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■団体:闘龍門
■日時:2003年4月22日
■会場:代々木第二体育館
■書き手:リー監督(名前をクリックするとプロフィールの欄に飛びます)

 なんだか久し振りの闘龍門だったりする。ただ、新日のリングでVTをやってしまいそうなこのご時世だからこそ、私はバランスを取るためにVTとは対極にあるものを観たくなる。例えるなら、テレビ朝日と朝日昇の禁断の逢瀬に対して、黒いブッチャーと黄色いブッチャー(橋本)の対決の素晴らしさを確認するようなものだ。あるいはエル・ヌメロ・ウノの「ウノ」とは宇野薫のことなのだろうか。それは関係ないな。

 「スポーツ・エンタテイメント」と「競技をエンタメ的に演出すること」は、全く違うのである。それを単なるヤオガチ論争で終えてしまうのは非常につまらない。異常につまらない。机上でもつまらない。そして全く違うからこそ、その表面的な類似性に魅惑され、同一平面上で語りたくなる。その思考の各要素を明解に思い起こすためには、私の場合パンクラスと闘龍門が必要なのだ。

 類似性と差異。フーコーはそれらを断裂した時代区分のそれぞれの特徴としたが、私は同時代的に楽しみたい。これがホントの『同時代ゲーム』。文句あるか。ふん。

 プロレス・マニアによる闘龍門の評価は難しい。なぜなら、闘龍門はプロレス・マニアを排除しているからである。そして一方で、闘龍門のリピーターに席を与えるのには、約2000人弱の枠である後楽園ホールでは足りなくなっている。これは業界的には凄いことなのだが、一般的にはまだ「テイク・オフ以前」と認識されることだろう。闘龍門は今、とってもビミョーな位置にいるのだ。それが代々木第二体育館というハコ(3200人くらいかな)に表れている。大田区体育館や有明コロシアムの時とは違う緊張感がある。マイケル・ジャクソンの曲中にエディ・バンヘイレンがかっこいいギターソロをするくらい緊張感がある。トレント・レズナー(NIN)とマリリン・マンソンの仲良しだった時期があるらしい、というくらい緊張感がある。

 という前置きはどうでもいい。この興行で私は幸せになった。今も幸せである。闘龍門は良い団体だ。それを知っていただくための観戦記である。

 椅子に座って垂れ幕を見ると(新)M2K、DF、イタコネ、C-MAXの四つ。今の勢力図が一目で判る。実においしい。ちなみに代々木第2は後ろの方でも見やすくて良い会場である。ありがたやありがたや。

 闘龍門シングル・ナンバーワンを決定する『エル・ヌメロ・ウノ』。例によって例のごとく、決勝トーナメント興行は「ドラゴンスクランブル」から始まる。トーナメントの残りの椅子(今回は二つ)を12人で争うのだ。ルールは簡単。2分ごとに何人かの選手が出てきてバトルロイヤル形式。ふつうの3カウントフォールやギブアップの他オーバーザトップロープで決着する、というもの。そして勝ち残りがトーナメントへ進出できるのだ。

 なんだかんだとごちゃごちゃあったが、大鷲を場外に落とした横須賀 享と堀口元気が決勝トーナメントの出場権を得る。というわけで決勝トーナメントの組み合わせは次の通り。

(1)YOSSINO 対 SUWA
(2)横須賀 享 対 CIMA
(3)ミラノコレクションAT 対 望月成晃
(4)堀口元気 対 マグナム東京

 準決勝は(1)と(2)の勝者、(3)と(4)の勝者が戦い、メインの決勝戦へ。

 ということを思い出していくうちに、闘龍門の売りの一つであるマイク・アピールがほとんどなかったことに気付く。試合数の割に時間が限られていることもあるだろうが、これはこれで新しい試みかも。

 優勝したのはCIMAだった。彼の試合は全て、怪我をした「首」がテーマになっていた。古傷の膝も治っていない。満身創痍であの動きをするCIMAは凄いと思う。素直に。

 YOSSINOがSUWAに勝ったのは何となく読めていたけれども、「H・A・G・E」コールのすっかり定着した堀口がマグナム東京に勝ってしまったのは驚いた。「ミスター・エゴイスト」は負けた直後さっさとTシャツを脱ぎ捨て「脱退」を臭わせたが、決勝戦で敗れた堀口のためのコールに率先して加担し堀口を抱えて帰ったから、観客は少し安堵。

 準決勝の対望月戦で、堀口が勝った時にはさらに驚いた。というか、今さら驚いてはいけないのに驚いてしまうところが凄いのだ。この試合では四方のコーナーから順番に飛びまくる堀口に乾杯。私のメモでは

「ハゲが飛ぶ。ハゲが飛ぶ。ハゲが飛ぶ。ハゲが飛ぶ。最後のはムーンサルト」

 となっている。全く失礼なヤツだな。反省しよう。

 興行の後半からは口を開けてボンヤリと薄笑いを浮かべながら観ている。時々ゲラゲラ笑っている。どう考えても頭のおかしい人になってしまう。それが闘龍門なのだ。

 休憩後にサスケの挨拶があった。森昌子のデビュー曲をみんなで歌おう。

 そして、特別試合があった。市川の相手はなんと高山。がーん。「え?」「本物か?」「TARUが竹馬に乗って?」「TARUがトップロープ跨ぐの?」などと囁き合ううちに本人と判り観客大爆発。すげえ。市川とのサイズの違いだけで「プロレスって凄い」と思ってしまう。

 そういえば10人タッグもあった。校長の動きにはまだ疑問符が付くけど、動いてくれるだけで大満足。なんといっても「アサイ・ケプラーダ」を本人がやったんだぜ。それだけでいいじゃん。校長はともかく、面白い試合だった。なんとまあ贅沢な展開であることよ。今まで闘龍門が培ってきたおいしいパターンを全部そこにぶち込んだ感じ。一言でいうならば「闘いのマスゲーム」。なぜこんなことができるのか、私にはよくわからない。

 決勝戦は前述の通り「CIMAの痛めた首をどう試合展開に反映させるか」を考えた試合になっていた。つまり堀口のビーチブレイクがどのように効果的に出されるか、というポイントができている。CIMAのサソリ固めや4の字固め、そしてパーフェクトドライバー2発。対して堀口はフロント・チョーク(もどき)や、ビーチブレイク(!)。準決勝までのCIMAはシュバインで無理矢理逆転勝ちする展開しかなかった。しかし、決勝戦は初代UDGベルトがかかっていることもあり、CIMA自身の集大成でなければならない。

 ビーナス→アイコノクラズム→マッドスプラッシュは堀口に膝を立てられ失敗するも、ビーナス連発→ゴリコノクラズム→マッドスプラッシュという懐かしの殺人フルコース。うへえ。これが観たかった、というCIMAファンも多かったことだろう。闘龍門の事実上のエースはずっとCIMAだったのだ。

 「決勝で戦った堀口に拍手や。クレイジーもイタコネにも拍手や。このベルトは闘龍門みんなのものや」

 このCIMAの言葉を聞くと、「優勝賞金500万円」(微笑)や校長とCIMAの「真の闘龍門ナンバーワン」を決める戦いが先にあることなど、今はどうでもよくなる。

 さて、問題はこの先である。代々木第2体育館は埋まった。闘龍門は着実に階段を昇っているようだが、その先は何があるのだろう。何が見えるのだろう。どんな香りがするのだろう。どんな音が聴こえるのだろう。どんな味がするんだろう。どんな感触なんだろう。期待もあるし不安もある。でも、少しその先をみんなで見たいとは思わないかな。私は見たいと思う。地獄が待っているにせよ、行ってみなければわからない世界を。


 最後におまけ。プロレスを永遠に卒業しないことは、いいことなのだ。しばらく休学していても、すぐに復学できるのがプロレスの凄いところなのだ。これでいいのだ。これでいいのだ。ボンボン中盆、バカボンド。元小結の板井は元気ですかー!


■第ゼロ試合 ドラゴンスクランブル
[参加選手 入場順 2人ずつ]

ドラゴン・キッド&横須賀 享
斉藤了 & アンソニー・W・森
YASSINI & コンドッティ修司
堀口 元気 & 新井 健一郎
ドン・フジイ & TARU
セカンド土井 & 大鷲 透

※17分01秒横須賀、堀口が勝ち残り

■第1試合 トーナメント1回戦
・YOSSINO  ○
 3分31秒 ソル・ナシエンテ
・SUWA  ×

■第2試合 トーナメント1回戦
・横須賀 享  ×
 7分46秒 シュバイン→片エビ固め
・CIMA  ○

■第3試合 試トーナメント1回戦
・ミラノコレクションA.T.  ×
 8分29秒 リングアウト
・望月 成晃  ○

■第4試合 トーンメント1回戦
・マグナムTOKYO  ×
 3分41秒 逆さ押さえ込み
・堀口 元気  ○

■第5試合 特別試合
・ストーカー市川  ×
 2分15秒 岡村社長タオル投入→TKO
・高山 善廣  ○

■第6試合 準決勝戦
・YOSSINO  ×
 3分55秒 シュバイン→片エビ固め
・CIMA  ○

■第7試合 準決勝戦
・望月 成晃  ×
 2分52秒 逆さ押さえ込み
・堀口 元気  ○

■第8試合 10人タッグ
・YASSINI
・コンドッティ修司
・TARU
・ドン・フジイ
・斉藤 了  ×
 10分46秒 ドラゴンスリーパー
・ウルティモ・ドラゴン  ○
・アンソニー・W・森
・セカンド土井
・新井 健一郎
・ドラゴン・キッド

■第9試合 トーナメント決勝
・CIMA  ○
 19分07秒 マッドスプラッシュ→片エビ固め
・堀口 元気  ×

スポナビの速報があったため、細かいことを書かなくて済むから楽チン)




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