全女35周年激震
■団体:全日本女子
■日時:2003年5月11日
■会場:横浜アリーナ
■書き手:凸ユーレイ(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

 窓口で口車に乗せられ、最前列35周年記念シートという非常に高価な席を購入してしまう。特典にバックステージパスが付いており、当初はあまり興味も無くJWPの選手が勝ったときだけ記者会見を覗きに行こうかと思っていたが、ご存じのようにこの大会いろんなことが起きたため、試合後の談話など非常に面白く聞けることとなりました。
 客層、向かう横浜線の車中から、妙にガタイがよく髪の短い年配の女性が目立つなど、会場に入っても女性客の染髪率が高い(しかもそんなに若くない)。上手く表現できないが「荒れた」感じの方が多い。失礼。
 花道。ビジョンのある一面には客を入れておらず、設置客席の入りが6割ぐらい。6000〜7000人ぐらいか。

1.○前村早紀、米山香織(JWP)(11:00変形回転エビ)×さくらえみ(我闘姑娘)、高瀬玲奈(アルシオン)

 入場のトップバッターは元・元川恵美のさくら。桜海老をモチーフにした覆面、髪を細く2本に束ねて触覚? 「えびキッズ」なる揃いのコスチュームに身をつつんだ子どもたちを引きつれて、オリジナル曲(桜海老の歌?)を歌い踊る華やかな登場。受けてました。大会全体のオープニングとしてさくらを起用したのは成功。
 さくらがピンチに陥るとばんばんキャンバスを叩いて応援するキッズ。米山が怒って「うるさいガキ!」エプロンを降りてリング下を2周ほどもグルグル追い掛け回す。受けてました。
 試合は、ムーンサルト、ファイヤーバードスプラッシュ(もう2階からにゃんにゃんプレスではない?)でさくらが追いこむが、前村が逆転。しかしこのフィニッシュ技、ロープから返ってくる前村が飛びつきやすいようにひょいと相手が腰をかがめ、協力の上に成り立ったもの。まあどんな技でも大なり小なりそういう要素はあるけど、見え見えなのはいかんだろ。前村むりやり上げられてる印象。
 バックステージ 前村「米山さんと組みたかったんですよ〜なんか似てるでしょう?」米山「もっと全女さんに呼んでくださいよ〜 全女のミニモニとJWPのミニモニで。体重制限が無ければの話ですけど。ここ、誰かツッコンで下さいよ〜(以下略)」
 さてこの試合のもう1人、他団体でありながら全女のジュニア王座を保持するストロング高瀬。かつてJWPの練習生だったのに練習がきつくて夜逃げ、いっぽう高瀬の合格したアルシの入団テストに米山が落ちるという、少なからぬ因縁も両者の間にはあるのだが、この日は目立つところなく。チャンピオンなんだから、全女さんももうちょっと高瀬の扱い考えてあげてくれ。ただ、高瀬、全試合を花道の奥で見つめていました。

2.格闘技戦 5分3R
○エリカ・モントーヤ(1R1:36三角絞め)×藤井巳幸

 何も出来ずあっという間に藤井負け。しかしその後、まさか藤井くんがあんな姿になるとは…

3.渡辺智子、○前川久美子(15:50カカト落としから)×三田英津子(フリー)、日向あずみ(JWP)

 3月4月にタイトルマッチ2連戦を行なっている日向と三田(三田はAWFを防衛、日向もNEOの2冠を防衛して1勝1敗)。2戦目の後、三田は横アリのパートナーを日向に依頼、その後JWPの助っ人として定期参戦、フリーのヒール軍と闘っている。
 タッグで自分以外が全員先輩、というシチュエーションは日向にとって久しぶりではないだろうか?ふだん、自分と同じくらいか自分より劣る体格の、しかも手の合った相手とばかり試合していて、その攻撃の鋭さ・エグさが際立っている日向ではあるが、この日は大きな3人に囲まれ、相手の分厚さに攻めの鋭さが吸収されてしまったよう。日向のニーより前川の蹴りの重さのほうが上、という印象を与えてしまった。3年前、前川が日向に取られたオールパシフィックのベルトを渡辺が取り返したという、地味な因縁も内包する対決であったが、特に日向は目立つことも出来ず。残念。延髄ニー+三田のデスバレーという連係も用意してあったが、終盤三田が捕まり、執拗な蹴りの連打に敗れる。
 
4.○井上京子(NEO)、井上貴子(フリー)、吉田万里子(アルシオン)(14:31パワーボムから)×高橋奈苗、倉垣ツバサ(フリー)、ファング鈴木(Jd')

 退団した西尾の代わりに急遽カードに入った倉垣。新調した高橋のコスチュームと偶然迷彩柄が共通。連係も、目で合図して同時に対角コーナーからダイビングヘッドを落とすなど、急ごしらえにしてはなかなか。ただ、全女が欲しかったのは、ベビーフェイスの倉垣じゃなかったのかな。
 昨年から全女に上がり高橋と組んでタッグリーグにも出たファング。自分のホームリングでは「勝負にこだわった試合を見せろ」「闘いがない」などと批判してヒールをやっている同一人物が、あい変わらず全女ではお笑いを見せるっていうのはどうなんだ。
 大型揃いの相手に対抗してパワーファイターを集めた高橋組がそれなりのチームワークだったのに対し、肝腎の復活昭和63年組は吉田が1人浮く。リング内から「3人!」と連係を呼びかけてもW井上が呼応しなかったり。
 試合は終盤、京子と高橋の一騎打ちとなり、迫力のぶつかり合いの末京子勝ち。高橋、ナナラッカで京子を持ち上げることは出来ず。
 バックステージ、勝者組の会見場に貴子現れず。「(2つ後の)バトルに出るからじゃない?」と吉田は言っていたが… その後も、吉田の焦点がズレたようなおためごかしな返答をそのまま京子が口調ごとモノマネするなど微妙な空気が笑える。京子は高橋のことは素直に誉めていた。
 さて、それまでわからなかったのだが、敗者組も別の場所で取材を受けていたのに気づき、倉垣が何か喋るかと思いそちらへ向かってみると、なんと高橋が会社批判の真っ最中。「全女を辞めてフリーになるとかは全然考えていないが、会社の考えとズレがある」。横でファング・倉垣、固まったまま微動だにせず。笑

5.松永俊国メモリアルマッチ〜極悪同盟復活〜
○ダンプ松本(OG)、クレーン・ユウ(OG)(12:36ボディプレス)立野記代(LLPW)、×小倉由美(OG)
※レフェリー阿部四郎。セコンド影かほる、コンドル斉藤、ドリル仲前、永堀一恵ら

 というわけで、バックステージで高橋のインタビューを聞いてから戻ると、すでに小倉さんが大流血。
 阿部四郎、めちゃイケ出演効果もあってか、そのえこひいきレフェリングが、ヒートよりも笑いを誘ってしまう。そのせいもあり、ダンプはJd’に出てる時より怖さが薄れているようだった。

エキジビション OGバトルロイヤル
○ZAP・T(12:31回転エビ)×井上貴子
※レフェリー小松原浩美。退場順 影、仲前、斉藤、小倉、立野、大森ゆかり、ユウ、ジャンボ堀、前川、

 試合終了後、ダンプが1人1人を紹介するかたちで一言ずつ35周年お祝いの辞。面白かったが、さっき大流血させた小倉に優しく呼びかけるなどここでもダンプ「いい人」ぶりを発揮。最後に新・極悪同盟の発足を発表、新メンバーとして影、ZAP・T、そしてなんと剃髪した藤井!を紹介したが、今後はダンプ流のプロ意識の徹底がその大ヒール軍団復活のカギとなるであろう。地方巡業とかなら大丈夫かな。
 なお、OGとしてマキ上田、ジャガー横田も紹介されました。客席には先日引退したばかりのASARIも。

 休憩。ロビー大混雑。JWPの売店の前まで人が殺到しているのを見て涙。

6.○金本浩二(新日)、大向美智子(フリー)(12:31アンクルホールドでレフェリーストップ)魔界4号、×A・コング(魔界倶楽部)

 大向は「自分が金本さんの横に並んでいるとカッコいいと思う」と言っていたがそうか??
 思うに金本&大向って、頭が悪いヤンキーの皆様レベルのカッコ良さでは。なにより、自分で自分をかっこ良いと思っているその自意識がカッコ悪い。まあ、そのへんに需要があるのなら余計なお世話であるが。
 魔界4号がなかなか大向と絡まないので「柴田マジメにやれ〜」と野次が飛ぶ。しかし中盤以降は積極的に攻め、バコバコ蹴って大向動けなくなる。金本はなんの躊躇もなく挑発してくるA・コングを攻め、最後も得意技を決めて大威張り。
 喋る内容自体に興味はなかったが金本節が聞きたくてステージ裏へ(それで見られなかったが退場途中、なぜか休憩時挨拶に来ていた鈴木みのると一触即発になったとか)。金本(かすれ声で)「大向を守らないかんと思てたけど、なんや助けられたな。A・コングてデビューして何ヶ月?タップせえへんところにプロ意識を感じた」大向「男子のぉ、選手のぉ、技の重さをぉ(以下略)」

7.○魔界魔女1号、魔界魔女2号(ヘルズデビルス)(5:15ダイビングフットスタンプから)×堀田祐美子、神取忍(LLPW)

 星野総裁が投入を予告していた魔界女ボスは小畑千代。三十数年前の全女のライバル団体のエースにして、いまだ現役を宣言し、『現代思想』のインタビューなどで「神取とやっても負けない」と豪語する老婦人である。OGバトルロイヤルのレフェリー小松原さんと同様(こちらはまだ若いはずだが)、年配でもガタイが良く短髪、を代表する方である。 
 魔界魔女1号、ゴング直後から堀田・神取に「伊藤!伊藤!」と指摘されマスクを脱ぐ。とやはり、中国長期渡航中?で横アリに出ないかもと言っていた伊藤薫。(なお、誰も気にしていない2号の正体は、ファイトスタイルからフリーの矢樹広弓だったと思われ)
 試合終了後、LLPWのヒール軍ブラックジョーカー(風間ルミ、イーグル沢井、桑田真里、小河真子+渡辺智子、井上貴子)が神取を袋叩きして「ウチの団体ではこんなことやってますよ」と大会場でアピール。
 そんなこんなはともかく、その後のマイクで堀田が全女退団宣言! ステージ裏でも例によっての堀田言語で真意が掴みにくかったが、「GAEAに単独で強行出場したときから考えていたことですか?」と質問した記者をじーっと睨んでいたのが印象に残る。

セミ オールパシフィック選手権
○納見佳容(王者)(25:18フィシャーマンバスターから)×下田美馬(挑戦者、フリー)

 またバックステージから帰ってくると既に納見は流血。横アリの1階フロア客席中を長時間引きまわされ痛めつけられる。リング上でも椅子、鉄柵攻撃。たいへんな劣勢に追いこまれる。
 しかし終盤、大技の打ち合いになると、えんえん下田のカバーをカウント2で返し、技を打ち続ける。こういった展開になると、たしかに納見が勝ってもおかしくないわな。掟破りの逆デスレイクドライブは失敗したけど…
 下田的には、大場所のセミのタイトルマッチでアイドルレスラーを好きなように痛ぶりつづけて、気持ち良く納得のいった試合だったのではないだろうか。
 
メイン WWWA世界シングル選手権試合
○浜田文子(挑戦者、新間事務所)(21:47APクロスから)×中西百重(王者)

 浜田のセコンドに父親。
 序盤、静かな出だし、探り合うような動き。締め技、両者とも逆エビ、浜田はボーアンドアロー、キャメルクラッチ。中西は足4の字。
 動きが大きくなり飛び技が出始める。浜田ブファドーラ。続いてエプロンからケブラーダを狙うが足を掴み落とされ逆にポストからのケブラーダを食らう。中西リングで、得意の脳天を突き刺すようなミサイルキックを見舞う。浜田もコーナーから鉄柱越えケブラーダをお返し。
 リングに戻り、浜田雪崩式浜ちゃんカッター、中西ドラゴンSPX。中盤、徐々にスピードアップ、技のすかし合い。ジャーマンをバク宙で着地、スピンキックをかがんでよける中西、モモラッチをこらえライガーボムに移行する浜田。
 だんだん局面が煮詰まってくる。大技の打ち合い。中西、ドラゴン、ジャーマン。スパイラルボムをかけられ、回されている間は全く死んだフリで落とされる瞬間すごい速さでモモラッチに返したのは美しかったがカウント2。
 浜田はスピンキックを多用、そのどれもがまともに中西の頭部を直撃。動きが完全に止まった中西にAPクロス(フィッシャーマンに抱え上げて、自分の股の間にライガーボムのように落とす)でフィニッシュ。
 浜田の試合としては非常にいい試合だったと思うが、中西の試合としては… 連戦している全女の身内、手の合った相手の時のように「すべてを出せなかった」というコメントの通りだろう。もっと期待値は高い。
 そして、離脱者続出について聞かれ「今日終わって、全女もまだまだいけてるやんて思いましたけどね。…5年前、同じ横アリでの30周年から… 苦しいのはずっと変わらない、その苦しさに対して意地だけでやってきて… 我慢できなくなった人(大会前に退団を発表した、若手の西尾美香、Hikaruをも指すのか)、違うやり方でやっていきたくなった人… 今は、負けた悔しさでいっぱいいっぱいで、他のことは一晩経って落ち着いてから考えます」

 離脱者、会社を批判した者、一人一人について理由は様々だろう。マッチメーク等、扱いに関する不満も当然あるだろうが案外要因としては小さいのでは。抽象的に考えて、自分よりはるか後輩が王者になった時点でベテランにとっては自分の位置が難しいわけで、それは去年豊田が辞めたのと同じだろうが、了解の上のことではないのかな。納見が上げられすぎてはいるが、それは観客動員を考えてのことだし、写真集の仕事で体を張って会社に貢献している納見を批判する気持ちはないだろう。高橋には、浜田がいきなり挑戦して王者になることへの不満もあったようだ。「浜田とやりたい気持ちはない」と言っていたし。やはりいちばん大きいのは経済的な理由ではないでしょうか。

 これから北海道巡業に出る全女、正規軍側に残るのは中西、納見、前川?、前村、新人の小関。伊藤は出場するのか?三田と下田は? いやーどうなっちゃうんでしょうか。




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