4/13 SB 後楽園興行 観戦記
■団体:SHOOT BOXING
■日時:2003年4月13日
■会場:後楽園ホール
■書き手:高倉仮面
18:00
後楽園ホール到着。今日はSBの観戦だ。

前回2月の興行では、
締めをサワー チャップマン ドーソンと言った、海外選手に奪われてしまったSB。
SRS-DXで付けられたキャプションも「SB日本最弱」という惨いものだった。

今日のメインは、そのサワーとドーソンが激突。
そして残った日本人陣営は vs ムエタイ選手というカード編成だ。
日本人選手はメインを食うような活躍をしなければ、
本当にこのままだと外国人天国になってしまう。
頑張れ日本人。特にSBの日本人は決して弱いとは思わないので、
余計に感情移入してしまうなぁ。

立見席購入、チケット代3000円を払って会場入り。
相変わらずSBは安いねぇ、パンフを買っても4000円かいな、素晴らしい。

18:20
会場入り。観客の入りは、試合開始時には4割程度。
ちょっと寂しい入りだったが、時間が進むに連れてガンガンと人が入っていき、
最終的には9割程度の入り、満員御礼だ。本当にSBには人が入るようになった。

但し、予定より20分遅れの試合開始には納得がいかない。
そこのところお願いしますよ、と言いつつ観戦開始。

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第一試合 フレッシュマンクラスルール ヘビー級 3分3R
○杉澤 英樹(178cm/78.55kg/シーザージム)
●鈴木 亮司(180cm/82kg/XXX)
[判定 3−0]

階級が全然合わないこの2人の試合は、
グローブにハンデをつけて試合を行った。
ちなみに杉沢10オンス、鈴木12オンス。

それにしても鈴木の所属ってGGGじゃなかったっけ?
須藤 元気が抜けたから、改名したのかね?
その鈴木、入場時に颯爽とトップロープを飛び越えようとしたが、
足が引っかかってズッコケた。観客失笑、本人もテレ笑い。
対する杉澤は、これがデビュー戦。

んで試合が始まれば一方的展開。
やはりSB創始者であるシーザー武士のお膝元で育った選手と、
総合の道場で練習している選手ではルールに対する慣れそのものが全然違った。

1Rから、スピードのあるパンチのコンビネーションや、
ハイ、ミドル、ローの各種キックをヒットさせる杉澤。
対する鈴木は防戦一方、組み付いてジャーマンを狙ったが形が崩れてしまう。

2Rも杉澤ペース。カウンターのフックで鈴木からダメージを奪うと、
ローキックとストレートで確実にダメージを与えていく。
鈴木はスタミナ切れ、ミドルキックを放つもキックにキレがない。

3R、このままでは勝ち目がないと見た鈴木、一発逆転に賭ける。
ジャンピング ハイキックやニールキックの大技を繰り出すが、杉澤はあくまで冷静。
ストレートの連打をこのラウンド全般に渡ってバシバシとヒットさせた。
しかし鈴木も終盤にパンチを返していき、杉澤にダウンだけは奪わせなかった。

判定、3−0で杉澤。デビュー戦を白星勝利だ。
SBでは手駒の少ないヘビー級なだけに、今後に期待だ。


第二試合 フレッシュマンクラスルール フェザー級 3分3R
○歌川 暁文(169cm/56.5kg/U.W.F.スネークピットジャパン)
●今井 教行(165cm/56kg/シーザージム)
[延長判定 3−0]

今やSBの前座戦線に欠かす事が出来なくなった、
「SB前座の名勝負製造機」U.W.F.スネークピットの歌川が登場だ。
その相手は、去年9月に歌川相手に優勢に試合を進めながら、
最後の最後に大逆転のジャーマン スープレックスを食らって負けてしまった今井。
あの試合では試合後に悔し泣きしていた今井、リベンジマッチで勝利出来るか?

1Rから今井が飛ばす。ローキックを時折ちらしつつ、
近づけばパンチのラッシュ、カウンターのストレートで歌川を追い込み、
組み付けば一本背負いで歌川を投げ捨てる。この一戦に賭ける意気込みが伝わる。
これに対して歌川も、距離を取りながらキレの良いミドルキックで今井を蹴っていく。
しかし手数が多かったのは今井の方、ボディーブローがグサリと歌川の腹を捕らえる。

2R、キックの歌川 vs パンチの今井…という図式、
ここで歌川がローブロー。試合中断。

で、再開後、今井が歌川を追い詰めていく。
ローキック、一本背負い、パンチの連打。防戦一方になっていく歌川、
更に今井のアッパーがヒット。今井、リベンジ成就か?

流れが変わる。

今井の打撃に合わせた歌川のカウンターのストレートがモロにヒットした。
この一発が効いてしまい、今井はフラフラ。
ここから歌川が、距離を取る作戦から前へ出る作戦へ変更したのだ。
ダメージが大きい今井も接近戦に応じる、試合は壮絶なパンチの打ち合いに。
そんな中、コンビネーションの中にローキックを織り交ぜる歌川、
その蹴りが2度に渡って今井の股間を襲う。
このラウンドは3度のローブロー、歌川にイエローカードによる減点だ。

3R、回復した今井は、前に出て得意のパンチで歌川を攻める。
歌川もこれに応戦して打撃を打つ。観客が沸き返る。

今井は、時折、飛びヒザを混ぜながら歌川を殴りつけるが、
ラウンドが進むにつれてやや押してきたのは歌川の方だ。
得意のミドルキックやヒザ等を入れながら今井を押していく歌川、
今井も何とかパンチを返していく。

そしてラウンド終盤には両者はバテ気味、
それでも最後までパンチを出し合う、
試合終了時には観客から惜しみない拍手が沸き起こった。
歌川、「前座の名勝負製造機」の面目躍如だ。もちろん今井も頑張った。

さて判定、2Rのイエローカードがあるから今井の勝ちかなぁ…と思っていたら、
3Rでの頑張りがレフリーを動かしたのか、今井の1−0によるドローだ。
試合は延長戦に突入、観客が良い試合のボーナストラックに沸き返る。

延長R、今井が仕掛ける。
パンチによるコンビネーションで積極的に前に出て、組み付けば投げを狙う。
しかし歌川は距離を空けてミドルキックをヒットさせる、更には組み付いてのヒザ。
再びスタミナを失っていく両者だが、それでも打ち合いを止めない。
これに胸を打たれた観客の歓声は、試合終了までやむ事はなかった。

そんな中、延長ラウンドを優勢に進めたのは歌川だった。
組み付いてのヒザの連打とミドルキックの連打で今井から印象点を稼いでいく。
今井もストレートを放つも、歌川もパンチを倍返し、完全に歌川ペースだ。
それでも今井は最後まで歌川に向かっていった。
試合終了、観客は大歓声で両者の健闘を称えた。

判定はやはり3−0で歌川の勝利。
前座の名物男は、今日も名勝負を制したぞ。
そろそろエキスパートクラスルールでの試合も見たいね。


第三試合 エキスパートクラスルール ライトヘビー級 3分5R
○YU IKEDA(190cm/79.45kg/湘南ジム/SB 日本ライトヘビー級四位)
●篁 真一郎(178cm/77.35kg/BCG)
[2R 52秒 TKO]
※タオル投入

本日はこの試合が、
最近のSB興行がお得意とする「SB vs 総合」らしいね。

日本人には滅法強い、長身の異色SB戦士、IKEDA。
長いリーチを生かしたフリッカースタイル、左ジャブで相手と距離を取り、
充分に距離があいたら右ミドルで相手の腹に風穴を空ける。
2月の興行では大澤を下して波に乗るIKEDA、
今日の相手はTHE BESTやZSTの前座戦線で活躍中の総合戦士、篁だ。
身体つきは完全に総合系、均整の取れた素晴らしい肉体。
そしてタイツは黄色に黒ライン。ブルース リーを意識しているか?

1R、篁は右腕を突き出してIKEDAに挨拶。
IKEDAも右腕を突き出してこれに答えようとしたが…。

篁がいきなり仕掛けたっ!

挨拶に答えるべく腕を出してきたIKEDAにすかさず接近すると、
篁が思いっきり体重を載せた右ストレートを顔面に叩き込む!
そしてこれが隙だらけのIKEDAの顔面にモロにヒットしたのだっ!!

観客もアッと驚いたこの展開、場内が騒然とする中、
完全に朦朧としてしまったIKEDAに対して篁は猛然とラッシュを仕掛ける。
ひたすらのパンチの連打に、大振りな飛びヒザ蹴り。
これらの猛ラッシュを全部食らってしまうIKEDA。
篁が組み付いてIKEDAを倒せば、マウントパンチを繰り出す素振りを見せる。
もはや完全に篁ペース。KOまでは時間の問題か?

しかし、だ。IKEDAは朦朧としながらも、組み付いてきた篁のバックを奪って、
スタンディングのスリーパーを極める!これには観客も大歓声だ。
だが、これはキャッチを認められずにブレイク。

そして試合が再開すれば、篁の猛ラッシュが再びIKEDAを襲う。
体重を載せたストレートを次々に繰り出す篁、徐々に足元がおぼつかなくなるIKEDA。
さらにラッシュを続ける篁、そして…ついにIKEDAがダウンした!
ダウンカウントが進む中、IKEDAは何とか立ち上がるがダメージは大きそうだ。
これを見た篁、飛びヒザを出し、更にストレートのラッシュでIKEDAを追い込んでいく。

この展開。
もはや篁の勝ちは動かない…。
と、誰もが思っていたに違いない。

(フジTVの「セリエA ダイジェスト」の青嶋アナの口調で)
とおぉ〜、こおぉ〜、ろおぉ〜、があぁ〜っ!!

篁の様子が何かおかしい。
肩で息をしている。パンチにも全く力がない。
IKEDAのミドルキックがヒットすると、もう篁はヘロヘロではないか?
一体、篁の身に何が起きたというのか? 「???」という疑問符が会場を包んでいく。
さっきとは別な意味で観客が騒然となり、笑いまでが起きている。

答え、「攻め疲れ」…ではなく「酸欠」。
あれだけ全ての打撃を全力で出していれば、そりゃ、そうなるわな。
なまじっか良い身体をしているから、持久力も低そうだしね。

完全に肩で息をする程に疲れてしまった篁、
打撃のダメージが大きいIKEDAがフラフラになりつつもラッシュを仕掛け、
トドメにミドルキックを出せば、篁はグッタリとダウンしてしまった。
開始早々の奇襲戦法に怒っていたIKEDAはこのダウンに吼えながらのガッツポーズだ。
それでも篁はロープを使って何とか立ち上がり、1Rはここで終了。

…それにしても、
これほどに観客が歓声と爆笑に包まれるダウンシーンは珍しいな。

んで、完全にスタミナがなくなっている篁、自分でコーナーに戻る事も出来ない。
セコンドに担がれて何とか戻ったが、椅子に座る体力もなく、
ただコーナーにグッタリと持たれかかって、
目を泳がせ宙を仰ぎながらゼーゼーと肩で息をするのみ。
あまりの1Rの仕掛けとのギャップの差に観客からは笑いが絶えない。

結局、篁の酸欠は回復することなく2Rを迎えてしまった。

開始早々、IKEDAがミドルキックを繰り出せば、篁はあっさりとダウン。
これはキックによるダメージではなく、酸欠から回復できなくてのダウンだ。
もはや試合を続行させるのも惨いようなありさまだったが、篁は何とか立ち上がる。

試合再開、ヘロヘロの篁は無理してソバットや裏拳をIKEDAに放つ、が、
自らコケてしまい、しかも中々立ち上がる事が出来ない。

そんな中、篁はIKEDAにローブローだ。
故意か他意かはわからないが、股間を抑えて倒れるIKEDAのダメージは大きそうだ。
いずれにせよ、これで時間が稼げるぞ、とばかりに、
ニュートラル コーナーにもたれて肩で息を続ける篁。
これではどちらがローブローを食らったかわからない。観客の笑いは尚も続く。

IKEDAのローブローからダメージ回復力 vs 篁の酸欠から回復力。
勝ったのはIKEDA。試合が再開してからも、篁は棒立ち状態だ。
ここにIKDEAがパンチをラッシュしていくと、
さすがに篁の状態を見かねたセコンドがタオルを投入、試合終了。
観客から爆笑と歓声の混ざった何ともいえない声が上がる。
そして、1Rの非礼の借りを返せないまま勝利したIKEDAは、
勝者であるにも関わらず悔しがっていた。

この試合、篁が一人で仕掛け、一人で盛り上げ、一人で負けていった。
僕の中で、早くも今年の裏ベストバウトの最優秀候補が飛び出したぞ。
ま、篁は色々な意味でもう一度SBでの試合が観てみたいね。


第四試合 エキスパートクラスルール スーパーフェザー級 3分5R
○松浦 知希(172cm/59.35kg/風吹ジム/SB 日本Sフェザー級二位)
●高久 雅裕(170cm/59.9kg/湘南ジム)
[判定 3−0]

23戦14勝と経験豊富なSBファイター、
7月には及川の持つSB日本 スーパーフェザー級のタイトル挑戦が決定している松浦。
対戦するのは、前回の興行では「前座の名勝負製造機」である歌川を下した高久だ。
松浦としては、ここでつまずいてはベルト挑戦が白紙になってしまう。
是が非でも負けられない一戦だ。

試合は1Rから松浦が攻勢だ。破壊力のあるローキックとミドルキックを中心に、
伸びのあるストレートのコンビネーションで高久を追い詰めていく。
対する高久は、下がりながらのミドルキックやストレートで対抗するも、
ラウンド終盤、松浦のストレートをモロに食らってダウンを喫してしまう。

2Rも松浦は攻める、今度はボディブローとローキックが中心に、
前へ前へと進んで高久を追い詰めようとする。
しかし、このラウンドは高久は迫る松浦を前蹴りで引き離しつつ、
ミドルキックやストレートを返していった。イーブンかな。

3R、序盤に高久が前に出て、両者は打ち合い。
この打ち合いに勝ったのは松浦の方、
ストレート、ボディブローで高久の動きを止めていく。
更にこれにローキックやミドルキックが加わる。
高久もストレートの連打やミドルキックを返していくが、
松浦の手数の前に次第に防戦一方になる。

4Rも松浦は止まらない。
前に出て、ボディブローとミドルキック、ローキックで高久を攻めこむ。
特にローキックはかなり効いているらしく、高久は動きが悪い。
それでも接近戦になれば、パンチを打ち返す事は忘れない。
だが5Rを迎えると、もはや一方的な展開だ。
下がっていく高久に対して、松浦は圧倒的な攻勢。
ストレートとミドルキックのコンビネーションで高久をガンガン攻める
高久はダウンする事こそなかったものの、
この松浦の攻めに対して反撃が出来なかった。

判定、1Rのダウンを差し引いても松浦の勝ちが揺るぐ事はないだろう。
攻めのタイプは似ていたように思える両者ではあるが、
コンビネーションや破壊力を含めて松浦の方が1枚も2枚も上手だった。

それにしても、この試合展開は殆どキックボクシングだな。


第五試合 エキスパートクラスルール スーパーフェザー級 3分5R
○及川 知浩(164cm/59.4kg/龍生塾/SB 日本Sフェザー級王者)
●カチャスック ピサヌラチャイ
 (170cm/60kg/タイ/元ラジャダムナンスタジアム バンタム級四位)
[5R 1分26秒 TKO]
※タオル投入

さてここからは、降って湧いたような「SB vs ムエタイ 対抗戦」。
今までSBってあんまりムエタイとは関わらなかっただけに、
こういうカードが組まれるのはちょっと新鮮だ。

及川は昨年9月、SBの体現者である前田 辰也から勝利を収めた、
現 SB日本 スーパーフェザー級王者。
前の試合で勝利を収めた松浦とは7月に同ベルトの防衛戦があるだけに、
意地でも負けられない一戦と言えるだろう。
その対戦相手は、元ラジャダムナンのランカー、
かつてはカチャスック ジャンボジムの名前でJ-NETWORKを中心に活躍、
何と前田 辰也との試合でZERO-ONEの「真撃」にも参戦したことのある、
カチャスック ピサヌラチャイだ。

1R、ハードパンチャーの及川は自ら前に出て行くが、
カチャスックは後ろに下がって及川と距離を離していく。

追いかける及川はローキックを中心に、
ストレート、フック等でカチャスックを攻めこむも、
カチャスックはノーガードからのらりくらりとこれをかわしつつ下がって、
距離があけばストレートやローキック、ミドルキックを放つ。
何やら老獪な印象のカチャスック、及川のローキックが当たってもニヤリと笑うのみ。

2R、及川の重いローキックがヒットするも、
相変わらずカチャスックは下がりながらのミドルキック。
それでも及川は、カチャスックを追い詰めてフックを連発でヒットさせる。
これに対してチャスックは不気味に微笑み、逆に前に出てパンチの猛ラッシュ。
打ち合いは及川の得意とするところ、両者の打撃のラッシュが交差、観客から歓声が。

しかしカチャスックはあくまでのらりくらり。
今度は積極的に組み合って、得意のヒザで及川にダメージを与えていく。
適度に距離があけば前蹴りやミドルキック、接近すればヒザ攻撃。
このカチャスックの戦法、及川は少々手を焼いている様子。

3R、カチャスックは距離があけばミドルキックやストレート、
及川との距離が近づけば組み付いてのヒザ連打。

追いかける及川がパンチを出すと、笑ってみせたり、
デンプシーロールでかわしたり、で、のらりくらり。
う〜ん、及川はペースを奪われてしまったなぁ。

4R、ようやく及川がペースを取り戻す。
距離があけば、カチャスックのミドルキックに合わせて、
ミドルキックやローキックを返していき、
追い詰めれての得意のストレートも、徐々にカチャスックの顔面を捕らえ始めた。
そして組み付かれれば、逆にバックドロップでカチャスックを投げ捨てる。
この投げには背面投げによる2Pが加算。このポイントは大きい。

そしてラウンド終盤、及川のフックとストレートがハードヒット。
食らってもカチャスックは笑ってはいるが、
パンチが効いているのが素人目にも明らか。
ここから及川がラッシュを仕掛ければ、観客はイケイケの大歓声。

5R、カチャスックはまだダメージを残している。
ここで及川が再びラッシュを仕掛ければ、カチャスックもパンチを返しての乱打戦だ。
歓声の中、及川はストレート、ローキック、ハイキックとヒットさせると、
更にパンチの猛ラッシュでカチャスックを殴りつける。
カチャスックは効いてない素振りを見せるが、及川はお構いなし。
最後はフックからアッパーのコンビネーション、
棒立ちになっているカチャスックを見たセコンド陣がタオルを投入した。
観客が歓声を挙げて及川の勝利を祝福する。

相手の老獪さには手を焼いたものの、及川はなんとかKO勝利。
7月の防衛戦に向けて弾みがついた事だろう。

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●15分休憩
休憩中には、この試合を観戦に来ていた魔婆斗と関根勤氏の周りにファンが殺到、
記念撮影や握手に気軽に応えていた。二人とも優しいね。

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●久々の「泣きのシーザー」

SBの休憩後と言えばこの人、
「♪シィ〜ザァ〜ッ、シィ〜ザァ〜ッ!」と共に、
シーザー会長が登場。

「本日は、皆さんのぎらいじょう…(観客笑)。」

ありゃ、今日のシーザー会長、久々の泣きモード。
観客から温かい笑いが起こる。

「スイマセン、あんまり言われると、また泣きそうなんで…(観客笑)。」

と一呼吸置くと、今度は力強いシーザー会長になっていた。

「本日は、皆さんにご来場頂きまして、
 誠にありがとうございますっ!!(観客拍手)

 桜が咲き、春が訪れました。
 しかし、日本の情勢は、春の到来を手放しには喜べない状況です。
 そんな中、SBは18年間、多くの人々と協賛企業のおかげで、
 ようやく、春の時代を迎えようとしています。

 皆様、SBはこれからも進んでいきます。
 今まで以上の応援を、宜しくお願いしますっ!!(観客拍手)」

数年前に比べると、本当に客が入るようになったSB。
「春の到来」宣言は偽らざる本音なのだろう。

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第六試合 エキスパートクラスルール スーパーライト級 3分5R
○テーワリットノーイ SKVジム
 (174cm/64.45kg/タイ/SKVジム/元ラジャダムナンスタジアム Jrライト級王者)
●宍戸 大樹(174cm/64.8kg/シーザージム/SB 日本Sライト級王者 & WMC I.C.王者)
[判定 2−0]

今、SBの中では最も絶好調と断言して良い男、宍戸の登場だ。
去年は8戦全勝、しかもこれは外国人選手を含めての戦跡。
勝った選手の中にはZSTのエース、小谷 直之の名も。

そんな宍戸に、強豪中の強豪との試合が組まれた。
SKVジムはJ-NETWORKで猛威を振るった、強豪中の強豪。
123戦102勝という戦歴そのものもかなりの脅威、
元ラジャダムナン王者の肩書きは伊達ではない。
しかし宍戸は、彼に勝てば「世界最強」の頂も見えてくるだろう。
ここは勝って欲しい。SBに「日本最弱」の烙印が押された今、頼れるのは彼だけだ。

…と思っていたのだが、やはり元ムエタイ王者は強かった。

1R、宍戸は積極的に前に出て、ローキックを起点とした攻めを見せる。
ミドルキックも良く伸び、パンチのラッシュでSKVジムを追い込む場面も。

対して、前の試合でのカチャスックと同じく、基本的には下がりながら攻めるSKVジム。
詰められた距離を前蹴りで引き離し、ミドルキックで宍戸にダメージを与える。
しかし宍戸のローキックも良くSKVジムにヒットした。このラウンドは互角だ。

2R、宍戸のローキック vs SKVジムのミドルキック合戦。
お互いの蹴りが交差する中、距離を詰めた宍戸のアッパー、フックがヒットした。
なんとか宍戸を引き離してミドルキックを打ち込むSKVジムだが、
宍戸は確実に追い詰めてはアッパー、ストレート、フックをヒットさせる。

これに対して、SKVジムが戦法を変える。
接近戦では無理に打ち合わず、クリンチからのヒザ攻撃で宍戸を攻めていく。
ブレイクを待ち、離れればミドルキック、さらにはフックやストレートの追い討ち。
近距離戦を避けて、遠距離戦と至近距離戦で主導権を握ろうとする。

3R、SKVジムはやはり前蹴りで宍戸と距離をあけミドルキックでポイントを稼ぐ。
対する宍戸は前に出て、相手を追い詰めれば、フック、浴びせ蹴り、ストレート。
互角の展開は続く、やはり宍戸は良い選手だ、「日本最弱」何するものぞ。

だが、このラウンドからSKVジムはある技を使って試合のペースを握り始めた。

接近戦から組み付き、おもむろに宍戸のバックを奪ったSKVジムは、
その背後から宍戸の腿へとヒザを連打していく。

SBのルールではバックを奪ってからのヒザも、脊髄への攻撃でなければ有効。
そして組み付いてからの首相撲はムエタイの得意とするところ。
このSBとムエタイの良い所が合致した攻撃は、確実に宍戸にダメージを与えていった。

SKVジムは、距離があけば前蹴りを顔面に入れ、組み付けばバックからのヒザ攻撃。
宍戸も一度はバックを奪ったSKVジムの腕を取って関節技を仕掛けたものの、
SKVジムの2つの攻撃を前に、次第に自分のペースを奪われていく。

4R、もはや試合は完全にSVKジムのペース。
自ら距離をあけミドルキックでポイントを稼ぎ、
迫ってくる宍戸に対して、時には前蹴りで突き放し、
時には急接近して組み付き、前からのヒザ、バックを奪ってのヒザ。
宍戸はパンチの距離をキープする事が出来ず、手数も段々と減っていった。

5R、宍戸、このラウンドはストレートやアッパーを当てる場面もあったものの、
基本的には4Rと同じ展開、SKVジムペースだ。
気まぐれにくっ付いてヒザ、気まぐれに離れてローキックやミドルキック。
判定狙いのSKVジムの圧倒的な手数、相手に傾いたペースを宍戸は最後まで取り戻せず。

判定、一人が序盤の宍戸の奮戦を考慮してドローとしたものの、
残り2人はSKVジムを勝者とした。宍戸、2年ぶりくらいになる敗戦だ。
だが、序盤の奮闘を見るにつけ、宍戸はいつかこの選手にリベンジするだろう。
この敗北は「日本最弱」を推し進めるモノではない。宍戸は良くやったと思う。


第七試合 エキスパートクラスルール ミドル級 3分5R
○後藤 龍治(173cm/72kg/STEALTH/vSB日本ミドル級王者)
●フンファー タニヤマ(179cm/71.55kg/タイ/谷山ジム/イサーン ウェルター級王者)
[4R 1分59秒 KO]

今年2月の興行にて、湘南 キャリミを倒してSB日本ミドル級王者となった後藤。
だが正直、僕は彼に対して「急造チャンピオン」という印象が否めない。
昨年の「K-1 J-MAX」では準決勝敗退、「S-CUP 2002」では一回戦負け。
一歩も引かないフィアトで観客を興奮させた、
昨年9月の vs アンディ サワー戦の印象こそ良いものの、
やはり戦跡的には今一つの感が。

そういう意味では、今日の一戦は、
新しく設立された「SB日本ミドル級」という階級の歴史を創って行く上でも、
非常に重要な一戦になると言えるだろう。是が非でも、後藤は勝たなくてはならない。

対するフンファー、イサーンのウェルター級王者。
ん? イサーン? 遺産? 胃酸? 尹さん?
何? スタジアムの名前? こんな時はネットで検索。

●イサーンについてのリンク色々。
http://www.thailandtravel.or.jp/destination/isan/
http://osaka.cool.ne.jp/ohayothailand/muithai/

タイの東北地方の事らしい。
「ムエタイのチャンピオンは東北地方のイサーン出身者が多い。
 イサーンはタイのなかでも貧しい地域。
 だからハングリー精神が生まれて、勝つ。」
「タイではお手伝いさんの求人広告に『イサーン人求む』とあるのをよく見かける。
 ハングリーだからマジメでよく働くという性質を見込んでのことらしい。」
ふ〜ん。こういう土地柄の王者だから、粘り強いのだろうな。

…そしてフンファーは、本当に本当に粘り強い選手だった。

1R、後藤は軽快にローキックとミドルキックを繰り出すと、
フンファーは早くもローキックが効いている様子。
後藤が接近してストレートを連続で繰り出すと、これがクリーンヒット。
怯んだフンファーにラッシュで畳み掛ける後藤、観客は大歓声だ。

フンファーは、今までのムエタイ戦士と同じく、
やはり距離を遠ざけるように自ら動くと、
遠距離からリーチ差を生かしてミドルキックを後藤に叩き込む。
だが後藤は、このキックにはローキックを合わせ続け、
接近すればストレートパンチ。フンファーを徐々に追い込んでいく。

されど終盤、ファンフーのフックとアッパーが後藤にクリーンヒットすると、
元々が打たれ弱い後藤は棒立ち状態。ここはゴングに救われたが、後藤、油断大敵だ。

2R、1R終盤のダメージがまだ残っていると見たフンファーは、
後藤との距離を縮めて打撃のラッシュを仕掛ける。

だが後藤、ダメージは既に回復しておりこのラッシュに対して自らもラッシュで対抗。
両者やや大振りな打撃戦、派手な展開に観客が沸き返る。
フンファーはハイキック、フックを繰り出し、対抗して後藤がストレートを放つと、
これをかわしたファンフーはニヤリと笑う。

再び両者に距離があく。
後藤はここでボディブローを使ってファンフーのスタミナを奪いにかかる。
対するフンファーは前蹴りを使って距離をあけ、ミドルキックでポイント稼ぎ。
だが試合終盤、後藤はフンファーをコーナーへ追い詰めると、
ローキックやストレートをヒットさせ、さらには豪快な投げも決めたぞ。

3R、積極的に前に出る後藤、今度は徹底したローキックで蹴っていく。
接近してパンチの距離になれば、ボディブローやフックでフンファーを殴りつける。
そしてフックからのアッパーのコンビネーションがフンファーにハードヒット。
怯んだファンフーにダウン狙いのパンチで猛ラッシュを掛ける後藤、観客は大歓声だ。

だが、そのラッシュのパンチを何発もモロに食らっているのに倒れないファンフー。
それどころか、パンチやミドルキックによる反撃を開始する。
これには観客も驚きを隠せない。
それでも後藤は怯む事なくラッシュを続け、打撃の嵐が悉くフンファーにヒット、
やっとフンファーが力尽きてダウン、壮絶なダウン劇に観客は大歓声。

だが、イサーン王者は立ちあがった。
誰もが「もう立てないだろうな」と思うくらいに、
後藤のパンチの連打を全部食らったフンファーだが、
ゾンビのようにムクリと立ちあがり、ファイティングポーズだ。
イサーン人の魂、ここにあり。会場が大歓声に包まれる。

試合再開。
ラッシュを続ける後藤、やはりダウンを狙ったフックとアッパーがヒットするが、
フンファーも、先程のダウンがウソのようにハイキックやミドルキックを繰り出す。
後藤はそんな中、ダウン性のあるフックを何発もヒットさせていくが、
全く倒れないファンフー、会場が驚異的な打たれ強さに動揺の声が沸き起こる。

4R、後藤はストレートから、景気付けの払い腰。鮮やかな投げに会場が沸き返る。
だがフンファーは反撃を開始、ローキック、ミドルキックから、前蹴りの3連打。
この前蹴りをモロに食らった後藤が怯むと、
フンファーは今までのお返しとばかりのミドルキック連打で後藤を追撃。

ゾンビのような生命力のフンファーにかなり手を焼いている後藤、
ローキックから接近すると再びフックの嵐でフンファーを殴っていく。
そしてガードの甘いフンファー、やはりのラッシュのパンチを全部浴びる。
…が、倒れない、倒れない、倒れない。観客から再び驚きの声が。

後藤のラッシュ力 vs フンファーの打たれ強さ、
流石に勝者となったのは後藤、フンファーが前のめりになってダウンする。
「あれだけのパンチをあんなに貰っているなら、もう、この選手は立てないだろう。」
会場中の観客の10人が10人、そう思うようなダウン劇だった。

だが、イサーン王者は立ちあがる。
ファイティングポーズで戦闘続行の意思表明、試合再開。
何故だ? 何故、立ちあがれるのだ? これには会場が騒然となる。

…が、流石にあれだけの大量のパンチを貰っては、立っているのがやっとの状態。
最後は後藤がストレートからのフックを繰り出し、
今度の今度こそ失神したかのようなダウンをするフンファー、
そして今度こそ立ちあがる事が出来ず、試合終了。
難敵を相手に劇勝をした後藤、
コーナーポストでガッツポーズを取れば、観客も大歓声でこれに答える。

しかし、その横では既に意識を回復させ、
全身で悔しさを表現するフンファーの姿が。
イサーン人の魂、ここにあり。

ここで後藤がマイクアピール。

「ハイ、皆さん、コンバンワ(観客笑、歓声)。
 なんか、今日は魔裟斗が来ているみたいなんだけど、どこ行ったかなぁ?」

会場が魔裟斗コールに包まれる中、リング上から魔裟斗を探す後藤。
だが何故か魔裟斗は見つからず。

「魔裟斗君、逃げたのかなぁ〜。

 …。

 魔裟斗っ!! SBのリングに上がれやっ!!
 一度勝っている相手とやるのが怖いのか?(観客歓声)

 あと、チャップマンっ!!
 今日の試合、サワーに勝っても負けても次の相手はオレやっ!!(観客歓声)」

今日は勝った後藤だが、これで安心する事はないようだ。
「SB日本ミドル級王座」の価値を上げて行く為、
「王者の挑戦」はまだまだ続いていく。


第八試合 エキスパートクラスルール スーパーウェルター級 3分5R
○緒形 健一(172cm/70kg/シーザージム/SB 日本Sウェルター級王者)
●レイランド マホーニー
 (178cm/70.75kg/オーストラリア/ヴァラハラ ムエタイジム/ムエタイ南太平洋王者)
[3R 1分50秒 KO]

昨年11月のvs アンディ サワー戦では、こっぴどいまでの完敗劇を演じた緒形。
SRS-DX誌上から飛び出した「SB日本最弱」という単語には、
彼の敗戦劇も大きく絡んでいるのは間違いない。
ならば、今日の緒形は、相手がS-CUP 2002の際にRINGSマッチを行った、
ナーコウ スパインから急遽変更になったとしても、
ムエタイ南太平洋王者であっても、緒形は絶対に負けられない。

さて、試合…なのだが、試合前に何やらマホーニー陣営がごねている。
レフリーに対して、しきりにヒジをアピールしている。

どうやら、今日はヒジありルールだと思っていたらしい。
個人的には立ち技はヒジありルールの方が俄然好きなのだが、
残念ながら、最近のSBはヒジなしルールで行われる事が多い。
結局、ここはマホーニー陣営が折れてヒジなしルールに。
あ〜あ、ヒジありの方が良いのになぁ。

1R、お互いのミドルキックが交差するが、破壊力はマホーニーの方がやや上か。
緒形は積極的に前に出るものの、マホーニーはリーチ差を活かして距離を取り続ける。
緒形がパンチを出してもこれをかわすマホーニー、
逆に1・2のパンチを緒形にヒットさせる。
緒形は相手のリーチに少々手を焼いているようである。

2R、やはり前に出る緒形に対して、距離を取ってミドルキックを放つマホーニー。
ボディブローやストレート、ヒザの攻撃が加わり、緒形に付け入る隙を与えない。
だがそれでも積極的に前に出る緒形は、
重いローキックを繰り出してマホーニーの動きを封じる。
徹底したローキックによる攻勢、マホーニーの動きが悪くなる。

そして終盤、緒形のボディへのストレートがマホーニーの腹を打ちぬいた。
もんどり打って倒れるマホーニー、観客は大歓声だ。
カウント8で立ちあがったマホーニーではあるが、ダメージは残っている。
ここに緒形がラッシュを仕掛ける、ここはゴングに逃げられてしまった。

3R、2RKOこそ逃したが、
既に完全にペースを握った緒形、ローキックを中心に尚も前に出続ける。
そして距離が詰まればボディへのストレート、
フック、顔面へのストレートを叩き込む。
これに対してマホーニーは防戦一方になってしまった。

もはや勝負あり、
緒形は2Rと同じくボディへのストレートを叩き込むと、
またしても倒れたマホーニー、もう立ちあがる事はなかった。
観客からは緒形のKO劇を祝福する歓声があがった。

快勝した緒形がマイクを持って叫ぶ。

「今日は、応援ありがとうございます(観客歓声)。
 試合は納得していないんですが、一言だけ言わせて下さい。

 外人天国? 日本最弱? なんだそりゃ?
 正直、オレは頭に来たっ!!(観客歓声)

 SBのエースの座は、日本人で取り戻すっ!!
 アンディ サワー、待っていろっ!!(観客歓声)」

やはり出てきたのは、日本最弱に対する反論とアンディ サワーへのリベンジ。
自身の言葉に責任を持つなら、これからも地道に外国人相手に勝利を重ねるしかない。

緒形のリベンジロードは、まだ始まったばかりである。


第九試合 エキスパートクラスルール ミドル級 3分5R
○アンディー サワー(174cm/72kg/オランダ/リンホージム/S-CUP2002 世界王者)
●シェイン チャップマン
 (181cm/72kg/ニュージーランド/
       フィリップ ラム リーガー ジム/HKMTC 世界ミドル級王者)
[延長 1分1秒 反則]
※金的への攻撃でサワーが戦闘不能に

今日のメインは、92戦90勝、S-CUP 完全無欠の覇者 vs K-1 MAX オセアニア王者。
立ち技中量級のファンなら必見の好カードがSBで実現だ。
接近戦からのボディブローを起点としたパンチのラッシュ力の素晴らしいサワー、
中量級としては181cmと長身、遠距離からのミドルキックと、
突き刺し型のヒザがいやらしいチャップマン。
両者共に得意な攻めがある、
試合的には見所が分かりやすくて面白そうだ。
見所満載の好勝負、なるか!?

…と思ったら。

興行が全体的に盛り上がっていた今日のSB、最後の最後にミソがついてしまった。

1R、お互いに距離を取って様子を見る両者。
1分経過までに放たれた打撃は、チャップマンのミドルキックのみ。

チャップマンは距離をあけて、
ミドルキックやローキックで追従してくるサワーを蹴る。

これに対して、本日はシュートタイツを着用して試合に臨んだサワーは、
じわじわとチャップマンをコーナー際へ追い詰めれば、
ボディブローを起点とした素早くてコンパクトなパンチのラッシュを仕掛ける。
…のだが、このラッシュをチャップマン突き放し、追撃のチャンスを与えない。


2R、やはり距離を取るチャップマン、
長いリーチのミドルキックでサワーを蹴っていく。
対してサワーもジリジリと前に出て、
追い詰めればパンチのラッシュを仕掛け…ようとするが、
やはりチャップマンは前蹴りを有効に使って、サワーとの距離を離してしまう。
それでも前に出るサワーには、クリンチからの前へ突き出すヒザで対抗する。
サワーはチャップマンの距離をあける打撃に苦戦している様子。

そんな中、チャップマンのヒザがサワーの股間を急襲。
股間を押さえて倒れていくサワー、
だがチャップマンは崩れるサワーの顔面を掴んでヒザを連打。
思わぬダーティーファイト、サワーのセコンド陣がレフリーに猛抗議だ。
試合は一時中断、観客は優勢に試合を進めるチャップマンを支持する歓声と、
サワー相手に見せたダーティーファイトを責める怒号に包まれる。

と、ここでレフリーは休憩を要請するも、サワー自身がこれを拒否、
試合は数分のインターバルの後に再開。

元々はスロースターターのサワー、これで目が覚めたのか、
前に積極的に出ると、素早いボディブローを起点にチャップマンを攻め込み、
組み付けば、SB代表の意地なのか、投げ技を決めて見せた。
この反撃に、SBのファン達が大歓声を挙げる。
更にはバックを奪っての投げを狙っていくが、
チャップマンはロープを掴んでこれを防御。
またしてもダーティーファイト、SBファンの猛抗議がこだまする。

チャップマン、サワーの攻撃を凌ぐと、組み付いてバックからヒザや、
アッと驚く投げ技でサワーを突き放しにかかる。
K-1 オセアニア王者はダーティーなだけではないのだ。

3R、やはり距離を離すチャップマン、サワーがジリジリと追い詰めて、
ボディブローやミドルキックで攻撃していく。

だが、ラウンド中盤以降はチャップマンが試合のペースを握った。
離れてミドルキック、サワーが近づけば、
自ら組み付き、前からのヒザ攻撃、バックを奪ってのヒザ攻撃。
ブレイクすれば、再び離れてミドルキックを繰り出して…の繰り返し。
サワーは得意のパンチの距離をキープする事が出来ない。

4R、やはり3R後半と同じ展開、サワーがチャップマンを追い詰めても、
チャップマンは自ら組み付き、前からのヒザ、バックからのヒザで、
サワーの持ち味を殺してしまう。
そしてブレイク等で離れれば、ミドルキックと前に突き刺すヒザが待っている。
どうしても得意のラッシュを仕掛ける事が出来ないサワー、
そしてここで追い討ちのアクシデントが襲う。

チャップマンのヒザが、再びサワーの股間を直撃したのだ。
倒れるサワー、試合は一時中断だ。
だが、チャップマンは何食わぬ顔で観客にアピールしている。
「オレの方が勝っているだろっ?」のゼスチャーに一部のファンが歓声を挙げる。
チャップマンのダーティーイメージは益々上がっていく一方だ。
このローブローには、チャップマンに注意1が与えられる。

試合再開、サワーはハイキックで逆襲するが、
チャップマンが組み付いた時に出したヒザが、またまたサワーの股間を直撃。
またしても動けなくなるサワー、観客もいい加減に飽きれ始めている。
「汚いヤローだっ!! ローブローばっかり入れやがってっ!!」
「サワーこそ、ダウンを誤魔化しているっ!!
 試合はどう見たってチャップマンのペースだろっ!!」
観客の言い分は五分五分、と言ったところか。

試合再々開、やはり距離をあけるチャップマンはミドルキックやタックルを出し、
追い詰めるサワーはハイキックからの接近戦、両者のパンチが交差する。

そんな中…またしてもっ!! チャップマンのヒザがサワーの股間に入る。
このラウンドだけで、もう3回目。観客の集中力が途切れ始めた。
流石に3度のローブローはいただけない、
チャップマンに警告1が与えられる。具体的な減点だ。
しかし、チャップマンはそんな事はお構いなしの様子。

5R、股間を何度も蹴られたが、
最後まで前に出てチャップマンを殴ろうとするサワー。
サワーの執念が見える光景だが、
やはり股間のダメージ、肉体のダメージ、共に大きく、打撃が単発で終わってしまう。

そんなサワーを、チャップマンは今までと変わりない戦法でダメージを与える。
離れてミドルキック、接近戦では組み付いてのヒザ、バックを奪ってのヒザ。
サワーは得意のラッシュを打ちこむ事も出来ず、
ただただチャップマンのペースに呑まれる一方だ。
結局、このまま試合終了。S-CUP覇者は、色々な意味で無念のゴングを聴く事に。

判定、…三者三様、1−1のドロー、延長戦に突入。
4Rのレッドカードと、試合全体の印象が真っ向からぶつかる形と言えるだろう。
だがいずれにせよ、サワーが有効点を取ったラウンドはないと思われる。
サワーは延長ラウンドに、無念をぶつける事が出来るか?

延長ラウンド、サワーはこのラウンドで一気に決着をつけるべく、
接近戦からラッシュを仕掛けていく。ミドルキック、ストレートがヒットして、
会場内のSBファンがイケイケの大歓声。

だが。

またしても、チャップマンのヒザがサワーの股間を襲う。
うずくまっていくサワーに対しては、ヒザ蹴りの追い討ちだ。
会場が「あ〜っ」と飽きれ半分の声に包まれた時、試合終了のゴングが鳴る。
それはチャップマンの反則負けが決定した瞬間だった。

この裁定に対して、一部のファンからブーイングが飛び交う。
これに応えてチャップマンがガッツポーズを取ると、一部ファンは大歓声、
チャップマンコールまでが沸き起こる。
だが、反対にSBファンから「反則野郎っ!!」という怒号も飛んでいる。

事態を重く見たシーザー会長がリングインしてマイクを持つ。

「皆さん、この試合は残念ながらこういう結果になってしまいました。
 しかし、近いうちにこの両者を再戦させる事をお約束します(観客、歓声と怒号)。」

そして今度は反則負けになったチャップマンがマイクを取る。

「サンキュー、サンキュー(観客、歓声と怒号)。

 ローブローが何度も入ったようですが、ヒザ蹴りは僕の得意とするスタイルで、
 この戦法で戦う以上、しょうがない事なのです。
 次回、僕は必ずサワーと再戦する事を約束します。
 今日はゴメンナサイ(観客、歓声と怒号)。」

再びシーザー会長がマイクを持つ。

「このままでは、皆さんに申し訳ありませんし、
 私自身も納得がいきません。必ず、再戦致しますっ!!」

今日は良いペースで興行が盛り上がっていたSB、だが、最後の最後にミソをつけた。
でも、正直、ローブローがなくてもサワーは負けていたような気がする。
個人的には、2Rのローブローの際に、レフリーがサワーの懇願を振り切って、
ダメージ回復に充分なインターバルを取っていれば、
もう少し試合展開も変わっていた気がする。ま、勝負に「もしも」はない、か。

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雑感:
何故でしょう? KO劇も多かったのに、終わってみれば4時間興行という長丁場。
もう少し本格的に、興行のスリムアップを考えて欲しいです。

でも、今日は3000円という料金を考えれば、お腹一杯の大満足の内容でした。
前座の名勝負製造機 歌川、篁の圧倒的なバカっぷり、
宍戸 vs SKVジム、ファンフーのイサーン魂…、その他にも色々と見所満載。
メインはミソを付けましたが、それを差し引いても充分でしょうね。

それにしても、今日のSBは「逃げる外敵 vs 追うSB勢」という図式の試合が多かった。
良い試合を心がけるが故に、前に前にと前進していくSB選手達。
最近のSBが非常に面白く感じる理由を見出したと同時に、
世界と渡り合うには、もう少しズル賢さも欲しいなぁ…と思いましたね。

とりあえず、次回興行の決定カードは、
チャップマン vs 後藤、サワー vs ドーソンと言ったところでしょうか。
いや〜、こんなカードを3000円で見れるんだから、SBは熱いなぁ。

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以上、長文失礼。




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