橋は、どこかガラの悪い感じのする選手だった。
体格的にも明らかな総合向けの筋肉が付いている選手、スタミナは大丈夫か?

さて試合。柔道出身の高橋、桜庭との約束通り1Rから積極的に組み付いて投げを狙っていく。
…というよりは、兎に角、投げ以外は何も狙っていない感じだ。
杉澤が何発打撃で牽制しても、猪突猛進に向かっていっては組み付いて投げを狙う高橋。

だが杉澤はシーザージム出身、
デビューから2試合目と試合経験は少なくても、このルールでの戦い方はシーザー会長直伝。
距離があればミドルキック、前蹴り、ストレートでダメージを与え、
高橋に組み付かれても投げを全く許さず、逆にボディへのヒザでダメージを与えていく。
高橋はそれでも何回かは、強引に一本背負いや払い腰等の投げを放ったが、
杉澤に型を崩されシュートポイントを奪うには至らず。

こんな攻防が続いていけば、
2R終盤頃には高橋の動きがかなり悪くなるのは当然の話である。
杉澤のボディへの打撃を食らい続け、自身は強引な投げを放って体力消耗、
高橋は3Rにはもはや組み付く体力すら残っていない状態だ。
そこに杉澤のストレート、ミドルキック、前蹴りがガンガンヒットする。

それでも最後の力を振り絞って杉澤に組み付く高橋、だが杉澤はボディへのヒザで反撃。
万策尽きた高橋、3R終盤はサンドバック状態。
杉澤のパンチ、ミドルキック、ハイキック、ボディへのヒザがガンガンヒットしていった。
それでも高橋は、試合終了までダウンだけはしなかった。

判定、杉澤が3−0で勝利。


第四試合 フレッシュマンクラスルール スーパーフェザー級 3分3R
○歌川 暁文(161cm/56.75kg/U.W.F.スネークピットジャパン)
●植松 辰弥(169cm/56.85kg/シーザージム)
[判定 3−0]

前座のU系選手出場、最後を飾るのは、
SBではお馴染み「SB前座の名勝負製造機」、
宮戸 優光率いるU.W.F.スネークピットジャパンの歌川だ。
デビュー戦以来、試合をする度にその勝負が名試合となる歌川、
本日は「U最強伝説」Tシャツを着ての入場。
今日の相手はシーザー会長の弟子である植松。

1R、両者共にローキックを起点に打ち合う。
植松は徹底してのローキック、これが中々に重い音がする。
対する歌川、ローキックから得意のミドルキック、組み付けばヒザ。
植松のローキックにはカウンターのストレートで反撃していく。
そして両者が近づけばパンチの打ち合い、ここでも両者に差はない。
1R終盤、歌川はバックを奪ってジャーマンスープレクスを放つが、
植松は投げられ際にうまく体を反転して体勢を崩し、ポイントを奪わせない。

2R、距離が開けばローキックを中心に蹴っていく植松。
対して歌川はストレートパンチとミドルキック、組み付いてのヒザの連打で反撃。
そして両者が接近すれば殴り合い、植松がカウンターのストレートをヒットさせれば、
歌川もストレートをクリーンヒットさせて反撃。まだまだ両者に差はない。

3R、植松はやはりローキック、1・2からのローキックで歌川を攻める。
これに対して、ストレートとミドルキック、組み付いてのヒザで反撃していく歌川。
ラウンド終盤、このヒザが効いのか、やや動きの悪くなった植松。
歌川は組み付いてのヒザで印象点を稼いでいった。
それでも植松は1・2のローキックで反撃、試合終了。

判定、個人的には「延長もあるのかな…」と思うくらいの勝負だったが、
いざ蓋を開ければ、歌川の3−0によるストレート勝利。
う〜ん、こんなジャッジ結果になるとは思わなかったなぁ。


第五試合 エキスパートクラスルール 79Kg契約 3分5R
○薮 英平(172cm/75.45kg/龍生塾)
●YU IKEDA(190cm/78.35kg/湘南ジム/SB日本ライトヘビー級四位)
[4R 2分2秒 レフリーストップ]
※パンチの連打による

長身からのフリッカースタイルが印象的なIKEDA。
しかしながら前回後楽園大会では、篁相手に消化不良の勝利。
ここはその存在感をアピールする為にも、KO勝利が期待される。
対する藪、僕は知らなかったのだが、この人、期待の新鋭らしい。
関西グローブ空手では準優勝、アマチュアSBでも準優勝。
「デビュー戦にして『第五試合 エキスパートクラスルール』」
という異例の扱いを受ける藪、果たしてどれ程の選手なのだろうか?

リングの上に立つ両者、その体格の違いが印象的だ。
この階級でやるには長身で細身のIKEDAに対して、
身長の割には体重の重い藪の体はメチャメチャゴツい。

1R、いつも通り距離を置いて、ミドルキックで蹴っていこうとするIKEDAだが、
藪は積極的に前に出てIKEDAの懐に入り、ローキック、ミドルキック、フックを叩き込んでいく。
IKEDAは距離を開ける事が出来ずに打撃を食ってしまう。

IKEDAは何とかいつもの距離、長身を活かした遠距離戦で試合を進めたいが、
ブレイクしては突進してくる藪の勢いを止められない。
ラウンド中盤、懐に飛び込んできた藪のストレートの連打をモロに食らった、
元々、顎が強くないIKEDAは早くもダメージが大きそうだ。

2Rも1Rと同じ展開。
藪の突進はまるで止まらない、懐に入ってのパンチの連打。
IKEDAも何とか遠距離戦ではミドルキックやストレートを当てていくも、
藪はすかさず懐に入ってしまう為に、有効な打撃が連続で入らない。

3R、開始早々、藪の懐に飛び込んでのフックとストレートがヒットするが、
尚も組み付いてきた藪に対して、IKEDAはフロントチョークをガッチリ極める。
IKEDA応援団の大歓声が飛んだが、ここは藪が逃れてしまった。
しかしIKEDAにはシュートポイントが1P、押されっぱなしだった藪に一矢報いた。

だが、試合はやはり藪のペースのまま進む。
懐に飛び込んでのストレートのラッシュをIKEDAが捌くことが出来ない。
そしてラウンド中盤、連続でパンチをもらったIKEDAがついにダウン。
何とか立ち上がれたもののIKEDAはフラフラ、
ダメージが残っている事は素人にも明白だ。
藪はやはり懐へ飛び込んでのストレートのラッシュを続ける。
完全にガードが下がってしまったIKEDA、この打撃を全部食らってしまっている。

4R、IKEDAが距離を取りながらの反撃のストレートで藪をグラつかせる場面もあったが、
やはり藪の勢いを止めるには至らない。藪はこれまでの戦法を何ら変える事はなく、
懐に潜り込んでのパンチの連打でIKADAにダメージを与えていく。
最後もコーナー際でIKEDAを追い込んでの懐からのパンチの連打。
棒立ちのままパンチを食らい続けるIKEDA、これを見たレフリーが試合をストップした。

藪は破格の扱いに対して、最高の型で応えた、と言えるだろう。
第三試合の杉澤と同様、選手層の薄いライトヘビー級戦線にまた一人、素晴らしい選手が現れた。

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●15分休憩

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●饒舌シーザー、吼える
SBの休憩後のお約束、今日はいつもの
「♪シィ〜ザァ〜ッ、シィ〜ザァ〜ッ!」
…ではない歌謡曲と共に入場したシーザー会長、観客へ挨拶。

「本日はご来場、誠にありがとうございますっ!!(会場歓声)

 最初に、皆さんにご報告します。
 前回、私は、アンディ サワーとシェイン チャップマンの再戦を皆さんの前で約束しましたが、
 この試合は、直ぐにやってもまた同じ結果になるのではないか、と考え直しました。
 そんな中、K-1さんから『サワー選手をK-1 WORLD MAXに出場させて欲しい』という依頼がありました。
 そこで、私自身考えた挙句、サワーをK-1という舞台で勝負させる事にしました。
 事後報告ではありますが、ここに報告させて頂きます。(会場拍手)

 さて本日、チャップマンに緒形が挑みます。

 僕は日本で生まれたSBという格闘技が、
 『日本最弱』『外人天国』と言われる事が許せないんですっ!!

 緒形の言った言葉です。
 僕はSBをやってきて、こういう若者が生まれてきた事を嬉しく思います。
 今日は思いっきり、彼を応援してあげてください。(会場歓声)

 私は『日本最弱』『外人天国』、上等じゃねぇか、と思います。
 日本には『侍魂』があります。 負けても負けても立ち向かう『侍魂』があります。
 そんな日本の精神文化をSBを通して応援してあげて下さい。

 協賛会社の方々、ファンの皆さん、ありがとうございましたっ!!(会場歓声)」

シーザー会長も、今日の緒形には期待するモノがあるのだろう。
最後は選手のサイン入りの団扇を観客席に投げ入れたり、Tシャツを投げ入れたり。
こういう小さなファンとの交流は嫌いじゃない。恒例化して欲しいです。


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第六試合 エキスパートクラスルール(肘あり) 66〜68kg契約 3分5R
○宍戸 大樹(174cm/66.25kg/シーザージム/SB日本スーパーライト級王者)
●加藤 督朗(184cm/68.5kg/PHOENIX/WMTAサウスパシフィック ムエタイライト級王者)
[再延長判定 2−1]
※延長判定 0−1
※判定   0−0

この試合、本日屈指の好カード。

SBの次期エース候補、前回興行では、
前ラジャダムナン王者のテーワリットノーイ SKVジムを相手に、
敗れはしたもののかなりのところまで追い詰めた宍戸 大樹。
対するは、普段はタイを主戦場とし、
ムエタイのチャンピオンベルトも保持する加藤 督朗。
両者共にあまり有名ではないが、実力、実績共に一級品の日本人同士の対戦、
その試合内容も自ずと期待してしまうのが人情というものだろう。
雑誌等ではあまり注目はされていなかったが、僕の中ではかなり楽しみな一番だ。

この試合の前、加藤はインタビューでSBに対して暴言を吐く。
「立ち技の最強はムエタイです。
 SBの投げ? 首相撲が出来ないから、そんな事してるんじゃないですか?」
SBにとっては、これ以上ないくらいの屈辱的な言葉だと言える。
前回興行に続いてムエタイ系選手との対戦となる宍戸、果たして勝利を収められるか?
それとも加藤が、ムエタイの奥深さを宍戸に叩き込む事になるのか?

会場は試合前から既にヒートアップしまくり。
観客席の一部を占拠した加藤応援団、加藤の入場と同時に大歓声で観客を煽る。
これに対して、宍戸の入場には観客席の大多数の宍戸ファンから大歓声が沸き起こる。
SBに流れる「対抗戦」の空気。この空気、SBでは宍戸が小谷 直之と対戦した時以来だろう。
両者の選手コールの時は、観客同士の応援合戦と化していた。凄いな、熱いな。

1R、まずは牽制のローキックを適当に散らしながら攻める宍戸。
加藤は下がって距離を取りながらの前蹴り、1・2パンチ、ミドルキック。
まずはお互いの戦法の様子を見ている状態。会場に緊張感が走る。

均衡を破ったのは、加藤の長身を活かした渾身のミドルキック。
「バシーン」という重い音が会場に響き、観客は騒然となる。
これに対して宍戸もミドルキックで応戦、ここから両者が積極的に打撃を出し始める。
長身の加藤は前蹴りで距離を置きつつ、1・2パンチや重いミドルキックでダメージを与える。
対して宍戸は、追いかけながらのローキック、ストレートやアッパーで反撃。
お互いの打撃が交差する度に、応援団やファンの大歓声も交差する。
まずは1R終了、今のところ、両者の打撃に差は見えない。

2R、開始早々に加藤がハイキック、これをかわした宍戸はカウンターのローキック。
1・2からのハイキックで追撃、おまけにニールキックのデモンストレーション。
宍戸ファンは大歓声でこの攻めを支持する。

ならば、と、加藤が積極的にヒジを使い始めた。
組み付いて、縦に、横にと、宍戸の顔面にエゲツない角度でヒジを顔面に入れていく。
宍戸も対抗してヒジを返していく。観客席からは両者への大コールが交差する。

ラウンド中盤、加藤のヒジ攻撃が少々効いてしまった宍戸が前に出れなくなってしまった。
ここに加藤は得意の重いミドルキックと、接近してからのヒジでガンガン宍戸を追い詰めていく。
宍戸は下がりながらのローキックで反撃するものの、加藤の勢いを止めるには至らず。
加藤はラウンド終盤まで宍戸を攻め続ける、ラウンド終了時には加藤応援団の大歓声。

3R、何とか回復した宍戸は今度は前に出てミドルキックとストレートで加藤を追うが、
加藤は下がりながらの長くて重いミドルキック、距離が縮まっても前蹴りで宍戸を突き放す。
このラウンドもやや加藤のペースで進んでいった、が…。

追ってくる宍戸に対して、加藤は痛恨のローブロー。
「パコン」という音が聞こえてくる一撃。宍戸悶絶、宍戸ファン大ブーイング。

試合再開、追う宍戸のストレート、逃げる加藤のミドルキックと1・2パンチがヒットする中、
組み付いた宍戸はヒジとヒザを繰り出す、と、今度は宍戸がローブロー。
しかし当たりは浅かったのか、加藤はあまりダメージがなさそうだ。
加藤は「痛いよ〜っ」というゼスチャーで宍戸を挑発する。加藤応援団、大歓声。

試合は反則を挟んでヒートアップ、
試合再開、両者に沸き起こるのは応援の大歓声だ。

再開直後、加藤はもの凄く重いミドルキックを連発で宍戸にヒットさせる。
だが、これに怯まなかった宍戸が反撃を開始。
組み付いてのヒジ、フック、ローキックと打撃を次々にクリーンヒットさせる。
加藤もヒジやミドルキックを返していくが、
宍戸はパンチの中にローキックを混ぜたコンビネーションで反撃、
加藤のミドルキックに対しては、綺麗にスウェーしてストレートを入れる場面も。
3R終了、これまで押され気味だった宍戸の反撃に宍戸ファンが大歓声だ。

4R、前に出る宍戸がローキックをヒットさせれば、
後ろに下がる加藤がミドルキックをヒットさせる。
宍戸は得意のストレートからのアッパー、パンチのコンビネーションで加藤を殴れば、
加藤はハイキック、前蹴りで反撃していく。お互いに譲らない攻防、観客大歓声。

ラウンド中盤、両者のミドルキックが交差する中、宍戸のストレートがモロにヒット。
ちょっと効いた様子の加藤に、宍戸はローキック、ストレート、アッパーと畳み掛ける。
対して、何とか下がって距離を開けて重いミドルキックで蹴っていく加藤ではあったが、
宍戸はこれを追いかけて、パンチによるコンビネーションで押していく。
更には組み付いてのヒジとヒザの連打。しかし加藤もヒジやヒザを返していく。
それでも終盤にはソバットを繰り出す余裕を見せた。
ここに来て宍戸がポイントを取り返している。宍戸ファンは大歓声だ。
ラウンド終了、う〜ん、3分間が実に短いっ!!

5R、大宍戸コール、大加藤コールが交差する中、
宍戸は組み付いて、立ったまま肩固めのような技で加藤を絞める。
しかし極まりが浅かった、外した加藤はミドルキックの連打で宍戸を蹴る。

そして試合は、このラウンドも基本は同じ。
「追う宍戸のストレート & アッパー vs 逃げる加藤の長くて重いミドルキック」だ。
何度となく交差し、何度となくクリーンヒットを繰り返す両者。
打撃がモロにヒットするたびに、応援団の、ファンの、観客の大歓声が沸き起こる。

そんな中、宍戸は加藤のミドルキックをキャッチしては、
払い腰のような投げ技、腕を取っての巻き投げ、更にはフロントチョークを極めようとする。
SBではジャッジ時の採点に大きく響くキャッチポイントやスローポイントを稼ぐ作戦だが、
加藤は悉くこれを防御。投げ技は型が崩れ、極め技は極まらない。

結局、最後にモノを言うのは打撃、宍戸はパンチで、加藤はキックで攻撃を続ける。
観客のヒートは試合終了1分前のリングアナウンスで最高潮に。
終了間際でも加藤はあくまでも距離を保ってミドルキックを宍戸に叩き込み、
宍戸はあくまでも距離を詰めてストレートとアッパーで加藤に食い下がる。

そのまま試合終了、会場は大歓声、大拍手の嵐。
終了直後、両者は観客に手を振って自分の勝利をアピールした。

だが…。

判定は、両者共に差はなし、ジャッジ三者が50−50、ドロー裁定。
SBのルールによって、試合はサドンデスの延長戦に突入だ。
会場が名勝負のボーナストラックに沸き返る。
そりゃそうだ、この試合をマストシステムで決着をつけるなんて無粋である。

延長R、またまた大宍戸コールと大加藤コールが交差する中、
宍戸は5Rと同じく投げ狙いで加藤に組み付いていく。
しかし加藤はヒザとヒジでこれを対処し、距離が開けば長くて重いミドルキックで宍戸を蹴る。

ついに両者に差が出始める。
散々にボディにキックを食ってきた宍戸、動きに精細がなくなって来た。スタミナが切れ始めた。
これに対して、1Rに放ったミドルキックの威力が全く衰えていない加藤。
ムエタイで鍛えた体が、このマラソンマッチの展開で真価を発揮し始めた。

加藤はそんな宍戸に、威力のあるミドルキック、1・2・3のパンチのコンビネーション、
組み付いてのエゲツないヒジを宍戸にヒットさせていく。
これらを食らう宍戸、疲れを見せながらも、
ローキックとパンチの手数を出して必死に加藤に食らいつこうとする。
…が、宍戸はラウンド終盤に痛恨のローブロー。ここに来てこの失点は痛い。
加藤応援団が大歓声になる中、加藤は最後までミドルキックを宍戸に叩きこんで行った。
だが宍戸も、ローブローに焦る事なく、パンチのコンビネーションで加藤に食い下がる。

延長終了、会場は大歓声、大拍手の嵐。
だが、調子ついているのは加藤応援団の方、宍戸、万事休すか?

判定は…、何と加藤の1−0、ドローである。
これにより、試合は再延長戦に突入だ。
正直、宍戸への採点はホーム贔屓が明らかに入っているとは思うが、
それ以上に、この勝負は「決着がハッキリするまで殴り合って欲しい試合」だ。
この裁定にブーイングを送る加藤応援団には悪いが、
大歓声を送っている宍戸ファンの事も考えて、
黙ってもう1R、この試合を見ようじゃないかっ!!

再延長R、お互いに1・2・ミドルキックのコンビネーションを入れ合い、
お互いに組み付いてのヒジをガシガシと入れあう。

そんな中、やはり元気なのは加藤の方。
威力の衰えないミドルキックを二連発でヒットさせると、
ヒジ、ハイキックと次々に攻撃を繰り出していく。
だが宍戸も根性がある。延長R時にも狙っていった投げをこのラウンドも狙っていく。
組み付いては渾身の力で投げようとする宍戸、加藤はこれをこらえる。
やはり試合はやや加藤のペースで進んでいる。

だが、宍戸にチャンスが到来。
やや集中力を欠き始めた加藤の顔面に、
宍戸の1・2・アッパーのコンビネーションがヒットした。
加藤はやや怯みながらも、組み付いてヒジやヒザを叩き込むが、
これには宍戸もヒジやヒザを返して対抗、距離が開けばアッパーで追撃だ。
宍戸ファンの大歓声が再び沸き起こる。

しかし、やはり体力が残っているのは加藤の方、
一向に威力の落ちないミドルキックから、再び宍戸に組み付いてヒジを連打。
だが宍戸、これを食らいながらも、突き放してのアッパーをヒットさせる。
更にはストレートで追撃、組み付けば、シュートポイントこそ奪えなかったがついに投げを決めた。
会場の歓声はもはやリングアナの「残り時間」の声を掻き消す程である。

だが加藤、最後まで威力の落ちないミドルキックで宍戸を蹴っていき、
ラウンド終了間際にはおまけに首相撲からの投げ技で宍戸を投げ捨てた。

再延長R終了、会場は大歓声、大拍手の嵐。
今度は両者のファン、応援団、共に両者の勝利を確信しているようである。

判定。
一人目は「10−9、宍戸っ!!」。
二人目は「10−9、加藤っ!!」。
会場大歓声、さあ、どうなる? 試合は再々延長か!?

三人目は「10−9…、宍戸っ!!」。
この瞬間、会場の殆どを埋め尽くしている宍戸ファンの大歓声が沸き起こったっ!!
勝った宍戸も、全身でその喜びを現している。

反対に、負けた加藤の応援団はこの判定に大変に不服そうだ。
だが、負けた加藤自身は悪びれる事なく、堂々と自分自身の健闘を観客にアピールしている。
これには、加藤応援団だけではなく、宍戸ファンも大拍手でこれを支持。
控え室に去っていく加藤を、応援団が大歓声で迎える。

正直、加藤は自分が勝っていたと思っただろう。
確かに、体力を残していたのは明らかに加藤の方だった。
僕の意見としてはこのラウンドはドロー。
もう1R、この試合が見たかった。

勝利した宍戸がマイクを握った。

「皆さん、ご来場、ありがとうございますっ!!(会場大歓声)

 今日はこんな結果になってしまいましたが…。
 僕がライト級の世界を獲って行きたいと思いますっ!!(会場大歓声)

 加藤選手は本当に強い心を持った選手でした。
 僕自身、今日は勝ったと思っていません。
 今度はムエタイルールでも構わないので、再戦しましょうっ!!(会場大歓声)

 今日は本当にありがとうございましたっ!!(会場大歓声)」

恐らく、今年の日本キック史上に確実に残るであろう一戦。
その再戦かぁ…。見たいなぁ。素直に見たいなぁ。

兎に角、両者共、お疲れ様でした。


第七試合 エキスパートクラスルール 85kg契約 3分5R
○ネイサン コーベット(183cm/83.7kg/オーストラリア/ブンチュウジム/SB日本ライトヘビー級一位)
●伊賀 弘治(175cm/83.85kg/龍生塾/SB日本ヘビー級三位)
[2R 57秒 KO]
※左フック

伊賀 弘治。僕はこの選手はどうも恵まれていない気がする。
僕が始めて見た時は、知る人ぞ知る総合格闘家 シリル ディアバデと対戦、
2mという身長のディアバデにアウトレンジから思いっきりミドルキックやパンチを食らってKO負け。
次に見たのは、テレビ東京でも放送された、昨年11月の興行。
体重差こそないものの、やはり体格差の激しいポール スロウィンスキーを相手に、
パンチや投げであと一歩まで追い詰めたものの、結局は体格に勝るポールの重いローキックの前に沈んだ。

そして今日の相手は、昨年7月のS-CUPにワンマッチで出場、
YU IKEDAを相手に何もさせずに圧勝したネイサン コーベットである。
んで、身長を見ればわかる通り、今日もまた体格差のある選手を当てられた伊賀。
この人、SBライトヘビー級のポリスマンなのだろうか? イヤハヤ、大変だ。

1R、伊賀はまず1・2・アッパーというコンビネーションでコーベットを牽制。
だが、直後にコーベットがローキックを繰り出すと、観客は騒然。
物凄い衝撃音が会場に響いた為である。

そして試合はあっという間にコーベットのワンサイドゲームになった。
1・2・ローの基本的なコンビネーションで向かっていく伊賀ではあるが、
体重の乗ったストレート、大変に重いローキック、
強烈な首相撲からのヒザ攻撃、リーチが長くて破壊力のあるミドルキック。
これらの攻撃の前に、ラウンド終盤には防戦一方になっていた。

2R、破壊ミドル二連発、重いローキック、伊賀がパンチを返す、
重いローキック、最後は体重の乗りまくったストレート、伊賀ダウン。
コーベットが強烈に実力差を見せ付ける。
伊賀は一度は立ち上がろうとしたが、ヒザから崩れてしまった。
レフリーがカウントを止めて、試合終了。

コーベットはまた見たい選手だなぁ。
でも、立ち技のこの体重って、今は日本キック界の穴なんだよなぁ。
次に見れるのは、いつの日になる事やら…。
対して伊賀、悲運の男の明日はどっちだ!?


第八試合 エキスパートクラスルール 71kg契約 3分5R
○シェイン チャップマン(181cm/70.8kg/オーストラリア/
            フィリップ ラム リーガージム/HKMTC世界ミドル級王者)
●緒形 健一(172cm/70.6kg/シーザージム/SB日本スーパーウェルター級王者)
[判定 3−0]

本日のメインイベントは、SBの裏番長 vs SB日本のエース。

「外国人天国、何だそりゃ!?」。緒形がリング上で叫んでから、約2ヶ月。
緒形が自らの発言にケジメをつけるべく、メインイベントに出場する。
対戦相手は、K-1 WORLD MAXでは、手数では王者アルバート クラウスを圧倒し、
SBでは「キラーロー」土井 広行を下し、
S-CUP 覇者のアンディ サワーとは互角以上の勝負をしたシェイン チャップマン。
普通に考えれば、昨年11月にサワーを相手に惨敗した緒形が勝てる相手ではないだろう。

だが、SB日本再生の為に、緒形は強豪に挑んでいく。
そして、それは会場中の観客が知っている事である。
だからでこそ、入場曲の「The Final CountDown」が会場に掛かれば、観客は大歓声だ。
そして3F後方から入場する緒形、リング前で頭を伏せて精神統一。
「The Final CountDown!!」の歌詞と共に雄叫び、リングインすれば観客は更なる歓声を挙げる。

こんな入場、今時、流行らないかもしれない。カッコ悪いかもしれない。
だが、この曲はSBの前日本人エースである吉鷹 弘から譲り受けた曲。変える訳にはいかない。
この曲と共に、今日も日本人エースとして正面から「外国人天国」「日本再弱」と戦おうとする。
緒形 健一とは、そういう男なのだ。

…だが、その試合結果は残酷なものだった。

1R、両者は距離を保ちながら、様子見の打撃を放つ。
チャップマンは長身を活かしたミドルキックや前蹴りやストレート等で牽制、
時々、これにローキックとハイキックを織り交ぜる、といった按配。
対する緒形は、ローキックと1・2のストレートパンチで対抗。
このラウンドは両者共に激しく打ち合う事もなく進んでいったが、手数の上ではチャップマンが上だった。
チャップマンのローキックには、緒形がスリップする場面も見られた。
体重こそ同じくらいだが、体格的にはチャップマンの方が一回り上なせいか、
今日のチャップマンにはどこか余裕が見える。

2R、やはり今日のチャップマンは緒形をナメている。
それが証拠に、いつもは長身を利用した、
下がりながらのミドルキックでポイントを稼いでいくチャップマンが、
前に前にと出て、緒形に前蹴りやソバットを放っているではないか。
この圧力に、緒形は下がりながらのローキックで抵抗はしているが、早くも苦戦している様子。

ラウンドも中盤に差し掛かる頃、ミドルキックと前に突き出すヒザで緒形を攻めていたチャップマン、
緒形が「下がってはやられる」と思って前に出たところに、カウンターのストレートを合わせた。
体重の乗った一撃をモロに食った緒形はこれでダウン。会場から緒形へ「立てっ!!」の声援が飛ぶ。

何とか立ちあがった緒形だが、チャップマンは尚も前に出る。
1・2・ミドルキックのコンビネーション、得意の組み付いてからのヒザ攻撃、
そしてこれまた得意のミドルキック。これらの攻撃を食らった緒形、再びダウン。

会場に絶望的な空気が立ちこめる中、緒形は何とか立ちあがって試合続行。
そして、更に畳み掛けてくるチャップマンのラッシュ。
組み付いてのヒザの連打、裏技・飛びヒザ蹴り、そしてハイキックを何度も繰り返す。
緒形は完全に防戦一方だったが、何とかこのラウンドを凌ぐ。
だが、ゴングと同時に気を緩ませた緒形のアゴにチャップマンはアッパーカットを食らわせる。
忘れてはいけない。チャップマンは裏番長なのだ。

3R、開始草々にチャップマンはストレートを繰り出せば、
緒形はモロに食らってまたまたダウン。会場からは失意の溜息が聞こえてくる。

緒形は何とか立ちあがった。会場からは緒形の奇跡を信じる歓声が沸き起こる。
チャップマンは何度も立ちあがってくる緒形に引導を渡すべく、
ハイキック、組み付いてのヒザの連打、さらにはパンチのラッシュを浴びせる。

ここで緒形が意地を見せる。
1・2パンチやローキックでチャップマンを攻め始めた緒形、
チャップマンのハイキックには、かわしてからのストレートをヒットさせる。
緒形、一気に反撃開始…したかったが、チャップマンは百戦錬磨。
緒形のこれ以降の反撃を綺麗に捌いたかと思えば、顔面への前蹴りで緒形の動きを止め、
距離を稼ぎながらのミドルキックや、距離を稼ぐ為の前蹴りで再び試合を自分のペースに戻してしまう。
終盤、緒形のフックが二連続でヒットする場面もあったが、試合の流れを変えるには至らず。

4R、チャップマンの攻めが益々冴える。前蹴りで距離を稼ぎつつ緒形のボディにダメージを与え、
1・2・3・ローキックのコンビネーション、ボディブローの追い討ちだ。
これらの攻めの前に、緒形は全く手が出なくなってしまった。

何とかローキックに反撃の糸口を掴もうとする緒形だが、どうしても体が引けてしまう。
もはやチャップマンの余裕すら消せない状態だ。
逆にチャップマンは積極的に前に出て、前蹴り、飛びヒザ、組み付いてのヒザ、
1・2からのヒザ、前蹴りと確実に緒形にダメージを与えていく。

動きが鈍る緒形。そのしんどそうな表情にチャップマンのアッパーとストレートが襲った。
モロに食らった緒形、またしてもダウン。もはやボロボロである。
それでも立ちあがってきたのは、日本人エースとしての意地であろうか?
緒形に対する観客の大歓声に、悲壮感が漂っている。

立ちあがった緒形に、チャップマンはお構いなしの得意技のフルコース。
1・2、ヒザ、ミドルキックと畳み掛けるが、ここはゴング。

5R、開始草々からチャップマンのKO狙いのストレートが緒形を襲う。
緒形は後ろに下がって距離を測るが、チャップマンは前に出て、組み付いてのヒザ攻撃。
離れ際にチャップマンが両手で押せば、緒形はスリップダウン。
更には、ジャブを何発も食らわせてからのストレート。チャップマンの攻めが止まらない。
「下がっていては攻められぬ」と見たか、緒形も前に出ようとしたが、
チャップマンは「お前は下がっていればいい」とばかりに前蹴りで緒形を突き放す。
そして、1・2・アッパー、ミドルキック。緒形はもう殆ど体力は残っていないだろう。

ラスト1分、緒形が意地の反撃だ。
前に出ながら、力が入らないストレートで必死にチャップマンに食い下がる。
観客も悲壮感込みの大歓声で緒形に力を与えていくが、
チャップマンはこれを捌きながら、ヒザとミドルキックで緒形を蹴り続けた。
そして試合終了、ガッツポーズのチャップマンに対して、
ひたすらうなだれる緒形。SB日本人エースとしてのプライドもボロボロか?

判定、見るまでもなく3−0でチャップマンだ。

緒形が力なく花道を後にする中、チャップマンがマイクを握る。

「ドウモ、アリガトウ。(観客歓声)

 今日はトレーナーに感謝しています。
 ニュージーランドからは、私の彼女も来ています。

 さて、次の挑戦者は誰でしょう?

 アンディ サワーとの再戦もあるかもしれませんが…。
 後藤でしょう。後藤に勝ったら私がSBのNo.1になります。(観客歓声)」

これに反応して、試合を見ていた後藤がリングイン。
元々、前回興行でチャップマンに対して挑戦を表明していたのは後藤。
相手からの指名は願ったりかなったりであろう。

「みなさん、こんばんは。(観客歓声)

 あいさつは抜きにして…。オレは一味違うぜ。(観客歓声)
 ほな、『外国人天国』はオレが終わらせますわ。(観客歓声)
 とりあえず、このリングで勝ち逃げしている外国人を一人づつ潰していくさかい、
 みなさんこれからも応援よろしく。(観客歓声)」

そして最後に、シーザー会長が挨拶。

「今日は緒形も、全ての選手も、一生懸命がんばりました。
 これからも応援よろしくお願いしますっ!!(観客歓声)」

兎に角、SBの外国人天国はまだまだ続いていくようだ。
ならば、対抗する日本人選手はどうなのか?

土井。S-CUPの準決勝でサワーに敗れ、復帰戦ではチャップマンに完敗。
だがS-CUPのサワー戦は足を負傷していたし、その復帰戦がチャップマンでは厳しいだろう。
つまり、言い訳がましいかもしれないが土井は100%の体調でこの二人に挑んだ訳ではない。

後藤。サワーにはワンマッチで敗れたものの互角の勝負を演じて、チャップマンとは未対戦。
後藤はこの二人と対戦するのに、一番正当な理由を持った日本人選手だと言える。

しかし緒形。ワンマッチでサワーに完敗、そして今日、チャップマンに完敗である。
「外国人天国」「日本再弱」という言葉がSBに横行する中、
その元凶となる外国人二強との対戦の最後尾に回ってしまったSBの日本人エース。
キツい言い方になるが、今日は「外国人天国」を退けるどころか、
「日本再弱」を加速させてしまったと言えよう。

果たして、緒形は再生するのだろうか?

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雑感:
今日は第六試合の満足度が高すぎます。日本人同士による真正面からの大激突。
今年の日本キック史上に確実に残る一戦を生で観れた事が素直に嬉しいです。

宍戸 大樹 vs 加藤 督朗。
再戦があるなら、是非、生で観て欲しいです。




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