4/6 U-STYLE ディファ有明興行 観戦記
■団体:U-STYLE
■日時:2003年4月6日
■会場:ディファ有明
■書き手:高倉仮面
17:10
1990年7月20日、札幌中島体育センター。「U.W.F. MIND」。
思えばこの「密航」こそ、僕自身が初めて「自分の意思」で観に行った興行だ。

帯広と札幌間は特急で3時間半。
行くとなれば、一日がかりの大イベント。
悪い事に興行は平日開催。

高校の学園祭の準備の真っ最中に、学校を休んで観に行くしかなかった。
高校三年生という大事な時に学校をサボってプロレス観戦。
両親を説得するのには大変な時間を労した。
興行当日、家を出る寸前に仲の悪かった担任からの電話があり、
「何で今日は休みなんだっ!?」と問い詰められた。
動揺する僕から電話を奪った親は「今日は息子は風邪気味なんです」と切り抜けてくれた。

特急電車の中では、
当時は東京より4日も遅れて発売されていた「週刊プロレス」を広げながら友達とプロレスの話に夢中になった。
札幌に到着、見知らぬ街、位置関係がわからず買い物するにも一苦労。
地図を見ながら札幌出身の友達に「ココは何処?」と何度も尋ねていた。
地下鉄の中でハンバーガーを食べようとして、友達に笑われた。
何故笑われるのか、田舎育ちで地下鉄を利用した事のない僕にはわからなかった。
やっと到着した中島体育センターは、
帯広市総合体育館よりも大きくて良い会場だった。

そして、初めて観たU.W.F.は素晴らしかった。

股間を蹴られた船木、直後に激怒して宮戸を粉砕。
こうして文章にすると間抜けだが、当時はリアルな目で観ていたものだ。
藤原 vs 前田の師弟対決、絶妙なタイミングでの脇固め、
ガッチリ極まって藤原は新生U.W.F.では前田から初勝利、中島が揺れまくった。
メインは高田と山崎の盟友対決。一生懸命に声援を送ったが贔屓の山崎は高田に敗北。
ガッカリしながら会場を後にしたものの、
帰り際に河口 仁と握手が出来たのは嬉しい誤算。

帯広への帰りは深夜発の急行列車に揺られて6時間の旅。
満足感に浸りながら、終始、眠って過ごした。

次の日、僕を待ちうけていたのは地獄のような眠気と闘いながらの登校だった。
自転車を漕ぎながら何度もサボろうと考えた。
学校に着けば、担任には前日の休みの理由を詰問された。

事情を知っているクラスメートが「昨日はどうだった?」と聞いてくる。
僕は「面白くなかったら、こんなに苦労してまで行くわけないジャン!!」と堂々と答えると、クラス中がどっとウケた。

17歳の時の想い出、後に発売されたビデオには、
山崎を応援する僕の声が入っていた。



時は流れ。



あれから13年。三十路を歩む僕は再びU.W.F.を観に行く。
今日はU-STYLEの観戦だ。

13年前は、新生U.W.F.の若手でしかなかった田村 潔司。
U.W.F.を愛してやまないこの男が、U.W.F.インターやRINGSを経て、
自身のジムであるU-FILE CAMP.comを設立。
そしてついに旗揚げした「U.W.F.スタイルの再生」を実現する団体、U-STYLE。

僕自身は仕事の都合で観に行けなかった第一回の興行、
U.W.F.を体感した世代が集結し超満員となったディファ有明では、
そこにいた全員が「打・投・極」のU.W.F.の世界に酔いしれた…らしい。

試合前にはインストラクターによるルール説明のデモンストレーション。
ポイント制の攻防、ダウンやロープエスケープは減点になる、安易には倒れられない。
決して相手をロープに飛ばさず、自らもコーナーポストに登らない。

出てきた技もそのままU.W.F.だったようだ。
掌底、ボディパンチ、ローキック、ミドルキック、ハイキック、ニールキック。
フロントスープレックス、ジャーマンスープレックス、水車落とし。
アンクルホールド、腕ひしぎ逆十字固め、ダブルリストロック、
アキレス腱固め、膝十字固め、逆片エビ固め、腹固め。
これにTKシザース、ドラゴンスクリュー、胴絞めスリーパー、
側転パスガード、チョークスリーパー等の現代風アレンジが加わる。

途中、このスタイルに疑問がある村浜が、
自らロープに飛んでドロップキックをする、という波乱はあったものの、
メインでは田村が坂田が真っ向勝負、激闘の末にフロントチョークでこれを下すと、
リングには銀の紙テープが舞い降りる。
観客の大歓声の中、第一回U-STYLEは興行的には大成功を収めた、と言えるだろう。

だが、この興行に大満足した観客がその満足感と同時に口にしていたのは、
次の興行に繋がるものがない、という厳しい評価。

「懐かしかった。だが次もどうせ同じじゃないの?」

興行を観ていない僕にとってこの評価は、
妙に納得する部分もあるし、観ないとわからない部分もある、
という、どこか引っかかるモノ。

この評価だけで判断するのであれば、第二回にして早くも正念場を迎えたU-STYLE。
今日の興行は旗揚げ戦の評価を変える事は出来るか?

当日券購入、4500円を払って会場入り。
最近のディファの興行が全体的に割高感がついてきたのは、
貸し出し時の「インディー団体割引」がなくなったのとは無関係ではないだろう。

17:20
パンフレット購入、1500円。
内容はメインに登場する三島のインタビュー、
前回の興行の結果、DEEPの宣伝が載っていたり。
選手紹介文、今日の試合の見所等はちょっと軽めの内容。

会場入り。客入りは8割〜9割、とりあえずは満員だ。
場内では既に試合は始っていた。
少々慌てたものの、どうやらまだ第一試合らしいな、一安心。
んで、ディファは席に座ると却って損をする、
いつものように入り口前で立見しながら観戦開始。

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U-STYLE ルールについて
・試合は15分1本勝負、又は、30分1本勝負
・試合はロストポイント制で行われ、競技者の持ち点は5ポイントとする。
 ロストポイントの対象となるのは下記の通りとする。
 ダウン…1点 ロープエスケープ…1点 反則…1点
・選手は、自己の意志により手首もしくは足首をロープ外へ出す、
 もしくは掴んだ時点でロープエスケープが認められる。
・勝敗
 タップするか、口頭によりギブアップの意思表示をした場合。
 打撃もしくは絞め技などによる意識の喪失。
 セコンドによるタオルの投入。
 レフェリーもしくはドクターが試合続行不可能と判断した場合。
 持ち点(5点)が無くなった場合。
 時間内に勝敗がつかなかった場合、残り持ち点が多い選手の判定勝ちとなる。

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第一試合 15分一本勝負
○伊藤 博之(180cm/90kg/フリー)
●吉田 智彦(178cm/79kg/U-FILE CAMP.com)
[7分23秒 腕ひしぎ逆十字固め]

僕が観戦を始めた時には既に吉田はバテバテだったが、
伊藤は容赦なく打撃で攻める、一方的だ。
吉田も反撃の打撃を返すものの、
伊藤に傾いたペースを返すまでには至らない。

それでも吉田は、グラウンドで腕固めと袈裟固めの複合技を仕掛けて食い下がるが、
伊藤はこれを返すと、亀の状態になった吉田に掌底を連発。
最後は蹴り足をキャッチして大外刈りを仕掛けてきた吉田に倒されながらも、
下から冷静に逆十字を仕掛ける。
ガッチリ極まって吉田がギブアップ、試合終了。

吉田のバテ方のみが印象に残った試合だった。
ま、途中からだし。


第二試合 15分一本勝負
○原 学(175cm/78kg/格闘探偵団バトラーツ)
●越後 隆(181cm/93kg/U-FILE CAMP.com)
[ポイント判定 3−2]

え〜、試合については長々書きますが、
正直、試合展開の殆どが「打撃戦、倒して関節戦」の繰り返しなので、
興味のない人は読み飛ばしていただいて結構です。

さて試合。開始から打撃が交差、体格に勝る越後のミドルは中々の重さだ。
そんな中、原はタックルで越後をテイクダウン。
上になるとマウントを奪って逆十字を仕掛けるが、
越後がこれをスイープすると、試合は両者上になったり下になったりの関節技合戦。
越後が上からアームロックを仕掛ければ、これをスイープして返した原は袈裟固め。
更にスイープし返した越後はクロック ヘッドシザースから逆十字へ移行。
だがお互いに極めきれず、結局はブレイクに。

スタンドから組み合う両者、
原がバックを奪うものの越後は前から原の腕を極めている。
両者が崩れてグラウンド、再び始まる関節技合戦。
原は逆十字から三角絞めへの連携技を披露するが、
これを返した越後は、グラウンドから相手を抱え上げて、一気に水車落とし。
倒れた原の上になると、越後は逆片エビ固めをガッチリと極めた。
原はロープエスケープでこれを逃れる。残り4ポイント。

だが、原は直後に越後のミドルキックをキャッチして膝十字に捕らえる。
これが極まって、今度は越後がロープエスケープ。
原はポイントをタイに戻すと、今度はスタンドでローキックから掌底の連打。
モロに食らってグロッキー状態の越後に、とどめはハイキック連打だ。
崩れ落ちる越後。何とか立ち上がってKOは逃れたが、
ダウンによるロストで残り3ポイント。原はこれで倍返し。

原は尚もジャンピング ニーで越後を追い込もうとするが
このキックをキャッチした越後は逆に原をテイクダウン、
試合はまたまたお互いに上下を入れ替えつつの関節技合戦。
原の下からの三角絞め、越後のダブルリストロック、原の逆襲の逆十字が出るが、
お互いに極め手に欠けてブレイクに。

しかし試合再開後、直ぐにグラウンドの展開が再開される。
上になった原の逆十字、外した越後が関節を仕掛ける。
原はこれを持ち上げて、水車落とし気味に投げ捨てると、
倒れた越後の上になってダブルリストロックから逆十字の連携技。
更には足関節も狙っていくが、越後に粘られブレイクに。

越後は逆襲、原に組み付いてテイクダウンを奪うとアキレス腱固めの体勢。
しかし原は、足を捕られつつも立ち上がり張り手の連打をかましていく。
そして怯んだ越後に、逆転の膝十字固めがガッチリ極まった。
だが越後は、必死の形相でロープエスケープ。残り2ポイント。

原は更にミドルキックを交差させつつ、越後に組み付いて関節技を狙っていく。
越後はこれを返すと逆十字で反撃。
これが極まり、原は慌ててロープエスケープ。残り3ポイント。

試合の残り時間も少なくなってきた。ここから両者は技の応酬へ。
原は越後に組み付くと大外刈りで投げ捨て、袈裟固めの体勢へ。
しかしこれをスイープした越後は、上四方固めの体勢からボディへパンチを落とす。
嫌がる原が亀の体勢になると、今度は裏技、腹固めを極めにかかる。
だが原は、腹固めの体勢になった越後を持ち上げると、
カナディアン ロッキー バスターで前方へ叩きつけた。

両者スタンド状態から最後の攻防。
両者の掌底とキックが交差し、寝技になれば足関節合戦、ブレイク。
残り一分、原は掌底からジャンピング ニーを繰り出し、
越後はバックを奪ってのジャーマン スープレックスを披露。
試合はグラウンドへ、
越後の逆十字狙いを原が切り返してスリーパーを仕掛けていった…、
時間切れ、試合終了。

原は残り3ポイント、越後は残り2ポイント。
ポイント差により原の勝利。

…と、こんな展開だった、のですが。

正直、似たタイプの選手同士のワンパターンな攻防は、
見ていて大変に退屈してしまったなぁ。
もう少し選手毎に個性付けがしっかりしていないと、
U.W.F.は見世物として成立しないのではないだろうか…と考えさせられた。


第三試合 15分一本勝負
○藤井 克久(183cm/103kg/UFO)
●木村 直生(176cm/78kg/EVOLUTION)
[2分10秒 KO]
※スープレックスからの掌底連打

間違いなく銭湯では「入浴、お断り」と言われた事があるであろう、
全身の和彫の紋々がちょっとヤバめの木村。だが、藤井との体格差はあまりにも大きい。
それでも試合前からゴンタ顔で睨み付ける木村。新生U.W.F.での鈴木みのるを思い出す。
ま、鈴木の体には彫り物はなかったが。

そして試合開始と同時に木村が仕掛けた。
掌底の連打で一気に藤井を追い込んでいく。

が。

藤井はあっと言う間に反撃開始。
体格の差を活かしての重そうな膝蹴りを2連発で出すと、
もう木村の動きは止まっていた。藤井はとどめにミドルキック。
バッシーン!!とミゾオチに入り、木村は早くもダウン。
圧倒的な力の差。会場から「あ〜っ」という溜息が漏れる。

何とか立ち上がった木村、根性で反撃。
大きな藤井に組み付いての水車落としを敢行、観客から歓声が沸く。
更に亀の体勢になった藤井の上になると、腕を取って逆十字を仕掛ける。

が。

藤井は逆十字を外すと無理矢理起き上がり、
立ち上がった木村に掌底を連打。モロに食らった木村、またまたダウン。
やはり実力差は歴然。会場から「あ〜っ」という溜息が漏れる。

それでも何とか立ち上がった木村だが、もはやフラフラ。
藤井は一気にスパート、重たいローキックの連打から、ミドルキック。
モロに食らってうめく木村のバックを奪うと、ジャーマン スープレックスで投げ捨てる。
これでダウンした木村に、藤井は上から容赦なく掌底を連打。
全く動く気配のない木村を見たレフリーが慌てて試合をストップ、試合終了。

圧倒的な藤井ペースでの試合。
藤井は前の試合が長引いたので、手短に終わらせるつもりだったのだろう。
試合のインパクトはそれなりに強いのだが、
これって普通のプロレスで良く観れる「若手潰し」の試合だよなぁ…。


第四試合 15分一本勝負
○村浜 武洋(163cm/70kg/大阪プロレス)
●佐々木 恭介(170cm/82kg/U-FILE CAMP.com)
[8分49秒 腕ひしぎ逆十字固め]

U-STYLEに波紋を投げる男、村浜の登場だ。
前回は自らロープに飛んでのドロップキックやミドルキックを披露した村浜、
今日は何を仕掛けるつもりなのだろうか?
相手は、確実にU-FILE CAMP.comの重要な選手の一人になりつつある佐々木だ。

試合開始前から、ロープの張り具合を確かめる村浜、
ゴングと同時にロープへ飛んでいくと、観客は歓声を挙げる。
そんな村浜をタックルでテイクダウンした佐々木は、
師匠である田村譲りのグラウンドでの回転体を披露、
これにも観客は歓声を挙げる。

佐々木は再びタックルで村浜をテイクダウン、
今度は両者共にグラウンドで主導権を奪い合う。
佐々木の逆十字が極まりそうになるが、村浜はこれを脱出、ブレイクに。

両者スタンド、お互いの打撃が交差する中、
村浜は片足タックルを仕掛けるが、佐々木はこれを潰してしまうと、
グラウンドでマウントを奪って顔面に掌底を連打。
怯んだ村浜に対して膝十字の体勢に入る佐々木。
村浜はこれを返すと、逆に佐々木からマウントを奪って掌底のお返し。
観客が沸く中、村浜は自ら立ち上がって佐々木を挑発。
佐々木も立ち上がって、再び両者はスタンド。

打撃が交差する中、佐々木は村浜に組み付きフロントチョークの体勢。
そしてそのまま引き込んで一回転、そのままマウントを奪うと腕を取って逆十字へ。
流れるような関節技だったものの、村浜は脱出して自ら立ち上がる。
その直後、佐々木は飛びつき逆十字で村浜の腕を再び極めにかかる。
これに対して村浜は膝十字で応戦、だが佐々木も膝十字で対抗。
更に二人は関節技の応酬戦、両者極まらず。
距離が開き睨み合う村浜と佐々木、観客がどっと沸く。

両者スタンド、不意に放った村浜のハイキックがモロにヒットした。
ぐらつく佐々木にはもう一発ハイキックを食らわせる村浜、
だが佐々木はフラフラになりながらも村浜に組み付いてテイクダウン、
村浜の足にクロスヒールホールドを極めた。
これに対して村浜は慌ててロープへエスケープ、ロストポイント1。

両者スタンド、村浜は逆襲のハイキックで佐々木の動きを止めるも、
佐々木は村浜に組み付いて払い腰でテイクダウン。
だが、倒されつつも上になった村浜は上から掌底を連打。
これに対して佐々木も下から掌底を返していく、展開なし、ブレイク。

両者スタンド、お互いの意地が交差する中、
スタンド状態から村浜のミドルキック、ソバットが炸裂。
モロに食らった佐々木はこれでダウン。ロストポイント1。
何とか立ち上がったが、ダメージがありそうだ。

そしてここからは、色々な意味で村浜ペースに。

尚もミドルキックを畳みかける村浜、グロッキーになった佐々木の腕を捕ると、
何と通常のプロレスのように佐々木をロープに飛ばそうとした!!
佐々木はロープを掴んでこれを拒否したが、村浜のこの行動に観客は大歓声だ。

これに怒った佐々木は逆襲のテイクダウン、逆十字の体勢に入る。
この攻撃に、必要以上に苦しそうな顔をしてロープに助けを求める村浜。
U.W.F.を思い出させるこの光景、観客は喜んで村浜に声援を送る。
村浜はやっとの思いでロープエスケープ、観客安堵の大歓声、ロストポイント2。

スタンドで逆転を図る村浜は、佐々木のバックを奪うも、
佐々木は一瞬の切り返しで脇固めへ。村浜はまたしても大袈裟な表情を浮かべつつロープに逃げる。
観客はまたまた大歓声、村浜は大ピンチを自ら演出しつつロープエスケープ。ロストポイント3、

劣勢に立たされつつも客の心を掴んだ村浜、
佐々木からきっちりバックを奪うと、ジャーマン スープレックスで投げ飛ばし、最後は逆十字。
ガッチリ極まって佐々木がタップ、村浜、自ら逆転勝利を演出だ。

試合後、村浜のマイクがあるかなぁ…と思っていたら、今回はナシ。

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15分間の休憩中、ふと考える。

正直、つまらん。

どの試合もやる事が似てしまっているのが引っかかる。
技を仕掛けるタイミングも似ているし、何より繰り出す技が皆同じ。
「打→投(倒)→極」だけがひたすら繰り返される展開。
それでも、それは昔のU.W.F.でも同じ事。

では何が違うんだろう…と考えた。
出た結論、「選手一人一人の自己主張があまりにも薄い」。
あの、全選手が自分なりの個性を持っていたU.W.F.に比べると、
随分とアッサリとした選手ばかりである。

まるで、周りには客がいないかのように、ただただ技が並べられて行くだけの試合。
選手がどんなに睨んでも、リキんでも、痛がっても、試合そのものは限りなく無表情。
表情があったとしても、既存のプロレスの枠を超えない顔をしている試合。

選手の一人一人が、
U-STYLEというモノをロクに考えずに試合をしている証拠なのだろう。

村浜が必要以上に演出色の強い動きを見せる意味が、
旗揚げ興行の時にこのスタイルを批判した意味が、
ちょっとだけ理解できた。

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第五試合 30分一本勝負
○坂田 亘(175cm/90kg/EVOLUTION)
●大久保 一樹(180cm/80kg/U-FILE CAMP.com)
[8分42秒 片逆エビ固め]

普段はZERO-ONEでプロレスをこなす坂田、
総合を中心にしているものの、たまにプロレスの試合もこなす大久保。
両者共にプロレスの経験はあるのだから、
観客を沸かせるツボはある程度は解っているハズなのだが…。

これまた、平坦な試合になってしまった。

試合開始、打撃から組み合い、まずは大久保がテイクダウン。
そしてグラウンドでの主導権争いが展開される。
両者が上になったり下になったりしながら関節技を仕掛けていき、
大久保は逆十字、坂田はダブルリストロック、両者極まらず。
二度目のグラウンド、大久保は逆十字を仕掛けたが、坂田はこれを逃れる。

スタンドでの打撃戦、坂田のミドルキックが大久保にヒット。
大久保もミドルキックを返すが、これをキャッチした坂田は、
大久保に組み付いて、フロント スープレックで豪快に投げ捨てる。
観客が沸き返る中、倒れた大久保に組み付く坂田。
大久保は亀の体制で防御するが、坂田は亀の上から掌底を入れ、
怯んでガードが甘くなったところをガッチリとスリーパー。
大久保はロープエスケープ、ロストポイント1。

両者スタンド、打撃が交差する中、坂田は重いローキックで大久保を攻める。
大久保は苦しみながらも坂田に組み付き、そのまま足を取って膝十字の体勢。
坂田はこれを逃れると、サイドを奪ってV1アームロックをガッチリと極めた。
大久保はまたしてもロープエスケープ、ロストポイント2。

試合再開、打撃の応酬、坂田の掌底とミドルキックが入る。
ぐらつく大久保だが、強引に前に進んで坂田に組み付いていく。
坂田は尚も掌底の連打で大久保を突き放そうとするが、
大久保はしつこく組み付いて粘り勝ち、坂田をテイクダウン。

上になった大久保はあっさりとマウントを奪うと逆十字の体勢、だが失敗。
リバースに成功した坂田は、インサイドガードから掌底を連打し、
怯んだ大久保の足を捕るとアキレス腱固めを極める。
大久保は上半身を起こして掌底を入れて反撃、
だが坂田がアキレスをさらに絞り上げると苦悶の表情。
それでも、掌底の連打を続ける大久保、観客からは大久保の粘りを支持する歓声が。
我慢比べの展開となったが、勝者は大久保、坂田はアキレス腱固めを諦めた。

しかし、坂田は次の瞬間には逆十字の体勢に入った。
またしてもピンチを迎えた大久保に、観客から再び声援が飛ぶ。
大久保はこの声に答えて逆十字を何とか脱出すると、逆に坂田に膝十字を極めた。
沸き起こる歓声、坂田は慌ててロープエスケープ、ロストポイント1。
坂田に反撃、観客は大久保に対する判官贔屓の歓声。
やっと一矢報いた大久保だったが…。

待っていたのは坂田の怒涛の反撃。
組み付いてからの膝の連打、距離が離れれば掌底の連打。
ただでさえダメージが大きいのに、
この打撃をモロに食らった大久保はあっさりとダウン、ロストポイント3。

カウント8で何とか立ちあがった大久保だが、
またしても坂田の打撃を食らうと、完全に大の字に。
坂田は倒れた大久保の足を捕って「中野 vs 内藤 戦」ばりのエビ反り式の逆片エビ固め。
大久保、万事休す。成す統べなくタップ、試合終了。

坂田が実力差で大久保を圧倒した試合…なのだが、
今一つ印象が薄いのは、試合展開が今までの試合とそうそう変わらないからだろう。
坂田は序盤からもっと実力差を顕示しても良かったように思える。


第六試合 30分一本勝負
○田村 潔司(180cm/87kg/U-FILE CAMP.com)
●三島 ☆ ド根性ノ助(170cm/77kg/総合格闘技道場コブラ会)
[10分6秒 腕ひしぎ逆十字固め]

本日のメインは、誰もがあっと驚いた、修斗の実力者である三島の参戦だ。
DEEPではPANCRACEの選手やブラジリアン トップ チームの選手を圧倒、
総合格闘技での実力は申し分なしであろう。
思えば修斗も源流を辿れば旧U.W.F.から派生した団体。
「自分の格闘技のルーツは、U.W.F.の流れを汲むRINGSにある」と公言した三島、
このU-STYLE参戦で、一体どのようなファイトを観せるのであろうか?
そして田村は、エースとして、三島相手に何を生み出して行くのか?

「福岡市ゴジラ」と共に入場する三島。
いつもに比べて、どこか声を押し殺した笑いが聞こえてくるのは、
この曲を初めて聴いた人が多いからなのだろう。
今日はハチマキにマント姿で入場した三島、
お馴染みの指突き上げポーズに観客から歓声が。

「FLAME OF MIND」と共に入場する田村。
もちろん、観客は曲に合わせて手拍子を付ける。
リングに上がれば四方に向かって深々と礼。
田村はどこに行っても田村だ。

試合開始、まずは三島が牽制の二段廻し蹴り。
観客はどよめく。が、田村は慌てない。

やがて始まる打撃戦、両者の掌底が交差する中、
三島は田村に組み付くと、豪快なフロント スープレックスで田村を叩きつけた。
観客がさらにどよめく中、グラウンドでは田村のお株を奪う回転体から、
アキレス腱固め、アンクルホールドを繰り出す。田村はこれを逃れたが、
この動きで三島の事を知らないファンも、三島が強豪である事を認知しただろう。

調子付いた三島は、回転しての蹴りを連発で出す。
これに対して田村はローキックやミドルキックを出しつつ、
組み付いてテイクダウンを奪い、サイド、バックとポジションを次々に移行する。
三島はバックを奪った田村に対して体の向きを変えて腕十字を仕掛ける、失敗。
逆に田村は三島を亀の体勢にすると元祖回転体を見せつけて翻弄する。

だが、田村が前にまわった時。三島は田村の胴を捕らえると、
そのまま持ち上げて水車落としで投げ捨てる。
観客が動揺する中、グラウンドでサイドを奪った三島は、
田村の首と足を捕まえてそのまま横に折り曲げる。得意のコブラ固め。
会場のプロレスファンが、観た事のない関節技にどよめく。

コブラ固めガッチリ極まっていたが、田村は何とか脱出。観客からは安堵の溜息が。
しかし、次の瞬間には、三島は腕と足で田村の両足をそれぞれ極めて、
股裂きのように両足を反対方向に折り曲げる。
コピィロフが昔、デビュー戦でハンを仕留めた「地獄足固め」だ。
エースの思わぬ大ピンチに、観客からは悲鳴が挙がる。
田村はこの関節技に耐えられず、ロープエスケープ。ロストポイント1。
開始して時間も経たないうちから、観客は大歓声。
三島がU-STYLEを研究してきた証拠と言えるだろう。

田村、反撃。
スタンドでの再開後、あっという間のハイキックの連打で三島をダウンさせた。
観客から歓声が沸き起こる。三島はカウント8で立ち上がる。ロストポイント1。

再びスタンド、ここで三島は何と子安キックを2連発を繰り出した。
一発がモロに入り、さらにニールキック。
怯んだ田村からテイクダウンを奪うと、
足でアームロック、腕でアンクルホールドを極める複合関節技。
だが、田村はこれを脱出すると、逆襲のアームバー、ダブルリストロックへの移行技。
観客から声援が飛ぶが、これは極まらずブレイク。

両者スタンドだが、ここで三島に変化が。
これまで積極的に動き過ぎたのが災いしたのか、疲れが見え始めた。
それでも三島は掌底をフェイントとして田村に組み付くと、膝十字を仕掛ける。
だが、田村はこれを外すと逆にアキレス腱固め。
これがガッチリ極まって、ここは三島がロープエスケープ。
ロストポイント2。観客からは歓声。
更に田村、立ち上がってからは怒涛の打撃ラッシュ。
掌底からのミドルキックがグサリと胴を捕らえ、三島はダウン。ロストポイント3。

立ちあがったものの、更に疲労の色が強くなった三島。
しかし追い討ちの田村の打撃を掻い潜ってテイクダウンを奪うと、
クロック ヘッド シザースから逆十字という関節技の移行を披露。
この逆十字がガッチリ極まった。観客からは悲鳴が挙がったが、
田村はロープエスケープでこれを逃れた。ロストポイント2。

しかし三島の反撃もここまで。
田村は懐かしのジャンピング ハイキックで三島をダウンさせた。
ロストポイント4、もはや後がない三島。
田村はダメージの残る三島に組み付き、フロントチョークで絞めつける。
どんどん崩れていく三島に対して、最後は逆十字、ガッチリ極まった。
三島は残り1ポイント、もはやロープに逃れる事が出来ない。
つまり、タップでしかこの関節技を逃れる術がないわけだ。

三島はタップ、試合終了。
田村はリング中央でガッツポーズ。
その瞬間、リング内に銀色の紙テープが舞い降りた。
観客も大歓声でこれに答える。

…が、この試合で印象に残ったのは、やはり三島だ。
本当にU-STYLEというもの、プロレスというものを研究してきた成果が、
そのまま試合中の観客の反応に出たと言えるだろう。

これからもU-STYLEに出場していくと思われる三島。
このスタイルで試合をする若手達に「U-STYLEとは何か」を試合で教えて行くだろう。

ちなみに試合後のマイクはなし。
で、興行は約2時間で終了。
アッサリした興行だねぇ。


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雑感:
村浜や三島と言った、U-FILE CAMP.com勢にしてみれば「外様」に当たる選手の方が、
U-STYLEというモノを真剣に取り組んでいるなぁ…というのが印象的でした。
逆に言えば、U-FILE CAMP.comの選手で印象に残った選手がいない、と言う…。
選手が若い、スタイルに慣れていない、等の事情はあるのでしょうが、
このまま選手が育つ事なく興行が続けば、確実にファンは減っていくでしょう。

普通のプロレスに比べてルールが厳しいU.W.F.スタイル。
しかし、それはリング上での表現の方向性を指示しているだけの話。
「観る側」はルールに縛られるのだから、やる側は逆に色々と表現が出来るはず。
あえてルールを破る、投げにこだわる、打撃を磨く、関節技の鬼なる…etc。
プロレスなのだから、選手はもっと喜怒哀楽を試合から表現していくべきでしょうね。

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以上、長文失礼。




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