SMACKGIRL Third Season-III 観戦記
■団体:SMACKGIRL
■日時:2003年 5月7日
■会場:六本木ベルファーレ
■書き手:S泡盛


 黎明期から次のステップへ、女子総合界は地味ながらも着実に拡大していると思う今日この頃、今回コレを書くにあたって、ともかく昨年のスマックガールの大会を思いおこす作業をしてみる。こんなときには観戦記ネットの観戦記バックナンバーで追っかけるのが一番便利。残念ながら自分はReMixの大会や渋谷のATOM時代の雰囲気を知らないのだが、去年の今頃にはすでに、ディファ有明でほぼ毎月のペースで興行を開催していた。4月は森松とGF2の3対1対決、6月は見に来ていた山本晋也監督の一言が試合を動かしたとかないとかの薮下vs彩丘の名勝負があったものの、他の試合は、最近のような終始ピリピリとした緊張感が持続する印象ではなく、言葉を変えればアットホームな雰囲気の場所だった。

 しかし特に昨年末のトーナメント決勝あたりから、各選手の技術面および精神面でのレベルが急激に上がってきたように思え、ホンワカした感じものはナナチャンチン劇場と試合後の虎島選手や試合のないときの辻選手のしゃべりくらいになってきた。興行自体の進行、選手の技術、入場者数のレベルアップは全て大歓迎なんだけど、ディファでやってた時のユルユル感が欲しくなっちゃうのは自分の感性が疲れ気味なのか、それとも単なる天の邪鬼なだけのか?

 まあそんなこんなで、今日も6試合、とはいえ海外の選手がセミ、メインに登場、ジェット・イズミ参戦と緊張感のある展開が予想された。入場者数前回よりちょっとだけ少ない766人。(ホントか?)今回は高乃希里嬢もリングに上がって大きな声でオープニングコール、なかなかいいぞ。

第一試合
○ 大室 奈緒子(和術慧舟會東京本部) 1R 1分26秒 腕ひしぎ逆十字 × 堀口 陽子(BCGizm.com)

 大室選手の紹介映像では「ヒトゲノム」がどうしたこうしたと謎の文字列にバイオテクノロジー系の何かのモデル図みたいなオブジェがグニュグニュっと・・・で、アタマぐーるぐる。学生時代はそういった研究をしていたそうな・・・。研究熱心で向上心が強いらしいのはそんなバックボーンがあったのか。対する初登場の堀口選手、良くも悪くも有名なPRIDEのレフェリー島田裕二氏のジム所属、でも今回がプロデビュー戦で大きな舞台に(いや、そんなに大きくないんだけど)緊張しちゃってるのか表情がものすごく固い。それを察してか、リラックスさせようとセコンドが肩をほぐすようにマッサージをリングの中まで入って延々と・・・ちょっと目立ち過ぎ(笑)。
 今日はSGSルールだから両者序盤から積極的に前に出て打合う。堀口選手の打撃を少し受けながらも経験の差から、試合の流れを支配した大室選手が落ち着いてテイクダウン。グラウンドになれば圧倒的にうまい。堀口選手、最初のグラウンドこそなんとかしのいだものの次のコンタクトでもスピード感のあるタックルで倒され流れるようなあざやかな十字を受けてしまいあえなくタップ。小さな身体で跳び上がって喜びを全身で表現する大室選手の笑顔がとてもヨイ。


第二試合
× 玉井 敬子(SOD女子格闘技道場) 1R 4分27秒 袈裟固め ○ 唯 我(プロレスリング・ナイトメア)

 前回、体重を過少申告、当日計量では大幅にオーバーしてた・・・ってお笑いネタ(マジネタ?)で登場の唯我選手。まあ無差別級だから何も問題ないんだけど。対するタマちゃん(オリジナル)、相変わらず全身からアドレナリンが噴出しっぱなしの状態で入場!応援団の紙テープとともにホタテが撒かれるちょっと前の帷子川のごとく「ターマちゃ〜〜ん」という声援が飛び交う。
 開始からすぐに坂口一美選手がよくやる飛び蹴り一発をくりだしたのは玉井選手、それなりにウエィトがあるから結構効果があったよう。打撃で勝負に出て、かなり的確にガードのゆるめな唯我選手の顔面を捉えている。しかし、柔道の経験が豊富な唯我選手が投げから袈裟固めなど、パワーを生かした固め技で反撃、場内もスゴイ盛り上がりを見せる。玉井選手は肩固めをしのいだ攻防のあとのグラウンドでさすがに持ちこたえられなかったか、袈裟固めで厳しく締め付けた状態で反応が鈍ったところで市瀬レフェリーがSTOPをかけた。
 唯我選手、勝利後にセコンドにつくレスラーの死神たちに「気」を送る?と3人が吹っ飛ぶという楽しいパフォーマンスを見せてくれ、さすがによくエンターティメントを理解している。そして試合後の互いの健闘を称えあう姿も含め、これこそスマックガールらしい一戦といった感じで個人的にはこの日のベストバウト。唯我、マイクでは前回と同様に自分達の興行の告知、今度はターザン後藤とデスマッチだって。(怖


第三試合
○ 渡邉 久江(TEAM LIMIT) 1R 3分05秒 KO × 松川 敬子(飛翔塾)

 打撃を得意とする者同士の対戦、体格、リーチもそれほど大きくは変わらないか?スピードのあるパンチ、強力なキックの打ち合いとなる。どうみても他の選手たちより体重は軽いのに、両者ともホントに強烈なパンチを出す。一度だけ松川選手が寝技に持ち込むが、渡邉選手はなんとかしのいで、リスタート、一気に攻勢に出る。結局2度のスタンディングダウンの後、鋭いパンチでKO。いまだに見慣れていないせいもあるんだけど、正直いって女性の試合で顔面パンチが延々と続くのは腫れたりしなくてもやっぱり怖い。渡邉選手も全てをガードしきれたわけでなく何発かキツいパンチをもらってたみたいだし。でも松川選手また見たいと思わせる雰囲気がある。


 休憩時間にウィンディ・辻の両選手の今後の予定など発表されたけど結局は当初隔月で開催としていたスマックの本戦も6、7月と決定、どうやら毎月になるらしい。その間、場内ではターザンとナナチャンチンがツーショットで記念撮影してたり、PRIDEとULTIMATE CRUSHのレフェリーが談笑してたり、マニアが唸るようなセコンド陣の面々が行ったり来たり、相変わらずの異空間が出来上がっている。


第四試合
○ ジェット・イズミ(クロスポイント吉祥寺) 2R 判定3−0 × 亜利弥’(フリー)

 怪我からの復帰そして初参戦で注目の強豪(自分もAXまでは見にいってないので)、ホントに練習不足だったんだろか?安定したグラウンドテクニックに物凄い打撃力、執拗な膝蹴りは打たれ強い亜利弥’選手でなければ簡単に撃沈されていたであろう。唯一判定になったこの試合、ここ一年でメキメキと実力をつけてきた亜利弥’選手も全く怯むことなく打ち合っていたが、守りも堅い相手に立ち技、グラウンドとも優位に攻めることがほとんどできなかった。ジェット選手、噂どおりかそれ以上に凄い。しかし、試合後に報道陣に笑顔とオチャメなポーズで写真を撮られる姿にちょっぴりホッとしたり・・・。


第五試合
○ 久保田 有希 (荒武者総合格闘術)3R 3分28秒 腕ひしぎ十字固め × ファティア・アバハイヤ(オランダ/ドージョー・カマクラ)

 カワイイ顔のアバハイヤ選手、昨年秋に神取とやってるのだそう、でも背の高い久保田選手と体格は同じくらいか?セコンドで入場してきたゴルドー、間近でみるとデカー!って感じでさすがに凄い存在感。まあ試合の流れを素人の自分が細々と書いてもしょうがないのだが、見た印象でほんのちょっとだけ書いてみる。
 終始アバハイヤ選手が離れての打撃を狙う、久保田選手が密着してスタンドレスリングから足をかけて倒して関節を狙う、という展開がずっと繰り返され、グラウンドでのディフェンスなどでも器用なところを見せるアバハイヤ選手がやや優勢なまま時間が経過していった。途中グラウンド状態で絞め技を嫌ったアバハイヤ選手のパンチが久保田選手の顔面にキレイに入ってしまいイエローによる中断があったが、冷静さを取り戻した久保田選手が一瞬のスキを逃さず見事な逆転の腕十字。試合後のコメントにおいても精神面での成長ぶりを感じさせた。あ、ホントに簡単な記述だな。


第六試合
○ しなしさとこ (Girl Fight AACC)1R 1分50秒 腕ひしぎ逆十字 × カロリン・フブレクツ(オランダ・メジロジム)

 真っ白なウェアに白い肌、漢字のモンモンがちょっと入ったフブレクツ選手、身長差があるのでしなし選手も慎重さ。しかしグラウンド対応あまりできていないようで、それを見切ったしなし選手にあっけなくタックルからテイクダウンを許し、十字葬となってしまった。勝負が決まったと同時に天井の装置から銀のテープが舞う。


 結構苦労したらしいマッチメークの妙のためか大きな波乱もなかったが、それぞれに熱戦が続き、また演出効果の安定度が増したこともあって、大会全体を通してとてもいい雰囲気が持続したと思う。作り物では決して出せない選手の笑顔、悔しい表情を見ると、こっちは元気が出るんだよね。立ち見なら安く入れるし、多くのヒトに気軽に見に来てホットで異次元な空間を体験して欲しいとホントに思う。




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