5.7スマックガールを見た──
■団体:SMACKGIRL
■日時:2003年 5月7日
■会場:六本木ベルファーレ
■書き手:ゆうたろ


六本木ヴェルファーレで行われるようになって3回目のスマックガール。
RINGSの解散からこっち、「ガチなんてみねえよ!」と嘯いていても、なぜかつき合いと称して(爆)、六本木には通っている。
今回は急遽決まった興行らしく、いつもよりカードが一段落ちるとの印象を持っている人が多いようだ。
前回は、私がガチに興味を持てない理由である「敗戦恐怖症同士の壊し合い」傾向は無く、
鮮やかな勝者、勝利を見つめ続けた敗者、そして紙一重の緊張感という、
プロレスではよほどのヴェテランしか醸し出せない雰囲気の試合ばかりが並んだ、鮮やかな興行だった。
カードの善し悪しよりも、前回の心地よい記憶を持つ観客が押しかけたと見え、今回も溢れんばかりの会場だ。
「グラップラーvsキッカー」というアングル張りのうまさと相まって、スマックガールが認知されつつある傾向なんだろう。

細かな試合内容は、スポーツナビの速報ページを見て頂きたい。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/live/200305/07/index.html
カードの善し悪しは正直よくわからないけれど、今回も好試合が並んで良い興行だった。

1)大室vs堀口
デビュー戦を感じさせずに前へ出る堀口。「なぜ付き合うんだ?」と大室の試合ぶりに疑問を持たせるほど、その打撃は鋭い。
大室は凌ぐのではなく、正面から撃ち合う。やがて間合いに入り、倒してすかさず腕ひしぎ。
その鮮やかさはケイシュウカイの看板を見せつけるようであり、期待する会場をヒートさせる試合だった。

2)唯我vs玉井
ゆったりと前へ出る唯我に、プロレスラーのごときトリッキーな表情、フェイントを見せる玉井。
前回、恐ろしいほどの説得力で勝利した唯我だが、玉井はロングレンジからパンチを的確に当て、
柔道出身の唯我を投げの距離に入らせない。良いパンチが何度も当たり、唯我を何度もぐらつかせる。
それでもひるまない唯我。遂に絡みついて投げた! けさ固めにで玉井の首をひねり上げる!!
唯我の勝利を期待して、場内は盛り上がる。──だが、玉井は30秒を耐え切った。スゴイ!
結果的に、玉井は3度目のけさに耐えきれずタップするも、どちらがプロレスラーかわからない、
感情の伝わってくる試合だった。そして唯我はマイクを持って次の試合をアピール。有刺鉄線のミクスドマッチ。
She is プロレスラー。

3)渡邊vs松川
渡邊の打撃は的確だった。松川もギロチンは惜しかったが、締め続けたことで逆に体力を消耗したか?
50キロそこそこの体重、しかも総合のグローブで3ダウンを奪ってのKOは見事。
松川も心は折れなかった(首がちょっと細いけど、インストラクターらしい良いプロポーションだったなあ)。

4)ジェットイズミvs亜利弥’
クラウチングスタイルからゴツゴツとパンチを入れるジェット。
それでも前へ出てくる亜利弥’を首相撲で完全にコントロールする。
そしてヒザ蹴り。本人がコメントするように、鋭く顔面を狙うヒザだ。
だが、亜利弥’はそのヒザを抱え込み、テイクダウンを狙う。ローキックのキャッチも試みる。
試合中盤から口元に笑みを湛えたような表情で、鋭いジェットの攻撃を黙々と狙う亜利弥’。
判定はほとんど首相撲の差だろう。
ああ、俺が愛した異種格闘技戦はここにあった。

5)久保田vsアバハイア
ゴルドーの刺客、アバハイア。そのルックスに目を見張るも、試合ぶりを見ていてなぜか懐かしくなる。どうして?
試合序盤こそパンチに腰が入るアバハイアだったが、久保田のパンチを何度かもらうと、
その打撃にはまるで威力が無くなった。久保田はパンチでリードして密着し、テイクダウンを狙う。
その瞬間、久保田の頸にアバハイアの腕が絡みついてくる。しかも、グランドで暴れて顔面へ蹴りを入れても、
ほとんど悪びれていない。ああ、ウイリーピータースのようだ・・・。
第4試合が第2次UWFとすれば、この試合はまさに初期RINGS。
ガチ=タコ殴りという図式が明白になる前の、俺が愛したプロレスの正統進化がここにある。
しかも、のらりくらりのアバハイアを攻めあぐね、誰もが判定だと思い始めたとき、
RINGSジャパン選手より技術を持っている久保田が極めて見せた。涙が出そうになった。

6)しなしvsフブレクツ
フブレクツがどんな選手か、強いのか弱いのか、全くわかりませんでした。
ファーストコンタクトで完封。まさに王者の勝利。しなしの佇まいはヒクソンのごとき平常心を感じさせる。

5.2ZERO-ONEや、5.5WEWではなく、この興行の観戦記を書こうと思った理由は第5試合にある。
ラダーを見上げる坂田や遺骨を抱えて電流爆破に飛び込む橋本に現在のプロレス心が激しく揺さぶられても、
猪木や前田の異種格闘技戦に覚えた青春の疼きを思い出すことはない。
第5試合に感じた涙は、郷愁の涙か、RINGSへの惜別か、RINGSジャパン選手たちのふがいなさへか?
ああ、甘酸っぱいなあ。




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