ビューティフルフライト
■団体:新日本
■日時:2003年4月18日
■会場:後楽園ホール
■書き手:Sandman
先日、部屋を掃除していると一本のカセットテープを見つけた。そのテープには「正規軍VS維新軍 5対5勝ち抜き戦」と書かれている。おそらくレコードとして発売されたものを録音したものだろう。ためしに聴いてみると、札幌の藤原テロリスト事件から勝ち抜き戦までの古館の実況と合間に選手の入場曲が挿入されているものだった。古館の名フレーズ「すずめ百まで踊り忘れず、三つ子の魂百まで」など、今聴いても心躍るものだった。今日、引退する健吾の試合も入っており、健吾(中堅)VS谷津(中堅)、健吾(中堅)VSアニマル浜口(副将)が収録されていた。

健吾VS谷津

古館「さぁ木村も考えております。冷静沈着。」
マットの「バン」という音の後
古館「バァァックドロップ!冷静沈着バックドロップ。暗中模索の時期からぁ〜、一気に暗中模索から単刀直入の大技ッ!さぁバックドロップでしとめるか!」
大歓声の後
古館「出た出た!雪崩式か!雪崩式のブレーンバスターに行くか!」
解説の桜井「これぇ投げれば決まっちゃうでしょうねぇ。」
古館「そうですね。藤波辰巳の得意技、雪崩式のブレーンバスター。かつて藤波のこの得意技を!雪崩式ブレーンバスターを木村は食ったことがあります。」
大歓声の後
古館「木村が見舞っていた!イナズマラリアート!イナズマラリアートがでました!どうだ決まった!決まったぁ!」

健吾VSアニマル浜口

古館「さぁ一発逆転を狙いました木村健吾でありますがこれは返されました、さぁここで一気呵成に、さぁローリングクラッチホールドから今度はダブルアームスープレックスだ!これはどぉだぁ!アニマル浜口が返しました。危ない危ないアニマル浜口、さぁアニマル浜口、油断は禁物であります。さぁ、浜口、正面からヘッドバッドだ。やはり先ほどの戦いを加味すると、アニマル浜口、スタミナ面でかなり有利であります。どうでしょうか!」
大歓声の後
古館「おぉっとイナズマラリアート!またしても空を切り裂いた。先ほど谷津に見舞ってフィニッシュにつながったというあのイナズマラリアート、空を切り裂いた!さぁ今度はなんだ!今度はなんだ!もう一回!もう一回!もう一回!さぁもう一回、イナズマラリアート!健吾オリジナル!さぁもう一回勝負に出た。ここで勝負にでました、パイルドライバーに行く!」
おそらくここで浜口がふんばって投げ返す。
古館「さぁ木村苦しい!木村苦しい!返された!返された!リバース!リバース!アニマル浜口、さぁ苦しいぞ、苦しいぞ!さぁ持ち上げる、持ち上げる!さぁブロックバスターがあるブロックバスターがあるブロックバスターだ!背中をしたたかに打ちつけた!」
おそらく浜口がトップロープに上る
古館「さぁ空爆かッ!対地空ミサイルかッ!さぁ維新軍の波状攻撃だ!トップロープから緊急発射かッ!(大きい声で)なにがあるか!肉体のライブステージだァッ!」
おそらくトップロープからネックブリーカーをした後
古館「レッグブリーカー気味にラリアート気味にィィィィッ!(観客の「ワン、ツー、スリー」と同時にトーンを上げながら、解説の桜井が「ウー」とうめきながら)」
古館「落差があった!桜井さん!最後は容赦なく狙いすましていきましたねぇ。」
桜井「そうですねぇ。」

このテープを聞いたから、今回観戦するわけではなかったのだが、最後に健吾の雄姿を目に焼き付けたいという思いで観戦することになった。あの勝ち抜き戦で今、新日で現役で残ってるのは藤波と健吾だけなんですよね。

今回は平日ということなので、当日券は当然あるものだと思ってチケット売り場に向かった。しかし、指定席は全部売り切れで、立ち見席のみの発売だった。今年の新日の後楽園は初めてであったが、いつも売切れだったのだろうか?健吾引退興行でなくてもこういう状況ならいいのだが・・・。おそらく今日は正真正銘の満員札止めであったと思う。

第1試合 U−30〜準決勝進出者決定戦 シングルマッチ 20分1本勝負
○ブルー・ウルフ(5分10秒エビ固め)魔界 4号×

たしか健吾はガスパーズ(海賊男)の何号じゃないのか?という疑惑があった。その海賊男の平成版が魔界倶楽部かなぁと思っていた。そのガスパーズの入場曲は映画「エクソシスト2」のエンディングテーマだったと思う。先日、「BLADEII」を鑑賞していると、オープニングに聴いたことある曲がかかっていた。「あれ、どっかできいたことあるなぁ〜」と思っていたら、魔界倶楽部の入場曲であった。やはり同系列ということでサントラからチョイスしたのだろうか。

会場がびっしりうまっていたことから、昨年の後楽園興行では考えられないくらい、第一試合から盛り上がっていた。試合は特別違ったことしていたわけでもないのにあの歓声には驚いた。


第2試合 タッグマッチ 20分1本勝負
矢野 通、×垣原 賢人(9分59秒片エビ固め)ダン・デバイン、マイク・バートン○

垣原は健吾から譲り受けた「イナズマサポーター」を装着している。健吾の引退興行ということで垣原のイナズマをデバインに決めて終わるかと思いきや、バートンが垣原をフォール。垣原はイナズマをつなぎではなくフィニッシュとして使うことを願う。


第3試合 8人タッグマッチ 20分1本勝負
レイ・ブカネロ、ウルティモ・ゲレーロ、×藤田 ミノル、エル・サムライ
(12分58秒飛び付き後方回転エビ固め)
スペル・クレイジー、タイガー・マスク○、ヒート、AKIRA

ブカネロ、ゲレーロ、クレイジーの三人は古館風に言うと「手があっている」のでもう少し、この三人の絡みが観たかった。逆にこの三人がほかの選手との絡みがあわずに、流れが変わってしまう部分は残念だった。


第4試合 6人タッグマッチ 20分1本勝負
小原道由、×後藤達俊、ヒロ斉藤(7分21秒腕ひしぎ逆十字固め)魔界2号、柳澤龍志、村上和成○

この組み合わせでは珍しく、ちゃんと選手紹介までやり、静かな展開でスタート。後藤とヒロが全体をコントロールし、試合らしくなっていた。やはりベテランの存在は必要だ。次の試合が大事だったので、マイクもコンパクトにまとめて長引かず、らしくなかったが、さすがに今日だけはこれでいいと思う。


第5試合 イナズマ・COUNT DOWN FINAL「木村健悟引退試合」 5分3R キャッチルール
△木村 健悟(時間切れ引き分け)西村 修△

小学生のころ金曜8時からのワールドプロレスリングをTVにかじりつくように観戦していた私は、「健吾はなぜイナズマをいつも胸板にしか当てないか」という疑問があった。そんなとき私の兄は「健吾のイナズマはまともにやると相手を再起不能にするから胸板に当てるんだ」といっていた。その話を聞いてから私は健吾に一目置くようにしていた。「本当の健吾はもっと強いんだ」と。

その当時の私は、ジャッキー・チェンが世界最強だと思っていた。それこそ、学校では「猪木が一番強い」だの、「いや長州だ」と議論した中でも「ヤングマスターのラストで見せた不死身っぷりや蛇拳での動きを見れば、ジャッキーが一番強いだろ?」と今を思えば恥ずかしいくらいのことを主張していた。そんなジャッキーを映画の中で一番苦しめたと思えたのが「スパルタンX」のラストで戦った鳥人ベニー・ユキーデだった。サスペンダーしたユキーデとジャッキーの戦いを観たとき「こいつはすげぇ!」と興奮していたのを今でも覚えている。

そのベニー・ユキーデのジェットセンター・ジムでマーシャルアーツ特訓をした健吾は相当強くなるはずだと思っていた。先日、ワールドプロレスリングにおいて史上初の後楽園ワンマッチ興行をチラッと放送していたが、当時、私は「再起不能に追いやるイナズマとユキーデのマーシャルアーツを習得した健吾なら藤波にも勝てる」と純粋に期待していた。私の記憶では健吾が主役のような形でにスポットが当たったのはあれが最初で最後だったような気がする。しかし、今日また、引退試合ではあるが健吾にスポットが当たる。

正直、せっかくの引退試合なのになんでキャッチルールなんだと思っていたが、実際に観戦したらこれでよかったんだと思えた。1R〜3Rまでははっきり言って「西村のバカが!せっかくの健吾の最後の晴れ舞台をつまんなくしやがって!」と憤慨してたが、4R、そして5Rは見ごたえ十分の内容だった。今の健吾じゃ15分間フルにはできないだろうが、3分やって1分休めたほうが、フルラウンド体力がもつ。また、最後に健吾が西村に勝ったらおかしいし、最後に健吾が負けちゃうのもちょっと雰囲気悪いので、有終の美という意味ではこれでよかったんではないだろうか。

1Rのゴングがなった後、すぐにイナズマをだし、5Rには2回もイナズマを炸裂。きれいなドリル・ア・ホール・パイルドライバーなど、十分に健吾を堪能した。観客も「健吾コール」、イエローカードを出す海野に大ブーイングと当たり前のことながらこの日一番の歓声があった。最後にトライアングルスコーピオンも出してほしかったが、引退試合でなくても十分満足する内容だった。


第6試合 U−30〜準決勝シングルマッチ 30分1本勝負
○真壁 伸也(7分03秒ドラゴン・クラブ)ブルー・ウルフ×

どうせ真壁が勝つんだろうなぁ〜と観ていると、ウルフに良いところを見せずに勝利。


第7試合 U−30〜準決勝シングルマッチ 30分1本勝負
×吉江 豊(12分04秒高角度前方回転エビ固め)棚橋 弘至○

すいません。吉江の試合だったので、タバコすっており観ていません。


第8試合 タッグマッチ 30分1本勝負
○天山 広吉、蝶野 正洋(14分26秒片エビ固め)獣神サンダー・ライガー、金本 浩二×

このカードに何の意味があるのだろうかと考えていると、両者ベルトを巻いての入場。ヘビーとJrのチャンピオンの対決ということで、健吾引退の特別試合とのことだった。展開は予想でき、Jr側があと一歩まで追い詰めて、一発でヘビーが決めるというパターン。ただ、ライガーはもうヘビーといっても遜色ない体つきなので、必然的にわかりやすい金本が追い詰めてから、一発でやられる役になっていた。ライガーはもう天山と体の厚みとか遜色ない感じだ。

メーンイベント タッグマッチ 30分1本勝負
×飯塚 高史、永田 裕志(11分04秒体固め)魔界 5号、安田 忠夫○

立ち見席では永田に声援を送っている人はおらず、魔界のほうが圧倒的に多かった。前回の代々木もそうだったが、永田への声援は少ない。東京ではあんまり人気がないのだろうか。全国的に人気がないならチャンピオンとしてはまずいことである。頭は良さそうで機転のきいたこと言ってると思うのだが、なんで人気ないんだろ。
試合は飯塚がガチなのか定かではないが、途中からグロッキーで永田一人で魔界と応対。飯塚が立ち上がれない状態なのにも関わらず試合の権利がある場面では、永田は冷静に自軍コーナーに体をひっぱってタッチしたり、会場の雰囲気を壊さずに飯塚の状態をこまめに確認したりと試合を壊さないようにうまくこなしていた。それにも関わらず、安田にスリーパーをかけられ、一人踏ん張っているのに、まったく動かない飯塚に「飯塚コール」がかかるという場面では、永田に同情せずにはいられなかった。
ちなみに飯塚はこの後の引退セレモニーに姿を表さなかったことから、ホントにやばかったんではなかろうか。やはり、長井にやられたのはクセがついちゃったのかもしれない。

引退セレモニー
引退セレモニーでは珍しいところでは羽田元首相、赤坂ラーメンの社長やレスラーではカブキ、ノアからは青柳、杉浦、金丸が花束を贈呈していた。挨拶、胴上げ、最後に「ビューティフルフライト」が会場に流れた。



引退興行なので、満足はした。せっかくの引退興行なんだから、もう少し大きいところでやればいいのにとも思ったが、逆にそれが健吾らしくてよかった。ドームで西村とキャッチルールなんてやられたときは、今日の内容でもつまんなかっただろうから。

ただ、何か足りないなぁと。今日は中西がいなかったからだった。やはり中西は新日の興行に必要だ。まぁ本当にVTをやり結果を出すのが前提ならしょうがないことだと思う。今度のドームはノアファン、総合のファンが観にくるので会場は結構、観客で埋まる可能性は高い。その中で藤田VS中西がなんちゃってVTをしてしまったら、まずいかなとは思う。ただ、そんな状況だからこそ、なんちゃってVTを観てみたい気もする。



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